(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】根菜類収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 33/10 20060101AFI20220928BHJP
B07C 7/04 20060101ALI20220928BHJP
A01D 27/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A01D33/10
B07C7/04
A01D27/00
(21)【出願番号】P 2021070188
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】福徳 光普
(72)【発明者】
【氏名】井上 恭佑
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-80215(JP,A)
【文献】特開2018-135113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 - 33/14
B07C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を形成するメインフレームと、前記機体を走行させる走行部と、操縦部と、圃場から根菜類を収穫する収穫部と、収穫した根菜類を搬送する搬送部と、前記メインフレームに基部が固定され、前記搬送部を支持する搬送部支持手段と、搬送されてくる根菜類を収容する収容部とを装備した根菜類収穫機において、
前記搬送部支持手段に連結されてそれを補強する補強部材を備え、
前記補強部材の前記メインフレームに固定された下端は、前記搬送部支持手段の前記基部よりも前記収容部側に位置することを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記搬送部は上下方向に回動可能な選別搬送部を有し、前記選別搬送部の回動軸の近傍の前記搬送支持手段に前記補強部材が連結されている、請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記搬送部は前記収穫部から送られてくる根菜類を前記選別搬送部に送る挟持搬送路を有し、
前記搬送部支持手段は前記挟持搬送路を支持し、
前記補強部材は棒状であり、前記補強部材の下端は、前記選別搬送部の下方に位置する前記メインフレームの部分に固定され、
前記補強部材は、前記メインフレームから前記搬送部の搬送方向上手側に向かって斜め上方に延びて設置され、その上端は、前記搬送部支持手段又は前記挟持搬送路の駆動用支柱に固定されている、請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記棒状の前記補強部材の傾斜方向は前記選別搬送部が回動して最上位置に持ち上げられた状態の傾斜方向と逆方向である、請求項3記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記選別搬送部を回動させるアクチュエータの下端は前記メインフレームに連結されており、
前記補強部材と前記アクチュエータとは正面視でクロスする位置関係にある、請求項3又は4記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
前記補強部材は、前記機体を動かす動力源を覆うカバーと前記選別搬送部を回動させるアクチュエータとの間に設置されている、請求項3又は4記載の根菜類収穫機。
【請求項7】
前記選別搬送部を回動させるアクチュエータの下端は前記メインフレームに連結されており、
前記補強部材の下端は、前記アクチュエータの下端より、前記収容部側に位置する、請求項3又は4記載の根菜類収穫機。
【請求項8】
前記搬送部の下流側先端に、前記根菜類を収容する収容部材を保持するための吊り下げハンガーが設けられ、
前記吊り下げハンガーには、回動式フックと、固定式フックが取り付けられている、請求項1記載の根菜類収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場から作物を採ってフレコンバッグ等の収容部材に収容する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引抜搬送装置で圃場から根菜類を引抜き搬送し、選別搬送装置の搬送終端部に設けたフレコンバッグで根菜類を収容する根菜類収穫機がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の根菜類収穫機は、人参を満杯にしたフレコンバッグを圃場に降ろすため、重いフレコンバッグを吊り下げた状態で、収容部側へ突き出している搬送コンベアを上方に高く回動して引き上げている。
そのため、その搬送コンベアを下から支持する部材に大きな負荷が掛かっており、その対策が難しかった。
【0005】
本発明は、上記従来の根菜類収穫機の課題を考慮し、その搬送コンベアを支持する部材の強度を補強した根菜類収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
機体を形成するメインフレームと、前記機体を走行させる走行部と、操縦部と、圃場から根菜類を収穫する収穫部と、収穫した根菜類を搬送する搬送部と、前記メインフレームに基部が固定され、前記搬送部を支持する搬送部支持手段と、搬送されてくる根菜類を収容する収容部とを装備した根菜類収穫機において、
前記搬送部支持手段に連結されてそれを補強する補強部材を備え、
前記補強部材の前記メインフレームに固定された下端は、前記搬送部支持手段の前記基部よりも前記収容部側に位置することを特徴とする根菜類収穫機である。
【0007】
これによって、搬送部支持手段の補強が可能となる。
【0008】
第2の本発明は、
前記搬送部は上下方向に回動可能な選別搬送部を有し、前記選別搬送部の回動軸の近傍の前記搬送支持手段に前記補強部材が連結されている、第1の本発明の根菜類収穫機である。
【0009】
これによって、選別搬送部の回動の負荷に対しても、一層補強される。
【0010】
第3の本発明は、
前記搬送部は前記収穫部から送られてくる根菜類を前記選別搬送部に送る挟持搬送路を有し、
前記搬送部支持手段は前記挟持搬送路を支持し、
前記補強部材は棒状であり、前記補強部材の下端は、前記選別搬送部の下方に位置する前記メインフレームの部分に固定され、
前記補強部材は、前記メインフレームから前記搬送部の搬送方向上手側に向かって斜め上方に延びて設置され、その上端は、前記搬送部支持手段又は前記挟持搬送路の駆動用支柱に固定されている、第2の本発明の根菜類収穫機である。
【0011】
これによって、より確実に補強効果を発揮できる。
【0012】
第4の本発明は、
前記棒状の前記補強部材の傾斜方向は前記選別搬送部が回動して最上位置に持ち上げられた状態の傾斜方向と逆方向である、第3の本発明の根菜類収穫機である。
【0013】
これによって、より確実に補強効果を発揮できる。
【0014】
第5の本発明は、
前記選別搬送部を回動させるアクチュエータの下端は前記メインフレームに連結されており、
前記補強部材と前記アクチュエータとは正面視でクロスする位置関係にある、第3又は4の本発明の根菜類収穫機である。
【0015】
これによって、より確実に補強効果を発揮できる。
【0016】
第6の本発明は、
前記補強部材は、前記機体を動かす動力源を覆うカバーと前記選別搬送部を回動させるアクチュエータとの間に設置されている、第3又は4の本発明の根菜類収穫機である。
【0017】
これによって、動力源のある場所とは逆側で補助作業を行う補助者の足元のスペースを十分確保できる。
【0018】
第7の本発明は、
前記選別搬送部を回動させるアクチュエータの下端は前記メインフレームに連結されており、
前記補強部材の下端は、前記アクチュエータの下端より、前記収容部側に位置する、第3又は4の本発明の根菜類収穫機である。
【0019】
これによって、より一層補強効果を発揮できる。
【0020】
第8の本発明は、
前記搬送部の下流側先端に、前記根菜類を収容する収容部材を保持するための吊り下げハンガーが設けられ、
前記吊り下げハンガーには、回動式フックと、固定式フックが取り付けられている、第1の本発明の根菜類収穫機である。
【0021】
これによって、フレコンバッグが4隅に吊り輪を持たず、絞り紐だけのタイプであっても、容易に吊り下げることが出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の補強部材によって、搬送部支持手段が十分に補強され、搬送部も安定する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施例の根菜類収穫機を前方からみた斜視図
【
図10】同根菜類収穫機のハンガーとフレコンバッグを示す略示斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態の一実施例として示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機を説明する。以下においては、機体の前進方向を基準に、前後、左右という。
【0025】
<全体構成>
図1は本発明の一実施例の根菜類収穫機の前方からみた斜視図であり、
図2は同根菜類収穫機の後方からみた斜視図である。ここに、収穫部の具体的な構造は省略している。以下に
図1から
図9に基づいて説明する。
【0026】
人参収穫機は、機体10を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部C(図視省略)と、該収穫部Cから人参を引き継いで茎葉切断部にて機体後方に搬送しながら茎葉部を切断し、茎葉切断部から落下する人参を受けて残葉処理部にて人参に残った茎葉部を処理し、残葉処理部から人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部D1と、該選別搬送部D1から排出される人参の収容部材を配置する収容部Eから構成される。D2は収穫部Cから送られてくる根菜類を可動搬送コンベア21bに送る挟持搬送路である。1は機体10のメインフレームである。
【0027】
機体10の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジンの動力が伝動されるミッションケースから左右両側に延出させた左右ドライブシャフトに取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体10に取り付ける。
【0028】
前記機体10の右側上部に操縦部フレーム7を取り付け、該操縦部フレーム7には操縦座席8を取り付けると共に、機体前側に操縦パネルを取り付ける。そして、該操縦パネルに機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバーを取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバーを取り付ける。
【0029】
また、前記操縦部フレーム7の機体左右他側(機体右側)にエンジンを冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバーを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0030】
上記構成により、変速操作レバーや昇降操作レバーのような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0031】
搬送部Dは、収穫部Cの引抜搬送装置の後部下方から人参を収容する収容部材であるフレコンバッグ22のある収容部Eに向けて機体左右方向に配置され、エンジンからの駆動力にて周回動する一定間隔の桟を備えるチェーンコンベアにて構成されている。
【0032】
なお、引抜搬送装置にて茎葉部が挟持されて搬送してきた人参は、その茎葉部下端(人参の頭部の少し上)が茎葉切断部にて切断されて人参が下方に落下するが、該落下する人参を残葉処理部が受けて人参に残った茎葉部を処理して搬送部Dに搬送する。そして、搬送部Dは、人参をその左端から右方(収容部E)に搬送する。
【0033】
また、搬送部Dは、収穫部Cの引抜搬送装置の後部下方から機体右側に水平に設けられた水平搬送コンベア21a(本発明の挟持搬送路D2の一例)と、該水平搬送コンベア21aの右端部から収穫作物を引き継いで収容部Eに斜め右上方に向けて搬送する可動搬送コンベア21b(本発明の選別搬送部D1の一例)から構成される。
【0034】
可動搬送コンベア21bは、水平搬送コンベア21a右端部から収穫作物を引き継ぐ左端部が回動軸9で回動自在に支持されており、上下動用電動シリンダ21cの伸縮作動により収容部E側の右端部側が上下動して傾斜角度が変更できるようになっている。
【0035】
そして、該可動搬送コンベア21bの機体後方側に補助作業座席23が設けられており、該補助作業座席23に着座した作業者が可動搬送コンベア21bにて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や異形の人参)を取り出して、適正な商品価値のある人参のみを収容部Eに送るようにする。
【0036】
また、補助作業座席23に着座した作業者は、足踏み式の上昇スイッチ及び下降スイッチにて前記上下動用電動シリンダ21cを伸縮作動させて可動搬送コンベア21bの右端部側を上下動させる。
【0037】
なお、搬送部Dはメインフレーム1に固定されている搬送部支持手段29によって支えられている。搬送部支持手段29は本実施例では板金27で構成されている。
【0038】
なおまた、メインフレーム1に立設している支柱28は水平搬送コンベア21aの駆動用支柱である。
【0039】
収容部Eは、可動搬送コンベア21b(選別搬送部D1)の右側方に配置され、可動搬送コンベア21b右端部に設けた移動装置としての作動アーム24により上下動及び左右動する吊り下げハンガー25と、該吊り下げハンガー25に吊り下げられたフレコンバッグ22を載置する載置台26により構成されている。
【0040】
可動搬送コンベア21bは、左端基部から右端上部に向けて斜め上方に向かって設けられている。即ち、エンジンからの駆動力にて周回動して人参を斜め上方に搬送し、上端部から下方に放出する。また、可動搬送コンベア21bの基部は、回動軸9にて回動自在に設けられており、中途部には、機体10のメインフレーム1に基部が枢支された上下動用電動シリンダ21c(本発明のアクチュエータの一例である)のピストン先端が連結されている。
【0041】
即ち、該可動搬送コンベア21bは、補助作業座席23に着座した作業者が踏み操作する上昇スイッチを踏み込み操作している間、上下動用電動シリンダ21cが伸長して回動軸9回りに回動して上昇し、下降スイッチを踏み込み操作している間、上下動用電動シリンダ21cが縮小して回動軸9回りに回動して下降する。
【0042】
また、可動搬送コンベア21bは、後述の操縦パネル右端に設けた十字方向操作レバーを作業者が圃場に降りて機体後方を向いた状態で右に操作すると上下動用電動シリンダ21cが伸長して回動軸9回りに回動して上昇し、左に操作すると上下動用電動シリンダ21cが縮小して回動軸9回りに回動して下降する。
【0043】
吊り下げハンガー25は、可動搬送コンベア21b右端部に設けた作動アーム24により上下動及び左右動する。
【0044】
作動アーム24は、基部が可動搬送コンベア21b右端部に背面視で反時計方向には回動するが時計方向には所定位置で回動が停止するように枢支され、先端側が機体右外側上方に向けて延設されている基部アーム24aと、該基部アーム24a先端に回動自在に枢支された回動アーム24bと、基部アーム24aと回動アーム24b間に配設された回動用アクチュエータとしての回動用電動シリンダ24cから構成される。
【0045】
吊り下げハンガー25は、回動アーム24bの先端に設けられている。載置台26上方で、吊り下げハンガー25の4つのフック25aをフレコンバッグ22の上端縁部の係止孔や吊り輪に各々引っ掛けてフレコンバッグ22を吊下げ支持する。
【0046】
操縦パネル右端には、十字方向操作レバーが設けられており、作業者が圃場に降りて機体後方を向いた状態で右に操作すると上下動用電動シリンダ21cが伸長して可動搬送コンベア21bが回動軸9回りに回動して上昇し、左に操作すると上下動用電動シリンダ21cが縮小して可動搬送コンベア21bが回動軸9回りに回動して下降し、機体後方に操作すると回動用電動シリンダ24cが伸長して回動アーム24bが回動軸回りに回動して右外側方に開き、機体前方に操作すると回動用電動シリンダ24cが縮小して回動アーム24bが回動軸回りに回動して左機体内側に閉じる。
【0047】
この十字方向操作レバーの操作時に、可動搬送コンベア21bが最上昇位置にないと十字方向操作レバーを機体後方に操作しても回動用電動シリンダ24cは作動せず回動アーム24bが回動軸回りに回動して右外側方に開くことはない。
【0048】
即ち、可動搬送コンベア21bが最上昇位置にある時のみ、十字方向操作レバーを機体後方に操作して回動用電動シリンダ24cを作動させて回動アーム24bを回動軸回りに回動して右外側方に開くことができる。
【0049】
従って、作動アーム24を作動させてフレコンバッグ22を圃場に降ろす際に、作動アーム24の最も高い位置で赤色回転灯が回転点灯するので、夕方でも目立ち周囲に適確に報知できる。
【0050】
そして、操縦座席8に着座した操縦者が人参収穫機を進行させて、収穫部Cの引抜搬送装置の引抜搬送経路R前端を圃場の人参条に合わせた後に昇降操作レバーを操作して収穫部Cを下降させ、掘取りクラッチを「入」にして各部を駆動させて前進する。すると、分草杆や縦引起し装置や横引起し装置にて人参の茎葉を掻き上げて引抜搬送装置の引抜搬送経路Rに人参の茎葉が挟持され、左右振動ソイラにて人参の側方及び下方の土をほぐして、人参は引抜搬送装置にて挟持されて引き抜かれて、後方上方に搬送される。
【0051】
そして、引抜搬送装置にて茎葉部が挟持されて搬送してきた人参は、その茎葉部下端(人参の頭部の少し上)が茎葉切断部にて切断されて人参が下方に落下するが、該落下する人参は残葉処理部が受けて人参に残った茎葉部を処理して搬送部Dに搬送される。そして、人参は、搬送部Dの可動搬送コンベア21bにてその左端から右方(収容部E)に搬送される。
【0052】
そして、可動搬送コンベア21bの機体後方側の補助作業座席23に着座した作業者が可動搬送コンベア21bにて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や異形の人参)を取り出し、商品価値のある人参のみが収容部Eに送られる。
【0053】
可動搬送コンベア21bにて右端に送られてきた人参は、可動搬送コンベア21b右端の吊り下げハンガー25の各フック25aに吊下げられたフレコンバッグ22内に落下して収納される。
【0054】
そして、フレコンバッグ22内に収納された人参の量が多くなるにつれて、補助作業座席23に着座した作業者が上昇スイッチを踏み込み操作して上下動用電動シリンダ21cを伸長させて可動搬送コンベア21bを回動軸回りに回動して順次上昇させる。
【0055】
そして、フレコンバッグ22内に人参が満杯になるまで可動搬送コンベア21bを回動軸9回りに回動して上昇させると、操縦者は機体の駆動を停止して停車する。
【0056】
補助作業座席23に着座した作業者は、補助作業座席23から離れて圃場に降りて操縦パネル右端近くに立って、機体後方を向いた状態で十字方向操作レバーを操作する。
【0057】
以後、十字方向操作レバーを操作して、上下動用電動シリンダ21cを伸長させて可動搬送コンベア21bを最上昇位置まで上昇させて、フレコンバッグ22を載置台26上方に持ち上げる。
【0058】
さらに、回動用電動シリンダ24cを伸長させて回動アーム24bを回動軸回りに回動して右外側方に開いて、フレコンバッグ22を載置台26の右外側方まで移動させる。さらに、上下動用電動シリンダ21cを縮小させて可動搬送コンベア21bを最下降位置まで下降させて、フレコンバッグ22を圃場に降ろす。このようにして、収穫した人参などを圃場へ置いて行く。
【0059】
以上述べたところからわかるように、フレコンバッグ22に人参を満杯にした状態で、可動搬送コンベア21bを回動軸9回りに回動させる動作を行うため、可動搬送コンベア21bを支える部材には大きな負荷が掛かる。
【0060】
そこで、本発明においては、搬送部Dを支持する部材を補強のために補強部材30を備えている。以下にその詳細を説明する。
【0061】
搬送部Dは、機体10のメインフレーム1に直接あるいは間接的に固定された板金27(本発明の搬送部支持手段29の一例)によって支持されている。本実施例では板金27は搬送部Dの挟持搬送路D2を支持している。29aは搬送部支持手段29の基部であって、メインフレーム1に固定されている。
【0062】
そして、搬送部支持手段29を補強する補強部材30は機体10のメインフレーム1に固定されている。すなわちこの補強部材30は棒状をしており、その下端30aは、前記搬送部Dの下方に位置するメインフレーム1に固定されている。その固定された位置は、搬送部支持手段29の基部29aよりも前記収容部(E)寄りに位置している。ここに棒状とは管状も含む意味である。
【0063】
補強部材30はメインフレーム1から搬送部Dの搬送方向上流側に向かって斜め上方に延びて設置されている。その補強部材30の上端30bは挟持搬送路D2の駆動用支柱28の上部に固定されている。なお、補強部材30の上端30bは板金27の上部に固定されていてもよい。
【0064】
さらに、その補強部材30は上記可動搬送コンベア21bの回動軸9の近傍を通っている。その付近で補強部材30は次に述べるようにして板金27に連結している。
【0065】
すなわち、
図8,
図9に示すように、31はその補強部材30に対して略直角方向に交わる支持棒材であり、その下端31aはメインフレーム1に固定されている。また、その上端31bは補強部材30に穿設されたスリット30cを貫通し、板金27の上記回動軸9付近にボルト締めされて固定されている。
【0066】
あるいは、そのようなスリット30cを形成するかわりに、そのスリット30cの存在する場所付近に支持棒材31の上部を溶接し、さらに、支持棒材31の上記上端31bの下方部を補強部材30に溶接してもよい。すなわち、支持棒材31を上下2つに分け、それぞれの端部を補強部材30に溶接してもよい。さらには、支持棒材31の下方の部分を無くし、上端31bだけを補強部材0に溶接することでも、補強部材30で板金27を補強することが出来る。
【0067】
このようにして、補強部材30は板金27に連結して板金27を、そして回動軸9を下側から支持補強している。なお、30dは補強部材30自体をさらに下から支持するためのフレームであって、メインフレーム1に立設している。
【0068】
この棒状の補強部材30の傾斜方向は
図3に示すように、可動搬送コンベア21bが最上位置に持ち上げられた状態の傾斜方向と逆方向であり、ほぼ直角をなす。この最上位置に可動搬送コンベア21bが持ち上げられている状態での大きな負荷を打ち消す方向に支持するので補強効果が大きい。
【0069】
さらに、この補強部材30は可動搬送コンベア21bを上下動させる上下動用電動シリンダ21c(本発明のアクチュエータの一例である)と、この棒状補強部材30とは
図3(正面図)に示すように、正面視においてクロスする位置関係にある。
【0070】
また、この補強部材30は、機体10を動かす動力源としてのエンジン32を覆うカバー32aと、上下動用電動シリンダ21cとの間に設置されている(
図5参照)。補助作業座席23側とは反対側に設けているので、補助者の足元の邪魔にならない。
【0071】
さらに、可動搬送コンベアを回動させる上下動用電動シリンダの下端21c1はメインフレーム1に連結されており、補強部材30の下端30aは、上下動用電動シリンダ21cの下端21c1より、収容部(E)側に位置している。また、補強部材30の下端30aは上下動用電動シリンダ21cの下端21c1を基準として、回動軸9とは反対側に位置している。
【0072】
なお、
図9に示すように、回動軸9近傍の板金27は連結具33によって、メンテナンス用開閉カバー34と一体化されている。これによって、板金27をさらに補強支持することが出来る。なお、メンテナンス用開閉カバー34は
図3に示すように、作業駆動室Fと選別作業場Gとの間に締め付けるカバーである。メンテナンス時には取り外して開閉することが出来る。
【0073】
次に、上記吊り下げハンガー25について説明する。
図10において、25aは従来の回動式フックである。作動アーム24に対して回動できるようになっている。前後2つのハンガー25にそれぞれ左右端部に2個設けられている。
【0074】
それら回動式フック25aは全てフレコンバッグ22の開口部側に向いている。
【0075】
また吊り下げハンガー25を収納する場合、可動式フック25aが作動アーム24に干渉しないようになっている。
【0076】
また、作動アーム24を人参収納位置にして、可動搬送コンベア21bを最も上昇させた状態において、フレコンバッグ22はフレコンバッグ22の載置台26から浮くようになっている。
【0077】
さらに、それら回動式フック25aの内側にそれぞれ2カ所固定式フック25bが設けられている。その固定式フック25bはL字型をしており、さらに4つとも、フレコンバッグ22の開口部側に向いている。
【0078】
例えば、フレコンバッグ22の種類が、4隅に吊り輪がなく、前後に2個長い吊り紐22aがあるタイプである場合は、固定式フック25bでその長い吊紐22aを吊り下げることが出来る。
【0079】
なお、フレコンバッグ22の種類が4隅に吊り輪があるタイプの場合は、もちろん可動フック25aで吊り下げることが出来る。
【0080】
さらにまた、フレコンバッグ22の開口部を絞る別の紐がある場合はそれを、可動フック25aの例えばレバー部に取り付けられている別のフック22b1に引っ掛けることもできる。その別のフック22b1は4個あり、4つの可動式フック25aにそれぞれ取り付けておく(
図10では例示として1個だけ点線で示している)。
【0081】
それによって回動式フック25aのレバー部を操作することで固定式フック25bが同調して回動することになる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明の根菜類収穫機は、搬送部を支持する部材を補強する部材を備えるので、人参収穫機などの根菜類収穫機に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
1 メインフレーム
2 スプロケット
3 従動輪
4 転輪
5 ベルト
6L,6R クローラ
7 操縦部フレーム
8 操縦座席
9 回動軸
10 機体
21a 水平搬送コンベア
21b 可動搬送コンベア
21c アクチュエータ(上下動用電動シリンダ)
21c1 下端
22 フレコンバッグ22
23 補助作業座席
27 板金
28 挟持搬送路D2の駆動用支柱
29 搬送部支持手段(板金27)
29a 基部
30 補強部材
30a 下端
30b 上端
30c スリット
31 支持棒材
31a 下端
31b 上端
32 エンジン
32a カバー
33 連結具
34 メンテナンス用開閉カバー
A 走行部
B 操縦部
C 収穫部
D 搬送部
D1選別搬送部(可動搬送コンベア21b)
D2挟持搬送路
E 収容部
F 作業駆動室
G 選別作業場
【要約】
【課題】根菜類収穫機において、可動搬送コンベアは上方へ回動させるため、それを支持する部材に負荷が大きくかかる。
【解決手段】
機体10を形成するメインフレーム1と、機体10を走行させる走行部Aと、操縦部Bと、圃場から根菜類を収穫する収穫部Cと、収穫した根菜類を搬送する搬送部Dと、メインフレーム1に基部29aが固定され、搬送部Dを支持する搬送部支持手段29と、搬送されてくる根菜類を収容する収容部Eとを装備し、搬送部支持手段29に連結されてそれを補強する補強部材30を備え、補強部材30のメインフレーム1に固定された下端30aは、搬送部支持手段29の基部29aよりも収容部E側に位置する。
【選択図】
図1