(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】駐車支援方法及び駐車制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 99/00 20090101AFI20220928BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B60R99/00 321
B60R99/00 330
B60W30/06
(21)【出願番号】P 2021107858
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2019528315の分割
【原出願日】2017-07-07
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康啓
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 行
(72)【発明者】
【氏名】田中 大介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】山中 僚大
(72)【発明者】
【氏名】小林 隼也
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-030364(JP,A)
【文献】特開2017-052471(JP,A)
【文献】特開2016-084094(JP,A)
【文献】特開2006-347428(JP,A)
【文献】特開2017-021747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
B60R 99/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の空き駐車スペースの、車幅方向と直交する方向に延びる第1枠線及び前記第1枠線と対となる第2枠線に対して駐車制御を実行する駐車制御装置の駐車支援方法において、
前記第1枠線及び前記第2枠線を検出し、
前記第1枠線の一方の端部と対を成す前記第2枠線の一方の端部とを結んだ直線と、前記第1枠線の他方の端部と対を成す前記第2枠線の他方の端部とを結んだ直線とのうち、前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が、直角に近い前記直線上に駐車目標を設定し、
前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が直角に近い前記直線が、前記第1枠線と前記第2枠線の前記自車両が進入する方向奥側の端部同士を結んだ直線である場合には、前記駐車目標に、前記自車両の前記空き駐車スペースへ進入する方向奥側の車輪の位置を合わせるように駐車制御を実行し、
前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が直角に近い前記直線が、前記第1枠線と前記第2枠線の前記自車両が進入する方向手前側の端部同士を結んだ直線である場合には、前記駐車目標に、前記自車両の前記空き駐車スペースへ進入する方向手前側の端部の位置を合わせるように駐車制御を実行する
ことを特徴とする駐車支援方法。
【請求項2】
前記第1枠線と前記第2枠線の長さの差を検出し、
前記長さの差が予め定めた所定値以上の場合に、前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が、直角に近い前記直線上に前記駐車目標を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項3】
自車両の周囲の空き駐車スペースの、車幅方向と直交する方向に延びる第1枠線及び該第1枠線と対となる第2枠線に対して駐車制御を実行する駐車制御装置であって、
前記第1枠線及び前記第2枠線を検出する目標駐車枠検知センサと、
駐車目標を設定する目標位置設定回路と、
前記自車両の位置を前記駐車目標に合わせるように前記駐車制御を実行する車両制御回路と
を備え、
前記目標位置設定回路は、
前記第1枠線の一方の端部と対を成す前記第2枠線の一方の端部とを結んだ直線と、前記第1枠線の他方の端部と対を成す前記第2枠線の他方の端部とを結んだ直線とのうち、前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が、直角に近い前記直線上に前記駐車目標を設定
し、
前記車両制御回路は、
前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が直角に近い前記直線が、前記第1枠線と前記第2枠線の前記自車両が進入する方向奥側の端部同士を結んだ直線である場合には、前記駐車目標に、前記自車両の前記空き駐車スペースへ進入する方向奥側の車輪の位置を合わせるように駐車制御を実行し、
前記第1枠線又は前記第2枠線と成す角度が直角に近い前記直線が、前記第1枠線と前記第2枠線の前記自車両が進入する方向手前側の端部同士を結んだ直線である場合には、前記駐車目標に、前記自車両の前記空き駐車スペースへ進入する方向手前側の端部の位置を合わせるように駐車制御を実行する
ことを特徴とする駐車制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援方法及び駐車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を車庫等の駐車領域に駐車させる運転操作を支援する駐車制御装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1では、駐車枠線の端部を結び、目標到達区画を設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来例では、車両が目標到達区画に収まるように駐車制御を実行するもので、車両が目標到達区画からはみ出ることを想定していない。そのため車両を、目標到達区画の適切な位置に駐車できない可能性があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両を適切な位置に駐車できるようにする駐車支援方法及び駐車制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる駐車支援方法は、第1枠線及び第2枠線の一方の端部同士を結んだ直線と、第1枠線及び第2枠線の他方の端部同士を結んだ直線とのうち、第1枠線又は第2枠線と成す角度が直角に近い直線上に駐車目標を設定し、自車両の位置を駐車目標に合わせるように駐車制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の駐車支援方法によれば、車両を空き駐車スペースの適切な位置に駐車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る駐車制御装置を搭載した車両の一部構成を例示したブロック図である。
【
図2】
図1に示す駐車制御装置の画像情報処理部と駐車支援制御部の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3】車両を後退させて空き駐車スペースに入れるときの走行経路を示す模式図である。
【
図4】車両を前進させて空き駐車スペースに入れるときの走行経路を示す模式図である。
【
図5】
図1に示す駐車制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6A】車両を空き駐車スペースに駐車させるときの、目標経路に沿った位置と車速の関係を示すグラフであり、目標速度と実速度の変化を示す。
【
図6B】車両を空き駐車スペースに駐車させるときの、目標経路に沿った位置と車速の関係を示すグラフであり、修正目標速度と実速度の変化を示す。
【
図7】
図7は、車両を初期位置から目標駐車位置に移動させるときの目標経路、及び空走距離によるずれが生じたときの走行経路を示す説明図である。
【
図8A】車両を駐車領域に駐車させるときの、目標経路に沿った位置と舵角の関係を示すグラフであり、目標舵角と実舵角の変化を示す。
【
図8B】車両を駐車領域に駐車させるときの、目標経路に沿った位置と舵角の関係を示すグラフであり、目標舵角と修正目標舵角の変化を示す。
【
図9】車両を初期位置から目標駐車位置に移動させるときの目標経路、及び舵角の追従遅れによるずれが生じたときの走行経路を示す説明図である。
【
図10A】車両を駐車スペースに駐車させるときの、目標経路に沿った位置と舵角の関係を示すグラフであり、目標舵角と定常偏差が生じたときの実舵角の変化を示す。
【
図10B】車両を駐車スペースに駐車させるときの、目標経路に沿った位置と舵角の関係を示すグラフであり、修正目標舵角と修正目標舵角としたときの実舵角の変化を示す。
【
図11】本発明の実施形態に係る駐車制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態に係る駐車目標を設定する処理手順を示すフローチャートである。
【
図13A】第1・第2枠線の長さが車両(自車両)の全長より長い場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、後退駐車の場合を示す図である。
【
図13B】第1・第2枠線の長さが車両(自車両)の全長より長い場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、前進駐車の場合を示す図である。
【
図14A】第1・第2枠線の長さが車両(自車両)のホイルベースより短い場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、後退駐車の場合を示す図である。
【
図14B】第1・第2枠線の長さが車両(自車両)のホイルベースより短い場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、前進駐車の場合を示す図である。
【
図15A】第1・第2枠線の長さが車両(自車両)のホイルベースよりも長く且つ車両の全長よりも短い場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、後退駐車の場合を示す図である。
【
図15B】第1・第2枠線の長さが車両(自車両)のホイルベースよりも長く且つ車両の全長よりも短い場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、前進駐車の場合を示す図である。
【
図16A】第1・第2枠線の車両が進入する方向奥側の端部のみが残る駐車スペースと車両を平面視した図であり、後退駐車の場合を示す図である。
【
図16B】第1・第2枠線の車両が進入する方向奥側の端部のみが残る駐車スペースと車両を平面視した図であり、前進駐車の場合を示す図である。
【
図17A】第1・第2枠線の車両が進入する方向手前側の端部のみが残る駐車スペースと車両を平面視した図であり、後退駐車の場合を示す図である。
【
図17B】第1・第2枠線の車両が進入する方向手前側の端部のみが残る駐車スペースと車両を平面視した図であり、前進駐車の場合を示す図である。
【
図18A】第1・第2枠線の長さが異なる場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、後退駐車の場合を示す図である。
【
図18B】第1・第2枠線の長さが異なる場合の駐車スペースと車両を平面視した図であり、前進駐車の場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る駐車制御装置を搭載した車両の一部構成を例示したブロック図である。
図1に示すように、この駐車制御装置100は、車両制御ECU40に出力する舵角制御信号と速度制御信号を生成する。なお、本実施形態における駐車とは、車両を空き駐車スペースに向けて移動し、空き駐車スペースに停車することをいう。自動車においては、駐車場内の駐車スペースに、自動車を止める為に、空き駐車スペースに移動し、空き駐車スペースに停車することをいう。
【0011】
駐車制御装置100は、目標駐車枠検知センサ10、画像情報処理部20(目標位置設定回路)、及び駐車支援演算部30(車両制御回路)を備える。
【0012】
目標駐車枠検知センサ10は、例えば、車両の周囲を撮像する複数のカメラで構成される。カメラ10aは車両の前方に搭載されて車両前方を撮像する。カメラ10bは車両の後方に搭載されて車両後方を撮像する。カメラ10cは車両の左側に搭載されて車両左側を撮像する。カメラ10dは車両の右側に搭載されて車両右側を撮像する。それぞれのカメラは、車両のルーフより下方に設置される。
【0013】
目標駐車枠検知センサ10は他のセンサで構成してもよい。例えば、対象物に向けて赤外線レーザを照射し、その反射光の強度により対象物までの距離を測定するレーザレンジファインダ(LRF)等で構成してもよい。反射光の強度によって駐車スペースを表す白線等の長さを検出することも可能である。また、超音波を利用するクリアランスソナーを用いてもよい。また、目標駐車枠検知センサ10は、必ずしも車両に設けられたセンサでなくてもよく、自車両の周囲に備えられたセンサ(例えば、駐車場のカメラ、他車両に備わるセンサ、カメラ)でもよい。この場合、車両の周囲に備えられたセンサにより得られたデータを、無線通信を用いて、自車両に送信するようにしてもよい。なお、本実施形態は、自車両のカメラを用いて目標駐車枠検知センサ10を構成した例で説明する。
【0014】
画像情報処理部20は、目標駐車枠検知センサ10で撮像した自車両の周囲の画像情報を、画像認識して駐車支援に必要な情報を生成する。その情報は、駐車支援演算部30に出力される。駐車支援に必要な情報について、詳しくは後述する。
【0015】
駐車支援演算部30には、画像情報処理部20の他に、入力インターフェース51、車輪速センサ52、及び舵角センサ53が接続される。なお、駐車支援演算部30の出力は、車両制御ECU40に接続される。
【0016】
目標駐車枠検知センサ10は、各カメラ(10a~10d)で撮像された画像から、空き駐車スペースの車幅方向と直交する方向の第1枠線及び該第1枠線と対となる第2枠線を検出する枠線検知回路10eを更に備える。目標位置設定回路20は、第1枠線上の点と、第2枠線上の点とを結んだ直線上に駐車目標を設定する。車両制御回路30は、自車両の車輪の位置を駐車目標に合わせるように駐車制御を実行する。具体的には、車両制御回路30は、駐車目標までの目標駐車経路を生成し、生成した目標駐車経路に沿うように、自車両の位置、自車両の姿勢、自車両の速度を制御し、目標位置に自車両の所定の位置(車輪、車両の端部)が合うように停止制御を実行する。尚、本実施形態における第1枠線と第2枠線は、駐車スペースを構成する枠線の内、特定する必要はない。つまり、第1枠線は、駐車スペースの車幅方向の手前側、奥側のどちらでもよく、また、長い方、短い方のどちらでもよい。また、第1枠線の長さを検出する場合、第1枠線の長さと、自車両の全長及び自車両の前輪と後輪の間の長さと、を比較する場合、駐車スペースを構成する2つの枠線の内、どちらを第1枠線としてもよい。
【0017】
目標駐車枠検知センサ10、目標位置設定回路20、及び車両制御回路30を備える駐車制御装置100によれば、自車両を空き駐車スペースの適切な位置に駐車させることができる。
【0018】
入力インターフェース51は、操作者による駐車位置の調整、駐車位置の選択、駐車方式(前進駐車、後退駐車)等に関する各種の情報を入力する端末である。操作者が乗車している場合を想定して、車両内にジョイスティックや操作スイッチ、タッチパネルなど、車両に搭載される各種操作入力デバイス等を設けてもよい。また、車両に設置されているスピーカを用いて、運転者に各種の操作入力を促す音声案内を行うようにしてもよい。
【0019】
車輪速センサ52は、自車両の車輪速を検出するセンサである。
【0020】
舵角センサ53は、自車両の舵角を検出するセンサであり、ステアリングの回転軸に取り付けるエンコーダを用いるのが一般的である。
【0021】
駐車支援演算部30は、画像情報処理部20が生成する駐車支援に必要な各情報、車輪速センサ52で検出した自車両の車輪速情報、舵角センサ53で検出した舵角情報、及び入力インターフェース51に入力される駐車位置に関する各種の情報に基づいて舵角制御信号と速度制御信号を生成する。
【0022】
駐車支援演算部30で生成された舵角制御信号と速度制御信号は、車両制御ECU40に入力される。また、車両制御ECU40には、車輪速センサ52と舵角センサ53が接続される。車両制御ECU40の出力は、ステアリング、車速等を制御するアクチュエータ50に接続される。
【0023】
画像情報処理部20及び車両制御ECU40は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0024】
図2は、画像情報処理部20及び駐車支援演算部30の詳細な構成を示すブロックである。画像情報処理部20は、目標駐車枠検知部21、目標駐車位置設定部22、駐車開始位置設定部23、及び現在位置推定部24を備える。
【0025】
目標駐車枠検知部21は、枠線検知回路10eで検出した第1枠線と第2枠線を用いて自車両を駐車させる位置である目標駐車枠位置を出力する。なお、目標駐車枠検知部21は、目標駐車枠検知センサ10で撮像した画像から空き駐車スペースの車幅方向と直交する方向の第1枠線及び該第1枠線と対となる第2枠線を検出し、目標駐車枠位置を出力してもよい。複数の空き駐車スペースを検知した場合は、その中から最も駐車し易い(駐車時間が短い、駐車距離が短い、死角が少ない等)空き駐車スペースを目標駐車枠位置とすることができる。
【0026】
なお、目標駐車枠位置は入力インターフェース51からの操作入力によって設定することにより、目標駐車枠検知部21より出力された目標駐車枠位置を変更することができる。例えば、目標駐車枠位置への駐車を中止させることも、複数の空き駐車スペースの中から他の空き駐車スペースに変更することも可能である。
【0027】
図3は、車両V1を、空き駐車スペースに入れるときの走行経路を示す模式図である。図中のX1は、画像情報処理部20で認識した駐車空間を表す。また、R1は走路を表す。
図3における走路R1は、駐車スペースの車両前後方向に対して垂直(直交する方向)に設定されている。尚、本実施形態における、走路R1の方向は、駐車スペースに対してどういった方向でもよく、方向は問われない。目標駐車枠検知部21が出力する目標駐車枠位置は、第1枠線W1と第2枠線W2のそれぞれの座標と長さを含む。座標は、駐車空間X1上の2次元座標である。図中の第1枠線W1と第2枠線W2は、車両V1が、例えば初期位置p1の位置で検知した例を示す。
【0028】
目標駐車位置設定部22は、第1枠線W1上の点と、第2枠線W2上の点とを結んだ直線L上に駐車目標を設定する。
図3は、駐車目標p3に、車両V1のリア側の車輪の端部(後輪の後端)の位置を合わせた例を示す。なお、駐車目標p3に、車両V1上のどの位置を合わせるかは、第1・第2枠線W1,W2の長さや駐車方式(後退又は前進)によって異なる。また、駐車目標p3の第1・第2枠線W1,W2上のそれぞれを結ぶ直線Lを引き出す点も異なる。その異なる例については後述する。なお、駐車目標p3に、車両V1上のどの位置を合わせるかは、車両V1の後輪のどの位置を合わせてもよく、後端、車輪の中央、車輪中央から所定の位置など、設定するようにしてもよい。
【0029】
駐車開始位置設定部23は、目標駐車枠検知センサ10で撮像した画像から、初期位置p1、駐車開始位置p2、及び駐車目標p3を設定する。駐車開始位置p2は、車両V1を駐車目標p3へ誘導するための切り返し位置であり、以降切り返し位置p2と称する。
【0030】
現在位置推定部24は、目標駐車枠検知センサ10で撮像された白線(第1枠線W1、第2枠線W2)、物体認識結果、及び車両V1の相対位置関係から車両V1の現在の位置を推定する。
【0031】
駐車支援演算部30(
図2)は、駐車経路生成部31、駐車経路追従制御部32、操舵角制御部33、目標速度生成部34、及び速度制御部35を備える。
【0032】
駐車経路生成部31は、車両V1の現在の位置(例えば初期位置p1)、切り返し位置p2、及び駐車目標p3から、車両V1を駐車目標p3に移動させる駐車経路を生成する。駐車経路は、車両V1が障害物と干渉せずに駐車目標p3まで移動可能な経路である。
【0033】
駐車経路追従制御部32は、駐車経路と車両V1の現在の位置とから、車両V1を駐車目標p3まで移動させるのに必要な目標操舵角を生成する。
【0034】
操舵角制御部33は、目標操舵角に対応させてステアリング舵角を制御する舵角制御信号を生成する。
【0035】
目標速度生成部34は、駐車経路と車両V1の現在の位置とから、車両V1を移動させる目標速度を生成する。
【0036】
速度制御部35は、車両V1の車速が目標速度になるように制御する速度制御信号を生成する。
【0037】
以上述べた駐車経路追従制御部32、操舵角制御部33、目標速度生成部34、及び速度制御部35は、例えばデッドレコニング手法に基づいて舵角制御信号と速度制御信号を生成するようにしてもよい。デッドレコニング手法とは、極低速、且つ前輪操舵車において、後輪車軸中心の走行距離と前輪操舵角との関係に基づいて、車両の位置及び姿勢を推定する方法であり、駐車動作等の限られた区間を走行する場合に有用な手法である。
【0038】
車両制御ECU40は、舵角制御信号と速度制御信号に基づいて、車両V1の駆動と制動、及び操舵を制御するアクチュエータ50の駆動を制御する。駐車経路生成部31で生成した駐車経路に沿って車両V1が移動するようにステアリング舵角と速度を制御すれば、車両V1上の特定の位置を、駐車目標P3に合わせて駐車させることができる。
【0039】
図4は、車両V1を、前進駐車で空き駐車スペースに入れるときの走行経路を示す模式図である。
図4では、駐車目標p3に合わせる車両V1上の位置が、例えば車両V1のフロントの車輪の端部(前輪の前端)に設定されている。よって、車両V1の前輪の位置は、第1枠線W1の車両V1が進入する方向奥側の端部と対を成す第2枠線の車両V1が進入する方向奥側の端部とを結んだ直線L上に、合うように駐車制御が行われる。なお、駐車目標p3に、車両V1上のどの位置を合わせるかは、車両V1の前輪のどの位置を合わせてもよく、後端、車輪の中央、車輪中央から所定の位置など、設定するようにしてもよい。
【0040】
このように後退駐車と前進駐車(駐車方式)で、駐車目標p3に合わせる車両V1上の位置が変化する。また、駐車目標p3が設定される第1枠線W1と第2枠線W2を結ぶ直線Lの位置も変化する。その具体例については後述する。
【0041】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る駐車制御装置100の作用を、
図5に示すフローチャートと
図3を参照して説明する。
【0042】
駐車空間X1上の初期位置p1を、低速で移動、若しくは停車している車両V1は、空き駐車スペースを探索する(ステップS1)。車両V1の目標駐車枠検知センサ10が、空き駐車スペースを検知すると(ステップS2のYES)、画像情報処理部20は駐車方式と目標駐車枠位置を決定する(ステップS3)。
【0043】
駐車方式と目標駐車枠位置は、画像情報処理部20が自動で決定しても良いし、入力インターフェース51からの操作入力によって決定してもよい。
【0044】
駐車支援演算部30は、画像情報処理部20が生成する初期位置p1、切り返し位置p2、及び駐車目標p3から、車両V1を駐車目標p3まで移動させる駐車経路を生成する(ステップS4)。そして、駐車制御を開始する(ステップS5)。
【0045】
駐車支援演算部30は、車両V1の位置を、切り返し位置p2に到達するように、舵角制御信号と速度制御信号を変化させる(ステップS6のNO)。
【0046】
車両V1の位置が切り返し位置p2に到達すると(ステップS6のYES)、車両制御ECU40は、シフトポジションをRレンジに切り替える(ステップS7)。
【0047】
シフトポジションがRレンジに切り替えられると、駐車制御装置100は、検知中の第1枠線W1と第2枠線W2を検知し直して、駐車目標p3を設定し直す(ステップS9)。
【0048】
そして、駐車制御装置100は、駐車目標p3に、車両V1上の位置が一致するように舵角制御信号と速度制御信号のそれぞれを制御する(ステップS10)。このステップS9~S10の処理は、車両V1上の位置が駐車目標p3に到達するまで繰り返される(ステップS11のNO)。
【0049】
このステップS9~S10の処理は、例えば、目標駐車枠検知センサ10が1つの画像を撮像するフレームレートの単位で行われる。つまり、駐車目標p3に車両V1を誘導する舵角制御信号と速度制御信号は、リアルタイムで設定される。
【0050】
リアルタイムで制御される舵角制御信号と速度制御信号によって、車両V1上の位置が駐車目標p3に到達すると(ステップS11のYES)、シフトポジションがPレンジに切り替えられ、駐車支援制御は終了する(ステップS12)。
【0051】
次に、駐車経路と車両V1の走行経路との間に生じる差を少なくするリアルタイム制御について説明する。駐車経路と走行経路との間に生じる差の要因として、「A:車両停止時に生じる空走距離」、「B:舵角の追従遅れ」、「C:舵角の定常偏差」、「D:目標駐車枠検知センサ10の検出誤差」の4つがある。これらのそれぞれの影響を小さくする方法について詳細に説明する。
【0052】
「A:車両停止時に生じる空走距離」
駐車経路に沿って車両V1を走行させるための、走行位置に対する速度制御信号の変化を
図6に示す。
図6Aの横軸は車両V1の位置、縦軸は車両V1の目標速度q1(実線)、及び実速度q2(破線)である。横軸に示すp1は、
図3に示す初期位置p1に対応し、p2は切り返し位置p2に対応し、p3は駐車目標p3に対応している。
【0053】
目標速度q1は、初期位置p1から切り返し位置p2に向かう経路(
図3のx0)において、前進方向の目標速度が設定されている。また、切り返し位置p2から駐車目標p3に向かう経路(
図3のx1)において、後退方向の目標速度が設定されている。目標速度q1は、車両V1の位置に応じて目標速度がランプ状に変化するパターンとしている。
【0054】
図6Aに示すように、初期位置p1から切り返し位置p2に向かうときには、目標速度q1に追従して実速度q2が変化する。しかし、切り返し位置p2にて停止するときには、目標速度q1に追従できない場合があり、車両V1が空走する。つまり、車両V1が切り返し位置p2に達したときに、実速度q2はゼロとならずに空走するので、空走距離(「L1」)だけ通り過ぎた位置p21で実速度q2がゼロになる。空走距離L1は、舵角センサ53の検出データに基づいて算出することができる。
【0055】
車両V1が空走することにより、切り返し位置p2を通り過ぎた位置p21で車両V1が停止する。したがって、この空走距離L1を補正せずに車両V1を後退させると、駐車経路x1に沿って車両V1が後退して駐車目標p3に到達すべきところが、駐車経路x1と異なる経路x2に沿って後退してしまい、駐車目標p3と異なる位置p31に到達してしまう。
【0056】
そこで、空走距離L1に基づいて、車両V1が後退するときの目標速度q1を修正し、
図6Bに示すように、修正目標速度q1aを設定する。修正目標速度q1aは、後退時の距離が空走距離L1だけ長くなるように速度を設定する。修正目標速度q1aを設定することにより、空走距離L1で生じた駐車経路と走行経路のずれを補正することができ、車両V1を駐車目標p3に到達させることができる。
図6B中のq2aは、修正目標速度q1aに対する実速度q2aである。
【0057】
図7は、以上述べた説明を平面視で示す図である。車両V1の停止時に空走距離L1が生じた場合でも、空走距離L1と同じ距離だけ車両V1を後退させた後、つまり、位置p21から切り返し位置p2に戻した後に、車両V1の後退を本来の制御信号で制御するので、車両V1を駐車目標p3の位置に駐車させることができる。なお、車両V1が位置p21から切り返し位置p2に戻るときの舵角は、空走時の舵角と同一の舵角とする。
【0058】
「B:舵角の追従遅れ」
次に、車両V1の舵角制御について説明する。
図8Aは、車両V1の位置に対する舵角の変化を示すグラフであり、曲線q11は、駐車経路に沿って車両を走行させるときの目標操舵角を示し、曲線q12は実舵角を示している。目標操舵角を示す曲線q11は、クロソイドをベースとした操舵パターンであり、舵角変化量の傾きはステアリングアクチュエータの動作限界を考慮した値となるように設定する。そして、車両V1の舵角を制御するときに目標舵角q11を設定すると、舵角系のダイナミクスによりある程度の遅れをもって追従することになる。つまり、実舵角q12は目標操舵角q11に対して若干ずれた位置にて設定されることになる。
【0059】
その結果、
図9に示すように、初期位置p1から切り返し位置p2に向かうときに、舵角制御が遅れしまい、走行経路の曲率半径が大きくなる。具体的には、経路x3を走行して、位置p22で停止することになり、切り返し位置p2に対して距離L2だけずれた位置となってしまう。そして、この位置p22から車両V1を後退させると、経路x4に沿って後退することになり、位置p32で停止することになる。即ち、車両V1を駐車目標p3に停止させることができない。
【0060】
本実施形態では、
図8Bに示すように、舵角の追従遅れを考慮して、予め舵角制御のタイミングが若干早くなるように設定する。即ち、目標操舵角q11に対して、より手前の位置で舵角が変化するように修正した修正目標操舵角q13を設定する。そして、この修正目標操舵角q13を用いて車両V1の走行を制御することにより、目標操舵角q11とほぼ一致する実舵角を得ることができる。従って、
図9に示す目標経路x0に沿って車両V1を切り返し位置p2に到達させることができ、更に、駐車経路x1に沿って駐車目標p3に車両V1を移動させることができる。
【0061】
「C:舵角の定常偏差」
車両V1の舵角制御では、上述した追従遅れ以外に、舵角の定常偏差により目標操舵角と実舵角との間にずれが生じる場合がある。以下、
図10を参照して説明する。
図10Aは、車両V1の位置に対する目標操舵角q21の変化、及び定常偏差が発生しているときの実舵角q22の変化を示すグラフである。なお、
図10では、舵角の追従遅れについては考慮していない。
【0062】
符号y1に示すように、定常偏差が発生することにより、実舵角q22は目標操舵角q21に対して増大している。従って、車両V1が切り返し位置p2から後退するときに駐車経路x1に沿って後退させることができない。
【0063】
本実施形態では、定常偏差が発生する位置においては、定常偏差を考慮して目標操舵角q21を修正して、
図10Bに示す修正目標操舵角q32を設定する。このような設定により、定常偏差が発生した場合でも、これに起因する舵角のずれ量を見越して目標舵角が修正されるので、目標操舵角とほぼ一致する実舵角を得ることができる。従って、車両V1を高精度に駐車経路x0、x1に沿って移動させ、駐車目標p3に駐車させることができる。
【0064】
「D:目標駐車枠検知センサ10の検出誤差」
目標駐車枠検知センサ10は空き駐車スペースを検出し、目標駐車位置設定部22により駐車目標を設定し、駐車経路生成部31により、設定された駐車目標までの経路を生成する。駐車目標が設定された時点において、駐車目標と車両V1の距離がある場合、駐車場の環境(例えば、雨、夜)が悪い場合、空き駐車スペースが駐車車両や障害物(例えば、駐車所の柱、壁)に囲まれている場合、など駐車目標の位置を誤って検出することがある。そのため、駐車目標に向けて駐車する過程で、新たな駐車目標を検出することがある。この場合、検出した新たな駐車目標に対する目標駐車経路を設定してリアルタイムに制御内容を調整することにより、真の駐車目標に近づけて駐車させることができる。
【0065】
[処理動作の説明]
次に、
図11に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る駐車制御装置100の処理手順について説明する。この処理は、予め設定した演算周期毎に実行される。
【0066】
初めに、ステップS20において、画像情報処理部20は、目標駐車枠検知センサ10で検出された情報に基づき、駐車空間X1を取得する。具体的には、
図3に示すように車両V1が走行可能な領域である駐車空間X1を取得する。
【0067】
ステップS21において、駐車経路生成部31は、車両を駐車するための切り返し位置p2、及び駐車目標p3を、駐車空間X1から逸脱しない範囲で設定する。更に、駐車経路生成部31は、駐車空間X1の領域内において、初期位置p1にある車両V1が、切り返し位置p2を経由して目標駐車位置p3に到達するまでの走行経路を設定する。その結果、
図3に示した駐車経路x0、x1が設定される。
【0068】
ステップS22において、駐車経路追従制御部32は、車両V1が
図3に示す駐車経路x0、x1に沿って走行するように、目標操舵角の補正量を算出する。この補正量は、駐車経路x0、x1により算出できるので、車両V1が初期位置p1から前進を開始する前の時点で設定することができる。その結果、
図8Bに示した修正目標操舵角q13、或いは
図10Bに示した修正目標操舵角q31が設定される。例えば、目標操舵角に対する実舵角の追従遅れが生じる場合には、修正目標操舵角q13を設定し、実舵角の定常偏差によるずれが生じる場合には、修正目標操舵角q31を設定する。また、双方の影響によるずれが生じる場合には、双方のずれ量を補正するための修正目標操舵角を設定する。
【0069】
ステップS23において、速度制御部35より車速、及び操舵角制御部33より操舵角の制御指令が出力され、車両制御ECU40の制御により車両V1の自律的な駐車動作を開始する。従って、車両V1は、
図3に示した初期位置p1から駐車経路x0に沿って前進を開始する。
【0070】
ステップS24において、現在位置推定部24は、目標駐車枠検知センサ10で撮像した周囲の画像から、車両V1の位置を推定する。なお、車両V1の位置の推定に、車輪速センサ52及び舵角センサ53で検出された車速情報、及び操舵角情報を用いても良い。
【0071】
ステップS25において、駐車経路追従制御部32は、駐車経路x0と、現在位置推定部24で推定された自己位置とを比較して、ずれ量を算出する。例えば、車両が切り返し位置p2で停止する場合には、この切り返し位置p2で確実に停止するとは限らず、車両V1が空走して切り返し位置p2を超えた位置まで移動することが有る。駐車経路追従制御部32はこのときの双方のずれ量を算出する。具体的には、
図7に示した空走距離L1を算出する。
【0072】
ステップS26において、駐車経路追従制御部32及び目標速度生成部34は、補正の必要があるか否かを判断する。例えば、ずれ量が予め設定した閾値よりも小さい場合等には、ずれ量を補正しなくても、問題ないと判断できるので、ずれ量が閾値よりも大きい場合に、補正の必要有りと判断する。補正の必要が無いと判断された場合には(ステップS26でNO)、ステップS29に処理を進める。
【0073】
補正の必要があると判断した場合には(ステップS26でYES)、ステップS27において、駐車経路追従制御部32及び目標速度生成部34は、補正量を算出する。この処理では、ステップS22の処理で設定した舵角の補正量、及び、ステップS25の処理で算出した空走距離L1(ずれ量)を補正量とする。なお、舵角の補正量及び空走距離L1による補正量は、リアルタイムに設定してもよい。
【0074】
ステップS28において、操舵角制御部33及び速度制御部35は、算出された補正量に基づいて車両V1の動作を補正した車速制御信号を生成して車両制御ECU40に出力する。例えば、
図7に示したように、空走距離L1だけずれた位置p21に車両V1が停止した場合には、この空走距離L1と同一で逆向きの距離だけ移動するように、車両V1の制御信号を補正する。従って、車両V1が位置p21から切り返し位置p2に移動した後に、本来の後退制御が実施されることになる。更に、舵角の補正量に基づいて、目標操舵角を補正する。
【0075】
ステップS29において、車両制御ECU40による車両の誘導制御が実施される。その結果、車両V1は、駐車経路x0、x1に沿って走行することになり、駐車目標p3に確実に停止させることができる。
【0076】
このようにして本実施形態に係る駐車制御装置100では、車両の現在位置と目標経路における位置とのずれ量を算出し、このずれ量を低減するように、目標速度と目標操舵角を補正するので、車両V1上の位置を高精度に駐車目標p3に合わせて駐車させることができる。
【0077】
〔駐車目標p3の具体例〕
本実施形態に係る駐車支援方法は、空き駐車スペースの車幅方向と直交する方向の第1枠線W1及び第1枠線W1と対となる第2枠線W2を検出し、第1枠線W1上の点と、第2枠線W2上の点とを結んだ直線上に駐車目標p3を設定する。この駐車目標p3の位置は、第1・第2枠線W1,W2の長さ等で変化する。次に、その具体例について説明する。
【0078】
図12は、駐車目標p3を設定する処理(
図5:ステップS9)の詳細なフローチャートである。駐車制御装置100は、駐車制御を開始すると、空き駐車スペースの第1枠線W1と第2枠線W2を探索する(ステップS90)。第1・第2枠線W1,W2が検出出来ない場合は、枠線を利用した駐車支援制御を中止する。この場合は、従来の一般的な駐車制御を実行する。
【0079】
空き駐車スペースの第1枠線W1と第2枠線W2が検出できた場合(ステップS90のYES)、第1枠線W1と第2枠線W2の端部同士を結ぶ直線と、第1枠線W1又は第2枠線W2とが成す角度が直角に近いか否かを判定する(ステップS91)。
【0080】
該直線と、第1枠線W1又は第2枠線W2とが成す角度が直角に近い場合(ステップS91のYES)、次に、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)の全長より長いか否かを判定する(ステップS92)。
【0081】
(枠線の長さ>車両長)
図13は、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)の全長より長い場合(ステップS92のYES)の駐車スペースと車両V1を平面視した図である。この場合、第1枠線W1の自車両が進入する方向手前側の端部と、第2枠線W2の自車両が進入する方向手前側の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3が設定される。
【0082】
図13Aは後退駐車の場合であり、この場合は自車両が進入する手前側の第1・第2枠線W1,W2の端部同士を結ぶ直線L上に駐車目標p3が設定され、その駐車目標p3に、自車両の進行方向と反対側の端部(フロント先端部)が一致するように駐車制御が実行される(ステップS94)。
【0083】
図13Bは前進駐車の場合である。この場合も駐車目標p3は、自車両が進入する手前側の第1・第2枠線W1,W2の端部同士を結ぶ直線L上に設定される。そしてその駐車目標p3に、自車両の進行方向と反対側の端部(リア先端部)が一致するように駐車制御が実行される(ステップS94)。
【0084】
これにより車両V1は、後退駐車と前進駐車のどちらの場合でも、自車両が進入する手前側の第1枠線W1と第2枠線W2の端部同士を結んだ直線Lから、飛び出さない。つまり、車両V1を枠線内に駐車させることができる。
【0085】
(枠線の長さ<ホイルベース_(1))
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)の全長より短い場合(ステップS92のNO)は、次に、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより長いか否かを判定する(ステップS95)。
【0086】
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合(ステップS95のYES)、次に、第1・第2枠線W1,W2の長さが所定の長さ以上か否かを判定する(ステップS96)。
【0087】
所定の長さとは、例えば50cm程度の長さである。第1・第2枠線W1,W2の長さが、例えば50cm以上で且つホイルベースよりも短い場合(ステップS96のYES)の枠線は、駐車スペースの車両V1の幅方向のみを表記し、駐車スペースの奥行き方向の中央部分に描かれる場合が多い。
【0088】
図14は、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)のホイルベースより短い場合(ステップS95のYES)の駐車スペースと車両V1を平面視した図である。この場合、第1枠線W1の中心と、第2枠線の中心とを結んだ直線L上に駐車目標p3を設定する(ステップS97)。
【0089】
図14Aは、後退駐車の場合であり、この場合は第1枠線W1と第2枠線W2のそれぞれの中心を結ぶ直線L上に駐車目標p3が設定される。そして、その駐車目標p3と、自車両の中心の位置とが一致するように駐車制御が実行される(ステップS98)。この場合、自車両の進入する方向手前側に車両V1のフロントが位置する。
【0090】
図14Bは、前進駐車の場合である。この場合も駐車目標p3は、第1枠線W1と第2枠線W2のそれぞれの中心を結ぶ直線L上に設定される。そして、その駐車目標p3の位置と、自車両の中心の位置とが一致するように駐車制御が実行される(ステップS98)。この場合、自車両の進入する方向手前側に車両V1のリアが位置する。
【0091】
これにより、車両V1の第1枠線W1と第2枠線W2からはみ出す長さは、フロント側とリア側で同じ長さになる。よって車両V1を、第1・第2枠線W1,W2に対してバランスの良い位置に駐車させることができる。
【0092】
(枠線の長さ<ホイルベース_(2))
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)の全長より短い場合(ステップS92のNO)は、次に、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより長いか否かを判定する(ステップS95)。
【0093】
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合(ステップS95のYES)、次に、第1・第2枠線W1,W2の長さが所定の長さ以上か否かを判定する(ステップS96)。
【0094】
所定の長さとは、例えば50cm程度の長さである。第1・第2枠線W1,W2の長さが、例えば50cm以上で且つホイルベースよりも短い場合(ステップS96のYES)の枠線は、駐車スペースの車両V1の幅方向のみを表記する場合がある。
【0095】
この場合、第1枠線W1の端部と、第2枠線の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3を設定する(ステップS97)。
【0096】
そして、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、自車両の車輪の位置を第1枠線W1の端部と、第2枠線の端部とを結んだ直線L上に設定した駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。
【0097】
これにより、車両V1の第1枠線W1と第2枠線W2からのはみ出しを、フロント側とリア側とで分けることができるため、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0098】
また、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が後退駐車の場合は、自車両の後輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。この場合、自車両の進入する方向手前側に車両V1のフロントが位置する。
【0099】
これにより、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、自車両の後輪の位置が駐車目標p3に合うように制御するため、車両V1の第1枠線W1と第2枠線W2からのはみ出しを、フロント側とリア側とで分けることができるため、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0100】
加えて、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が後退駐車の場合は、自車両の後輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行することができるため、後退駐車において、車両V1を、第1・第2枠線W1,W2に対してバランスの良い位置に駐車させることができる。
【0101】
また、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が前進駐車の場合も、自車両の前輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。この場合、自車両の進入する方向手前側に車両V1のリアが位置する。
【0102】
これにより、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、自車両の前輪の位置が駐車目標p3に合うように制御するため、車両V1の第1枠線W1と第2枠線W2からのはみ出しを、フロント側とリア側とで分けることができるため、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0103】
また、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1のホイルベースより短い場合おいて、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が前進駐車の場合は、自車両の前輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行することができるため、前進駐車において、車両V1を、第1・第2枠線W1,W2に対してバランスの良い位置に駐車させることができる。
【0104】
(ホイルベース<枠線の長さ<車両長)
【0105】
図15は、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)のホイルベースよりも長く且つ車両V1の全長よりも短い場合(ステップS95のNO)の駐車スペースと車両V1を平面視した図である。この場合、第1枠線W1の自車両が進入する方向奥側の端部と、第2枠線の自車両が進入する方向奥側の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3が設定される(ステップS99)。
【0106】
図15Aは、後退駐車の場合であり、この場合は自車両が進入する方向奥側の端部同士を結ぶ直線L上に駐車目標p3が設定され、その駐車目標p3に、自車両の進行方向の車輪の位置が一致するように駐車制御が実行される(ステップS100の前段)。この場合、自車両の進入する方向奥側の後輪の位置と、駐車目標p3とが一致するように駐車制御が実行される(ステップS100)。
【0107】
図15Bは、前進駐車の場合である。この場合も駐車目標p3は、自車両が進入する方向奥側の端部同士を結ぶ直線L上に設定される。そして、その駐車目標p3と、自車両の進入する方向奥側の前輪の位置と、駐車目標p3とが一致するように駐車制御が実行される(ステップS100の前段)。
【0108】
これにより車両V1は、第1枠線W1と第2枠線W2の自車両が進入する方向奥側の端部にタイヤの端部を合わせて駐車させられる。よって、枠線の奥側に段差や溝が有った場合でも、車両V1をその手前に駐車させることができる。
【0109】
また、車両V1の駐車スペースからはみ出る量(長さ)を適切に設定することができる。よって、車両V1を、駐車スペースの適切な位置に駐車させることができる。
【0110】
(枠線の長さ<車両長)
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1(自車両)の全長より短いか否かを判定する。
【0111】
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長より短い場合、第1枠線W1の端部と、第2枠線の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3を設定する(ステップS97)。
【0112】
第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、自車両の車輪の位置を第1枠線W1の端部と、第2枠線の端部とを結んだ直線L上に設定した駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。
【0113】
これにより、フロントもしくはリア側のはみ出しにより、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0114】
また、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が後退駐車の場合は、自車両の後輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。この場合、自車両の進入する方向手前側に車両V1のフロントが位置する。
【0115】
これにより、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、自車両の後輪の位置が駐車目標p3に合うように制御するため、車両V1の第1枠線W1と第2枠線W2からのはみ出しを、フロント側とリア側とで分けることができるため、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0116】
加えて、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が後退駐車の場合は、自車両の後輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行することができるため、後退駐車において、車両V1を、第1・第2枠線W1,W2に対してバランスの良い位置に駐車させることができる。
【0117】
また、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が前進駐車の場合も、自車両の前輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。この場合、自車両の進入する方向手前側に車両V1のリアが位置する。
【0118】
これにより、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、自車両の前輪の位置が駐車目標p3に合うように制御するため、車両V1の第1枠線W1と第2枠線W2からのはみ出しを、フロント側とリア側とで分けることができるため、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0119】
また、第1・第2枠線W1,W2の長さが車両V1の全長よりも短い場合に、空き駐車スペースに対する自車両の駐車方向を判定し、自車両の駐車方向が前進駐車の場合は、自車両の前輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行することができるため、前進駐車において、車両V1を、第1・第2枠線W1,W2に対してバランスの良い位置に駐車させることができる。
【0120】
(枠線の端部のみ)
駐車スペースを明示する枠線は、時間経過に伴って薄くなり最後は消失する。その過程において、枠線の端部のみが残る場合がある。次に、その場合の駐車目標p3について説明する。
【0121】
この場合は、枠線<ホイルベース(ステップS95のYES)で、且つ枠線が所定の長さ以下(ステップS96のNO)に対応する。
【0122】
図16は、第1・第2枠線W1,W2の車両V1が進入する方向奥側の端部のみが残る駐車スペースと車両V1を平面視した図である。この場合、第1枠線W1の自車両が進入する方向奥側の端部と、第2枠線の自車両が進入する方向奥側の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3が設定される(ステップS99)。
【0123】
つまり、第1枠線W1の自車両が進入する方向奥側の端部と対を成す第2枠線W2の自車両が進入する方向奥側の端部が検出できる場合に、第1枠線の端部と第2枠線の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3を設定し、自車両の空き駐車スペースへ進入する方向奥側の車輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する(ステップS100の前段)。なお、これにより、リア側のはみ出しにより、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0124】
【0125】
図17は、第1・第2枠線W1,W2の車両V1が進入する方向手前側の端部のみが残る駐車スペースと車両V1を平面視した図である。この場合、第1枠線W1の自車両が進入する方向奥側の端部と、第2枠線の自車両が進入する方向奥側の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3が設定される(ステップS99)。
【0126】
この場合は、第1枠線W1の自車両が進入する方向手前の端部と対を成す第2枠線W2の自車両が進入する方向手前側の端部が検出できる場合に、第1枠線の端部と第2枠線の端部とを結んだ直線L上に駐車目標p3を設定し、自車両の空き駐車スペースへ進入する方向手前側の端部の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する(ステップS100の後段)。なお、これにより、フロント側のはみ出しにより、フロント側とリア側の何れかで大きくはみ出ることを抑制することができる。
【0127】
(第1枠線W1と第2枠線枠線W2の長さが異なる)
駐車スペースを明示する第1枠線W1と第2枠線W2は、同じ形状で表記されるとは限らない。例えば、走路R1が斜めの場合や駐車スペースが異形の場合は、第1枠線W1と第2枠線W2の長さが異なる場合がある。また、一方の枠線の端部が時間経過でより多く消失した場合も第1枠線W1と第2枠線W2の長さは異なることになる。また、センサにより枠線の一部が検出できない場合がある。
【0128】
図18は、第1枠線W1と第2枠線W2の長さが異なる場合の駐車スペースと車両V1を平面視した図である。この例は、第1枠線W1の車両V1の進入する方向手前の端部が、該端部と対となる第2枠線W2の端部よりも多く消失し、第1枠線W1の長さが第2枠線W2よりも短くなった場合を示す。
【0129】
図18に示す例では、第1枠線W1の端部と対を成す第2枠線W2の端部を結んだ直線Lと、第1枠線W1又は第2枠線W2と成す角度が、直角でなくなる(ステップS91のNO)。また、車両V1の進入する方向奥側の第1枠線W1と第2枠線W2の端部同士を結んだ直線Lと、第1枠線W1又は第2枠線W2と成す角度が直角であるか、又は直角に近い。
【0130】
この場合、車両V1の進入する方向奥側の直線L上に駐車目標p3が設定される。つまり、第1枠線W1の端部と対を成す第2枠線W2の端部を結んだ直線Lと、第1枠線W1又は第2枠線W2と成す角度が、直角に近い直線L上に駐車目標p3が設定される(ステップS101)。
【0131】
そして該駐車目標p3に、自車両の空き駐車スペースへ進入する方向奥側の車輪の位置を合わせるように駐車制御を実行する(ステップS102の前段)。後退駐車の場合は、車両V1の後輪の端部(リア側)を、駐車目標p3に合わせて駐車させられる。また、前進駐車の場合は、車両V1の前輪の端部(フロント側)を、駐車目標p3に合わせて駐車させられる。
【0132】
これにより、車両V1は、直角に近い直線上に駐車目標p3を設定するため、車両V1を空き駐車スペース内により多く駐車させることができる為、フロント側もしくはリア側のはみ出し量を抑制することができる。
【0133】
また、第1枠線W1と第2枠線W2の自車両が進入する方向奥側の端部に、自車両の空き駐車スペースへ進入する方向奥側の車輪の位置を合わせて駐車させられる。この効果は、上記の「ホイルベース<枠線の長さ<車両長(
図15)」の場合と同じである。
【0134】
また、車両V1の進入する方向手前側の第1枠線W1と第2枠線W2の端部同士を結んだ直線Lと、第1枠線W1又は第2枠線W2と成す角度が直角であるか、又は直角に近い場合(図示せず)、駐車目標p3は、車両V1の進入する方向手前側の直線L上に設定されるステップ(S101)。
【0135】
そして該駐車目標p3に、自車両の空き駐車スペースへ進入する方向手前側の端部の位置を合わせるように駐車制御を実行する(ステップS102の後段)。後退駐車の場合は、車両V1のリア側の端部を、駐車目標p3に合わせて駐車させられる。また、前進駐車の場合は、車両V1のフロント側の端部を、駐車目標p3に合わせて駐車させられる。これにより車両V1は、第1枠線W1と第2枠線W2の自車両が進入する方向手前側の端部に、車両の端部を合わせて駐車させられる。
【0136】
これにより、車両V1は、第1枠線W1と第2枠線W2の自車両が進入する方向手前側の端部に、自車両の空き駐車スペースへ進入する方向手前側の端部の位置を合わせて駐車させられる。この効果は、上記の「枠線の長さ>車両長(
図13)」の場合と同じである。
【0137】
また、第1枠線W1と第2枠線W2の長さの差を検出し、長さの差が予め定めた所定値(例えば、50cm)以上の場合に、第1枠線W1の端部と対を成す第2枠線W2の端部を結んだ直線Lと、第1枠線W1又は第2枠線W2と成す角度が、直角に近い直線L上に駐車目標p3を設定することができる。
【0138】
第1枠線W1と第2枠線W2の長さの差が予め定めた所定値以上の場合は、フロント側とリア側の何れかで、車両V1が大きくはみ出す可能性があるが、第1枠線W1と第2枠線W2の長さの差を検出し、長さの差が予め定めた所定値(例えば、50cm)以上の場合に、第1枠線W1の端部と対を成す第2枠線W2の端部を結んだ直線Lと、第1枠線W1又は第2枠線W2と成す角度が、直角に近い直線L上に駐車目標p3が設定することができるため、フロント側もしくはリア側のはみ出しを抑制することができる。
【0139】
以上述べたように本実施形態に係る駐車支援方法によれば、空き駐車スペースの車幅方向と直交する方向の第1枠線W1及び第1枠線W1と対となる第2枠線W2を検出し、第1枠線W1上の点と、第2枠線W2上の点とを結んだ直線L上に駐車目標p3を設定し、自車両の車輪の位置を駐車目標p3に合わせるように駐車制御を実行する。これにより、車両を空き駐車スペースの適切な位置に駐車させることができる。
【0140】
また、第1枠線上の端部と、第2枠線上の端部とを結んだ直線上に駐車目標を設定し、自車両の車輪の位置を駐車目標に合わせるように前記駐車制御を実行する。これにより、車両Vのはみ出しを、フロント側もしくはリア側で決めることができるため、フロント側もしくはリア側で大きくはみ出すことを抑制することができる。
【0141】
また、車両V1が切り返し位置p2で停止する際の空走距離L1を測定し、この空走距離L1をずれ量とし、このずれ量を低減するように目標速度を補正するので、空走距離が発生した場合でも、車両V1を高精度に駐車目標p3に駐車させることができる。
【0142】
更に、切り返し位置p2で停止する際の空走距離L1と同一距離だけ、車両V1を後退させ、その後駐車経路x1に沿って車両V1を後退させるので、車両V1が切り返し位置p2で空走した場合でも、このずれ量を補って、駐車経路x1に沿った車両の移動が可能となる。
【0143】
また、空走距離L1と同一距離だけ車両V1を後退させる場合には、空走距離L1を前進したときと同一の舵角に設定するので、確実に空走距離L1を補うことが可能になる。
【0144】
更に、目標操舵角に対する実舵角の追従遅れによる車両V1の現在位置と目標経路における位置との間に生じるずれ量を推定し、このずれ量を低減するように、目標操舵角を補正するので、舵角の追従遅れが生じた場合でも確実に車両を駐車経路x0、x1に沿って移動させることができる。
【0145】
また、目標操舵角に対する実舵角の定常偏差による車両V1の現在位置と目標経路における位置との間に生じるずれ量を推定し、このずれ量を低減するように、目標操舵角を補正するので、定常偏差が生じる場合でも確実に車両を駐車経路x0、x1に沿って移動させることができる。したがって、車両を駐車スペースの適切な位置に駐車させることができる。
【0146】
空き駐車スペースにおいて輪留めを検出し、輪留めを検出した場合は、自車両の車輪の位置を輪留めに合わせるように駐車制御を実行させることができる。これにより、輪留めがある場合は、輪留めに合わせて駐車させることができる為、車両V1を空き駐車スペース内の適切な位置に駐車させることができる。
【0147】
本実施形態に係る駐車制御装置100は、駐車経路生成部31で設定した駐車経路に沿って車両が駐車目標p3に到達するように自動で運転を制御するインテリジェントパーキングアシストに用いることができる。
【0148】
また、例えば、上述した構成に対し車両V1の現在位置を明示する図形や駐車目標p3、及び切り返し位置p2を表す図形、初期位置p1や切り返し位置p2での舵角を指示する情報等といったように、運転者が駐車時の運転操作を行う上で有用な各種支援情報を表示する支援情報表示機能を付加した構成とすれば、運転者がより操作し易いように支援することができる。また、車両V1に搭載されているスピーカを用いて、車両V1が駐車経路x0、x1に沿って移動するように、操舵方向、操舵量等をガイドする音声案内を行うようにすれば、よりきめ細かな駐車支援が可能となる。
【0149】
以上、本発明の駐車支援方法及び駐車制御装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。例えば、上記した実施形態では、車両を並列駐車する例について説明したが、縦列駐車についても適用することができる。また、自動車に限らず、移動体であれば適用することが可能である。
【0150】
また、上述した実施形態の各機能部は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含んでも良い。
【0151】
また、本発明の駐車支援方法は、自車両の周囲に障害物が無い場合に実行される。例えば、目標駐車枠検知センサ10が、駐車経路上に障害物を発見した場合は、ただちに駐車支援制御が中止され、安全が最優先されることは言うまでも無いことである。
【符号の説明】
【0152】
10 目標駐車枠検知センサ
10a、10b、10c、10d カメラ
10e 枠線検知回路
20 画像情報処理部(目標位置設定回路)
21 目標駐車枠検知部
22 目標駐車位置設定部
23 駐車開始位置設定部
24 現在位置推定部
30 駐車支援演算部(車両制御回路)
31 駐車経路生成部
32 駐車経路追従制御部
33 操舵角制御部
34 目標速度生成部
35 速度制御部
40 車両制御ECU
50 アクチュエータ
51 入力インターフェース
52 車輪速センサ
53 舵角センサ