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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20220928BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20220928BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/28
B21F15/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021133898
(22)【出願日】2021-08-19
(62)【分割の表示】P 2016257453の分割
【原出願日】2016-12-29
(65)【公開番号】P2021193269
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 修
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-142814(JP,A)
【文献】特開2000-158381(JP,A)
【文献】特開平08-057167(JP,A)
【文献】実開昭55-175020(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/12
B65B 13/28
B21F 15/06
B25B 25/00
B26D 1/00- 1/24
B26B 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束物に巻かれるワイヤを送るワイヤ送り部と、
結束物に巻かれたワイヤを切断する切断部と、
結束物に巻かれたワイヤを捩じる結束部とを備え、
前記切断部は、ワイヤを挟んで切断する一対の刃部を備え、
一対の前記刃部の一方または両方に、ワイヤの一部の切断を残部に対して遅延させる遅延部を備え
前記刃部は、複数本のワイヤを切断可能であり、
前記遅延部は、前記刃部の切断方向に凹み、一対の前記刃部の間に挟まれた複数本のワイヤのうちの少なくとも1本のワイヤの切断を遅延させる凹部を備え、複数本のワイヤのうちの少なくとも1本のワイヤの切断を、他のワイヤに対して遅延させる
ことを特徴とする結束機。
【請求項2】
前記凹部は矩形状を呈する
ことを特徴とする請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記凹部は湾曲状を呈する
ことを特徴とする請求項1に記載の結束機。
【請求項4】
前記凹部は半円状を呈する
ことを特徴とする請求項に記載の結束機。
【請求項5】
結束物に巻かれるワイヤを送るワイヤ送り部と、
結束物に巻かれたワイヤを切断する切断部と、
結束物に巻かれたワイヤを捩じる結束部とを備え、
前記切断部は、ワイヤを挟んで切断する一対の刃部を備え、
一対の前記刃部の一方または両方に、ワイヤの一部の切断を残部に対して遅延させる遅延部を備え、
前記刃部は、複数本のワイヤを切断可能であり、
前記遅延部は、前記刃部の切断方向に対し、複数本のワイヤが並列する方向に沿った一端のワイヤが接触する側を他端のワイヤが接触する側より後退させ、複数本のワイヤのうちの少なくとも1本のワイヤの切断を、他のワイヤに対して遅延させる
ことを特徴とする結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。
【0003】
このような結束機では、長尺状のワイヤを鉄筋に巻き、鉄筋に巻いたワイヤを切断した後、ワイヤを捩じる構成である。このため、結束機にはワイヤを切断する機構が備えられ、摺接する一対の刃部の間にワイヤを挟み、ワイヤをせん断により切断する構成が提案さている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4016802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一対の刃部の相対移動でせん断によりワイヤを切断する構成を備えた従来の結束機では、ワイヤの切断時の負荷に対応してトルクの高いモータを使用する、駆動電流を増加させる等により対応していた。しかし、このような対応は、装置の大型化、消費電力の増大につながる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、ワイヤを切断する動作での負荷を軽減することが可能な結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、結束物に巻かれるワイヤを送るワイヤ送り部と、結束物に巻かれたワイヤを切断する切断部と、結束物に巻かれたワイヤを捩じる結束部とを備え、切断部は、ワイヤを挟んで切断する一対の刃部を備え、一対の刃部の一方または両方に、ワイヤの一部の切断を残部に対して遅延させる遅延部を備え、刃部は、複数本のワイヤを切断可能であり、遅延部は、刃部の切断方向に凹み、一対の刃部の間に挟まれた複数本のワイヤのうちの少なくとも1本のワイヤの切断を遅延させる凹部を備え、複数本のワイヤのうちの少なくとも1本のワイヤの切断を、他のワイヤに対して遅延させる結束機である。
【0008】
また、本発明は、結束物に巻かれるワイヤを送るワイヤ送り部と、結束物に巻かれたワイヤを切断する切断部と、結束物に巻かれたワイヤを捩じる結束部とを備え、切断部は、ワイヤを挟んで切断する一対の刃部を備え、一対の刃部の一方または両方に、ワイヤの一部の切断を残部に対して遅延させる遅延部を備え、刃部は、複数本のワイヤを切断可能であり、遅延部は、刃部の切断方向に対し、複数本のワイヤが並列する方向に沿った一端のワイヤが接触する側を他端のワイヤが接触する側より後退させ、複数本のワイヤのうちの少なくとも1本のワイヤの切断を、他のワイヤに対して遅延させる結束機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ワイヤの切断を開始するタイミングをずらすことができるので、従来と比較して負荷を軽減することができる。このように、ワイヤの切断時における負荷を軽減することで、従来と比較して、トルクの低いモータを使用すること、駆動電流を下げること等も可能となり、装置の小型化、低消費電力化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図である。
図2】本実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す側面から見た構成図である。
図3】ワイヤ送り部の一例を示す構成図である。
図4】ワイヤ送り部の一例を示す構成図である。
図5】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の一例を示す上面図である。
図6】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の一例を示す一部側断面図である。
図7】本実施の形態の切断部の一例を示す分解斜視図である。
図8】本実施の形態の切断部の一例を示す側面図である。
図9】結束部の一例を示す構成図である。
図10】結束部の一例を示す構成図である。
図11】ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。
図12】ワイヤを切断する動作の詳細を示す動作説明図である。
図13】ワイヤを切断する動作の詳細を示す動作説明図である。
図14】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図である。
図15】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図である。
図16】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図である。
図17】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図である。
図18】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図である。
図19】本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図である。
図20】本実施の形態の切断部の他の例を示す側面図である。
図21】実施の形態の切断部の他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0013】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図、図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す側面から見た構成図である。
【0014】
本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを一の方向である正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、他の方向である逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じって鉄筋SをワイヤWで結束する。
【0015】
このため、鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが収納される収納部であるマガジン2Aと、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aに送り込まれるワイヤWをガイドする第1のワイヤガイド4Aと、ワイヤ送り部3Aから送り出されるワイヤWをガイドする第2のワイヤガイド4Aを備える。
【0016】
更に、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカールガイド部5Aと、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを切断する切断部6Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7Aを備える。
【0017】
マガジン2Aはリール収納部の一例で、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束できるようにするため、リール20には2本のワイヤWが繰り出し可能に巻かれる。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。
【0018】
図3及び図4は、ワイヤ送り部の一例を示す構成図であり、次に、ワイヤ送り部3Aの構成について説明する。ワイヤ送り部3Aは、並列された2本のワイヤWを挟持して送る一対の送り部材として、回転動作でワイヤWを送る第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを備える。
【0019】
第1の送りギア30Lは、駆動力の伝達を行う歯部31Lを備える。歯部31Lは、本例では平歯車を構成する形状で、第1の送りギア30Lの外周の全周に形成される。また、第1の送りギア30Lは、ワイヤWが入る溝部32Lを備える。溝部32Lは、本例では断面形状が略V字形状の凹部で構成され、第1の送りギア30Lの外周の全周に、円周方向に沿って形成される。
【0020】
第2の送りギア30Rは、駆動力の伝達を行う歯部31Rを備える。歯部31Rは、本例では平歯車を構成する形状で、第2の送りギア30Rの外周の全周に形成される。また、第2の送りギア30Rは、ワイヤWが入る溝部32Rを備える。溝部32Rは、本例では断面形状が略V字形状の凹部で構成され、第2の送りギア30Rの外周の全周に、円周方向に沿って形成される。
【0021】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rを対向させて、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが、ワイヤWの送り経路を挟んで設けられる。
【0022】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを挟持するため、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが互いに近づくに押圧される。これにより、ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWを挟持する。本例では、第2の送りギア30Rを、第1の送りギア30Lに対して変位させる。
【0023】
そこで、ワイヤ送り部3Aは、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して接近及び離間させる方向に変位させる変位部材36を備える。変位部材36は、一方の端部側に第2の送りギア30Rが軸300Rにより回転可能に支持される。また、変位部材36は、ワイヤ送り部3Aの支持部材301に、他方の端部が軸36aを支点として回転可能に支持される。
【0024】
変位部材36は、図示しないバネにより押圧され、軸36aを支点とした回転動作で矢印V1方向に変位する。これにより、第2の送りギア30Rは、バネ38の力で第1の送りギア30L方向に押圧される。
【0025】
第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWが装填されている場合、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWが挟持される。
【0026】
また、ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWを挟持した状態で、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rが噛み合う。これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間で回転による駆動力が伝達される。
【0027】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの一方、本例では第1の送りギア30Lを駆動する原動機の一例である送りモータ33と、送りモータ33の駆動力を第1の送りギア30Lに伝達する駆動力伝達機構34を備える。
【0028】
駆動力伝達機構34は原動機駆動力伝達部の一例で、送りモータ33の軸に取り付けられた小ギア33aと、小ギア33aとかみ合う大ギア33bを備える。また、駆動力伝達機構34は、大ギア33bから駆動力が伝達され、第1の送りギア30Lとかみ合う送り小ギア34aを備える。小ギア33a、大ギア33b及び送り小ギア34aは、それぞれ平歯車で構成される。
【0029】
第1の送りギア30Lは、送りモータ33の回転動作が駆動力伝達機構34を介して伝達されて回転する。第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lの回転動作が歯部31Lと歯部31Rとの噛み合いにより伝達され、第1の送りギア30Lに従動して回転する。
【0030】
これにより、ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。2本のワイヤWを送る構成では、第1の送りギア30Lの溝部32Lと一方のワイヤWとの間に生じる摩擦力、第2の送りギア30Rの溝部32Rと他方のワイヤWとの間に生じる摩擦力、及び、一方のワイヤWと他方のワイヤWとの間に生じる摩擦力により、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0031】
ワイヤ送り部3Aは、送りモータ33の回転方向の正逆を切り替えることで、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0032】
次に、ワイヤWの送りをガイドするワイヤガイドについて説明する。図2に示すように、第1のワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの上流側に配置される。また、第2のワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下流側に配置される。
【0033】
第1のワイヤガイド4A及び第2のワイヤガイド4Aは、ワイヤWが通るガイド穴40Aを備える。ガイド穴40Aは、ワイヤWの径方向の位置を規制する形状を有する。2本のワイヤWを送る構成では、第1のワイヤガイド4A及び第2のワイヤガイド4Aは、2本のワイヤWを並列させて通る形状のガイド穴40Aが形成される。
【0034】
第1のワイヤガイド4A及び第2のワイヤガイド4Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間を通るワイヤWの送り経路L上にガイド穴40Aが設けられる。第1のワイヤガイド4Aは、ガイド穴40Aを通るワイヤWを、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間の送り経路Lに誘導する。
【0035】
第1のワイヤガイド4A及び第2のワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対してガイド穴40Aの上流側であるワイヤ導入部は、下流側に比べて開口面積が大きくした円錐形状または角錐形状等のテーパ状となっている。これにより、第1のワイヤガイド4A及び第2のワイヤガイド4Aに対するワイヤWの導入が容易になる。
【0036】
次に、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回すワイヤWの送り経路を構成するカールガイド部5Aについて説明する。カールガイド部5Aは、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50から送り出されたワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド51を備える。
【0037】
カールガイド50は、ワイヤWの送り経路を構成するガイド溝52と、ガイド溝52との協働でワイヤWに巻き癖をつけるガイド部材としての第1のガイドピン53a及び第2のガイドピン53bを備える。
【0038】
第1のガイドピン53aは、カールガイドにおいて第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの導入部側に設けられ、ガイド溝52によるワイヤWの送り経路に対して、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に配置される。第1のガイドピン53aは、ガイド溝52に沿って送られるワイヤWが、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に入り込まないように、ワイヤWの送り経路を規制する。
【0039】
第2のガイドピン53bは、カールガイド50において第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの排出部側に設けられ、ガイド溝52によるワイヤWの送り経路に対して、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に配置される。
【0040】
カールガイド部5Aは、第1のガイドピン53aを退避させる退避機構53を備える。退避機構53は、ワイヤWが鉄筋Sに巻き回された後、結束部7Aの動作と連動して変位し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けるタイミングの前に、第1のガイドピン53aをワイヤWが移動する経路から退避させる。
【0041】
誘導ガイド51は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置を規制する第1のガイド部54と、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った位置を規制する第2のガイド部55を備える。
【0042】
第1のガイド部54は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に、ワイヤWの送り方向に沿って延在する面による壁面54aが設けられる。第1のガイド部54は、鉄筋SにワイヤWが巻き回されるときに、壁面54aで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置を規制する。
【0043】
第2のガイド部55は、ワイヤWの導入側に設けられ、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った両側に、ループRuの径方向の内側に向けて壁面54aから立ち上がる面による壁面55aが設けられる。第2のガイド部55は、鉄筋SにワイヤWが巻き回されるときに、壁面55aで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った位置を規制する。
【0044】
これにより、カールガイド50から送り出されたワイヤWは、鉄筋Sに巻き回されるループRuの軸方向Ru1の位置が第2のガイド部55の壁面55aで規制され、第2のガイド部55で第1のガイド部54に誘導される。
【0045】
誘導ガイド51は、本例では、第1のガイド部54が鉄筋結束機1Aの本体部10Aに固定され、第2のガイド部55が、軸55bを支点として回転可能な状態で第1のガイド部54に支持される。第2のガイド部55は、カールガイド50から送り出されたワイヤWが入る導入側が、カールガイド50に対して離接する方向に開閉可能に構成される。これにより、鉄筋SをワイヤWで結束した後、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから抜く動作で第2のガイド部55を退避させて、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから抜く動作を容易にしている。
【0046】
次に、ワイヤWに巻き癖を付ける構成について説明する。第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWは、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側の2点と、この2点の間の内側の1点の少なくとも3点で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置が規制されることで、ワイヤWに巻き癖が付けられる。
【0047】
本例では、正方向に送らされるワイヤWの送り方向に対し、第1のガイドピン53aの上流側に設けられる第2のワイヤガイド4Aと、第1のガイドピン53aの下流側に設けられる第2のガイドピン53bの2点で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側の位置が規制される。また、第1のガイドピン53aで、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側の位置が規制される。
【0048】
図5は、本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の一例を示す上面図、図6は、本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の一例を示す一部側断面図、図7は、本実施の形態の切断部の一例を示す分解斜視図、図8は、本実施の形態の切断部の一例を示す側面図であり、次に、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6Aについて説明する。
【0049】
切断部6Aは、固定刃部60Aと、固定刃部60Aとの協働でワイヤWを切断する可動刃部61Aと、結束部7Aの動作を可動刃部61Aに伝達する伝達機構62Aを備える。
【0050】
固定刃部60Aは刃部の一例で、軸部600Aと、ワイヤWが通る開口601Aを備える。軸部600Aは円柱形状を有し、軸方向に沿った端部が図7及び図8に示す支持部材650に固定される。開口601Aは、軸部600Aを軸方向に対して直交する方向に貫通する。開口601Aは、2本のワイヤWが並列した状態で通ることが可能な形状を有する。開口601Aの断面形状は、本例では、2本のワイヤWが並列する方向に沿った長孔形状であり、長孔形状の長手方向が、軸部600Aの軸方向に沿った向きである。
【0051】
開口601Aは、矢印D1で示す正方向へのワイヤWの送りに対し、開口601Aの導入側の開口面積が広がるような例えばテーパ形状を有する。また、開口601Aは、矢印D2で示す逆方向へのワイヤWの送りに対し、開口601Aの導入側の開口面積が広がるような例えばテーパ形状を有する。これにより、固定刃部60Aの開口601Aに通されたワイヤWが正方向に送られる場合と逆方向に送られる場合のいずれも、開口601Aの導入側の端部にワイヤWが押し付けられて、送りの抵抗となることが抑制される。固定刃部60Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して第2のワイヤガイド4Aの下流側に設けられ、開口601Aが第3のワイヤガイドを構成する。
【0052】
可動刃部61Aは刃部の一例で、可動部本体610Aと、固定刃部60Aの軸部600Aに挿入される穴部611Aと、可動部本体610Aを軸部600Aに支持する軸支持部612Aと、固定刃部60Aの開口601Aを通るワイヤWを切断する可動刃613Aを備える。
【0053】
穴部611Aは、固定刃部60Aの軸部600Aの外形状に合わせた円形の開口で構成され、可動部本体610Aを貫通する。軸支持部612Aと可動刃613Aは、可動部本体610Aの一の面から、穴部611Aの内面の位置に合わせて穴部611Aの軸方向に沿って突出する。なお、可動刃部61Aの穴部611Aが固定刃部60Aの軸部600Aに挿入されて、固定刃部60Aに可動刃部61Aが取り付けられた状態では、固定刃部60Aの軸部600Aの軸方向と、可動刃部61Aの穴部611Aの軸方向は平行で略一致する。
【0054】
可動刃部61Aは、穴部611Aが固定刃部60Aの軸部600Aに挿入されると、軸部600Aを支点として固定刃部60Aに対して回転可能な状態で固定刃部60Aに取り付けられる。
【0055】
可動刃613Aは、可動刃部61Aの穴部611Aが固定刃部60Aの軸部600Aに挿入された状態で、固定刃部60Aの軸部600Aの外周面に沿う位置に設けられ、固定刃部60Aの軸部600Aの軸方向に沿って延在する。
【0056】
可動刃613Aは、固定刃部60Aの軸部600Aを支点とした可動刃部61Aの回転動作で、固定刃部60Aの開口601Aを開閉する方向へ、軸部600Aの周面に沿って円周方向に移動する。開口601Aに対する可動刃613Aの移動方向は、長孔形状の開口601Aの長手方向に対して直交する方向である。
【0057】
可動刃部61Aは、固定刃部60Aを支点とした回転動作で、可動刃613Aが固定刃部60Aの開口601Aの一方の開口端に摺接する。ワイヤWの切断動作では、可動刃613Aが矢印C1方向に移動する。可動刃613Aが矢印C1方向に移動すると、開口601Aに通されたワイヤWが、固定刃部60Aの開口601Aと可動刃部61Aの可動刃613Aとの間に挟まれる。固定刃部60Aと可動刃部61Aとの間に挟まれたワイヤWは、可動刃613Aで矢印C1方向に押圧され、固定刃部60Aの刃を構成する開口601Aの端縁部601Aに押し付けられる。そして、固定刃部60Aの端縁部601Aに可動刃部61Aの可動刃613Aが摺接して、更に可動刃613Aが矢印C1方向に移動することで、ワイヤWをせん断する力が加わり、ワイヤWが切断される。
【0058】
次に、2本のワイヤWのうち、一方のワイヤWの切断を開始するタイミングを、他方のワイヤWの切断を開始するタイミングに対して遅延させて、負荷の軽減を図る遅延部の構成について説明する。
【0059】
固定刃部60Aは、可動刃部61Aで2本のワイヤWを切断する動作で、一方のワイヤWを可動刃部61Aに対して逃がすことで切断開始のタイミングを遅らせる遅延部として逃げ部602Aを備える。
【0060】
逃げ部602Aは、矢印C1で示す方向へ移動する可動刃部61Aの動作でワイヤWが押し付けられる開口601Aの開口端において、一方のワイヤWが押しけられる位置の端縁部601Aに、このワイヤWの一部が入る形状の凹部を設けて構成される。
【0061】
次に、可動刃部61Aを動作させる構成について説明する。伝達機構62Aは、結束部7Aの動作を受ける第1のリンク620Aと、第1のリンク620Aの動作を可動刃部61Aに伝達する第2のリンク621Aを備える。
【0062】
第1のリンク620Aは、支持部材650に設けた軸622Aに回転可能に支持される。第1のリンク620Aは、軸622Aを挟んで一方の端部に、結束部7Aの動作を受ける被押圧部623Aを備える。また、第1のリンク620Aは、軸622Aを挟んで他方の端部に、第2のリンク621Aを回転可能に支持する軸624Aを備える。
【0063】
第2のリンク621Aは、一方の端部が、可動刃部61Aの軸614Aを支点として、可動刃部61Aに対して回転可能に連結される。可動刃部61Aの軸614Aは、可動刃部61Aの回転動作の支点である固定刃部60Aの軸部600Aが挿入される穴部611Aから所定の長さで離れた位置に設けられる。また、第2のリンク621Aは、他方の端部が、軸624Aを支点として、第1のリンク620Aに対して回転可能に連結される。
【0064】
伝達機構62Aは、結束部7Aの動作が伝達部材630で第1のリンク620Aに伝達され、第1のリンク620Aが軸622Aを支点として回転する。伝達機構62Aは、第1のリンク620Aの軸622Aを支点とした回転動作が、第2のリンク621Aで可動刃部61Aに伝達され、可動刃部61Aが固定刃部60Aを支点として回転する。これにより、固定刃部60Aの開口601Aに通されたワイヤWが、可動刃部61Aで切断される。
【0065】
図9及び図10は、結束部の一例を示す構成図で、次に、ワイヤWで鉄筋Sを結束する結束部7Aについて説明する。
【0066】
結束部7Aは、ワイヤWを把持する把持部70と、ワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を、鉄筋S側へ曲げる折り曲げ部71を備える。
【0067】
把持部70は、固定把持部材70Cと、第1の可動把持部材70Lと、第2の可動把持部材70Rを備える。第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rは、固定把持部材70Cを介して左右方向に配置される。具体的には、第1の可動把持部材70Lは、固定把持部材70Cに対し、巻き回されるワイヤWの軸方向に沿った一方の側に配置され、第2の可動把持部材70Rは、他方の側に配置される。
【0068】
第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cの先端側の間にワイヤWが通る。また、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cは、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cの先端側の間にワイヤWが通る。
【0069】
固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを回転可能に支持する軸76を備える。固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rの後端側を軸76で支持する。これにより、第1の可動把持部材70Lは、軸76を支点とした回転動作で、先端側が固定把持部材70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2の可動把持部材70Rは、軸76を支点とした回転動作で、先端側が固定把持部材70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0070】
折り曲げ部71は、把持部70の周囲を覆う形状を有し、結束部7Aの軸方向に沿って移動可能に設けられる。折り曲げ部71は、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを開閉する開閉ピン71aを備える。第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rは、開閉ピン71aの動作で第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを開閉する開閉ガイド孔77を備える。
【0071】
開閉ピン71aは、折り曲げ部71の内部を貫通して、折り曲げ部71の移動方向に直交する。開閉ピン71aは、折り曲げ部71に固定されており、折り曲げ部71の移動に連動して移動する。
【0072】
開閉ガイド孔77は、開閉ピン71aの移動方向に沿って延在し、開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸76を支点とした第2の可動把持部材70Rの回転による開閉動作に変換する開閉部78を備える。開閉ガイド孔77は、折り曲げ部71の移動方向に沿って第1の待機距離延在する第1の待機部770と、折り曲げ部71の移動方向に沿って第2の待機距離延在する第2の待機部771を備える。開閉部78は、第1の待機部770の一の端部から斜め外側方向に屈曲して延在し、第2の待機部771と繋がる。なお、図9(a)、図9(b)では、第2の可動把持部材70Rに設けられた開閉ガイド孔77を図示しているが、第1の可動把持部材70Lにも左右対称の形状で同様な開閉ガイド孔77が設けられる。
【0073】
把持部70は、図9(a)に示すように、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cから離れる方向に移動していることで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0074】
第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWは、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通り、カールガイド部5Aに誘導される。カールガイド部5Aで巻き癖が付けられたワイヤWは、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間を通る。
【0075】
鉄筋結束機1Aにおいて、図1に示すカールガイド部5Aが設けられている側を前側とした場合に、折り曲げ部71が、図10に矢印Fで示す前方向に移動することで、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77の開閉部78を押すと、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rは、軸76を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。
【0076】
図9(b)に示すように、第1の可動把持部材70Lが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが把持される。また、第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間でワイヤWが通る部位には、ワイヤWを送ることが可能な間隔が形成される。
【0077】
折り曲げ部71は、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間に把持されたワイヤWの一方の端部WS側を押す曲げ部71b1を備える。また、折り曲げ部71は、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間に把持されたワイヤWの他方の端部WE側を押す曲げ部71b2を備える。
【0078】
折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に移動することで、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側を曲げ部71b1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間通されたワイヤWの他方の端部WE側を曲げ部71b1で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0079】
結束部7Aは、図2に示すように、ワイヤWの一方の端部WSの位置を規制する長さ規制部74を備える。長さ規制部74は、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間を通過したワイヤWの送り経路に、ワイヤWの一方の端部WSが突き当てられる部材を設けて構成される。
【0080】
更に、結束部7Aは、回転軸82と、回転軸82の回転動作で変位する被動作部材である可動部材83と、回転軸82の回転動作と連動した可動部材83の回転を規制する回転規制部材84を備える。また、鉄筋結束機1Aは、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。駆動部8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。回転軸82は、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0081】
回転軸82と可動部材83は、回転軸82に設けたネジ部と、可動部材83に設けたナット部により、回転軸82の回転動作が、可動部材83の回転軸82に沿った前後方向への移動に変換される。結束部7Aは、折り曲げ部71が可動部材83と一体に設けられ、可動部材83の前後方向への移動で、折り曲げ部71が前後方向に移動する。
【0082】
可動部材83及び折り曲げ部71と、折り曲げ部71に支持された把持部70は、把持部70でワイヤWを把持及び折り曲げ部71でワイヤWを折り曲げる動作域では、回転規制部材84に係止されることで、回転規制部材84により回転動作が規制された状態で前後方向に移動する。また、可動部材83及び折り曲げ部71と把持部70は、回転規制部材84の係止から抜けることで、回転軸82の回転動作で回転する。
【0083】
把持部70は、可動部材83及び折り曲げ部71の回転と連動して、ワイヤWを把持した固定把持部材70C、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが回転する。
【0084】
上述した第1のガイドピン53aの退避機構53は、可動部材83の前後方向への移動を第1のガイドピン53aの変位に変換するリンク機構で構成される。また、切断部6Aは、可動部材83の動きが伝達部材630Aにより伝達機構62Aに伝達され、可動刃部61Aが回転する。
【0085】
次に、鉄筋結束機1Aの形状について説明する。鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。鉄筋結束機1Aは、上述したカールガイド部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10Aの前側の端部に設けられる。また、鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3A、切断部6A、結束部7A及び駆動部8A等が本体部10Aに収納される。更に、鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aが本体部10Aから一の方向に延在する。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2Aがハンドル部11Aの前方に設けられる。
【0086】
次に、鉄筋結束機1Aの操作部について説明する。鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aの前側にトリガ12Aが設けられ、トリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Aが送りモータ33とモータ80を制御する。また、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。
【0087】
<本実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
【0088】
図11は、ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋Sを2本のワイヤWで結束する動作について説明する。
【0089】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持され、このワイヤWの先端が、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの挟持位置から、切断部6Aの固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、図9(a)に示すように、第1の可動把持部材70Lが固定把持部材70Cに対して開き、第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cに対して開いた状態である。
【0090】
鉄筋Sがカールガイド部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51の間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、送りモータ33が正回転方向に駆動され、第1の送りギア30Lが正転すると共に、第1の送りギア30Lに従動して第2の送りギア30Rが正転する。これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持された2本のワイヤWが正方向に送られる。
【0091】
正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、ワイヤ送り部3Aの上流側に第1のワイヤガイド4Aが設けられ、下流側に第2のワイヤガイド4Aが設けられることで、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0092】
ワイヤWが正方向に送られると、ワイヤWは固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通り、カールガイド部5Aのカールガイド50のガイド溝52を通過する。これにより、ワイヤWは、第2のワイヤガイド4Aと、カールガイド50の第1のガイドピン53a及び第2のガイドピン53bの3点で、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0093】
カールガイド50から送り出されたワイヤWは、誘導ガイド51で固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWの先端が長さ規制部74に突き当てられる位置まで送られると、送りモータ33の駆動が停止される。これにより、ワイヤWが、図11(a)に示すように、鉄筋Sの周囲にループ状に巻き回される。
【0094】
ワイヤWの送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を前方向である矢印F方向に移動させる。すなわち、可動部材83は、モータ80の回転に連動した回転動作が、回転規制部材84により規制されて、モータ80の回転が直線移動に変換される。これにより、可動部材83は前方向に移動する。
【0095】
可動部材83が前方向に移動する動作に連動して、可動部材83と一体に折り曲げ部71が回転せずに前方向に移動する。折り曲げ部71が前方向に移動すると、図9(b)に示すように、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77の開閉部78を通過する。
【0096】
これにより、第1の可動把持部材70Lは、軸76を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。よって、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cの間に、ワイヤWの一方の端部WS側が把持される。また、第2の可動把持部材70Rは、軸76を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。よって、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cの間でワイヤWが通る部位には、ワイヤWを送ることが可能な間隔が形成される。
【0097】
更に、可動部材83が前方向に移動すると、可動部材83の動作が退避機構53に伝達され、第1のガイドピン53aが退避する。
【0098】
第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rの開閉動作でワイヤWを把持する位置まで可動部材83を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、送りモータ33を逆回転方向に駆動する。これにより、第1の送りギア30Lが逆転すると共に、第1の送りギア30Lに従動して第2の送りギア30Rが逆転する。
【0099】
よって、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持されたワイヤWが逆方向に送られる。ワイヤWを逆方向に送る動作で、図11(b)に示すように、ワイヤWは鉄筋Sに密着されるようにして巻き付けられる。
【0100】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータ33の逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、可動部材83を前方向に移動させる。可動部材83が前方向に移動する動作が伝達機構62Aで切断部6Aに伝達されることで可動刃部61Aが回転し、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cで把持されたワイヤWの他方の端部WE側が、固定刃部60Aと可動刃部61Aの動作で切断される。
【0101】
本例のように2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する場合、従来のように1本のワイヤで鉄筋Sを結束する場合と同等の結束強度を得るのであれば、ワイヤWの直径を従来より細くすることができる。このため、ワイヤWを曲げやすく、小さい力でワイヤWを鉄筋Sに密着させることができる。従って、小さい力でワイヤWを確実に鉄筋Sに巻き付けることができる。これに伴い、鉄筋結束機1Aの各モータの小型化、機構部位の小型化による本体部全体の小型化が可能である。また、モータの小型化、負荷の低減により消費電力の低減が可能である。
【0102】
ワイヤWを切断した後、可動部材83を更に前方向に移動させることで、図11(c)に示すように、可動部材83と一体で折り曲げ部71が前方向に移動する。折り曲げ部71が、矢印Fで示す前方向である鉄筋Sに接近する方向へ移動することで、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側を、曲げ部71b1で鉄筋S側へ押圧して、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。折り曲げ部71が更に前方向に移動することで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間に、ワイヤWの一方の端部WS側が把持された状態で保持される。
【0103】
また、折り曲げ部71が、矢印Fで示す前方向である鉄筋Sに接近する方向へ移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されたワイヤWの他方の端部WE側を、曲げ部71b2で鉄筋S側へ押圧して、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。折り曲げ部71が更に前方向に移動することで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間に、ワイヤWの一方の端部WE側が支持される。
【0104】
ワイヤWの端部を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を更に前方向である矢印F方向に移動させる。可動部材83が矢印F方向の所定の位置まで移動することで、可動部材83は回転規制部材84の係止から抜け、可動部材83の回転規制部材84による回転の規制が解除される。
【0105】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、ワイヤWを把持している把持部70が折り曲げ部71と一体に回転し、図11(d)に示すように、ワイヤWを捩じる。
【0106】
ワイヤWを捩じった後、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を矢印Rで示す後方向に移動させる。すなわち、可動部材83は、モータ80の回転に連動した回転動作が、回転規制部材84により規制されて、モータ80の回転が直線移動に変換される。
【0107】
これにより、可動部材83が後方向に移動する。可動部材83が後方向に移動する動作に連動して、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cから離れる方向に変位し、把持部70はワイヤWを離す。
【0108】
図12図13は、ワイヤを切断する動作の詳細を示す動作説明図であり、次に、上述した切断部6AでワイヤWを切断する動作の詳細について説明する。
【0109】
切断部6Aは、可動部材83の動作が伝達部材630で伝達機構62Aの第1のリンク620Aに伝達され、伝達部材630が矢印F方向に移動することで、第1のリンク620Aの被押圧部623Aが押圧され、第1のリンク620Aが軸622Aを支点として矢印C11方向に回転する。
【0110】
切断部6Aは、第1のリンク620Aの軸622Aを支点とした回転動作が、第2のリンク621Aで可動刃部61Aに伝達され、可動刃部61Aが固定刃部60Aを支点として矢印C1方向に回転する。
【0111】
可動刃部61Aが矢印C1に回転すると、固定刃部60Aの開口601Aに通されたワイヤWが、可動刃613Aにより開口601Aの開口端に押し付けられる。並列する2本のワイヤWのうち、一方のワイヤWは、固定刃部60Aの逃げ部602Aに入る。これにより、図13(a)に示すように、可動刃613Aの動作で固定刃部60Aの端縁部601Aに押し付けられる他方のワイヤWの切断が、先行して開始される。
【0112】
他方のワイヤWの切断を開始した後、この他方のワイヤWが所定の位置まで切断されると、一方のワイヤWが可動刃613Aの動作で固定刃部60Aの逃げ部602Aの端縁部に押し付けられる。これにより、図13(b)に示すように、一方のワイヤWの切断が開始される。本例では、他方のワイヤWの切断を開始した後、この他方のワイヤWが径方向の半分以上切断されると、一方のワイヤWの切断が開始されるように、逃げ部602Aの形状が設定される。つまり、開口601Aから逃げ部602Aの端縁部までの距離がワイヤWの径方向の略半分に設定されている。
【0113】
図12(a)に示すように、可動刃部61Aが更に矢印C1に回転すると、図13(c)に示すように、先行して切断が開始された他方のワイヤWの切断が完了する。そして、図12(b)に示すように、可動刃部61Aが更に矢印C1に回転すると、図13(d)に示すように、遅延して切断が開始された一方のワイヤWの切断が完了する。
【0114】
断面形状が円形のワイヤWを切断する動作では、刃部が直径の位置に到達した付近で最も負荷が高くなる。そこで、並列した2本のワイヤWを切断する構成で、ワイヤWの切断を開始するタイミングに差を設ける。まず、1本目のワイヤWの切断を開始した後、このワイヤWが径方向の半分以上の位置まで切断されると、2本目のワイヤWの切断を開始する。
【0115】
並列した2本のワイヤWを切断することに比較して、1本のワイヤWを切断する方が負荷が軽減される。これにより、まず、1本のワイヤWの切断を先行して開始することで、負荷が軽減される。また、1本目のワイヤWが径方向の半分以上の位置まで切断されて、負荷が最大となる位置を通過してから、2本目のワイヤWの切断を開始することで、2本のワイヤWを切断する場合でも、負荷が軽減される。更に、1本目のワイヤWの切断が完了より前に、2歩目のワイヤWの切断を開始することで、切断に要する時間の増加が抑制される。
【0116】
上述したように、2本のワイヤWの切断時の負荷低減を図ることができるので、鉄筋結束機1Aの各モータの小型化、機構部位の小型化による本体部全体の小型化が可能である。また、モータの小型化、負荷の低減により消費電力の低減が可能である。
【0117】
<本実施の形態の鉄筋結束機の変形例>
図14図19は、本実施の形態の切断部の固定刃部及び可動刃部の他の例を示す上面図であり、次に、固定刃部及び可動刃部の他の実施の形態について説明する。
【0118】
図14に示す切断部6Aは、図5と同様に、固定刃部60AにワイヤWの逃げ部を設ける構成で、他方のワイヤWを可動刃部61Aに対して逃がす逃げ部602Aを備える。
【0119】
逃げ部602Aは、矢印C1で示す方向へ移動する可動刃部61Aの動作でワイヤWが押し付けられる開口601Aの開口端において、他方のワイヤWが押しけられる位置の端縁部601Aに、このワイヤWの一部が入る形状の凹部を設けて構成される。図14に示す切断部6Aでは、他方のワイヤWの切断を開始するタイミングを、一方のワイヤWの切断を開始するタイミングより遅延させることができる。
【0120】
図15及び図16に示す切断部6Bは、ワイヤWが通る開口601Bを有した固定刃部60Bと、固定刃部60Bを軸として回転可能に取り付けられ、可動刃613Bを有した可動刃部61Bを備える。開口601Bは、2本のワイヤWを並列させた状態で通すことが可能な、例えば断面形状が長孔形状である。切断部6Bは、固定刃部60Bの開口601Bには逃げ部を設けない。
【0121】
これに対し、切断部6Bは、可動刃部61Bに逃げ部を備える。図15に示す逃げ部615Bは、一方のワイヤWが接する位置の可動刃613Bを、矢印C1で示す可動刃部61Bの移動方向に対し、他方のワイヤWが接する位置より後退させて、可動刃613Bにクランク状の段差を設ける。逃げ部615Bの後退量は、例えば、ワイヤWの直径の半分程度である。図15に示す切断部6Bでは、一方のワイヤWの切断を開始するタイミングを、他方のワイヤWの切断を開始するタイミングより遅延させることができる。
【0122】
図16に示す逃げ部615Bは、他方のワイヤWが接する位置の可動刃613Bを、矢印C1で示す可動刃部61Bの移動方向に対し、一方のワイヤWが接する位置より後退させて、可動刃613Bにクランク状の段差を設ける。逃げ部615Bの後退量は、例えば、ワイヤWの直径の半分程度である。図16に示す切断部6Bでは、他方のワイヤWの切断を開始するタイミングを、一方のワイヤWの切断を開始するタイミングより遅延させることができる。
【0123】
図17に示す切断部6Cは、ワイヤWが通る開口601Cを有した固定刃部60Cと、固定刃部60Cを軸として回転可能に取り付けられ、可動刃613Cを有した可動刃部61Cを備える。開口601Cは、2本のワイヤWを並列させた状態で通すことが可能な、例えば断面形状が長孔形状である。切断部6Cは、固定刃部60Cと可動刃部61Cの両方に逃げ部を設ける構成である。固定刃部60Cは、例えば他方のワイヤWを可動刃部61Cに対して逃がす逃げ部602Cを備える。
【0124】
逃げ部602Cは、矢印C1で示す方向へ移動する可動刃部61Cの動作でワイヤWが押し付けられる開口601Cの開口端において、他方のワイヤWが押しけられる位置の端縁部601Cに、このワイヤWが入る形状の凹部を設けて構成される。
【0125】
また、可動刃部61Cに設けた逃げ部615Cは、例えば他方のワイヤWが接する位置の可動刃613Cを、矢印C1で示す可動刃部61Cの移動方向に対し、一方のワイヤWが接する位置より後退させて、可動刃613Cにクランク状の段差を設ける。図17に示す切断部6Cでは、他方のワイヤWの切断を開始するタイミングを、一方のワイヤWの切断を開始するタイミングより遅延させることができる。なお、図17の実施の形態では、固定刃部60C及び可動刃部61Cにおいて、他方のワイヤWが接する位置に代えて、一方のワイヤWが接する位置に、それぞれ逃げ部を設けても良い。
【0126】
図18に示す切断部6Dは、ワイヤWが通る開口601Dを有した固定刃部60Dと、固定刃部60Dを軸として回転可能に取り付けられ、可動刃613Dを有した可動刃部61Dを備える。開口601Dは、2本のワイヤWを並列させた状態で通すことが可能な、例えば断面形状が長孔形状である。
【0127】
可動刃部61Dは、矢印C1で示す可動刃部61Dの移動方向に対し、可動刃613Dを斜めに設ける。可動刃613Dは、矢印C1で示す可動刃部61Dの移動方向に対し、一方のワイヤWと接する側が後退する方向に傾斜し、かつ、一方のワイヤWが接する位置と、他方のワイヤWが接する位置が、一直線上に設けられる。固定刃部60Dは、一方のワイヤWを可動刃部61Dに対して逃がす逃げ部602Dと、他方のワイヤWを可動刃部61Dに対して逃がす逃げ部602Dを備える。図18に示す切断部6Dでは、一方のワイヤWの切断を開始するタイミングを、他方のワイヤWの切断を開始するタイミングより遅延させることができる。
【0128】
図19に示す切断部6Eは、ワイヤWが通る開口601Eを有した固定刃部60Eと、固定刃部60Eを軸として回転可能に取り付けられ、可動刃613Eを有した可動刃部61Eを備える。開口601Eは、2本のワイヤWを並列させた状態で通すことが可能な、例えば断面形状が長孔形状である。
【0129】
可動刃部61Eは、矢印C1で示す可動刃部61Dの移動方向に対し、可動刃613Eに半円状の凹部を設ける。可動刃613Eは、一方のワイヤWが接する位置と、他方のワイヤWが接する位置が、反対向きに傾斜した湾曲した面で構成される。固定刃部あるいは可動刃部の一方、または両方に設けられる凹部は、半円状の他に、矩形状、湾曲状等でも良い。
【0130】
図20は、本実施の形態の切断部の他の例を示す側面図であり、次に、可動刃部61Fを動作させる他の実施の形態について説明する。切断部6Fは、ワイヤWが通る開口601Fを有した固定刃部60Fと、可動刃613Fを有した可動刃部61Fを備える。固定刃部60Fと可動刃部61Fのどちらか一方、あるいは両方に、上述したワイヤWの逃げ部を備える。可動刃部61Fは、上述した回転動作に代えて、スライド移動で変位する。
【0131】
このため、可動刃部61Fのスライド移動をガイドするスライドガイド660を備える。また、伝達機構62Bは、結束部7Aの動作を受ける第1のリンク620Bと、第1のリンク620Bの動作を可動刃部61Fに伝達する第2のリンク620Bと、第3のリンク620Bと、第4のリンク620Bを備える。
【0132】
第1のリンク620Bは、支持部材650に設けた軸622Bに回転可能に支持される。第1のリンク620Bは、軸622Bを挟んで一方の端部に、結束部7Aの動作を受ける被押圧部623Bを備える。また、第1のリンク620Bは、軸622Bを挟んで他方の端部に、第2のリンク620Bを回転可能に支持する軸624Bを備える。
【0133】
第2のリンク620Bは、一方の端部が、軸624Bを支点として、第1のリンク620Bに対して回転可能に連結される。また、第2のリンク620Bは、他方の端部に、第3のリンク620Bを回転可能に支持する軸625Bを備える。
【0134】
第3のリンク620Bは、支持部材650に設けた軸625Bに回転可能に支持される。第3のリンク620Bは、軸625Bを挟んで一方の端部が、軸625Bを支点として、第2のリンク620Bに対して回転可能に連結される。また、第3のリンク620Bは、他方の端部に、第4のリンク620Bを回転可能に支持する軸625Bを備える。
【0135】
第4のリンク620Bは、一方の端部が、軸625Bを支点として、第3のリンク620Bに対して回転可能に連結される。また、第4のリンク620Bは、他方の端部が、可動刃部61Fの軸625Bを支点として、可動刃部61Fに対して回転可能に連結される。
【0136】
伝達機構62Bは、結束部7Aの動作が伝達部材630で第1のリンク620Bに伝達され、第1のリンク620Bの動作が第2のリンク620B、第3のリンク620B及び第4のリンク620Bで可動刃部61Fに伝達され、可動刃部61Fがスライドガイド660にガイドされてスライド移動する。これにより、固定刃部60Fの開口601Fに通されたワイヤWが、可動刃部61Fで切断される。
【0137】
図21は、本実施の形態の切断部の他の変形例を示す断面図で、次に、荷重の変動を抑制する構成について説明する。切断部6Aは、ワイヤWが通る開口601Aを有した固定刃部60Aと、固定刃部60Aの軸部600Aを支点として回転可能に取り付けられる可動刃部61Aを備える。
【0138】
図21(a)では、可動刃部61Aの穴部611Aの内周面に、グリスが入れられる溝部626Aを備える。溝部626Aは、穴部611Aの全周、断続的に全周、または一部に設けられる。
【0139】
図21(b)では、固定刃部60Aの軸部600Aの外周面に、グリスが入れられる溝部626Aを備える。溝部626Aは、軸部600Aの全周、断続的に全周、または一部に設けられる。
【0140】
切断部6Aにおいて、固定刃部60Aと可動刃部61Aの摺動面にグリスが入れられる溝部を備えることで、グリスを長期間にわたり残存させることができる。これにより、グリスが無くなることによる荷重の増加、動作不良の発生を抑制できる。
【0141】
なお、以上の各実施の形態では、切断部は、固定刃部と可動刃部の組み合わせとしたが、両方が可動刃部で構成されていても良い。また、2本のワイヤを切断する構成を例に説明したが、3本以上の複数本のワイヤWを切断する構成でも、同様の効果が得られる。更に、1本のワイヤWを切断する構成でも、同様の効果が得られ、例えば、断面形状が楕円系、長円径、円形が複数連続した形状等の円形と異なる異形のワイヤWを切断する構成でも、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0142】
1A・・・鉄筋結束機、2A・・・マガジン、20・・・リール、3A、3B、3C・・・ワイヤ送り部、30L・・・第1の送りギア(送り部材)、31L・・・歯部、32L・・・溝部、30R・・・第2の送りギア(送り部材)、31R・・・歯部、32R・・・溝部、33・・・送りモータ(原動機)、33a・・・小ギア、33b・・・大ギア、34・・・駆動力伝達機構、34a・・・送り小ギア、36・・・変位部材、4A・・・第1のワイヤガイド、4A・・・第2のワイヤガイド、5A・・・カールガイド部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、53・・・退避機構、53a・・・第1のガイドピン、53b・・・第2のガイドピン、6A・・・切断部、60A・・・固定刃部(刃部)、600A・・・軸部、601A・・・開口、601A・・・端縁部、602A・・・逃げ部、61A・・・可動刃部(刃部)、610A・・・可動部本体、611A・・・穴部、612A・・・軸支持部、613A・・・可動刃、614A・・・軸、62A・・・伝達機構、620A・・・第1のリンク、621A・・・第2のリンク、622A・・・軸、623A・・・被押圧部、624A・・・軸、630・・・伝達部材、7A・・・結束部、70・・・把持部、70C・・・固定把持部材、70L・・・第1の可動把持部材、70R・・・第2の可動把持部材、71・・・折り曲げ部、71a・・・開閉ピン、76・・・軸、8A・・・駆動部、80・・・モータ、81・・・減速機、82・・・回転軸、83・・・可動部材、W・・・ワイヤ
図1
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