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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】副室式内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 19/12 20060101AFI20220928BHJP
   F02B 23/08 20060101ALI20220928BHJP
   F02B 19/18 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
F02B19/12 B
F02B23/08 E
F02B19/18 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021509279
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020012156
(87)【国際公開番号】W WO2020196206
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2019061127
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】野中 一成
(72)【発明者】
【氏名】田中 大
(72)【発明者】
【氏名】城田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】井上 欣也
(72)【発明者】
【氏名】菅田 佳博
(72)【発明者】
【氏名】津田 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 遼太
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 捷
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-142931(JP,A)
【文献】実開昭51-21705(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第2123482(GB,A)
【文献】特開2017-137867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 19/12
F02B 23/08
F02B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、シリンダヘッドと、ピストンと、で画定される主室と、
前記主室と隔てられ、前記シリンダの軸方向から見た断面が円形に形成される副室と、
前記主室と前記副室とを連通する連通路と、
前記副室に設けられ、前記主室から前記連通路を介して前記副室に導入された混合気に点火する第1電極と、前記第1電極から放出された電子が流入する第2電極と、を有する点火部と、
を備え、
前記連通路は、前記シリンダの軸方向からみて、前記副室の径方向に対して斜めに傾いて形成されて、前記副室の内周に沿って旋回する前記混合気の旋回流を前記副室内に発生させ、
前記点火部は、前記シリンダの軸方向に沿って設けられ、
前記シリンダの軸方向からみて、前記第1電極の中心は、前記副室の中心と異なる位置に配置され
前記第1電極及び前記第2電極は、前記旋回流の回転方向に沿って、前記第2電極、前記第1電極の順に隣接して配置される、
副室式内燃機関。
【請求項2】
前記副室式内燃機関は、前記主室に燃料を噴射する噴射弁をさらに備え、
前記第1電極の中心は、前記副室の中心よりも前記噴射弁側に配置される、
請求項1に記載の副室式内燃機関。
【請求項3】
前記連通路は、前記混合気を前記副室に導入する導入口を有し、前記副室の内周に沿って旋回しながら前記シリンダヘッド側へ向かう前記混合気の旋回流を前記副室内に発生させ、
前記第1電極の先端位置は、前記導入口の中心線が前記副室の前記内周の部位と交わる位置よりも高い位置に配置される、請求項1または2に記載の副室式内燃機関。
【請求項4】
前記第1電極は、前記円形の半径の半分以上、前記副室の中心から離れて配置される、
請求項1からのいずれか1項に記載の副室式内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、副室式内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主室およびその主室に連通路を介して連結された副室を備えた副室式内燃機関が提案されている(例えば、日本国特許第4389777号公報参照)。このような副室式内燃機関では、主室に噴射された燃料から混合気が形成される。形成された混合気は、連通路を介して副室内に供給され、副室内で点火プラグによって点火される。これにより、火炎が形成される。副室内で形成された火炎は、連通路を介して主室に噴射され、主室の混合気を着火する。このように、副室で形成された火炎を主室に噴射することによって、主室の燃焼速度が高まる。これにより、より希薄な空燃比での運転が可能となり、燃費が向上する。
【0003】
日本国特許第4389777号公報には、1つの副室を有する副室式内燃機関と、2つの副室を有する副室式内燃機関が開示されている。1つの副室を有する副室式内燃機関では、気筒の中心に副室が設けられ、副室の中心に点火プラグが設けられている。また、4つの連通路が、斜め上方に傾き、かつ周方向に傾いて形成されている。これによって、副室内で、混合気が、上昇する旋回流となる。
【0004】
しかし、日本国特許第4389777号公報に開示された1つの副室を有する副室式内燃機関では、混合気が、副室の内壁に沿って上昇する旋回流になる。このため、副室の中心部の混合気の流速が遅くなる。したがって、点火プラグが副室の中心に配置されると、初期燃焼が促進されにくい。この結果、副室から主室に向かう火炎の伝搬速度が遅くなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、副室内の初期燃焼を促進する副室式内燃機関に関する。
【0006】
本開示の実施形態によれば、副室式内燃機関は、主室と、副室と、連通路と、点火部と、を備える。主室は、シリンダと、シリンダヘッドと、ピストンと、で画定される。副室は、主室と隔てられ、シリンダの軸方向から見た断面が円形に形成される。連通路は、主室と副室とを連通する。連通路は、シリンダの軸方向からみて、副室の径方向に対して斜めに傾いて形成される。点火部は、副室に設けられた第1電極を有する。第1電極は、主室から連通路を介して副室に導入された混合気に点火する。シリンダの軸方向からみて、第1電極の中心は、副室の中心と異なる位置に配置される。
【0007】
この副室式内燃機関では、連通路は、副室の径方向に対して斜めに傾いて形成されるため、副室の内周に沿って旋回する混合気の旋回流が副室内に発生する。また、第1電極の中心が副室の中心と異なる位置に配置される。これによって、副室内の内周に沿って発生する旋回流の流速が速い位置で、混合気が点火部によって点火される。このため、移流および保炎によって初期燃焼が促進される。
【0008】
副室式内燃機関は、主室に燃料を噴射する燃料噴射弁をさらに備えてもよい。第1電極の中心は、副室の中心よりも燃料噴射弁側に配置されてもよい。
【0009】
この構成によれば、第1電極が燃料噴射弁側に配置されるので、副室の空間の中で、混合気が燃料噴射弁側から点火される。これによって、主室の混合気の空燃比がリーンとなりやすい燃料噴射弁側から先に火炎が放出される。このため、主室の燃焼が均質になる。
【0010】
副室式内燃機関は、第1電極から放出された電子が流入する第2電極を有してもよい。連通路は、副室の内周に沿って旋回する混合気の旋回流を副室内に発生させてもよい。そして、第1電極及び第2電極は、旋回流の回転方向に沿って、第2電極、第1電極の順に隣接して配置されてもよい。
【0011】
第2電極が旋回流の下流側に配置されると、着火後に熱が第2電極に逃げる。この構成によれば、点火の始点となる第1電極よりも旋回流の上流側に第2電極が配置されるので、着火後に熱が逃げない。これにより副室内の燃焼が促進される。また、第2電極の下流では混合気の乱れが大きくなるので、副室内の燃焼がさらに促進される。
【0012】
連通路は、混合気を副室に導入する導入口を有し、副室の内周に沿って旋回しながらシリンダヘッド側へ向かう混合気の旋回流を副室内に発生させてもよい。そして、第1電極の先端位置は、連通路の導入口の中心線が副室の内周の部位に交わる位置よりも高い位置に配置されてもよい。
【0013】
この構成によれば、連通路の導入口の中心線が副室の内周の部位に交わる位置よりも高い位置では、整った旋回流が副室内に形成されるので、点火の際に、火炎が効率よく伝搬する。
【0014】
第1電極の中心は、副室の円形の断面における半径の半分以上、副室の中心から離れて配置されてもよい。
【0015】
この構成によれば、混合気の旋回流の速度が速い位置で混合気が点火されるので、移流および保炎によって初期燃焼がさらに促進され、1つの副室から主室に向けて火炎がさらに迅速に送り出される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態による副室式内燃機関の概略構成を示す縦断面図。
図2図1の副室式内燃機関の連通路の形成部を示す横断面図。
図3図1の副室式内燃機関の連通路の形成部を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下明細書において、シリンダ軸方向Qとは、シリンダに沿ってピストンの摺動する方向を示す。上下方向と記す場合は、シリンダ軸方向Qを示し、シリンダヘッド側を「上」、ピストン側を「下」とする。また、左右方向Lとは、シリンダ軸方向Qに直交し、吸気ポートおよび排気ポートが配置される方向を示す。また、クランク軸方向Pとは、シリンダ軸方向Qに直交し、気筒Nが配置される方向を示す。
【0018】
図1に示すように、副室式内燃機関1は、主室4と、主室4と隣接する副室6と、主室4と副室6を連通する複数の連通路8と、点火プラグ(点火部の一例)10と、第2電極10bと、燃料噴射弁12と、を備える。本実施形態では、副室式内燃機関1は、主室4および副室6を含む気筒Nが、直列に複数配列された直列型内燃機関である。すなわち、主室4、副室6、複数の連通路8、点火プラグ10、第2電極10b、および、燃料噴射弁12は、各気筒Nに備えられる。しかし、気筒Nの配列についてはこれに限定されず、V型であっても水平対向型であってもよい。また、各気筒Nに複数の副室6が設けられてもよい。
【0019】
主室4は、シリンダブロック101のシリンダ101a、シリンダヘッド102、およびピストン103で画定された空間である。本実施形態では、主室4は、ペントルーフ形状であり、シリンダヘッド102の吸気ポート105側および排気ポート110側に向けて2つの斜面を有する。主室4は、吸気カム(図示せず)によって駆動される吸気バルブ104を介して吸気ポート105に接続される。吸気ポート105は、図示しない吸気通路、スロットルバルブ、および、エアクリーナに接続される。また、主室4は、排気カム(図示せず)によって駆動される排気バルブ109を介して、排気ポート110、排気通路(図示せず)、および、排気浄化触媒(図示せず)に接続される。
【0020】
副室6は、ペントルーフ形状の頂上部に設けられ、主室4と隣接する。副室6は、副室壁61の底部61aおよび側壁61bで画定された空間である。より具体的には、副室壁61は、シリンダ軸方向Qから見た水平断面(副室6の突出方向と垂直な断面)が円形に形成され、底部61aが半球状に形成される。副室6は、シリンダヘッド102から主室4に向かって突出し、副室壁61を介して主室4と隔てられる。本実施形態では、副室6は、主室4のペントルーフ形状の2つの斜面の交線(稜線)の略中央に設けられる。また、本実施形態では副室6の中心X1は、主室4と同じである。しかし、副室6は、主室4の略中央からシリンダ101aの内壁面に向けてオフセットして設けられもよい。副室6の容積は、主室4よりも小さく、点火プラグ10で点火した混合気の火炎が副室6内に素早く伝播する。
【0021】
連通路8は、副室壁61の底部61aに複数個設けられる。連通路8は、主室4と副室6とを連通し、主室4の混合気を副室6に導く。また、連通路8は、副室6内で生じた火炎を主室4に送り出す。連通路8は、主室4に臨む噴射口8aと、副室6に臨む導入口8bとを有する。本実施形態では、連通路8は、例えば、6つ設けられる。図2は、連通路8が形成された底部61aにおける副室6の横断面をピストン103側からみた図である。連通路8は、図1に示すように、主室4から上下方向(シリンダ軸方向Qと同じ)に斜めに傾き、かつ図2に示すように、シリンダ軸方向Qに垂直な副室6の横断面内において、円筒形の副室6の径方向に対して斜めに傾いている。また、圧縮行程の際は、主室4の混合気は、連通路8を通過して副室6へ導入される。これによって、副室壁61の側壁61b(副室6の内周)に沿って、らせん状に旋回しながらシリンダヘッド102側へ向かう混合気の旋回流SFが形成される。旋回流SFの流速は副室6の中心側よりも副室6の側壁61b側の方が速い。
【0022】
図1に拡大して示すように、点火プラグ10は、シリンダ軸方向に沿って設けられる。また、点火プラグ10は、第1電極10aと、第1電極10aに対向して配置され、第1電極10aから放出される電子が流入する第2電極10bと、を有する。本実施形態では、第2電極10bは、点火プラグ10に設けられる。また、本実施形態では、第2電極10bは、L字型に折り曲げられた形状であり、棒状の第1電極10aの下方に隙間をあけて配置される。点火プラグ10は、第1電極10aから第2電極10bに向けて電気エネルギを放電し、火花を発生させる。発生した火花によって、副室6の混合気が点火される。すなわち、本実施形態では、第1電極10aと、第2電極10bは一対の電極対となり、副室6の混合気に点火する。図1に示すように、第1電極10aの中心X2は、副室6の中心X1と異なる位置に配置され、副室6に突出する。より具体的には、図2に示すように、第1電極10aの中心X2は、副室6の中心X1よりも燃料噴射弁12側に配置される。また、第1電極10aの中心X2は、副室6の側壁61bの半径Rの半分R/2以上、副室6の中心X1から側壁61b側に離れている。
【0023】
図2に示すように、第2電極10bは、第1電極10aの中心X2よりも混合気の旋回流SFの上流側に配置される。換言すれば、第1電極10a及び第2電極10bは、混合気の旋回流SFの回転方向に沿って、第2電極10b、第1電極10aの順に隣接して配置される。図3は副室6の左右方向Lに垂直な縦断面図である。すなわち、図1の副室6を、副室6の中心X1から第1電極10aの中心X2方向にみた断面図である。図3に示すように、第1電極10aの先端位置10cは、連通路8の導入口8bの中心線C(中心線Cの延長線を含む)が副室6の副室壁61の側壁61bに交わる位置Hよりも高い位置に配置される。
【0024】
燃料噴射弁12は、主室4に向けられる。また、燃料噴射弁12は、副室6の外に設けられる。本実施形態では、燃料噴射弁12は、主室4に直接燃料を噴射する。すなわち、副室式内燃機関1は、直噴型の内燃機関である。燃料噴射弁12の噴射量と噴射時期は、図示しない制御部によって制御される。また、燃料噴射弁12は、図示しない燃料噴射ポンプ、および、燃料タンクに接続される。燃料噴射弁12は、シリンダヘッド102の吸気バルブ104側に配置される。本実施形態では、副室式内燃機関1の空燃比は、理論空燃比よりもリーンな値に設定される。すなわち、副室式内燃機関1は、希薄燃焼で運転される。これにより、燃費性能が向上する。
【0025】
このように構成された副室式内燃機関1では、吸気行程では、吸気バルブ104が開弁するとともに、ピストン103が下降し、吸気が主室4および副室6に流入する。本実施形態では、吸気は、図示しない過給機によって加圧される。これによって、主室4および副室6の圧力は、吸気の圧力と同じになる。吸気行程では、主として主室4に燃料を供給するための燃料噴射を行うように、燃料噴射弁12が制御される。噴射された燃料は、主室4内で吸気と混じり混合気を形成する。混合気は、ピストン103が下がるとともに主室4全体に供給される。
【0026】
圧縮行程では、吸気バルブ104が閉弁するとともにピストン103が上昇し、主室4の混合気が圧縮される。このとき、主室4の圧力は上昇する。圧縮行程で、ピストン103が上昇すると、主室4から連通路8を介して混合気が副室6に導入される。このとき、混合気は、連通路8によって上昇する旋回流となって副室6に導入される。旋回流の流速は、前述したように、副室6の中心X1側よりも副室6の側壁61b側(外周側)の方が速い。
【0027】
本実施形態では、点火プラグ10の第1電極10aの中心X2が、副室6の中心X1よりも側壁61b側に配置される。これによって、副室6内の側壁61bに沿って発生する旋回流の流速が速い位置で、混合気が点火プラグ10で点火される。このため、移流および保炎によって初期燃焼が促進され、副室6から主室4に向けて火炎が迅速に送り出される。
【0028】
また、第1電極10aの中心X2が中心X1よりも燃料噴射弁12側に配置されるので、空燃比がよりリッチな混合気が点火プラグ10によって点火される。この結果、副室6から主室4に向かう火炎がさらに強くなり、副室6から主室4に向けて強力な火炎が迅速に送り出される。
【0029】
以上説明した通り、本実施形態の副室式内燃機関1では、点火プラグ10の第1電極10aの中心X2が、副室6の中心X1と異なる位置に配置される。これによって、副室6内の側壁61bに沿って発生する旋回流の流速が速い位置で、混合気が点火プラグ10で点火される。このため、移流および保炎によって初期燃焼が促進され、副室6から主室4に向けて火炎が迅速に送り出される。
【0030】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0031】
上記実施形態では、副室式内燃機関1は、直噴型の内燃機関であるが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、吸気ポート105に設けられる吸気ポートインジェクタを備える副室式内燃機関であってもよい。
【0032】
上記実施形態では、点火プラグ10全体が副室6の中心X1よりも側壁61b側に配置されるが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1電極10aは偏心した点火プラグでもよい。また、第2電極10bを有さない点火プラグでもよく、第2電極10bは副室6の側壁61bに設けられてもよい。さらに、第2電極10bは、例えば沿面点火プラグなどであり、複数設けられてもよい。また、沿面点火プラグの第1電極の中心が副室6の中心X1よりも側壁61b側に配置されてもよい。
【0033】
本開示の実施形態によれば、副室式内燃機関(1)は、
シリンダ(101a)と、シリンダヘッド(102)と、ピストン(103)と、で画定される主室(4)と、
前記主室(4)と隔てられ、前記シリンダ(101a)の軸方向から見た断面が円形に形成される副室(6)と、
前記主室(4)と前記副室(6)とを連通する連通路(8)と、
前記副室(6)に設けられ、前記主室(4)から前記連通路(8)を介して前記副室(6)に導入された混合気に点火する第1電極(10a)を有する点火部(10)と、
を備え、
前記連通路(8)は、前記シリンダ(101a)の軸方向からみて、前記副室(6)の径方向に対して斜めに傾いて形成され、
前記シリンダ(101a)の軸方向からみて、前記第1電極(10a)の中心(X2)は、前記副室(6)の中心(X1)と異なる位置に配置される。
【0034】
前記副室式内燃機関(1)は、前記主室(4)に燃料を噴射する噴射弁(12)をさらに備えてもよい。そして、前記第1電極(10a)の中心(X2)は、前記副室(6)の中心(X1)よりも前記噴射弁(12)側に配置されてもよい。
【0035】
前記副室式内燃機関(1)は、前記第1電極(10a)から放出された電子が流入する第2電極(10b)をさらに備えてもよい。前記連通路(8)は、前記副室(6)の内周に沿って旋回する前記混合気の旋回流(SF)を前記副室(6)内に発生させてもよい。そして、前記第1電極(10a)及び前記第2電極(10b)は、前記旋回流(SF)の回転方向に沿って、前記第2電極(10b)、前記第1電極(10a)の順に隣接して配置されてもよい。
【0036】
前記連通路(8)は、前記混合気を前記副室(6)に導入する導入口(8b)を有し、前記副室(6)の内周に沿って旋回しながら前記シリンダヘッド(102)側へ向かう前記混合気の旋回流(SF)を前記副室内に発生させてもよい。そして、前記第1電極(10a)の先端位置は、前記導入口(8b)の中心線(C)が前記副室(6)の前記内周の部位と交わる位置(H)よりも高い位置に配置されてもよい。
【0037】
前記第1電極(10a)は、前記副室(6)の円形断面における半径の半分以上、前記副室(6)の中心(X1)から離れて配置されてもよい。
【0038】
本出願は、2019年3月27日出願の日本特許出願特願2019-061127に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0039】
1:副室式内燃機関
4:主室
6:副室
8:連通路
10:点火プラグ(点火部)
10a:第1電極
10b:第2電極
10c:先端位置
12:燃料噴射弁
61:副室壁,
61b:側壁
101a:シリンダ
102:シリンダヘッド
103:ピストン
C:中心線
R:半径
R/2:半径の半分
SF:旋回流
X1:副室の中心
X2:第1電極の中心
図1
図2
図3