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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】複合管
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/11 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
F16L11/11
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018110967
(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019215010
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】森本 圭
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-057790(JP,A)
【文献】特開2007-069433(JP,A)
【文献】特開2009-154505(JP,A)
【文献】特開2004-322583(JP,A)
【文献】特開2001-179798(JP,A)
【文献】特開2003-117998(JP,A)
【文献】特開2017-219150(JP,A)
【文献】特開2004-044780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料で構成される管状の基材層と、
前記基材層の外周側及び内周側の両方に設けられた管状のフッ素樹脂層と、
径方向外側へ凸となる環状の山部と径方向外側が凹となる環状の谷部とが軸方向に交互に形成されて蛇腹状とされているコルゲート管と、
樹脂材料で構成され、前記コルゲート管の内周側に設けられた管状の管体と、
を有し、
前記コルゲート管は、前記管体の外周にガイドされつつ前記軸方向に短縮可能とされており、
前記コルゲート管と前記管体との間には、多孔質樹脂材料で構成された管状の中間層が設けられており、
前記管体と前記中間層との間には、内周面におけるすべり抵抗値が前記中間層の内周面におけるすべり抵抗値よりも小さい低摩擦樹脂層が設けられている、
複合管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合管に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂は、耐薬品性や耐候性、耐久性、機械的特性等、多くの特性に優れている一方でコストが高い。このため、配管等の工業製品にフッ素樹脂を使用する場合には、一般的に表面に薄いフッ素樹脂層を形成する方法が用いられている。
【0003】
配管の表面にフッ素樹脂層を形成する方法としては、例えば配管の成形後にフッ素樹脂をコーティングする方法や、共押出成形によってフッ素樹脂層が接着された多層配管を成形する方法等が挙げられる。例えば特許文献1には、接着性官能基を持つフッ素樹脂とポリアミド(PA)系樹脂等の特定の樹脂材料とを組み合わせ、共押出し化学結合することで、フッ素樹脂を含有するチューブやホース等の多層成形品を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2004/110756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管の成形後にフッ素樹脂をコーティングする場合、フッ素樹脂のコーティングが剥がれやすく、ピンホールが1箇所でもあるとその箇所から劣化する虞がある。また、配管の表面精度を出すことが難しく、配管のリサイクルや焼却廃棄ができなくなる。さらに、焼付けを行ってコーティングを剥がれ難くする場合には、焼付けの熱に耐え得る材料を用いて配管を形成する必要があるため、設計の自由度が低下する。
【0006】
フッ素樹脂層が接着された多層配管を成形する場合、一般的にフッ素樹脂は他の材料と接着し難い特性を有するため、接着性官能基を持つフッ素樹脂と特定の樹脂材料とを組み合わせた接着層を設ける必要がある。この接着層を構成する樹脂材料と基材層を構成する樹脂材料が接着する必要があるため、配管の材料として使用できる樹脂材料が制限され、コストが高くなるとともに設計の自由度が低下する。また、配管を構成する樹脂材料に可塑剤が入っているとフッ素樹脂の接着耐久力が低下するため、配管の成形性や柔軟性とフッ素樹脂の接着耐久性とを両立することが困難となる。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、フッ素樹脂層を接着することなくコルゲート管の表面に設けることができる複合管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の複合管は、樹脂材料で構成される管状の基材層と、前記基材層の外周側及び内周側の両方に設けられた管状のフッ素樹脂層と、径方向外側へ凸となる環状の山部と径方向外側が凹となる環状の谷部とが軸方向に交互に形成されて蛇腹状とされているコルゲート管と、樹脂材料で構成され、前記コルゲート管の内周側に設けられた管状の管体と、を有し、前記コルゲート管は、前記管体の外周にガイドされつつ前記軸方向に短縮可能とされており、前記コルゲート管と前記管体との間には、多孔質樹脂材料で構成された管状の中間層が設けられており、前記管体と前記中間層との間には、内周面におけるすべり抵抗値が前記中間層の内周面におけるすべり抵抗値よりも小さい低摩擦樹脂層が設けられている。
【0009】
上記構成によれば、基材層とフッ素樹脂層とを有するコルゲート管が、径方向外側へ凸となる環状の山部と径方向外側が凹となる環状の谷部とが軸方向に交互に形成されて蛇腹状とされている。このため、基材層とフッ素樹脂層とを山部同士及び谷部同士で係合させて物理的に保持することができ、フッ素樹脂層を基材層に接着することなくコルゲート管の外周面と内周面の両方に設けることができる。
コルゲート管と管体との間に多孔質樹脂材料で構成された中間層が設けられているため、管体の外周面とコルゲート管の内周面とが接着して相対移動し難くなることを抑制でき、コルゲート管をスムーズに短縮させて管体の端部を露出させることができる。
さらに、管体と中間層との間に、低摩擦樹脂層が設けられており、低摩擦樹脂層は、内周面におけるすべり抵抗値が前記中間層の内周面におけるすべり抵抗値よりも小さい。
【0011】
上記構成によれば、フッ素樹脂層を有するコルゲート管の内周側に管体を設けることにより、フッ素樹脂層を有する複合管を形成することができる。また、コルゲート管が管体の外周にガイドされつつ軸方向に短縮可能とされているため、コルゲート管を短縮させて管体の端部を露出させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フッ素樹脂層を接着することなく複合管のコルゲート管の表面に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1参考例における複合管を示す斜視図である。
図2参考例における複合管を示す縦断面図である。
図3参考例における複合管の縦断面一部拡大図である。
図4参考例における複合管の管体の端部が露出された状態を示す斜視図である。
図5参考例における複合管の管体の端部が露出された状態を示す縦断面図である。
図6参考例における複合管の製造工程を示す図である。
図7参考例における複合管の製造工程における波付け金型の型締め後の状態を示した断面図である。
図8本発明の実施形態におけるコルゲート管を示す斜視図である。
図9本発明の実施形態におけるコルゲート管を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、参考例に係るコルゲート管及び複合管の参考例の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。また、以下に説明する参考例において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。
【0017】
本明細書において「工程」との語には、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その目的が達成されるものであれば、当該工程も本用語に含まれる。本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。本明細書において、「主成分」とは、特に断りがない限り、混合物中における質量基準の含有量が最も多い成分をいう。
【0018】
参考例
参考例に係る複合管10について説明する。図1図2に示すように、参考例の複合管10は、管体12、低摩擦樹脂層13、中間層14、及びコルゲート管20を備えている。
【0019】
(管体)
管体12は、円筒形の管状とされ、樹脂材料で構成されている。管体12を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリブテン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニル等が挙げられ、樹脂材料は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。中でも、ポリブテンが好適に用いられ、ポリブテンを主成分として含むことが好ましく、例えば管体12を構成する樹脂材料中において85質量%以上含むことがより好ましい。なお、管体12を構成する樹脂材料には、他の添加剤を含有してもよい。
【0020】
管体12の径(外径)としては、特に限定されるものではないが、例えば10mm以上100mm以下の範囲とすることができ、12mm以上35mm以下の範囲が好ましい。また、管体12の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば1.0mm以上5.0mm以下が挙げられ、1.4mm以上3.2mm以下が好ましい。
【0021】
(コルゲート管)
コルゲート管20は、管体12の外径よりも一回り大きい円筒形の管状とされ、管体12、低摩擦樹脂層13、及び中間層14の外周を覆っている。また、コルゲート管20は、樹脂材料で構成される基材層26と、基材層26の外周側に設けられたフッ素樹脂層28と、を有する複層管とされている。
【0022】
基材層26を構成する樹脂材料としては、ポリブテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び架橋ポリエチレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニル等が挙げられ、樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。中でも、低密度ポリエチレンが好適に用いられ、低密度ポリエチレンを主成分として含むことが好ましく、例えば基材層26を構成する樹脂材料中において80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0023】
また、基材層26を構成する樹脂のMFR(Melt Flow Rate)は、0.25以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.35以上1.2以下であることがさらに好ましい。MFRを0.25以上にすることにより、中間層14の多孔質構造に基材層26の樹脂が入り込みやすくなり、後述する中間層14とコルゲート管20の谷部24との接着度を高めることができる。また、MFRを1.2以下にすることにより、バリが発生しにくくなる。なお、基材層26を構成する樹脂材料には、他の添加剤を含有してもよい。
【0024】
一方、フッ素樹脂層28は、フッ素樹脂を主成分として含む層であり、基材層26の外周側に積層されて基材層26の外周を覆っている。また、フッ素樹脂層28の全体の厚さは、基材層26の全体の厚さより薄くなっている。すなわち、後述するコルゲート管20の山部22及び谷部24の双方において、フッ素樹脂層28の厚さは、基材層26の厚さより薄くなっている。
【0025】
図2に示すように、コルゲート管20(すなわち基材層26及びフッ素樹脂層28)は、蛇腹状とされており、径方向外側へ凸となる環状の山部22と、径方向外側が凹となる環状の谷部24とが、管体12の軸方向Sに交互に連続して形成されている。山部22は、谷部24よりも径方向Rの外側に配置されている。
【0026】
図3に示すように、コルゲート管20の蛇腹状の最も径方向外側の部分を外側壁22A、最も径方向内側の部分を内側壁24Aとすると、径方向における外側壁22Aと内側壁24Aの中間部Mを境界として、径方向外側を山部22とし、径方向内側を谷部24とする。
【0027】
山部22は、軸方向Sに延びる外側壁22Aと、外側壁22Aの両端から径方向Rに沿って延びる側壁22Bを有している。外側壁22Aと側壁22Bの間には、外屈曲部22Cが形成されている。谷部24は、軸方向Sに延びる内側壁24Aと、内側壁24Aの両端から径方向Rに延びる側壁24Bを有している。内側壁24Aと側壁24Bの間には、内屈曲部24Cが形成されている。
【0028】
コルゲート管20の山部22の径方向内側には、径方向内側に凹の山空間23が形成されている。なお、山空間23には、後述する中間層14の凸部14Bが挿入されていることが好ましい。
【0029】
また、特に限定されるものではないが、山部22の軸方向Sの長さL1は、谷部24の軸方向Sの長さL2よりも長く設定されていることが好ましい。長さL1は、後述する短縮変形時の外側壁22Aの変形しやすさを確保するため、長さL2の1.2倍以上であることが好ましい。
【0030】
長さL1は、長さL2の5倍以下であることが好ましい。これは、長さL1を長さL2の5倍以下にすることにより、複合管10の可撓性を保つことができるからである。また、長さL1が長すぎると、複合管10を敷設する際に、地面との接触面積が大きくなって施工しにくくなるためでもある。
【0031】
ここで、長さL1は、コルゲート管20における中間部Mと交差する部分において、コルゲート管20の径方向Rの外側から見た表面における軸方向S外側間の距離(コルゲート管20の径方向Rの外側に凸となる部分の軸方向S一方側の表面と軸方向S他方側の表面との距離)である。
【0032】
また、長さL2は、コルゲート管20における中間部Mと交差する部分において、コルゲート管20の径方向Rの内側から見た表面における軸方向S外側間の距離(コルゲート管20の径方向Rの内側に凸となる部分の軸方向S一方側の表面と軸方向S他方側の表面との距離)である。
【0033】
また、コルゲート管20の外側壁22Aの厚さH1は、内側壁24Aの厚さH2よりも薄くなっている。厚さH1は、後述する短縮変形時の外側壁22Aの変形しやすさを確保するため、厚さH2の0.9倍以下であることが好ましい。
【0034】
山部22と谷部24の外表面での半径差ΔRは、コルゲート管20の厚さの平均の800%以下であることが好ましい。半径差ΔRが大きすぎると、短縮変形の際に、山部22の軸方向Sに沿った部分(外側壁22A)が変形し難く、加えて谷部24が径方向Rの外側へ膨出したり、隣り合う山部22同士が近づかないで歪んだ変形状態となったりし易い。
【0035】
半径差ΔRがコルゲート管20の厚さの平均の800%以下である場合には、山部22の軸方向Sの長さが谷部24の軸方向Sの長さよりも長く設定されることにより、上記変形状態となることを効果的に抑制することができる。また、山部22と谷部24の外表面での半径差ΔRは、コルゲート管20の厚さの平均の600%以下であることがより好ましい。
【0036】
なお、コルゲート管20の径(最外部の外径)としては、特に限定されるものではないが、例えば13mm以上130mm以下の範囲とすることができる。
【0037】
(低摩擦樹脂層)
低摩擦樹脂層13は、樹脂材料で構成され、内周面におけるすべり抵抗値が中間層14の内周面におけるすべり抵抗値よりも小さい層である。低摩擦樹脂層13としては、例えば、シート状の樹脂シート層が挙げられる。低摩擦樹脂層13を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)等が挙げられる。なお、低摩擦樹脂層13を構成する樹脂材料には、他の添加剤を含有してもよい。
【0038】
低摩擦樹脂層13の形態としては、例えば、不織布(例えば、メルトブロー、スパンボンド等)、編物(例えば、ラッセル、トリコット、ミラニーズ等)、織物(例えば、平織、綾織、模紗織、絽織、絡み織等)、フィルム等が挙げられる。
【0039】
低摩擦樹脂層13は、これらの中でも、ポリエステル不織布(すなわち、ポリエステルを主成分として含む不織布)、ポリエステルトリコット(すなわち、ポリエステルを主成分として含むトリコット編物)、ナイロン不織布(すなわち、ナイロンを主成分として含む不織布)、ナイロントリコット(すなわち、ナイロンを主成分として含む編物)、ポリエチレンフィルム(すなわち、ポリエチレンを主成分として含むフィルム)等が好ましく、ポリエステル不織布及びナイロントリコットがより好ましい。
【0040】
また、低摩擦樹脂層13が不織布である場合、不織布の目付量としては、例えば10g/m以上500g/m以下が挙げられ、12g/m以上200g/m以下が好ましく、15g/m以上25g/m以下がより好ましい。
【0041】
低摩擦樹脂層13の内周面におけるすべり抵抗値(単位:N)は、中間層14の内周面におけるすべり抵抗値よりも小さければ特に限定されないが、例えば、10以上24以下が挙げられ、12以上23以下が好ましい。また、低摩擦樹脂層13の内周面におけるすべり抵抗値は、例えば、中間層14の内周面におけるすべり抵抗値の0.36倍以上0.90倍以下が挙げられ、0.44倍以上0.85倍以下が好ましい。
【0042】
ここで、上記「すべり抵抗値」は、具体的には以下のようにして測定する。低摩擦樹脂層の内周面におけるすべり抵抗値を測定する場合は、まず、管体の外周側にコルゲート管を配し、管体とコルゲート管の間に、中間層とすべり抵抗値を測定する対象の低摩擦樹脂層とを、低摩擦樹脂層が管体に接するように挿入して長さ200mmの複合管を形成する。そしてフォースゲージ(イマダ製普及型デジタルフォースゲージDS2)の先端部に複合管の一方の端部を接続し、複合管の他方の端部におけるコルゲート管を50mmずらした時の力(単位:N)を測定する。
【0043】
また、中間層の内周面におけるすべり抵抗値を測定する場合は、管体の外周側にコルゲート管を配し、管体とコルゲート管の間に、すべり抵抗値を測定する対象の中間層を、中間層が管体に接するように挿入して長さ200mmの複合管を形成する。そして、低摩擦樹脂層のすべり抵抗値の測定と同様にして、中間層のすべり抵抗値を測定する。
【0044】
低摩擦樹脂層13の内周面は、管体12の外周に全面的に接触しつつ、管体12の外周を覆っていることが好ましい。なお、ここでの「全面的に接触」とは、全ての部分がぴったりと密着している必要はなく、実質的に全面が接触していることを意味する。したがって、例えば低摩擦樹脂層13がシートを巻き付けて形成されている場合、その継ぎ目部分が一部離間していたり、シワになった部分が一部離間していたりする場合を含んでいる。
【0045】
(中間層)
中間層14は、多孔質樹脂材料で構成された管状の層である。中間層14を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレンプロピレンジエンゴム、並びにこれらの樹脂の混合物が挙げられるが、その中でもポリウレタンが好ましい。中間層14は、ポリウレタンを主成分として含む層(すなわち、多孔質ウレタン層)であることが好ましい。例えば、中間層14の構成成分中においてポリウレタンを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。なお、中間層14を構成する多孔質樹脂材料には、他の添加剤を含有してもよい。
【0046】
中間層14における孔の存在比率(例えば発泡体の場合であれば発泡率)は、JIS K6400-1(2012年)の付属書1に記載の方法により測定することができ、25個/25mm以上であることが好ましく、45個/25mm以下がより好ましい。また、中間層14は、発泡体であることが好ましい。
【0047】
中間層の密度は、12kg/m以上22kg/m以下であることが好ましい。本参考例の複合管10では、内部の管体12の端部に継手などを接続するときに、コルゲート管20を短縮させてずらし、管体12の端部を露出させることが求められる。
【0048】
ここで、中間層14の密度が22kg/m以下であることにより、中間層14が適度な柔軟性を有し、コルゲート管20を短縮変形させて管体12の端部を露出させる際に、中間層14がコルゲート管20の動作に対して良好に追従し、管体12の外表面への置き去りが抑制される。その結果、管体12の端部の露出を容易に行うことができる。
【0049】
一方、中間層14は、密度が12kg/m以上であることで適度な強度を有し、複合管10の製造時等の加工時における中間層14の破れ及び破損の発生が抑制される。なお、中間層14の密度は、管体12の外表面へ置き去りの抑制及び加工時における破れ、破損の抑制の観点から、14kg/m以上20kg/m以下の範囲がより好ましく、16kg/m以上18kg/m以下がさらに好ましい。
【0050】
ここで、中間層14の密度は、JIS-K7222(2005年)に規定の方法により測定することができる。なお、測定環境は温度23℃、相対湿度45%の環境とする。
【0051】
中間層14の密度を上記の範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば中間層14における孔の存在比率(例えば発泡体である場合であれば発泡率)を調整する方法、樹脂の分子構造を調整する(つまり樹脂の原料となるモノマーの分子構造や、それらの架橋構造を調整する)方法等が挙げられる。
【0052】
図2に示すように、中間層14は、低摩擦樹脂層13とコルゲート管20との間に配置されており、コルゲート管20の谷部24の内側壁24Aと管体12との間に挟持されている。なお、この挟持されている箇所では、さらに内側壁24Aと管体12とで圧縮されて圧縮挟持部14Aが形成されていることが好ましい。
【0053】
中間層14の厚さは、自然状態(圧縮や引っ張りなどの力が作用していない、温度23℃、相対湿度45%の状態)で、管体12の外周と内側壁24Aの径方向内側面との差以上となっており、さらに前記差よりも厚くなっていることが好ましい。
【0054】
圧縮挟持部14Aでは、圧縮により、中間層14は、自然状態の厚さより薄くなっている。中間層14の隣り合う圧縮挟持部14A同士の間には、凸部14Bが形成されている。凸部14Bは、圧縮挟持部14Aよりも大径とされ、山空間23内へ突出されている。中間層14が内側壁24Aと管体12とで圧縮されている場合、圧縮挟持部14Aと凸部14Bとが軸方向Sに交互に連続して形成され、中間層14の外周面が波状となっている。
【0055】
なお、中間層14の自然状態での厚さは、低摩擦樹脂層13の厚さよりも厚いことが好ましい。中間層14は、複合管10における熱保護の役割を有することが好ましく、厚いほど熱保護性が向上する。一方、低摩擦樹脂層13が厚すぎると、中間層14及び低摩擦樹脂層13におけるコルゲート管20への追従性が低下する。そのため、中間層14を相対的に厚くし、低摩擦樹脂層13を相対的に薄くすることで、前記熱保護性とコルゲート管20への追従性との両方が向上する。
【0056】
さらに、熱保護性及びコルゲート管20への追従性の観点から、中間層14の自然状態での厚さは、低摩擦樹脂層13の厚さの10倍以上200倍以下が好ましく、20倍以上150倍以下がより好ましく、25倍以上100倍以下がさらに好ましい。
【0057】
中間層14の自然状態における軸方向Sの長さは、コルゲート管20の軸方向Sの長さの90%以上100%以下であることが好ましい。これは、中間層14が管体12とコルゲート管20の間において伸張状態で保持されていると、コルゲート管20を短縮変形させる際に、中間層14とコルゲート管20との相対移動が生じやすくなり、中間層14が短縮されずに管体12の外周端部を露出できないことが生じうるからである。中間層14とコルゲート管20との相対移動を抑制するため、自然状態における中間層14の軸方向Sの長さは、コルゲート管20の軸方向の長さの90%以上100%以下とすることが好ましい。
【0058】
また、中間層14の内周面は、低摩擦樹脂層13の外周面と接着されていることが好ましい。中間層14と低摩擦樹脂層13とが接着されていることにより、中間層14及び低摩擦樹脂層13におけるコルゲート管20への追従性がより向上する。
【0059】
中間層14と低摩擦樹脂層13とを接着する方法としては、接着剤を両層の間に塗布して接着する方法のほか、フレームラミネート法により接着する方法が挙げられ、この中でもフレームラミネート法が好ましい。つまり、中間層14と低摩擦樹脂層13とがフレームラミネート接着体であることが好ましい。
【0060】
(製造方法)
次に、本参考例の複合管10の製造方法の一例について説明する。複合管10の製造方法としては、例えば、多孔質樹脂シート14Sを管体12の外周に巻き付けて中間層14を形成した後、基材層26及びフッ素樹脂層28を中間層14の外周に共押出しにより成形し、コルゲート管20を形成する方法が挙げられる。
【0061】
具体的には、複合管10の製造には、例えば図6に示す製造装置30を用いることができる。製造装置30は、押出機32、ダイ34、波付け金型36、冷却槽38、及び引取装置39を有している。複合管10の製造工程は、図6の右側が上流側となっており、右側から左側(以下、「製造方向Y」とする。)へ向かって管体12が移動しつつ製造される。ダイ34、波付け金型36、冷却槽38、引取装置39は、製造方向Yに対してこの順に配置されており、押出機32は、ダイ34の上方に配置されている。
【0062】
ダイ34の上流には、管体12、及び、中間層14を構成する多孔質樹脂シート14Sがロール状に巻き取られた図示しないシート状部材が配置されている。管体12及びロール状の多孔質樹脂シート14Sは、引取装置39によって製造方向Yに引っ張られることにより、連続的に引き出される。連続的に引き出された管体12の外周面には、ダイ34の手前で、多孔質樹脂シート14Sが、端面14SAと端面14SBとを対向させるようにして、全周にわたって巻きつけられる。
【0063】
なお、多孔質樹脂シート14Sは、引張力を作用させないために、ダイ34の手前では、弛みをもった状態とされ、ダイ34へ挿入される。また、多孔質樹脂シート14Sの端面14SAと端面14SBとは、ダイ34及び波付け金型36へ挿入される時点では互いに接触しておらず、管体12の周方向において互いに離間している。
【0064】
管体12の外周に巻き付けられた多孔質樹脂シート14Sの外周には、基材層26を構成する樹脂材料、及びフッ素樹脂層28を構成するフッ素樹脂材料がそれぞれ塗布される。具体的には、基材層26を構成する樹脂材料、及びフッ素樹脂層28を構成するフッ素樹脂材料が加熱溶融され、それぞれ図示しない吐出口からダイ34に供給され、押出機32によってダイ34から二層になって同時に押し出される。これにより、多孔質樹脂シート14Sの外周に、二層構造の樹脂材20Aが形成される。
【0065】
なお、二層構造の樹脂材20Aの形成方法は、上記のような樹脂材料とフッ素樹脂材料とを同時に塗布する方法には限られない。例えば、多孔質樹脂シート14Sの外周に基材層26を構成する樹脂材料を塗布した後、別の工程で基材層26を構成する樹脂材料の外周にフッ素樹脂層28を構成するフッ素樹脂材料を塗布してもよい。
【0066】
管体12、多孔質樹脂シート14S、及び樹脂材20Aで構成される管状押出体21が形成された後、ダイ34の下流側に配置された波付け金型36で波付け工程、すなわちコルゲート管20の基材層26及びフッ素樹脂層28を蛇腹状に成形する工程が行われる。
【0067】
波付け金型36は例えば一対の金型であり、いずれの金型も半円弧状の内面を有し、この内周にはコルゲート管20の山部22に対応する部分に環状のキャビティ36Aが形成され、谷部24に対応する部分に環状の内側突起36Bが形成されており、蛇腹の形状を有している。各キャビティ36Aには、一端がキャビティ36Aと連通し波付け金型36を貫通した吸引孔36Cが形成されている。キャビティ36A内は、吸引孔36Cを介して、波付け金型36の外側から吸気が行われる。
【0068】
ダイ34の下流側において、波付け金型36は、樹脂材20Aに対して左右二方向から接近させて一対の金型の内面を樹脂材20Aに接触させる。そして、波付け金型36は、内側突起36Bにより樹脂材20Aを圧縮しつつ、管状押出体21の外周を覆って樹脂材20Aを成形し、管体12及び多孔質樹脂シート14Sと共に管状押出体21を製造方向Yへ移動させる。
【0069】
このとき、波付け金型36のキャビティ36Aにより形成されたキャビティ内部は、図示省略の吸引装置により吸引孔36Cを通して吸引されて負圧とされる。これにより、樹脂材20Aは径方向Rの外側へ向かって変形してキャビティ36Aにより成形され、樹脂材20Aから山部22と谷部24とが軸方向Sに沿って交互に配列された蛇腹状のコルゲート管20が成形される。
【0070】
ここで、多孔質樹脂シート14Sの凸部14Bは、キャビティ36Aにおいて樹脂材20Aが径方向Rの外側へ変形する際に山空間23(図6に示される部分拡大図を参照)へ深く入り込み、山空間23内に係止される。多孔質樹脂シート14Sの圧縮挟持部14Aは、コルゲート管20の谷部24の内側壁24Aに接着され、かつ、内側壁24Aと管体12との間において圧縮挟持される。
【0071】
また、波付け工程における波付け金型36の型締め前の状態では、多孔質樹脂シート14Sの両端面(端面14SAと端面14SB)は、管体12の周方向において互いに離間している。このとき、多孔質樹脂シート14Sは帯状の形状に戻ろうとするため、端面14SA及び端面14SBには、互いに離れる力が作用する。これにより、樹脂材20Aは多孔質樹脂シート14Sから張力を受けた状態で型締めされる。
【0072】
また、波付け金型36を型締めする際、多孔質樹脂シート14Sの端面14SAと端面14SBとの突き付け位置(突付け面14L)は、図7に示すように、管体12の周方向において、波付け金型36のパーティング面36Dと異なる位置に配置される。なお、「パーティング面36Dと異なる位置」とは、一対の波付け金型36のパーティング面36Dに挟まれる空間と、管体12の周方向において重ならない位置を指す。
【0073】
このとき、多孔質樹脂シート14Sの端面14SAと端面14SBとの突き付け位置(突付け面14L)は、パーティング面36Dと最も離れた位置に配置することが好ましい。すなわち、キャビティ36Aの最深部(断面視で半円状とされたキャビティ36Aにおいて、接線がパーティング面36Dと平行である部分)に対応する位置に突付け面14Lを配置することが好ましい。
【0074】
波付け金型36を型締めした際に形成される蛇腹状のコルゲート管20の外周面には、パーティング面36Dに対応する位置に、パーティングラインPL(図1参照)が形成される。パーティングラインPLは、金型の精度、樹脂の流動性、研磨等の後工程の有無等により視認できる場合と視認できない場合があるが、本発明におけるパーティングラインは、視認できるものとできないものの双方を指す。
【0075】
波付け金型36で波付け工程が行われた後、コルゲート管20は、冷却槽38で冷却される。このようにして、複合管10が製造される。
【0076】
(作用・効果)
本参考例の複合管10によれば、コルゲート管20が、基材層26と、基材層26の外周側に設けられたフッ素樹脂層28と、を有する複層管とされている。このため、フッ素樹脂層28によってコルゲート管20及び複合管10の外周面の耐薬品性や耐候性を高めることができる。
【0077】
また、コルゲート管20は、径方向外側へ凸となる環状の山部22と径方向外側が凹となる環状の谷部24とが軸方向に交互に形成されて蛇腹状とされている。このため、基材層26とフッ素樹脂層28とを山部22同士及び谷部24同士で係合させて物理的に保持することができ、フッ素樹脂層28を基材層26に接着することなくコルゲート管20の外周面に設けることができる。
【0078】
これにより、基材層26とフッ素樹脂層28とを接着、結合するための接着剤や接着性官能基が不要となり、基材層26として使用可能な樹脂材料の制約を減らすことができるとともに設計自由度を高めることができる。また、基材層26とフッ素樹脂層28とが接着されていないため、複合管10の廃棄時には、基材層26とフッ素樹脂層28とを容易に分別でき、リサイクルが可能となる。
【0079】
また、本参考例の複合管10によれば、コルゲート管20は、管体12の外周にガイドされつつ軸方向に短縮可能とされている。このため、例えば複合管10と継手とを接続する際に、図4図5に示すように、コルゲート管20を軸方向Sに短縮させて管体12の端部を露出させることができる。
【0080】
さらに、本参考例の複合管10によれば、コルゲート管20と管体12との間に、低摩擦樹脂層13及び中間層14が設けられている。このため、管体12の外周面とコルゲート管20の内周面とが接着して相対移動し難くなることを抑制でき、コルゲート管20をスムーズに短縮させて管体の端部を露出させることができる。
【0081】
また、中間層14の圧縮挟持部14Aがコルゲート管20に密着され、凸部14Bが隣り合う谷部24の側壁24Bの間に係合している。したがって、中間層14はコルゲート管20の動きに追従しやすくなり、中間層14が管体12の外周に置き去りになることが抑制され、容易にコルゲート管20と共に短縮させることができる。
【0082】
さらに、本参考例によれば、管体12と中間層14との間に低摩擦樹脂層13が設けられている。このため、コルゲート管20の端部を短縮変形させて管体12の端部を露出させた後に再びコルゲート管20を元に戻す際に、中間層14及び低摩擦樹脂層13がコルゲート管20の軸方向への伸長の動作に対して良好に追従し、露出された管体12の端部を再び低摩擦樹脂層13、中間層14、及びコルゲート管20によって良好に覆うことができる。
【0083】
また、本参考例によれば、山部22の外側壁22Aと谷部24の内側壁24Aにおいて、図3に示す長さL1をL2よりも長く、厚さH1をH2よりも薄くすることで、外側壁22Aは内側壁24Aよりも変形しやすくなる。これにより、図5に示すように、隣り合う山部22同士が近づくように、山部22の外屈曲部22Cと谷部24の内屈曲部24Cが変形し、一端部のコルゲート管20は、管体12が露出される方向へより移動し易くなる。
【0084】
このように、コルゲート管20を短縮させる際に、外側壁22Aが膨出するように変形することで、コルゲート管20の屈曲角度や厚さに多少のバラツキがあっても、谷部24が径方向外側へ膨出したり、隣り合う山部22同士が近づかないで歪んだ変形状態となったりすることを抑制できる。
【0085】
また、本参考例によれば、コルゲート管20のパーティングラインPLと、中間層14を構成する多孔質樹脂シート14Sの突付け位置(突き付け面14L)とが、管体12の周方向において異なる位置に配置されている。このため、型締めの際に端面14SAと端面14SBが突き付けられることにより、多孔質樹脂シート14Sの外周を覆う樹脂材20Aに弛みが生じた場合であっても、波付け金型36のキャビティ36Aによって弛みが押圧されて消失する。
【0086】
また、波付け金型36のパーティング面36Dに対応する位置には多孔質樹脂シート14Sの端面14SA、端面14SBが配置されないので、弛みが形成され難く、パーティング面に挟まれる弛みが発生し難い。これにより、コルゲート管20にはバリが発生しにくい。
【0087】
なお、多孔質樹脂シート14Sの突付け面14Lを管体12の周方向においてパーティング面36Dから最も離れた位置に配置することで、突付け面14Lが部分的にずれて配置された場合であっても、当該部分がパーティング面36Dと同じ位置に配置されることが抑制される。これにより、バリの発生抑制効果が高められる。
【0088】
実施形態
次に、本発明の実施形態に係るコルゲート管40について説明する。図8図9に示すように、実施形態のコルゲート管40は、管状とされており、基材層42と、基材層42の外周側及び内周側にそれぞれ設けられたフッ素樹脂層44、46と、を有する複層管とされている。
【0089】
また、コルゲート管40(すなわち基材層42及びフッ素樹脂層44、46)は、参考例のコルゲート管20と同様に、蛇腹状とされており、径方向外側へ凸となる環状の山部48と、径方向外側が凹となる環状の谷部50とが、軸方向Sに交互に連続して形成されている。
【0090】
基材層42は、樹脂材料で構成されている。なお、基材層42を構成する樹脂材料としては、参考例のコルゲート管20の基材層26と同様の材料が挙げられる。
【0091】
フッ素樹脂層44、46は、フッ素樹脂を主成分として含む層であり、フッ素樹脂層44は基材層42の外周側に積層されて基材層42の外周を覆っており、フッ素樹脂層46は基材層42の内周側に積層されて基材層42の内周を覆っている。また、コルゲート管40の山部48及び谷部50の双方において、フッ素樹脂層44、46の厚さは、それぞれ基材層26の厚さより薄くなっている。
【0092】
本実施形態のコルゲート管40は、参考例のコルゲート管20と同様の方法で製造することが可能である。図示を省略するが、具体的には、基材層42を構成する樹脂材料、及びフッ素樹脂層44、46を構成するフッ素樹脂材料をそれぞれ加熱溶融し、押し出して三層構造の樹脂材を形成した後、その樹脂材を波付け加工することで、蛇腹状のコルゲート管40を形成する。
【0093】
本実施形態のコルゲート管40によれば、基材層42の外周側及び内周側の双方にフッ素樹脂層44、46が設けられている。このため、フッ素樹脂層44、46によってコルゲート管40の外周面及び内周面の両面の耐薬品性や耐候性を高めることができる。また、コルゲート管40の内周面にフッ素樹脂層46が設けられているため、例えばコルゲート管40の内周側に管体を挿入して複合管を製造する際に、コルゲート管40への管体の挿入が容易となる。
【0094】
さらに、コルゲート管40は、径方向外側へ凸となる環状の山部48と径方向外側が凹となる環状の谷部50とが軸方向に交互に形成されて蛇腹状とされている。このため、参考例のコルゲート管20と同様に、基材層42とフッ素樹脂層44、46とを山部48同士及び谷部50同士で係合させて物理的に保持することができ、フッ素樹脂層44、46を基材層42に接着することなくコルゲート管40の外周面及び内周面に設けることができる。
【0095】
これにより、基材層42とフッ素樹脂層44、46とを接着、結合するための接着剤や接着性官能基が不要となり、基材層42として使用可能な樹脂材料の制約を減らすことができるとともに設計自由度を高めることができる。また、基材層42とフッ素樹脂層44、46とが接着されていないため、コルゲート管40の廃棄時には、基材層42とフッ素樹脂層44、46とを容易に分別でき、リサイクルが可能となる。
【0096】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0097】
例えば、参考例において、管体12と中間層14との間に低摩擦樹脂層13が設けられていたが、低摩擦樹脂層13を設けずに管体12と中間層14とを直接接触させてもよい。この場合、コルゲート管20を短縮させて管体12の端部を露出させた際、管体12の外周と中間層14の内周との間の摩擦力により、中間層14及びコルゲート管20を、短縮された位置に容易に保持することができる。
【0098】
また、参考例において、管体12の軸方向Sがスリット幅方向とされ、一定の間隔をあけて配設された複数のスリットが中間層14に形成されていてもよい。中間層14にスリットを形成することで、スリット部分において中間層14が管体12の軸方向に沿って変形し易くなり、管体12の外周に沿って中間層14をスムーズに短縮させることができる。
【0099】
特に、スリットを中間層14のコルゲート管20側に配設するとともに、コルゲート管20の谷部24の軸方向Sにおける配置間隔と一致させることで、コルゲート管20の谷部24と中間層14のスリットとを係合させることができる。これにより、コルゲート管20を短縮させる際に中間層14をより一層追従させることができ、より一層スムーズに管体12の端部を露出させることができる。
【0101】
さらに、参考例において、コルゲート管20の外側壁22Aの厚さH1が内側壁24Aの厚さH2よりも薄くされていたが、厚さH1は厚さH2と同じであってもよい。また、外側壁22Aは軸方向Sに沿った略直線状とされていたが、径方向外側へ膨出する弧状としてもよく、内側壁24Aが径方向内側へ膨出する弧状とされていてもよい。
【0102】
また、複合管10の製造時において、ダイ34より上流側で中間層14を構成する多孔質樹脂シート14Sの端面14SAと端面14SBとの突付け面14Lを加熱し、端面14SAと端面14SBとを予め融着しておいてもよい。多孔質樹脂シート14Sの両端面が融着された状態で、多孔質樹脂シート14Sの外周にコルゲート管20を形成する樹脂材料が塗布されることで、型締めの際にコルゲート管20を形成する樹脂材料に弛みが発生し難くなる。
【0103】
その他、参考例において、中間層14は単層とされていたが、これに限られず、中間層14が複数の層で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 複合管
12 管体
14 中間層
20、40 コルゲート管
22、48 山部
24、50 谷部
26、42 基材層
28、44、46 フッ素樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9