(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】非破壊抵抗分析を用いたバッテリー管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20220928BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20220928BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220928BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/389
H01M10/48 P
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2021505970
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2020005188
(87)【国際公開番号】W WO2020214000
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0046308
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジー、ス-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン-ドク
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ-スー
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-252381(JP,A)
【文献】特開2014-007025(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027389(WO,A1)
【文献】特開2012-181976(JP,A)
【文献】特開2010-275984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルの電圧を測定するように構成された電圧測定部と、
前記バッテリーセルの電流を測定するように構成された電流測定部と、
前記電圧測定部により測定された電圧に対する電圧値を受信し、前記電流測定部により測定された電流に対する電流値を受信し、前記受信した電流値及び前記受信した電圧値に基づいて前記バッテリーセルに対する蓄電量-電圧曲線を獲得し、獲得した蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出し、
負極活物質と前記負極活物質に対応する抽出対象変曲点の位置情報とがマッピングされて予め保存されたルックアップテーブルから、前記バッテリーセルに含まれた負極活物質の種類に対応する抽出対象変曲点の位置情報が示す特定の順番を選択し、前記蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する複数の変曲点のうち、前記蓄電量の大きさを基準で小さい順に前記特定の順番に位置した変曲点を特定ポイントとして抽出し、前記蓄電量-電圧曲線の導関数から
、前記抽出された特定ポイントの蓄電量に対する
微分電圧値を第1関数値
として算出し、
前記バッテリーセルの初期状態の蓄電量-電圧曲線の導関数において前記特定ポイントと蓄電量が同一の変曲点の微分電圧値を、前記第1関数値に対応する第2関数値
として抽出し、
前記第2関数値に対する前記第1関数値の変化率及び前記バッテリーセルに対して予め設定された定数に基づいて前記バッテリーセルの初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出するように構成された制御部と、を含む、バッテリー管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記抵抗変化率に応じて前記バッテリーセルに設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つの大きさを調整するように構成された、請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1関数値が前記第2関数値よりも小さい場合にのみ、前記バッテリーセルに設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つを減少させるように構成された、請求項2に記載のバッテリー管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2関数値に対する前記第1関数値の増加率を算出し、算出された増加率に基づいて前記バッテリーセルに対して既に保存された初期抵抗に対する現在抵抗変化率を算出するように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記蓄電量-電圧曲線に含まれた複数の変曲点を、前記蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する第1変曲点グループに区分し、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で
小さい順に特定の順番に位置した変曲点を前記特定ポイントとして抽出するように構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、(第1関数値-第2関数値)÷第2関数値×100で算出される変化率を、前記バッテリーセルに対して予め設定された定数に乗算することにより、前記抵抗変化率を算出する、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記バッテリーセルに複数の負極活物質が含まれ、前記予め保存されたルックアップテーブルにおいて前記複数の負極活物質各々の種類に対応する複数の抽出対象変曲点の位置情報が相異なる場合、
前記複数の抽出対象変曲点の位置情報が示す前記複数の負極活物質各々に対応する複数の特定の順番を選択し、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で
小さい順に前記選択された複数の特定の順番に位置した複数の変曲点各々を前記特定ポイントとして抽出
し、前記蓄電量-電圧曲線の導関数から、前記抽出された複数の特定ポイントの蓄電量に対する微分電圧値を前記第1関数値として算出し、前記バッテリーセルの初期状態の蓄電量-電圧曲線の導関数において前記複数の特定ポイントと蓄電量が同一の複数の変曲点の微分電圧値を、前記第1関数値に対応する第2関数値として抽出し、前記第2関数値に対する第1関数値の平均変化率及び前記バッテリーセルに対して予め設定された定数に基づいて前記バッテリーセルの初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出するように構成された、請求項
5に記載のバッテリー管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、(第1関数値-第2関数値)÷第2関数値×100で算出された複数の変化率の平均変化率を算出し、算出された平均変化率を前記バッテリーセルに対して予め設定された定数に乗算することにより、前記抵抗変化率を算出する、請求項7に記載のバッテリー管理装置。
【請求項9】
前記バッテリーセルは、負極活物質が黒鉛成分を含むように構成され、
前記制御部は、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で六番目の変曲点を前記特定ポイントとして抽出するように構成された、請求項
5に記載のバッテリー管理装置。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置を含む、バッテリーパック。
【請求項11】
請求項1から
9のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置を含む、電気自動車。
【請求項12】
バッテリーセルの電圧及び電流を測定する電圧及び電流測定段階と、
測定された電流値及び測定された電圧値に基づいて前記バッテリーセルに対する蓄電量-電圧曲線を獲得する蓄電量-電圧曲線獲得段階と、
獲得した蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出する変曲点抽出段階と、
負極活物質と前記負極活物質に対応する抽出対象変曲点の位置情報とがマッピングされて予め保存されたルックアップテーブルから、前記バッテリーセルに含まれた負極活物質の種類に対応する抽出対象変曲点の位置情報が示す特定の順番を選択し、前記蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する複数の変曲点のうち、前記蓄電量の大きさを基準で小さい順に前記特定の順番に位置した変曲点を特定ポイントとして抽出する段階と、
前記蓄電量-電圧曲線の導関数から
、前記抽出された特定ポイントの蓄電量に対する
微分電圧値を第1関数値
として算出する第1関数値算出段階と、
前記バッテリーセルの初期状態の蓄電量-電圧曲線の導関数において前記特定ポイントと蓄電量が同一の変曲点の微分電圧値を、前記第1関数値に対応する第2関数値
として抽出する第2関数値抽出段階と、
前記第2関数値に対する前記第1関数値の変化率及び前記バッテリーセルに対して予め設定された定数に基づいて前記バッテリーセルの初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出段階と、を含む、バッテリー管理方法。
【請求項13】
前記抵抗変化率算出段階は、(第1関数値-第2関数値)÷第2関数値×100で算出される変化率を、前記バッテリーセルに対して予め設定された定数に乗算することにより、前記抵抗変化率を算出する、請求項12に記載のバッテリー管理方法。
【請求項14】
前記抵抗変化率算出段階の後、算出された抵抗変化率に応じて前記バッテリーセルに設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つの大きさを調整する充放電電流調整段階をさらに含む、請求項
12または13に記載のバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー管理装置及び方法に関し、非破壊抵抗分析を用いてバッテリーセルの抵抗変化を分析する非破壊抵抗分析を用いたバッテリー管理装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2019年4月19日出願の韓国特許出願第10-2019-0046308号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能二次電池についての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
しかし、リチウム二次電池は、充放電によって負極にリチウム金属が析出されるリチウムプレート(Lithium Plate)現象が起こり得、このようなリチウムプレート現象によって、最悪の場合には二次電池が脹れ上がるスウェリング現象(Swelling)、二次電池の破裂または発火が起こり得る危険性がある。
【0006】
そこで、このような危険性を予測及び予防するために、従来技術である特許文献1においては、蓄電量Qと電圧Vに基づいたQ-dV/dQ曲線に沿って二次電池の異常充電状態を判断するリチウム二次電池の異常充電状態検出装置及び検査方法を開示している。
【0007】
しかし、特許文献1は、二次電池に異常充電状態が発生したか否かのみを事後的に判断する構成を開示しているだけで、Q-dV/dQ曲線の解釈によって二次電池の制御条件を変更することで二次電池の異常充電状態発生の原因を解決する構成は、一切開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0099583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、二次電池のQ-V曲線及びQ-dV/dQ曲線に基づいて抽出されたピーク値に応じて、二次電池の初期状態(Beginning of Life,BoL)に対する現在状態の抵抗変化率を算出し、算出された抵抗変化率に応じて二次電池の充電電流及び放電電流の少なくとも一つを調整することで、二次電池の充放電制御条件を変更することができる非破壊抵抗分析を用いたバッテリー管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するための本発明の多様な実施例は、以下のようである。
【0012】
本発明の一面によるバッテリー管理装置は、バッテリーセルの電圧を測定するように構成された電圧測定部と、前記バッテリーセルの電流を測定するように構成された電流測定部と、前記電圧測定部及び電流測定部と接続し、前記電圧測定部から測定された電圧に対する電圧値を受信し、前記電流測定部から測定された電流に対する電流値を受信し、前記受信した電流値に基づいて前記バッテリーセルの蓄電量を推定し、前記推定された蓄電量及び受信した電圧値に基づいて前記バッテリーセルに対する蓄電量-電圧曲線を獲得し、獲得した蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出し、抽出された複数の変曲点のうち所定の条件を満たす特定ポイントの蓄電量を抽出し、前記蓄電量-電圧曲線の導関数から前記抽出された特定ポイントの蓄電量に対する第1関数値を算出し、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから前記第1関数値に対応する第2関数値を抽出し、前記第1関数値及び前記第2関数値に基づいて前記バッテリーセルの初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出するように構成された制御部と、を含み得る。
【0013】
前記制御部は、前記抵抗変化率に応じて前記バッテリーセルに設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つの大きさを調整するように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、前記第1関数値が前記第2関数値よりも小さい場合にのみ、前記バッテリーセルに設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つを減少させるように構成され得る。
【0015】
前記制御部は、前記第2関数値に対する前記第1関数値の増加率を算出し、算出された増加率に基づいて前記バッテリーセルに対して既に保存された初期抵抗に対する現在抵抗変化率を算出するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記蓄電量-電圧曲線に含まれた複数の変曲点を前記蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する第1変曲点グループに区分し、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で特定の順番に位置した変曲点を前記特定ポイントとして抽出するように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、負極活物質と前記負極活物質に対応する抽出対象変曲点の位置情報とがマッピングされて予め保存されたルックアップテーブルにおいて、前記バッテリーセルに含まれた負極活物質の種類に対応する抽出対象変曲点の位置情報を前記特定の順番に選択し、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で前記選択された特定の順番に位置した変曲点を前記特定ポイントとして抽出するように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記バッテリーセルに複数の負極活物質が含まれ、前記予め保存されたルックアップテーブルにおいて前記複数の負極活物質各々の種類に対応する複数の抽出対象変曲点の位置情報が相異なる場合、前記複数の負極活物質各々に対応する複数の特定の順番を選択し、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で前記選択された複数の特定の順番に位置した複数の変曲点各々を前記特定ポイントとして抽出するように構成され得る。
【0019】
前記バッテリーセルは、負極活物質が黒鉛成分を含むように構成され得る。
【0020】
前記制御部は、前記第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち前記蓄電量の大きさを基準で六番目の変曲点を前記特定ポイントとして抽出するように構成され得る。
【0021】
本発明の他面によるバッテリー管理方法は、バッテリーセルの電圧及び電流を測定する電圧及び電流測定段階と、測定された電流に基づいて前記バッテリーセルの蓄電量を推定する蓄電量推定段階と、推定された蓄電量及び測定された電圧値に基づいて前記バッテリーセルに対する蓄電量-電圧曲線を獲得する蓄電量-電圧曲線獲得段階と、獲得した蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出する変曲点抽出段階と、抽出された複数の変曲点のうち所定の条件を満たす特定ポイントの蓄電量を抽出する蓄電量抽出段階と、前記蓄電量-電圧曲線の導関数から前記抽出された特定ポイントの蓄電量に対する第1関数値を算出する第1関数値算出段階と、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから前記第1関数値に対応する第2関数値を抽出する第2関数値抽出段階と、前記第1関数値及び前記第2関数値に基づいて前記バッテリーセルの初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出段階と、を含み得る。
【0022】
本発明のさらに他面によるバッテリー管理方法は、前記抵抗変化率算出段階の後、算出された抵抗変化率に応じて前記バッテリーセルに設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つの大きさを調整する充放電電流調整段階をさらに含み得る。
【0023】
本発明のさらに他面によるバッテリーパックは、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置を含み得る。
【0024】
本発明のさらに他面による電気自動車は、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置を含み得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施例によれば、EIS(Electrochemical Impedance Spectroscopy)分析を用いなくても、バッテリーセルのQ-V曲線及びQ-dV/dQ曲線を用いて非破壊的にバッテリーセルの抵抗変化率を算出することができる。
【0026】
また、本発明の一実施例によれば、Q-V曲線及びQ-dV/dQ曲線解析によってバッテリーセルの抵抗変化率が短時間内に算出されるので、バッテリーセルの現在状態に最適化した充電電流及び放電電流の少なくとも一つを迅速に設定できるという長所がある。
【0027】
また、本発明の一実施例によれば、バッテリーセルに含まれた負極活物質の種類及び個数を考慮してバッテリーセルの抵抗変化率を算出するため、バッテリーセルの抵抗変化率算出の信頼性が高くなるという長所がある。
【0028】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるであろう。
【0029】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリー管理装置を含むバッテリーパックを概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施例によるバッテリー管理装置を概略的に示したブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例によるバッテリー管理装置が獲得した蓄電量-電圧曲線の一例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施例によるバッテリー管理装置が獲得した蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の一例を示した図である。
【
図5】バッテリーセルのEIS分析結果を示した図である。
【
図6】本発明の一実施例によるバッテリー管理方法を概略的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0032】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0033】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0034】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0035】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0036】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0037】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100を含むバッテリーパック1000を概略的に示す図である。
【0039】
図1を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、複数のバッテリーセル11が含まれたバッテリーモジュール10と電気的に接続して複数のバッテリーセル11を管理し得る。
【0040】
バッテリー管理装置100は、バッテリーセル11各々の電圧及び電流を測定し、充電状態(State of Charge,SOC)を推定できる。ここで、充電状態はバッテリーセル11各々の蓄電量Qを意味し、以下では充電状態を蓄電量として説明する。
【0041】
バッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の蓄電量-電圧曲線に基づいてバッテリーセル11の抵抗変化率を算出し、算出した抵抗変化率に基づいてバッテリーセル11各々の充電電流及び放電電流の少なくとも一つを調整できる。したがって、バッテリー管理装置100は、バッテリーセル11各々に最適化した充電電流及び放電電流を設定することで、バッテリーセル11の過充電または過放電などの問題を予め防止することができる。
【0042】
また、バッテリー管理装置100は、前記バッテリーモジュール10と共にバッテリーパック1000に含まれ得る。
図1は、バッテリーパック1000に一つのバッテリーモジュール10と一つのバッテリー管理装置100が含まれた例を示したが、バッテリーパック1000に含まれたバッテリーモジュール10及びバッテリー管理装置100の個数は、
図1に示した個数に限定されない。同様に、バッテリーモジュール10に含まれたバッテリーセル11の個数も、
図1に示した個数に限定されない。
【0043】
バッテリー管理装置100の具体的な構成は、
図2を参照して説明する。
図2は、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100を概略的に示したブロック図である。
【0044】
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、電圧測定部110、電流測定部及び制御部130を含み得る。
【0045】
電圧測定部110は、バッテリーセル11の電圧を測定するように構成され得る。即ち、電圧測定部110は、バッテリーパック1000に含まれたバッテリーセル11の電圧を測定し得る。ここで、バッテリーパック1000には、複数のバッテリーセル11が相互に接続した形態で含まれ得る。電圧測定部110は、このように相互に接続した複数のバッテリーセル11各々の電圧を測定し得る。より具体的に、複数のバッテリーセル11は、バッテリーモジュール10に含まれて相互に接続し得る。電圧測定部110は、センシングラインによって各々のバッテリーセル11と電気的に接続し、バッテリーセル11各々の電圧を測定し得る。
【0046】
例えば、
図1に示したように、バッテリー管理装置100は、センシングラインSL1、SL2、SL3、SL4及びSL5によってバッテリーモジュール10に含まれたバッテリーセルC1、C2、C3及びC4と電気的に接続し得る。即ち、電圧測定部110は、センシングラインSL1、SL2、SL3、SL4及びSL5によって接続したバッテリーモジュール10に含まれたバッテリーセル11各々の電圧を測定し得る。具体的に、電圧測定部110は、第1センシングラインSL1及び第2センシングラインSL2によって第1バッテリーセルC1の電圧を測定し、第2センシングラインSL2及び第3センシングラインSL3によって第2バッテリーセルC2の電圧を測定し得る。また、電圧測定部110は、第3センシングラインSL3及び第4センシングラインSL4によって第3バッテリーセルC3の電圧を測定し、第4センシングラインSL4及び第5センシングラインSL5によって第4バッテリーセルC4の電圧を測定し得る。
【0047】
電流測定部は、バッテリーセル11の電流を充電するように構成され得る。即ち、電流測定部は、バッテリーセル11に入力される充電電流またはバッテリーセル11から出力される電流を測定するように構成され得る。例えば、
図2の実施例において、電流測定部は、センス抵抗Rの両端に接続し、充電電流または放電電流を測定し得る。
【0048】
制御部130は、電圧測定部110及び電流測定部と接続するように構成され得る。即ち、制御部130は、電圧測定部110及び電流測定部と回路的に接続し、電圧測定部110及び電流測定部の動作を制御し得る。例えば、
図2の実施例のように、制御部130と電圧測定部110とがラインによって接続し、制御部130と電流測定部とが他のラインによって接続し得る。ここで、制御部130と電圧測定部110及び制御部130と電流測定部に接続したラインは、電気的信号を送受信できる導線の一例であり得る。
【0049】
制御部130は、電圧測定部110から測定された電圧に対する電圧値を受信するように構成され得る。例えば、電圧測定部110は、バッテリーセル11の電圧を測定し、測定した電圧に対する電圧値を制御部130と接続したラインを通じて制御部130に送信し得る。制御部130は、電圧測定部110と接続したラインを通じて電圧測定部110が測定したバッテリーセル11の電圧に対する電圧値を受信し得る。
【0050】
制御部130は、電流測定部から測定された電流に対する電流値を受信するように構成され得る。制御部130が電圧測定部110から電圧値を受信することと同様に、制御部130は、電流測定部が測定したバッテリーセル11の電流に対する電流値を受信し得る。例えば、電流測定部は、バッテリーセル11の電流を測定し、測定した電流に対する電流値を制御部130と接続したラインを通じて制御部130に送信し得る。制御部130は、電流測定部と接続したラインを通じて電流測定部が測定したバッテリーセル11の電流に対する電流値を受信し得る。
【0051】
制御部130は、受信した電流値に基づいてバッテリーセル11の蓄電量を推定するように構成され得る。ここで、蓄電量は、バッテリーセル11の充電状態SOCであって、制御部130は電流測定部から受信した電流値に基づいてバッテリーセル11の蓄電量を推定し得る。
【0052】
例えば、バッテリーセル11が完全放電状態から、1Cの充電電流で、30分間充電されたと仮定する。制御部130は、バッテリーセル11に印加される充電電流に対する電流値及びバッテリーセル11が充電された時間に基づいて、バッテリーセル11の蓄電量が50%であると推定し得る。即ち、制御部130は、公知の電流積算法を用いてバッテリーセル11の蓄電量を推定し得る。
【0053】
制御部130は、推定した蓄電量及び受信した電圧値に基づいてバッテリーセル11に対する蓄電量-電圧曲線を獲得するように構成され得る。獲得された蓄電量-電圧曲線については、
図3を参照して具体的に説明する。
【0054】
図3は、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100が獲得した蓄電量-電圧曲線の一例を示した図である。
図3を参照すれば、蓄電量-電圧曲線は、X軸が蓄電量Q(%)であり、Y軸が電圧Vである二次元グラフで示され得る。具体的に、
図3には、BoL(Beginning of Life)状態301、100サイクルの充放電が行われた100サイクル状態303及び500サイクルの充放電が行われた500サイクル状態305の蓄電量-電圧曲線が示されている。
【0055】
ここで、BoL状態301、100サイクル状態303及び500サイクル状態305の蓄電量-電圧曲線は、次の条件で測定された電圧及び電流に基づいて得られた。バッテリーセル11は、負極活物質として黒鉛を含む製品を使用しており、温度は45℃を維持した。また、バッテリーセル11の完全放電状態で3.0Vから4.2Vまで充電電流0.05Cで充電するときに測定された電圧及び電流に基づいて得られた。また、100サイクル状態303のバッテリーセル11は、BoL状態301のバッテリーセル11を1CPで100サイクルを動作させた状態である。そして、500サイクル状態303のバッテリーセル11は、BoL状態301のバッテリーセル11を1CPで500サイクルを動作させた状態であって、100サイクル状態303のバッテリーセル11を1CPで400サイクルをさらに動作させた状態と同一である。
【0056】
図3の実施例を参照すれば、大体に多くの蓄電量範囲で500サイクル状態305の蓄電量がBoL状態301及び100サイクル状態303よりも高く現れることを確認することができる。
【0057】
例えば、電圧測定部110は、第1時点でバッテリーセル11の電圧を測定し、測定した電圧に対する第1電圧値を制御部130に送信し得る。同様に、電流測定部は、第1時点でバッテリーセル11の電流を測定し、測定した電流に対する第1電流値を制御部130に送信し得る。制御部130は、第1電圧値及び第1電流値を受信し、第1電流値に基づいてバッテリーセル11の第1蓄電量を推定し得る。制御部130は、受信した第1電圧値と、推定した第1蓄電量とを相互にマッピングし得る。その後、制御部130は、第2時点で測定された第2電圧値と、第2時点で測定された第2電流値に基づいて推定された第2電流値とを相互にマッピングし得る。制御部130は、バッテリーセル11が満充電されるまで、各時点で測定されたバッテリーセル11の電圧値と、推定されたバッテリーセル11の蓄電量とを相互にマッピングし得る。制御部130は、相互にマッピングされたバッテリーセル11の電圧値及び蓄電量に基づいて、バッテリーセル11に対する蓄電量-電圧曲線を獲得し得る。
【0058】
制御部130は、獲得した蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出するように構成され得る。ここで、変曲点(Point of Inflection)とは、微積分学で通常使用する用語であって、屈曲の方向が変わる部分となる曲線上における地点(Point)またはピーク(Peak)を意味する。即ち、制御部130は、獲得した蓄電量-電圧曲線上における点のうち屈曲の方向が変わる地点に位置した複数の変曲点または複数のピークを抽出し得る。以下、説明の便宜のために、蓄電量-電圧曲線において屈曲の方向が変わる地点を変曲点として説明する。
【0059】
制御部130が獲得した蓄電量-電圧曲線は、全区間で二回の微分が可能な関数である。したがって、二回の微分が可能な関数から変曲点を抽出する方法は公知であるので、制御部130が獲得した蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出する方法についての詳しい説明は省略する。
【0060】
制御部130が抽出した複数の変曲点については、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100が獲得した蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の一例を示す図である。蓄電量-電圧曲線の導関数曲線は、X軸が蓄電量Qであり、Y軸が微分電圧値dV/dQである二次元グラフで示され得る。以下では、説明の便宜のために、蓄電量-電圧曲線の導関数を導関数として、蓄電量-電圧曲線の導関数の曲線を導関数曲線として説明する。
【0061】
例えば、
図4の実施例を参照すれば、制御部130は、BoL状態301、100サイクル状態303及び500サイクル状態305の各々に対する導関数曲線から複数の変曲点を抽出し得る。但し、
図4の実施例では、BoL状態301、100サイクル状態303及び500サイクル状態305各々の導関数曲線から目視で変曲点の確認が可能であるので、500サイクル状態305の導関数曲線のみに複数の変曲点を示した。制御部130が500サイクル状態305の導関数曲線から抽出した複数の変曲点は、a2~a6及びb1~b6を含み得る。但し、a1変曲点は、一般的に蓄電量が0%~10%である区間に存在するが、他の変曲点とY軸値である微分電圧値が大きい差を有する地点に位置することから、図面の可視性及び説明の便宜のために図示を省略している。
【0062】
制御部130は、抽出した複数の変曲点のうち所定の条件を満たす特定ポイントの蓄電量を抽出するように構成され得る。即ち、制御部130は、抽出した複数の変曲点のうち予め設定された所定の条件を満たす特定ポイントを選択し、選択した特定ポイントの蓄電量を抽出し得る。ここで、制御部130が抽出する特定ポイントの蓄電量は、蓄電量-電圧曲線における特定ポイントのX軸値であり得る。
【0063】
下記の表1は、
図4の実施例において、BoL状態301、100サイクル状態303及び500サイクル状態305各々に対する導関数曲線から選択した一部の変曲点の蓄電量(X軸値)及び微分電圧値(Y軸値)を示した表である。具体的に、表1は、500サイクル状態305の導関数曲線に位置したa2、a4及びa6と、BoL状態301及び100サイクル状態303の導関数曲線においてa2、a4及びa6に対応する変曲点の蓄電量及び微分電圧値を示した表である。
【0064】
【0065】
表1は、蓄電量及び微分電圧値を保存するテーブルの一例であって、表1では、a2、a4及びa6に対する蓄電量及び微分電圧値のみを示したが、これに限定されず、a1、a3、a5及びb1~b6変曲点に対する蓄電量及び微分電圧値も保存され得る。
【0066】
例えば、現在のバッテリーセル11が500サイクル状態305にあると仮定する。表1を参照すると、500サイクル状態305の導関数曲線に含まれた複数の変曲点のうちa6が前記所定の条件を満たす特定ポイントとして選択されたら、制御部130は、a6が500サイクル状態305の導関数曲線に位置する地点のX軸値をa6の蓄電量として抽出し得る。この場合、制御部130は、a6の蓄電量として0.64を抽出し得る。
【0067】
制御部130は、蓄電量-電圧曲線の導関数から抽出された特定ポイントの蓄電量に対する第1関数値を算出し得る。即ち、制御部130は、現在のバッテリーセル11の導関数曲線から特定ポイントの微分電圧値(Y軸値)を第1関数値として算出し得る。
【0068】
例えば、前述した実施例のように、バッテリーセル11が500サイクル状態305であり、500サイクル状態305の導関数曲線に位置するa6が特定ポイントとして選択されたと仮定する。
図4及び表1を参照すれば、制御部130は、500サイクル状態305の導関数曲線からa6の蓄電量に対する微分電圧値を第1関数値として算出し得る。例えば、制御部130は、500サイクル状態305曲線からa6の微分電圧値である1.16を第1関数値として算出し得る。
【0069】
制御部130は、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから第1関数値に対応する第2関数値を抽出するように構成され得る。ここで、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルは、
図3の実施例において、BoL状態301の蓄電量-電圧曲線に含まれた変曲点に対する蓄電量及び微分電圧値を保存したテーブルを含み得る。例えば、基準蓄電量-電圧テーブルは、表1においてBoL状態301に対する行を含むテーブルを意味する。
【0070】
ここで、第1関数値は、現在のバッテリーセル11の導関数曲線における特定ポイントの関数値である。また、第1関数値に対応する第2関数値は、BoL状態の導関数曲線において前記特定ポイントの蓄電量と同じ蓄電量を有する変曲点の関数値であり得る。即ち、第1関数値は、現在のバッテリーセル11の導関数曲線に含まれた複数の変曲点のうち所定の条件を満たす特定ポイントの関数値であり、第2関数値は、BoL状態301の導関数曲線に含まれた複数の変曲点のうち前記特定ポイントと同じX軸値を有する変曲点の関数値であり得る。
【0071】
具体的に、第2関数値は、BoL状態301の導関数曲線において、特定ポイントと蓄電量が同一な変曲点の微分電圧値であり得る。例えば、特定ポイントの蓄電量がA(%)であると仮定すると、第1関数値は、現在のバッテリーセル11の導関数曲線とX=A直線とが交わる地点における現在のバッテリーセル11の導関数曲線の微分電圧値であり、第2関数値は、BoL状態301の導関数曲線とX=A直線とが交わる地点におけるBoL状態の導関数曲線の微分電圧値であり得る。
【0072】
例えば、
図4及び表1の実施例において、バッテリーセル11が500サイクル状態305であり、特定ポイントとしてa6が選択されたと仮定する。第1関数値は、500サイクル状態305の導関数曲線においてa6の微分電圧値である1.42であり、第2関数値は、BoL状態301の導関数曲線においてa6と同一な蓄電量0.64の微分電圧値である1.16であり得る。
【0073】
制御部130は、第1関数値及び第2関数値に基づいてバッテリーセル11の初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出するように構成され得る。即ち、制御部130は、第1関数値と第2関数値の変化率に基づいてバッテリーセル11の抵抗変化率を算出し得る。ここで、抵抗変化率は、バッテリーセル11の現在抵抗が初期抵抗に比べてどれぐらい増加または減少したかの変化率(%)を意味する。例えば、初期抵抗がK[Ω]であり、現在抵抗が1.5K[Ω]であると仮定すれば、一般的に抵抗変化率は「(1.5K-K)÷K×100」によって計算され、抵抗変化率が50%であり得る。即ち、制御部130は、第1関数値及び第2関数値の関数値変化率に基づいて、バッテリーセル11の初期抵抗の抵抗変化率を算出し得る。
【0074】
バッテリーセル11の抵抗変化率は、ハーフセルに対するEIS分析によって被膜抵抗(Solid-Electrolyte Interphase Resistance)及び電荷移動抵抗(Charge Transfer Resistance)を算出することが通常である。即ち、バッテリーセル11に対する非破壊的な分析方法を用いては、バッテリーセル11の抵抗変化率を正確に算出することが事実上不可能であるという問題がある。しかし、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の蓄電量-電圧曲線の変曲点のうち特定ポイントの微分電圧値(Y軸値)の変化量に基づき、非破壊的に、バッテリーセル11の抵抗変化率を実際の抵抗変化率と非常に近似に算出することができる。即ち、バッテリー管理装置100は、EIS分析を行わなくても、実際の抵抗変化率と非常に近似なバッテリーセル11の抵抗変化率を迅速かつ容易に算出することができる。
【0075】
前記制御部130は、以後に開示される多様な制御ロジッグを実行するために、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、前記制御ロジッグがソフトウェアとして具現されるとき、前記制御部130は、プログラムモジュールの集合によって具現され得る。この際、プログラムモジュールはメモリに保存され、プロセッサによって実行され得る。前記メモリは、プロセッサの内部または外部に設けられ得、公知の多様な手段でプロセッサと接続し得る。また、前記メモリは、本出願の保存部140に含まれ得る。また、前記メモリは、デバイスの種類に関係なく情報が保存されるデバイスを総称し、特定のメモリデバイスを指すことではない。
【0076】
前記制御部130は、二次電池と電気的に結合できるバッテリー管理システム(Battery Management System:BMS)であるか、または前記バッテリー管理システムに含まれる制御要素であり得る。前記バッテリー管理システムは、本願発明が属する技術分野でBMSと呼ばれるシステムを意味し得るが、機能的な観点で本願で記述された少なくとも一つの機能を行うシステムであれば、いずれも前記バッテリー管理システムの範疇に含まれる。
【0077】
また、
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、保存部140をさらに含み得る。保存部140は、本発明によるバッテリー管理装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータやプログラムなどを保存し得る。ここで、保存部140は、データを記録、消去、更新及び読出可能な公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、情報保存手段には、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EEPROM、レジスターなどが挙げられる。
【0078】
例えば、保存部140は、制御部130によってマッピングされた微分電圧値及び蓄電量に対するデータを保存し得る。また、保存部140には、BoL状態の導関数曲線に対する基準蓄電量-電圧テーブルが予め保存され得る。また、保存部140は、関数値変化率を抵抗変化率に換算するための定数Cを含み得る。その他にも保存部140は、制御部130によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0079】
制御部130は、算出した抵抗変化率に応じてバッテリーセル11に設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つの大きさを調整するように構成され得る。即ち、制御部130は、算出した抵抗変化率を用いてバッテリーセル11の充放電を制御し得る。
【0080】
例えば、
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、充電部150をさらに含み得る。バッテリーセル11に電流を供給する充電部150は、バッテリー管理装置100の内部に含まれるか、バッテリー管理装置100の外部に備えられることも可能である。
【0081】
バッテリー管理装置100の内部に含まれる充電部150及びバッテリー管理装置100の外部に備えられた充電部150のいずれも、制御部130と電気的に接続し、バッテリーセル11に電流を供給し得る。一実施例で、バッテリー管理装置100の外部に備えられた充電部150は、コネクターを用いて制御部130と接続し得る。前記コネクターには通信線路が含まれ、充電部150は制御部130と通信可能である。
【0082】
充電部150は、既に設定されたC-RATEで前記バッテリーセル11を充電するように構成され得る。例えば、バッテリーセル11の充電電流が0.05C-RATEで既に設定された場合、充電部150は、0.05C-RATEでバッテリーセル11を充電し得る。ここで、既に設定されたC-RATE情報は、保存部140に保存され得る。
【0083】
制御部130は抵抗変化率を算出し、算出した抵抗変化率に応じて既に設定されたC-RATEを調整することで、充電部150が調整されたC-RATEでバッテリーセル11を充電するように充電部150を制御し得る。例えば、算出された抵抗変化率が10%であり、既に設定されたC-RATEが0.05Cであると仮定する。制御部130は、既に設定されたC-RATEを10%減少させ、充電部150は0.045Cでバッテリーセル11を充電し得る。
【0084】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の抵抗変化率の算出だけでなく、算出した抵抗変化率に基づいてバッテリーセル11の充電電流または放電電流の少なくとも一つを調整し得る。これによって、バッテリーセル11には、バッテリーセル11の変化した抵抗状態に最適化した充電及び/または放電電流が印加されることで、バッテリーセル11の退化による過放電または過充電などの問題が未然に防止されるという長所がある。また、バッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の変化した抵抗に対応する充電及び/または放電電流を印加することで、バッテリーセル11の過充電を防止することで、負極活物質の表面からリチウムが析出されるリチウムプレーティング(Lithium Plating)現象を防止することができる。
【0085】
望ましくは、制御部130は、第1関数値が第2関数値よりも小さい場合のみに、バッテリーセル11に設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つを減少させるように構成され得る。
【0086】
制御部130は、バッテリーセル11の抵抗変化率を算出し、算出した抵抗変化率が負数であれば、バッテリーセル11に設定された充電電流または放電電流の少なくとも一つを減少させなくてもよい。即ち、制御部130は、バッテリーセル11の退化によって抵抗が増加した場合のみにバッテリーセル11に設定された充電電流または放電電流の少なくとも一つを減少させることができる。
【0087】
本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、抵抗変化率の大きさのみを以ってバッテリーセル11に設定された充電及び/または放電電流を調整せず、抵抗変化率の大きさ及び増減有無に基づいてバッテリーセル11に設定された充電及び/または放電電流を調整すし得る。即ち、バッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の抵抗が減少した場合のみにバッテリーセル11に設定された充電及び/または放電電流を調整することで、無駄な充電及び/または放電電流の調整を行わなくてもよいという長所がある。
【0088】
制御部130は、第2関数値に対する第1関数値の増加率を算出し、算出された増加率に基づいてバッテリーセル11に対して既に保存された初期抵抗に対する現在抵抗の変化率を算出するように構成され得る。
【0089】
例えば、制御部130は、「(第1関数値-第2関数値)÷第2関数値×100」の数式によって関数値(微分電圧値)の変化率(%)を算出し得る。そして、制御部130は、算出した関数値の変化率に基づき、下記の数式1を用いてバッテリーセル11の抵抗変化率を算出できる。
【0090】
【0091】
前記数式1において、△Rは抵抗変化率であり、IMoLはMoL(Middle of Life)状態のバッテリーセル11の導関数曲線から算出された特定ポイントの第1関数値であり、IBoLはBoL状態の導関数曲線から算出された特定ポイントの第2関数値であり、Cは、バッテリーセル11の各々に対して予め設定された定数である。例えば、前述した例示と同様に、特定ポイントは、導関数曲線において特定の変曲点の位置に対応するポイントであり得る。望ましくは、特定ポイントは、導関数曲線において6番目の変曲点であり得る。
【0092】
即ち、制御部130は、第1関数値に対する第2関数値の変化率に基づき、バッテリーセル11の抵抗変化率を算出し得る。例えば、
図4及び表1の実施例において、バッテリーセル11が500サイクル状態305であり、特定ポイントとしてa6が選択されたと仮定する。制御部130は、第1関数値として1.42を算出し、前記既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから第2関数値として1.16を抽出し得る。そして、制御部130は、「(1.42-1.16)÷1.16×100」を計算し、関数値の変化率を22.41(%)として算出できる。最後に、制御部130は、「22.41(%)×C」を計算し、抵抗変化率を算出できる。
【0093】
前記数式1において、Cは、制御部130が算出した関数値の変化率をバッテリーセル11に対する抵抗変化率に換算するための定数であって、実験的に得られた定数であり得る。例えば、Cは、バッテリーセル11の製品種類によって予め設定され得る。
【0094】
Cの算出については、
図5及び下記の表を参照して説明する。
図5は、バッテリーセル11のEIS分析結果を示した図であり、表2は、
図5のe1、e2及びe3地点のX軸値を示す表である。
【0095】
【0096】
表2において、100サイクル状態303の抵抗変化率は、「(e2-e3)÷e3×100」によって計算され、500サイクル状態305の抵抗変化率は、「(e1-e3)÷e3×100」によって計算できる。
【0097】
図5及び表2を参照すれば、100サイクル状態303の抵抗と500サイクル状態305の抵抗がいずれもBoL状態301の抵抗よりも減少したことが分かる。即ち、Cは、制御部130から算出された関数値の変化率、例えば、 22.41(%)を、実際に測定された抵抗変化率である-10.44(%)に換算するための定数であって、Cは、「10.44×(-1)÷22.41」によって算出できる。このとき、Cは-0.4659として算出される。
【0098】
したがって、制御部130は、実験的に得られた定数Cを用いて算出した関数値の変化率を抵抗変化率に換算することで、バッテリーセル11の抵抗変化率を算出できる。
【0099】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置は、所定の条件を満たす特定ポイントに基づいて算出された第1関数値と抽出された第2関数値との間の変化率に基づいてバッテリーセルの抵抗変化率を算出できる。したがって、バッテリーセルの抵抗変化率を非破壊的な方法で算出することができ、抵抗変化率算出に必要な時間がEIS分析による抵抗変化率の算出よりも画期的に短縮されるという長所がある。
【0100】
制御部130は、蓄電量-電圧曲線に含まれた複数の変曲点を、蓄電量-電圧曲線の導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する第1変曲点グループに区分するように構成され得る。
【0101】
例えば、
図4の実施例において、「a」は、導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する変曲点を意味し、「b」は、導関数曲線の概形が下方へ膨らんでいる概形を有する変曲点を意味し、「数字」は、変曲点の順番または位置情報を意味する。即ち、a1変曲点は、導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する変曲点のうち蓄電量の大きさが最小である変曲点を意味し、b1変曲点は、導関数曲線の概形が下方へ膨らんでいる概形を有する変曲点のうち蓄電量の大きさが最小である変曲点を意味する。したがって、制御部130は、導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有するa1~a6を第1変曲点グループに区分し、導関数曲線の概形が下方へ膨らんでいる概形を有するb1~b6を第2変曲点グループに区分し得る。
【0102】
また、制御部130は、第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち蓄電量の大きさを基準で特定の順番に位置した変曲点を特定ポイントとして抽出するように構成され得る。即ち、特定ポイントを抽出する所定の条件は、蓄電量の大きさを基準で特定の順番に位置する条件であり得る。例えば、所定の条件は、バッテリーセル11の蓄電量-電圧曲線に含まれた複数の変曲点のうち抵抗の増減に最も敏感な変曲点を選択するための条件であり得る。
【0103】
例えば、所定の条件が蓄電量の大きさを基準で六番目に位置する条件として予め設定されたら、前記所定の条件を満たす特定ポイントは、第1変曲点グループに属した変曲点のうち蓄電量の大きさが六番目であるa6が選択され得る。他の例で、蓄電量の大きさを基準で二番目に位置する条件に予め設定されたら、前記所定の条件を満たす特定ポイントは、第1変曲点グループに属した変曲点のうち蓄電量の大きさが二番目であるa2が選択され得る。
【0104】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の導関数曲線に含まれた複数の変曲点のうち抵抗の増減に最も敏感な一つの変曲点に基づいて関数値変化率を算出し、算出した関数値変化率に基づいてバッテリーセル11の抵抗変化率を算出し得る。したがって、バッテリー管理装置100は、抵抗変化に鈍感な変曲点を抵抗変化率の算出から除くことで、抵抗変化率の算出時に発生し得る誤謬を最小に減らすことができる。また、バッテリー管理装置100は、複数のバッテリーセル11が含まれた電気自動車またはエネルギー貯蔵装置などの産業分野においてもバッテリーセル11各々の抵抗変化率を迅速に算出することができる。
【0105】
制御部130は、負極活物質と前記負極活物質に対応する抽出対象変曲点の位置情報とがマッピングされて予め保存されたルックアップテーブルであって、バッテリーセル11に含まれた負極活物質の種類に対応する抽出対象変曲点の位置情報を前記特定の順番に選択するように構成され得る。
【0106】
ここで、予め保存されたルックアップテーブルは、負極活物質と負極活物質に対応する抽出対象変曲点の位置情報とがマッピングされたテーブルであって、保存部140に予め保存され得る。即ち、予め保存されたルックアップテーブルには、負極活物質の種類と負極活物質を含むバッテリーセル11の抵抗変化に最も敏感な変曲点の位置情報とが含まれ得る。ここで、抽出対象変曲点は、前記バッテリーセル11の抵抗変化に最も敏感に変化する変曲点であり得る。
【0107】
一般的に、負極活物質各々は、蓄電量-電圧曲線で複数個の変曲点を有し、この複数個の変曲点には、抵抗変化に最も敏感な変曲点が含まれ得る。したがって、保存部140には負極活物質の種類と、負極活物質に対応する抽出対象変曲点の位置情報が保存され得る。
【0108】
また、制御部130は、第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち蓄電量の大きさを基準で前記選択された特定の順番に位置した変曲点を特定ポイントとして抽出するように構成され得る。制御部130は、バッテリーセル11の負極活物質の種類によって抵抗変化率に基礎になる変曲点を選択し得る。
【0109】
即ち、本発明の一実施例によれば、バッテリーの種類、特に、バッテリーに含まれた負極活物質の種類によって特定ポイントを選択する所定の条件が相違に設定できる。したがって、本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の負極活物質の種類を考慮して、バッテリーセル11の抵抗変化率を算出することで、バッテリーセル11の抵抗変化率に対する呉算出の可能性を顕著に低めることができる。
【0110】
望ましくは、制御部130は、バッテリーセル11に複数の負極活物質が含まれ、前記予め保存されたルックアップテーブルにおいて複数の負極活物質各々の種類に対応する複数の抽出対象変曲点の位置情報が相異なる場合、複数の負極活物質各々に対応する複数の特定の順番を選択し得る。
【0111】
バッテリーセル11に複数の負極活物質が含まれた場合、負極活物質ごとに抵抗変化に敏感に変わる変曲点が相違し得る。したがって、制御部130は、予め保存されたルックアップテーブルから複数の負極活物質の種類及び個数に対応する複数の特定の順番を選択し得る。
【0112】
例えば、バッテリーセル11の負極活物質に黒鉛とシリコンが含まれた場合、制御部130は、ルックアップテーブルから黒鉛に対応する第1特定の順番とシリコンに対応する第2特定の順番を選択し得る。
【0113】
また、制御部130は、第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち蓄電量の大きさを基準で前記複数の特定の順番に位置した複数の変曲点各々を前記特定ポイントから抽出するように構成され得る。
【0114】
例えば、前述した実施例のように、バッテリーセル11の負極活物質に黒鉛とシリコンが含まれた場合、制御部130は、蓄電量-電圧曲線に含まれた複数の変曲点のうち第1特定の順番に位置した第1変曲点を第1特定ポイントとして抽出し、第2特定の順番に位置した第2変曲点を第2特定ポイントとして抽出し得る。ここで、もし、第1特定の順番と第2特定の順番とが同じ場合、制御部130は、前述した実施例で一つの特定の順番を選択した場合と同様に、一つの特定の順番に基づいて一つの特定ポイントとして抽出し得る。
【0115】
制御部130は、選択した複数の特定ポイントとして算出された複数の関数値の変化率に基づき、抵抗変化率を算出し得る。例えば、制御部130は、複数の特定ポイントとして算出された複数の関数値の平均変化率に基づいて抵抗変化率を算出し得る。他の例では、抵抗変化率に対する呉算出は、バッテリーセル11の充電及び/または放電制御に直接影響を及ぼし得るため、制御部130は、複数の特定ポイントとして算出された複数の関数値のうち最大の関数値に基づいて抵抗変化率を算出することも可能である。
【0116】
本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、バッテリーセル11に含まれた負極活物質の種類及び個数に応じて抵抗変化率の算出に基礎になる変曲点を複数個抽出できる。したがって、バッテリー管理装置100は、バッテリーセル11の抵抗変化率をより正確に算出することができる。
【0117】
例えば、バッテリーセル11は、負極活物質が黒鉛成分を含むように構成され得る。そして、制御部130は、第1変曲点グループに属する複数の変曲点のうち蓄電量の大きさを基準で六番目の変曲点を特定ポイントとして抽出するように構成され得る。
【0118】
図3は、黒鉛を負極活物質として含むバッテリーセル11の蓄電量-電圧曲線を示した図であり、
図4は、前記黒鉛を負極活物質として含むバッテリーセル11の導関数曲線を示した図であり、表1及び表2は、前記黒鉛を負極活物質として含むバッテリーセル11の実験のデータを示した表である。
【0119】
図4を参照すれば、負極活物質として黒鉛のみが含まれたバッテリーセル11は、導関数曲線の概形が上方へ膨らんでいる概形を有する複数の変曲点のうち蓄電量を基準で六番目に位置した変曲点が抵抗変化に最も敏感に変わることが分かる。
【0120】
したがって、負極活物質が黒鉛である場合、前記抽出対象変曲点の位置は、第1変曲点グループに属した変曲点のうち蓄電量を基準で六番目の位置に保存され得る。そして、制御部130は、蓄電量を基準で六番目に位置した変曲点を特定ポイントとして抽出し得る。
【0121】
本発明の一実施例によるバッテリー管理装置100は、黒鉛を負極活物質として含むバッテリーセル11に対し、特定の変曲点の関数値の変化率からバッテリーセル11の抵抗変化率を迅速かつ正確に算出できる。したがって、黒鉛を負極活物質として含むバッテリーセル11の抵抗変化率に対する呉算出の可能性が低くなる。また、バッテリーセル11の充放電制御がバッテリーセル11の現在抵抗状態に基づいて最適化できる。
【0122】
以下、
図6を参照して、本発明の一実施例によるバッテリー管理方法について説明する。
図6は、本発明の一実施例によるバッテリー管理方法を概略的に示したフローチャートである。ここで、バッテリー管理方法は、バッテリー管理装置100で動作し得る。
【0123】
図6を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリー管理方法は、電圧及び電流測定段階S101、蓄電量推定段階S103、蓄電量-電圧曲線獲得段階S105、変曲点抽出段階S107、蓄電量抽出段階S109、第1関数値算出段階S111、第2関数値抽出段階S113、抵抗変化率算出段階S115及び充放電電流調整段階S117を含み得る。
【0124】
電圧及び電流測定段階S101は、バッテリーセル11の電圧及び電流を測定する段階である。電圧及び電流測定段階S101において、バッテリーセル11の電圧測定は電圧測定部110で行われ、バッテリーセル11の電流測定は電流測定部で行われ得る。
【0125】
電圧測定部110は、測定したバッテリーセル11の電圧に対する電圧値を制御部130に送信し得る。電流測定部は、測定したバッテリーセル11の電流に対する電流値を制御部130に送信し得る。
【0126】
蓄電量推定段階S103は、測定された電流に基づいてバッテリーセル11の蓄電量を推定する段階である。蓄電量推定段階S103は、制御部130で行われ得る。
【0127】
制御部130は、電流測定部から受信した電流値に基づいてバッテリーセル11の蓄電量を推定し得る。ここで、制御部130は、公知の電流積算法などを用いてバッテリーセル11の蓄電量を推定し得る。
【0128】
蓄電量-電圧曲線獲得段階S105は、推定された蓄電量及び測定された電圧値に基づいてバッテリーセル11に対する蓄電量-電圧曲線を獲得する段階である。蓄電量-電圧曲線獲得段階S105は、制御部130で行われ得る。
【0129】
制御部130は、推定された蓄電量と測定された電圧値とを相互にマッピングして、蓄電量-電圧曲線を獲得し得る。例えば、制御部130は、マッピングされた蓄電量-電圧データに基づき、X軸が蓄電量Q(%)であり、Y軸が電圧Vである二次元平面で蓄電量-電圧曲線を示し得る。
図3を参照すれば、制御部130は、BoL状態301、100サイクル状態303及び500サイクル状態305の蓄電量-電圧曲線を獲得し得る。
【0130】
変曲点抽出段階S107は、獲得された蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出する段階である。変曲点抽出段階S107は、制御部130で行われ得る。
【0131】
制御部130は、獲得した蓄電量-電圧曲線上の点のうち屈曲方向が変わる地点に位置した複数の変曲点を抽出し得る。制御部130は、曲線から変曲点を抽出する公知の数学的な方式によって蓄電量-電圧曲線から複数の変曲点を抽出し得る。
【0132】
蓄電量抽出段階S109は、抽出された複数の変曲点のうち所定の条件を満たす特定ポイントの蓄電量を抽出する段階である。蓄電量抽出段階S109は、制御部130で行われ得る。
【0133】
制御部130は、抽出した複数の変曲点のうち予め設定された所定の条件を満たす特定ポイントを選択し、選択した特定ポイントの蓄電量を抽出し得る。即ち、制御部130は、蓄電量-電圧曲線から選択した特定ポイントのX軸値を抽出することで、前記特定ポイントの蓄電量を抽出し得る。例えば、選択された特定ポイントを(蓄電量,微分電圧値)で示したとき、選択された特定ポイントが(0.64,1.42(%))であると仮定する。この場合、制御部130は、0.64を特定ポイントの蓄電量として抽出し得る。
【0134】
第1関数値算出段階S111は、前記蓄電量-電圧曲線の導関数から、前記抽出された特定ポイントの蓄電量に対する第1関数値を算出する段階である。第1関数値算出段階S111は、制御部130で行われ得る。
【0135】
制御部130は、現在のバッテリーセル11の導関数曲線から、特定ポイントの微分電圧値(Y軸値)を第1関数値として算出し得る。例えば、前述した実施例と同様に、選択された特定ポイントが(0.64,1.42(%))であると仮定する。この場合、制御部130は、第1関数値として1.42(%)を算出し得る。
【0136】
第2関数値抽出段階S113は、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから前記第1関数値に対応する第2関数値を抽出する段階である。第2関数値抽出段階S113は、制御部130で行われ得る。
【0137】
ここで、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルは、
図3及び
図4に示したBoL状態301の蓄電量及び微分電圧値を保存するテーブルである。制御部130は、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから特定ポイントの蓄電量に対応する微分電圧値を抽出し得る。即ち、抽出された微分電圧値と第2関数値とは同一である。
【0138】
例えば、前述した実施例と同様に、選択された特定ポイントが(0.64, 1.42(%))であると仮定する。この場合、制御部130は、特定ポイントの蓄電量として0.64を抽出し得る。そして、制御部130は、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルから特定ポイントの蓄電量0.64に対応する微分電圧値を第2関数値として抽出し得る。例えば、既に保存された基準蓄電量-電圧テーブルにおいて蓄電量0.64に対応する微分電圧値が1.16(%)であれば、制御部130は1.16(%)を第2関数値として抽出し得る。
【0139】
抵抗変化率算出段階S115は、前記第1関数値及び前記第2関数値に基づいて前記バッテリーセル11の初期抵抗に対する現在抵抗の抵抗変化率を算出する段階である。抵抗変化率算出段階S115は、制御部130で行われ得る。
【0140】
先ず、制御部130は、第2関数値に対する第1関数値の変化率を意味する関数値の変化率を算出し得る。例えば、制御部130は、「(第1関数値-第2関数値)÷第2関数値×100」の数式によって関数値(微分電圧値)の変化率(%)を算出し得る。
【0141】
その後、制御部130は、算出した関数値の変化率に基づいてバッテリーセル11の抵抗変化率を算出し得る。
【0142】
充放電電流調整段階S117は、算出された抵抗変化率によって前記バッテリーセル11に設定された充電電流及び放電電流の少なくとも一つの大きさを調整する段階である。充放電電流調整段階S117は、制御部130で行われ得る。
【0143】
制御部130は、バッテリーセル11の抵抗変化率を算出した後、算出した抵抗変化率に対応するようにバッテリーセル11の充電及び/または放電電流の大きさを調整し得る。特に、制御部130は、バッテリーセル11の抵抗が増加した場合のみに、算出した抵抗変化率に応じて充電及び/または放電電流の大きさを減少させ得る。そして、制御部130は、調整された充電及び/または放電電流がバッテリーセル11に印加されるように充電部150を制御し得る。したがって、充電部150は、制御部130によって調整された充電及び/または放電電流をバッテリーセル11に印加し得る。
【0144】
本発明によるバッテリーパック1000は、上述した本発明によるバッテリー管理装置100を含み得る。また、本発明によるバッテリーパック1000は、バッテリー管理装置100のに加え、バッテリーセル11、各種電装品(BMS、リレー、ヒューズなど)及びパックケースなどをさらに含み得る。
【0145】
また、本発明のさらに他の実施例として、バッテリー管理装置100は、電気自動車、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System,ESS)などのように電気エネルギーを使用する多様な装置に搭載され得る。特に、本発明によるバッテリー管理装置100は、電気自動車に含まれ得る。即ち、本発明による電気自動車は、本発明によるバッテリー管理装置100を含み得る。ここで、バッテリー管理装置100は、バッテリーパック1000に含まれた形態であるが、バッテリーパック1000とは別の装置としても具現され得る。例えば、バッテリー管理装置100の少なくとも一部は、自動車の ECU(Electronic Control Unit)によって具現され得る。また、本発明による自動車は、このようなバッテリー管理装置100の他に、自動車に通常具備される車体や電子装備などを含み得る。例えば、本発明による自動車は、本発明によるバッテリー管理装置100の他にも、コンタクター、インバーター、モーター、一つ以上のECUなどを含み得る。但し、本発明のバッテリー管理装置100以外に自動車の他の構成要素などに対しては特に限定しない。
【0146】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0147】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0148】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0149】
10 バッテリーモジュール
11 バッテリーセル
100 バッテリー管理装置
1000 バッテリーパック
301 BoL状態
303 100サイクル状態
305 500サイクル状態