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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】内装部品
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20220928BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20220928BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20220928BHJP
   B68G 11/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B60N2/75
B60R7/04 C
B60N3/00 Z
B68G11/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018139874
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2020015425
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591028751
【氏名又は名称】株式会社豊和化成
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大池 秀和
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-220761(JP,A)
【文献】実開昭60-108297(JP,U)
【文献】特開2007-145086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0244507(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-3/18
B60R 7/04
B68G 7/00-12
B68G 11/00-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に外壁を備えた凹状のコア材と、コア材の表面を覆う表皮材と、コア材の裏面に固定される内蓋とからなる内装部品であって、
軸芯部の片側に波状片を一体に形成した樹脂製の芯材が、表皮材の周縁部に縫い付けられており、
表皮材の周縁部を芯材とともにコア材の外壁の裏面側に折り込み、コア材の外壁の内側に形成した抜け止めリブと、内蓋の端部に形成された折返し部とにより、芯材の軸芯部を拘束したことを特徴とする内装部品。
【請求項2】
コア材の外壁の高さが連続的に変化した部分があることを特徴とする請求項1に記載の内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア材の表面に表皮材を被せた自動車用の内装部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用コンソールボックスの蓋体などの内装部品は、コア材の表面に表皮材を被せた構造である。コア材は樹脂製であり、天板の周囲にコア材の裏面側に延びる外壁を備えたものである。表皮材は表皮の裏面にウレタン発泡層を備えたものが一般的である。表皮材は袋状に縫製された状態でコア材の天板側から被せられ、表皮材の周縁部をコア材の外壁の裏面に折返し、固定している。
【0003】
特許文献1に示されるように、表皮材の周縁部をコア材の外壁に固定する手段としては、金属製のタッカーが用いられることが多い。しかしタッカーを用い、コア材のコーナー部で表皮材にしわが発生しないように均一に固定するには熟練を要する。またタッカーはコア材の外壁の内側から外側に向かって打ち込まれるため、打ち損じるとタッカーの先端が表皮材側に突き出すおそれもある。
【0004】
このほか、接着剤を用いて表皮材の周縁部をコア材の外壁に固定することも行われているが、接着剤の乾燥に時間がかかる上に、車内が高温になったときに接着剤が緩む可能性があり、耐久性に不安があった。
【0005】
そこで本発明者等は、表皮材の周縁部に一定幅の樹脂バンドを縫い付け、この樹脂バンドをコア材の外壁の内側に弾性的に折返すことにより、タッカーや接着剤を用いることなく表皮材を固定する技術を開発し、特許文献2として提案済みである。ところがこの技術は、コア材の外壁の高さが一定である場合には問題がないが、コア材の外壁の高さが変化している部分には適用できないという問題があった。その理由は、コア材の外壁の高さが変化している部分では表皮材の周縁部の形状も直線ではなくなるため、一定幅の樹脂バンドを縫い付けることができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-87333号公報
【文献】米国特許第9969338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、コア材の外壁の形状にかかわらず、タッカーや接着剤を用いることなく表皮材を固定した内装部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明の内装部品は、周囲に外壁を備えた凹状のコア材と、コア材の表面を覆う表皮材と、コア材の裏面に固定される内蓋とからなる内装部品であって、軸芯部の片側に波状片を一体に形成した樹脂製の芯材が、表皮材の周縁部に縫い付けられており、表皮材の周縁部を芯材とともにコア材の外壁の裏面側に折り込み、コア材の外壁の内側に形成した抜け止めリブと、内蓋の端部に形成された折返し部とにより、芯材の軸芯部を拘束したことを特徴とするものである。
【0009】
好ましい実施形態においては、コア材の外壁の高さが連続的に変化した部分がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内装部品は、表皮材の周縁部を芯材とともにコア材の外壁の裏面側に折り込み、内蓋の端部で芯材の軸芯部を拘束した構造としたので、タッカーや接着剤を用いることなく表皮材をコア材に固定することができる。また、本発明の内装部品に使用する芯材は、軸芯部の片側に波状片を一体に形成した樹脂製品であり、特許文献2に示される一定幅の樹脂バンドとは異なり、任意の方向に屈曲させることができる。このため、表皮材の周縁部の形状が直線的でない部分にも自由に折り曲げながら縫い付けることが可能となり、コア材の外壁の形状にかかわらず、表皮材を固定することができる。また本発明の内装部品は、コア材の外壁の内側に形成した抜け止めリブと、内蓋の端部に形成された折返し部とにより芯材の軸芯部を拘束しているため、表皮材の端部が強固にコア材に固定され、特許文献2の内装部品よりも優れた引き抜き強度を備える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の内装部品を示す外観斜視図である。
図2】コア材を底面側から見た斜視図である。
図3】表皮材の周縁部に芯材を縫い付けた状態を示す斜視図である。
図4】要部の断面図である。
図5】芯材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は実施形態の内装部品を示す外観斜視図、図2はそのコア材を示す底面斜視図である。実施形態の内装部品は自動車のコンソールリッドであるが、本発明はこれに限定されるものではない。この内装部品は、図2に示されるコア材10の表面に図1のように表皮材11を被せたものである。この実施形態では、表皮材11はクッション層付きの表皮材である。
【0013】
コア材10は硬質樹脂製の凹状体であり、図2に示すように天板12の周囲に裏側に向かって延びる外壁13を備えている。この実施形態では外壁13の高さが一定の物に使用することができるが、図2の右側のコーナー部に近い部分には、外壁13の高さが連続的に変化した部分があり、本発明は外壁13の高さが一定でない部分にも使用することが出来る。 外壁13の内側には、複数の抜け止めリブ14が形成されている。抜け止めリブ14は図3図4に示すように外壁13から数mm離れた突部15を備えている。抜け止めリブ14の位置や個数は、コア材10のサイズや形状に応じて適宜設定することができるが、この実施形態では30~50mm間隔で抜け止めリブ14が配置されている。
【0014】
図2に示される16、17はコア材10の裏面に内蓋20を取り付けるための突起であり、突起17にはタッピンネジを捻じ込むための下穴18が形成されている。またコア材10の裏面には、勘合構造により勘合させるための勘合用クリップ33が 形成されている。なお図2に示される19はコア材10の天板12の上面(図2では下面)に形成された発泡ウレタンからなるパッド層であるが、19は必ずしも必要ではない。
【0015】
表皮材11はコア材10に被せることができるように、従来と同様に袋状に縫製されている。図3に示すように、本発明では表皮材11の周縁部に、芯材30が縫い付けられている。この芯材30は、図5に示すように軸芯部31の片側に波状片32を一体に形成した樹脂製のものである。本実施形態では、軸芯部31は中空となっていて、その中心部から波形状の波状片32が形成された構造となっているものを使用した。なお軸芯部31は中空ではなく、中実でもよい。
【0016】
芯材30はその軸芯部31が表皮材11の周縁に位置するように、表皮材11の周縁部に縫い付けられる。なお、波状片32の形状は図示の実施形態のような曲線的な形状に限定されるものではなく。直線的な波形形状としてもよい。
【0017】
表皮材11の周縁部の形状は、コア材10の外壁13の高さに応じて変化するものであり、外壁13の高さが一定でない部分では、表皮材11の周縁部に屈曲部や曲線部が生ずることがある。特許文献2に示された一定幅の樹脂バンドはこのような部分に対応することができないが、本発明で用いた波状片32を持つ芯材30は、任意の方向に折り曲げることが可能であるので、表皮材11の周縁部に屈曲部や曲線部があっても支障なく縫い付けることができる。
【0018】
このように周縁部に芯材30が縫い付けられた表皮材11をコア材10の表側に被せたうえで、図4に示すように表皮材11の周縁部を芯材30とともにコア材10の外壁13の裏面側に折り込む。その結果、抜け止めリブ14のある部分では表皮材11の周縁部は抜け止めリブ14の突部15とコア材10の外壁13との間に入り込む。また抜け止めリブ14、14の間の部分では、表皮材11の周縁部は芯材30の剛性によって外壁13の裏面側に保持される。
【0019】
しかし単に表皮材11の周縁部を抜け止めリブ14の突部15とコア材10の外壁13との間に差し込んだだけでは、表皮材11の周縁部を強く引張ると脱落するおそれがある。そこで本発明では、図4に示すようにコア材10の裏面を覆う内蓋20の端部に折返し部21を形成しておき、この折返し部21をリブ14の突部15とコア材10の外壁13との間に挿入し、折返し部21の先端22で芯材30の軸芯部31を拘束する構造とした。軸芯部31は芯材30の他の部分よりも直径が大きいため、折返し部21の先端22で押さえられると脱落することがない。なお、内蓋20はコア材10の裏面に、タッピンネジやクリップ勘合構造 などにより強固に固定される。
【0020】
このように構成された本発明の内装部材は、コア材10の外壁13の形状にかかわらず、タッカーや接着剤を用いることなく表皮材11の周縁部を確実に固定することができる。コンソールリッドでは 表皮材11の周縁部の引き抜き強度テストが行われるが、本発明の内装部材はタッカーや接着剤を用いていないにも拘わらず、所定の 引き抜き荷重を加えても表皮材11の周縁部がコア材10の外壁13から脱落することがない。
【0021】
また本発明の内装部材は、表皮材11の周縁部を抜け止めリブ14の突部15とコア材10の外壁13との間に差し込み、内蓋20を取り付けるだけでよいので、熟練した技術者でなくても製造することができ、コーナー部においても皺や弛みのない美観に優れたものとなる。
【0022】
上記した実施形態では、コア材10の外壁13の高さが連続的に変化した部分があったが、外壁13はコア材10の全周にわたり均一高さであっても、もちろん差し支えない。
【0023】
また本実施形態では、コア材10の外壁13のうち、図2の左下の辺においては外壁13の高さが低すぎるため、タッカーを用いて表皮材11の端縁をコア材10の外壁13に固定している。このように、必ずしもコア材10の外壁13の全周にわたり本発明の固定構造を適用する必要はない。
【符号の説明】
【0024】
10 コア材
11 表皮材
12 天板
13 外壁
14 抜け止めリブ
15 突部
16 突起
17 突起
18 下穴
19 パッド層
20 内蓋
21 折返し部
22 先端
30 芯材
31 軸芯部
32 波状片
33 勘合クリップ
図1
図2
図3
図4
図5