IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オプティマインドの特許一覧

特許7148092駐停車位置判定装置及び駐停車位置判定プログラム
<>
  • 特許-駐停車位置判定装置及び駐停車位置判定プログラム 図1
  • 特許-駐停車位置判定装置及び駐停車位置判定プログラム 図2
  • 特許-駐停車位置判定装置及び駐停車位置判定プログラム 図3
  • 特許-駐停車位置判定装置及び駐停車位置判定プログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】駐停車位置判定装置及び駐停車位置判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020186538
(22)【出願日】2020-11-09
(62)【分割の表示】P 2019162853の分割
【原出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021043994
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518064374
【氏名又は名称】株式会社オプティマインド
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】松原 彪
(72)【発明者】
【氏名】坂 匠
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061414(JP,A)
【文献】特開2016-105098(JP,A)
【文献】特開2009-198279(JP,A)
【文献】特開2003-344065(JP,A)
【文献】特開2008-180678(JP,A)
【文献】特開2007-298339(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105679038(CN,A)
【文献】特開2003-014479(JP,A)
【文献】特開2009-080009(JP,A)
【文献】特開2006-004270(JP,A)
【文献】特開2018-181024(JP,A)
【文献】特開2010-025860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐停車位置を判定するための駐停車位置判定装置であって、
少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得するGPS軌跡データ取得部と、
前記GPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類するGPS軌跡分類処理部と、
路から敷地に侵入した位置に前記駐停車中の軌跡データが存在する場合、当該駐停車中の軌跡データと分類されたGPS軌跡データから一定時間進む又は一定時間戻ることで、道路ネットワークと重なるGPSのポイントを探索して、駐停車位置に対する出入口を判定し、さらに、出入口付近にさらに複数のGPSのポイントが存在する場合には、出入口付近の複数のGPSのポイントを用いて、出入口に対する進入角度、出入口からの発進角度(退出角度)を判定することで、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度を特定するように駐停車に関連した前記GPS軌跡データの分布の判定を行う駐停車関連分布判定部と
を備える駐停車位置判定装置。
【請求項2】
前記GPS軌跡分類処理部は、データクラスタリングアルゴリズムとしてDBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise)を採用し、データの密度をGPS軌跡データから得られる緯度経度の点群データの密度としてクラスタリングを行うことで、所定範囲内のGPS軌跡データのブレを吸収した上で、駐停車中の軌跡データと道路を走行中の軌跡データとを分離する
請求項1記載の駐停車位置判定装置。
【請求項3】
車両の駐停車位置を判定する処理をコンピュータに実現させるための駐停車位置判定プログラムであって、
前記コンピュータに、
少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得するGPS軌跡データ取得機能と、
前記GPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類するGPS軌跡分類処理機能と、
路から敷地に侵入した位置に前記駐停車中の軌跡データが存在する場合、当該駐停車中の軌跡データと分類されたGPS軌跡データから一定時間進む又は一定時間戻ることで、道路ネットワークと重なるGPSのポイントを探索して、駐停車位置に対する出入口を判定し、さらに、出入口付近にさらに複数のGPSのポイントが存在する場合には、出入口付近の複数のGPSのポイントを用いて、出入口に対する進入角度、出入口からの発進角度(退出角度)を判定することで、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度を特定するように駐停車に関連した前記GPS軌跡データの分布の判定を行う駐停車関連分布判定機能と
を実現させる駐停車位置判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS軌跡データが存在しない、或いは、GPS軌跡データが少ない道路の実際の走行可能速度の情報を推定するための道路走行可能速度推定装置及び道路走行可能速度推定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「組合せ最適化」という分野において、主に「現実社会の問題を組合せ最適化問題にモデル化する」「ある組合せ最適化問題に対する解法を考案する」ということが研究されている。そして、組合せ最適化問題の中に「配送計画問題(VRP:vehicle routing problem)」という問題がある。これは複数の車両と複数の訪問先が入力されたとき、すべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルート(訪問先の順序)の中でルートの長さの総和が最小となるものを求める問題である。何十年も前から配送計画問題に対して現実で現れる制約条件を取り込んだ問題がいくつも提案され、それらに対する近似解法も同時に研究されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、配送先を各車両に振り分けるグルーピング処理とグルーピングで決められた配送先グループを車両がどの順序で巡るかというルートの最適化処理とで決定される配送計画について、複数のグルーピング戦略を用いて複数の配送計画を生成し、その中で最適な配送計画を選択するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-188984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配送計画問題を解いて最適実行順序及び最適経路を決定するためには、移動に要する所要時間を計算するための走行可能速度の情報や駐停車位置の詳細な情報など、道路に関連した正確な情報を取得しておく必要がある。
【0006】
例えば、移動に要する所要時間を正確に把握するためには、道路の渋滞などを考慮した実際の走行可能速度を推定する必要がある。従来、車両の実際の走行可能速度を推定する方法として、GPS軌跡データ(GPSログデータ)が用いられてきた。GPS軌跡データとは、車両に搭載させた端末に所定時間ごとにGPS情報を取得させて複数の取得位置についてプロットしたデータのことをいう。GPS情報は一定の時間間隔で取得されるので、2つのGPS情報を取得する間の車両の移動距離が分かれば移動速度が判明する。複数の車両のGPS軌跡データを用いてそれぞれの車両の実際の走行速度を特定し、複数の車両の実際の走行速度を平均すれば、車両の走行可能速度を推定することが可能となる。しかし、十分な交通量のある道路に関しては精度の高い推定が可能となるが、GPS軌跡データが存在しない道路、若しくは、通行した車両が少ないためにGPS軌跡データの量が十分でない道路に関しては、車両の走行可能速度を推定できないという問題があった。
【0007】
また、例えば、ある目的地における駐停車位置候補の情報を自動取得するために、従来は、GPS軌跡データとアンケートデータやCANデータ等の補足情報とを組み合わせることで駐停車位置の判定をおこなっていた。信頼性の高いアンケートを取得するにはUI/UXにかなり工夫が必要であり、また、CANデータの取得にはハードウェアとの接続が必要であるためそのハードルは高いといえる。そのような取得に多大なコストを要するデータを用いずに駐停車位置候補を判定する手法が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、移動に要する所要時間を計算するための走行可能速度の情報や駐停車位置の詳細な情報などの道路関連情報を取得するための構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る道路走行可能速度推定装置は、対象となる道路の走行可能速度を推定するための道路走行可能速度推定装置であって、前記対象となる道路の特徴を表す道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得部と、前記道路特徴情報に基づいて前記対象となる道路と特徴が近似し既に走行可能速度が設定された少なくとも1以上の他の道路を特定し、特定した前記他の道路について走行可能速度の情報及び位置情報を少なくとも含む近似道路情報を抽出する近似道路情報抽出部と、前記近似道路情報を抽出した少なくもと1以上の他の道路について、前記対象となる道路との距離が近いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるようにして対象となる道路の走行可能速度を推定する走行可能速度推定部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る道路走行可能速度推定装置は、さらに、前記近似道路情報抽出部は、前記対象となる道路に関する道路特徴情報と他の道路との一致度をスコアとして算出してスコアの高い所定数の他の道路について近似道路情報を抽出するようにし、前記走行可能速度推定部は、前記スコアが高いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるように対象となる道路の走行可能速度を推定することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る道路走行可能速度推定プログラムは、対象となる道路の走行可能速度を推定する処理をコンピュータに実行させるための道路走行可能速度推定プログラムであって、前記コンピュータに、前記対象となる道路の特徴を表す道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得機能と、前記道路特徴情報に基づいて前記対象となる道路と特徴が近似し既に走行可能速度が設定された少なくとも1以上の他の道路を特定し、特定した前記他の道路について走行可能速度の情報及び位置情報を少なくとも含む近似道路情報を抽出する近似道路情報抽出機能と、前記近似道路情報を抽出した少なくもと1以上の他の道路について、前記対象となる道路との距離が近いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるようにして対象となる道路の走行可能速度を推定する走行可能速度推定機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対象となる道路の走行可能速度を、既に走行可能速度が設定された少なくとも1以上の他の道路の走行可能速度の情報を用いて推定することができ、その際、条件が近似する複数の他の道路が存在する場合には、距離が近いものの影響が大きくなるようにして走行可能速度を推定することが可能となる。特に、GPS軌跡データを利用して走行可能速度を設定する構成を採用する場合に、GPS軌跡データが存在しない道路、若しくは、GPS軌跡データの履歴の少ない道路について、GPS軌跡データによって走行可能速度を設定した近似する他の道路の情報を用いて走行可能速度を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る道路走行可能速度推定装置10の構成の一例を表したブロック図である。
図2】本発明に係る道路走行可能速度推定装置10における走行可能速度推定処理の流れを表したフローチャート図である。
図3】本発明に係る駐停車位置判定装置20の構成の一例を表したブロック図である。
図4】本発明に係る駐停車位置判定装置20における駐停車位置判定処理の流れを表したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、第1の実施の形態に係る道路走行可能速度推定装置の例について説明する。図1は、本発明に係る道路走行可能速度推定装置10の構成の一例を表したブロック図である。なお、道路走行可能速度推定装置10は、専用マシンとして設計した装置であってもよいが、一般的なコンピュータやサーバ装置によって実現可能なものであるものとする。この場合に、道路走行可能速度推定装置10は、一般的なコンピュータやサーバ装置が通常備えているであろうCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)、メモリ、ハードディスクドライブ等のストレージを具備しているものとする(図示省略)。また、これらの一般的なコンピュータやサーバ装置を本例の道路走行可能速度推定装置10として機能させるためにプログラムよって各種処理が実行されることは言うまでもない。
【0015】
図1に示すように、道路走行可能速度推定装置10は、GPS軌跡データ取得部11と、GPS軌跡利用速度推定部12と、道路特徴情報取得部13と、近似道路情報抽出部14と、走行可能速度推定部15と、記憶部16とを少なくとも備えている。
【0016】
GPS軌跡データ取得部11は、複数の車両についてのGPS軌跡データを取得する機能を有する。ここで、GPS軌跡データとは、車両に搭載させた端末に所定時間ごとにGPS情報を取得させて複数の取得位置についてプロットしたデータのことをいう。ここで取得するGPS軌跡データは、対象となる道路ごとに利用される。また、対象となる道路とは、走行可能速度を推定する単位となる道路区分のことをいう。道路区分をどのように分けるかは様々に設定可能であり、例えば、ある道路を所定の距離によって区分してもよいし、交差点から交差点までを繋ぐ道路を一区分としてもよい。さらに、走行可能速度とは、道路に設定された法定速度ではなく、車両が過去に当該道路を利用した際の走行速度から推定される実際に車両が走行する際の推定速度のことをいう。複数の車両の実際の走行速度に基づいて推定するものであるため、複数車両の平均走行速度ともいえる。
【0017】
GPS軌跡利用速度推定部12は、GPS軌跡データを用いて道路ごとの走行可能速度を推定する機能を有する。GPS軌跡データを構成する各GPS情報は一定の時間間隔または一定の距離間隔で取得されるので、2つのGPS情報を取得する間の車両の移動距離と経過時間が分かれば移動速度が判明する。複数の車両のGPS軌跡データを用いてそれぞれの車両の実際の走行速度を特定し、複数の車両の実際の走行速度を平均すれば、車両の走行可能速度を推定することが可能となる。また、GPS軌跡利用速度推定部12において、時間帯ごとの走行可能速度をそれぞれ推定するようにしてもよい。例えば、朝の出勤時間帯や夕方の帰宅時間帯は渋滞のため走行可能速度が極端に遅くなるが、それ以外の時間帯は法定速度と同じくらいの走行可能速度となるような道路の場合には、時間帯ごとの走行可能速度を推定しておくことで正確な走行可能速度を用いることが可能となる。GPS軌跡データを取得した時間情報も併せて利用することで、時間帯ごとの走行可能速度を推定することができる。
【0018】
なお、GPS軌跡データ取得部11及びGPS軌跡利用速度推定部12は、必ずしも道路走行可能速度推定装置10において備える必要はなく、GPS軌跡データ取得部11及びGPS軌跡利用速度推定部12を備える他の装置において推定された走行可能速度の情報のみを道路走行可能速度推定装置10において取得して記憶させておく構成であってもよい。
【0019】
道路特徴情報取得部13は、対象となる道路の特徴を表す道路特徴情報を取得する機能を有する。ここで、道路特徴情報とは、道路の特徴を表す様々な情報のことをいう。道路特徴情報としては、例えば、国道、県道などの道路種別の情報、道路の所在地の情報(所定の区分に分割した際の各区分の位置情報)、車線数の情報、道幅の情報、法定速度の情報、傾斜の情報、歩道の有無の情報、中央分離帯の有無の情報、右折専用レーンの有無の情報、周辺土地利用状況の情報、他の道路との接続関係の情報など、様々な情報を道路特徴情報として採用し得るものであり、どのような情報を採用するかについては適宜設定可能である。予め道路特徴情報を設定してデータベースとして保持しておき、対象となる道路の道路区分ごとにデータベースを参照して道路特定情報を取得可能に構成する。この道路特徴情報取得部13においては、先ず、道路特徴情報を取得する対象である道路の指定を受け付け、指定された対象となる道路について、道路特定情報を取得する。
【0020】
近似道路情報抽出部14は、道路特徴情報に基づいて対象となる道路と特徴が近似し既に走行可能速度が設定された少なくとも1以上の他の道路を特定し、特定した他の道路について走行可能速度の情報及び位置情報を少なくとも含む近似道路情報を抽出する機能を有する。ここで抽出される近似道路情報は、GPS軌跡データを利用した走行可能速度が既に設定された道路を対象として抽出するものとする。近似する道路の抽出方法は道路特徴情報に基づいたものであればどのようなものであってもよいが、例えば、道路特徴情報に含まれる項目のうち所定数の項目に関する完全一致を条件としてもよい。また、対象となる道路に関する道路特徴情報と他の道路との近似度(一致度)をスコアとして算出して、スコアの高い所定数の他の道路について近似道路情報を抽出するようにしてもよい。スコアの算出にあたっては、道路特徴情報についてスコアに対する影響の大きい項目と小さい項目を設定することで、抽出したい道路のスコアが高くなるように事前に調整することが好ましい。
【0021】
走行可能速度推定部15は、近似道路情報を抽出した少なくもと1以上の他の道路について、対象となる道路との距離が近いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるようにして対象となる道路の走行可能速度を推定する機能を有する。すなわち、近似道路情報を抽出した他の道路が複数ある場合に、それらの複数の道路における走行可能速度の情報を用いて対象の道路の走行可能速度を推定する方法として、対象の道路との距離が近い他の道路の影響が大きく、対象の道路との距離が遠い他の道路の影響が小さくなるように、それぞれの走行可能速度の値に乗算する重みの値を調整するようにする。言い換えれば、近似道路情報を抽出した他の道路の走行可能速度について対象道路との距離に応じた重み付けを行った上で加重平均の手法によって対象道路の走行可能速度を求めるようにしてもよい。推定の結果として得られた値を対象道路の走行可能速度として利用することが可能となる。
【0022】
また、走行可能速度推定部15は、複数の他の道路(実際には1つの場合もあるので少なくとも1以上の他の道路)を近似道路情報として抽出する際にスコア値を算出して抽出を行っている場合には、スコアが高いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるように設定して、対象となる道路の走行可能速度を推定するようにしてもよい。また、近似道路情報抽出部14においてスコアを算出する際に対象道路との距離をスコア算出の項目に組み込むようにして遠い距離にある道路のスコア値が小さくなるように調整することで、結果として対象となる道路との距離が近いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるようにしてもよい。この場合には、近似道路情報抽出部14において近似道路情報として距離の情報を抽出しなくともよい。
【0023】
記憶部16は、道路走行可能速度推定装置10において行われる様々な処理で必要なデータ及び処理の結果として得られたデータを記憶させる機能を有する。例えば、図1に示すように、GPS軌跡データを利用した走行可能速度が既に設定された道路に関するデータを集積した速度設定済道路データベース161として記憶させたり、様々な道路に関する道路特徴情報を集積した道路特徴情報データベース162として記憶させたりすることが考えられる。
【0024】
次に、本発明に係る道路走行可能速度推定装置10における走行可能速度推定処理の流れについて説明を行う。図2は、本発明に係る道路走行可能速度推定装置10における走行可能速度推定処理の流れを表したフローチャート図である。この図2に示すように、道路走行可能速度推定装置10における走行可能速度推定処理は、速度推定の対象となる道路の道路特定情報を取得することによって開始される(ステップS101)。次に、道路走行可能速度推定装置10は、取得した対象道路の道路特定情報を用いて近似する他の道路を特定し、その特定した他の道路について走行可能速度の情報及び位置情報を少なくとも含む近似道路情報を取得する(ステップS102)。そして、道路走行可能速度推定装置10は、近似道路情報を抽出した少なくもと1以上の他の道路について、対象となる道路との距離が近いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるようにして対象となる道路の走行可能速度を推定して(ステップS103)、処理を終了する。
【0025】
以上のように、本例による道路走行可能速度推定装置によれば、対象となる道路の特徴を表す道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得部と、道路特徴情報に基づいて対象となる道路と特徴が近似し既に走行可能速度が設定された少なくとも1以上の他の道路を特定し、特定した他の道路について走行可能速度の情報及び位置情報を少なくとも含む近似道路情報を抽出する近似道路情報抽出部と、近似道路情報を抽出した少なくもと1以上の他の道路について、対象となる道路との距離が近いほど走行可能速度に乗ずる重み付けが大きくなるようにして対象となる道路の走行可能速度を推定する走行可能速度推定部とを備えるようにしたので、対象となる道路の走行可能速度を、既に走行可能速度が設定された少なくとも1以上の他の道路の走行可能速度の情報を用いて推定することができ、その際、条件が近似する複数の他の道路が存在する場合には、距離が近いものの影響が大きくなるようにして走行可能速度を推定することが可能となる。特に、GPS軌跡データを利用して走行可能速度を設定する構成を採用する場合に、GPS軌跡データが存在しない道路、若しくは、GPS軌跡データの履歴の少ない道路について、GPS軌跡データによって走行可能速度を設定した近似する他の道路の情報を用いて走行可能速度を推定することが可能となる。
【0026】
[第2の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、第2の実施の形態に係る駐停車位置判定装置の例について説明する。図3は、本発明に係る駐停車位置判定装置20の構成の一例を表したブロック図である。なお、駐停車位置判定装置20は、専用マシンとして設計した装置であってもよいが、一般的なコンピュータやサーバ装置によって実現可能なものであるものとする。この場合に、駐停車位置判定装置20は、一般的なコンピュータやサーバ装置が通常備えているであろうCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)、メモリ、ハードディスクドライブ等のストレージを具備しているものとする(図示省略)。また、これらの一般的なコンピュータやサーバ装置を本例の駐停車位置判定装置20として機能させるためにプログラムよって各種処理が実行されることは言うまでもない。
【0027】
図3に示すように、駐停車位置判定装置20は、GPS軌跡データ取得部21と、GPS軌跡分類処理部22と、駐停車関連分布判定部23と、記憶部24とを少なくとも備えている。
【0028】
GPS軌跡データ取得部21は、少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得する機能を有する。ここで、GPS軌跡データとは、車両に搭載させた端末に所定時間ごとにGPS情報を取得させて複数の取得位置についてプロットしたデータのことをいう。
【0029】
GPS軌跡分類処理部22は、GPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類(クラスタリング)する機能を有する。GPS軌跡データを予め記憶させた地図データに対して重ねて表示した場合に、道路上を移動するプロット点は道路を走行中の軌跡データであると判定することができ、時間経過しても同じ位置で重なるようにプロット点が重複して記録されている箇所は車両が駐停車中の軌跡データであると判定することができる。しかし、これら以外にも、道路以外の敷地内を移動する軌跡データなど、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データに分類できない軌跡データをその他の特殊な軌跡データに分類する。
【0030】
駐停車関連分布判定部23は、GPS軌跡データ及び分類結果を用いて、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置(退出位置)及び/又は発進角度(退出角度)を含む駐停車に関連した分布を判定する機能を有する。GPS軌跡データを分類した結果、道路から敷地に侵入した位置に駐停車中と分類された軌跡データが存在する場合、道路から駐停車位置まで必ず車両が移動する必要がある。すなわち、駐停車位置に移動した際のGPS軌跡データや、駐停車位置から道路に戻る際のGPS軌跡データが、道路と駐停車位置との間に存在すれば、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度などの駐停車関連分布であると判定することができる。そこで、駐停車中の軌跡データと分類されたGPS軌跡データから一定時間進む又は一定時間戻ることで、道路ネットワークと重なるGPSのポイントを探索して、駐停車位置に対する出入口を判定する。また、出入口付近にさらに複数のGPSのポイントが存在する場合には、出入口に対する進入角度、出入口からの発進角度(退出角度)を判定することも可能となる。
【0031】
記憶部24は、駐停車位置判定装置20において行われる様々な処理で必要なデータ及び処理の結果として得られたデータを記憶させる機能を有する。
【0032】
次に、本発明に係る駐停車位置判定装置20における駐停車位置判定処理の流れについて説明を行う。図4は、本発明に係る駐停車位置判定装置20における駐停車位置判定処理の流れを表したフローチャート図である。なお、駐停車位置判定とは、対象地点における駐停車位置の判定に加えて、その駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度の判定を行うことを含むものとする。この図4に示すように、駐停車位置判定装置20における駐停車位置判定処理は、少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得するによって開始される(ステップS201)。次に、駐停車位置判定装置20は、取得したGPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類(クラスタリング)する(ステップS202)。そして、駐停車位置判定装置20は、GPS軌跡データ及び分類結果を用いて、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置(退出位置)及び/又は発進角度(退出角度)を含む駐停車に関連した分布を判定して(ステップS203)、処理を終了する。
【0033】
本例の具体的な手法として、例えば、データクラスタリングアルゴリズムとしてDBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise)を採用してもよい。データの密度をGPS軌跡データから得られる緯度経度の点群データの密度としてクラスタリングを行うようにする。これにより、GPS軌跡データのブレ(屋内・地下…等)をある程度吸収した上で、駐停車中と走行中のデータ分離を可能とする。また、GPS軌跡データを取得する端末がスリープ状態になってしまったなどのデータ取得ができなかった期間のことを考慮して、データの補間・リサンプリングを行うようにする。
【0034】
以上のように、本例による駐停車位置判定装置によれば、車両の駐停車位置を判定するための駐停車位置判定装置であって、少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得するGPS軌跡データ取得部と、GPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類するGPS軌跡分類処理部と、GPS軌跡データ及び分類結果を用いて、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度を含む駐停車に関連した分布を判定する駐停車関連分布判定部とを備えるようにしたので、アンケートデータやCANデータ等の補足情報を用いることなくGPS軌跡データのみから駐停車位置判定を行うことが可能となる。
【0035】
すなわち、本例の駐停車位置判定装置、及び、駐停車位置判定プログラムは、例えば、以下のような構成によって実現される。
[1]
車両の駐停車位置を判定するための駐停車位置判定装置であって、
少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得するGPS軌跡データ取得部と、
前記GPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類するGPS軌跡分類処理部と、
前記GPS軌跡データ及び前記分類結果を用いて、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度を含む駐停車に関連した分布を判定する駐停車関連分布判定部と
を備える駐停車位置判定装置。
[2]
車両の駐停車位置を判定する処理をコンピュータに実現させるための駐停車位置判定プログラムであって、
前記コンピュータに、
少なくとも1以上の車両についてのGPS軌跡データを取得するGPS軌跡データ取得機能と、
前記GPS軌跡データを、道路を走行中の軌跡データ、駐停車中の軌跡データ、その他の特殊な軌跡データに分類するGPS軌跡分類処理機能と、
前記GPS軌跡データ及び前記分類結果を用いて、駐停車位置に対する道路からの進入位置及び/又は進入角度、並びに、駐停車位置から道路への発進位置及び/又は発進角度を含む駐停車に関連した分布を判定する駐停車関連分布判定機能と
を実現させる駐停車位置判定プログラム。
【0036】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 道路走行可能速度推定装置
11 GPS軌跡データ取得部
12 GPS軌跡利用速度推定部
13 道路特徴情報取得部
14 近似道路情報抽出部
15 走行可能速度推定部
16 記憶部
20 駐停車位置判定装置
21 GPS軌跡データ取得部
22 GPS軌跡分類処理部
23 駐停車関連分布判定部
24 記憶部
図1
図2
図3
図4