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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】化粧料塗布具
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20220928BHJP
   A45D 40/26 20060101ALI20220928BHJP
   A45D 33/26 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A45D34/04 515Z
A45D40/26 Z
A45D33/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022021466
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2022-02-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 健二
(72)【発明者】
【氏名】原 吉彦
(72)【発明者】
【氏名】増渕 詩織
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼桑 淳之介
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191888(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110267565(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を貯蔵する化粧料保存容器と、該化粧料保存容器の装着用開口部に着脱自在に装着して前記化粧料保存容器から抜き取った先端の塗布体部分で前記化粧料を人体部位に塗布する塗布体付きキャップと、前記化粧料保存容器の装着用開口部に内挿嵌着して前記塗布体付きキャップの塗布体部分に含浸された前記化粧料の過剰分を扱いて除去する円筒状の可撓性ワイパーとを備えた化粧料塗布具であって、
前記化粧料保存容器が、前記化粧料を貯蔵する容器胴体部分と、該容器胴体部分の上端に連続成形して前記装着用開口部を備えた円筒状ネジ部分とを有し、
前記塗布体付きキャップが、前記化粧料を含浸して人体部位に前記化粧料を塗布する前記塗布体部分と、前記化粧料保存容器の円筒状ネジ部分と螺合するキャップ本体部分と、前記塗布体部分と前記キャップ本体部分とを連結する塗布体軸部分とからなり、
該塗布体軸部分が、前記塗布体部分と連結される一様な断面形状の円柱部と、前記キャップ本体部分に固定される基部と、該基部から伸びて前記円柱部と連結する該円柱部に向けて縮径するテーパ部とからなり、
前記可撓性ワイパーが、前記塗布体付きキャップの塗布体部分と当接する内周側の塗布体当接部分と、前記化粧料保存容器の容器胴体部分の上端側の肩部と当接する外周側の抜け止め部分と、前記化粧料保存容器の円筒状ネジ部分の上端面と当接するフランジ部分と、該フランジ部分と前記塗布体当接部分および前記抜け止め部分とを連結する連結部分とからなり、
前記塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合した状態で、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と離間対向し、
前記塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合して前記塗布体付きキャップのキャップ本体部分の端面と前記化粧料保存容器の容器胴体部分の上端周面とが当接した状態で、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の厚みが、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分と前記化粧料保存容器の円筒状ネジ部分との間の最短距離より大きいことを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
前記塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合した状態で、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面と前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部とが交差する場合に比べて前記可撓性ワイパーのフランジ部分と前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部との接触面積を大きくするように、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と略平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
前記可撓性ワイパーのフランジ部分に、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分の基部に向けて突出する突起が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧料塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料塗布具に関するものであり、特に塗布体付きキャップの塗布体部分に含浸された化粧料の過剰分を扱いて除去するゴム製の円筒状の可撓性ワイパーを備えた化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラは、睫毛を濃く、長く、またはカールしているように見せるための化粧料の一種である。
従来、このマスカラを睫毛に塗るための化粧料塗布具として、マスカラなどの液状化粧料を収容する筒状の化粧料保存容器と、この化粧料保存容器に螺合閉蓋する塗布体付きキャップより構成される化粧料塗布具が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、この化粧料塗布具の化粧料保存容器は、上部に開口を有する首部を設けている。
この首部の開口には、軟質素材により形成された円筒状の可撓性ワイパーが挿入されている。
この可撓性ワイパーの上端は、化粧料保存容器の首部上端より突出し、化粧料保存容器に塗布体付きキャップを嵌合させた際、塗布体付きキャップの天井面および化粧料保存容器の首部に当接し、化粧料保存容器内を密閉している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-022157号公報(例えば、図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した化粧料塗布具において化粧料保存容器に塗布体付きキャップを嵌合させた際、塗布体付きキャップの天井面が可撓性ワイパーを化粧料保存容器の首部に向かって押圧するため、可撓性ワイパーが内側に折れ曲がるように変形して化粧料保存容器の中に脱落してしまう虞がある。
【0006】
したがって、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に装着する際に可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落しにくい化粧料塗布具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、化粧料を貯蔵する化粧料保存容器と、該化粧料保存容器の装着用開口部に着脱自在に装着して前記化粧料保存容器から抜き取った先端の塗布体部分で前記化粧料を人体部位に塗布する塗布体付きキャップと、前記化粧料保存容器の装着用開口部に内挿嵌着して前記塗布体付きキャップの塗布体部分に含浸された前記化粧料の過剰分を扱いて除去する円筒状の可撓性ワイパーとを備えた化粧料塗布具であって、前記化粧料保存容器が、前記化粧料を貯蔵する容器胴体部分と、該容器胴体部分の上端に連続成形して前記装着用開口部を備えた円筒状ネジ部分とを有し、前記塗布体付きキャップが、前記化粧料を含浸して人体部位に前記化粧料を塗布する前記塗布体部分と、前記化粧料保存容器の円筒状ネジ部分と螺合するキャップ本体部分と、前記塗布体部分と前記キャップ本体部分とを連結する塗布体軸部分とからなり、該塗布体軸部分が、前記塗布体部分と連結される一様な断面形状の円柱部と、前記キャップ本体部分に固定される基部と、該基部から伸びて前記円柱部と連結する該円柱部に向けて縮径するテーパ部とからなり、前記可撓性ワイパーが、前記塗布体付きキャップの塗布体部分と当接する内周側の塗布体当接部分と、前記化粧料保存容器の容器胴体部分の上端側の肩部と当接する外周側の抜け止め部分と、前記化粧料保存容器の円筒状ネジ部分の上端面と当接するフランジ部分と、該フランジ部分と前記塗布体当接部分および前記抜け止め部分とを連結する連結部分とからなり、前記塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合した状態で、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と離間対向し、前記塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合して前記塗布体付きキャップのキャップ本体部分の端面と前記化粧料保存容器の容器胴体部分の上端周面とが当接した状態で、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の厚みが、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分と前記化粧料保存容器の円筒状ネジ部分との間の最短距離より大きいことにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された化粧料塗布具の構成に加えて、前記塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合した状態で、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が、前記可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面と前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部とが交差する場合に比べて前記可撓性ワイパーのフランジ部分と前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部との接触面積を大きくするように、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と略平行に形成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
なお、ここでいう「略平行」とは、「おおむね平行」という意味であり、平行状態から多少傾いていてもよいことを意味する。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された化粧料塗布具の構成に加えて、前記可撓性ワイパーのフランジ部分に、前記塗布体付きキャップの塗布体軸部分の基部に向けて突出する突起が形成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明の化粧料塗布具によれば、塗布体付きキャップが化粧料保存容器と螺合した状態で、可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と離間対向していることにより、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に対して更に螺進させた際に、塗布体付きキャップの塗布体軸部分が可撓性ワイパーの内周面に接触して可撓性ワイパーが塗布体付きキャップの回転方向に変形することがないため、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に装着する際に可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落するような変形を阻止することができるだけでなく、塗布体付きキャップが化粧料保存容器と螺合して塗布体付きキャップのキャップ本体部分の端面化粧料保存容器の容器胴体部分の上端周面とが当接した状態で、可撓性ワイパーのフランジ部分の厚みが、塗布体付きキャップの塗布体軸部分と化粧料保存容器の円筒状ネジ部分との間の最短距離より大きいことにより、塗布体付きキャップの塗布体軸部分の基部が可撓性ワイパーのフランジ部分を押圧して可撓性ワイパーのフランジ部分が化粧料保存容器の円筒状ネジ部分の上端面から滑落したり可撓性ワイパーが捩れたりしたとしても、可撓性ワイパーのフランジ部分が塗布体付きキャップの塗布体軸部分の外周面と化粧料保存容器の円筒状ネジ部分の内周面との間でひっかかるため、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に装着する際に可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落することを防ぐことができる。
【0011】
請求項2に係る発明の化粧料塗布具によれば、請求項1に係る発明の化粧料塗布具が奏する効果に加えて、塗布体付きキャップが前記化粧料保存容器と螺合した状態で、可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が、可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面と塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部とが交差する場合に比べて可撓性ワイパーのフランジ部分と塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部との接触面積を大きくするように、塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と略平行に形成されていることにより、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に対して更に螺進させて、可撓性ワイパーのフランジ部分が塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と当接してしまった場合であっても、可撓性ワイパーのフランジ部分と塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部との接触面積が可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が塗布体付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と交差する場合に比べて大きくなるため、可撓性ワイパーに加わる剪断応力を小さくして可撓性ワイパーの変形をより一層抑制し、その結果として、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に装着する際に可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落するような変形を完全に回避することができる。
【0012】
請求項3に係る発明の化粧料塗布具によれば、請求項1または請求項2に係る発明の化粧料塗布具が奏する効果に加えて、可撓性ワイパーのフランジ部分に、塗布体付きキャップの塗布体軸部分の基部に向けて突出する突起が形成されていることにより、塗布体付きキャップが化粧料保存容器と螺合して塗布体付きキャップの塗布体軸部分の基部が可撓性ワイパーと当接した際に突起が潰れるため、塗布体付きキャップと化粧料保存容器との間で気密を保たれ、化粧料保存容器内に貯蔵された化粧料の漏出を防ぐことができるばかりでなく、塗布体付きキャップの塗布体軸部分が可撓性ワイパーの内周面に接触して惹起する突起の潰れによって可撓性ワイパーが塗布体付きキャップの回転方向に変形することを抑制するため、可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落することを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例であるマスカラ塗布具の斜視分解図。
図2図1に示すマスカラ塗布具の縦断面図。
図3図2のIII拡大図。
図4図1に示すマスカラ保存容器の要部拡大断面図。
図5A】ブラシ付きキャップをマスカラ保存容器に螺合させた状態を示す断面図。
図5B】ブラシ付きキャップを可撓性ワイパーに当接するまでマスカラ保存容器を 螺進させた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、化粧料を貯蔵する化粧料保存容器と、この化粧料保存容器の装着用開口部に着脱自在に装着して化粧料保存容器から抜き取った先端の塗布体部分で化粧料を人体部位
に塗布する塗布体付きキャップと、化粧料保存容器の装着用開口部に内挿嵌着して塗布体
付きキャップの塗布体部分に含浸された化粧料の過剰分を扱いて除去する円筒状の可撓性
ワイパーとを備えた化粧料塗布具であって、化粧料保存容器が、化粧料を貯蔵する容器胴
体部分と、この容器胴体部分の上端に連続成形して装着用開口部を備えた円筒状ネジ部分
とを有し、塗布体付きキャップが、化粧料を含浸して人体部位に化粧料を塗布する塗布体部分と、化粧料保存容器の円筒状ネジ部分と螺合するキャップ本体部分と、塗布体部分と
キャップ本体部分とを連結する塗布体軸部分とからなり、この塗布体軸部分が、塗布体部
分と連結される一様な断面形状の円柱部と、キャップ本体部分に固定される基部と、この
基部から伸びて円柱部と連結するこの円柱部に向けて縮径するテーパ部とからなり、可撓
性ワイパーが、塗布体付きキャップの塗布体部分と当接する内周側の塗布体当接部分と、化粧料保存容器の容器胴体部分の上端側の肩部と当接する外周側の抜け止め部分と、化粧
料保存容器の円筒状ネジ部分の上端面と当接するフランジ部分と、このフランジ部分と塗
布体当接部分および抜け止め部分とを連結する連結部分とからなり、塗布体付きキャップが化粧料保存容器と螺合した状態で、可撓性ワイパーのフランジ部分の内周面が、塗布体
付きキャップの塗布体軸部分のテーパ部と離間対向し、塗布体付きキャップが化粧料保存容器と螺合して塗布体付きキャップのキャップ本体部分の端面化粧料保存容器の容器胴体部分の上端周面とが当接した状態で、可撓性ワイパーのフランジ部分の厚みが、塗布体付きキャップの塗布体軸部分と化粧料保存容器の円筒状ネジ部分との間の最短距離より大きく、塗布体付きキャップを化粧料保存容器に装着する際に可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落しにくいものであれば、その具体的な実施態様は、いかなるものであっても構わない。
【0015】
例えば、本発明の化粧料塗布具が塗布する化粧料は、マスカラ、アイブロウ、アイメイク化粧料、口紅、頭髪用染料等、いかなるものであってもよい。
すなわち、本発明の化粧料塗布具が塗布する人体部位は、化粧料塗布具が塗布する化粧料がマスカラである場合は睫毛、化粧料塗布具が塗布する化粧料がアイブロウである場合は眉、化粧料塗布具が塗布する化粧料がアイメイク化粧料である場合は瞼、化粧料塗布具が塗布する化粧料が口紅である場合は唇、化粧料塗布具が塗布する化粧料が頭髪用染料である場合は頭髪である。
また、本発明の化粧料塗布具における塗布体部分は、ブラシ、コーム、筆、樹脂製チップ、フロッキー加工付きチップ等いかなるものであってもよい。
なお、上述の化粧料は、液体に限らず、固形やクリーム、粉体であってもよい。
【0016】
ここで、本発明における可撓性ワイパーとは、塗布体付きキャップの塗布体軸部分に含浸された化粧料の過剰分を除去するために、塗布体付きキャップの塗布体軸部分を擦るように手前に動かして除去する、所謂、扱いて除去するものを意味し、「扱き(しごき)」とも称するものであって、例えば、その形状は、塗布体付きキャップの塗布体軸部分と当接する内周側の塗布体当接部分と、化粧料保存容器の容器胴体部分の上端側の肩部と当接する外周側の抜け止め部分と、化粧料保存容器の円筒状ネジ部分の上端面と当接するフランジ部分と、このフランジ部分と塗布体当接部分および抜け止め部分とを連結する連結部分とからなる円筒状の部材であり、また、その素材は、可撓性を有する材料で形成されていれば、ゴムや合成樹脂で形成されていてもよい。
【実施例
【0017】
以下、図1乃至図5Bに基づいて、本発明の一実施例である化粧料塗布具であるマスカラ塗布具100を説明する。
【0018】
<1.マスカラ塗布具の構造>
まず、図1乃至図5Bに基づいて、マスカラ塗布具100の構造を説明する。
図1は、本発明の一実施例であるマスカラ塗布具の斜視分解図であり、図2は、図1に示すマスカラ塗布具の縦断面図であり、図3は、図2のIII拡大図であり、図4は、図1に示すマスカラ保存容器の要部拡大断面図であり、図5Aは、ブラシ付きキャップをマスカラ保存容器に螺合させた状態を示す断面図であり、図5Bは、ブラシ付きキャップを可撓性ワイパーに当接するまでマスカラ保存容器を螺進させた状態を示す断面図である。
【0019】
マスカラ塗布具100は、図1に示すように、円柱状であり、マスカラ(化粧料)を貯蔵する有底円筒状のマスカラ保存容器(化粧料保存容器)110と、このマスカラ保存容器110に対して着脱自在なブラシ付きキャップ(塗布体付きキャップ)120と、マスカラ保存容器110に装着された可撓性を有する円筒状の可撓性ワイパー130とを備えている。
【0020】
<1.1.マスカラ保存容器>
マスカラ保存容器110は、図2に示すように、マスカラMを貯蔵する有底円筒状の容器胴体部分111と、この容器胴体部分111の上端と連結して先端に容器胴体部分111と連通する装着用開口部112aを有する円筒状ネジ部分112とを有している。
【0021】
円筒状ネジ部分112の直径は、容器胴体部分111の直径より小さくなっている。
また、円筒状ネジ部分112の外周には雄ネジが形成されている。
【0022】
<1.2.ブラシ付きキャップ>
ブラシ付きキャップ120は、マスカラ保存容器110に装着された状態ではマスカラ保存容器110の装着用開口部112aを閉塞し、マスカラ保存容器110から取り外された状態ではマスカラMを睫毛(人体部位)に塗布する。
【0023】
このブラシ付きキャップ120は、図2に示すように、マスカラMを含浸して睫毛にマスカラMを塗布するブラシ部分(塗布体部分)121と、マスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112と螺合するキャップ本体部分122と、ブラシ部分121とキャップ本体部分122とを連結するブラシ軸部分(塗布体軸部分)123とから形成されている。
【0024】
キャップ本体部分122は、図2に示すように有底円筒状であり、内周側にはマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。
【0025】
ブラシ軸部分123は、図2に示すように、ブラシ部分121と連結される一様な断面形状の円柱部123aと、キャップ本体部分122に内挿されて固定される基部123bと、この基部123bから伸びて円柱部123aと連結する円柱部123aに向けて縮径するテーパ部123cとから形成されている。
【0026】
基部123bの下端面123b1は、図3に示すように平坦になっている。
テーパ部123cは、図3に示すように、この基部123bの下端面123b1から円柱部123aに向けて一定の傾きで傾斜している。
【0027】
<1.3.可撓性ワイパー>
可撓性ワイパー130は、ブラシ付きキャップ120のブラシ部分121に含浸されたマスカラMの一部を除去する。
【0028】
そして、この可撓性ワイパー130は、図3に示すように、ブラシ付きキャップ120のブラシ部分121と当接してブラシ部分121に含浸されたマスカラMの一部を扱いで除去する内周側のブラシ当接部分(塗布体当接部分)131と、マスカラ保存容器110の容器胴体部分111の上端側の肩部111aと当接する外周側の抜け止め部分132と、水平方向に延びてマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112の上端面112b(図4参照)と当接するフランジ部分133と、上下方向に伸びてフランジ部分133とブラシ当接部分131および抜け止め部分132とを連結する連結部分134とから形成されている。
【0029】
フランジ部分133は、図5Aに示すように、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123の基部123bに向けて突出する円環状の突起133aが形成されている。
【0030】
<1.4.部材相互間の関係>
次に、マスカラ保存容器110、ブラシ付きキャップ120、可撓性ワイパー130の部材相互間の配置関係や寸法関係について、図2乃至図5Bに基づいて、説明する。
【0031】
図5Aのようなブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110と螺合した状態、および、図5Bのような突起133aが潰れた状態では、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の内周面133Aは、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123のテーパ部123cと略平行に離間対向している。
これにより、可撓性ワイパー130にマスカラMが付着したとしても、可撓性ワイパー130を介してブラシ付きキャップ120にマスカラMを付着しにくくすることができる。
【0032】
また、図2および図3のように、ブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110に当接するまでブラシ付きキャップ120をマスカラ保存容器110に対して螺進させた状態では、可撓性ワイパー130のフランジ部分133が、図5Aおよび図5Bよりも潰れる。
このブラシ付きキャップ120とマスカラ保存容器110とが当接した状態で、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の厚みtは、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123とマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112との間の最短距離dより大きくなっている。
したがって、図5Bのような突起133aが潰れた状態においても、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の厚みtは、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123とマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112との間の最短距離dより大きくなっている。
【0033】
<2.効果>
以上説明した本実施例の化粧料塗布具であるマスカラ塗布具100によれば、塗布体付きキャップであるブラシ付きキャップ120が化粧料保存容器であるマスカラ保存容器110と螺合した状態で、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の内周面133Aがブラシ付きキャップ120の塗布体軸部分であるブラシ軸部分123のテーパ部123cと離間対向していることにより、ブラシ付きキャップ120をマスカラ保存容器110に対して更に螺進させた際に、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123が可撓性ワイパー130の内周面に接触して可撓性ワイパー130がブラシ付きキャップ120の回転方向に変形することがないため、ブラシ付きキャップ120をマスカラ保存容器110に装着する際に可撓性ワイパー130がマスカラ保存容器110の中に脱落するような変形を阻止することができるだけでなく、ブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110と螺合してブラシ付きキャップ120とマスカラ保存容器110とが当接した状態で、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の厚みtがブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123とマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112との間の最短距離dより大きいことにより、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123の基部123bが可撓性ワイパー130のフランジ部分133を押圧して可撓性ワイパー130のフランジ部分133がマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112の上端面112bから滑落したり可撓性ワイパー130が捩れたりしたとしても、可撓性ワイパー130のフランジ部分133がブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123の外周面とマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112の内周面との間でひっかかるため、ブラシ付きキャップ120をマスカラ保存容器110に装着する際に可撓性ワイパー130がマスカラ保存容器110の中に脱落することを防ぐことができる。
【0034】
さらに、ブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110と螺合した状態で、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の内周面133Aがブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123のテーパ部123cと略平行に形成されていることにより、ブラシ付きキャップ120をマスカラ保存容器110に対して更に螺進させて、可撓性ワイパー130のフランジ部分133がブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123のテーパ部123cと当接してしまった場合であっても、可撓性ワイパー130のフランジ部分133とブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123のテーパ部123cとの接触面積が可撓性ワイパー130のフランジ部分133の内周面133Aがブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123のテーパ部123cと交差する場合に比べて大きくなるため、可撓性ワイパー130に加わる剪断応力を小さくして可撓性ワイパー130の変形をより一層抑制し、その結果、ブラシ付きキャップ120をマスカラ保存容器110に装着する際に可撓性ワイパー130がマスカラ保存容器110の中に脱落するような変形を完全に回避することができる。
【0035】
また、可撓性ワイパー130のフランジ部分133に、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123の基部123bに向けて突出する突起133aが形成されていることにより、ブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110と螺合してブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123の基部123bが可撓性ワイパー130と当接した際に突起133aが潰れるため、ブラシ付きキャップ120とマスカラ保存容器110との間で気密を保たれ、マスカラ保存容器110内に貯蔵された化粧料であるマスカラMの漏出を防ぐことができるばかりでなく、ブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123が可撓性ワイパー130の内周面に接触して惹起する突起133aの潰れによって可撓性ワイパー130がブラシ付きキャップ120の回転方向に変形することを抑制するため、可撓性ワイパー130がマスカラ保存容器110の中に脱落することを阻止することができる。
【0036】
<変形例>
以上、本発明の実施例であるマスカラ塗布具についてそれぞれ説明したが、本発明のマスカラ塗布具は、上述した実施例のマスカラ塗布具に限定されるものではない。
【0037】
例えば、上述した実施例において、可撓性ワイパー130の突起133aは、径方向のほぼ中央に設けられていたが、可撓性ワイパーの突起の位置は、これに限定されるものではなく、例えば、径方向の中央よりも外方に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
100 ・・・マスカラ塗布具(化粧料塗布具)
110 ・・・マスカラ保存容器(化粧料保存容器)
111 ・・・容器胴体部分
111a ・・・肩部
112 ・・・円筒状ネジ部分
112a ・・・装着用開口部
112b ・・・上端面
120 ・・・ブラシ付きキャップ(塗布体付きキャップ)
121 ・・・ブラシ部分(塗布体部分)
122 ・・・キャップ本体部分
123 ・・・ブラシ軸部分(塗布体軸部分)
123a ・・・円柱部
123b ・・・基部
123b1・・・下端面
123c ・・・テーパ部
130 ・・・可撓性ワイパー
131 ・・・ブラシ当接部分(塗布体当接部分)
132 ・・・抜け止め部分
133 ・・・フランジ部分
133a ・・・突起
133A ・・・内周面
134 ・・・連結部分
M ・・・マスカラ(化粧料)
t ・・・フランジ部分の厚み
d ・・・ブラシ軸部分とマスカラ保存容器の円筒状ネジ部分との間の最短距離
【要約】
【課題】塗布体付きキャップを化粧料保存容器に装着する際に可撓性ワイパーが化粧料保存容器の中に脱落しにくい化粧料塗布具を提供すること。
【解決手段】ブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110と螺合した状態で、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の内周面133Aがブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123のテーパ部123cと離間対向し、ブラシ付きキャップ120がマスカラ保存容器110と螺合してブラシ付きキャップ120とマスカラ保存容器110とが当接した状態で、可撓性ワイパー130のフランジ部分133の厚みtがブラシ付きキャップ120のブラシ軸部分123とマスカラ保存容器110の円筒状ネジ部分112との間の最短距離dより大きい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B