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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】冷凍装置及び冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 13/00 20060101AFI20220928BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20220928BHJP
   F25D 17/02 20060101ALI20220928BHJP
   F25D 17/00 20060101ALI20220928BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20220928BHJP
   F25C 1/147 20180101ALI20220928BHJP
【FI】
F25D13/00 A
A23L3/36 A
F25D17/02 303
F25D17/02 302
F25D17/00 301
F25D9/00 B
F25C1/147 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018101596
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019205366
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】518403539
【氏名又は名称】ブランテックインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】廣兼 美雄
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086464(WO,A1)
【文献】特開2018-021745(JP,A)
【文献】特開2009-216329(JP,A)
【文献】特開2008-057927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
F25C 1/00-5/20
A23L 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷スラリーが循環する環状の流路であって、2本の並列した直線ラインと、当該2本の直線ラインの隣り合った各端部同士を接続する2本の曲線ラインとを有する流路と、
氷スラリーに推進力を与える推進手段と、
少なくともいずれか一方の前記曲線ラインを複数のレーンに分割するガイドベーンと、
を備え
前記直線ラインは、被冷凍品を冷凍する領域とされている、
冷凍装置。
【請求項2】
前記ガイドベーンは、前記曲線ラインの上流端から前記曲線ラインの下流端を超えてさらに前記直線ラインの上流側まで延びている、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記推進手段は、少なくともいずれか一方の前記直線ラインの上流側と前記曲線ラインの下流側との境界部に配備される、
請求項1又は2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記流路は、氷スラリーの供給口と、氷スラリーの排出口と、
を備える、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記推進手段は、前記流路内に設置されたスクリューを備える、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の冷凍装置。
【請求項6】
請求項1乃至のうち少なくともいずれか1項に記載の冷凍装置と、
前記流路に氷スラリーを供給する氷スラリー製造装置であって、
供給されたブラインの一部からフレークアイスを生成し、供給されたブラインの残部を流出する氷スラリー原料製造部と、
前記氷スラリー原料製造部によって生成されたフレークアイスと流出されたブラインとの混合物を氷スラリーとして貯留する貯氷タンクと、
を備える、氷スラリー製造装置と、
を備える、
冷凍システム。
【請求項7】
前記氷スラリー製造装置は、フレークアイスの濃度を10%以上かつ60%以下の氷スラリーを製造する、
請求項に記載の冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮海産物等の魚介類や各種の精肉その他の食品等、さらに冷凍して保管乃至輸送される食品等といった被冷凍品を冷凍するための冷凍装置及び冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品を加工する工程において、食品を冷却する方法や装置が種々提供されている。例えば、特許文献1には、屠体を連続的に吊り下げるチェーンコンベアと、このチェーンコンベアの下方に配置され、氷スラリーを貯留したチラータンクと、このチラータンクの上流側で食鳥屠体の内部に氷スラリーを充填するノズルとを備えた食鳥屠体の冷却装置が記載されている。
【0003】
チラータンクに貯留される氷スラリーは、氷蓄熱槽で製造され、配管を通って供給される。チラータンク内の氷スラリーは、チラータンクからオーバーフロー水として流出され、さらに循環使用が可能とされている。チェーンコンベアによってチラータンクの上流端まで搬送されてきた屠体の内部には、ノズルから氷スラリーが充填される。これによって屠体は、内部から冷却される。
【0004】
この屠体は、チェーンコンベアによって吊り下げられ、チラータンクに貯留された氷スラリー内に上流側で浸漬され、下流側で氷スラリー内から浮上して、次の切断工程に移送される。この食鳥屠体の冷却装置は、屠体を内側と外側とから冷却し、各部位の温度差をなくすことにより、冷却時間を短縮し、屠体の含水量を抑え、かつ、肉質の劣化を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-034023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された食鳥屠体の冷却装置は、チラータンク内の氷スラリーがオーバーフロー水として排出され、さらに循環使用可能とされるものの、高速でチラータンク内を流動しない。したがって、この食鳥屠体の冷却装置は、屠体を劣化させない程度に冷却することができるとしても、魚介類や精肉のような食品等を被冷凍品として冷凍したり保管したりすることが可能なように高速に冷却することができない。
【0007】
本発明は、食品等の被冷凍品を高速に冷凍することができるようにした冷凍装置及び冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷凍装置は、
氷スラリーが循環する環状の流路であって、2本の並列した直線ラインと、当該2本の直線ラインの隣り合った各端部同士を接続する2本の曲線ラインとを有する流路と、
氷スラリーに推進力を与える推進手段と、
少なくともいずれか一方の前記曲線ラインを複数のレーンに分割するガイドベーンと、
を備える。
【0009】
本発明に係る冷凍装置において、
前記ガイドベーンは、前記曲線ラインの上流端から前記曲線ラインの下流端を超えてさらに前記直線ラインの上流側まで延びている。
【0010】
本発明に係る冷凍装置において、
前記推進手段は、少なくともいずれか一方の前記直線ラインの上流側と前記曲線ラインの下流側との境界部に配備される。
【0011】
本発明に係る冷凍装置において、
前記流路は、氷スラリーの供給口と、氷スラリーの排出口と、を備える。
【0012】
本発明に係る冷凍装置において、
前記推進手段は、前記流路内に設置されたスクリューを備える。
【0013】
本発明に係る冷凍装置において、
前記直線ラインは、被冷凍品を冷凍する領域とされている。
【0014】
本発明に係る冷凍システムは、
本発明に係る冷凍装置と、
前記流路に氷スラリーを供給する氷スラリー製造装置であって、
供給されたブラインの一部からフレークアイスを生成し、供給されたブラインの残部を流出する氷スラリー原料製造部と、
前記氷スラリー原料製造部によって生成されたフレークアイスと流出されたブラインとの混合物を氷スラリーとして貯留する貯氷タンクと、
を備える、氷スラリー製造装置と、
を備える。
【0015】
本発明に係る冷凍システムにおいて、
前記氷スラリー製造装置は、フレークアイスの濃度を10%以上かつ60%以下の氷スラリーを製造する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、食品等の被冷凍品を高速に冷却することができるようにした冷凍装置及び冷凍システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る冷凍システムの一実施形態を示す概略正面図である。
図2】本発明に係る冷凍システムに含まれる氷スラリー原料製造部の概略を示す断面斜視図である。
図3】本発明に係る冷凍装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
図4】本発明に係る冷凍装置の一実施形態を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の冷凍装置及び冷凍システムは、生鮮海産物等の魚介類や各種の精肉その他の食品等の被冷凍品を氷スラリーによって冷凍(冷却を含む)するための装置及びシステムである。
【0019】
氷スラリーは、ハイブリッドアイス(後述する)をフレーク(剥片)状に加工したフレークアイス(固体)と、溶質を含有する水溶液(ブライン)とを所定の比率で混合させたシャーベット状の混合物で、流動性を有している。氷スラリーにフレークアイスを加えることにより、氷スラリーに含まれるフレークアイスとブラインとの構成比率を容易に調整することができる。
【0020】
ハイブリッドアイスは、溶質を含有する水溶液(ブライン)を、溶質の濃度がほぼ均一となるように凝固させた氷である。ハイブリッドアイスは、少なくとも(a)融解完了時の温度が0℃未満、かつ、(b)融解過程で氷が融解した水溶液(ブライン)の溶質濃度の変化率(以下、「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある)が30%以内という条件を満たし、被冷凍品を効率よく冷凍することができるという特性を有している。
【0021】
ハイブリッドアイスに含まれる溶質の種類は、水を溶媒としたときの溶質であれば特に限定されず、所望の凝固点や使用する氷の用途等に応じて適宜選択することができる。溶質としては、固体状の溶質、あるいは液状の溶質等が挙げられるが、固体状の溶質として代表的なものには、塩類(無機塩、有機塩等)が挙げられる。
【0022】
特に、塩類のうち食塩(NaCl)は、凝固点の温度を過度に低下させることがないため、生鮮動植物又はその一部の冷凍に適している。また、食塩は海水に含まれているため、調達が容易であるという点でも適している。また、液状の溶質としては、エチレングリコール等が挙げられる。なお、溶質は1種単独で含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
【0023】
ブラインとは、例えば、塩化ナトリウム水溶液(塩水)や塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、エチレングリコール水溶液等のように溶質を含有し、凝固点の低い水溶液である。フレークアイスの原料となるブラインは、特に限定されないが、溶質として食塩を使用する場合、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水であることが好ましい。海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、調達が容易であるため、調達コストを削減することができるからである。
【0024】
また、食塩を溶質とするブライン(塩水)の熱伝導率は、約0.58W/m Kであるが、食塩を溶質とするブラインが凍結したフレークアイスの熱伝導率は約2.2W/m Kである。即ち、熱伝導率は、ブライン(液体)よりもフレークアイス(固体)の方が高いため、フレークアイス(固体)の方が被冷凍品を早く冷凍することができることになる。
【0025】
しかしながら、フレークアイス(固体)のままでは被冷凍品と接触する面積が小さくなってしまう。そこで、フレークアイスとブラインとを混合させて氷スラリーの状態とすることにより流動性を持たせる。これにより、被冷凍品に対し万遍なくフレークアイス(固体)を接触させることができるようになり、被冷凍品を素早く冷凍することが可能となる。
【0026】
氷スラリーに含まれるフレークアイスとブラインとは、いずれも同じ溶質を含んでいるが、このとき、フレークアイスの溶質濃度と、ブラインの溶質濃度とが近い値である方が好ましい。その理由は、以下のとおりである。
【0027】
即ち、フレークアイスの溶質濃度がブラインの溶質濃度よりも高い場合、フレークアイスの温度がブラインの飽和凍結点よりも低くなるため、溶質濃度が低いブラインを混合させた直後にブラインが凍結する。
【0028】
これに対して、フレークアイスの溶質濃度がブラインの溶質濃度より低い場合、フレークアイスの飽和凍結点よりもブラインの飽和凍結点の方が低くなる。このため、フレークアイスとブラインとを混合させた氷スラリーの温度は低下する。
【0029】
したがって、フレークアイスとブラインとの混合物の状態(氷スラリーの状態)を変動させないようにするためには、上述のとおり、混合するフレークアイスとブラインの溶質濃度を同程度とすることが好ましい。
【0030】
また、氷スラリーの状態である場合、ブラインは、フレークアイスが融解したものであってもよく、別途調製したものであってもよいが、フレークアイスが融解してなるものであることが好ましい。
【0031】
ここで、氷スラリーによって被冷凍品を冷凍する冷凍装置及び冷凍システムの一実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本発明に係る冷凍システムの一実施形態を示す一部断面概略正面図である。図2は、本発明に係る冷凍システムに含まれる氷スラリー原料製造装置の概要を示す断面斜視図である。図3は、本発明に係る冷凍装置の一実施形態を示す概略斜視図である。図4は、本発明に係る冷凍装置の一実施形態を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。
【0032】
図1に示すように、冷凍システムは、氷スラリー製造装置1と、冷凍装置6と、を備えている。氷スラリー製造装置1は、氷スラリー原料製造部(以下、「氷スラリー原料製造装置」という。)200と、貯氷タンク500と、を備えている。
【0033】
図2に示すように、氷スラリー原料製造装置200は、ドラム21と、回転軸22と、噴射部23と、剥取部24と、ブレード25と、フレークアイス排出口26と、上部軸受部材27と、噴射制御部28と、防熱保護カバー29と、ギヤードモータ30と、ロータリージョイント31と、冷媒クリアランス34と、回転制御部37と、ブッシュ38と、冷媒供給部39と、ブライン貯留タンク40(図1参照)とを備える。
【0034】
ドラム21は、内筒32と、この内筒32を囲繞する外筒33と、内筒32と外筒33との間に形成される冷媒クリアランス34とで構成される。また、ドラム21の外周面は、円筒状の防熱保護カバー29によって覆われている。冷媒クリアランス34には、冷媒供給部39から冷媒配管42を介して内筒冷凍冷媒が供給される。これにより内筒32の内周面が冷却される。
【0035】
回転軸22は、ドラム21の中心軸上に配置され、上部軸受部材27の上方に設置されたギヤードモータ30を動力源として、当該中心軸を軸として材軸回りに回転する。なお、ギヤードモータ30の回転速度は、後述の回転制御部37によって制御される。
【0036】
噴射部23は、内筒32の壁面に向けてブラインや後述する氷スラリーSを噴射する噴射孔23aを先端部に有する複数のパイプで構成され、回転軸22と共に回転する。噴射孔23aから噴射されたブラインは、冷媒によって冷却された内筒32の壁面に付着し、溶質と溶媒とに分離する時間も与えられずに急速に凍結しハイブリッドアイスになる。。噴射部23を構成する複数のパイプは、回転軸22からドラム21の半径方向に放射状に延出している。
【0037】
噴射部23から噴射されるバージンのブラインは、ブライン貯留タンク40に貯留されている。ブライン貯留タンク40と噴射部23とは、ブライン配管41によって接続されている。
【0038】
剥取部24は、内筒32の内周面に生成されたハイブリッドアイスを剥取るブレード25を先端部に備える複数のアームによって構成される。なお、剥取部24は、ドラム21の半径方向に延出し、回転軸22と共に回転する。剥取部24を構成する複数のアームは、回転軸22に関して対称となるように装着されている。なお、図2に示す氷スラリー原料製造装置200の剥取部24は、2本のアームによって構成されているが、アームの本数は特に限定されない。
【0039】
また、アームの先端に装着されているブレード25は、内筒32の全長(全高)に略等しい長さを有する部材からなり、内筒32の内周面に対向する端部には複数の鋸歯25aが形成されている。
【0040】
内筒32の内周面に生成されたハイブリッドアイスは、ブレード25によって剥取られることによりフレークアイスとなる。フレークアイスは、フレークアイス排出口26から落下する。フレークアイス排出口26から落下したフレークアイスは、氷スラリー原料製造装置200の直下に配置された貯氷タンク500(図1参照)内に貯えられる。
【0041】
また、氷スラリー原料製造装置200は、噴射部23から噴射されるブラインの量を調節することにより、生成されるフレークアイスの量を調節する。即ち、噴射部23から噴射されるブラインの量を増やすことにより、生成されるフレークアイスの量を増やすことができる。また反対に、噴射部23から噴射されるブラインの量を減らすことにより、製造されるフレークアイスの量を減らすことができる。
【0042】
上部軸受部材27は、鍋を逆さにした形状からなり、ドラム21の上面を封止している。上部軸受部材27の中心部には、回転軸22を支持するブッシュ38が嵌装されている。なお、回転軸22は、上部軸受部材27にのみ支持され、回転軸22の下端部は軸支されていない。
【0043】
噴射制御部28は、噴射部23によるブラインの噴射時に、噴射部23から噴射されるブラインの量を調節する。なお、噴射部23から噴射させるブラインの量を調節する具体的な手法は特に限定されない。例えば、噴射部23を構成する複数のパイプの夫々について、ブラインを噴射させるパイプの数とブラインを噴射させないパイプの数とを調節することにより、噴射されるブラインの量を調節してもよい。また例えば、ブラインを噴射させる複数のパイプに送り込むブラインの量を増減させることにより、噴射されるブラインの量を調節してもよい。
【0044】
噴射部23からは、ブラインが噴射されるだけでなく、氷スラリーS、ブラインと氷スラリーSとの混合物が噴射される場合もある。したがって、噴射部23は、ブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物のいずれであっても噴射できるように構成されている。さらに、噴射部23は、ブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物を勢いよく噴射するものに限らず、内筒32の内周面に沿わせるように排出するものも含まれる。
【0045】
氷スラリー原料製造装置200は、内筒32の内周面において、噴射部23から噴射されたブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物の一部を冷凍することでフレークアイスを生成し、残部を冷却するものの冷凍しないように設定している。すなわち、冷媒供給部39から氷スラリー原料製造装置200に供給される内筒冷凍冷媒の冷熱は、噴射部23から噴射されるブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物をすべて冷凍させるために必要な冷熱より小さく設定されている。
【0046】
防熱保護カバー29は、円筒形状からなり、ドラム21の側面を封止している。
冷媒供給部39は、冷媒クリアランス34に対して、内筒32の内周面を冷凍する内筒冷凍冷媒を、冷媒配管42を介して供給する。図1に示すように、冷媒供給部39は、貯氷タンク500に隣接して設置される。
【0047】
冷媒クリアランス34に供給される内筒冷凍冷媒は、冷媒クリアランス34と冷媒供給部39との間を冷媒配管42を介して循環する。これにより、冷媒クリアランス34に供給された内筒冷凍冷媒を冷凍能が高い状態で維持させることができる。
【0048】
図1に示すように、氷スラリー原料製造装置200は、貯氷タンク500上に設置される。貯氷タンク500は、円盤状の底面部51と、円筒状の壁面部52と、壁面部52の上面を覆う天面部53とを備え、氷スラリーSを貯留する。天面部53の偏芯した位置には、開口部53aが設けられている。この開口部53aとフレークアイス排出口26とが連通するように氷スラリー原料製造装置200のドラム21が設置される。
【0049】
貯氷タンク500内には、貯留された氷スラリーSを撹拌する撹拌部(以下、「撹拌手段」という。)54が付設されている。撹拌手段54は、本体翼54aと、回転軸54bと、駆動部54cとを備えている。本体翼54aは、図示したようなプロペラ翼だけでなく、図示しないパドル翼やアンカー翼、タービン翼、リボン翼等種々のタイプを採用してもよい。
【0050】
回転軸54bは、貯氷タンク500の中心軸に鉛直姿勢で配置される。回転軸54bの下端部に本体翼54aが固定される。回転軸54bの上端部は、天面部53から上方へ突出する。回転軸54bの上端部に駆動部54cが取り付けられている。駆動部54cは、天面部53上に設置され、モータを備える。駆動部54cは、撹拌手段54を等速で回転させるようにしてもよいし、加速と減速を繰り返すように回転させてもよい。
【0051】
貯氷タンク500には、貯氷タンク500内の氷スラリーSを原水として氷スラリー原料製造装置200の噴射部23に供給するリターンパイプ44が接続されている。リターンパイプ44の途中には、ポンプ57が接続されている。
【0052】
リターンパイプ44には、ポンプ57の上流側に貯氷タンク500内に貯留された氷スラリーS中のフレークアイスの濃度(IPF:Ice Packing Factor)を計測する濃度計測部(以下、「第1の計測手段」という。)55が備えられている。フレークアイスの濃度IPFは、「IPF=(フレークアイスの質量)/(フレークアイスの質量+ブラインの質量)」で算出される。
【0053】
氷スラリーSのフレークアイスの濃度は、10%以上かつ60%以下であることが好ましい。氷スラリー製造装置1は、氷スラリー原料製造装置200が製造するフレークアイスの量を制御することによって、フレークアイスの濃度を所定の値(目標)に保持することができる。フレークアイスの濃度の目標は、冷凍しようとする被冷凍物の種類によって適宜選択すればよい。氷スラリーSの温度は、フレークアイスを加えても(氷スラリーSに冷熱を加えても)、逆に被冷凍物を冷凍しても(氷スラリーSから冷熱を取り去っても)、氷スラリーSを生成するブラインの凝固点に保持されており、氷スラリーSに対する熱授受によって氷スラリーSのフレークアイスの濃度が変化する。従って、氷スラリーSのフレークアイスの濃度を制御することで、氷スラリーSの授受冷熱量を制御することができる。
【0054】
第1の濃度計測手段55は、図示しないが、リターンパイプ44に入口、出口を有する実質的なバイパス管内にヒータ及び温度計を備えている。第1の濃度計測手段55は、計測時には入口及び出口を閉じ、入口と出口の間に計測しようとする氷スラリーSのサンプルを採取する。第1の濃度計測手段55は、ヒータで所定の熱量を当該サンプルに加え、当該サンプルの温度変化を計測するものであってよい。
【0055】
すなわち、氷スラリーSのサンプルは、その中にフレークアイスが残っている間は凝固点温度を維持するため、その凝固点温度からの昇温タイミングはフレークアイスの濃度と関連し(印加する熱量が一定の場合、フレークアイスの濃度が高いほど、昇温タイミングは遅くなる)、氷スラリーSのサンプルの温度変化から氷スラリーSの濃度を特定できる。
【0056】
フレークアイスの濃度の計測が完了すると、第1の濃度計測手段55に備えられたバイパス管の入口及び出口が開かれ、サンプリングされた氷スラリーSがリターンパイプ44に流出する。所定時間後、第1の濃度計測手段55は、再び入口、出口が閉じて同様にフレークアイスの濃度を計測する。このサンプリング、計測は、継続的に行われる。
【0057】
リターンパイプ44の下流端は、切替弁43を介してブライン配管41に接続される。したがって、切替弁43によって切り替えられ、噴射部23には、ブライン貯留タンク40に貯留されているバージンのブラインと貯氷タンク500内から戻されたリサイクルの氷スラリーSとが切り替えられて供給され、又はバージンのブラインとリサイクルの氷スラリーSとが混合して供給される。
【0058】
貯氷タンク500と冷凍装置6とは、氷スラリー供給管45と氷スラリー戻管46とによって接続される。氷スラリー供給管45と氷スラリー戻管46とには、開閉弁45a、46aが設けられている。氷スラリー供給管45は、貯氷タンク500内の氷スラリーSを冷凍装置6に送る。氷スラリー戻管46は、冷凍装置6内の氷スラリーSを貯氷タンク500に戻す。氷スラリー供給管45、氷スラリー戻管46にはそれぞれ図示しないポンプが設けられていて、それぞれのポンプは開閉弁45a、46aの開閉に同期して駆動される。
【0059】
氷スラリー供給管45の開閉弁45a及び氷スラリー戻管46の開閉弁46aは、それぞれ、「氷スラリーSの冷凍装置6への送り量>氷スラリーSの冷凍装置6からの戻し量」となるように制御される。冷凍装置6の氷スラリーSの水面は、図示しないオーバーフロー菅等によって一定に保たれていてよい。
【0060】
また、貯氷タンク500に貯留できる氷スラリーSの量は、冷凍装置6を満たすのに必要な氷スラリーSの量より十分大きく、冷凍装置6の氷スラリーSのフレークアイスの濃度が変化しても、貯氷タンク500に貯留された氷スラリーSのフレークアイスの濃度は、ほとんど変化しない。
【0061】
前述の通り、貯氷タンク500と冷凍装置6とは氷スラリー供給管45及び氷スラリー戻管46によって接続され、さらに貯氷タンク500に貯留できる氷スラリーSの量は冷凍装置6を満たすのに必要な氷スラリーSの量より十分大きいように構成されているため、冷凍装置6の氷スラリーSのフレークアイスの濃度が変化しても、貯氷タンク500に貯留された氷スラリーSのフレークアイスの濃度はほとんど変化しない。
【0062】
また、貯氷タンク500と冷凍装置6との間では、氷スラリーSは、「氷スラリーSの冷凍装置6への送り量>氷スラリーSの冷凍装置6からの戻し量」となるように制御されることにより、冷凍装置6の氷スラリーSは、図示しないオーバーフロー菅等によって一部が廃棄されるので、貯氷タンク500に貯留された氷スラリーSのフレークアイスの濃度の変化はさらに小さい。
【0063】
貯氷タンク500の氷スラリーSのフレークアイスの濃度は、第1の濃度計測手段55によって計測され、それを氷スラリー原料製造装置200の運転にフィードバックさせることによって、所定の濃度になるように制御されている。
【0064】
図3及び図4に示すように、冷凍装置6は、氷スラリーSによって被冷凍品A(図4参照)を包むことによって冷凍するため、流路60と、ガイドベーン70と、推進部(以下、「推進手段」という。)80と、第2の濃度計測手段90と、を備えている。被冷凍品Aは、例えば、トレー(図示せず)上に載せられる。トレーは、例えば、間隔を開けて複数段積み重ねられるラック(図示せず)内に保持される。ラックは、例えば、4本の支柱と、トレーを載せるビームとを有するフレーム状とされている。トレー内の被冷凍品Aは、氷スラリーSに包まれるようになる。
【0065】
流路60は、環状で、氷スラリー供給管45から供給される氷スラリーSで満たされ、氷スラリーSを循環させることができる。流路60は、氷スラリーSの供給口61と、氷スラリーSの第1の排出口62及び第2の排出口63とを備えている。氷スラリーSの供給口61には、貯氷タンク500に接続された氷スラリー供給管45が接続される。氷スラリーSの第1の排出口62には、貯氷タンク500に接続された氷スラリー戻管46が接続される。氷スラリーSの第2の排出口63には、ノズル48が接続される。このノズル48には、開閉弁48aが設けられている。
【0066】
図3に示すように、流路60は、2本の並列した直線ライン64と、当該2本の直線ライン64の隣り合った各端部同士を接続する2本の曲線ライン65とを有するレーストラック形状とされている。流路60は、長円形の外壁部66と、この外壁部66の中心線上に設けられた仕切部67と、底面部68とを備えている。
【0067】
直線ライン64は、被冷凍品Aが置かれて冷凍される冷凍領域69とされる。仕切部67の各端部と外壁部66の半円形部との間は、間隔が空けられ、氷スラリーSがターンする曲線ライン65とされる。仕切部67の各端縁と外壁部66とを結ぶライン、すなわち、仕切部67の各端で仮想的に引いた垂線が、直線ライン64と曲線ライン65との境界線となる。
【0068】
図4(b)に示すように、流路60の少なくとも一つの曲線ライン65は、その底部にピット(深堀部)を備えてもよい。冷凍操作中に氷スラリーSから溶質が分離して沈殿する場合、溶質がピットに集められる。ピットに集められた溶質は、冷凍操作に影響を与えることがない。
【0069】
曲線ライン65には、曲線ライン65を複数(図面では2本)のレーンに分割するほぼ半円形(J字状)のガイドベーン70が備えられている。各レーンの幅が等しくなるように、ガイドベーン70が底面部68上に設置される。ガイドベーン70が備えられない場合は、曲線ライン65に連続する直線ライン64の上流側の外壁部66に沿った領域に氷スラリーSが淀むことがある。なお、ガイドベーン70は、各レーンの幅が不均等になるようにガイドベーン70が底面部68上に設置されてよい。
【0070】
ガイドベーン70の上流側の端部71は、流路60の直線ライン64と曲線ライン65の境界線に位置している。ガイドベーン70の下流側の端部72は、曲線ライン65の下流端を超えて直線ライン64の上流領域にまで延びている。このようなガイドベーン70の両端部は横並びにならず、全体としてJ字状とされている。
【0071】
図示しないが、ガイドベーン70の下流側の端部72は、曲線ライン65と直線ライン64との境界線よりも下流側、すなわち曲線ライン65の上流側に位置してもよい。図示しないが、ガイドベーン70の上流側の端部71は、直線ライン64と曲線ライン65との境界線に位置していてもよいし、曲線ライン65の下流側に位置してもよい。したがって、ガイドベーン70は、U字状に形成されてもよい。
【0072】
ガイドベーン70が曲線ライン65に備えられることで、この領域に氷スラリーSが淀むことなく流れるようにすることができる。ガイドベーン70の下流側の端部72が直線ライン64の上流側内にまで延びているときは、ガイドベーン70の下流側の端部72が曲線ライン65内までとなっているときよりも、より効果的に氷スラリーSが淀むことなくスムーズに流れるようにすることができる。
【0073】
流路60は、冷凍領域69の氷スラリーSに推進力を与える推進手段80を備えている。推進手段80は、図示したような二つでなくてもよく、少なくとも一つ備えていればよい。また、推進手段80は、三つ以上設けられてもよいことはいうまでもない。推進手段80は、例えば、流路60内の直線ライン64の上流に設置されたスクリュー81と、スクリュー81を先端部で接続し、外壁部66の半円形部を貫通する駆動軸82と、駆動軸82の基端部に接続され、流路60外に設置された駆動源83とを備えている。
【0074】
第2の濃度計測手段90は、第1の濃度計測手段55と同様に構成され、流路60内の氷スラリーSのフレークアイスの濃度を計測する。第2の濃度計測手段90は、図1に示したような1か所に限らず、複数か所に置かれてもよい。
【0075】
ここで、冷凍システムによって氷スラリーSを製造し、この氷スラリーSによって被冷凍品Aを冷凍する方法について説明する。氷スラリーSは、氷スラリー製造装置1に備えられた氷スラリー原料製造装置200によって製造される。
【0076】
氷スラリー原料製造装置200は、内筒冷凍冷媒によって内筒32を冷却した状態でフレークアイスを製造する。そのため、内筒冷凍冷媒が冷媒供給部39から冷媒クリアランス34に供給され、内筒32の内周面の温度を冷凍しようとするブラインの凝固点より-10℃程度低くなるように冷却する。
【0077】
このような状態下において、ブライン貯留タンク40に貯留されているバージンのブライン、リターンパイプ44を通って供給される氷スラリーS、又はそれらの混合物は、噴射部23から内筒32に向けて噴射される。噴射されたブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物の一部は、内筒32に付着し、溶質と溶媒とに分離する時間を与えられずに急速に冷凍し、ハイブリッドアイスとなる。
【0078】
内筒32の内周面に生成されたハイブリッドアイスは、内筒32内で回転する剥取部24によって剥ぎ取られる。剥取部24によって剥ぎ取られたハイブリッドアイスは、フレークアイスとしてフレークアイス排出口26から貯氷タンク500内に落下して、貯えられる。噴射されたブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物のうち冷凍されなかった部分は、同じくフレークアイス排出口26から貯氷タンク500内に落下して、貯えられる。
【0079】
氷スラリー原料製造装置200は、噴射部23から噴射されたブライン、氷スラリーS、又はそれらの混合物の一部を内筒32の内周面において冷凍させてフレークアイスにするため、フレークアイス排出口26から貯氷タンク500内に落下する氷スラリーSのフレークアイスの濃度は、噴射前の氷スラリーSのフレークアイスの濃度(すなわち、貯氷タンク500内に貯留されていた氷スラリーSのフレークアイスの濃度)より高くなる。
【0080】
この氷スラリー原料製造装置200から排出された氷スラリーSと貯氷タンク500内に貯留されていた氷スラリーSとは、攪拌手段54によって混合され、貯氷タンク500内の混合された氷スラリーSのフレークアイス濃度は、均一に保たれる。
【0081】
したがって、氷スラリー原料製造装置200は、それを作動することによって、貯氷タンク500内の氷スラリーSのフレークアイス濃度を高くすることができる。氷スラリーSのフレークアイス濃度は、貯氷タンク500内の氷スラリーSを氷スラリー原料製造装置200の噴射部23に供給する通路であるリターンパイプ44に備えられた第1の濃度計測手段55によって計測される。
【0082】
また、氷スラリー原料製造装置200は、それを作動することによって、貯氷タンク500内の氷スラリーSの量を増加させることができる。貯氷タンク500内の氷スラリーSの量は、ブライン貯留タンク40内に貯留されたバージンのブラインを供給することによって、増加できる。貯氷タンク500内の氷スラリーSの量は、貯氷タンク500に設けられた貯留量センサ56によって計測される。
【0083】
氷スラリー原料製造装置200は、貯氷タンク500内の氷スラリーSのフレークアイスの濃度や氷スラリーSの量によって、作動したり停止したりするように制御される。すなわち、氷スラリー原料製造装置200は、貯氷タンク500内氷スラリーSのフレークアイスの濃度が目標濃度よりも低い場合、作動し、貯氷タンク500内氷スラリーSのフレークアイスの濃度が目標濃度よりも高い場合、一時的に停止する。また、氷スラリー原料製造装置200は、貯氷タンク500内氷スラリーSの量が目標値よりも低い場合、作動し、貯氷タンク500内氷スラリーSの量が目標値よりも高い場合、一時的に停止する。
【0084】
また、氷スラリー原料製造装置200は、作動又は一時停止の制御だけでなく、冷媒供給部39から冷媒クリアランス34への内筒冷凍冷媒の供給量を多くし、内筒32の内周面の温度を下げることによって内筒32の内周面で生成されるハイブリッドアイスの量を増加させる、又は逆に冷媒供給部39から冷媒クリアランス34への内筒冷凍冷媒の供給量を少なくし、内筒32の内周面の温度を上げることによって内筒32の内周面で生成されるハイブリッドアイスの量を減少させる等の制御を併せて行ってよい。
【0085】
貯氷タンク500内に貯留されている氷スラリーSは、(a)融解完了時の温度が0℃未満、かつ、(b)融解過程で氷が融解したブラインの溶質濃度の変化率が30%以内という条件を満たしている。氷スラリーSは、融解する際に大量の潜熱を周囲から奪うことができるが、融解が完全に完了せずにハイブリッドアイスが残存している間は温度が上昇することがない。
【0086】
貯氷タンク500内の氷スラリーSのフレークアイスの濃度は、第1の濃度計測手段55によって計測され、フレークアイスの濃度が所定の濃度(10%以上かつ60%以下の所定濃度)に調整された氷スラリーSは、氷スラリー供給管45から冷凍装置6の流路60内へ送られる。冷凍装置6は、送られた氷スラリーSによって被冷凍品Aの冷凍操作を行う。貯氷タンク500内の氷スラリーSは、氷スラリー供給管45、氷スラリー戻管46を介して、被冷凍品Aの冷凍操作に必要な冷熱を確保できるように冷凍装置6に供給される。
【0087】
貯氷タンク500内に貯留された氷スラリーSの量は、貯留量センサ56によって計測される。貯留量センサ56によって、貯氷タンク500内の氷スラリーSの量が減少したことが計測されると、ブライン貯留タンク40からバージンのブラインが氷スラリー原料製造装置200に供給され、氷スラリーSが製造される。
【0088】
冷凍装置6が冷凍操作を行わない場合、例えば、夜間等、冷凍装置6が休止している場合において、貯氷タンク500内の氷スラリーSのフレークアイス濃度が目標濃度よりも低いと、氷スラリー原料製造装置200は氷スラリー原料を製造し、貯氷タンク500内の氷スラリーSのフレークアイス濃度が高められる。このとき、氷スラリー供給菅45の開閉弁45a及び氷スラリー戻菅46の開閉弁46aは、閉じられた状態でもよいが、貯氷タンク500及び冷凍装置6を合せた系全体の氷スラリーSのフレークアイス濃度を目標濃度領域に調整するためには、開かれた状態であることが好ましい。
【0089】
また、前述のとおり、貯氷タンク500内に貯留された氷スラリーSの量は、貯留量センサ56によって計測されており、貯氷タンク500内の氷スラリーSの量が所定の量に達するまで氷スラリーSが製造される。
【0090】
冷凍装置6における被冷凍品Aの冷凍操作において、被冷凍品Aは、氷スラリーSが循環している流路60の直線ライン64内に設けられた冷凍領域69内に配置される。被冷凍品Aはトレー(図示せず)上に載せられ、トレーはラック(図示せず)内に間隔を空けて保持される。複数台のラックは、流路60の直線ライン64内に直列するように一括して並べられる。ラック内の被冷凍品Aは、循環している氷スラリーS内に漬けられた状態になり、急速に冷凍される。
【0091】
流路60内に満たされた氷スラリーSは、推進手段80によって推進力が付与されて流路60内を循環する。氷スラリーSは、水路の曲線ライン65にガイドベーン70が備えられていることによって、曲線ライン65に連続する直線ライン64の上流側の外壁部66に沿った領域でも淀むことなくスムーズに流れ、環状の流路60内を少ない抵抗で循環できる。
【0092】
流路60を流れている氷スラリーSは、溶質が分離すると、少なくとも一つの曲線ライン65の底部に備えられたピットに溶質が集められる。したがって、氷スラリーSから分離した溶質は、冷凍操作に影響を与えない。
【0093】
氷スラリーSは、流動性を有するため、硬いフレークアイスの状態よりも被冷凍品Aに対して万遍なく接触することができる。氷スラリーSは、ハイブリッドアイスが残存している間は温度が融点に保持される(例えば、飽和食塩水の氷スラリーSの場合、-21.3℃に保持される)ため、長時間に亘って被冷凍品Aを冷凍し続けることができる。また、被冷凍品Aが魚等の食品であっても、氷スラリーSは無害であるため、食品安全上の問題はない。
【0094】
ここで、流路60内の氷スラリーS中のフレークアイスの濃度を調整する方法について説明する。流路60内で循環している氷スラリーSは、冷凍領域69に置かれた被冷凍品Aを冷凍する(すなわち、冷熱を与える)ことによって氷スラリーS中のフレークアイスの濃度が貯氷タンク500内での濃度から低下することがある。
【0095】
また、このような流路60内の氷スラリーS中のフレークアイスの濃度の変化を速やかに把握するために、流路60に第2の濃度計測手段90を設けてもよい。
【0096】
第2の濃度計測手段90によって計測された流路60内の氷スラリーSのフレークアイスの濃度が、第1の濃度計測手段55によって計測された貯氷タンク500の氷スラリーSのフレークアイスの濃度より、所定値以上低下している場合、それを氷スラリー原料製造装置200の運転にフィードバックさせることによって、流路60内の氷スラリーSのフレークアイスの濃度をより精密に制御することができる。
【0097】
このようにしてフレークアイスの濃度が調整された氷スラリーSは、フレークアイスとして製造された状態で細かな空隙部(即ち空気の部分)を多く含むため、この空隙部がハイブリッドアイス内で縦横無尽に連結した状態であり、雪状に調製したり、シャーベット状に調製したりすることができる。雪状またはシャーベット状に調製されたハイブリッドアイスは、全体として柔軟性を備えているため、被冷凍品Aを傷つけることがなく、むしろ被冷凍品Aを保護する緩衝材としてのスポンジのような役割を果たす。
【0098】
また、氷スラリーSは、多くの空隙部(空気の部分)を有する状態であっても、あるいは氷スラリーSの融解によって当該空隙部にブラインが充填された状態であっても、氷スラリーS全体として十分な流動性(柔軟性)を保持することができる。このため、氷スラリーSは、被冷凍品Aをより効率良く冷凍することができる。
【0099】
ここで、氷スラリーS全体の体積に対する空隙部(空気の部分)の体積の割合を「空隙率」と定義した場合、空隙率は、より低い方が(即ち嵩密度が高い方が)蓄冷効果が高くなる。したがって、生鮮食料品の冷蔵や冷凍を目的として氷スラリーSを使用する場合には、空隙率が高い(即ち嵩密度が低い)氷スラリーSを生成する。なお、冷熱エネルギーの運搬を目的として氷スラリーSを使用する場合には、空隙率が低い(即ち嵩密度が高い)氷スラリーSを生成する。
【0100】
また、食塩を溶質とするブライン(塩水)の熱伝導率は約0.58W/m Kであるが、食塩を溶質とするブラインが凍結したフレークアイスの熱伝導率は約2.2W/m Kである。即ち、熱伝導率は、ブライン(液体)よりもフレークアイス(固体)の方が高いため、フレークアイス(固体)の方が被冷凍品Aを早く冷凍することができることになる。
【0101】
しかしながら、フレークアイス(固体)のままでは被冷凍品Aと接触する面積が小さくなってしまう。そこで、フレークアイスとブラインとを混合させて氷スラリーSの状態とすることにより流動性を持たせる。これにより、被冷凍品Aに対し万遍なくフレークアイス(固体)を接触させることができるようになり、被冷凍品Aを素早く冷凍することが可能となる。
【0102】
ここで、氷スラリーSの嵩密度について、具体的な数値を示す。氷スラリーSとして定義可能な嵩密度は、0.48g/cm~0.78g/cmとなる。生鮮食料品の冷凍を目的として氷スラリーSを使用する場合には、0.69g/cm~0.78g/cmの嵩密度とするのが好適である。
【0103】
なお、生鮮食料品の冷蔵を目的として氷スラリーSを使用する場合には、0.48g/cm~0.54g/cmの嵩密度とするのが好適である。また、冷熱エネルギーの運搬を目的として氷スラリーSを使用する場合には、飽和食塩水を用いた氷をさらに機械的に圧縮して0.75g/cm~0.95g/cmの嵩密度としてもよい。
【0104】
従来から、溶媒に溶質を溶解させると、その水溶液の凝固点は、溶質を溶解させる前の溶媒の凝固点よりも低くなることが知られている(凝固点降下現象)。つまり、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた氷は、真水(即ち、食塩等の溶質が溶解していない水)を凍結させた氷よりも低い温度(即ち0℃未満)で凍結した氷となる。
【0105】
ここで、固体としての氷が、液体としての水に変化(融解)するときに必要となる熱を「潜熱」という。この潜熱は温度変化を伴わないため、ハイブリッドアイスは、融解時に真水の凝固点(0℃)未満の温度で安定した状態を維持し続けることができる。このため、冷熱エネルギーを蓄えた状態を持続させることができる。
【0106】
つまり、本来であれば、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた氷の冷凍能は、真水を凍結させた氷よりも高くなるはずである。しかしながら、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた氷を製造しようとしても、実際には、水溶液(例えば塩水)がそのまま凍結することは殆どなく、まず溶質(食塩等)を含まない真水の部分が先に凍結してしまう。
【0107】
このため、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた結果、生成される物質は、溶質(食塩等)を含まない真水が凍結した氷と、溶質(例えば食塩等の結晶)との混合物となってしまう。また、たとえ凝固点が低下した氷(塩水等が凍結した氷)が生成されたとしても、その量はほんの僅かであり実用性がない。このように、氷スラリーSは、真水の凝固点(0℃)未満の凝固点を有する[氷]であるが、フレークアイス製造システムによって、製造することができる。
【0108】
氷スラリーSは、上述したような(a)融解完了時の温度が0℃未満であるという条件を満たしている。氷スラリーSは、溶質(食塩等)を含む水溶液(塩水等)であるため、氷スラリーSの凝固点は、溶質が溶解していない真水の凝固点よりも低い。このため、氷スラリーSは、融解完了時の温度が0℃未満であるという条件を満たしている。
【0109】
なお、「融解完了時の温度」とは、氷スラリーSを融点以上の環境下(例えば、室温、大気圧下)に置くことにより氷スラリーSの融解を開始させ、全ての氷スラリーSが融解しきって水溶液(ブライン)になった時点におけるその水溶液の温度をいう。
【0110】
他方、氷スラリーSの凝固点を、被冷凍品Aの凍結点に近づけた方が好ましい場合もある。例えば、生鮮動植物の損傷を防ぐため等の理由がある場合には、融解完了時の温度が高すぎない方が好ましく、例えば、-21℃以上(-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-14℃以上、-13℃以上、-12℃以上、-11℃以上、-10℃以上、-9℃以上、-8℃以上、-7℃以上、-6℃以上、-5℃以上、-4℃以上、-3℃以上、-2℃以上、-1℃以上、-0.5℃以上等)であることが好ましい。
【0111】
氷スラリーSは、上述したような(b)融解過程で氷が融解した水溶液の溶質濃度の変化率が30%以内であるという条件を満たしている。氷スラリーSは、融解過程で氷が融解した水溶液の溶質濃度の変化率(以下、本明細書において「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある)が30%以内であるという特徴を有する。従来からある技術を用いた場合であっても、凝固点が僅かに低下した氷が生成される場合もあるが、その殆どは、溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物に過ぎないため、冷凍能が十分ではない。
【0112】
このように、溶質を含まない水を凍結させた氷と、溶質の結晶との混合物である場合には、氷を融解条件下に置くと、融解に伴い溶質が溶出する速度が不安定となる。具体的には、融解開始に近いタイミングであればある程、溶質が多く溶出する。そして、融解の進行に伴い、溶質が溶出する量は少なくなっていく。即ち、融解完了に近いタイミングであればある程、溶質の溶出量が少なくなる。
【0113】
これに対し、ハイブリッドアイスは、溶質を含む水溶液を凍結させた氷であるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。具体的には、ハイブリッドアイスが融解する過程でハイブリッドアイスが融解した水溶液の溶質濃度の変化率は30%である。ここで、「融解過程でハイブリッドアイスが融解した水溶液の溶質濃度の変化率」とは、融解過程の任意のタイミングで融解した水溶液における溶質濃度に対する、融解完了時における水溶液の濃度の割合を意味する。なお、「溶質濃度」とは、水溶液に溶解している溶質の質量の割合を意味する。
【0114】
ハイブリッドアイスにおける溶質濃度の変化率は30%以内であれば特に限定されないが、その変化率は少なければ少ない程、純度が高いハイブリッドアイス、即ち、冷凍能が高いハイブリッドアイスであることを意味する。
【0115】
ハイブリッドアイスは、冷凍能に優れているため、被冷凍品Aを冷凍し凍結させるための冷媒としての使用に適している。被冷凍品Aを冷凍する低温の冷媒としては、ハイブリッドアイス以外に、エタノール等の不凍液として使用される有機溶媒が挙げられる。しかしながら、これらの不凍液よりもハイブリッドアイスの方が熱伝導率が高く、比熱が高い。このため、ハイブリッドアイスは、不凍液のような他の0℃未満の冷媒よりも冷凍能が優れている点で有用である。
【0116】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。また本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や上記実施の形態の組み合わせを施してもよい。
【0117】
上述した実施形態における氷スラリー原料製造装置200は、内筒32を有するドラム21を備えた。しかし、氷スラリー原料製造装置200は、ブラインやリターンパイプ44から戻された氷スラリーSが噴射される面を平面としたプレートによって構成してもよい。このプレートの内面には、冷媒クリアランスが設けられる。
【0118】
図1の仮想線に示すように、冷凍システムは、流路60内の氷スラリーSを排出する第2の氷スラリー戻管47を氷スラリー原料製造装置200に接続してもよい。第2の氷スラリー戻管47の下流端は、ブライン配管41とリターンパイプ44との切替弁43に接続してもよい。ただし、この場合の切替弁43は、三つの入力ポートと一つの出力ポートを備えるものとする。また、リターンパイプ44や氷スラリー戻管46、第2の氷スラリー戻管47の上流端は、氷スラリーS中のフレークアイスの固まりを除去するためのフィルタ(図示せず)を備えてもよい。
【0119】
上述した実施形態における冷凍システムは、リターンパイプ44に備えられたバイパス管に第1の濃度計測手段55を備え、流路60内に第2の濃度計測手段90を備えるとした。しかし、濃度計測手段55,90は、いずれか一方のみ備えるようにしてもよいし、備えないようにしてもよい場合もある。
【0120】
また、第1の濃度計測手段55は、貯氷タンク500内に備えられてもよい。この場合の濃度計測手段55は、温度計と濃度計と密度計の計器を備え、これらの計器から計測される温度と濃度と密度の電気信号からフレークアイスの濃度を算出する。この第1の濃度計測手段55は、底面部51側と天面部53側の2か所の壁面部52の内面に固定されてもよい。フレークアイスの濃度が貯氷タンク500内で不均等であっても、それぞれの第1の濃度計測手段55によって、フレークアイスの平均的な濃度を検出することができる。
【0121】
上述した実施形態では、貯氷タンク500内の氷スラリーSのフレークアイスの濃度や氷スラリーSの量によって、氷スラリー原料製造装置200が作動したり停止したりした。しかし、フレークアイスの濃度は、氷スラリー原料製造装置200の内筒の内周面の温度を変更することによって、調整してもよい。
【0122】
例えば、フレークアイスの濃度が高いと、冷媒供給部39から冷媒クリアランス34への内筒冷凍冷媒の供給量を少なくし、内筒32の内周面の温度を上げる。あるいは、ブライン貯留タンク40から噴射部23へ供給するバージンのブラインを減量又は昇温する。そうすると、ブラインが内筒32の内周面に付着する量が減少し、貯氷タンク500内に落下するブラインが増加する。内筒32の内周面に付着するハイブリッドアイスが減少すると、ハイブリッドアイスを剥がし取って生成するフレークアイスが減少する。この減少したフレークアイスと増加したブラインとによって、氷スラリーSはフレークアイスの濃度が低下したものとなる。
【0123】
逆に、フレークアイスの濃度が低いと、冷媒供給部39から冷媒クリアランス34への内筒冷凍冷媒の供給量を多くし、内筒32の内周面の温度を下げる。あるいは、ブライン貯留タンク40から噴射部23へ供給するバージンのブラインを増量又は降温する。そうすると、ブラインが内筒32の内周面に付着する量が増加し、貯氷タンク500内に落下するブラインが減少する。内筒32の内周面に付着するハイブリッドアイスが増加すると、ハイブリッドアイスを剥がし取って生成するフレークアイスが増加する。この増加したフレークアイスと減少したブラインとによって、氷スラリーSはフレークアイスの濃度が増加したものとなる。
【0124】
上述した実施形態における流路60は、外壁部66の中心線上に仕切部67を設け、往路側の流路60と復路側の流路60とが隣り合わされた。しかし、流路60は、仕切部67に替え、長円形(トラック形状)の内壁を備え、往路側の直線ライン64と復路側の直線ライン64とが離れるようにしてもよい。この場合の流路60は、曲線ライン65の円弧が大きくなってもよく、曲線ライン65においても直線の部分が設けられてもよい。
【0125】
上述した実施形態における冷凍領域69は、往路側の流路60と復路側の流路60とに設けられた。しかし、冷凍領域69は、往路側の流路60又は復路側の流路60にのみ設けられてもよい。この場合は、推進手段80及びガイドベーン70は冷凍領域69の上流側にのみ設けられてもよい。
【0126】
上述した実施形態では、推進手段80が直線ライン64の上流側と曲線ライン65の下流側との境界部に配備された。しかし、推進手段80は、流路60のいずれの位置に設けられてもよい。上述した実施形態では、推進手段80は流路60内に設置されるプロペラを備えた。しかし、推進手段80は、流路60の流れ方向に直交する断面を小さくする絞り管を備えることで、流速を早めるようにしてもよい。この場合は、緩勾配の底面に替えて急勾配の底面を備えてもよい。あるいは、冷凍装置6は、推進手段80を必ずしも備えなくてもよい。
【0127】
上述した実施形態における冷凍装置6は、流路60に氷スラリーSの供給口61と第1及び第2の排出口63とを備えた。しかし、氷スラリーSは、流路60の上側開口面から供給してもよいし、オーバーフローによって排出してもよい。
【0128】
上述した実施形態における被冷凍品Aは、食品等としたが、医薬品等であってもよい。
【0129】
以上まとめると、本発明が適用される冷凍装置6は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される冷凍装置6は、
氷スラリーSが循環する環状の流路60であって、2本の並列した直線ライン64と、当該2本の直線ライン64の隣り合った各端部同士を接続する2本の曲線ライン65とを有する流路60と、
氷スラリーSに推進力を与える推進手段80と、
少なくともいずれか一方の前記曲線ライン65を複数のレーンに分割するガイドベーン70と、
を備える。
【0130】
これにより、冷凍装置6は、流路60の直線ライン64内に置かれた被冷凍品Aを循環する氷スラリーSによって冷凍することができる。氷スラリーSは、推進手段80によって推進力が与えられるため、流路60内に複数の被冷凍品Aが置かれても、下流側の被冷凍品Aは氷スラリーSに冷凍される。流路60が曲線ライン65を備えていても、ガイドベーン70によって氷スラリーSが淀まないように循環し、被冷凍品Aを均等に氷スラリーSに冷凍することができる。
【0131】
本発明が適用される冷凍装置6の一態様は、
前記ガイドベーン70は、前記曲線ライン65の上流端から前記曲線ライン64の下流端を超えてさらに前記直線ライン64の上流側まで延びている。
これにより、氷スラリーSが被冷凍品Aに衝突するようになって、被冷凍品Aに付着して被冷凍品Aを冷凍させることができる。
【0132】
本発明が適用される冷凍装置6の一態様は、
前記推進手段80は、少なくともいずれか一方の前記直線ライン64の上流側と前記曲線ライン65の下流側との境界部に配備される。
これにより、冷凍装置は、流路60の直線ライン64に被冷凍品Aが置かれたときに、被冷凍品Aが氷スラリーSの流れの障害となっても、推進手段80が直線ライン64内の氷スラリーSに推進力を与え、氷スラリーSの流れが滞らないようにすることができる。
【0133】
本発明が適用される冷凍装置6の一態様は、
前記流路60は、氷スラリーSの供給口61と、氷スラリーSの排出口62と、
を備える。
これにより、冷凍装置6は、氷スラリーSを供給口61から流路60内に供給し、氷スラリーSの排出口62から排出することができる。
【0134】
本発明が適用される冷凍装置6の一態様は、
前記推進手段80は、前記流路60内に設置されたスクリュー81を備える。
これにより、冷凍装置は、スクリュー81によって氷スラリーSに推進力を与えることができる。
【0135】
本発明が適用される冷凍装置6の一態様は、
前記直線ライン64は、被冷凍品Aを冷凍する領域とされている。
これにより、冷凍装置6は、複数の被冷凍品Aを直列に並べ、均等に氷スラリーSを被冷凍品Aに冷凍することができる。
【0136】
本発明が適用される冷凍システムは、
本発明が適用される冷凍装置6と、
前記流路60に氷スラリーSを供給する氷スラリー製造装置1であって、
供給されたブラインの一部からフレークアイスを生成し、供給されたブラインの残部を流出する氷スラリー原料製造部(氷スラリー原料製造装置)200と、
前記氷スラリー原料製造部(氷スラリー原料製造装置)200によって生成されたフレークアイスと流出されたブラインとの混合物を氷スラリーSとして貯留する貯氷タンク500と、
を備える、氷スラリー製造装置1と、
を備える。
【0137】
これにより、冷凍システムは、氷スラリー製造装置1によって製造された氷スラリーSが流路60内を流れるようにして、被冷凍品Aを氷スラリーSによって良好に冷凍することができる。
【0138】
本発明が適用される冷凍システムの一態様において、
前記氷スラリー製造装置1は、フレークアイスの濃度を10%以上かつ60%以下の氷スラリーSを製造する。
これにより、冷凍装置6で冷凍される被冷凍品Aが魚介類や精肉等の食品である場合において、この食品を氷スラリーSによって的確に冷凍することができる。
【符号の説明】
【0139】
1:氷スラリー製造装置、200:氷スラリー原料製造装置(氷スラリー原料製造部)、21:ドラム、22:回転軸、23:噴射部、23a:噴射孔、24:剥取部、25:ブレード、26:フレークアイス排出口、27:上部軸受部材、28:噴射制御部、29:防熱保護カバー、30:ギヤードモータ、31:ロータリージョイント、32:内筒、33:外筒、34:冷媒クリアランス、38:ブッシュ、39:冷媒供給部、40:ブライン貯留タンク、41:ブライン配管、42:冷媒配管、44:リターンパイプ、45:氷スラリー供給管、46:氷スラリー戻管、47:第2の氷スラリー戻管、48:ノズル、500:貯氷タンク、54:撹拌手段(撹拌部)、55:濃度計測部(第1の濃度計測手段)、6:冷凍装置、60:流路、61:供給口、62:排出口(第1の排出口)、63:第2の排出口、64:直線ライン、65:曲線ライン、67:仕切部、68:底面部、69:冷凍領域、70:ガイドベーン、80:推進手段(推進部)、90:第2の濃度計測手段、A:被冷凍品、S:氷スラリー
図1
図2
図3
図4