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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】折畳コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20220928BHJP
   B65D 6/26 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B65D6/18 A
B65D6/26 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018159885
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020033042
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】山内 寿敏
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0231555(US,A1)
【文献】特開2001-287737(JP,A)
【文献】特開2007-106499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
B65D 6/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状四角形のベース部材の各外縁部に側壁を回動可能に連結してなり、前記側壁のうち互いに対向した1対の第1側壁を起立させてから残りの1対の第2側壁を起立させた組立状態と、前記ベース部材の上に前記第2側壁を重ね、前記第2側壁の上に前記第1側壁を重ねた折畳状態と、に変更可能な折畳コンテナであって、
前記第2側壁を起立させるときに、前記第1及び第2の側壁の一方の側壁に設けられたロック部が、前記第1及び第2の側壁の他方の側壁に押されて弾性変形し、前記ロック部に対して前記他方の側壁が通り過ぎると前記ロック部が弾性復帰して、前記第1側壁及び前記第2側壁を起立した状態に保つ折畳コンテナにおいて、
前記第1側壁と前記第2側壁とには、前記組立状態で互いに係合して、前記第1側壁の回動方向の動きを規制する係合部が備えられ、
これら前記係合部は、前記第1側壁を起立させてから前記第2側壁を起立させるときに、前記ロック部と前記他方の側壁とが当接する前に、係合し、
前記係合部のうち前記第2側壁に設けられた第2係合部は、前記第2側壁の水平方向の端部から内側に向けて、厚さ方向の全体に亘って切り欠かれてなり、
前記係合部のうち前記第1側壁に設けられた第1係合部は、前記第1側壁から前記第2側壁側に水平又は略水平に突出したのち、下方へ屈曲していて、前記第2係合部に受容される折畳コンテナ。
【請求項2】
前記係合部は、前記第1側壁及び前記第2側壁の高さの半分の位置より下方に配されている請求項1に記載の折畳コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平面形状四角形のベース部材の外縁部に、互いに向かい合う1対の第1側壁と残りの1対の第2側壁とが回動可能に連結された折畳コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の折り畳みコンテナとして、第1側壁が起立した状態で第2側壁を起立させる際に、第1側壁に設けられたロック部が第2側壁に押されて弾性変形し、第2側壁が通り過ぎるとロック部が弾性復帰して第2側壁が内側に倒れることを規制するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-154536号公報(段落[0017]及び図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の折畳コンテナでは、第1側壁が起立した状態で第2側壁を起立させるときに第1側壁が外側へ傾いてしまい、組み立てにくくなるという問題が生じ得た。これに対し、組み立て作業を安定して行える折畳コンテナの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、平面形状四角形のベース部材の各外縁部に側壁を回動可能に連結してなり、前記側壁のうち互いに対向した1対の第1側壁を起立させてから残りの1対の第2側壁を起立させた組立状態と、前記ベース部材の上に前記第2側壁を重ね、前記第2側壁の上に前記第1側壁を重ねた折畳状態と、に変更可能な折畳コンテナであって、前記第2側壁を起立させるときに、前記第1及び第2の側壁の一方の側壁に設けられたロック部が、前記第1及び第2の側壁の他方の側壁に押されて弾性変形し、前記ロック部に対して前記他方の側壁が通り過ぎると前記ロック部が弾性復帰して、前記第1側壁及び前記第2側壁を起立した状態に保つ折畳コンテナにおいて、前記第1側壁と前記第2側壁とには、前記組立状態で互いに係合して、前記第1側壁の回動方向の動きを規制する係合部が備えられ、これら前記係合部は、前記第1側壁を起立させてから前記第2側壁を起立させるときに、前記ロック部と前記他方の側壁とが当接する前に、係合し、前記係合部のうち前記第2側壁に設けられた第2係合部は、前記第2側壁の水平方向の端部から内側に向けて、厚さ方向の全体に亘って切り欠かれてなり、前記係合部のうち前記第1側壁に設けられた第1係合部は、前記第1側壁から前記第2側壁側に水平又は略水平に突出したのち、下方へ屈曲していて、前記第2係合部に受容される折畳コンテナである。
【0008】
請求項の発明は、前記係合部は、前記第1側壁及び前記第2側壁の高さの半分の位置より下方に配されている請求項1に記載の折畳コンテナである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の折畳コンテナでは、一方の側壁に設けられたロック部と他方の側壁とが当接する前に、係合部が係合して、第1側壁の回動方向の動きを規制するので、第1側壁が起立した状態で第2側壁を起立させるときに、第1側壁が外側へ傾くことが規制され、組み立て作業を安定させることができる。
【0010】
また、第2係合部が第2側壁の厚さ方向の全体に亘って切り欠かれているので、第1係合部を、第1側壁の水平方向におけるより内側に配することが可能となる。これにより、第1係合部と第2係合部とがより早い段階で係合するので、組み立て作業をより安定させることができる。
【0011】
さらに、第2係合部が下向きに屈曲しているので、第1係合部と第2係合部とをより早い段階で係合させることができる。
【0012】
請求項の折畳コンテナでは、係合部が、第1側壁及び第2側壁の高さの半分の位置より下方に配されているので、上方に配されている場合よりも早い段階で係合部を係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係る折畳コンテナの斜視図
図2】折畳状態の折畳コンテナの斜視図
図3(A)折畳コンテナの下面側の斜視図、(B)折畳コンテナの下面側の一部拡大斜視図
図4】底壁の一部拡大斜視図
図5】折畳状態の折畳コンテナの一部拡大斜視図
図6】第2側壁のみが折り畳まれた折畳コンテナの一部拡大斜視図
図7】第1側壁の一部拡大斜視図
図8】第2側壁のみが折り畳まれた折畳コンテナの斜視図
図9】フラップが起立した状態の折畳コンテナの斜視図
図10】フラップを水平姿勢にした状態の一部拡大斜視図
図11】折畳コンテナの一部拡大斜視図
図12】フラップが起立した状態の折畳コンテナの一部拡大斜視図
図13】折畳コンテナの一部拡大側断面図
図14】第1側壁の一部拡大斜視図
図15】第2側壁の一部拡大斜視図
図16】第2側壁を起立させる途中の状態の折畳コンテナの一部拡大側断面図
図17】第1側壁が底壁に重ねられている状態の折畳コンテナの一部拡大断面図
図18】変形例に係る折畳コンテナの一部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、図1図17に示された折畳コンテナ10の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の折畳コンテナ10は、平面形状が長方形で上面が開放した直方体状をなし、底壁30に連結された側壁11,21が起立した組立状態と、側壁11,21が底壁30上に重なるように折りたたまれた折畳状態(図2参照)と、に変更することができる。以下、底壁30の短手方向を第1水平方向H1といい、長手方向を第2水平方向H2という。
【0015】
底壁30の4辺の外縁部からは、1対の長辺側の土手部31,31と、1対の短辺側の土手部32,32と、がそれぞれ突出している。図3に示すように、底壁30には、土手部31及び土手部32の内側部分の略全体に、格子状にリブを張り巡らせてなる下面突部39が形成されて、土手部31,32の下面より下方に突出している。また、下面突部39を四等分するように第1水平方向H1に延びる第1下面溝35Aと第2水平方向H2に延びる第2下面溝35Bとが形成されている。そして、本実施形態の折畳コンテナ10を四等分した大きさの図示しない小形コンテナを2行2列に並べてそれらの上に本実施形態の折畳コンテナ10を載置したときに、各小形コンテナの上面開口に下面突部39の1/4の分割体が嵌合するようになっている。
【0016】
第1下面溝35Aの裏側は、図1に示すように底壁30の上面から突出する中央土手部33になっている。中央土手部33は、底壁30のうち下面突部39より上側の平板部33Sを隆起させた構造をなし、頂上部分に水平面33Aを有し、その両側に緩やかな傾斜面33B,33Bを備える。また、図3に示すように、第1下面溝35Aにおいては平板部33Sが上方に凹んでいて、その内部に複数のリブ35Cが形成されて、それらリブ35Cの下面が平板部33S全体の下面と面一になっている。
【0017】
図1に示すように、側壁11,21のうち、長辺側の1対の第1側壁11,11は、1対の長辺側の土手部31,31にヒンジ連結され、短辺側の1対の第2側壁21,21は、1対の短辺側の土手部32,32にヒンジ連結されている。
【0018】
側壁11,21と土手部31,32とのヒンジ連結部分は、例えば以下の構造になっている。即ち、図1及び図4に示すように、土手部31,32には、上面と内面とに開口を有する複数の凹部60が形成されている。また、上面の凹部60の開口の一部は幅広部をなし、その幅広部以外は開口が凹部60の内部より幅狭になっている。
【0019】
一方、側壁11,21の下面からは、図5及び図6に示すように、複数の凹部60に対応した複数のヒンジアーム61が垂下されている。各ヒンジアーム61には、下端部から両側方に突出するヒンジ突部61A,61Aが備えられている。そして、ヒンジ突部61A,61Aが凹部60の開口の幅広部から凹部60内に受容されて開口縁に内側から係合している。これらにより、側壁11,21が、図1に示すように、土手部31,32上で起立した起立姿勢と、図2に示すように、底壁30上に重ねられた折畳姿勢との間で回動すると共に、起立姿勢より外側への回動が規制されている。
【0020】
なお、図4及び図5に示すように、長辺側の土手部31は、内側面に段差面31Dを有した段付き構造をなし、これに対応して、第1側壁11の下面は、内縁部全体から突出する突壁11Uを有する段付き構造をなしている(図6及び図7参照)。そして、図6に示すように、第1側壁11が起立姿勢になると、第1側壁11の上記段付き構造の上段面及び下段面が、土手部31の上記段付き構造の上段面及び下段面と当接する。
【0021】
図1に示すように、組立状態では、1対の第2側壁21,21は、1対の第1側壁11,11の間に収まっている。これにより、第2側壁21,21にて第1側壁11,11が内側に倒れることが規制されている。また、長辺側の土手部31は、短辺側の土手部32より第2側壁21の厚さ分だけ高くなっている。これにより、図8に示すように、1対の第2側壁21,21を先に折り畳み、それら第2側壁21,21の上に重ねて1対の第1側壁11,11を折り畳むことができる(図2参照)。
【0022】
図1に示すように、折畳コンテナ10の組立状態での強度を上げるために、第1側壁11,11の上縁部に第1フラップ40,40がヒンジ連結されると共に、第2側壁21,21の上縁部に第2フラップ50,50がヒンジ連結されていて、これらフラップ40,50は、図1に示される水平姿勢と図9に示される起立姿勢との間を回動可能になっている。なお、側壁11,21とフラップ40,50とのヒンジ連結の構造は、側壁11,21と土手部31,32とのヒンジ連結の構造と略同一である。
【0023】
図9に示すように、フラップ40,50は、側壁11,21の上縁部に沿って延びる帯板状をなし、それらの内面40N,50Nには補強リブ40L,50Lが張り巡らされ、外面40G,50Gは平坦になっている。
【0024】
図1及び図10に示すように、第1フラップ40の長手方向の端面である側面49,49は、第1フラップ40が水平姿勢になると、第2側壁21,21の内面に隣接する。また、第1フラップ40の側面49,49からは側壁係合突部43,43が突出し、それら側壁係合突部43,43を受容する側壁係合凹部24,24が各第2側壁21に形成されている。
【0025】
第2フラップ50の長手方向の両端部には、第1フラップ40の先端面40Sに水平方向で隣接する水平隣接部58が備えられている。また、第1フラップ40の先端面40Sの一部は、第2フラップ50の水平隣接部58と隣接する水平隣接部48になっている。そして、第2フラップ50の水平隣接部58からフラップ係合突部51,51が突出し、それらフラップ係合突部51,51を受容するフラップ係合孔41,41が第1フラップ40に形成されている。
【0026】
これにより、第1フラップ40と第2フラップ50とが共に水平姿勢になると、第1フラップ40と第2側壁21とが、第1水平方向H1と第2水平方向H2の両方向で互いに移動を規制されると共に、第1フラップ40と第2フラップ50とも、第1水平方向H1と第2水平方向H2の両方向で互いに移動を規制され、第1側壁11及び第2側壁21の内外への変形が防がれる。
【0027】
図9に示すように、第1側壁11には、横方向の2箇所に持手孔11A,11Aが貫通形成され、第2側壁21には、横方向の中央に持手孔21Aが形成されている。また、第1側壁11の持手孔11A,11Aの真下位置には、土手部31に手掛部31Aが形成されている。
【0028】
図8及び図11に示すように、第1側壁11の内面の両側部からは第2側壁21側にサイド突壁13,13が突出していて、第2側壁21の外面に重なり、第2側壁21の外側への変形及び傾動を規制している。
【0029】
詳細には、図11に示すように、第1側壁11の両側部には、第1側壁11の全体を第2側壁21側に直角曲げして僅かに第2側壁21側に突出した側部突条19が形成されている。また、土手部31の両端部は、土手部32側に直角曲げされて土手部32側に張り出し、側部突条19を下方から支持するようになっている。なお、側部突条19の下面には、係止突起19Tが形成され、土手部31の上面に形成された上面凹部31Tと係合し、第1側壁11が起立姿勢に係止されるようになっている。また、図12に示すように、側部突条19における第2水平方向H2の内側の角部のうち下1/3程の部分は面取りされた傾斜部19Kとなっていて、第2側壁21を起立させるときに、第2側壁21が1対の第1側壁11,11の間に収まるように案内する。
【0030】
サイド突壁13は、側部突条19の上端から上下方向の中央寄り位置に亘って形成され、側部突条19からさらに第2側壁21側に突出している。なお、図10に示すように、サイド突壁13は、側部突条19より僅かに薄くなっていて、側部突条19の外面寄りに配置され、側部突条19と面一の外面を有する。また、図11に示すように、第2側壁21の外面には、補強リブ21Lが第2側壁21の両側縁部の上側部分を避けて形成され、それら両側縁部の上側部分は、補強リブ21Lを有しない縦長板部21E,21Eになっている。
【0031】
サイド突壁13の上端部と下端部には、四角形の係合孔13A,13Aが形成されている。そして、第2側壁21の縦長板部21Eの外面から突出する断面四角形の係合突部22,22が係合孔13A,13Aに嵌合して第1側壁11,11の内外への変形を規制している。また、図6に示すように、係合突部22の先端には、第1側壁11から離れた側の角部を面取りしてガイド面22Aが形成されている。
【0032】
図6に示すように、第1側壁11の側部には、第1側壁11の一部をスリット12Sにて片持ち梁状に切り離して弾性片15が形成されている。弾性片15は、上下方向に延びかつ上端側が自由端になっている。また、弾性片15の上端部からは、折畳コンテナ10の内側に向かって係止突部16が突出している。係止突部16は、先方に向かって先細り形状をなして両側に傾斜面16A,16Aを有する。そして、1対の第1側壁11,11が起立姿勢になっている状態から第2側壁21,21を起こす際に、第2側壁21が係止突部16の傾斜面16Aに摺接して弾性片15を外側に撓ませ、第2側壁21がサイド突壁13と重なったところで弾性片15が弾性復帰し、図12に示すように、係止突部16が第2側壁21の内面に係合する。これにより、第2側壁21が係止突部16とサイド突壁13との間に嵌合し、第2側壁21の内外への動きが規制される。
【0033】
なお、両側の傾斜面16A,16Aうち外側の傾斜面16Aは内側の傾斜面16Aよりも急峻になっていて、第2側壁21が内側へ傾きにくくなっている。また、係止突部16のうちサイド突壁13との対向面を傾斜面16Aではなく、サイド突壁13と平行な面にしてもよい。
【0034】
ここで、図8に示すように1対の第1側壁11,11が起立姿勢になっている状態から第2側壁21,21を起こす際に、例えば、弾性片15が十分に弾性変形せず、第2側壁21と係止突部16の傾斜面16Aとの摺接により、第1側壁11が起立姿勢より外側に押されて傾いてしまうことがある。すると、係合突部22が係合孔13Aに嵌合されず、折畳コンテナ10を組立状態にできないという事態が生じ得る。また、経年劣化等によって第1側壁11が土手部31上で外側に傾きやすくなってしまい、折畳コンテナ10を組立状態にできないということも考えられる。
【0035】
これに対し、本実施形態の折畳コンテナ10には、図12に示すように、弾性片15より第1側壁11及び第2側壁21の回動中心に近い側(つまり、下側)に結合突部14及び結合孔23が設けられている。以下、これら結合突部14及び結合孔23について詳細を説明する。
【0036】
図14に示すように、結合突部14は、第1側壁11の側部突条19のうちサイド突壁13より下方位置から第2側壁21側に突出した角柱体の先端部を下方に直角曲げしてなり、全体がL字形状をなしている。また、結合突部14は、側部突条19の第2水平方向H2の長さの略半分の厚さを有し、折畳コンテナ10の内側の側面14Sは、側部突条19の内側面19Aと面一になっている。
【0037】
図12及び図15に示すように、結合孔23は、第2側壁21の側縁部を貫通し、その貫通方向から見ると結合突部14に対応したL字形をなしている。また、結合孔23の開口縁からは補強リブ21Lが突出している。さらに、結合孔23のうち第2側壁21の側面の開口より下側の縦辺に沿った補強リブ21Lには、先端から基端に向かうに従って第1側壁11から離れる側に傾斜したガイド面23Gが形成されている。
【0038】
上記した結合突部14及び結合孔23は、図16に示すように1対の第1側壁11,11が起立姿勢になっている状態(図8参照)から第2側壁21,21を起こす際に、第2側壁21,21が弾性片15の係止突部16に当接する前に、結合突部14が結合孔23に挿入され始めて係合するように配置されている。これにより、第2側壁21を起立させる際に第1側壁11が外側に傾くことが規制されるので、係合突部22を係合孔13Aに嵌合させやすくなり、折畳コンテナ10の組み立て作業を安定させることができる。また、結合突部14が結合孔23に挿入され始める前に第1側壁11が外側に傾斜していても、結合突部14の先端の垂下部14Aが、結合孔23のガイド面23Gの摺接して結合突部14が結合孔23内へ案内されて、第1側壁11の傾斜が是正される。なお、本実施形態では、結合突部14及び結合孔23が、第1側壁11及び第2側壁21の高さの半分の位置より下方に配されているが、これに限られるものではない。
【0039】
なお、図5及び図6に示すように、土手部32には、サイド突壁13、結合突部14を受容するための突部受容部32B,32Cが形成されていて、第1側壁11が折畳姿勢になると、図7に示すように突部受容部32B,32Cにサイド突壁13、結合突部14が受容され、土手部32の上面に側部突条19が重なる。
【0040】
本実施形態の折畳コンテナ10の構成に関する説明は以上である。次に、この折畳コンテナ10の作用効果について説明する。
【0041】
折畳コンテナ10を折り畳む際は、図9に示すように、フラップ40,50を起立姿勢とし、折畳コンテナ10の内側から係止突部16,16を外側に向けて押して第2側壁21を内側に押せばよい。すると、図8に示すように、第2側壁21が底壁30の上に重ねられた状態になる。なお、係止突部16には、外側にも傾斜面16Aが形成されているので、第2側壁21を内側に強く押すことによっても第2側壁21を畳むことができる。
【0042】
1対の第2側壁21,21が底壁30の上に重ねられたら、第1側壁11,11を内側に押す。すると、図2に示すように、第1側壁11,11が第2側壁21,21の上に重ねられ、折畳コンテナ10全体が折畳状態になる。なお、折畳コンテナ10の折畳状態では、1対の土手部31,31が、第1側壁11,11より上方に突出した状態になり、それら土手部31,31の間に、別の折畳コンテナ10の下面突部39(図3参照)を嵌合して折畳コンテナ10,10同士を段積することができる。
【0043】
折畳状態の折畳コンテナ10を組立状態にするには、上記操作と逆の操作を行う。即ち、まず、第1側壁11,11を起立姿勢にし、次いで、第2側壁21を起こすように回動させる。このとき、第2側壁21が1対の第1側壁11,11のうち片方の第1側壁11側に寄ってしまうこともあるが、傾斜部19Kにより是正される。そして、第2側壁21が起立姿勢へ近づくと、図16に示すように、結合突部14が結合孔23内に挿入し始めた後に、第2側壁21が係止突部16の内側の傾斜面16Aと摺接し、弾性片15を弾性変形させながら第1側壁11のサイド突壁13へ向う。そして、第2側壁21が弾性片15を通過すると、弾性片15が弾性復帰して、第2側壁21がサイド突壁13と係止突部16とに挟まれて起立姿勢に保持されると共に、係合突部22が係合孔13Aに嵌合して、折畳コンテナ10が組立状態になる。
【0044】
そして、必要に応じてフラップ40,50を内側に倒して水平姿勢にする。なお、フラップ40,50が水平姿勢になった折畳コンテナ10に対して、別の折畳コンテナ10を段積すると、上段側の折畳コンテナ10の下面突部39が、下段側の折畳コンテナ10のうちフラップ40,50より上方に突出する側壁11,21の上部の内側に嵌合され、横ずれが規制される。
【0045】
さて、上述したように、従来の折畳コンテナにおいては、1対の第1側壁11,11が起立姿勢になっている状態から第2側壁21,21を起こす際に、第2側壁21と係止突部16の傾斜面16Aとの摺接により、第1側壁11が起立姿勢より外側に傾いてしまい、折畳コンテナ10を組立状態にできないという事態が生じ得た。
【0046】
これに対して本実施形態の折畳コンテナ10では、第2側壁21と係止突部16とが当接する前に、結合突部14が結合孔23に挿入され始めて係合し、第1側壁11が外側へ傾くことを規制するので、折畳コンテナ10の組み立て作業を安定させることができる。また、結合孔23にガイド面23Gが形成されているので、結合突部14が結合孔23に挿入され始める前に第1側壁11が外側に傾斜していても、結合突部14の先端の垂下部14Aが、結合孔23のガイド面23Gに摺接して結合突部14が結合孔23内へ案内されて、第1側壁11の傾斜が是正される。
【0047】
また、結合孔23が第2側壁21の側縁部を貫通して形成されていて、これにより、結合突部14を第1側壁11の側縁部のより内側に配することが可能となっているので、結合突部14が外側に配されている場合よりも早く結合突部14が結合孔23に挿入され始めるので、組み立て作業をより安定させることができる。また、結合孔23の奥行と結合突部14の厚みとを同じにすると、第2側壁21の回動操作中に結合突部14と結合孔23の内面とが接触し、摩擦により回動させにくくなることが考えられるが、結合突部14の厚みが結合孔23の奥行の略半分になっているので、そのような事態が防がれる。
【0048】
さらに、結合突部14と結合孔23とが、第1側壁11及び第2側壁21の高さの半分の位置より下方に配されているので、上方に配されている場合よりも早く結合突部14と結合孔23とを係合させることができる。しかも、結合突部14が下向きに屈曲しているので、より早く結合突部14と結合孔23とを係合させることができる。なお、結合突部14及び結合孔23の配置が下方すぎると、結合突部14及び結合孔23と係止突部16との間が長くなり、結合突部14と結合孔23とが係合していても第1側壁11が外側に傾いてしまうことが考えられるが、本実施形態では、結合突部14及び結合孔23が、第1側壁11及び第2側壁21の高さの中央寄り位置に配されているので、そのような事態が防がれる。
【0049】
また、係合突部22の先端には、ガイド面22Aが形成されているので、第1側壁11が起立姿勢より僅かに外側に傾斜していても、ガイド面22Aにより係合突部22が係合孔13Aに案内され、第1側壁11の傾斜が是正される。また、係止突起19Tと上面凹部31Tとの係合によって第1側壁11は起立姿勢に保持されるので(図5及び図7参照)、第2側壁21,21を起こす際に、第1側壁11,11が内側に倒れることはなく、容易に第2側壁21を起こすことができる。
【0050】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、折畳コンテナ10の平面形状が長方形で第1側壁11が第2側壁21より長いが、その逆でもよく、折畳コンテナ10の平面形状は正方形であってもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、特許請求の範囲中の「ロック部」が先に起立している第1側壁11に設けられていたが、後に起立させる第2側壁21に設けられていてもよい。例えば、図18に示すように、第2側壁21Wに、第1水平方向H1でスライド可能なロック片15Wが図示しない弾性部によって外側に向けて付勢されて備えられていて、第1側壁11Wに形成された受容孔11Xに受容される構成であってもよい。
【0052】
(3)結合突部14は、L字状でなくてもよく、例えば、斜め方向に延びた直線状であってもよいし、円形であってもよい。また、結合突部14と結合孔23とは、係合突部22と係合孔13Aとのような構造であってもよい。
【0053】
(4)また、結合突部14が後に起立させる第2側壁21に配され、結合孔23が先に起立している第1側壁11に配される構成であってもよい。
【0054】
(5)結合孔23は、第2側壁21の側縁部を貫通していなくてもよい。
【0055】
(6)上記実施形態では、側壁11,21にフラップ40,50が備えられていたが、フラップ40,50が備えられていない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 折畳コンテナ
11,11W 第1側壁
13 サイド突壁
13A 係合孔
14 結合突部(係合部,第1係合部)
15 弾性片(ロック部)
16 係止突部
16A 傾斜面
19 側部突条
21,21W 第2側壁
22 係合突部
22A ガイド面
23 結合孔(係合部,第2係合部)
23G ガイド面
30 底壁
31,32 土手部
図1
図2
図3
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図5
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