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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】越流型処理槽の改修工法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/24 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B01D21/24 T
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018172841
(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公開番号】P2020044469
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-025069(JP,U)
【文献】実開昭50-093965(JP,U)
【文献】特開昭55-145510(JP,A)
【文献】特開平04-074502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00-21/34
C02F 1/52- 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜した越流型処理槽において、越流壁を仮想線で区画し、該区画部の越流負荷に基いて、該区画した越流壁の上部に、該仮想線の部位に支持具を固定し、該支持具間に各区画からの流量が平均の越流負荷になるように調整した水量調整口を有する水量調整部材を設けることを特徴とする、越流型処理槽の改修工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形型クラリファイヤ、円形型シックナー、横流沈殿池等の越流型処理槽の改修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々のタイプの越流型処理槽が知られている。これらの処理槽は、小型のものから大型のもの迄種々の規模のものが存在する。例えば大型の装置としては、直径80~100m程度のクラリファイヤ、シックナーがある。これらの装置は、建設時には、水平が保持されているので、越流壁から均等に処理水が流出するが、年月が経過すると地盤沈下等により処理槽が傾斜するようになる。
この傾斜が僅かであっても水流は低い方の越流壁に向かって流れてしまうので目的とする清澄化処理ができなかった。従来これらの処理槽を修繕するためには処理槽の運転を止めて改修を行う必要があり、そのためには製造ラインの一部を止めなくてはならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、これらの処理槽の運転を止めずに処理槽の改修を行う方法について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明は、傾斜した越流型処理槽において、越流壁を仮想線で区画し、該区画部の越流負荷に基いて、該区画した越流壁の上部に、各区画からの流量が平均の越流負荷になるように調整した水量調整口を有する水量調整部材を設けてなる、越流型処理槽の改修工法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の改修工法によれば、越流型処理槽の運転を止めることなく、かつ簡単な方法で改修が可能なため製造ラインも止める必要がないので生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】円形越流型シックナーの概略平面図。
図2】越流壁の一部を示す平面図。
図3】支持具の側面図。
図4】水量調整部材の側面図。
図5】支持具の正面図。
図6】凹型水量調整口を有する水量調整部材の側面図。
図7】越流壁に水量調整部材を装着した状態を示す側面図。
図8】三角型水量調整口を有する水量調整部材の側面図。
図9】越流壁に三角型水量調整口を有する水量調整部材を装着した状態を示す側面図。
図10】他の三角型水量調整口を有する水量調整部材の側面図。
図11】越流壁に三角型水量調整口を有する水量調整部材を装着した状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を図1に示す円形越流型シックナーの場合を例にとり説明する。
図1の円形越流型シックナー1は、中心部に設けられた整流筒2から汚濁水が越流し、周辺の越流壁3に向けて均等に流れて行く。円形越流型シックナーが水平に設置されている場合は360°の越流壁3から等量の清澄水が流出するが、円形越流型シックナーが傾斜すると、清澄水が傾斜した側に流れてしまい、所望する清澄効果が得られない状況が生起していた。
【0008】
そこで本発明者は図2に示すように越流壁3を適宜の間隔で仮想線4によって区画し、該区画部5の水流量を測定する。水流量の測定方法としては、例えば仮想線4に区画板を設け、区画部5を流れる清澄水をタンクに導いて一定時間にたまる量から流出量を計量することができる。
【0009】
各区画部5からの流量が平均的な、好ましくは均等な越流負荷(越流壁1m当り、1日に流出する清澄水量(m3)をいう。)となるようにするためには、整流筒2からの流入量を越流壁の長さで除することによって越流壁1m当りの流量を算出し、平均流出量を求めることができる。
【0010】
まず越流壁3の仮想線を設けた部位に、水量調整部材6を支持するための支持具7を越流壁3に設ける。
支持具7は、例えば図3に示すように水量調整部材6の挟持部8と越流壁3に嵌合する越流壁支持部9からなっている。水量調整部材6は例えば図4に示すように凹状に切欠いた水量調整口10の場合、切欠部の幅Wおよび高さHは、平均的な越流負荷になるよう適宜調整することによって行うことができる。
【0011】
水量調整口10の形状は、凹型の他、三角状に切欠いた形状あるいは、水量調整部材6に複数の穴を穿ったもの等の種々の形状とすることができる。
そして凹型の水量調整口10の場合の水量は、下記式1によって算出することができる(図6参照)。
【式1】
【0012】
Q=107.1+0.177/h+14.2 h/D-25.7√(B-b)h/BD+2.04√B/D
Q:水量(m3/min)
b:切欠幅(m)
h:せきの水頭(m)
B:水量調整部材の幅(m)
D:水量調整部材底面より切欠点までの高さ(m)
【0013】
また挟持部8も板状とすることによって、隣接する水量調整部材6と容易に連接して装着することができる。
【0014】
図7は、越流壁3に水量調整部材6を装着した状態の一部を示した側面図であり、仮想線4の部位に支持具7を固定し、該支持具7の挟持部8の一部に差し込み、隣接する水量調整部材6の一端を該挟持部8の残余の部分に差し込み、他端を隣接する支持具7の挟持部8に差し込み、この操作を順次繰り返し行うことによって越流壁3全体に水量調整部材6を設置することができる。
【0015】
また、水量調整部材6の他の設置手段としては、レンガ、ブロック等を用い越流壁3に積み上げて、かつ所望の水量調整口10を設けるようにして設置することもできる。
【0016】
また三角型の水量調整口11の場合の水量は、下記式2によって算出することができる(図8参照)。
【式2】
【0017】
Q=tan(θ/2){ 81.2+0.24/h+(8.4+12/√D)(h/B-0.09)}
Q:水量(m3/min)
θ:切欠角度(°)
h:せきの水頭(m)
B:水量調整部材の幅(m)
D:水量調整部材底面より切欠点までの高さ(m)
【0018】
図9は、越流壁3に三角型水量調整部材14を装着した状態の一部を示した側面図であり、仮想線4の部位に支持具7を固定し、該支持具7の挟持部8の一部に差し込み、隣接する水量調整部材14の一端を該挟持部8の残余の部分に差し込み、他端を隣接する支持具7の挟持部8に差し込み、この操作を順次繰り返し行うことによって越流壁3全体に水量調整部材16を設置することができる。
【0019】
図10は、組立型三角型水量調整口を有する水量調整部材15の側面図であり、挟持部8の中央部にボルト13を設け、該ボルト13に矩形型水量調整部材12をV字状に組合せて固定する。該水量調整部材12は該ボルトを中心に回転する構造である。
図11は、越流壁3に図10に示した組立型三角型水量調整口を有する水量調整部材15を装着した状態の一部を示した側面図である。
【0020】
隣接する組立型三角型水量調整口15を有する水量調整部材15の間隔を近づけると堰の水頭が浅くなり、水量を少なく出来る。
また隣接する組立型三角型水量調整口15を有する水量調整部材15の間隔を遠ざけると堰の水頭が深くなり、水量を多く出来る。
更にボルト13を緩め、水量調整部材12の角度を変えることで、切欠角度を調節し、水量を変えることができる。
【符号の説明】
【0021】
3・・・越流壁
4・・・仮想線
6・・・水量調整部材
10・・・水量調整口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11