(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】葉状農作物選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20220928BHJP
B07C 5/10 20060101ALI20220928BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B07C5/36
B07C5/10
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2018220874
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】504109746
【氏名又は名称】株式会社熊本アイディーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】高倉 功
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075509(JP,A)
【文献】特開2010-221092(JP,A)
【文献】特開2017-189749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B07C 5/10
B07C 5/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉状農作物を搬送する供給用搬送台と、
前記供給用搬送台により搬送される
葉状農作物を検査する検査部と、
前記検査部による検査結果に応じて
葉状農作物を振り分けるパラレルリンクロボットと、
前記パラレルリンクロボットにより振り分けられた
葉状農作物が載置される複数のテーブルを有し、前記検査部による検査が終了した
葉状農作物を払い出す位置まで搬送する払い出し用搬送台とを備えた葉状農作物選別装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記供給用搬送台の上方に配置された第1面検査部であり、前記供給用搬送台により搬送される葉状農作物を検査用カメラにより上方から撮影して検査する第1面検査部を備えた請求項1記載の葉状農作物選別装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記供給用搬送台により搬送され、前記パラレルリンクロボットによりピックアップされた葉状農作物を検査用カメラにより下方から撮影して検査する第2面検査部を備えた請求項1または2記載の葉状農作物選別装置。
【請求項4】
前記供給用搬送台は、前記パラレルリンクロボットを中心に、前記パラレルリンクロボットへの搬送方向が変更可能である請求項1から3のいずれかの項に記載の葉状農作物選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉状農作物を搬送しながら、大きさや良否を判定して選別する葉状農作物選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大葉のような葉状農作物を、大きさや形状の判定、傷などの良否の判定を行って選別す
る従来の選別装置として、例えば、特許文献1に記載されたものを本発明者は提案した。
【0003】
特許文献1に記載の葉状農作物選別装置は、大葉が積み重ねられた状態でストックされるストッカーと、ストッカーに積み重ねられた最も上に位置する大葉に噴出部から気体を噴射して大葉を浮遊状態にて懸垂保持し、無端チェーンに所定間隔ごとに設けられた把持機構まで搬送する取出装置と、取出装置により搬送された大葉を下方から照光し、上方からCCDカメラで撮影して検査する検査装置とを備えたものである。
【0004】
この葉状農作物選別装置では、サイズ別に設けられたアンローダー装置により搬送路から大葉がピックアップされて振り分けられる。アンローダー装置は、テーブルに設けられた平行で、かつ等間隔のスリットから板状体を上昇させて、テーブルの基端に位置する大葉を持ち上げてピックアップし、その状態で板状体を搬送路から離れる方向へスライドさせ、スリット内へ収納することで、大葉をテーブルの先端方向へ移動させる。これを順次繰り返すことにより、サイズごとの大葉をテーブルの先端部分に積み上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の葉状農作物選別装置では、大葉をアンローダー装置の各テーブルに振り分けるときに、平行に並べられた複数のテーブルのうち、振り分け対象のテーブルの位置まで、大葉が搬送路を移動するため、振り分けに該当するテーブルまで大葉の移動を待たなければならない。そのため大葉をピックアップするまでに時間を要するので、検査時間が掛かってしまうおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、葉状農作物の検査を行った後に、葉状農作物を高速に振り分けることを可能とすることで、検査時間と振り分け時間を短縮することが可能な葉状農作物選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の葉状農作物選別装置は、葉状農作物を搬送する供給用搬送台と、前記供給用搬送台により搬送される葉状農作物を検査する検査部と、前記検査部による検査結果に応じて葉状農作物を振り分けるパラレルリンクロボットと、前記パラレルリンクロボットにより振り分けられた葉状農作物が載置される複数のテーブルを有し、前記検査部による検査が終了した葉状農作物を払い出す位置まで搬送する払い出し用搬送台とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の葉状農作物選別装置によれば、供給用搬送台が搬送する葉状農作物を検査部により検査すると、検査結果に応じてパラレルリンクロボットが葉状農作物を、払い出し用搬送台のいずれかのテーブルに振り分ける。従って、本発明の葉状農作物選別装置は、葉状農作物の検査を行った後に、葉状農作物を高速に振り分けることを可能である。
【0010】
前記検査部は、前記供給用搬送台の上方に配置された第1面検査部であり、前記供給用搬送台により搬送される葉状農作物を検査用カメラにより上方から撮影して検査する第1面検査部を備えたことができる。
第1面検査部が、供給用搬送台の上方に配置されており、供給用搬送台により搬送される葉状農作物を検査用カメラにより上方から撮影して検査する。そのため、葉状農作物を搬送しながら、かつ搬送を邪魔することなく、供給用搬送台を搬送される葉状農作物の上方を向いた面を検査することができる。
【0011】
前記検査部は、前記供給用搬送台により搬送され、前記パラレルリンクロボットによりピックアップされた葉状農作物を検査用カメラにより下方から撮影して検査する第2面検査部を備えることができる。
第2面検査部が、供給用搬送台に搬送された葉状農作物が、パラレルリンクロボットによりピックアップされることで、葉状農作物を検査用カメラが下方から撮影して検査することで、供給用搬送台から払い出し用搬送台へ振り分けする途中で、葉状農作物の下方を向いた面を検査することができる。
【0012】
前記供給用搬送台は、前記パラレルリンクロボットを中心に、前記パラレルリンクロボットへの搬送方向が変更可能とすることができる。
検査者の作業性を向上させるために、または検査場のレイアウトに応じて、パラレルリンクロボットに対する搬送方向の傾斜角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の葉状農作物選別装置は、葉状農作物の検査を行った後に、葉状農作物を高速に振り分けることを可能であるため、検査時間と振り分け時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る葉状農作物選別装置の正面図である。
【
図2】
図1に示す葉状農作物選別装置の平面図である。
【
図3】
図1に示す葉状農作物選別装置の画像処理部とロボット制御部とを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る葉状農作物選別装置を図面に基づいて説明する。
図1から
図2に示す葉状農作物選別装置10は、葉状農作物の一例である大葉Lを検査して振り分けるものである。
【0016】
葉状農作物選別装置10は、大葉Lを搬送する供給用搬送台20と、供給用搬送台20を搬送される大葉Lを検査する検査部30と、検査部30による検査結果に応じて大葉Lを振り分けるパラレルリンクロボット40と、パラレルリンクロボット40により振り分けられた大葉Lが載置される複数のテーブル51を有し、払い出し位置まで搬送する払い出し用搬送台50とを備えている。
【0017】
供給用搬送台20は、大葉Lを帯状の無端ベルト21により搬送するベルトコンベアである。本実施の形態では、光が透過可能な白色の無端ベルト21が周回するベルトコンベアを採用している。
【0018】
検査部30は、供給用搬送台20の上方に配置された第1面検査部31と、第1面検査部31の検査位置より供給用搬送台20の下流側に配置された第2面検査部32と、画像処理部33(
図3参照)とを備えている。
第1面検査部31は、供給用搬送台20により搬送される大葉Lを上方から撮影する検査用カメラ311と、検査用カメラ311が向いた下方に開口部312aを有するリング状の照明部312と、供給用搬送台20の無端ベルト21を下方から照光して、無端ベルト21を透過させるバックライト部313とを備えている。
【0019】
第2面検査部32は、供給用搬送台20に搬送され、パラレルリンクロボット40によりピックアップされた大葉Lを下方から撮影する検査用カメラ321と、検査用カメラ311が向いた上方に開口部322aを有するリング状の照明部322とを備えている。
画像処理部33は、検査用カメラ311と、検査用カメラ321とにより撮影された画像に基づいて、大葉Lの様々な検査を行う。
【0020】
パラレルリンクロボット40は、マルチリンクロボットやデルタロボットなどとも称され、検査部30による検査結果に応じて大葉Lを振り分けるロボットである。
パラレルリンクロボット40は、駆動部となるロボット本体41と、ロボット本体41から放射状に延びるアーム部42と、それぞれのアーム部42の先端部から延びる2本の平行なリンクを有するリンク部43と、それぞれのリンク部43の先端部が接続された保持部44と、ロボット制御部45(
図3参照)と、操作盤46(
図3参照)とを備えている。
【0021】
保持部44は、ワークである大葉Lを非接触状態でピックアップすることが可能なチャック装置である。保持部44は、ベルヌーイの原理によりワークを吸い寄せるベルヌーイ方式と、サイクロン効果によりワークを吸い寄せるサイクロン方式とのいずれかとすることできるが、本実施の形態では、破れやすい大葉Lを保持するため、ベルヌーイ方式を採用している。
保持部44は、可能範囲Sにより示される範囲内で、アーム部42とリンク部43との駆動により移動可能である。
【0022】
ロボット制御部45は、パラレルリンクロボット40による大葉Lの搬送を制御する。この制御は、画像処理部33からの検査結果に応じて行われたり、供給用搬送台20に設けられた図示しないセンサにより検出された大葉Lの位置に応じて行われたりする。
【0023】
払い出し用搬送台50は、検査部30による検査が終了した大葉Lを払い出す位置Pまで搬送するために、大葉Lのサイズ別にテーブル51が平行に並べられたアンローダー装置である。
【0024】
図1に示す葉状農作物選別装置10では、図示していないが、供給側の供給用搬送台20に、更に、供給用搬送台20を追加して搬送路を延長することができる。また、供給用搬送台20を搬送される大葉Lに、霧状の洗浄水や殺菌水を噴霧するミスト噴霧装置を設置することができる。
また、払い出し側の払い出し用搬送台50に、更に、払い出し用搬送台50を追加して延長することができる。また、払い出し用搬送台50に、鮮度を維持するための凍結装置を設置したり、大葉Lを袋に回収するための回収装置を連結したりすることも可能である。
【0025】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る葉状農作物選別装置10の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
【0026】
まず、検査者は、
図3に示す操作盤46により大葉の選別規格の設定を入力する。操作盤46は、例えば、選別規格として、大中小など、テーブル51が8台設置されていれば、最大8種類の選別規格を、タッチパネルを操作することで設定できるものとすることができる。
【0027】
検査者は、
図3に示す操作盤46により、
図1および
図2に示す葉状農作物選別装置10を始動させる。検査者は、供給用搬送台20の周回する無端ベルト21に、大葉Lを、裏面(背軸面)を上にして載置する。
無端ベルト21により搬送される大葉Lは、ミスト噴霧装置が設置されていれば、霧状の洗浄水や殺菌水が噴霧され、洗浄、殺菌される。
【0028】
大葉Lが第1面検査部31の検査位置に至ると、大葉Lは、まず、照明部312が照光する中で、検査用カメラ311によりカラー撮影される。大葉Lの背軸面のカラー画像が画像処理部33に出力されると、画像処理部33は、大葉Lの背軸面の外観や色味などを画像から検査して、検査結果をロボット制御部45に通知する。
【0029】
また、大葉Lは、バックライト部313が照光することで、供給用搬送台20の無端ベルト21から光が透過する中で、検査用カメラ311により撮影される。このとき、検査用カメラ311は、白黒撮影を行う。大葉Lの背軸面の白黒画像が、画像処理部33に出力されると、画像処理部33は、大葉Lの向き、形状、面積、バランスを識別した情報と、集積、整列用に求めた重心座標を示す情報とを、検査結果として、ロボット制御部45に通知する。
【0030】
次に、大葉Lが、供給用搬送台20の下流側の端部22であり、パラレルリンクロボット40のリンク部43の可動範囲Sの範囲内に位置した端部22(
図1参照)に搬送されたことを、図示しないセンサが検知すると、
図3に示すロボット制御部45がアーム部42とリンク部43とを動作させ、保持部44が大葉Lをピックアップして保持させ、
図1に示す第2面検査部32の上方位置まで搬送する。
【0031】
第2面検査部32では、保持部44に保持された大葉Lのおもて面(向軸面)を下方から照明部322が照光すると共に、検査用カメラ321がカラー撮影する。
検査用カメラ321が撮影した大葉Lの向軸面のカラー画像は、
図3に示す画像処理部33に出力される。
画像処理部33では、大葉Lの向軸面のカラー画像から外観や色味などを検査して、検査結果をロボット制御部45に通知する。
【0032】
ロボット制御部45では、形状および面積からサイズが判定され、搬送先の払い出し用搬送台50のテーブル51を決定する。また、ロボット制御部45は、大葉Lの向きから、大葉Lを水平回転させる角度を算出する。
このようにして検査された大葉Lは、保持部44に保持されたまま、ロボット制御部45が指示する振り分け対象のテーブル51の一端部51aに、パラレルリンクロボット40により、大葉Lの向きをテーブル51にて積み上げるときの向きに合わせて搬送される。
【0033】
払い出し用搬送台50のテーブル51では、固定板状体が搬送方向に沿って並べられることでできる平行で、かつ等間隔のスリットから、可動板状体を上昇させて、テーブル51の一端部51aに位置する大葉Lを持ち上げ、その状態で可動用板状体を、テーブル51の一端部51aから離れる方向へスライドさせ、そして、スリット内へ収納することで、大葉Lをテーブル51の他端部51bの方向へ移動させる。これを順次繰り返すことにより、大葉Lがテーブル51の他端部51b(払い出す位置P)に積み上がる。
【0034】
以上のように本実施の形態に係る葉状農作物選別装置10によれば、供給用搬送台20が搬送する大葉Lを検査部30により検査すると、検査結果に応じてパラレルリンクロボット40が大葉Lを、払い出し用搬送台50のいずれかのテーブル51に振り分ける。
特許文献1に記載の葉状農作物選別装置では、大葉が搬送路を搬送されてアンローダー装置の各テーブルの前を順番に移動していたが、葉状農作物選別装置10では、大葉Lの検査を行った後に、パラレルリンクロボット40が大葉Lを高速に振り分ける。そのため、葉状農作物選別装置10は、検査時間と振り分け時間を短縮することが可能である。
【0035】
第1面検査部31が、供給用搬送台20の上方に配置されており、供給用搬送台20により搬送される大葉Lを検査用カメラ311により上方から撮影して検査する。そのため、大葉Lを搬送しながら、かつ搬送を邪魔することなく、供給用搬送台20を搬送される大葉Lの上方を向いた面(背軸面)を検査することができる。
【0036】
第2面検査部32が、供給用搬送台20に搬送された大葉Lが、パラレルリンクロボット40によりピックアップされることで、大葉Lを検査用カメラ321が下方から撮影して検査することで、供給用搬送台20から払い出し用搬送台50へ振り分けする途中で、大葉Lの下方を向いた面(向軸面)を検査することができる。
【0037】
供給用搬送台20は、パラレルリンクロボット40を中心に、パラレルリンクロボットへ40の搬送方向F1が変更可能である。従って、検査者の作業性を向上させるために、または検査場のレイアウトに応じて、パラレルリンクロボット40に対する搬送方向F1の傾斜角度を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の葉状農作物選別装置は、葉状農作物を検査して高速に振り分け、払い出すことができるため、葉状農作物の出荷作業における選別作業に好適である。
【符号の説明】
【0039】
10 葉状農作物選別装置
20 供給用搬送台
21 無端ベルト
22 端部
30 検査部
31 第1面検査部
311 検査用カメラ
312 照明部
312a 開口部
313 バックライト部
32 第2面検査部
321 検査用カメラ
322 照明部
322a 開口部
33 画像処理部
40 パラレルリンクロボット
41 ロボット本体
42 アーム部
43 リンク部
44 保持部
45 ロボット制御部
46 操作盤
50 払い出し用搬送台
51 テーブル
51a 一端部
51b 他端部
F1 搬送方向
L 大葉
S 可動範囲
P 払い出す位置