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特許7148149誘電体バリア放電式プラズマ放電用の可撓性平面電極ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】誘電体バリア放電式プラズマ放電用の可撓性平面電極ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
H05H1/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019539975
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 DE2018100173
(87)【国際公開番号】W WO2018162003
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】102017104852.9
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512158435
【氏名又は名称】シノギー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CINOGY GmbH
【住所又は居所原語表記】Max-Naeder-Str. 15, 37115 Duderstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】トゥルットビク、レオンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ハーンル、ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】バントケ、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ストルク、カール-オット
(72)【発明者】
【氏名】リッケ、メラニー
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0157870(US,A1)
【文献】特表2014-530046(JP,A)
【文献】特開2015-195162(JP,A)
【文献】特表2014-505553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
A61N 1/04
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域(107)と、周縁領域(108)と、少なくとも1つの平面電極(102)とを有する誘電体バリア放電式プラズマ放電用の可撓性平面電極ユニットであって、
前記少なくとも1つの平面電極(102)には高電圧電位を印加可能であり、前記少なくとも1つの平面電極(102)は上面(103)と接触面(104)を形成する平面誘電体(101)に埋設されており、
前記平面誘電体(101)は、少なくとも前記周縁領域(108)において渦巻状に巻かれた帯部材(109)の形状をしており、
前記少なくとも1つの平面電極(102)は、少なくとも1つの電気伝導体(114)によって形成されており、前記少なくとも1つの電気伝導体(114)は、前記渦巻状の帯部材(109)の長手方向に延びて前記帯部材(109)の端面に達しており、
前記少なくとも1つの電気伝導体は、前記帯部材(109)の前記端面のみを例外として前記帯部材(109)の前記平面誘電体で包囲され、前記帯部材(109)の前記端面領域においてはカバー要素(116)を用いて周囲から電気的に絶縁されている、可撓性平面電極ユニットにおいて、
複数の帯部分の所定の長さを画定する材料凹部(111)であって、前記帯部材の全幅に亘って引き離し線を形成するようになっている材料凹部(111)が前記帯部材(109)の全幅に亘って設けられていること、並びに、
前記帯部材(109)が、前記材料凹部(111)によって形成された前記引き離し線に沿って前記帯部材の全幅に亘って、前記少なくとも1つの電気伝導体(114)と共に引き離し可能であるように、前記平面誘電体(101)及び前記少なくとも1つの電気伝導体(114)の材料が選択されていること、
を特徴とする、誘電体バリア放電式プラズマ放電用の可撓性平面電極ユニット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電気伝導体(114)が、導電性添加物を含むプラスチックで形成されることを特徴とする、請求項1に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電気伝導体(114)のプラスチックが前記平面誘電体(101)の材料と種類が一致することを特徴とする、請求項2に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項4】
前記平面誘電体(101)も前記少なくとも1つの電気伝導体(114)もシリコーンで形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気伝導体(114)が、前記帯部材(109)の材料凹部(111)によって中断されていない幅部分に延びることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項6】
さらなる材料凹部(112)が前記帯部材(109)の側縁部に沿って存在し、これによって隣接する帯部分(110aからf)の間に相互接続部分が存在することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項7】
前記帯部材(109)の中にある前記少なくとも1つの電気伝導体(114)を形成する幅が、前記材料凹部(111)の領域においては縮小されていることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気伝導体(114)が、前記帯部材の前記材料凹部(111)と共に前記帯部材(109)の幅方向に一直線に並び、前記帯部材(109)の前記材料凹部(111)に沿った前記少なくとも1つの電気伝導体(114)の引き離しを容易にするミシン目を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項9】
前記可撓性平面電極ユニットが長方形の底面を有すること、および、前記帯部材(109)が角度を有する直線状の帯部分で一体に形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項10】
前記カバー要素(116)が前記少なくとも1つの電気伝導体(114)に少なくとも何らかの電圧を供給するための接触要素であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【請求項11】
前記可撓性平面電極ユニットが前記可撓性平面電極ユニットに内蔵された電池ユニットに接続された専用の高電圧段を装備していること、および前記カバー要素(116)が少なくとも2つの導体を接続し、センサが前記高電圧段を作動させる目的で前記導体の接続を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面と接触面を形成する平面誘電体に埋設され、高電圧電位を印加可能な平面電極を少なくとも1つ備えた中央領域および周縁領域を有し、平面誘電体が少なくとも周縁領域において渦巻状に巻かれた帯部材の形状をしており、上記少なくとも1つの電極が、渦巻状帯部材の長手方向に延びて帯部材の端面に達する少なくとも1つの電気伝導体によって形成されており、該電気伝導体が帯部材の端面のみを例外として帯部材の誘電体で包囲され、帯部材の端面領域においてはカバー要素を用いて周囲から電気的に絶縁されている、誘電体バリア放電式プラズマ放電用の可撓性平面電極ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の方式の可撓性平面電極ユニットは特許文献1より知られている。電極ユニットの周縁領域において渦巻状に巻かれた帯部材としての誘電体の構造は、誘電体の接触面における電極ユニットの有効被覆面の大きさを土台に適合させるために用いられ得る。この目的で、渦巻状に巻かれた帯部材は、接触面を所望の方法で縮小するために道具を用いて適切な箇所で短くすることができる。この方法により該電極ユニットを用いて必要な大きさの誘電体バリア放電プラズマ場が生成され、例えば、人または動物の身体の皮膚面に作用し得る。その際、上記の皮膚または他の治療面は、その表面に十分な導電性があれば、対電極として作用し得る。さらに電極には、電極ユニットと治療面、特に皮膚との間の空隙でプラズマを生成するのに十分な高電圧が供給される。電極が治療面に置かれている場合に所定の空隙が形成されるように、表面が治療面に接触する目的で形成されている誘電体の接触面には、ネップ、格子等の形状の構造を備えておくことができ、接点間、接平面間または接線間に誘電体バリア放電式プラズマ放電が発生し得る十分な空間が形成される。
【0003】
帯部材を例えば鋏を用いて短縮した後、その切断縁に絶縁接触要素を重ね合わせ、該要素により、電極を形成する電気伝導体との接触が例えば絶縁変位コネクタを用いて行われる。
【0004】
したがって、上記周知の電極ユニットは、電極ユニットの有効接触面を特定の使用事例に適合させることができるが、使用時にコンパクトで形状安定性のある電極ユニットにすることは容易ではない。帯部材の短縮には適切な道具を所持している必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第2723447号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって本発明には周知の方式の可撓性平面電極ユニットの操作性を改善するという課題がある。
【0007】
上記の課題を解決するために、上述の方式の可撓性平面電極ユニットは、帯部材の全幅に亘って材料凹部を備えていること、ならびに、帯部材が上記少なくとも1つの導体と共に上記材料凹部に沿って、その全幅に亘って引き離し可能であるように、誘電体および上記少なくとも1つの導体の材料が選択されていることを特徴とする。
【0008】
したがって本発明による電極ユニットの面積は、帯部材の全幅に亘って存在する材料凹部に沿って帯部材の先端を所定の長さ引き離すことによって、段階的に適合され得る。その際、導体の材料は、導体も材料凹部に沿って同様に引き離すことができるように形成されていなければならない。
【0009】
材料凹部は誘電体の厚さ全体を貫通する孔であり得る。その場合、材料凹部を形成する孔の領域において治療面に対して高電圧による火花連結の危険がないように、該孔の内壁は導体の材料によって中断されることなく、導体との間隔を保持することが極めて重要である。したがって該孔と上記少なくとも1つの導体の間に、誘電体の内壁材料が十分に残っている必要がある。上記少なくとも1つの導体が一定幅の帯状体によって誘電体内部に形成される場合は、材料凹部の領域における導体幅を縮小することが有利であり得る。それによって、絶縁破壊耐性に影響を及ぼすことなく材料凹部をより大きくし、さらに材料凹部の領域における上記少なくとも1つの導体の引き離し易さを向上させることが可能である。
【0010】
別の実施形態において上記の材料凹部は貫通孔を形成せず、単に材料に脆弱部を設けるのみであり、この脆弱性により、材料凹部によって形成された引き離し線に沿った所定の引き離しを確実に行う。この実施形態において電極の確実な絶縁が容易な方法で保証され得る。
【0011】
上記少なくとも1つの導体が、帯部材の材料凹部によって中断されていない幅部分に延びると有利であり得る。
【0012】
材料凹部の領域における上記少なくとも1つの導体の引き離し易さは、上記少なくとも1つの導体が、帯部材の材料凹部と共に帯部材の幅方向に一直線に並ぶミシン目を有することによって向上され得る。それによって、特に例えば薄い金属箔で形成されている導体に対しても、所定の引き離し易さが保証される。
【0013】
しかし、本発明のより好ましい実施形態の1つにおいては、上記少なくとも1つの導体は、導電性添加物を含み、主として誘電体の材料と種類が一致するプラスチックで形成される。したがって例えば、誘電体も上記少なくとも1つの導体もシリコーンで形成することが可能であり、その際、導体として用いるためにシリコーンは導電性添加物によって導電性を付与されており、したがって電極に必要な電気伝導性が保証されている。誘電体と導体に対して基本的に合同の母型を使用することによって、導体は例えば鋳造工程において誘電体と材料間接合され得る。この方法で電極ユニットの安定構造、および絶縁破壊強さに関する安定構造が達成され得る。
【0014】
電極ユニットの帯部材を渦巻状に巻き戻すと複数の帯部分になり、該帯部分が渦巻コイル方式で相互に並置されている。該帯部分はその幅と材料に基づき十分な形状安定性を備えておくことができ、それによって治療面に対して十分に安定した被覆面を形成する。必要に応じて予備成形された間隔保持要素を考慮しておくことができ、それによって、上記の隣接する帯部分は平面として治療面に対して平行に互いに間隔を保持する。より好ましい実施形態においては、さらなる材料凹部が帯部材の側縁部に沿って存在し、したがって隣接する帯部分の間に相互接続部分が存在する。この方法で、隣接する帯部分が相互接続部分によって相互に固定される。帯部材の全幅に亘って延びる材料凹部に沿って引き離すことによって帯部材を短縮するべき場合は、そのために、取り去るべき端部を隣接する帯部分から側縁部に沿って引き離して取り去ることによって、当該の帯端部を隣接する帯部分から引き離すことができる。側縁部に沿って延びる材料凹部は、上述の方法で材料脆弱部または貫通孔として形成しておくことができる。
【0015】
本電極ユニットは有利な形態において、全体として長方形の底面を有することができ、帯部材は角度を有する直線状の帯部分で一体に形成されている。特に、上述の実施形態においては、隣接する帯部分の間に材料凹部によって引き離し可能な材料接合部が形成されていると有利である。電極ユニットの接触面が使用事例に適合した大きさになり次第、帯部材の端面に延びる上記少なくとも1つの導体を絶縁して覆うために、カバー要素が帯部材の自由端上に取り付けられる。実施形態の1つにおいて、該カバー要素は上記少なくとも1つの導体に少なくとも何らかの電圧を供給するための接触要素である。
【0016】
電極ユニットに2つまたはそれ以上の導体が含まれる場合は、全ての導体に同じ電圧、例えば高電圧を供給することができる。この場合、上記複数の導体は全部で1つの電極を形成しており、その際、治療面が十分な導電性を有し、十分な導電性を有する物質上にあれば、該治療面は対電極として作用する。
【0017】
さらに、2つの導体にそれぞれ極性の異なる電圧が供給されるように、該導体が位相を変移させた電圧信号を相互に伝達し合うことが可能である。この場合、導体間の電圧差が2倍になり、プラズマ形成が容易になる。この場合においても治療面は、‐必要に応じて若干浮遊状態の‐零位電極または接地電極として作用し得る。
【0018】
別の実施形態において、電極ユニットの2つの導体を電極と対電極として使用することができ、それによって電極ユニットの下面に表面プラズマが発生する。しかし、このような配置は治療面を有する身体の表面を治療する目的でのみ有意に使用できる。より深部に至る、例えば位置が身体の皮膚表面に限定されない創傷面に対する治療は、身体を対電極として使用することによって明らかに促進される。
【0019】
供給される電圧は外部で生成された、プラズマ形成に必要な高電圧であり得る。当然、電極ユニットが、供給された(安全な、または少なくとも危険性のより低い)電圧からプラズマ生成に必要な高電圧を発生させる専用の高電圧段を装備していることも可能である。
【0020】
さらに、電極ユニットが内蔵型電池ユニットと専用の高電圧段を装備していることも可能であり、したがって例えば創傷治療用のプラズマ生成を完全に単独で外部からの供給電圧なしで行うことが可能である。この場合、カバー要素は少なくとも2つの導体を接続し、センサ、例えばインピーダンスセンサが、高電圧段を作動させる目的で導体の接続を検出する。カバー要素によって接続された導体は、耐高電圧ではない部品に過負荷がかからないよう配慮されている場合に高電圧を通す導体であり得る。代替案として、両導体は高電圧を伝送せず、単にインピーダンス測定および必要に応じて低電圧の供給に用いられる別々の導体でもあり得る。カバー要素の検出によって、帯部材の端面に達する導体がカバー要素によって電気的に絶縁して覆われていない場合は、高電圧が生成されないことが保証される。
【0021】
本発明は図示した実施例に基づいて以下により詳細に説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施例による電極ユニットの接触面を示す図である。
図2図3のA‐A線に沿った図1の電極ユニットの断面図である。
図3図2のB‐B線に沿った図1の電極ユニットの断面図である。
図4図1の電極ユニットの被覆面を縮小するための帯部分の分離を示す略図である。
図5】第2の実施形態による電極ユニットを下から見た図である。
図6図7のA‐A線に沿った図5の電極ユニットの断面図である。
図7図6のB‐B線に沿った図5の電極ユニットの断面図である。
図8図5の電極ユニットの被覆面を縮小するための帯部分の除去を示す略図である。
図9】第3の実施形態による電極ユニットを下から見た図である。
図10図11のA‐A線に沿った図9の電極ユニットの断面図である。
図11図10のB‐B線に沿った図9の電極ユニットの断面図である。
図12図9の電極ユニットの被覆面を縮小するための帯部分の除去を示す略図である。
図13】第4の実施形態による電極ユニットを下から見た図である。
図14図15のA‐A線に沿った図13の電極ユニットの断面図である。
図15図14のB‐B線に沿った図13の電極ユニットの断面図である。
図16図13の電極ユニットの被覆面を縮小するための帯部分の分離を示す略図である。
図17】第5の実施形態による電極ユニットを下から見た図である。
図18図19のA‐A線に沿った図17の電極ユニットの断面図である。
図19図18のB‐B線に沿った図17の電極ユニットの断面図である。
図20図18のC‐C線に沿った図17の電極ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から図4に示した第1の実施形態により、電極ユニットは平面電極102を全面的に絶縁包囲する可撓性平面誘電体101を有する。誘電体101は平らな上面103、および治療面、特に人または動物の皮膚面上に置くための平らな接触面104を形成する。図1は接触面104を示す図である。接触面104には表面が格子状の誘電体が形成されており、表面で相互に直交する垂直辺105が空室106の境界を成し、電極ユニットの接触面104が治療面上に置かれた状態で、電極102に高電圧が供給され、この電圧によって誘電体101と治療面の間の空気がイオン化されると、電流は誘電体101によって妨げられるにもかかわらず、上記空室内で空気のイオン化によってプラズマが形成され得る。電極ユニットの第1の実施形態においては、電極102に高電圧電位が供給され、その際、身体の治療面が対電極(大地浮遊電位)として作用する。
【0024】
垂直辺105はプラズマ形成に必要な、ここでは空室106の形態の空隙を、治療面と電極102を埋設した誘電体101との間に形成するための間隔保持具として用いられる。該空隙は当然他の形態、例えばネップ等を間隔保持具として用いても確保でき、その場合に形成される空隙の側面は閉鎖されていなくてもよい。
【0025】
誘電体101には中央領域107があり、該領域において誘電体は一体に形成されている。中央領域107の放射方向外側に周縁領域108が接続し、該領域において誘電体は帯部分110a、110b、110c、110d、110e、110fを含む帯部材109として形成されている。該帯部分はそれぞれ同じ幅を有し、周縁領域108において全体として、電極ユニットの外縁部から誘電体101の中央領域107へと渦巻状に延びる1つの帯部材109を形成する。ここに示した実施形態では渦巻状に延びる帯部材109は角形の形状をしており、渦巻状帯部材109の巻き部が直角に相互接続する直線部分で構成されている。該直線部分は帯部分110aから110fと一致し得るが、必ずしも一致する必要はない。帯部分110aから110fは相互に接続し、各接合箇所に帯の全幅に亘って延びる材料凹部111を有する。したがって、該材料凹部111は帯部分110aから110fの幅に対して垂直に延在して引き離し線を形成し、該線で例えば外側の帯部分110aを帯部分110bから引き離して分離することができる。同じ方法で、帯部分110bを帯部分110cから、帯部分110cを帯部分110dからなど、そして放射方向に最も内側の帯部分110fを中央領域107から引き離して分離することが可能である。
【0026】
安定性向上のために、ここに示した実施形態においては、帯部分110aから110fの長手方向に延在する材料凹部112を介して、帯部分110aから110fが放射方向内側に隣接する帯部分または中央領域107と接続している。したがって、図4より明らかなように、例えば放射方向外側の帯部分110aは材料凹部112に沿って誘電体101の残部から全長に亘って取り除かれ、その後帯部材109の全幅に亘って延在する材料凹部111に沿って引き離すことができ、それによって、誘電体の被覆面を縮小することができる。さらに縮小するためには、さらに帯部分110bが相応の方法で材料凹部112に沿って誘電体の残部から取り除かれ、必要に応じて材料凹部111で引き離すことができる。この方法で誘電体101の被覆面の段階的縮小が最小で中央領域107の面積になるまで可能である。このように大幅な被覆面の縮小が行われなければならない場合は、最後の帯部分110fを誘電体の中央領域107から分離するだけで良いことから、当然、帯部分110aから110eをそれぞれ材料凹部111に沿って分離する必要はない。
【0027】
図2は材料凹部112が単に材料の脆弱部を生み出すのみで、貫通孔は形成しないことを明らかにする。材料凹部111も好ましくは同じ方法で形成されている。
【0028】
図3は電極102を上面103から見た平面図であり、したがって電極の延び方が認識できる。電極102は対応する中央領域113を形成し、ここから、渦巻状部分から成る帯状導体114として、誘電体101の帯部分110aから110fに対応して延びる。材料凹部111の領域、したがって帯部分110aから110fの分離可能箇所の領域において、帯状導体114は細い連結ブリッジ115の形態になり、これによって、帯状導体114の全幅に亘る電極102の分離も容易になり、さらに、材料凹部111の領域では電極102の材料を覆う誘電体層は僅かしか残っていないだろうが、上記の連結ブリッジによって電極102の材料が材料凹部111の下方には延在しないことがさらに保証される。
【0029】
帯部分110aから110fの縦縁部に形成された材料凹部112は、明らかに帯状導体114の延在しない領域に位置しており、それによって、材料凹部112を有する材料領域は帯状導体114の巻き部間の間隙を形成する。
【0030】
ここに示した実施形態において、誘電体101の帯部分110aから110fおよび電極102の帯状導体114は、誘電体の中央領域107の周囲で僅かに1周半の巻き部を形成する。この方法で、電極ユニットの被覆面の大きさを相当変化させることができる。当然必要があれば、材料凹部111と必要に応じて材料凹部112を介して分離可能な巻き部をより多くまたはより少なくすることができる。
【0031】
特に帯部分110aから110fの少なくとも1つを引き離した後、帯状導体114は引き離しによって生じる残りの帯部分110bから110fの終端部に達する。そこで、分離後に残る最外側の帯部分110bから110fまたは中央領域107の端部に、帯状導体114が達する端面を電気的に絶縁しつつ覆ってさらに突出するカバー要素116が取り付けられる。カバー要素116はここに示した実施形態においては、カバー要素116の操作用ロッカスイッチ118に絶縁変位コネクタ117を備えており、これは、例えば外部で生成された高電圧をカバー要素116と接続したケーブル(図示せず)を用いて電極102へ伝送するために、誘電体を介して電極102の帯状導体114上に押圧され得る。前述の相互接続技術は特許文献1で知られており、したがってここでの詳細な説明は不要である。
【0032】
ここに示した実施形態においてカバー要素116は、端面に達する電極102の帯状導体114が該カバー要素によって確実に覆われるように、誘電体101の帯部材109の長手方向の延長上に取り付けられ得る。カバー要素116の位置を90°回転して接触することも考えられ得ることから、上面103の材料凹部111の直後にそれぞれ配置された、帯部材109の全幅に亘って延びる隆起部119が考慮されており、これがカバー要素116の全幅に亘って延びる溝部120と対応していることによって、カバー要素116を単に正しい位置に置くだけで、電極102と接触するための操作用ロッカスイッチ118を操作することができる。したがって隆起部119は溝部120と共に回転防止装置となる。
【0033】
図5から図8に示した第2の実施形態の構造は図1から図4による第1の実施形態に対応するが、唯一の相違は上方が閉鎖された空室206の底部に、誘電体201を貫いてその上面まで延びる通過孔221が考慮されていることである。本電極ユニットが創傷被覆材として形成すなわち使用される場合は、前述の通過孔221を通して特に創傷分泌物を吸引することができる。通過孔221の領域において導電性流体と電極202との間の直接的接触が不可能であるように、電極には通過開口部222が備わっており、これは誘電体201の通過孔221と一直線上にあるが、より大きく形成されているため、通過孔221は、通過孔の領域においても電極202を絶縁して覆う連続的誘電体壁を有する通過路となる。
【0034】
第2の実施形態のその他の構造は第1の実施形態に完全に一致していることから、その被覆面は同じ方法で縮小され得る。通過孔221および電極202の通過開口部222は誘電体201の帯部材209にも、電極202の帯状導体214にも存在する。
【0035】
図9から図12に示した第3の実施形態は、第1の実施形態に対応するが、電極302が2つの部分電極302aおよび302bで形成されているという点で異なる。したがって、電極302の2つの中央領域が誘電体301の中央領域307に埋設されている。部分電極302a、302bの両中央領域313aおよび313bには、並行して延びる帯状導体314a、314bが接続し、該帯状導体は誘電体301の帯部材309の巻き部内で並行に相互に絶縁されて延在する。
【0036】
上述の実施形態においては、両部分電極302a、302bに同じ交流‐高電圧を供給することによって、両部分電極302a、302bが対電極(接地電極)としての処理面と共同作用し得る。さらに、両部分電極302a、302bにカバー要素316を介してそれぞれ高電圧を供給するが、これを逆位相にすることが可能であり、その結果、部分電極302a、302bの間の差動電圧が、各ピーク電圧の電圧差の2倍となる。上記の実施形態のさらなる変形形態において、両部分電極302a、302bが電極および対電極として使用されることにより、処理面の表面処理に用いることができる表面プラズマが部分電極302a、302bの間に形成される。上記の場合は、両部分電極302aおよび302bが電圧伝送用電極および接地用対電極を形成することから、処理面すなわちその身体が主として対電極として作用することはない。
【0037】
図13から図16に示した第4の実施形態においては、電極402は再び2つの部分電極402a、402bで形成されており、これらも第3の実施形態と同様に延在する。しかし追加として、図5から図8の第2の実施形態と同様に、誘電体401内に通過孔421、必要に応じて部分電極402a、402b内に通過開口部422が考慮されている。したがって、上述の実施形態も特に創傷被覆材として適しており、さらに創傷治療でもあり得る、表面の治療を促進する流体の供給にも適している。特に、通過孔421を通して治療する皮膚面に皮膚保護剤を供給することもできる。
【0038】
図17から図20においては、誘電体501の接触面504が図1の第1の実施形態と同様に形成された第5の実施形態が示されている。ここでも、誘電体501は材料凹部511と512を備えた帯部材509を有し、該凹部によって接触面504の被覆面を縮小するために帯部分を分離することができる。以下にさらに詳述するように、その都度出現する帯部材509の自由端にはカバー要素516が重ね合わされ、この実施形態では該カバー要素を介したエネルギー供給は行われない。該カバー要素516は、必要に応じて帯部分510aから510fの分離時に出現する誘電体501に埋設された電極502の自由縁部を絶縁して覆うことのみを第一の役割としている。
【0039】
図19は相互に並行して延びる導体502a、502b、502c、502dを用いて形成しておくことのできる電極502の延び方を示している。
【0040】
図18より明らかなように、誘電体501の端面に達する4つの導体502a、502b、502c、502dは、カバー要素516によって単に覆われるだけではなく、接触要素521によって相互に、例えば2つ一組で相互接続される。適切に絶縁するカバー要素516が存在していることを確認する目的で、導体502a、502b、502c、502dの少なくとも一対の接続が検出され得る。
【0041】
電極502は4つの導体502a、502b、502c、502d全てを用いて形成しておくことができる。しかし、例えば4つの導体502a、502b、502c、502dの2つを電極502として使用せず、単にカバー要素516の存在の検出回路として用いることも可能である。
【0042】
図18は、誘電体501の中央領域507に一種のケーシング構造522を備えていることを示し、これは絶縁蓋要素として誘電体501と接着剤結合または溶接接合しておくか、または誘電体501と一体に製造しておくことができる。
【0043】
図20は第5の実施形態のケーシング構造522に電気部品が含まれることを明らかにしており、これによって電極ユニットは外部からの電気エネルギー供給を必要としない。ケーシング構造522には電池ユニット523、マイクロコントローラ525を備えた制御回路524、および電極502に供給するための高電圧‐交流電圧信号生成用の高電圧段526が含まれる。ここに示した実施例においては、導体502a、502b、502c、502dの内の2つが2つの部分電極として作用し、これらは第3および第4の実施形態に基づく説明と同じ方法で作動させることができる。特に、部分電極として使用される導体には、特に有効なプラズマ場を接触面504に生成するために、逆位相の交流電圧パルスを印加することができる。この効果は、4つの導体502a、502b、502c、502d全てが2つ一組で2つの部分電極になるよう相互接続されると、さらに増大させることができ、その場合は導体502aと502cが一方の部分電極として、導体502bと502dがもう一方の部分電極として印加される。
【0044】
制御装置524は、カバー要素516の存在が検出された場合に初めて、高電圧段526における高電圧の生成を可能にする機能を備えている。そうでなければ、帯部材509の端面に達する導体502a、502b、502c、502dは既に高電圧を伝送でき、直接接触可能な状態ということになる。これはカバー要素516を用いた安全回路によって防止される。
【0045】
図20では、電気部品を備えた中央領域507の外側に、第5の実施形態による電極ユニットの上面503の平面図のみが示される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 中央領域(107)及び周縁領域(108)、並びに上面(103)と接触面(104)を形成する平面誘電体(101)に埋設され、高電圧電位を印加可能な少なくとも1つの平面電極(102)を有し、前記少なくとも1つの平面誘電体(101)が少なくとも前記周縁領域(108)において渦巻状に巻かれた帯部材(109)の形状をしており、前記少なくとも1つの電極(102)が、前記渦巻状の帯部材(109)の長手方向に延びて前記帯部材(109)の端面に達する少なくとも1つの電気伝導体(114)によって形成されており、前記少なくとも1つの電気伝導体が前記帯部材(109)の端面のみを例外として前記帯部材(109)の前記平面誘電体で包囲され、前記帯部材(109)の端面領域においてはカバー要素(116)を用いて周囲から電気的に絶縁されている可撓性平面電極ユニットにおいて、
前記帯部材(109)の全幅に亘って材料凹部(111)を備えていること、並びに、前記帯部材(109)が前記少なくとも1つの導体(114)と共に前記材料凹部(111)に沿って前記帯部材の全幅に亘って引き離し可能であるように、前記少なくとも1つの平面誘電体(101)及び前記少なくとも1つの導体(114)の材料が選択されていることを特徴とする、誘電体バリア放電式プラズマ放電用の可撓性平面電極ユニット。
[2] 前記少なくとも1つの導体(114)が、導電性添加物を含むプラスチックで形成されることを特徴とする、[1]に記載の可撓性平面電極ユニット。
[3] 前記導体(114)のプラスチックが前記平面誘電体(101)の材料と種類が一致することを特徴とする、[2]に記載の可撓性平面電極ユニット。
[4] 前記平面誘電体(101)も前記少なくとも1つの導体(114)もシリコーンで形成されていることを特徴とする、[3]に記載の可撓性平面電極ユニット。
[5] 前記少なくとも1つの導体(114)が、前記帯部材(109)の材料凹部(111)によって中断されていない幅部分に延びることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
[6] さらなる材料凹部(112)が前記帯部材(109)の側縁部に沿って存在し、これによって隣接する帯部分(110aからf)の間に相互接続部分が存在することを特徴とする、[1]から[5]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
[7] 前記帯部材(109)の中にある前記少なくとも1つの導体(114)を形成する幅が、前記材料凹部(111)の領域においては縮小されていることを特徴とする、[1]から[6]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
[8] 前記少なくとも1つの導体(114)が、前記帯部材の前記材料凹部(111)と共に前記帯部材(109)の幅方向に一直線に並び、前記帯部材(109)の前記材料凹部(111)に沿った前記導体(114)の引き離しを容易にするミシン目を有することを特徴とする、[1]から[7]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
[9] 前記可撓性平面電極ユニットが長方形の底面を有すること、および、前記帯部材(109)が角度を有する直線状の帯部分で一体に形成されていることを特徴とする、[1]から[8]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
[10] 前記カバー要素(116)が前記少なくとも1つの導体(114)に少なくとも何らかの電圧を供給するための接触要素であることを特徴とする、[1]から[9]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
[11] 前記可撓性平面電極ユニットが前記可撓性平面電極ユニットに内蔵された電池ユニットに接続された専用の高電圧段を装備していること、および前記カバー要素(116)が少なくとも2つの導体を接続し、センサが前記高電圧段を作動させる目的で前記導体の接続を検出することを特徴とする、[1]から[10]のいずれか1項に記載の可撓性平面電極ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
図20