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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020111564
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010812
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】林 孝政
(72)【発明者】
【氏名】森 圭史
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108804(JP,A)
【文献】特開2018-164859(JP,A)
【文献】特許第3771082(JP,B2)
【文献】特許第3712753(JP,B2)
【文献】特許第5463121(JP,B2)
【文献】特許第6710480(JP,B2)
【文献】特開2010-240060(JP,A)
【文献】特許第6161171(JP,B2)
【文献】特許第5604192(JP,B2)
【文献】特許第5102995(JP,B2)
【文献】特開2020-32130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定の範囲で可動する可動役物を備え、
前記可動役物は、
遊技状態に応じて発光する発光手段と、
前記発光手段を収容する凹部と、
を有し、
前記凹部は、
遊技者側に開口し、前記凹部の内外を連通する開口と、
前記開口から所定の深さに配置される底部と、
を有し、
前記発光手段は、
前記凹部の前記底部に配置され、前記底部の中央からずれた位置に配置され、且つ遊技状態の遊技者から前記凹部の前記開口を通じて視認できる位置に配置される、遊技機。
【請求項2】
前記可動役物は、
所定の範囲内で移動する移動動作と、所定の中心位置を基準に回動する回動動作を実行する、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記凹部は、
回動の前記中心位置から離れた位置に配置され、前記可動役物の前記回動動作に応じて前記中心位置を基準に回動方向へ回動する、請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記発光手段は、
前記凹部の前記底部において、前記底部の中央から、前記可動役物の回動の前記中心位置側へずれた位置に配置される、請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
弧形状のレールを有するレール部を備え、
前記可動役物は、
前記移動動作として、前記レール部の前記レールに沿って移動する、請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
記可動役物は、
遊技状態の前記遊技者から前記発光手段が視認できる範囲内で可動する、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記凹部は、
円筒形状の穴であり、
前記穴の深さ方向の長さは、
前記穴の直径に比べて長い、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項8】
遊技球を発射させる発射手段を備え、
前記発光手段は、
前記発射手段を操作する前記遊技状態の遊技者から視認できる位置に配置される、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動する役物である可動役物を動作させて演出を行なう遊技機がある(例えば、特許文献1など)。特許文献1の遊技機は、遊技者の操作ボタンに対する操作に応じて可動役物を動作させ演出を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-180490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した遊技機は、遊技領域の中央に可動役物を配置している。このため、可動役物を発光させた場合、発光した光は、遊技領域と正対した遊技者にとって視認され易いものとなる。しかしながら、遊技領域の中央からずらした位置に可動役物を配置すると、可動役物から発光した光が遊技者に視認し難いものとなり、遊技の趣向性が低下してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために創出されたものであって、可動役物を発光させ遊技の趣向性を向上できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明の遊技機は、定の範囲で可動する可動役物を備え、前記可動役物は、遊技状態に応じて発光する発光手段と、前記発光手段を収容する凹部と、を有し、前記凹部は、遊技者側に開口し、前記凹部の内外を連通する開口と、前記開口から所定の深さに配置される底部と、を有し、前記発光手段は、前記凹部の前記底部に配置され、前記底部の中央からずれた位置に配置され、且つ遊技状態の遊技者から前記凹部の前記開口を通じて視認できる位置に配置される、遊技機を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機では、可動役物には凹部が形成され、その凹部の底部に発光手段が配置されている。可動役物は、配置によっては、可動役物から発光した光が遊技者に視認し難いものとなる可能性がある。これに対し、当該遊技機では、発光手段を、底部の中央からずれた位置に配置し、遊技状態の遊技者から視認できる位置に配置する。これにより、遊技状態に応じて発光手段を発光させた場合に、発光させた光を遊技者に視認させ易くできる。発光手段の発光と可動役物の可動を組み合わせた演出を実行でき、遊技の趣向性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板及び周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
図3図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板及び周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
図4】演出装置の正面図である。
図5】演出装置の背面図である。
図6】可動役物の正面図である。
図7】可動役物の背面の一部を示しており、左手の人差し指の先端部分の背面を示す図である。
図8】可動役物の左手の人差し指の先端部分を正面から見た拡大図である。
図9図4に示すA-A線で切断した断面図であり、可動役物の左手の人差し指の先端部分における断面図である。
図10】遊技状態の遊技者から見た初期位置の可動役物の表側LEDを示す斜視図である。
図11】遊技状態の遊技者から見た上昇位置の可動役物の表側LEDを示す斜視図である。
図12】遊技状態の遊技者から見た回動位置の可動役物の表側LEDを示す斜視図である。
図13】遊技状態の遊技者を示す模式図である。
図14】演出の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と正対して遊技を行う遊技状態の遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向及び上下方向は、遊技者から見た左右方向及び上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方(手前側)とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。また、遊技状態の遊技者とは、例えば、後述するパチンコ遊技機1の前に設置された椅子185(図13)に座り、右手でハンドル4を操作している遊技者の状態をいう。
【0010】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成される。前面枠18は、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25と、演出レバー6と、スピーカ8,8と、演出ボタン9と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bとを備えている。
【0011】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(図2)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。打球供給皿(上皿ともいう)24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、発射装置90(図2)に供給する遊技球を貯留するためのものである。打球供給皿24は、貸球払出装置80(図2)及び賞球払出装置400(図2)から払出された遊技球を貯留する。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0012】
演出ボタン9は、例えば、プッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9は、打球供給皿24の上方を覆おうカバーに設けられている。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(図3)が内蔵されている。パチンコ遊技機1は、演出ボタン9に対する操作入力に応じた演出を行う。
【0013】
また、前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。遊技者は、演出レバー6を握って操作することで、演出レバー6を回動させたり、前後に移動させたりできる。パチンコ遊技機1は、演出レバー6に対する操作入力に応じた演出を行う。また、前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。また、スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられている。
【0014】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7と、演出装置15とを備える。遊技盤2は、例えば、内枠(図示せず)の前面部分に設けられ、つまり、遊技状態の遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。遊技者の身長や座高にもよるが、例えば、遊技状態の遊技者の頭は、図1に破線で示す頭位置14となる。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。遊技盤2は、固定入賞装置10と、第1大入賞装置30と、第2大入賞装置40と、ゲート12と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、一般入賞口13と、表示器類50と、誘導部材17とを備える。
【0015】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。また、遊技盤2の複数箇所には、盤ランプ2a(図3)が設けられている。
【0016】
演出装置15は、内枠(図示せず)のうち、遊技領域3の左下に相当する外周縁部18aに設けられている。例えば、遊技盤2は、一部又は全部が透明の樹脂等により形成されている。外周縁部18aは、例えば、遊技領域3の外側に位置し、透明の遊技盤2の後方に位置する内枠に設けられている。演出装置15は、この透明の遊技盤2の後方に位置する外周縁部18aに取り付けられている。演出装置15は、可動役物133を備えている。演出装置15の詳細については、後述する。
【0017】
尚、上記した外周縁部18a及び演出装置15(可動役物133)の取り付け位置は、一例である。演出装置15を、遊技領域3の左上の外周縁部18a(例えば、左側のスピーカ8の位置)に設けても良い。あるいは、演出装置15を、遊技領域3の右下の外周縁部18a(ハンドル4の上方の位置)に設けても良い。また、演出装置15を、前面枠18に設けても良く、遊技機枠16の外側となる位置(例えば、内枠の上にはみ出した位置)に設けても良い。
【0018】
また、本願の遊技領域3の外周部分である外周縁部は、遊技領域3の外側の部分に限らず、遊技領域3の内側の部分でも良い。遊技者の頭位置14は、例えば、左右方向におけるパチンコ遊技機1の左右中央位置3cに沿った直線上における演出表示装置7の位置付近となる。尚、遊技者の身長や座高によっては、頭位置14は、左右中央位置3cを通る直線に沿って上下方向へずれた位置となる。
【0019】
本願の遊技領域3の外周部分である外周縁部は、遊技領域3内のうち、この頭位置14から離れた位置、頭位置14に一部を重ねた位置でも良い。例えば、演出装置15は、後述する一般入賞口13、ゲート12に重なる位置でも良い。また、演出装置15を遊技領域3の内側と外側に跨がるように配置しても良い。従って、本願における遊技領域の外周部分である外周縁部とは、例えば、頭位置14と離れた位置、一部が重なる位置など、遊技領域3と顔を正対させた遊技者の目線が正面をまっすぐ見る位置からずれるような位置である。
【0020】
また、固定入賞装置10は、遊技盤2のうち下側の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。ゲート12は、右遊技領域3bに配置されており、右遊技領域3bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。普通可変入賞装置20は、右遊技領域3bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20の可動部材21は、回動可能に構成されており、第2始動口22を開閉する。第1大入賞装置30は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の右方に配置されており、第2大入賞装置40は、第1大入賞装置30の上側に配置されている。第1大入賞装置30は、第1大入賞口32を開閉する第1開閉部材31を備えており、第2大入賞装置40は、第2大入賞口42を開閉する第2開閉部材41を備える。第2大入賞装置40の内部には、第2大入賞口42に入賞した遊技球が通過可能な領域である特定領域(図示せず)及び非特定領域(図示せず)が形成されている。また、第2大入賞装置40の内部には、第2大入賞口42に入賞した遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材(図示せず)と、この振分部材を駆動する振分部材ソレノイド42d(図2)とが設けられている。
【0021】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって第1大入賞装置30の下方に設けられている。表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器とを備える。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器と、第2特別図柄表示器の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器と、普通図柄表示器の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器とを備える。以下、第1特別図柄及び第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器及び第2特別図柄表示器に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0022】
本実施形態では、表示器類50の第1及び第2特別図柄表示器は、複数(例えば、8個)のLEDを点灯又は消灯させ特別図柄を表示する。また、普通図柄表示器は、複数(例えば、2個)のLEDを点灯又は消灯させ普通図柄を表示する。遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開閉し、第2始動口22が開閉する。
【0023】
また、遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定が実行され、第1特別図柄表示器が第1特別図柄を変動表示する。第1特別図柄表示器は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第1大入賞装置30が作動して第1開閉部材31が開閉し、第1大入賞口32が開閉する。表示器類50の第1特別図柄表示器が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器によって表示される。以下、第1特別図柄表示器の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0024】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定が実行され、表示器類50の第2特別図柄表示器が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第2大入賞装置40が作動して第2開閉部材41が開閉し、第2大入賞口42が開閉する。第2特別図柄表示器が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器によって表示される。以下、第2特別図柄表示器の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。また、最初のラウンドから最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。また、大当たり判定において大当たりと判定された場合は、大当たりの種類が抽選により決定される。大当たりの種類によって、開閉する大入賞口(第1大入賞口32及び第2大入賞口42の一方または両方)、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが異なる。
【0025】
パチンコ遊技機1には、大当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)として、通常確率と、通常確率よりも高い高確率とが設定されている。以下、大当たり確率が通常確率に設定されている遊技状態を通常確率状態といい、大当たり確率が高確率に設定されている遊技状態を高確率状態という。パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中に第2大入賞口42に入賞した遊技球が、前述した特定領域を通過(V入賞)すると、大当たり遊技が終了した後の遊技状態が高確率状態に移行する。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆるV確機と呼ばれる機種である。
【0026】
一般入賞口13は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の左方に配置されている。誘導部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。誘導部材17は、発射装置90(図2)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像などの動画像及び静止画像を表示する。演出表示装置7は、演出画像として、演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、例えば、1~9の算用数字を表した図柄である。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域及び右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0027】
本実施形態の各演出図柄の主な変動パターンは、例えば、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。演出表示装置7は、例えば、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。
【0028】
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄及び他の画像などから成る画像を変動演出パターンという。変動演出パターンは、特図変動パターンの変動表示と同期して変動表示され、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。演出表示装置7には、第1演出保留表示領域51Bと、第2演出保留表示領域52Bとが設定されている。遊技者は、第1演出保留表示領域51Bに表示される演出保留画像を見ることにより、第1特図保留数を知ることができるとともに、第2演出保留表示領域52Bに表示される演出保留画像を見ることにより、第2特図保留数を知ることができる。
【0029】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について図2及び図3を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は、主制御基板60(図2)と、払出制御基板73(図2)と、サブ制御基板100(図3)と、画像制御基板200(図3)とを備えている。図2に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。CPU62は、入賞の検出、大当たり判定、各種乱数の更新などを実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラムの他に、大当たり判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン選択テーブル、大当たり種別判定テーブルなどの各種のテーブルTA1が記憶されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。
【0030】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。RAM64には、遊技球が第1始動口11に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数が記憶される。表示器類50の第1特別図柄表示器が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などはRAM64に記憶される。同様に、RAM64には、遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数が記憶される。また、RAM64には、遊技球がゲート12(図1)を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)が記憶される。表示器類50の普通図柄表示器が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数はRAM64に記憶される。
【0031】
また、入出力回路65は、主制御基板60に接続された各基板などとの間でデータの送信又は受信を行う。また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64及びサブ制御基板100のRAM120(図3)を初期化する。また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、第1大入賞口センサ32aと、第2大入賞口センサ42aと、特定領域センサ42bと、非特定領域センサ42cと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、第1大入賞口ソレノイド30aと、第2大入賞口ソレノイド40aと、振分部材ソレノイド42dとが電気的に接続されている。
【0032】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12(図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第1大入賞口センサ32aは、第1大入賞口32(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ42aは、第2大入賞口42(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2大入賞口42に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。特定領域センサ42bは、第2大入賞口42(図1)の内部の特定領域内に設けられており、遊技球が特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。非特定領域センサ42cは、第2大入賞口42(図1)の内部の非特定領域に設けられており、遊技球が非特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13(図1)の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0033】
また、図3に示すように、サブ制御基板100には、アウト口センサ19aが電気的に接続されている。アウト口センサ19aは、アウト口19(図1)の直下に設けられており、遊技球がアウト口19に入球したことを示す信号をサブ制御基板100へ出力する。これにより、サブ制御基板100(演出制御用マイコン101)は、アウト口センサ19aから出力される信号に基づいて、アウト口19に入球して消費された遊技球の数を計測できる。
【0034】
図2に戻り、電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21(図1)を開閉駆動する。第1大入賞口ソレノイド30aは、第1大入賞装置30の第1開閉部材31(図1)を開閉駆動する。第2大入賞口ソレノイド40aは、第2大入賞装置40の第2開閉部材41(図1)を開閉駆動する。振分部材ソレノイド42dは、第2大入賞装置40の内部に設けられた振分部材を駆動する。
【0035】
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介して貸球払出装置80と、カードユニット76と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込みなどを行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0036】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
【0037】
また、主制御基板60には、払出制御基板73、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93と、発射口センサ94を備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4a(図1)の回転量に応じて、上記打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。発射口センサ94は、誘導部材17(図1)に設けられている。発射口センサ94は、誘導部材17から遊技領域3へ遊技球が入球されたこと、即ち、発射装置90によって発射された遊技球が遊技領域3内に入ったことを示す信号を主制御基板60へ出力する。これにより、主制御基板60は、発射口センサ94から出力される信号に基づいて、発射装置90により発射され遊技領域3内で消費された遊技球の数を計測できる。
【0038】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60及び払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。また、電源基板70は、サブ制御基板100に対して電力を供給する(図2図3の「B」)。電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64やサブ制御基板100のRTC124などに対して情報の保持に必要な電力を供給する。バックアップ電源回路71としては、コンデンサや内臓電池(ボタン電池等)を含む回路を採用することができる。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0039】
また、主制御基板60は、サブ制御基板100(図3)に対して各種コマンドを送信する(図2図3の「A」)。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0040】
図3に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他に、変動演出パターン選択テーブルなどの各種のテーブルTA4が記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。
【0041】
RAM120は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンドなどを記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含むコマンドである。また、RAM120は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンドなどを記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含むコマンドである。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの送信または受信を行う。
【0042】
図3に示すように、サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP(Video Display Processor)201と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像及び予告演出画像などの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が画像を表示するための画像データ(演出画像などの画像データ)が記憶されている。VDP201は、例えば、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0043】
また、サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、盤ランプ2a、演出ボタンランプ9cが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
【0044】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0045】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー検出スイッチ6j、操作ボタン検出スイッチ6kが電気的に接続されている。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出レバー検出スイッチ6jは、演出レバー6が押込操作された、あるいは回動操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。操作ボタン検出スイッチ6kは、打球供給皿24に設けられた操作ボタン(図示せず)を操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。また、サブ制御基板100には、演出レバー駆動モータ6dが電気的に接続されている。演出レバー駆動モータ6dは、演出レバー6を振動、回動、スライド移動等させる部材である。演出制御用マイコン101は、演出に合わせて演出レバー6を回動等させる。
【0046】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されている。RTC124は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されているときにはその電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときには、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作する。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときにも現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設けてもよい。
【0047】
また、サブ制御基板100には、演出装置15が接続されている。サブ制御基板100は、後述する演出装置15の第1モータ145、第2モータ149(図5)の回転動作を制御することで、可動役物133のスライド位置や回転位置を変更することができる。また、サブ制御基板100は、後述する演出装置15の背面側LED169(図7)や表側LED179(図6)の点灯状態(点灯の有無、光の明るさなど)を変更することができる。サブ制御基板100は、遊技状態(演出の内容)に応じて可動役物133の動作や点灯状態を変更する。
【0048】
[演出装置15の構成]
次に、演出装置15の構成について説明する。図4及び図5に示すように、演出装置15は、レール部131、可動役物133を備えている。レール部131は、レール本体部140、レール141、役物取付部143、第1モータ145を備えている。レール本体部140の左端部は、上下方向に沿うように直線形状をなしている。レール本体部140の下端部は、左右方向に沿うように直線形状をなしている。レール本体部140の内側(パチンコ遊技機1における内側)の縁部は、演出装置15の右下の端部と左上の端部とを結ぶように、遊技領域3(左遊技領域3a)の外周縁に沿う円弧形状をなしている。可動役物133は、例えば、初期位置において、左端部と下端部とが交わる左下の角部から円弧形状の内側縁部の半径方向に沿って、内側へ移動した位置に配置されている(図4図5)。
【0049】
レール141は、レール本体部140の裏側に形成されており(図5)、レール本体部140の右下から左側の上部に至るまで円弧形状に形成されている。役物取付部143には、スライドギア143aが取り付けられている。スライドギア143aは、レール141の曲率に合せて湾曲した円弧形状をなしている。スライドギア143aの円弧形状の下側縁部には、縁部に沿って所定の間隔で歯が形成されている。役物取付部143は、スライドギア143aをレール141に挿入した状態で、レール141に沿ってスライド移動可能となっている。
【0050】
第1モータ145は、レール本体部140に取り付けられており、第1ギア機構147のギアを回転させる。第1ギア機構147のギアは、役物取付部143のスライドギア143aと噛み合わされている。スライドギア143aは、第1ギア機構147のギアの回転に伴って移動する。従って、第1モータ145は、役物取付部143のスライドギア143aと第1ギア機構147を介して駆動連結されている。これにより、役物取付部143は、第1モータ145の駆動に基づいて、レール141に沿ってスライド移動する。また、役物取付部143は、レール本体部140に設けられたストッパ140aによって、初期位置より下方への移動を規制される。
【0051】
可動役物133は、役物取付部143に取り付けられている。従って、可動役物133は、第1モータ145の駆動に基づいて役物取付部143を移動させると、役物取付部143とともに初期位置からレール本体部140の上部に至る範囲でスライド移動する。また、役物取付部143は、第2モータ149と、第2モータ149に駆動連結された第2ギア機構151を備えている。第2ギア機構151の出力側の出力ギア151aは、表側の可動役物133の回動軸が取り付けられている。役物取付部143は、第2モータ149の駆動に基づいて第2ギア機構151の出力ギア151aを回動させることで、中心位置153を中心に回動方向154(図4)へ可動役物133を回動させる。また、第2ギア機構151の出力ギア151aは、外周部分の所定範囲にのみ歯が形成されている。これにより、可動役物133は、出力ギア151aの歯が形成された範囲内で回動範囲を規制されている。尚、出力ギア151aの全周に亘って歯を形成し、可動役物133を360度回動させても良い。
【0052】
可動役物133は、第1モータ145の駆動に基づいてレール141の任意の位置へスライド移動し、第2モータ149の駆動に基づいて、その任意の位置で回動動作する。演出制御用マイコン101は、演出装置15に接続され、第1モータ145及び第2モータ149の回動位置や移動速度などを制御可能となっている。演出制御用マイコン101は、演出の内容に応じて第1モータ145及び第2モータ149を制御し、可動役物133のスライド位置や回動位置を変更する。
【0053】
図6に示すように、本実施形態の可動役物133は、人の手の形をしている。より具体的には、可動役物133は、左手の人差し指を立て、他の指を握った状態で、手のひらを表側(遊技者側)に見せる形状をなしている。尚、本発明の可動役物は、手の形に限らず、足、剣、銃など様々な形状のものを採用できる。
【0054】
図7は、可動役物133の背面の一部を示しており、左手の人差し指の先端部分(後述する先端161a)の背面を示している。図6及び図7に示すように、可動役物133は、カバー部161と、基板163と、クリア板165と、凸部材167とを備えている。カバー部161は、可動役物133における遊技者側(表側)に取り付けられている。カバー部161は、例えば、光透過性を有する白色の部材であり、人差し指を立てた左手の形状をなしている。カバー部161は、遊技者側へ膨らんだ立体的な形状をなしている(図9)。
【0055】
基板163は、可動役物133の背面側(遊技者とは反対側、演出表示装置7側)に取り付けられている。基板163には、複数のLEDが実装されている。例えば、図7に示すように、基板163の背面には、複数の背面側LED169が取り付けられている。背面側LED169は、可動役物133の外周に沿うように、基板163の複数箇所に取り付けられている。演出制御用マイコン101は、演出装置15の基板163と接続されており、演出の内容に応じて背面側LED169の点灯態様(点灯のタイミング、点灯時間、点灯させる数など)を変更する。
【0056】
クリア板165は、例えば、光透過性を有する透明の板である。クリア板165は、可動役物133の背面を覆い、複数の穴が形成され、その穴から基板163の一部や、基板163に実装された背面側LED169などが露出している。クリア板165には、背面側LED169の位置に合せて、配置穴171が形成されている。背面側LED169は、配置穴171の内周面(図7における円弧形状の外周側の面)を照らし、可動役物133の背面側から光を照射する。
【0057】
図8は、可動役物133の左手の人差し指の先端161aを正面から見た拡大図である。図7及び図8に示すように、凸部材167は、可動役物133の側面に設けられている。凸部材167は、例えば、光透過性を有する透明の部材で形成されている。凸部材167には、複数の突部167aが形成されている。複数の突部167aは、可動役物133の側面から外側へ突出し、可動役物133の側面に沿って所定の間隔で隣接して配置されている。背面側LED169から発光された光の一部は、可動役物133の側面に所定の間隔で並んだ突部167aに到達する。これにより、可動役物133の側面部分をより均等に光らせることができる。尚、図4図6は、凹凸のある凸部材167を簡略化して図示している。
【0058】
また、図6に示すように、カバー部161の人差し指の先端161aには、凹部173が形成されている。カバー部161は、基板163側から遊技者側(表側)へ膨らんだ立体的な手の形状をなしている(図9参照)。凹部173は、膨らんだ人差し指の先端161aを表側から裏側へ凹設して形成されている。凹部173は、パチンコ遊技機1の前後方向(厚さ方向)に沿った軸方向で先端161aを円筒形状に凹設して形成されており、軸方向に切断した断面形状が真円をなす円筒形状をないしている。尚、凹部173は、断面が真円の円筒形状に限らず、断面が楕円の円筒形状や、断面が三角形、四角柱形どの多角形の筒形状でよい。
【0059】
凹部173は、開口175、底部177を有する。開口175は、凹部173の表側に形成された円形の穴である。底部177は、凹部173の裏側(底側)に形成され、平らな円板形状をなしている。底部177には、表側LED179が取り付けられている。演出制御用マイコン101は、演出の内容に応じて表側LED179の点灯態様(点灯のタイミング、点灯時間、光の強さなど)を変更する。
【0060】
図6に示すように、凹部173は、可動役物133の回動の中心位置153から一定の距離だけ離れた位置に形成されている。このため、表側LED179は、可動役物133の回動にともなって回動方向154へ回動する。この一定の距離は、例えば、発光させた表側LED179が回動していることを、遊技者が視認できる(認識できる)位置まで、表側LED179を中心位置153から離した距離、あるいはその距離以上の距離である。また、図9に示すように、凹部173の深さ方向の長さL2は、凹部173の直径L1に比べて長くなっている。このため、本実施形態の凹部173は、前後方向(深さ方向)に深い円筒形状の穴で形成されている。これにより、表側LED179を底部177で発光させることで、深い穴の底で光を放つような演出を行なうことができる。尚、本実施形態の凹部173の形状は、一例である。凹部173は、直径L1に比べて長さL2が短い浅い円筒形状でも良く、直径L1と長さL2とが同一長さの円筒形状でも良い。
【0061】
上記したように、本実施形態の表側LED179は、直径L1に比べて長さL2が長い凹部173の底部177に配置されている。底部177に表側LED179を配置することで、遊技者から表側LED179が直接見えなくなる虞がある。そこで、本実施形態の表側LED179は、底部177において偏心した(中央からずれた)位置に取り付けられている。詳述すると、図9に示すように、表側LED179は、円形をなす底部177の中央位置177aからずれた(偏心した)位置(図9では右側の位置)に取り付けられている。中央位置177aは、円形の底部177の中心である。例えば、表側LED179は、凹部173の内壁の一部に接触した位置で固定されている。また、図6に示すように、表側LED179は、中央位置177aと中心位置153を結ぶ直線178からずれた位置(図6では左側にずれた位置)に取り付けられている。また、表側LED179は、底部177において、底部177の中央位置177aから中心位置153側(図6では下側)へずれた位置で凹部173の内壁に接触して固定されている。
【0062】
これにより、本実施形態の表側LED179は、可動役物133の可動する可動範囲の全てにおいて、遊技者から視認できる位置となっている。図10から図12は、演出時における可動役物133の動作の一例を示している。また、図10から図12は、遊技状態
の遊技者から見た可動役物133の表側LED179の状態を示している。
【0063】
例えば、図10に示すように、演出制御用マイコン101は、演出装置15の第1モータ145及び第2モータ149を制御して可動役物133を初期位置に配置する。可動役物133は、人差し指を上方に上げた状態で初期位置に配置される。次に、演出制御用マイコン101は、第1モータ145を制御し、可動役物133をレール141に沿って上方へスライド移動させ、図11の上昇位置まで上昇させる。そして、演出制御用マイコン101は、上昇位置において、第2モータ149を制御し、可動役物133を時計回り方向へ回動させ、人差し指が右側を向く図12の回動位置まで可動役物133を回動させる。
【0064】
演出制御用マイコン101は、図10に示す初期位置から図12に示す回動位置まで可動役物133を移動させる際や、回動位置に到着した後において、背面側の背面側LED169や表側の表側LED179を点灯させる。点灯の態様は特に限定されないが、例えば、演出制御用マイコン101は、初期位置から上昇位置まで表側LED179を弱い光で点灯させる。そして、演出制御用マイコン101は、大当たり判定が大当たりである場合に、可動役物133を回動させ、且つ回動位置に到達した時点で背面側LED169及び表側LED179を強い光で点灯させる。これにより、大当たり判定の結果に応じて、可動役物133の動作や表側LED179等の光の強さを変え、大当たりを示唆する演出を行なうことができる。可動役物133の移動や回転、LEDの発光の強弱を組み合わせて趣向性の高い演出を行なうことができる。
【0065】
図10図11、及び図12には、遊技状態の遊技者の目線181が矢印で示されている。図13は、パチンコ遊技機1の前に座る遊技者183の状態を模式的に示している。パチンコ遊技機1の前には、椅子185が設置されている。遊技者183は、椅子185に座った状態で、ハンドル4を右手で操作し、遊技領域3に正対した状態となっている。遊技者183の頭位置14は、例えば、遊技領域3内となる(図1)。図10及び図13に示すように、例えば、可動役物133を初期位置に配置した場合、遊技者183は、遊技領域3の左下の可動役物133を見下ろすと、凹部173の表側LED179が目線181の先に入り、視認できる。
【0066】
また、図11に示すように、可動役物133を上昇位置に配置した場合、遊技者183は、遊技領域3の左側であって、初期位置よりも上方の位置(遊技者183から見て若干左下)の可動役物133を見下ろす状態となる。この場合にも、遊技者183は、目線181の先に表側LED179が入る状態となる。また、図12に示すように、可動役物133を回動位置に配置した場合、遊技者183は、上昇位置から時計回りに回転した位置の可動役物133を見下ろす状態となる。この場合にも、遊技者183は、目線181の先に表側LED179が入る状態となる。
【0067】
本実施形態の表側LED179は、底部177において中央位置177aから偏心した位置に配置されることで、図10の初期位置、図11の上昇位置、図12の回動位置だけでなく、初期位置から上昇位置を経て回動位置に至るまでの全範囲において、遊技者183の目線181に入る範囲で移動する。換言すれば、遊技者183は、図13に示すハンドル4を右手で操作する遊技状態において、可動役物133を初期位置から回動位置までのどの位置に配置しても、表側LED179が視界に入る状態となる。これにより、表側LED179の発光演出を遊技状態の遊技者に対してより効果的に実施することができ、可動役物133を発光させる遊技の趣向性を向上できる。
【0068】
尚、目線181の角度は、遊技者183の身長や座高187(図13)等によって異なる。このため、本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者183の平均的な値に基づいて目線181を設定する。具体的には、例えば、遊技者183の座高187の平均値と、椅子185の高さに基づいて、上下方向における遊技者183の目の位置を設定する。平均の座高187は、遊技者183の全体の平均値でも良く、遊技する可能性が高い年齢層の平均値でも良い。また、椅子185に座った状態の遊技者183の前後方向における目の位置を、椅子185の形状、椅子185に座った際の遊技者183の頭や目の位置等に基づいて設定する。あるいは、椅子185の前後方向の中央位置を、前後方向における遊技者183の目の位置に設定しても良い。また、左右方向におけるパチンコ遊技機1の中央を通る左右中央位置3c(図1参照)を、左右方向における遊技者183の目の位置に設定する。設定した前後方向、左右方向及び上下方向における遊技者183の目の基準位置を起点とし、目線181を設定する。そして、設定した基準位置からの目線181と、演出時の可動役物133の動き・位置等に基づいて、目線181の先に表側LED179が入る(表側LED179が視界に入る)ように、底部177における表側LED179の位置、凹部173の深さ(長さL2)、開口175の大きさ(直径L1)等を調整する。また、目線181の先に表側LED179が入るように、可動役物133を用いた演出におけるスライド位置、回動位置等を調整しても良い。このような調整を行なうことで、可動役物133の可動する可動範囲の全てにおいて、遊技者183から視認できる位置に表側LED179を配置できる。
【0069】
上記した目線181の設定方法は、一例である。例えば、左右方向及び上下方向における遊技者183の目の位置を、演出表示装置7に表示する中演出図柄9Cの位置に設定しても良い。これは、中演出図柄9Cが、遊技者183の顔の正面に表示される可能性が高いためである。また、前後方向における遊技者183の目の位置を、前後方向における椅子185の中央位置に設定しても良い。
【0070】
(演出の一態様)
次に、可動役物133を用いた演出の一態様について説明する。図14は、演出図柄の変動表示中における演出表示装置7の表示画面7Aに表示される複数の場面を示している。図14は、例えば、リーチ演出が実行される際の表示画面7Aを示している。まず、第1始動口11への遊技球の入賞に応じて左演出図柄9L、中演出図柄9C、右演出図柄9Rの変動が開始される(図14(a))。
【0071】
例えば、演出制御用マイコン101は、背面側LED169の発光演出、表側LED179の発光演出、可動役物133のスライド移動、及び回動動作など(以下、発光演出等という)を、リーチ予告の演出として実行しても良い。例えば、図14(a)に示すように、演出制御用マイコン101は、左演出図柄9L等を変動させる単位遊技の保留を表す保留アイコン500を表示画面7Aに表示する。演出制御用マイコン101は、通常の保留アイコン500として、例えば、ワイングラスのアイコンを表示する。そして、演出制御用マイコン101は、保留アイコン500を用いたリーチ予告の演出として、可動役物133の発光演出等を実行する単位遊技に対応する保留アイコン501を、他の保留アイコン502(例えば、通常の保留アイコン500)とは異なる保留アイコン500にする。演出制御用マイコン101は、例えば、可動役物133と同じ手の形をした保留アイコン501(図示例では右手)を表示画面7Aに表示する。これにより、単位遊技を開始する前に、可動役物133を用いたリーチ演出が行なわれること、あるいはリーチ演出が行なわれる可能性が高いことを遊技者に示唆できる。
【0072】
演出制御用マイコン101は、予告の保留アイコン501を消化して、左演出図柄9L等の変動を開始した後、予告演出として、大当たりの信頼度が高いことを示す画像、例えば、「チャンス」の文字を示す画像を表示画面7Aに表示する(図14(b))。次に、演出制御用マイコン101は、例えば、左演出図柄9Lと右演出図柄9Rとに「7」の演出図柄を停止させ、演出図柄がリーチ状態であること(リーチが確定したこと)を表示画面7Aに表示させる(図14(c))。
【0073】
例えば、リーチ確定時の演出を実行する場合、演出制御用マイコン101は、可動役物133をスライド移動や回動動作させ、背面側LED169や表側LED179を発光させるタイミングに合せて「チャンス」の文字を表示し(図14(b))、文字を消去した後、図14(c)のリーチ確定画面を表示画面7Aに表示させる。演出制御用マイコン101は、例えば、大当たり確率が高いリーチを実行する前に、上記した演出を実行する。
【0074】
従って、本実施形態のパチンコ遊技機1は、可動役物133の発光演出等と、表示画面7Aの表示などを合せてリーチの確定を通知しても良い。これにより、演出図柄の変動表示の結果が大当たりとなる蓋然性(信頼度)が高いこと遊技者に示唆することができる。遊技者は、大当たりに対する期待感を高めることとなる。なお、信頼度の高さを示唆する文字は、「チャンス」に限らず、「激アツ」などの他の文字でも良い。
【0075】
また、図14(c)に示すように、演出制御用マイコン101は、リーチが確定した後、可動役物133を模擬した模擬アイコン503を表示画面7Aに表示しても良い。例えば、演出制御用マイコン101は、リーチ演出を、大当たりが確定する信頼度がより高いリーチ演出へ発展させる場合に、模擬アイコン503を用いた演出を実行する。演出制御用マイコン101は、可動役物133を所定の位置(例えば、上記した上昇位置)までスライド移動させ、可動役物133を回動位置まで回動させて背面側LED169や表側LED179を強く発光させるタイミングに合わせて、模擬アイコン503の指先を発光させ、リーチ演出を発展させる。従って、本実施形態のパチンコ遊技機1は、可動役物133の発光と、表示画面7Aに表示した模擬アイコン503の状態(発光など)とを合せてリーチ演出の発展を報知しても良い。また、演出制御用マイコン101は、所定の確率に基づいて、可動役物133の発光演出等や模擬アイコン503の演出を途中で停止し、リーチ演出を発展させず大当たりの判定がハズレであることを報知しても良い。これにより、模擬アイコン503を表示し、可動役物133を動作等させることで、リーチ演出の発展を遊技者に期待させることができ、遊技の趣向性を向上できる。
【0076】
次に、図14(d)に示すように、演出制御用マイコン101は、演出のタイミングに合わせて演出ボタン9を押すべき旨の画像である演出ボタン画像505を表示画面7Aに表示する。また、図14(d)に示すように、演出制御用マイコン101は、演出図柄(左演出図柄9L等)を、表示画面7Aの隅(例えば、左上の隅)に表示させ、演出ボタン画像505の画像と重ならないように表示しても良い。この際に、演出制御用マイコン101は、例えば、可動役物133を模擬した模擬アイコン507を表示画面7Aに表示しても良い。そして、演出ボタン9の押下に合せて可動役物133を回動等させ、背面側LED169等を発光させるタイミングで模擬アイコン507を発光、回動等させても良い(図14(e))。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9の押圧を検出するのに応じて、図14(e)に示すように、「ドーン」などの大当たりであることを示唆するメッセージ等を示す画像を模擬アイコン507に合せて表示画面7Aに表示する。これにより、可動役物133の動作・発光、表示画面7Aの表示、演出ボタン9の押下を組み合わせた演出という、従来のパチンコ遊技機1では味わうことができない新鮮味のある演出を楽しむことができる。
【0077】
従って、本実施形態のパチンコ遊技機1は、大当たりの確定に合せて可動役物133を発光演出等させても良い。また、パチンコ遊技機1は、演出ボタン9等の操作手段の操作に合せて可動役物133の動作や表示画面7Aの表示の変更を実行しても良い。この際に、図14(d)(e)に示すように、可動役物133の回動に合せて、表示画面7Aに示す模擬アイコン507を変化させ(遊技者に向けて回動させるなどして)、可動役物133の動作に連動して指先等を発光させても良い。そして、図14(e)の表示状態を所定時間だけ維持すると、図14(f)に示すように、演出制御用マイコン101は、中演出図柄9Cを「7」の演出図柄で停止させる。大当たり演出図柄を確定表示させ、大当たりが付与された旨を報知し、大当たり遊技が開始される。
【0078】
尚、上記した図14に示す演出は、一例である。演出制御用マイコン101は、上記した保留アイコン501(リーチ確定前)、模擬アイコン503(リーチ発展前)、模擬アイコン507(大当たり確定前後)のうち、少なくとも一つのタイミングで可動役物133を用いた演出を実行しても良い。また、演出制御用マイコン101は、大当たり遊技中(V入賞の確定など)の他のタイミングで可動役物133を用いた演出を実行しても良い。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6の操作等に合せて可動役物133の発光演出等を実行しても良い。また、図14では、手の形(右手の形)の保留アイコン501や模擬アイコン503等を図示したが、可動役物133と同じ左手の保留アイコン501等を採用できる。また、手の形だけでなく、人の形の模擬アイコン503を表示してその人の手の指先を光らせる等しても良い。
【0079】
因みに、表側LED179は、発光手段の一例である。発射装置90は、発射手段の一例である。
【0080】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技領域3の外周部分である外周縁部18aに配置され、所定の範囲で可動する可動役物133を備えている。可動役物133は、遊技状態に応じて発光する表側LED179と、表側LED179を収容する凹部173と、有している。凹部173は、遊技者183側に開口する開口175と、開口175から所定の深さ(長さL2)に配置される底部177と、を有している。表側LED179は、凹部173の底部177に配置され、底部177の中央位置177aからずれた位置に配置され、且つ遊技状態の遊技者183から視認できる位置に配置されている。
【0081】
可動役物133は、遊技領域3の外周縁部18aに配置されており、可動役物133から発光した光が遊技者183に視認し難いものとなる可能性がある。これに対し、本実施形態の遊技機枠16では、底部177の中央位置177aからずれた位置に表側LED179を配置することで、表側LED179から発光した光を遊技者183に視認し易くすることができる。表側LED179の発光と可動役物133の可動を組み合わせた演出を実行でき、遊技の趣向性を向上できる。
【0082】
(2)また、可動役物133は、所定の範囲内で移動する移動動作と、所定の中心位置153を基準に回動する回動動作を実行する。これによれば、可動役物133の移動動作や回動動作に合せて表側LED179を発光させる従来にない趣向性の高い演出を実行できる。また、移動動作や回動動作において表側LED179を発光させた光を遊技者183に視認させ易くでき、可動役物133の演出に遊技者183をより引きつけることができる。
【0083】
(3)また、凹部173は、回動の中心位置153から離れた位置に配置され(図6)、可動役物133の回動動作に応じて中心位置153を基準に回動方向154へ回動する。これによれば、凹部173の回動に合せて表側LED179を、中心位置153を基準に回動方向154へ回動させることができる。点灯した光が回動する演出を実行できるとともに、点灯した光の軌跡を遊技者183に視認し易くでき、遊技の趣向性をより高めることができる。
【0084】
(4)また、表側LED179は、凹部173の底部177において、底部177の中央位置177aから中心位置153側へずれた位置に配置される(図6図8)。底部177において、表側LED179の位置を中央位置177aから中心位置153側にずらすことで、凹部173の中央位置177aと表側LED179とを(光とその光を放つ穴とを)中心位置153を中心に半径方向でずれた位置で回動させることができる。その結果、視覚的に趣向性の高い光演出を実行できる。
【0085】
(5)また、レール部131は、外周縁部18aに配置され、円弧形状のレール141を有する。可動役物133は、移動動作として、レール部131のレール141に沿って移動する。これによれば、表側LED179を有する可動役物133を、レール141に沿って円弧の軌跡を描くようにスライド移動させることができる。円弧にスライド移動させながら表側LED179を発光させることで、趣向性の高い演出を行なうことができる。
【0086】
(6)また、表側LED179は、可動役物133の可動する可動範囲の全てにおいて、遊技者183から視認できる位置に配置される(図10図11図12)。これによれば、可動役物133の可動範囲のどの位置で表側LED179を発光させても、発光した光を遊技者183に見せることができ、可動役物133の発光演出に遊技者183を引き
つけることができる。
【0087】
(7)また、凹部173は、円筒形状の穴である。凹部173の深さ方向の長さL2は、凹部173の直径L1に比べて長い。これにより、表側LED179を底部177で発光させることで、深い穴の底で光を放つような発光演出を行なうことができ、且つその発光演出を遊技者183により確実に視認させ、遊技の趣向性を高めることができる。
【0088】
(8)また、パチンコ遊技機1は、遊技球を発射させる発射装置90を備えている。表側LED179は、発射装置90をハンドル4で操作する遊技状態の遊技者183から視認できる位置に配置される。これによれば、ハンドル4を操作して遊技球を発射している、即ち、遊技中の遊技者183に、表側LED179から発光した光をより確実に視認させるように、表側LED179を配置できる。ハンドル4を操作中の遊技者183に対する効果的な(認識し易い)演出を表側LED179により実行できる。
【0089】
〈他の実施形態〉
(1)上記実施形態の図10図12に示す可動役物133の動作、表側LED179の発光態様等は一例である。例えば、可動役物133をスライド移動させずに、回動動作だけさせて発光演出を実施しても良い。また、可動役物133を回動動作させずに、スライド移動だけさせて発光演出を実施しても良い。あるいは、可動役物133を、図11に示す上昇位置まで移動させずに、回動動作させても良い。
また、演出装置15は、可動役物133を移動動作又は回動動作の一方のみの動作しかできない構成でも良い。
また、可動役物133のスライド移動や回動動作の全てにおいて、表側LED179を常時点灯させなくとも良い。例えば、表側LED179を点滅させても良く、初期位置から上昇位置を経て回動位置まで消灯させ回動位置まで回転した段階で初めて表側LED179を点灯させても良い。
(2)また、表側LED179は、可動役物133の可動する可動範囲の全てにおいて、遊技状態の遊技者183から視認できる位置に配置されなくとも良い。表側LED179は、可動範囲の一部でのみ遊技者183から視認できる位置に配置されても良い。この場合、例えば、表側LED179を点灯させる位置においては遊技者183から視認できるように、表側LED179を底部177の偏心した位置に配置しても良い。即ち、表側LED179の発光時のみ視認可能なように、表側LED179の位置や発光タイミングを調整しても良い。
【0090】
(3)また、可動役物133に複数の表側LED179を設けても良い。例えば、1つの凹部173の底部177に、位置の異なる複数の表側LED179を設けても良い。また、可動役物133に複数の凹部173を設け、各凹部173の底部177に表側LED179を設けても良い。この場合、各凹部173の表側LED179のうち、可動役物133の移動時に、遊技状態の遊技者183から視認できる位置の表側LED179のみを点灯させても良い。
(4)また、凹部173の底部177ではなく、内壁に表側LED179を設けても良い。
(5)また、凹部173や表側LED179を、可動役物133の中心位置153や中心位置153に近い位置に配置しても良い。即ち、可動役物133が回動しても、表側LED179が回動しない又はほぼ回動しない構成でも良い。
(6)また、凹部173の形状は、円筒形状に限らない。例えば、凹部173を、断面が四角形の筒形状に形成しても良い。この場合、四角形の底部177の中央位置177aを、重心の位置(対角線が交わる位置)に設定しても良い。そして、表側LED179を中央位置177a(重心位置)からずらした位置に配置しても良い。
(7)また、表側LED179は、凹部173の内壁に接触していなくとも良い。また、表側LED179を偏心した位置に配置せずに、中央位置177aに配置しても良い。
【0091】
(8)また、レール141は、円弧形状に限らず、直線形状やS字形状などの他の形状でも良い。
(9)また、遊技状態の遊技者183とは、ハンドル4を操作する状態の遊技者183の状態に限らない。例えば、演出レバー6の操作に合せて表側LED179を発光させる場合、演出レバー6を操作する遊技者183の状態を遊技状態として、表側LED179の取り付け位置を調整しても良い。即ち、発光させるタイミングの遊技者183の目線181の位置に合せて表側LED179の位置を調整しても良い。
(10)また、本願の発光手段は、LEDに限らず、ハロゲンランプ等の他の発光する手段でも良い。
【0092】
(11)本発明の遊技機は、所謂、V確機に限らない。例えば、本発明は、大当たり抽選のときに、大当たり遊技終了後の遊技状態が確変遊技状態に移行することが約束された大当たり(いわゆる確変大当たり)であるか、あるいは、確変遊技状態に移行しない大当たり(いわゆる通常大当たり)であるかを抽選するパチンコ遊技機にも適用することができる。また、本発明は、ST(スペシャルタイム)の期間、高確率状態に制御される所謂「ST機」でも良い。
(12)本発明は、スロットマシン(パチスロ遊技機)などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 パチンコ遊技機(遊技機)、3 遊技領域、18a 外周縁部、90 発射装置(発射手段)、131 レール部、133 可動役物、141 レール、153 中心位置、154 回動方向、173 凹部、175 開口、177 底部、177a 中央位置、179 表側LED(発光手段)、183 遊技者、L1 直径、L2 長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14