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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】マグネティックスクリューコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20220928BHJP
   B03C 1/02 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B23Q11/00 K
B03C1/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022068709
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2022-04-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年2月24日 ウェブサイトのアドレス 「https://www.bunri.com/product/sccscvs/」 「https://www.youtube.com/watch?v=atKYPtfSZ50」を通じて発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594204756
【氏名又は名称】株式会社ブンリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 誠
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-285238(JP,A)
【文献】特開平11-048081(JP,A)
【文献】特開2016-068057(JP,A)
【文献】特開平09-117611(JP,A)
【文献】特開平11-000848(JP,A)
【文献】特開2006-251362(JP,A)
【文献】特開昭59-139953(JP,A)
【文献】国際公開第2015/190179(WO,A1)
【文献】特開2019-069842(JP,A)
【文献】実開昭56-051724(JP,U)
【文献】実開平04-030049(JP,U)
【文献】特開平10-249234(JP,A)
【文献】特開平08-174373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B03C 1/00 - 1/32
B65G 11/00
B65G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に沿って延び、外周面を有する外筒と、前記外筒の内部において前記軸を中心としたらせん状に設けられたマグネットと、を備え、前記外筒と前記マグネットとの間における前記軸を中心とする相対的な回転運動によって、前記外周面に沿って磁性体で形成された異物を搬送するマグネティックスクリューコンベヤであって、
前記外周面に向けて延びるとともに、前記回転運動によって前記外周面から前記異物を掻き取る掻き板を備え、
前記掻き板は、前記外周面側に位置し、前記外周面と接する先端を有し、
前記掻き板は、前記軸から前記先端に向かう径方向に対して傾くとともに、前記マグネットの回転方向において、前記径方向から前記掻き板に向かう角度が鋭角をなしている、
マグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項2】
前記掻き板は、前記先端を含む第1掻き取り部と、前記第1掻き取り部と接続され、前記第1掻き取り部から前記異物が移動する第2掻き取り部と、を有し、
前記径方向に対する前記第1掻き取り部の傾きは、前記径方向に対する前記第2掻き取り部の傾きよりも小さい、
請求項1に記載のマグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項3】
前記掻き板は、前記第2掻き取り部の前記軸に沿う方向の一端と接続され、前記第2掻き取り部から前記異物が移動するシュート部をさらに有し、
前記シュート部は、前記第2掻き取り部から離れるに従い前記外周面から遠ざかるように前記第2掻き取り部に対して傾いている、
請求項に記載マグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項4】
前記シュート部は、前記第2掻き取り部と接続されたシュート部本体と、前記シュート部本体の前記外周面側の一端と接続された壁部と、を有している、
請求項3に記載のマグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項5】
前記掻き板は、前記外周面から遠ざかる方向に向けて突出する複数の凸部を有している、
請求項1に記載のマグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項6】
前記外筒から離間して設けられた掻き板座をさらに備え、
前記掻き板は、前記掻き板座に対して、着脱可能に設けられている、
請求項1に記載のマグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項7】
前記外筒は、金属材料で形成され、
前記外筒は、前記外筒を形成する前記金属材料よりも硬い第1被覆層をさらに有し、
前記外周面は、前記第1被覆層によって形成されている、
請求項1に記載のマグネティックスクリューコンベヤ。
【請求項8】
前記掻き板は、金属材料で形成され、
前記掻き板は、前記掻き板を形成する前記金属材料よりも硬い第2被覆層と、前記第2被覆層によって形成され、掻き取られた前記異物が接触する接触面と、をさらに有している、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマグネティックスクリューコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネティックスクリューコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械により金属材料などを機械加工する際、加工精度の向上、工具の寿命の延命、および切り屑や金属粉などの排出を促進することを目的として研削液、切削液、クーラントなどと呼ばれる各種の液体が使用される。
【0003】
これらの液体は、機械加工により生じた切り屑や金属粉などの異物が含まれた状態で工作機械から排出される。排出された液体は、異物を分離し取り除いた後、工作機械に戻して再利用される。異物が含まれる液体から異物を分離し取り除くために様々な提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭47-021750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された提案を踏まえても、異物を分離するための構造に関しては、未だに種々の改善の余地がある。そこで、本発明は、信頼性を向上させることができるマグネティックスクリューコンベヤを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るマグネティックスクリューコンベヤは、軸に沿って延び、外周面を有する外筒と、前記外筒の内部において前記軸を中心としたらせん状に設けられたマグネットと、を備え、前記外筒と前記マグネットとの間における前記軸を中心とする相対的な回転運動によって、前記外周面に沿って磁性体で形成された異物を搬送する。
【0007】
前記マグネティックスクリューコンベヤは、前記外周面に向けて延びるとともに、前記回転運動によって前記外周面から前記異物を掻き取る掻き板を備え、前記掻き板は、前記外周面側に位置する先端を有し、前記掻き板は、前記軸から前記先端に向かう径方向に対して傾いている。
【0008】
前記先端は、前記外周面と接してもよい。前記掻き板は、前記先端を含む第1掻き取り部と、前記第1掻き取り部と接続され、前記第1掻き取り部から前記異物が移動する第2掻き取り部と、を有し、前記径方向に対する前記第1掻き取り部の傾きは、前記径方向に対する前記第2掻き取り部の傾きよりも小さくてもよい。
【0009】
前記掻き板は、前記第2掻き取り部と接続され、前記第2掻き取り部から前記異物が移動するシュート部をさらに有し、前記シュート部は、前記第2掻き取り部から離れるに従い前記外周面から遠ざかるように前記第2掻き取り部に対して傾いてもよい。
【0010】
前記掻き板は、前記外周面から遠ざかる方向に向けて突出する複数の凸部を有してもよい。前記外筒から離間して設けられた掻き板座をさらに備え、前記掻き板は、前記掻き板座に対して、着脱可能に設けられてもよい。
【0011】
前記外筒は、金属材料で形成され、前記外筒は、前記外筒を形成する前記金属材料よりも硬い第1被覆層をさらに有し、前記外周面は、前記第1被覆層によって形成されてもよい。前記掻き板は、金属材料で形成され、前記掻き板は、前記掻き板を形成する前記金属材料よりも硬い第2被覆層と、前記第2被覆層によって形成され、掻き取られた前記異物が接触する接触面と、をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、信頼性を向上させることができるマグネティックスクリューコンベヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るマグネティックスクリューコンベヤの概略的な斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係るマグネティックスクリューコンベヤの概略的な斜視図である。
図3図3は、マグネティックスクリューコンベヤが備える異物排出部の概略的な拡大図である。
図4図4は、異物排出部が備える掻き板の概略的な斜視図である。
図5図5は、異物排出部が備える掻き板の概略的な側面図である。
図6図6は、外筒と掻き板との位置を説明するための図である。
図7図7は、マグネティックスクリューコンベヤにおける分離工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
マグネティックスクリューコンベヤの一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。
【0015】
説明をより明確にするため、図面において各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0016】
本実施形態においては、異物を液体から分離するマグネティックスクリューコンベヤについて開示する。マグネティックスクリューコンベヤは、主に工作機械とともに使用される。工作機械は、例えば、マシニングセンタ、ホブ盤などの歯切りを行う歯切り盤、およびブローチ盤などである。液体には、例えば研削液、および切削液などが含まれる。異物には、例えば、磁性体である鉄などの金属材料によって形成された切り屑、金属粉などが含まれる。
【0017】
図1および図2は、本実施形態に係るマグネティックスクリューコンベヤ100の概略的な斜視図である。図3は、マグネティックスクリューコンベヤ100が備える異物排出部60の概略的な拡大図である。
【0018】
図4は、異物排出部60が備える掻き板80の概略的な斜視図である。図5は、異物排出部60が備える掻き板80の概略的な側面図である。図1においては、説明の都合上、部品の一部を透過させて示している。図2は、図1とは反対側からマグネティックスクリューコンベヤ100を見ている。
【0019】
図1および図2に示すように、マグネティックスクリューコンベヤ100は、スクリューコンベヤ本体10と、フランジ部20と、モータ30と、ホッパ40と、排出路50と、異物排出部60と、脚部70と、を備えている。マグネティックスクリューコンベヤ100を構成する各部材は、主に金属材料で形成されているが、樹脂材料などの他の材料で形成された部材を含んでもよい。
【0020】
スクリューコンベヤ本体10は、軸CXに沿って延びている。ここで、軸CXに沿う方向を軸方向Dxと定義する。スクリューコンベヤ本体10は、脚部70によって、設置面Gに対して、傾いている。一例として、スクリューコンベヤ本体10は、設置面Gに対して、約60度傾いている。他の観点からは、軸方向Dxは、設置面Gに対して傾いている。
【0021】
スクリューコンベヤ本体10は、外筒11と、外筒11の内部に設けられたマグネットスクリュー12と、を備えている。外筒11は、軸CXに沿って延びる円筒状に形成されている。外筒11は、例えば、非磁性のステンレス鋼などの金属材料で形成されている。
【0022】
外筒11は、第1被覆層13と、第1被覆層13によって形成された外周面14と、を有している。外周面14は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。第1被覆層13は、外筒11を形成する金属材料(例えば、ステンレス鋼)よりも硬い。本実施形態において、第1被覆層13は、外筒11の外側全体を覆っている。
【0023】
第1被覆層13は、例えば、外筒11をめっきすることで形成される。めっきは、一例では、硬質クロムめっきである。めっきのタイプは、この例に限られない。第1被覆層13の厚さは、例えば、20~30μmである。
【0024】
マグネットスクリュー12は、内筒15と、マグネット16と、を備えている。内筒15は、軸CXに沿って延びる円筒状に形成され、外筒11と同軸上に位置している。内筒15は、例えば、磁性体である鉄などの金属材料で形成されている。
【0025】
内筒15は、外筒11と対向する外周面17を有している。外周面17は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。マグネット16は、外周面17において、軸CXを中心としたらせん状に設けられている。マグネット16は、永久磁石であって、例えば、希土類磁石である。
【0026】
マグネット16は、例えば、複数のN極と、複数のS極と、を有している。複数のN極と複数のS極とは、交互に配列されている。ただし、マグネット16の構成は、この例に限られない。スクリューコンベヤ本体10は、軸方向Dxにおいて、設置面G側の端部10aと、端部10aと反対側の端部10bと、をさらに有している。
【0027】
フランジ部20は、外筒11に対して、内筒15を回転可能に支持している。フランジ部20は、端部10aに設けられた第1フランジ部21と、端部10bに設けられた第2フランジ部22と、を備えている。スクリューコンベヤ本体10の端部10bには、第2フランジ部22を介して、モータ30が接続されている。
【0028】
第1フランジ部21は第1フランジ211を備え、第2フランジ部22は第2フランジ221を備えている。図示されていないが、第1フランジ部21および第2フランジ部22は内筒15と接続された軸部、軸受などをさらに備え、第2フランジ部22はモータ30と接続するためのカップリングをさらに備えている。
【0029】
モータ30は、軸CXを中心に内筒15を回転させる。モータ30は、例えば、減速機付きモータである。ここで、内筒15の回転方向を回転方向Dθと定義する。マグネット16は内筒15の外周面17に設けられているため、回転方向Dθに内筒15とともに外筒11に対して回転する。他の観点からは、スクリューコンベヤ本体10において、外筒11とマグネット16とは、軸CXを中心として相対的に回転運動をしている。
【0030】
ホッパ40は端部10a側に設けられ、異物排出部60は端部10b側に設けられている。排出路50は、外筒11を設置面Gから覆うように、軸方向Dxに沿って、ホッパ40から異物排出部60まで設けられている。ホッパ40には、工作機械から排出された異物を含む液体が流入する。
【0031】
図3に示すように、異物排出部60は、一対の取付板61A,61Bと、掻き板座62と、掻き板80と、カバー63と、を備えている。一対の取付板61A,61Bは、第2フランジ221の両端部にボルトなどによって固定されている。一対の取付板61A,61Bは、軸CXに沿って第2フランジ221から第1フランジ211に向けて延びている。
【0032】
図1に示すように、一対の取付板61A,61Bには、排出路50、および脚部70が接続されている。カバー63は、軸方向Dxにおいて、掻き板80と排出路50との間に設けられ、排出路50に異物が落下することを防止する。
【0033】
異物排出部60には、一対の取付板61A,61Bと、第2フランジ221と、カバー63とによって、開口60Aが形成されている。掻き板座62および掻き板80は、開口60Aに位置している。
【0034】
掻き板座62は、外筒11から離間して設けられている。より具体的には、掻き板座62は、取付板61Aに設けられている。掻き板座62は、ステンレス鋼などの金属材料によって形成されている。掻き板座62は、例えば、板材を折り曲げることによって形成される。
【0035】
図3に示すように、掻き板座62は、取付板61Aと接続された固定部64と、固定部64から取付板61Bに向けて延びる第1延出部65と、第1延出部65から外周面14に向けて延びる第2延出部66と、を有している。固定部64と第1延出部65とのなす角度は、90度である。第2延出部66は、第1延出部65に対して、所定の角度で傾いている。
【0036】
掻き板80は、外筒11の外周面14に付着した異物を掻き取る。スクリューコンベヤ本体10が設置面Gに対して傾いているため、掻き板80によって掻き取られた異物は、異物排出部60の直下に設けられた回収ボックス(図示しない)に向けて落下する。
【0037】
掻き板80は、ステンレス鋼などの金属材料によって形成されている。掻き板80の厚さは、例えば、1mmである。掻き板80は、掻き板座62の第2延出部66から外筒11の外周面14に向けて延びている。掻き板80は、例えば、掻き板座62の第2延出部66に対して、着脱可能に設けられている。
【0038】
ここで、図4に示すように、互いに直交する長さ方向D1、幅方向D2、および厚さ方向D3を定義する。掻き板80が掻き板座62に取り付けられた場合には、長さ方向D1はスクリューコンベヤ本体10の端部10aから端部10bへ向かう方向に相当し、幅方向D2は外筒11の外周面14に近づく方向に相当する。厚さ方向D3と平行に掻き板80を見ることを平面視と呼ぶ。
【0039】
図4に示すように、掻き板80は、掻き取り部81と、掻き取り部81から異物が移動するシュート部82と、有している。シュート部82は、掻き取り部81に対して所定の角度で傾いている。
【0040】
掻き取り部81とシュート部82とは、溶接などによって固定されている。他の例として、掻き取り部81とシュート部82とは、一体で形成されてもよい。図3に示すように、シュート部82は、軸方向Dxにおいて、掻き取り部81よりも端部10a側に位置している。図2に示すように、シュート部82の端部10a側の一部は、開口60Aよりも設置面Gに向けて突出している。
【0041】
掻き取り部81は、平面視において、長さ方向D1に沿う長辺と、幅方向D2に沿う短辺とを有する略長方形状である。掻き取り部81は、例えば、板材を折り曲げることで形成される。掻き取り部81は、第1掻き取り部811と、第1掻き取り部811と接続された第2掻き取り部812と、を有している。
【0042】
第1掻き取り部811は、第2掻き取り部812に対して、所定の角度で傾いている。第1掻き取り部811の幅方向D2の長さは、第2掻き取り部812の幅方向D2の長さよりも短い。図3に示すように、第1掻き取り部811は、第2掻き取り部812よりも外周面14側に位置している。第1掻き取り部811で掻き取られた異物の一部は、第1掻き取り部811から第2掻き取り部812へ移動する。
【0043】
第1掻き取り部811は、幅方向D2の一方側に位置する先端813を有している。先端813は、長さ方向D1に延びている。例えば、先端813は、第1掻き取り部811の第2掻き取り部812と反対側の一端を面取りすることで形成される。
【0044】
図3に示すように、先端813は、外周面14側に位置するとともに、軸方向Dxに沿って設けられている。本実施形態において、先端813は、外周面14と接している。他の観点からは、先端813と外周面14との間には、隙間が形成されていない。
【0045】
第2掻き取り部812は、長さ方向D1に並ぶ、複数(例えば、2つ)の取付孔814を有している。第2掻き取り部812は、取付孔814とねじS(図3に示す)とによって、掻き板座62の第2延出部66と固定されている。取付孔814は、例えば、幅方向D2に延びる長孔である。
【0046】
長孔によって取付孔814を形成することで、第2延出部66と固定する際において、外周面14に対する先端813の位置を容易に調整することができる。第2延出部66は、取付孔814に対応する位置において、ねじSを取り付けるためのナットを有してもよいし、めねじが形成されてもよい。
【0047】
シュート部82は、第2掻き取り部812と接続されている。図3に示すように、シュート部82は、第2掻き取り部812の端部10a側の一端と接続されている。第2掻き取り部812に移動した異物の一部は、シュート部82へ移動する。
【0048】
シュート部82は、第2掻き取り部812に対して、所定の角度で傾いている。図5に示すように、シュート部82は、第2掻き取り部812に対して、反時計周りに0~90度の範囲で傾いており、例えば、反時計周りに40度傾いている。
【0049】
図3に示すように、シュート部82は、第2掻き取り部812から離れるに従い外周面14から遠ざかるように、第2掻き取り部812に対して傾いている。これにより、第2掻き取り部812から移動した異物が外周面14に付着することを防止している。
【0050】
シュート部82は、例えば、板材を折り曲げることで形成される。シュート部82は、第2掻き取り部812と接続されたシュート部本体821と、シュート部本体821と接続された壁部822と、を有している。
【0051】
シュート部本体821は、幅方向D2に沿って長さ方向D1の長さが大きくなっている。図3に示すように、シュート部本体821は、外周面14側に近づくに従い、外周面14と重なる部分の長さが大きくなっている。
【0052】
シュート部本体821の長さ方向D1の長さは、例えば、一定の割合で変化しているが、この例に限られない。シュート部本体821の第2掻き取り部812と反対側の一端は直線状に形成されているが、曲線状に形成されてもよい。
【0053】
壁部822は、シュート部本体821の外周面14側の一端に設けられるとともに、外周面14から遠ざかる方向に延出している。壁部822は、シュート部本体821に対して、所定の角度で傾いている。
【0054】
壁部822は、シュート部本体821に対して鋭角をなしている。シュート部本体821と壁部822とがなす角度θ1(図4に示す)は、例えば、60度~70度の範囲で設定され、一例としては65度である。これにより、壁部822は、シュート部本体821に移動した異物が外周面14に付着することを防止している。
【0055】
掻き板80は、第2被覆層83と、第2被覆層83によって形成された接触面84と、を有している。第2被覆層83は、掻き板80を形成する金属材料(例えば、ステンレス鋼)よりも硬い。
【0056】
本実施形態において、第2被覆層83は、掻き板80の全体を覆っている。第2被覆層83は、例えば、掻き板80をめっきすることで形成される。めっきは、一例では、硬質クロムめっきである。めっきのタイプは、この例に限られない。第2被覆層83の厚さは、例えば、20~30μmである。
【0057】
接触面84は、掻き取られた異物が接触する面である。接触面84は、第1掻き取り部811、第2掻き取り部812、およびシュート部82にわたり形成されている。スクリューコンベヤ本体10との観点から、図3に示すように、接触面84は、外周面14と対向する面の反対側に位置している。
【0058】
掻き板80は、複数の凸部85をさらに有している。図5に示すように、複数の凸部85は、厚さ方向D3に突出している。図3に示すように、複数の凸部85は、外周面14から遠ざかる方向に向けて突出している。例えば、凸部85の厚さ方向D3の高さは、掻き板80の厚さよりも大きい。
【0059】
複数の凸部85は、例えば、第1掻き取り部811、第2掻き取り部812、およびシュート部82に形成されている。図示されていないが、壁部822にも複数の凸部85は形成されている。第2被覆層83は、複数の凸部85を覆っている。
【0060】
複数の凸部85は、例えば、長さ方向D1および幅方向D2において、複数の凸部85が等間隔に配置されている。図4に示す例においては、複数の凸部85は、長さ方向D1における凸部85と凸部85との間隔の中央の位置に凸部85が位置し、幅方向D2における凸部85と凸部85との間隔の中央の位置に凸部85が位置するように配置されている。複数の凸部85は、図4に示す例よりも密に配置されてもよい。
【0061】
凸部85は、例えば、平面視において、楕円状に形成されている。図5に示すように、凸部85は、例えば滑らかな曲面で形成されている。複数の凸部85は、例えば、長軸が長さ方向D1に沿うように、掻き板80に設けられている。このように複数の凸部85を掻き板80に配置することで、異物が長さ方向D1に移動しやすくなり、異物が接触面84に残りにくくなる。
【0062】
図6は、外筒11と掻き板80との位置を説明するための図である。図6では、スクリューコンベヤ本体10を端部10b側から軸方向Dxと平行に見ている。図6においては、掻き板80のシュート部82、複数の凸部85などを省略している。上述の通り、先端813は、外周面14と接している。
【0063】
図3を用いて説明したように、第2延出部66は、第1延出部65に対して、所定の角度で傾いている。第1延出部65と第2延出部66とのなす角度θ2は、一例として、155度である。
【0064】
図3などを用いて説明したように、第1掻き取り部811は、第2掻き取り部812に対して、所定の角度で傾いている。第1掻き取り部811と第2掻き取り部812とのなす角度θ3は、一例として、160度である。
【0065】
ここで、軸CXから第1掻き取り部811の先端813に向かう方向を径方向Drと定義し、径方向Drと直交する方向を接線方向Dtと定義する。軸CXと先端813とを含む面を仮想面SAとして定義する。
【0066】
掻き板80の第1掻き取り部811および第2掻き取り部812は、径方向Drに対して傾いている。より具体的には、第1掻き取り部811は、回転方向Dθにおいて、径方向Drに対して鋭角をなしている。
【0067】
接線方向Dtとの観点から、掻き板80の第1掻き取り部811は、回転方向Dθと反対側の方向において、接線方向Dtに対して傾いている。このように設けられた掻き板80であれば、スクリューコンベヤ本体10の回転運動によって、外周面14に付着した異物が第1掻き取り部811の先端813から接触面84に乗り上がりやすい。その結果、掻き板80は、外周面14から異物を掻き取ることができる。
【0068】
径方向Drに対する第1掻き取り部811の傾きは、径方向Drに対する第2掻き取り部812の傾きよりも小さい。より具体的には、仮想面SAと第1掻き取り部811の接触面84とがなす角度θ4は、仮想面SAと平行な面と第2掻き取り部812の接触面84とがなす角度θ5よりも小さい(θ4<θ5)。
【0069】
図7は、マグネティックスクリューコンベヤ100における分離工程を説明するための図である。図7においては、液体の流れを矢印にて示している。上述の通り、ホッパ40は、端部10a側に設けられている。
【0070】
端部10a側には、ホッパ40、第1フランジ211、および排出路50によって、端部10aを囲う貯留部Tが形成されている。スクリューコンベヤ本体10の端部10aを含む部分は、貯留部Tに貯留された液体に浸かっている。
【0071】
排出路50は、異物が分離された液体を排出するための排出口51を有している。排出路50は、例えば、スクリューコンベヤ本体10を挟むように、複数(例えば、2つ)形成されている。排出口51から排出された液体は、排出口51から液体回収タンク(図示しない)へ供給される。
【0072】
ホッパ40は、仕切り板41と、カバー42と、をさらに備えている。仕切り板41は、流入した液体がスクリューコンベヤ本体10に向かう流れを形成する。カバー42は、外筒11の端部10a側の一部を排出路50と反対側から覆い、液体の外筒11に沿う流れを形成する。
【0073】
次に、マグネティックスクリューコンベヤ100によって、液体から異物を分離する分離工程を説明する。まず、異物Mを含む液体がホッパ40に流入される。マグネティックスクリューコンベヤ100の液体の処理量は、例えば、毎分50L~150Lである。貯留部Tにおいて液体は、スクリューコンベヤ本体10に向けて流れる。磁性体で形成された異物Mがスクリューコンベヤ本体10に近づくと、外筒11の内部に設けられたマグネット16の磁力が異物Mに作用する。これにより、異物Mは、外筒11の外周面14に付着する。
【0074】
図7においては、外周面14に付着した異物Mにドットを付して示している。このように、外筒11の外周面14に異物Mが付着することで液体から異物Mが分離される。そして、異物Mが分離された液体は、排出口51から液体回収タンクへ供給される。
【0075】
スクリューコンベヤ本体10は、外筒11とマグネット16との間における軸CXを中心とする相対的な回転運動によって、外周面14に付着した異物Mを異物排出部60に向けて搬送する。本実施形態においては、マグネット16は、内筒15とともに外筒11の内部で回転している。
【0076】
スクリューコンベヤ本体10の回転運動に合わせて、外周面14をらせん状に旋回しながら、異物Mは軸方向Dxに搬送される。この際、異物Mに付着している液体は、異物排出部60まで異物Mが搬送される途中で排出路50に向けて落下する。
【0077】
貯留部Tから異物排出部60まで搬送された異物Mは、掻き板80によって外周面14から掻き取られる。上述のように設けられた掻き板80は、スクリューコンベヤ本体10の回転運動によって外周面14から異物Mを掻き取る。
【0078】
図3などを用いて説明したように、掻き板80において、第1掻き取り部811で掻き取られた異物Mの一部は、接触面84上を滑り、第1掻き取り部811、第2掻き取り部812、シュート部82の順に移動する。
【0079】
そして、シュート部82に移動した異物Mは、回収ボックスに向けて落下する。また、異物Mの一部は、シュート部82まで移動する途中に回収ボックスに向けて落下する。このように、マグネティックスクリューコンベヤ100は、液体から異物Mを分離するとともに、分離された異物Mを搬送し、異物排出部60から異物Mを排出する。
【0080】
以上のように構成されたマグネティックスクリューコンベヤ100であれば、スクリューコンベヤ本体10との観点において、掻き板80は、径方向Drに対して傾いている。より具体的には、掻き取り部81の外周面14側に位置する第1掻き取り部811は、径方向Drに対して傾いている。
【0081】
そのため、スクリューコンベヤ本体10の回転運動によって、外周面14に付着した異物は、先端813から接触面84に乗り上がることができる。これにより、掻き板80によって、外周面14から異物を掻き取ることができる。
【0082】
希土類磁石のように磁力が大きいマグネットや、液体が油性のクーラントなどの場合、異物は外周面14に残りやすい。スクリューコンベヤ本体10の回転運動によって、外周面14に残った異物が異物排出部60において外周面14と擦れることで、外周面14が摩耗する場合がある。そのため、外周面14に残った異物は、外筒11の寿命を低下させる原因となり得る。
【0083】
上述のように設けられた掻き板80であれば、異物が第1掻き取り部811の先端813から接触面84に乗り上がりやすい。これにより、外周面14から掻き板80の掻き取り部81に異物が移動する。
【0084】
掻き板80によって外周面14から確実に異物を掻き取ることができるため、異物による外周面14の摩耗が発生しにくく、マグネティックスクリューコンベヤ100の耐久性を向上させることができる。その結果、本実施形態であれば、信頼性を向上させることができるマグネティックスクリューコンベヤ100を提供することができる。
【0085】
さらに、本実施形態における第1掻き取り部811の先端813は、外周面14と接している。先端813と外周面14との間には隙間が形成されていないため、異物が掻き板80の先端813から接触面84に乗り上がりやすく、外周面14から異物をより確実に掻き取ることができる。その結果、マグネティックスクリューコンベヤ100によって、異物をより効率的に回収することができる。
【0086】
本実施形態における掻き取り部81は、径方向Drに対する第1掻き取り部811の傾きが径方向Drに対する第2掻き取り部812の傾きよりも小さくなるように折り曲げられている。掻き取り部81を折り曲げて形成することで、掻き取り部81がたわみにくくなり、先端813が外周面14と接触した状態を維持しやすくなる。その結果、掻き板80によって、外周面14から異物を安定して掻き取ることができる。
【0087】
本実施形態における掻き板80は、シュート部82を有している。本実施形態のように、スクリューコンベヤ本体10が設置面Gに対して傾いている場合、掻き取り部81から移動した異物が外周面14に再び付着しにくく、シュート部82に沿って異物を落下させることができる。さらに、シュート部82は壁部822を有しているため、シュート部82から異物が落下する際に、異物が外周面14により付着しにくい。
【0088】
本実施形態における掻き板80は、外周面14から遠ざかる方向に向けて突出する複数の凸部85を有している。複数の凸部85によって、異物は接触面84の上を滑りやすくなり、掻き取られた異物は接触面84に残りにくい。さらに、掻き板80に複数の凸部85を形成することによって、掻き板80はたわみにくくなる。
【0089】
本実施形態における外周面14および接触面84は、外筒11および掻き板80を形成する金属材料よりも硬い、第1被覆層13および第2被覆層83によって形成されている。第1被覆層13および第2被覆層83は、例えば、硬質クロムめっきによって形成されている。
【0090】
この場合、第1被覆層13および第2被覆層83の硬さは、ロックウェル硬さ(Cスケール)HRCにおいて、例えば62~70である。ステンレス鋼(例えば、SUS304)の硬さ(HRCが10程度)と比較すると、硬質クロムめっきによって第1被覆層13および第2被覆層83を形成することで、外周面14および接触面84の硬さを大幅に向上させることができる。
【0091】
第1被覆層13および第2被覆層83によって外周面14および接触面84を形成することで、外筒11および掻き板80の耐摩耗性は向上し、外筒11および掻き板80の耐久性をより向上させることができる。
【0092】
本実施形態における掻き板80は、掻き板座62に対して、着脱可能に設けられている。そのため、掻き板80が摩耗した場合には掻き板80のみを交換し、外筒11が摩耗した場合には外筒11のみを交換することができる。これにより、掻き板80および外筒11の交換に伴うメンテナンス費用を抑制することができる。
【0093】
このように、本実施形態によれば、信頼性を向上させることができるマグネティックスクリューコンベヤ100を提供することができる。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0094】
なお、マグネティックスクリューコンベヤ100は、スクリューコンベヤ本体10を覆うカバーをさらに備えてもよい。カバーを備えることで、スクリューコンベヤ本体10からの液体などの飛散を防止することができる。
【0095】
本実施形態における外筒11および掻き板80は第1被覆層13および第2被覆層83をそれぞれ有しているが、外筒11は第1被覆層13を有さなくてもよいし、掻き板80は第2被覆層83を有さなくてもよい。
【0096】
本実施形態における第1被覆層13および第2被覆層83はめっきによって形成されているが、第1被覆層13および第2被覆層83はめっき以外の他の表面処理によって形成されてもよい。
【0097】
第1被覆層13および第2被覆層83は、焼入れなどの熱処理によって形成されてもよい。例えば、焼入れによって第1被覆層13および第2被覆層83を形成すると、第1被覆層13および第2被覆層83は、焼入れ前と比較して、外筒11を形成する金属材料や掻き板80を形成する金属材料よりも硬くなる。
【0098】
本実施形態におけるマグネット16は希土類磁石であるが、フェライト磁石などの他の種類の磁石でもよい。本実施形態における凸部85は、平面視において楕円状に形成されているが、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
100…マグネティックスクリューコンベヤ、10…スクリューコンベヤ本体、11…外筒、12…マグネットスクリュー、13…第1被覆層、14…外周面、15…内筒、16…マグネット、17…外周面、60…異物排出部、80…掻き板、81…掻き取り部、811…第1掻き取り部、812…第2掻き取り部、813…先端、82…シュート部、83…第2被覆層、84…接触面、85…凸部。
【要約】
【課題】 信頼性を向上させることができるマグネティックスクリューコンベヤを提供する。
【解決手段】 本発明の一態様に係るマグネティックスクリューコンベヤは、軸に沿って延び、外周面を有する外筒と、前記外筒の内部において前記軸を中心としたらせん状に設けられたマグネットと、を備え、前記外筒と前記マグネットとの間における前記軸を中心とする相対的な回転運動によって、前記外周面に沿って磁性体で形成された異物を搬送する。前記マグネティックスクリューコンベヤは、前記外周面に向けて延びるとともに、前記回転運動によって前記外周面から前記異物を掻き取る掻き板を備え、前記掻き板は、前記外周面側に位置する先端を有し、前記掻き板は、前記軸から前記先端に向かう径方向に対して傾いている。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7