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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】浴室の洗い場床パネル
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20220928BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20220928BHJP
   A47K 3/02 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
E03C1/20 A
E04H1/12 301
E03C1/20 Z
A47K3/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018172589
(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公開番号】P2019094753
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2017223016
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】宮下 卓也
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-183414(JP,A)
【文献】実公昭50-031656(JP,Y1)
【文献】特開2002-364044(JP,A)
【文献】特開2001-248198(JP,A)
【文献】特開2014-129649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/20
E04H 1/12
A47K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂にて構成され、浴槽側の端部には立ち上り部が上へ突出するように形成されたパネル本体と、
前記パネル本体の底部に設けられた下側補強パネル部材と、
前記立ち上り部に被さるとともに前記下側補強パネル部材に連なる立ち上り補強部材と、
を備え、前記立ち上り補強部材が、前記下側補強パネル部材とは別体であることを特徴とする洗い場床パネル。
【請求項2】
前記立ち上り補強部材の底部が、前記下側補強パネル部材と接合手段を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の洗い場床パネル。
【請求項3】
浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂にて構成され、浴槽側の端部には立ち上り部が上へ突出するように形成されたパネル本体と、
前記パネル本体の底部に設けられた下側補強パネル部材と、
前記立ち上り部に被さるとともに前記下側補強パネル部材に連なる立ち上り補強部材と、
を備え、前記下側補強パネル部材が、四角形の底板部と、前記底板部の4つの縁から立ち上がる側板部とを含み、浴槽側の側板部に前記立ち上り補強部材が接続されていることを特徴とする洗い場床パネル。
【請求項4】
浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂にて構成され、浴槽側の端部には立ち上り部が上へ突出するように形成されたパネル本体と、
前記パネル本体の底部に設けられた下側補強パネル部材と、
前記立ち上り部に被さるとともに前記下側補強パネル部材に連なる立ち上り補強部材と、
を備え、前記立ち上り補強部材が、前記立ち上り部における浴槽を向く側面及び上端面に被さり、
前記パネル本体における前記立ち上り部を除く部分の上面には上側補強パネル部材が被さり、かつ前記上側補強パネル部材には表層シートが被さり、
前記表層シートにおける浴槽側の端部が、前記立ち上り部における洗い場を向く側面に被さっていることを特徴とする洗い場床パネル。
【請求項5】
前記立ち上り補強部材の前記上端面に被さる上端被さり部における洗い場側の部分には垂下部が下方へ突出するように形成されており、前記垂下部と前記表層シートの前記浴槽側の端部とが防水性粘着テープを介して接合されていることを特徴とする請求項に記載の洗い場床パネル。
【請求項6】
前記立ち上り補強部材の前記上端面に被さる上端被さり部が、前記立ち上り部より洗い場側へ突出された突出片を有し、前記表層シートの前記浴槽側の端部が、前記突出片の下面に弾性的に押し当てられていることを特徴とする請求項又はに記載の洗い場床パネル。
【請求項7】
前記立ち上り補強部材が、前記立ち上り部における洗い場を向く側面に被さる洗い場側被さり部を更に含み、
前記表層シートにおける浴槽側の端部が、前記洗い場側被さり部に洗い場側から被さっていることを特徴とする請求項に記載の洗い場床パネル。
【請求項8】
前記パネル本体の前記上面と前記立ち上り部との間のコーナー部には、前記立ち上り部の長手方向へ沿って延びるコーナー溝が形成され、
前記洗い場側被さり部の下端部が、前記コーナー溝に嵌め入れられていることを特徴とする請求項に記載の洗い場床パネル。
【請求項9】
前記コーナー部には粘着性充填剤が設けられており、
前記表層シートの前記コーナー部に被さる部分が、前記コーナー部に沿って折り曲げられるとともに前記粘着性充填剤と密着していることを特徴とする請求項に記載の洗い場床パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場床パネルに関し、特に発泡樹脂製のパネル本体の浴槽側の端部に立ち上り部(土手部)が一体形成された洗い場床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1、2における浴室の洗い場床パネルは、発泡ポリプロピレンなどの発泡樹脂からなるパネル本体を備えている。パネル本体の底部には鋼板が設けられ、パネル本体の上面にはクッション材を介して軟質シートが設けられている。パネル本体における浴槽側の端部には、立ち上り部(土手部)が上方へ突出するように一体形成されている。立ち上り部によって、洗い場からの水が浴槽と浴槽受けパンとの間へ流れ込むのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-183414号公報
【文献】特開2013-209853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗い場床パネルの製造、運搬、現場設置施工などの際、立ち上り部を握って持ち上げたり何かにぶつけたりすることがあり得る。また、ユーザーの浴室使用時に立ち上り部に荷重がかかることも考えられる。発泡樹脂製のパネル本体と一体の立ち上り部においては、このような負荷に対する強度の確保が課題となる。
パネル本体の発泡倍率を低くすれば、パネル本体と一体の立ち上り部の強度をも高くできるが、そうすると材料の所要量が増え、成形時間が長くなり、材料コスト及び製造コストが上昇する。
本発明は、かかる事情に鑑み、立ち上り部を含む発泡樹脂製のパネル本体を備えた洗い場床パネルにおいて、コストの上昇を招くことなく立ち上り部を補強することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂にて構成され、浴槽側の端部には立ち上り部が形成されたパネル本体と、
前記パネル本体の底部に設けられた下側補強パネル部材と、
前記立ち上り部に被さるとともに前記下側補強パネル部材に連なる立ち上り補強部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
当該洗い場床パネルによれば、立ち上り部への負荷を立ち上り補強部材によって受けることで、立ち上り部の損傷、破損を防止できる。したがって、立ち上り部自体の強度を高くする必要がない。このため、パネル本体の発泡倍率を比較的高くでき、発泡樹脂材料の所要量を抑え、かつ短時間で成形できる。よって、材料コスト及び製造コストが上昇するのを防止できる。
また、立ち上り補強部材が発泡樹脂製の立ち上り部に被さることで、洗剤等の界面活性剤が立ち上り部の発泡ビーズどうしの間に浸透するのを抑制又は防止でき、ひいては漏水を抑制又は防止できる。
パネル本体は、発泡ポリスチレン(EPS)によって構成されていることが好ましい。
パネル本体の発泡倍率は、15倍~30倍程度が好ましい。
【0007】
前記立ち上り補強部材が、前記下側補強パネル部材とは別体であり、
前記立ち上り補強部材の底部が、前記下側補強パネル部材と接合手段を介して接合されていることが好ましい。
立ち上り補強部材を下側補強パネル部材とは別体とすることで、下側補強パネル部材の形状を簡素化して製造を容易化できる。
前記別体の立ち上り補強部材の材質は、アルミなどの金属でもよく、樹脂でもよい。
立ち上り補強部材はアルミや樹脂の押出成形材などによって安価に作製できる。
立ち上り補強部材をアルミニウム製とすれば、浴室の水による腐食を抑制できる。
接合手段としては、ビス(螺子)止め、溶接、嵌合等が挙げられる。
【0008】
前記立ち上り補強部材が、前記下側補強パネル部材と同体の金属材によって構成されていてもよい。
前記下側補強パネル部材及び立ち上り補強部材を構成する金属材は、ステンレスなどの錆びにくい金属であることが好ましい。これによって、立ち上り補強部材が浴室の水に晒されても、腐食を防止できる。
【0009】
前記下側補強パネル部材が、四角形の底板部と、前記底板部の4つの縁から立ち上がる側板部とを含み、浴槽側の側板部に前記立ち上り補強部材が接続されていることが好ましい。
前記側板部がパネル本体の側面に宛がわれることによって、パネル本体を確実に拘束でき、かつパネル本体の側部を保護できる。
前記立ち上り補強部材は、前記浴槽側の側板部と接合手段を介して接続(接合)されていてもよい。前記立ち上り補強部材が、前記浴槽側の側板部と一体に接続(連続)していてもよい。
【0010】
前記立ち上り補強部材が、前記立ち上り部における浴槽を向く側面及び上端面に被さり、
前記パネル本体における前記立ち上り部を除く部分には上側補強パネル部材が被さり、かつ前記上側補強パネル部材には表層シートが被さり、
前記表層シートにおける浴槽側の端部が、前記立ち上り部における洗い場を向く側面に被さっていることが好ましい。
立ち上り補強部材が立ち上り部における浴槽を向く側面及び上端面に被さることで、立ち上り部を補強できる。立ち上り部における洗い場を向く側面には表層シートが被さることで、立ち上り部を保護できる。また、立ち上り補強部材の断面形状を簡素化でき、立ち上り補強部材の製造及び組み付けを容易化できる。更に、上側補強パネル部材についても形状を簡素化して製造を容易化できる。
上下の補強パネル部材でパネル本体を挟むことによって、パネル本体を確実に補強できる。
【0011】
前記立ち上り補強部材の上端被さり部における洗い場側の部分には垂下部が下方へ突出するように形成されており、前記垂下部と前記表層シートの前記浴槽側の端部とが防水性粘着テープを介して接合されていることが好ましい。
これによって、表層シートの前記浴槽側の端部と立ち上り補強部材との間を確実に防水できる。発泡樹脂製の立ち上り部よりも高強度ないしは変形しにくい立ち上り補強部材に防水性粘着テープを密着させることによって、防水性を安定的に確保できる。
【0012】
前記立ち上り補強部材における前記立ち上り部の上端面に被さる上端被さり部が、前記立ち上り部より洗い場側へ突出された突出片を有し、前記表層シートの前記浴槽側の端部が、前記突出片の下面に弾性的に押し当てられていることが好ましい。
表層シートの前記浴槽側の端部を押し下げることによって、パネル本体における立ち上り部を除く部分の上面と立ち上り部との間のコーナー部に表層シートを密着させることができる。
【0013】
前記立ち上り補強部材が、前記立ち上り部における洗い場を向く側面に被さる洗い場側被さり部を更に含み、
前記表層シートにおける浴槽側の端部が、前記洗い場側被さり部に洗い場側から被さっていることが好ましい。
前記立ち上り補強部材によって、立ち上り部を浴槽側、上側、洗い場側の三方から囲んで補強できる。表層シートの浴槽側端部は、立ち上り補強部材を介して立ち上り部に被さる。表層シートの貼り付けの際は、該表層シートの浴槽側端部を、発泡樹脂製の立ち上り部よりも硬い立ち上り補強部材に押し当てることで、しっかりと貼り付けることができる。これによって、立ち上り部における表層シートの貼り付け作業を容易化できる。
【0014】
前記パネル本体の前記上面と前記立ち上り部との間のコーナー部には、前記立ち上り部の長手方向へ沿って延びるコーナー溝が形成され、
前記洗い場側被さり部の下端部が、前記コーナー溝に嵌め入れられていることが好ましい。
これによって、洗い場側被さり部の下端部を安定的に保持できる。ひいては、立ち上り補強部材をパネル本体に安定的に設置できる。
前記コーナー溝の底面は、パネル本体の上面の水流れ勾配に拘わらず、前記立ち上り部の長手方向に沿って水平に延びていることが好ましい。そうすることによって、洗い場側被さり部の下端部についても真っ直ぐ水平にでき、立ち上り補強部材を押し出し成形によって作製できる。
パネル本体の上面におけるコーナー部側の縁が前記水流れ勾配によって最も低くなった箇所よりも前記コーナー溝の底面が低所に位置していることが好ましい。そうすることによって、前記最も低い箇所においても、コーナー溝が途切れることなく、洗い場側被さり部の下端部をコーナー溝に嵌め入れることができる。
【0015】
前記コーナー部には粘着性充填剤が設けられており、
前記表層シートの前記コーナー部に被さる部分が、前記コーナー部に沿って折り曲げられるとともに前記粘着性充填剤と密着していることが好ましい。
これによって、コーナー部における表層シートの設置作業を容易化できる。供用後は、コーナー部における表層シートが浮き上がるのを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、立ち上り補強部材によってパネル本体の立ち上り部を補強できるとともに、パネル本体を比較的高発泡倍率にでき、材料コスト及び製造コストの上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る浴室を示し、図2のI-I線に沿う側面断面図である。
図2図2は、前記浴室の床パン構造を示す平面図である。
図3図3は、前記床パン構造における洗い場床パネルの分解斜視図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿う、前記洗い場床パネルの側面断面図である。
図5図5は、図4の円部Vの拡大断面図である。
図6図6は、図4の円部VIにおける要部を拡大して示す、洗い場床パネルの立ち上り部構造(洗い場土手)の断面図である。
図7図7(a)は、前記洗い場床パンの立ち上り補強部材を洗い場側から見た斜視図である。図7(b)は、前記洗い場床パンの立ち上り補強部材を浴槽側から見た斜視図である。
図8図8(a)は、前記洗い場床パンの表層シートの立ち上り部側の端部の断面図である。図8(b)は、前記表層シートの立ち上り部側の端部の変形態様を示す断面図である。
図9図9は、立ち上り補強部材を立ち上り部に嵌める工程を示す断面図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態を示し、洗い場土手における表層シートの被さり状態を示す断面図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態に係る洗い場土手の断面図である。
図12図12は、本発明の第4実施形態に係る洗い場土手の断面図である。
図13図13は、前記第4実施形態の洗い場床パネルの分解斜視図である。
図14図14は、図13の円部XIVにおける洗い場床パネル本体を、立ち上り補強部材を被せた状態で示す拡大斜視図である。
図15図15は、本発明の第5実施形態に係る洗い場土手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、浴室1は、浴槽1aと、洗い場1bを備えている。浴槽1aの底部に浴槽受パン2が設けられている。洗い場1bの底部に、洗い場床パネル3が設けられている。図2図4に示すように、洗い場床パネル3は、パネル本体10と、殻体11と、表層シート14を備え、平面視で長方形状(四角形状)になっている。
【0019】
パネル本体10は、EPS(発泡ポリスチレン)等の発泡樹脂によって長方形(四角形)の板状に成形されている。前記EPSの発泡倍率は、好ましくは15倍~30倍程度であり、より好ましくは20倍程度である。なお、パネル本体10の材質は、EPSに限られず、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等であってもよい。
【0020】
図4に示すように、パネル本体10における浴槽1a側(図4において左側)の端部には、立ち上り部20(土手部)が一体形成されている。言い換えると、立ち上り部20は、パネル本体10と同体の発泡樹脂によって構成されている。立ち上り部20は、パネル本体10の当該立ち上り部20を除く上面10aより上方へ突出されるとともにパネル本体10の浴槽1a側の端部に沿って延びている。
図1に示すように、更に立ち上り部20は、浴槽受けパン2よりも高く突出されている。
【0021】
図6に示すように、立ち上り部20の上端面21は、浴槽1a側の部分21aが洗い場側の部分21bよりも隆起している。両部分21a,21bどうし間に凹溝21cが形成されている。
【0022】
図2に示すように、パネル本体10の浴槽1a側を除く3つの端部には樹脂製の枠部材17が設けられている。図1に示すように、枠部材17は、浴室壁1w又は浴室扉枠の底部を受けている。
【0023】
図3に示すように、パネル本体10の上面10aには排水口3cへ向かって下がり勾配が付けられている。なお、排水口3cの排水口部材16は、排水ベース部材16aと、その上側の排水縁部材16bとを含む。
【0024】
殻体11は、上下の補強パネル部材12,13を含む。
パネル本体10の底部に下側補強パネル部材13が設けられている。下側補強パネル部材13は、四角形の底板部13aと、側板部13bを有している。底板部13aが、パネル本体10の底面に被さっている。底板部13aの4つの端部には、それぞれ側板部13bが一体に設けられている。これら側板部13bが、底板部13aからほぼ直角に立ち上がり、パネル本体10の4つの端面にそれぞれ被さっている。互いに隣接する側板部13bどうし間のコーナー部には縁切りスリット13cが形成されており、これら隣接する側板部13bどうしは直接には連結されていない。
【0025】
下側補強パネル部材13は、鋼板などの金属板を成形(シャーリング、穴開け、折り曲げなど)することによって構成されている。下側補強パネル部材13の厚みは、好ましくは0.5mm~1.2mm程度であり、より好ましくは0.6mm程度であるが、必ずしも前記数値に限定されるものではない。
【0026】
図5に示すように、パネル本体10と下側補強パネル部材13とは、接着剤51によって接着されている。接着剤51としては、例えば熱硬化性の2液混合ウレタン系接着剤が用いられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤その他の接着剤を用いてもよい。接着剤51は、パネル本体10と下側補強パネル部材13との間の全面に塗布することが好ましいが、所要の接合性を得られるのであれば部分的に塗布してもよい。
なお、図5において、下側補強パネル部材13及び接着剤51の厚みは、パネル本体10の厚みに対して誇張されている。
【0027】
図3に示すように、パネル本体10における立ち上り部20を除く部分の上面10aには上側補強パネル部材12が被さっている。上側補強パネル部材12は、鋼板などの金属板を成形(シャーリング、穴開けなど)することによって構成されている。上側補強パネル部材12の厚みは、好ましくは0.5mm~1.2mm程度であり、より好ましくは0.8mm程度であるが、必ずしも前記数値に限定されるものではない。
上側補強パネル部材12における排水口3cに対応する箇所には、排水開口12cが形成されている。排水開口12cは、上側補強パネル部材12の立ち上り部20側(図3において左側)の縁に達している。
【0028】
図5に示すように、パネル本体10と上側補強パネル部材12とは、接着剤52によって接着されている。接着剤52の材質及び塗布範囲は前記接着剤51と同様である。
なお、図5において、上側補強パネル部材12及び接着剤52の厚みは、パネル本体10の厚みに対して誇張されている。
【0029】
図3に示すように、上側補強パネル部材12の上に表層シート14が被さっている。表層シート14は、軟質塩化ビニル樹脂(PVC)によって構成されているが、これに限られずシリコンラバー等によって構成されていてもよい。表層シート14の厚みは、好ましくは2mm~4mm程度であるが、必ずしも前記数値に限定されるものではない。表層シート14は、防水性を有している。更に、表層シート14によって、洗い場床パネル3の温熱感性及びクッション性が確保されている。
なお、図5において、表層シート14の厚みは、パネル本体10の厚みに対して誇張されている。
【0030】
図5に示すように、表層シート14の裏面(下面)の好ましくは全域には両面粘着テープ15が積層されている。両面粘着テープ15を介して表層シート14と上側補強パネル部材12とが接合されている。両面粘着テープ15は、基材層15bと、その両面の粘着層15a,15cを含む。
図5において、両面粘着テープ15の各層15a,15b,15cの厚みは、パネル本体10の厚みに対して誇張されている。
【0031】
基材層15bは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂シートによって構成されている。PET製の基材層15bを含む粘着テープ15はコシを有している。
なお、粘着テープ15の構造及び材質は前記に限られない。表層シート14と上側補強パネル部材12とが、粘着テープ15に代えてウレタン系、シリコン系、エポキシ系等の接着剤によって接着されていてもよい。
【0032】
図6に示すように、表層シート14における浴槽側の端部14eは、立ち上り部20に沿うように上方へ曲げられている。該浴槽側端部14eが、立ち上り部20における洗い場1bを向く側面23に被さっている。
以下、表層シート14の浴槽側端部14eを「立ち上り被覆シート部14e」と称す。
【0033】
図8(a)に示すように、立ち上り被覆シート部14eの裏面(立ち上り部20を向く面)には、アクリルフォームなどの防水性粘着テープ60が設けられている。防水性粘着テープ60は、粘着テープ15上に重ねられている。これによって、粘着テープ15の端部を切除する手間を省くことができ、施工性を向上できる。
なお、図8(b)に示すように、粘着テープ15の端部を切除し、防水性粘着テープ60を表層シート14に直接貼り付けてもよい。
【0034】
図6に示すように、さらに殻体11は、立ち上り補強部材30(カバー部材)を有している。図7(a)及び同図(b)に示すように、立ち上り補強部材30は、3つの被さり部31,32,33を有して断面コ字状に形成され、パネル本体10の立ち上り部20の長手方向に沿って延びている。立ち上り補強部材30は、下側補強パネル部材13とは別体のアルミ押出成形材(金属材)によって構成されている。立ち上り補強部材30は、パネル本体10ひいては立ち上り部20より硬質である。
【0035】
図6に示すように、立ち上り補強部材30は、パネル本体10の浴槽1a側の端部に配置されている。立ち上り補強部材30の底部(浴槽側被さり部32の中間高さから下側部分)が下側補強パネル部材13と接続され、かつ立ち上り補強部材30の前記中間高さから上側部分が立ち上り部20に被せられている。これによって、立ち上り部20が補強されている。
【0036】
詳しくは、底側被さり部31が、底板部13aに被さるとともにビス41(接合手段)によって底板部13aと接合されている。
浴槽側被さり部32は、底側被さり部31の浴槽1a側(図6において左側)の端部から直角に立ち上がっている。該浴槽側被さり部32の下側部分が、浴槽1a側の側板部13bに被さるとともにビス42(接合手段)によって該側板部13bと接合されている。
なお、立ち上り補強部材30と下側補強パネル部材13との接合手段は、ビス止めに限られず、溶接やリベット止めなどであってもよい。
【0037】
浴槽側被さり部32の上側部分は、立ち上り部20の浴槽1aを向く側面22に被さっている。浴槽側被さり部32の上端部に上端被さり部33が直交するように連なっている。
【0038】
上端被さり部33は、立ち上り部20の上端面21に被さり、該上端面21の隆起部分21aに当接されている。
上端被さり部33における洗い場1b側(図6において右側)の部分には、垂下部34が一体に設けられている。垂下部34は、断面L字状に形成されるとともに上端被さり部33から下方へ突出されている。該垂下部34が、立ち上り部20の上端面21の洗い場側部分21bに当接されている。
更に、上端被さり部33の洗い場側の端部は、垂下部34ひいては立ち上り部20よりも洗い場1b側へ水平に突出され、突出片33eを構成している。
【0039】
図8(a)に示すように、表層シート14の立ち上り被覆シート部14eが、立ち上り部20から垂下部34に跨っている。立ち上り被覆シート部14eの裏面の防水性粘着テープ60が、立ち上り部20の洗い場側面23の上端の凹んだ部分23aから垂下部34へ跨って貼り付けられている。これによって、立ち上り被覆シート部14eと垂下部34とが、防水性粘着テープ60を介して接合されている。
【0040】
立ち上り被覆シート部14eの端面が、突出片33eの下面に近接又はほぼ当接されている。該立ち上り被覆シート部14eと突出片33eとの間には、シーリング材63が塗布されている。
【0041】
図7に示すように、立ち上り補強部材30の浴槽側被さり部32には、浴槽受けパン2との係止部35が設けられている。係止部35は、断面L字状をなして浴槽側被さり部32から浴槽1a側(図6において左側)へ突出されるとともに、立ち上り補強部材30の長手方向に延びている。係止部35によって、上方へ突出する凸状又は下方へ凹む凹状の第1嵌合部が構成されている。図6に示すように、係止部35の上を向く先端部は、斜め下へ突出する係止突起35fを有して、クサビ形ないしはヤジリ形になっている。係止部35が、浴槽受けパン2の係止溝2aに嵌め込まれて係止されている。係止溝2aによって、上方へ凹む凹状又は下方へ突出する凸状の第2嵌合部が構成されている。係止突起35fが浴槽受けパン2の発泡樹脂からなる受けパン本体2bに喰い込むことで、浴槽受けパン2の浮きが阻止されている。
【0042】
図6に示すように、立ち上り補強部材30は、浴槽受けパン2よりも上へ突出されている。
浴槽側被さり部32の外側面(図6において左側面)には凸状の標線36が形成されている。標線36の高さは、浴槽受けパン2の上面の正規の高さとちょうど一致しており、浴槽受けパン2の係止部35への嵌込み深さを確認する目安となる。
更に、図7に示すように、立ち上り補強部材30の上面における長手方向のちょうど中央部には、浴槽受けパン2とセンター位置を合わせるためのセンター表示部37が形成されている。浴槽受けパン2にも同様のセンター表示部2c(図2図6)が形成されている。
図6に示すように、立ち上り補強部材30と浴槽受けパン2との間は、発泡EPDM(エチレンプロピレンゴム)、発泡PE(ポリエチレン)などの水密材61及びシーリング材62によって防水されている。
【0043】
洗い場床パネル3は、例えば次のようにして作製される。
洗い場床パネル3の構成部材をそれぞれ作製する。
下側補強パネル部材13又はパネル本体10に熱硬化性接着剤51を塗布し、下側補強パネル部材13上にパネル本体10を載せる。
次いで、パネル本体10又は上側補強パネル部材12に熱硬化性接着剤52を塗布し、パネル本体10上に上側補強パネル部材12を被せる。
これらパネル積層体10,12,13を真空圧空熱プレス機で圧力を加えながら加熱することによって、接着剤51,52を硬化させる。
【0044】
パネル本体10の浴槽側の部分には、立ち上り補強部材30を設ける。好ましくは、立ち上り補強部材30の内面(例えば被さり部32,33どうしの隅角部など)には、接着剤(図示省略)を塗布しておく。該接着剤は、経済性や施工の簡易化の観点から、立ち上り補強部材30の長手方向に離れた複数箇所にスポット状に配置しておけばよい。
図9に示すように、該立ち上り補強部材30を斜めにして、垂下部34を隆起部分21a越しに凹溝21cへ挿し入れる。続いて、浴槽側被さり部32が鉛直になるよう、立ち上り補強部材30を回転させ、立ち上り部20に立ち上り補強部材30を被せる。
次に、図6に示すように、ビス41,42によって立ち上り補強部材30と下側補強パネル部材13とを連結する。
【0045】
排水口3cには排水口部材16を設ける。
パネル本体10の浴槽側を除く3つの縁部には、枠部材17を設ける。
次に、表層シート14を粘着テープ15で上側補強パネル部材12に貼り付ける。
表層シート14の立ち上り被覆シート部14eは、立ち上り部20の洗い場側面23に貼り付ける。
更に、防水性粘着テープ60を前記洗い場側面23の上端凹部23aから垂下部34に跨るように密着させる。防水性粘着テープ60の端部を発泡樹脂製の立ち上り部20よりも高強度で変形しにくい立ち上り補強部材30に貼り付けることによって、立ち上り補強部材30と表層シート14との間を安定的に防水できる。
【0046】
洗い場床パネル3によれば、上下の補強パネル部材12,13でパネル本体10を挟むことによって、パネル本体10を確実に補強できる。
更に、洗い場床パネル3の製造、運搬、現場設置施工などの際、立ち上り部20を握って持ち上げたり何かにぶつけたりすることがあり得る。また、ユーザーの浴室使用時に立ち上り部20に荷重がかかることも考えられる。洗い場床パネル3によれば、このような立ち上り部20への負荷を立ち上り補強部材30によって受けることができる。これによって、立ち上り部20の損傷、破損を防止できる。
したがって、立ち上り部20自体の強度を高くする必要がない。このため、パネル本体10の発泡倍率を比較的高くできる。よって、発泡樹脂材料の所要量を抑えることができ、かつ短時間で成形できる。この結果、パネル本体10の材料コスト及び製造コストが上昇するのを防止できる。
また、立ち上り補強部材30が浴槽受けパン2よりも上へ突出されることで、浴槽の設置時などに浴槽受けパン2が損傷しないように保護できる。
【0047】
立ち上り補強部材30を下側補強パネル部材13とは別体とすることで、下側補強パネル部材13の形状を簡素化して製造を容易化できる。しかも、立ち上り補強部材30をアルミ押出成形材によって構成することで、立ち上り補強部材30の製造コストを低減でき、かつ浴室1の水による立ち上り補強部材30の腐食を抑制できる。さらに、アルミ押出成形材を適宜な寸法で切断することによって、種々の浴室サイズに対応できる。
立ち上り部20の洗い場側面23には表層シート14が被さることで、立ち上り部20を保護できる。一方、立ち上り補強部材30は、立ち上り部20の洗い場側面には被さらないようにすることで、立ち上り補強部材30の断面形状を簡素化して製造及び組み付けを容易化できる。また、上側補強パネル部材についても、立ち上り部20の洗い場側面には被さらないようにすることで、形状を簡素化して製造を容易化できる。
【0048】
発泡樹脂製の立ち上り部20を立ち上り補強部材30と表層シート14とで囲むことで、洗剤等の界面活性剤が立ち上り部20の発泡ビーズどうしの間に浸透するのを防止でき、ひいては漏水を抑制又は防止できる。
表層シート14の粘着テープ15の基材層15bをPETによって構成することによって、塩ビ製の表層シート14中の可塑剤が表層側粘着層15aに滲み出したとしても、該可塑剤がパネル側粘着層15cまで浸透するのを阻止でき、パネル側粘着層15cが可塑剤と反応して変質するのを防止できる。これによって、表層シート14の接着品質を確保しながら剥離不能になるのを防止でき、ひいてはリフォーム不能になるのを防止できる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
<第2実施形態>
図10の二点鎖線にて示すように、第2実施形態においては、表層シート14の浴槽側の部分が、上端被さり部33の突出片33eにちょうど当たる長さよりも数mm(例えば2mm)程度だけ長めに作製されている。
図10の実線にて示すように、パネル本体10上に表層シート14に貼り付ける際、立ち上り被覆シート部14eを突出片33eの下側に押し込む。したがって、立ち上り被覆シート部14eが、突出片33eの下面に弾性的に押し当てられることで、図10の白抜き矢印線に示すように、立ち上り被覆シート部14eに押し下げ力fが働く。これによって、パネル本体10の上面10aと立ち上り部20との間のコーナー部10cに、表層シート14のコーナー被覆部14cが押し付けられる。
したがって、コーナー部10cの曲率が大きくても、表層シート14のコーナー被覆部14cがコーナー部10cから浮くのを防止できる。粘着テープ15がPET製の基材層15bを含むためにコシがあっても、該粘着テープ15をコーナー部10cに沿うように確実に湾曲させてコーナー部10cに確実に密着させることができる。
【0050】
<第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態を示したものである。
第3実施形態においては、立ち上り補強部材30Cが、下側補強パネル部材13と同体の金属材によって構成されている。すなわち、立ち上り補強部材30Cが、下側補強パネル部材13と一体になっている。下側補強パネル部材13における浴槽側の側板部13bが、立ち上り部20の浴槽側面22に沿って立ち上がることで、立ち上り補強部材30Cの浴槽側被さり部32となっている。
【0051】
立ち上り補強部材30Cの上端被さり部33の洗い場1b側の端部(図11において右端部)には、下方へ突出する突片38が設けられている。突片38が、立ち上り被覆シート部14eの端部に洗い場1b側から被さっている。
【0052】
下側補強パネル部材13及び立ち上り補強部材30Cを構成する金属材は、ステンレスなどの錆びにくい金属によって構成されていることが好ましい。これによって、立ち上り補強部材30Cが水に晒されても、腐食を防止できる。
【0053】
<第4実施形態>
図12図14は、本発明の第4実施形態を示したものである。
図12及び図13に示すように、第4実施形態の洗い場床パネル3Dにおいては、立ち上り補強部材30Dが、浴槽側被さり部32及び上端被さり部33に加えて、洗い場側被さり部39を含んでいる。これら3つの被さり部32,33,39が立ち上り部20の3つの面21,22,23にそれぞれ被さっている。これによって、立ち上り補強部材30Dが、立ち上り部20を浴槽1a側、上側、洗い場1b側の三方から囲んでいる。
【0054】
図12に示すように、洗い場側被さり部39(垂下部)は、上端被さり部33の洗い場1b側の端部近くから垂下されるとともに、立ち上り部20の長手方向(図12において紙面直交方向)へ延びている。該洗い場側被さり部39が、立ち上り部20における洗い場を向く側面23のほぼ全体に被さっている。洗い場側被さり部39の下端部は、立ち上り部20の洗い場側面23の下端部に達している。
立ち上り補強部材30Dの底側被さり部31は、第1実施形態(図6)のものより短小である。
【0055】
第4実施形態の立ち上り補強部材30Dは、好ましくは樹脂の押出成形によって作製されている。立ち上り補強部材30Dの樹脂材質としては、例えばPVC、ABS等が挙げられる。
なお、立ち上り補強部材30Dが、第1実施形態と同様にアルミの押出型材によって構成されていてもよい。
【0056】
表層シート14における立ち上り被覆シート部14e(浴槽側の端部)が、洗い場側被さり部39に被さっている。立ち上り被覆シート部14eの裏面の両面粘着テープ15が洗い場側被さり部39に接着されている。立ち上り被覆シート部14eの上を向く先端部においては、防水性粘着テープ60が、洗い場側被さり部39の上側の凹み段差部39bに接着されている。
【0057】
パネル本体10の上面10aと立ち上り部20との間のコーナー部10cには、コーナー溝18が形成されている。コーナー溝18は、立ち上り部20の長手方向(図12の紙面直交方向)へ沿って延びている。
図12及び図14に示すように、コーナー溝18における浴槽1a側(図12において左側)の内壁面18aが、立ち上り部20の洗い場側面23と面一に連続している。コーナー溝18の底面18bは、立ち上り部20の長手方向(図12の紙面直交方向)に沿って真っすぐ水平に延びている。
【0058】
図12に示すように、洗い場側被さり部39の下端部が、コーナー溝18に嵌め入れられ、かつ立ち上り部側の内壁面18aに宛がわれている。コーナー溝18の洗い場側の内壁面18cと洗い場側被さり部39の下端部との間には、間隙18dが形成されている。
【0059】
図13及び図14に示すように、パネル本体10の上面10aにおけるコーナー溝18に沿う縁10eには、水流れ勾配が設けられている。詳しくは、縁10eは、長手方向の両端部から中央部(排水口3cの直近部)へ向かうにしたがって下へ傾いている。
コーナー溝18の底面18bは、パネル本体10の前記水流れ勾配に拘わらず、立ち上り部20の長手方向に沿って水平に延びている。したがって、洗い場側被さり部39の下端部についても真っ直ぐ水平にでき、立ち上り補強部材30Dを押出成形によって安価に作製できる。
【0060】
図12に示すように、パネル本体10の縁10eが前記水流れ勾配によって最も低くなった箇所(長手方向の中央部)よりもコーナー溝18の底面18bが低所に位置している。したがって、前記最も低い箇所においても、コーナー溝18が途切れることなく、洗い場側被さり部39の下端部がコーナー溝18に嵌め入れられている。
【0061】
パネル本体10のコーナー部10cには粘着性充填剤68が塗布されている。粘着性充填剤68は、例えばシリコーンによって構成され、少なくとも塗布時に粘着性を有している。
粘着性充填剤68は、立ち上り部20の長手方向(図12の紙面直交方向)へ延びており、コーナー溝18の間隙18dに充填されるとともにコーナー溝18の上端開口から更に上方へ盛り上がるように塗布されている。
【0062】
表層シート14におけるコーナー被覆部14cが、コーナー部10cに沿って折り曲げられて粘着性充填剤68に被さるとともに、該粘着性充填剤68と密着している。具体的には、コーナー被覆部14cの裏面の両面粘着テープ15と粘着性充填剤68とが、互いにくっ付けられている。これによって、コーナー被覆部14cの浮き上がりを確実に防止できる。
コーナー部10cにおける、表層シート14とパネル本体10及び上側補強パネル部材12との隙間が、粘着性充填剤68によって埋められている。
【0063】
図13に示すように、上側補強パネル部材12における排水口3cに対応する箇所には、四角形の穴状の排水開口12dが形成されている。排水開口12dは、第1実施形態の排水開口12c(図3)とは異なり、上側補強パネル部材12の立ち上り部側(図12において左側)の縁には達していない。
上側補強パネル部材12における立ち上り部20の縁と排水開口12dとの間には、橋絡部12eが形成されている。
【0064】
第4実施形態の洗い場床パネル3Dは、例えば次のようにして作製される。
発泡成形したパネル本体10の上面及び下面には、第1実施形態と同様にして、補強パネル部材12,13を被せる。
押出成形した立ち上り補強部材30Dを、前記パネル本体10の立ち上り部20の上方から真っ直ぐ降ろす。このとき、底側被さり部31が立ち上り部20に引っ掛からないように、立ち上り補強部材30Dを少し撓ませる。これによって、立ち上り補強部材30Dを立ち上り部20の外周に嵌め込むことができる。
次に、粘着性充填剤68をコーナー部10cの間隙18dに充填するとともに間隙18dの上方へ盛り上がるように塗布する。
【0065】
その後、表層シート14を、上側補強パネル部材12上に敷設するとともに、コーナー部10cに沿って折り曲げて洗い場側被さり部39に貼り付ける。
これによって、コーナー部10cにおいては、表層シート14の折り曲げられたコーナー被覆部14cが粘着性充填剤68に被さって密着される。粘着性充填剤68は、コーナー被覆部14cになじむように変形されることによって、コーナー被覆部14cとコーナー部10cとの間の隙間を埋める。これによって、コーナー部10cにおける表層シート14の折り曲げ及び貼り付け作業を容易化できる。
排水開口12dと立ち上り部20との間においては、上側補強パネル部材12の橋絡部12eが在るから、表層シート14を該橋絡部12eに押し当てることによって確実に貼り付けることができる。
立ち上り部20においては、硬質樹脂からなる洗い場側被さり部39は、発泡樹脂からなる立ち上り部20よりも硬いから、立ち上り被覆シート部14eを洗い場側被さり部39にしっかりと押し当てて確実に貼り付けることができる。したがって、立ち上り部20における表層シート14の貼り付け作業を容易化できる。
【0066】
<第5実施形態>
図15は、本発明の第5実施形態を示したものである。
第5実施形態は、第4実施形態の変形例に係り、洗い場床パネル3Eの立ち上り補強部材30Eには、隔壁部30aが設けられている。隔壁部30aは、立ち上り補強部材30Eの高さ方向の中間部に配置され、浴槽側被さり部32と洗い場側被さり部39の間に水平に架け渡されている。
【0067】
発泡樹脂からなるパネル本体10の立ち上り部20Eの上端部は、隔壁部30aの下面に突き当たる高さに位置している。立ち上り補強部材30Eにおける隔壁部30aより上側部分の内部は、空洞部30bになっている。立ち上り補強部材30Eの長手方向(図15の紙面と直交する方向)の両端部には、空洞部30bを塞ぐキャップ30cが設けられている。
パネル本体10の立ち上り部20Eと、立ち上り補強部材30Eと、表層シート14の立ち上り被覆シート部14eとキャップ30cによって洗い場土手Aが構成されている。
【0068】
第5実施形態の洗い場床パネル3Eによれば、発泡樹脂製の立ち上り部20Eすなわち洗い場土手Aの発泡樹脂部分を減容できる。ひいては、パネル本体10の成形に要する発泡樹脂量を減らすことができる。一方、立ち上り補強部材30Eの隔壁部30aより上側部分が、立ち上り部20Eの上方へ突出されることで、洗い場土手Aの高さを確保できる。
【0069】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
例えば、立ち上り補強部材30をABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)などの熱可塑性樹脂によって形成してもよい。
上側補強パネル部材12を省略してもよい。パネル本体10に表層シート14を直接貼り付けてもよい。
複数の実施形態の構成を組み合わせてもよい。例えば第4、第5実施形態(図12図15)においては、立ち上り被覆シート部14eの端面が、第2実施形態(図10)と同様に突出片33eの下面に突き当てられているが、これに代えて、第1実施形態(図8)と同様に、立ち上り被覆シート部14eの端面と突出片33eとの間にシーリング材63が塗布されていてもよい。
浴室はシャワー室をも含む。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば建物に収められる浴室ユニットの洗い場床に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 浴室
1b 洗い場
3,3D,3E 洗い場床パネル
10 パネル本体
10a パネル本体の立ち上り部を除く上面
10c コーナー部
11 殻体
12 上側補強パネル部材
13 下側補強パネル部材
13a 底板部
13b 側板部
14 表層シート
14e 立ち上り被覆シート部(浴槽側の端部)
14c コーナー被覆部
18 コーナー溝
20,20E 立ち上り部
21 上端面
22 浴槽を向く側面
23 洗い場を向く側面
30,30C,30D,30E 立ち上り補強部材
31 底側被さり部
32 浴槽側被さり部
33 上端被さり部
33e 突出片
34 垂下部
39 洗い場側被さり部(垂下部)
41,42 ビス(接合手段)
60 防水性粘着テープ
68 粘着性充填剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15