(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】栓体の製造方法及び栓体組立装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/02 20060101AFI20220928BHJP
B23P 19/00 20060101ALI20220928BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20220928BHJP
B65D 39/04 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B23P19/02 C
B23P19/00 304A
A61J1/05 315B
B65D39/04
(21)【出願番号】P 2018186519
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000224949
【氏名又は名称】徳山積水工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹生谷 雅敏
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-094142(JP,U)
【文献】特開2010-125423(JP,A)
【文献】実開昭62-195474(JP,U)
【文献】実開平05-060732(JP,U)
【文献】国際公開第2012/023554(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0114983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-19/02
B65D 35/44-35/54;39/00-55/16
A61J 1/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体の製造方法であって、
上面に凹部を有する第1の冶具を用いて、前記キャップ部材の前記開口端側が前記第1の冶具の前記上面よりも上側に突出するように、前記キャップ部材を、前記第1の冶具の前記凹部の内側に配置する配置工程と、
テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具を用いて、前記第2の冶具の前記大径部を、前記キャップ部材の突出した部分に嵌合する嵌合工程と、
前記栓本体を、前記第2の冶具の前記テーパー部側から、前記キャップ部材の内側に圧入する圧入工程とを備え、
前記第2の冶具の前記テーパー部は、前記第2の冶具の前記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜しており、
前記栓本体は、一端側に把持部と他端側に小径部とを有し、前記把持部と前記小径部とにより、段差が形成されており、
前記栓本体の最大径は、前記キャップ部材の前記開口端の内径よりも大きく、
前記第2の冶具の前記小径部の径は、前記キャップ部材の前記開口端の内径よりも小さい、栓体の製造方法。
【請求項2】
前記圧入工程において、開口端を有しかつ該開口端の外径が前記第2の冶具の前記小径部の径よりも小さい圧入用部材を用いて、前記栓本体を、前記キャップ部材の内側に圧入する、請求項1に記載の栓体の製造方法。
【請求項3】
前記栓本体が
前記一端に凹部を有する表面を有し、
前記圧入工程において、前記栓本体を、前記栓本体の前記凹部を有する表面側から、前記キャップ部材の内側に圧入する、請求項1又は2に記載の栓体の製造方法。
【請求項4】
前記栓本体の材料がエラストマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の栓体の製造方法。
【請求項5】
前記第2の冶具の前記テーパー部が、前記第2の冶具の前記貫通穴の貫通方向に対して、15度以上30度以下の傾斜角度で傾斜している、請求項1~4のいずれか1項に記載の栓体の製造方法。
【請求項6】
前記第2の冶具の前記テーパー部の深さの前記第2の冶具の前記小径部の深さに対する比が、0.75以上3.5以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の栓体の製造方法。
【請求項7】
一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体を製造するために用いられる栓体組立装置であって、
前記栓本体は、一端側に把持部と他端側に小径部とを有し、前記把持部と前記小径部とにより、段差が形成されており、
上面に凹部を有する第1の冶具と、
テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具とを備え、
前記第2の冶具の前記テーパー部は、前記第2の冶具の前記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜している、栓体組立装置。
【請求項8】
開口端を有しかつ該開口端の外径が前記第2の冶具の前記小径部の径よりも小さい圧入用部材を備える、請求項7に記載の栓体組立装置。
【請求項9】
前記第2の冶具の前記テーパー部が、前記第2の冶具の前記貫通穴の貫通方向に対して、15度以上30度以下の傾斜角度で傾斜している、請求項7又は8に記載の栓体組立装置。
【請求項10】
前記第2の冶具の前記テーパー部の深さの前記第2の冶具の前記小径部の深さに対する比が、0.75以上3.5以下である、請求項7~9のいずれか1項に記載の栓体組立装置。
【請求項11】
前記栓本体の最大径が前記キャップ部材の前記開口端の内径よりも大きい、前記栓本体と前記キャップ部材との組み合わせを用いて、栓体を製造するために用いられる、請求項7~10のいずれか1項に記載の栓体組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓体の製造方法に関する。また、本発明は、栓体を組立てることができる栓体組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液などの体液を採取するために、栓体が取り付けられた体液採取用容器が広く用いられている。栓体は、一般的に、ゴム栓等の栓本体と、該栓本体に装着されるキャップ部材とを備える。
【0003】
体液採取用容器に取り付けられる栓体の一例として、下記の特許文献1には、体液採集チューブの開放端を密閉する蓋組立体(栓体)が開示されている。この蓋組立体は、特定の構造を有するストッパ(栓本体)と、天面と底面のストップ棚と環状スカートとを有する可撓性キャップ本体(キャップ部材)とを備える。上記可撓性キャップ本体の上記環状スカートの内壁には、テーパーの付いた表面を有する一体化された当接部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような栓体は、一般的に、栓本体をキャップ部材の内側に挿入することによって製造される。
【0006】
上記栓本体の最大径が、上記キャップ部材の開口端の内径よりも大きい場合には、栓本体をキャップ部材の内側に挿入する際に、キャップ部材の開口端部分において、栓本体が圧縮され、また圧縮された栓本体が傾きやすい。栓本体が圧縮され、かつ傾いた状態で、栓本体をキャップ部材の内側に挿入していくと、キャップ部材の内側から外側に向けて大きな力が加わり、その結果、キャップ部材が変形したり、破損したりすることがある。
【0007】
本発明の目的は、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる栓体の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる栓体を製造することができる栓体組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広い局面によれば、一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体の製造方法であって、上面に凹部を有する第1の冶具を用いて、前記キャップ部材の前記開口端側が前記第1の冶具の前記上面よりも上側に突出するように、前記キャップ部材を、前記第1の冶具の前記凹部の内側に配置する配置工程と、テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具を用いて、前記第2の冶具の前記大径部を、前記キャップ部材の突出した部分に嵌合する嵌合工程と、前記栓本体を、前記第2の冶具の前記テーパー部側から、前記キャップ部材の内側に圧入する圧入工程とを備え、前記第2の冶具の前記テーパー部は、前記第2の冶具の前記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜しており、前記栓本体の最大径は、前記キャップ部材の前記開口端の内径よりも大きく、前記第2の冶具の前記小径部の径は、前記キャップ部材の前記開口端の内径よりも小さい、栓体の製造方法が提供される。
【0009】
本発明に係る栓体の製造方法のある特定の局面では、前記圧入工程において、開口端を有しかつ該開口端の外径が前記第2の冶具の前記小径部の径よりも小さい圧入用部材を用いて、前記栓本体を、前記キャップ部材の内側に圧入する。
【0010】
本発明に係る栓体の製造方法のある特定の局面では、前記栓本体が一端に凹部を有する表面を有し、前記圧入工程において、前記栓本体を、前記栓本体の前記凹部を有する表面側から、前記キャップ部材の内側に圧入する。
【0011】
本発明に係る栓体の製造方法のある特定の局面では、前記栓本体の材料がエラストマーである。
【0012】
本発明に係る栓体の製造方法のある特定の局面では、前記第2の冶具の前記テーパー部が、前記第2の冶具の前記貫通穴の貫通方向に対して、15度以上30度以下の傾斜角度で傾斜している。
【0013】
本発明に係る栓体の製造方法のある特定の局面では、前記第2の冶具の前記テーパー部の深さの前記第2の冶具の前記小径部の深さに対する比が、0.75以上3.5以下である。
【0014】
本発明の広い局面によれば、一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体を製造するために用いられる栓体組立装置であって、上面に凹部を有する第1の冶具と、テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具とを備え、前記第2の冶具の前記テーパー部は、前記第2の冶具の前記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜している、栓体組立装置が提供される。
【0015】
本発明に係る栓体組立装置のある特定の局面では、開口端を有しかつ該開口端の外径が前記第2の冶具の前記小径部の径よりも小さい圧入用部材を備える。
【0016】
本発明に係る栓体組立装置のある特定の局面では、前記第2の冶具の前記テーパー部が、前記第2の冶具の前記貫通穴の貫通方向に対して、15度以上30度以下の傾斜角度で傾斜している。
【0017】
本発明に係る栓体組立装置のある特定の局面では、前記第2の冶具の前記テーパー部の深さの前記第2の冶具の前記小径部の深さに対する比が、0.75以上3.5以下である。
【0018】
本発明に係る栓体組立装置のある特定の局面では、前記栓本体の最大径が前記キャップ部材の前記開口端の内径よりも大きい、前記栓本体と前記キャップ部材との組み合わせを用いて、栓体を製造するために好適に用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る栓体の製造方法は、一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体の製造方法である。本発明に係る栓体の製造方法は、上面に凹部を有する第1の冶具を用いて、上記キャップ部材の上記開口端側が上記第1の冶具の上記上面よりも上側に突出するように、上記キャップ部材を、上記第1の冶具の上記凹部の内側に配置する配置工程を備える。本発明に係る栓体の製造方法は、テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具を用いて、上記第2の冶具の上記大径部を、上記キャップ部材の突出した部分に嵌合する嵌合工程を備える。本発明に係る栓体の製造方法は、上記栓本体を、上記第2の冶具の上記テーパー部側から、上記キャップ部材の内側に圧入する圧入工程を備える。本発明に係る栓体の製造方法では、上記第2の冶具の上記テーパー部は、上記第2の冶具の上記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜しており、上記栓本体の最大径は、上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも大きく、上記第2の冶具の上記小径部の径は、上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも小さい。本発明に係る栓体の製造方法では、上記の構成が備えられているので、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる。
【0020】
本発明に係る栓体組立装置は、一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、上記キャップ部材の内側に保持された栓本体とを備える栓体を製造するために用いられる。本発明に係る栓体組立装置は、上面に凹部を有する第1の冶具と、テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具とを備え、上記第2の冶具の上記テーパー部は、上記第2の冶具の上記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜している。本発明に係る栓体組立装置では、上記の構成が備えられているので、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1(a)~(d)は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法を説明するための断面図である。
【
図2】
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)はそれぞれ、第1の冶具、第2の冶具及び圧入用部材の平面図である。
【
図3】
図3は、第2の冶具におけるテーパー部の傾斜角度を説明するための図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法で用いられるキャップ部材を示す正面図及び正面断面図であり、
図4(c)は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法で用いられる栓本体を示す正面断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法で得られる栓体を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
<栓体の製造方法>
本発明に係る栓体の製造方法は、一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体の製造方法である。
【0024】
本発明に係る栓体の製造方法は、上面に凹部を有する第1の冶具を用いて、上記キャップ部材の上記開口端側が上記第1の冶具の上記上面よりも上側に突出するように、上記キャップ部材を、上記第1の冶具の上記凹部の内側に配置する配置工程を備える。
【0025】
本発明に係る栓体の製造方法は、テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具を用いて、上記第2の冶具の上記大径部を、上記キャップ部材の突出した部分に嵌合する嵌合工程を備える。
【0026】
本発明に係る栓体の製造方法は、上記栓本体を、上記第2の冶具の上記テーパー部側から、上記キャップ部材の内側に圧入する圧入工程を備える。
【0027】
本発明に係る栓体の製造方法では、上記第2の冶具の上記テーパー部は、上記第2の冶具の上記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜している。
【0028】
本発明に係る栓体の製造方法では、上記栓本体の最大径は、上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも大きい。上記栓本体の最大径は、キャップ部材の内側に圧入される前の栓本体の最大径である。
【0029】
本発明に係る栓体の製造方法では、上記第2の冶具の上記小径部の径は、上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも小さい。
【0030】
本発明に係る栓体の製造方法では、上記配置工程において、特定の形状を有する上記第1の冶具を用いているので、キャップ部材を該第1の冶具上に安定して配置することができる。また、本発明に係る栓体の製造方法では、上記嵌合工程及び上記圧入工程において、特定の形状を有する上記第2の冶具を用いているので、上記栓本体の最大径が上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも大きいにもかかわらず、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる。
【0031】
従って、本発明に係る栓体の製造方法では、栓体の歩留まりを良好にできる。
【0032】
また、本発明に係る栓体の製造方法で得られる栓体では、栓本体が圧縮された状態でキャップ部材の内部に保持されるので、栓本体がキャップ部材から抜けにくい。
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0034】
まず、本発明に係る栓体の製造方法で用いられるキャップ部材及び栓本体について説明する。
【0035】
図4(a)及び
図4(b)は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法で用いられるキャップ部材を示す正面図及び正面断面図である。
図4(c)は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法で用いられる栓本体を示す正面断面図である。
【0036】
キャップ部材4は、一端に天板部4aと他端に開口端4bとを有する。キャップ部材4は、天板部4aの周縁から下方に伸びる側面部を有する。天板部4aは、中央に円形の開口4a1を有する。したがって、天板部4aの外形は環状である。
【0037】
キャップ部材4は、内表面上に凸部4cを有する。凸部4cは、キャップ部材4の内表面上に環状に設けられており、環状凸部である。キャップ部材が凸部を有することにより、栓本体をキャップ部材から抜けにくくすることができる。
【0038】
キャップ部材は、凸部を有していなくてもよい。また、凸部は、キャップ部材の同じ高さ位置に複数を設けられていてもよい。キャップ部材の同じ高さ位置に複数の凸部が設けられている場合、該凸部は環状凸部とは異なる。
【0039】
キャップ部材4は、側面部の外表面上に、キャップ部材4の径方向外側に突出した複数のリブ4dを有する。キャップ部材がリブを有することにより、キャップ部材及び栓体等の転がりを防止することができ、取り扱い性を高めることができる。
【0040】
キャップ部材4では、リブ4dは、キャップ部材4の上端に至っていない。リブは、キャップ部材の上端に至っていてもよい。キャップ部材4では、リブ4dは、キャップ部材の下端に至っていない。リブは、キャップ部材の下端に至っていてもよい。
【0041】
キャップ部材は、リブを有していなくてもよい。
【0042】
栓本体5は、一端側に把持部(大径部)5aと、他端側に小径部5bとを有する。把持部5aの径は、小径部5bの径よりも大きい。把持部5aと小径部5bとにより、段差が形成されている。栓本体5は、把持部5aに最大径を有する。栓本体5は、一端に凹部5a1を有する表面を有する。すなわち、把持部5aは、凹部5a1を有する。
【0043】
なお、本明細書において、キャップ部材4の上記一端(天板部4a)と上記他端(開口端4b)とを結ぶ方向が、キャップ部材4の長さ方向であり、キャップ部材4の長さ方向と直交する方向が、キャップ部材4の径方向である。また、本明細書において、栓本体5の上記一端と上記他端とを結ぶ方向が、栓本体5の長さ方向であり、栓本体5の長さ方向と直行する方向が、栓本体5の径方向である。
【0044】
栓体の製造前において、栓本体5の最大径は、キャップ部材4の開口端4bの内径よりも大きい。
【0045】
キャップ部材4では、開口端4bにおける側面部の厚みが最も小さくなっている。そのため、キャップ部材4は、開口端4bにおいて、最大内径を有する。本発明に係る栓体の製造方法では、キャップ部材4が開口端4bにおいて最大内径を有する場合であっても、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる。
【0046】
なお、キャップ部材4は、開口端4bにおいて、最大内径を有さなくてもよい。
【0047】
キャップ部材4の開口端4bの内径は、好ましくは13mm以上、より好ましくは14mm以上、好ましくは18mm以下、より好ましくは17mm以下である。キャップ部材4の開口端4bの内径が上記下限以上及び上記上限以下であると、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができ、また、5cc用採血管、7cc用採血管、及び10cc用採血管等の各サイズの採血管の栓体として良好に用いることができる。
【0048】
キャップ部材の取り扱い性を良好にする観点からは、キャップ部材4の長さは、好ましくは11mm以上、より好ましくは15mm以上、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下である。
【0049】
キャップ部材の取り扱い性を良好にする観点からは、キャップ部材4の天板部4aの厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下である。
【0050】
キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑える観点からは、キャップ部材4の側面部の最大厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下である。
【0051】
キャップ部材がリブを備える場合、リブの長さは、好ましくは10mm以上、より好ましくは14mm以上である。上記リブの長さが上記下限以上であると、体液採取用容器の取り扱い性を良好にすることができる。
【0052】
キャップ部材がリブを備える場合、リブの高さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。上記リブの高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、体液採取用容器の取り扱い性を良好にすることができる。
【0053】
なお、上記リブの長さ方向は上記キャップ部材の長さ方向に対応し、上記リブの高さ方向は上記キャップ部材の径方向に対応する。
【0054】
栓本体5の最大径は、キャップ部材4の開口端4bの内径よりも大きい。
【0055】
キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑える観点からは、栓本体5の最大径は、キャップ部材4の開口端4bの内径よりも、0.1mm以上で大きいことが好ましく、0.5mm以上で大きいことがより好ましく、3mm以下で大きいことが好ましく、2mm以下で大きいことがより好ましい。
【0056】
キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑える観点からは、栓本体5の最大径は、キャップ部材4の最小内径よりも、0.5mm以上で大きいことが好ましく、1mm以上で大きいことがより好ましく、4mm以下で大きいことが好ましく、3mm以下で大きいことがより好ましい。
【0057】
体液採取針の刺通性を高める観点からは、把持部5aの上面に設けられた凹部5a1の下端と栓本体5の下端との距離は、好ましくは3mm以上、好ましくは7mm以下である。
【0058】
体液採取針を栓本体から抜く際の体液の飛散を効果的に抑える観点からは、把持部5aの上面に設けられた凹部5a1の深さは、好ましくは4mm以上、好ましくは8mm以下である。
【0059】
次に、
図1~
図4を参照しながら、
図5に示す栓体6の製造方法について説明する。
【0060】
図1は、本発明の一実施形態に係る栓体の製造方法を説明するための断面図である。
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)はそれぞれ、第1の冶具、第2の冶具及び圧入用部材の平面図である。
【0061】
[配置工程]
図1(a)は、配置工程を説明するための断面図である。
図2(a)は、第1の冶具の平面図である。
図1に示された第1の冶具は、
図2(a)に示された第1の冶具のI-I線に沿う断面図である。
【0062】
第1の冶具1は、上面1aに凹部1a1を有する。第1の冶具1は、円柱状の凹部1a1を有する。
【0063】
第1の冶具1の側面部は、上面1aよりも上側に突出した壁部1bを有する。壁部1bは、第2の冶具が移動することを効果的に抑制するために設けられる。第1の冶具は、壁部1bを3個有する。なお、第1の冶具は、上記壁部を有していなくてもよく、壁部を1個有していてもよく、2個有していてもよく、4個有していてもよく、4個以上有していてもい。
【0064】
図1(a)に示すように、上記配置工程では、上面1aに凹部1a1を有する第1の冶具1を用いて、キャップ部材4の開口端4b側が第1の冶具1の上面1aよりも上側に突出するように、キャップ部材4を、第1の冶具1の凹部1a1の内側に配置する。すなわち、上記配置工程では、キャップ部材4の開口端4bが、第1の冶具1の上面1aよりも上側に位置するように、キャップ部材4が、第1の冶具1の凹部1a1の内側に配置される。
【0065】
なお、配置工程において、キャップ部材4の開口端4bは、第1の冶具の壁部1bの上面よりも上側に位置していてもよく、下側に位置していてもよい。
【0066】
第1の冶具の上記凹部の形状は、該凹部の内側にキャップ部材を配置することができる限り特に限定されない。第1の冶具の上記凹部の形状は、多角柱状であってもよい。
【0067】
第1の冶具の上記凹部の径及び深さは、キャップ部材の大きさにより適宜変更することができる。なお、第1の冶具の上記凹部の形状が多角柱状である場合には、第1の冶具の凹部の径は、多角柱状における多角形に内接する円の直径を意味する。
【0068】
なお、本明細書において、第1の冶具1の凹部1a1の深さ方向と直交する方向が、凹部1a1の径方向である。
【0069】
凹部1a1の径は、キャップ部材4の最大外径よりも大きいことが好ましい。
【0070】
第1の冶具の上記凹部の径は、キャップ部材の最大外径よりも、0.1mm以上で大きいことが好ましく、0.5mm以上で大きいことがより好ましく、1.5mm以下で大きいことが好ましく、1.0mm以下で大きいことがより好ましい。第1の冶具の上記凹部の径が上記下限以上であると、第1の冶具の上記凹部の内側に、キャップ部材を良好に配置することができる。第1の冶具の上記凹部の径が上記上限以下であると、第1の冶具の上記凹部の内側にキャップ部材を配置した後の該キャップ部材のぐらつきを効果的に抑えることができる。
【0071】
第1の冶具の上記凹部の深さは、好ましくは5mm以上、より好ましくは7mm以上、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。第1の冶具の上記凹部の深さが上記下限以上であると、第1の冶具の上記凹部の内側に、キャップ部材を良好に配置することができる。第1の冶具の上記凹部の深さが上記上限以下であると、第1の冶具の上記凹部の内側にキャップ部材を配置した後の該キャップ部材のぐらつきを効果的に抑えることができる。
【0072】
第1の冶具の上記凹部の深さの、キャップ部材の長さに対する比(第1の冶具の凹部の深さ/キャップ部材の長さ)は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上、好ましくは1未満、より好ましくは0.75以下である。上記比(第1の冶具の凹部の深さ/キャップ部材の長さ)が上記下限以上であると、第1の冶具の上記凹部の内側に、キャップ部材を良好に配置することができる。上記比(第1の冶具の凹部の深さ/キャップ部材の長さ)が上記上限以下(又は上記上限未満)であると、第1の冶具の上記凹部の内側にキャップ部材を配置した後の該キャップ部材のぐらつきを効果的に抑えることができる。
【0073】
[嵌合工程]
図1(b)は、配置工程を説明するための断面図である。
図2(b)は、第2の冶具の平面図である。
図1に示された第2の冶具は、
図2(b)に示された第2の冶具のII-II線に沿う断面図である。
【0074】
第2の冶具2は、貫通穴21を有する。貫通穴21は、第2の冶具2の上面と下面とを貫通する穴であり、テーパー部21aと小径部21bと大径部21cとを有する。大径部21cの径は、小径部21bの径よりも大きい。貫通穴21において、テーパー部21aは略円錐台状の穴であり、小径部21bは略円柱状の穴であり、大径部21cは略円柱状の穴である。
【0075】
貫通穴21には、テーパー部21aと小径部21bと大径部21cとがこの順に設けられている。第2の冶具2の上面側にテーパー部21aが設けられ、第2の冶具2の下面側に大径部21cが設けられ、テーパー部21aと大径部21cとの間に小径部21bが設けられている。
【0076】
なお、本明細書において、第2の冶具2の貫通穴21(テーパー部21a、小径部21b及び大径部21c)の貫通方向と直交する方向が、貫通穴21(テーパー部21a、小径部21b及び大径部21c)の径方向である。
【0077】
第2の冶具2のテーパー部21aは、第2の冶具2の小径部21bに向けて径が小さくなるように傾斜している。したがって、テーパー部21aは、第2の冶具2の上面において最大径を有する。
【0078】
図1(b)に示すように、上記嵌合工程では、テーパー部21aと小径部21bと大径部21cとがこの順に設けられた貫通穴21を有する第2の冶具2を用いて、第2の冶具2の大径部21cをキャップ部材4の突出した部分に嵌合する。
【0079】
第2の冶具2のテーパー部21aの最大径は、第2の冶具2の大径部21cの径よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
【0080】
第2の冶具2のテーパー部21aの最大径は、栓本体5の最大径よりも大きいことが好ましい。
【0081】
第2の冶具2のテーパー部21aの最大径は、栓本体の最大径よりも、0.5mm以上で大きいことが好ましく、1mm以上で大きいことがより好ましく、4mm以下で大きいことが好ましく、3mm以下で大きいことがより好ましい。第2の冶具2のテーパー部21aの最大径が上記下限以上及び上記上限以下であると、栓本体を良好に配置することができる。
【0082】
第2の冶具2のテーパー部21aの最大径は、好ましくは16mm以上、より好ましくは18mm以上、好ましくは22mm以下、より好ましくは20mm以下である。第2の冶具2のテーパー部21aの最大径が上記下限以上及び上記上限以下であると、栓本体を良好に配置することができ、また、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0083】
第2の冶具2の大径部21cの径は、キャップ部材4の最大外径よりも大きい。
【0084】
第2の冶具2の大径部21cの径は、キャップ部材4の最大外径よりも、0.1mm以上で大きいことが好ましく、0.5mm以上で大きいことがより好ましく、1.5mm以下で大きいことが好ましく、1.0mm以下で大きいことがより好ましい。この場合には、キャップ部材のぐらつきを効果的に抑えることができる。
【0085】
第2の冶具2の大径部21cの径は、第2の冶具2の小径部21bの径よりも大きい。
【0086】
第2の冶具2の大径部21cの径は、第2の冶具2の小径部21bの径よりも、0.5mm以上で大きいことが好ましく、1mm以上で大きいことがより好ましく、4mm以下で大きいことが好ましく、3mm以下で大きいことがより好ましい。この場合には、キャップ部材のぐらつきを効果的に抑えることができる。
【0087】
第2の冶具2の大径部21cの径は、好ましくは16mm以上、より好ましくは17mm以上、好ましくは22mm以下、より好ましくは20mm以下である。第2の冶具2の大径部21cの径が上記下限以上及び上記上限以下であると、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0088】
第2の冶具2の小径部21bの径は、キャップ部材4の開口端4bの内径よりも小さい。
【0089】
第2の冶具2の小径部21bの径は、キャップ部材4の開口端4bの内径よりも、0.1mm以上で小さいことが好ましく、0.3mm以上で小さいことがより好ましく、1mm以下で小さいことが好ましく、0.8mm以下で小さいことがより好ましい。この場合には、栓本体5が第2の冶具2の小径部21bからキャップ部材4の開口端4bに移動する際に、栓本体5の傾きを効果的に抑えることができ、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0090】
第2の冶具2の小径部21bの径は、栓本体5の最大径よりも小さい。
【0091】
第2の冶具2の小径部21bは、栓本体5の最大径よりも、0.5mm以上で小さいことが好ましく、1mm以上で小さいことがより好ましく、3mm以下で小さいことが好ましく、2mm以下で小さいことがより好ましい。この場合には、栓本体5を効果的に変形させることができ、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0092】
第2の冶具2の小径部2bの径は、好ましくは13mm以上、より好ましくは14.5mm以上、好ましくは18mm以下、より好ましくは16.5mm以下である。第2の冶具2の小径部2bの径が上記下限以上及び上記上限以下であると、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0093】
図3は、第2の冶具におけるテーパー部の傾斜角度を説明するための図である。
【0094】
図3には、第2の冶具2の断面図が示されている。
図3において、Pは、第2の冶具2の貫通穴21の貫通方向であり、Qは、第2の冶具2のテーパー部21aの傾斜方向である。第2の冶具2のテーパー部21aの傾斜角度θは、第2の冶具2の貫通穴21の貫通方向Pに対して、第2の冶具2のテーパー部21aが傾斜している角度である。なお、
図3に示すように、傾斜角度θは、貫通方向Pの直線とテーパー部の傾斜方向Qとにより形成される角度のうち、小さいほうの角度を意味する。従って、傾斜角度θの最大値は90度である。なお、テーパー部が傾斜していない場合の傾斜角度は0度である。本発明では、傾斜角度θは、0度を越え90度未満である。
【0095】
第2の冶具の貫通穴21の貫通方向Pに対して、15度以上の傾斜角度θで傾斜していることが好ましく、18度以上の傾斜角度θで傾斜していることがより好ましく、30度以下の傾斜角度θで傾斜していることが好ましく、25度以下の傾斜角度θで傾斜していることがより好ましい。上記傾斜角度θが上記下限以上及び上記上限以下であると、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0096】
図3において、Xは、テーパー部21aの深さであり、Yは、小径部21bの深さであり、Zは、大径部21cの深さである。テーパー部21a、小径部21b及び大径部21cの深さ方向は、第2の冶具2の貫通穴21の貫通方向Pに対応する。
【0097】
第2の冶具2のテーパー部21aの深さXの、第2の冶具2の小径部21bの深さYに対する比(テーパー部21aの深さX/小径部21bの深さY)は、好ましくは0.75以上、より好ましくは1.3以上、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下である。上記比(テーパー部21aの深さX/小径部21bの深さY)が上記下限以上及び上記上限以下であると、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0098】
第2の冶具2のテーパー部21aの深さXの、第2の冶具2の大径部21cの深さZに対する比(テーパー部21aの深さX/大径部21cの深さZ)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、好ましくは1.4以下、より好ましくは1以下である。上記比(テーパー部21aの深さX/大径部21cの深さZ)が上記下限以上であると、圧入工程時に第2の冶具の移動を効果的に抑えることができる。上記比(テーパー部21aの深さX/大径部21cの深さZ)が上記上限以下であると、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0099】
第1の冶具1の凹部1a1の深さと第2の冶具の大径部21cの深さZとの合計は、キャップ部材4の長さよりも大きいことが好ましい。第1の冶具1の凹部1a1の深さと第2の冶具の大径部21cの深さZとの合計は、キャップ部材4の長さよりも0.1mm以上で長いことが好ましく、0.3mm以上で長いことがより好ましく、キャップ部材4の長さよりも2mm以下で長いことが好ましく、1mm以下で長いことがより好ましい。この場合には、キャップ部材の変形及び破損を効果的に抑えることができる。
【0100】
[圧入工程]
図1(c)及び(d)は、圧入工程を説明するための断面図である。
図2(c)は、圧入用部材の平面図である。
【0101】
図1(c)に示すように、上記圧入工程では、栓本体5を、第2の冶具2のテーパー部21a側から、キャップ部材4の内側に圧入する。
【0102】
栓本体5は、一端に凹部を有する表面を有する。具体的には、栓本体は、把持部5aに凹部5a1を有する。上記圧入工程では、栓本体5を、栓本体5の把時部の凹部5a1を有する表面側から、キャップ部材4の内側に圧入することが好ましい。栓本体が凹部を有することにより、第2の冶具2の小径部21bを通過する際に栓体を効果的に変形させることができる。
【0103】
上記圧入工程において、まず、栓本体5は、第2の冶具2のテーパー部21aを通過する。栓本体5は、テーパー部21aを通過する際に徐々に圧縮されるため、栓本体5が傾きにくい。次に、栓本体5は、第2の冶具2の小径部21bを通過する。栓本体5は、小径部21bを通過する際に、更に圧縮され、内側から外側へ向けて力が発生する。しかしながら、栓本体5が小径部21bを通過中に、上記内側から外側ヘ向かう力はある程度緩和される。次に、栓本体5は、キャップ部材4の開口端4bに到達し、更に、栓本体5は、キャップ部材4の内側まで圧入される。栓本体5はキャップ部材4の内側に真っ直ぐ挿入されやすく、また、栓本体5が小径部21bを通過中に、上記内側から外側ヘ向かう力がある程度緩和されるため、栓本体5の最大径がキャップ部材4の開口端4bの径よりも大きい栓本体とキャップ部材とを用いているにもかかわらず、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる。
【0104】
上記圧入工程において、栓本体をキャップ部材の内側に圧入するための方法としては、棒状部材等を用いる方法等が挙げられる。
【0105】
上記圧入工程においては、圧入用部材3を用いることが好ましい。圧入用部材3は、開口端3aを有しかつ該開口端3aの外径が第2の冶具2の小径部21bの径よりも小さい。圧入用部材3を用いることにより、栓本体5をキャップ部材4の内側に良好に挿入することができる。
【0106】
圧入用部材3の開口端3aとの反対側の端部は閉じられていることが好ましい。
【0107】
圧入用部材3の開口端3aの外径は、栓本体5の把持部5aの最大径よりも小さいことが好ましい。圧入用部材3の開口端3aの内径は、栓本体5の小径部5bの最大径よりも大きいことが好ましい。圧入用部材3を用いて、栓本体5の把持部5aと小径部5bとにより形成される段差部分を押すことにより、キャップ部材の内側に圧入することが好ましい。圧入用部材3を用いることにより、均一な力で栓本体5をキャップ部材4の内側へ圧入することができ、かつ、栓本体5とキャップ部材4の天板部4aとが接するように圧入することができる。なお、圧入用部材3は用いられてなくてもよい。
【0108】
圧入用部材3の開口端3aの内径は、好ましくは10mm以上、より好ましくは11mm以上、好ましくは14mm以下、より好ましくは13mm以下である。
【0109】
圧入用部材3の開口端3aの外径は、好ましくは12mm以上、より好ましくは13mm以上、好ましくは17mm以下、より好ましくは16mm以下である。
【0110】
圧入用部材3の開口端3aの厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下である。
【0111】
圧入用部材3の長さは、好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上、好ましくは35mm以下、より好ましくは30mm以下である。
【0112】
圧入工程後に、第1の冶具1、第2の冶具2及び圧入用部材3を取り外すことにより、
図5に示す栓体6を得ることができる。なお、
図1(d)では、圧入用部材3が取り外された後かつ第1の冶具1及び第2の冶具2が取り外される前の断面図が示されている。
【0113】
栓体6の製造方法では、1つの凹部を有する第1の冶具及び1つの貫通穴を有する第2の冶具が用いられている。本発明に係る栓体の製造方法では、上記第1の冶具は、上面に複数の凹部を有していてもよく、上記第2の冶具は、複数の貫通穴を有していてもよい。複数の凹部を有する第1の冶具及び複数の貫通穴を有する第2の冶具を用いることにより、栓体の製造効率を高めることができる。
【0114】
<栓体組立装置>
本発明に係る栓体組立装置は、一端に天板部と他端に開口端とを有するキャップ部材と、栓本体とを備える栓体を製造するために用いられる。
【0115】
本発明に係る栓体組立装置は、上面に凹部を有する第1の冶具と、テーパー部と小径部と該小径部よりも径が大きい大径部とがこの順に設けられた貫通穴を有する第2の冶具とを備え、上記第2の冶具の上記テーパー部は、上記第2の冶具の上記小径部に向けて径が小さくなるように傾斜している。
【0116】
上記栓体組立装置における上記第1の冶具及び上記第2の冶具は、上述した第1の冶具及び上述した第2の冶具である。
【0117】
本発明に係る栓体組立装置では、上記の構成を備えているので、キャップ部材の変形及び破損を抑えることができる。
【0118】
従って、本発明に係る栓体組立装置では、栓体の歩留まりを良好にできる。
【0119】
本発明に係る栓体組立装置は、開口端を有しかつ該開口端の外径が上記第2の冶具の上記小径部の径よりも小さい圧入用部材を備えることが好ましい。
【0120】
上記栓体組立装置における上記圧入用部材は、上述した圧入用部材である。
【0121】
本発明に係る栓体組立装置は、上記栓本体の最大径が上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも大きい、上記栓本体と上記キャップ部材との組み合わせを用いて、栓体を製造するために特に好適に用いられる。なお、本発明に係る栓体組立装置は、上記栓本体の最大径が上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも小さい、上記栓本体と上記キャップ部材との組み合わせを用いて、栓体を製造するためにも好適に用いられる。また、本発明に係る栓体組立装置は、上記栓本体の最大径が上記キャップ部材の上記開口端の内径と同じである、上記栓本体と上記キャップ部材との組み合わせを用いて、栓体を製造するためにも好適に用いられる。
【0122】
本発明に係る栓体組立装置は、上記第2の冶具の上記小径部の径が、上記キャップ部材の上記開口端の内径よりも小さい、上記第2の冶具を用いて、栓体を製造するために特に好適に用いられる。
【0123】
本発明に係る栓体組立装置では、上記第1の冶具は、上面に複数の凹部を有していてもよく、上記第2の冶具は、複数の貫通穴を有していてもよい。複数の凹部を有する第1の冶具及び複数の貫通穴を有する第2の冶具を用いることにより、栓体の製造効率を高めることができる。
【0124】
キャップ部材の材料は、樹脂であることが好ましい。上記樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0125】
上記樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリカーボネート等が挙げられる。
【0126】
上記キャップ部材を構成する上記天板部、上記側面部、上記凸部、及び上記リブは、それぞれ、同一の材料が用いられてもよく、異なる材料が用いられてもよい。成形を容易にする観点からは、上記天板部、上記側面部、上記凸部、及び上記リブは、同一の材料が用いられることが好ましい。
【0127】
上記栓本体の材料は、エラストマーであることが好ましい。栓本体の材料がエラストマーであると、栓本体が第2の冶具のテーパー部及び小径部を通過する際に良好に変形することができる。上記栓本体の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0128】
上記エラストマーとしては、熱硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマー等が挙げられる。上記熱硬化性エラストマーとしては、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合ゴム等が挙げられる。上記熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー等が挙げられる。
【0129】
栓本体の材料が上記エラストマーである場合、上記栓本体はゴム栓である。上記栓本体はゴム栓であることが好ましい。
【0130】
上記第1の冶具、上記第2の冶具及び上記圧入用部材の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。上記第1の冶具、上記第2の冶具及び上記圧入用部材の材料はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、上記第1の冶具の材料、上記第2の冶具の材料及び上記圧入用部材の材料は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0131】
強度に優れるため、上記第1の冶具及び上記圧入用部材の材料は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、又はポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
【0132】
強度及び滑り性に優れるため、上記第2の冶具の材料は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、又はポリテトラフルオロエチレンであることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレンであることがより好ましい。
【0133】
本発明に係る栓体の製造方法で製造される栓体は、開口端を有する容器の該開口端に取り付けられることが好ましい。上記容器としては、採血管本体等の体液採取用容器等が挙げられる。
【0134】
上記栓体は、5cc用採血管、7cc用採血管、及び10cc用採血管等の採血管の栓体として好適に用いることができる。
【0135】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0136】
(実施例1)
キャップ部材の作製:
以下に示すキャップ部材寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリエチレン)を注入して成形し、
図4に示す形状のキャップ部材を作製した。
【0137】
長さ:20mm
天板部の厚み:1.6mm、側面部の厚み:0.4mm
開口端の内径:16.5mm
最小内径:15.5mm
最大外径:17.2mm
リブの長さ:17mm、リブの高さ:0.1mm
環状凸部の高さ:0.2mm、環状凸部の幅:1.8mm、環状凸部と天板部との距離6mm
【0138】
栓本体:
図4に示す形状のゴム栓(材料:ブチルゴム)を用意した。
【0139】
最大径(把持部の最大径):17mm
小径部の径(小径部の最大径):14.2mm
凹部の深さ:5mm
【0140】
第1の冶具の作製:
以下に示す第1の冶具寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリカーボネート)を注入して成形し、
図1に示す形状の第1の冶具を作製した。
【0141】
凹部の径:18.0mm、凹部の深さ:11mm
壁部の数:3個
【0142】
第2の冶具の作製:
以下に示す第2の冶具寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリカーボネート)を注入して成形し、
図1に示す形状の第2の冶具を作製した。
【0143】
テーパー部の最大径:19mm、テーパー部の深さX:5mm、テーパー部の傾斜角度θ:20度
小径部の径:15.8mm、小径部の深さY:3mm
大径部の径:18.0mm、大径部の深さZ:10mm
【0144】
圧入用部材の作製:
以下に示す圧入用部材寸法を備える金型に、樹脂組成物(ポリカーボネート)を注入して成形し、
図1に示す形状の圧入用部材を作製した。
【0145】
開口端の内径:14mm、開口端の外径:15.6mm、開口端の厚み:0.8mm
長さ:25mm
【0146】
配置工程:
キャップ部材の開口端側が第1の冶具の上面よりも上側に突出するように、第1の冶具の凹部の内側に、キャップ部材を配置した。キャップ部材の開口端側は、第1の冶具の上面に対して、上側に約10mm突出していた。
【0147】
嵌合工程:
第2の冶具の大径部を、キャップ部材の突出した部分に嵌合した。
【0148】
圧入工程:
圧入用部材を用いて、栓本体の把持部と小径部とにより形成される段差部分を押すことにより、栓本体を、該栓本体の把時部の凹部を有する表面側から、キャップ部材の内側に圧入した。
【0149】
第1の冶具、第2の冶具及び圧入用部材を取り外し、栓体を得た。
【0150】
同様にして、栓体を合計10個作製した。
【0151】
(実施例2)
第2の冶具の材料をポリテトラフルオロエチレンに変更したこと以外は、実施例1と同様にして栓体を10個作製した。
【0152】
(比較例1)
第2の冶具を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして栓体を10個作製した。
【0153】
(評価)
<キャップ部材の変形及び破損>
得られた栓体におけるキャップ部材を、目視にて観察した。
【0154】
[キャップ部材の変形及び破損の判定基準]
○:変形又は破損が観察されたキャップ部材の個数が10個中、1個以下
△:変形又は破損が観察されたキャップ部材の個数が10個中、2個以上8個以下
×:変形又は破損が観察されたキャップ部材の個数が10個中、9個以上
【0155】
構成及び結果を表1に示す。
【0156】
【符号の説明】
【0157】
1…第1の冶具
1a…上面
1a1…凹部
1b…壁部
2…第2の冶具
3…圧入用部材
3a…開口端
4…キャップ部材
4a…天板部
4a1…開口
4b…開口端
4c…凸部
4d…リブ
5…栓本体
5a…把持部
5a1…凹部
5b…小径部
6…栓体
21…貫通穴
21a…テーパー部
21b…小径部
21c…大径部
P…貫通方向
Q…傾斜方向