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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】サーバ及びスイッチシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20220928BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20220928BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/165
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019021303
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020129468
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.公開場所:岩崎電気株式会社内ウェブサイト 公開者名:岩崎電気株式会社 掲載日:平成31年1月29日 2.刊行物名:「IoTスマートスイッチ Link-S2」リーフレット 公開者名:岩崎電気株式会社 公開日:平成31年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】511012662
【氏名又は名称】NetCONNECT株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】徳永 隆也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 公啓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信一
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 航介
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-166095(JP,A)
【文献】特開2017-22058(JP,A)
【文献】特開2011-113691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバであって、
指令信号を受信する通信部と、
複数の照明器具又は換気扇にそれぞれ対応して壁スイッチ部を構成する複数のスイッチの第1のタイプのグループの設定情報及び前記複数のスイッチの第2のタイプのグループの設定情報を記憶する記憶部と、
前記指令信号が前記第1のタイプのグループに含まれる各スイッチを指定する個別制御指令信号である場合には前記スイッチを第1の指令対象スイッチとして特定し、前記指令信号が前記第2のタイプのグループのうちの各グループを指定するグループ制御指令信号である場合には前記グループに含まれる全てのスイッチを第2の指令対象スイッチとして特定し、前記第1又は第2の指令対象スイッチの各々が属する前記第1のタイプのグループに含まれる全てのスイッチを制御対象スイッチとして決定する制御対象決定部と、
前記制御対象スイッチを制御するための制御信号を生成して該制御信号を前記通信部から前記制御対象スイッチに送信する制御信号生成部と
を備えるサーバ。
【請求項2】
ユーザ端末からの前記指令信号が受信される場合に、前記制御対象決定部又は前記制御信号生成部が、前記制御対象スイッチを示す制御確認信号を、前記制御信号の送信の前に前記通信部から前記ユーザ端末に送信するように構成された、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記通信部によって受信されたユーザ端末からの設定信号に応じて、前記第1のタイプのグループ又は前記第2のタイプのグループを設定するグループ設定部をさらに備えた請求項1又は2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記グループ設定部は、設定信号によって指定された前記第1又は第2のタイプのグループに含まれる全てのスイッチの各々が属する前記第1のタイプのグループに含まれる全てのスイッチを示す設定確認信号を、前記第1又は第2のタイプのグループの設定前に、前記通信部から前記ユーザ端末に送信させるように構成された、請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記制御信号生成部は、前記制御対象スイッチとして複数のスイッチが決定された場合であって前記制御信号が前記制御対象スイッチをオンするための信号である場合に、前記複数のスイッチの制御タイミングを異ならせるように構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記制御信号生成部は、前記制御対象スイッチとして複数のスイッチが決定された場合に、前記制御対象スイッチのうちの前記指令対象スイッチ以外のスイッチに対する前記制御信号のタイミングを、前記指令対象スイッチに対する前記制御信号の送信のタイミングよりも遅らせるように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項7】
前記複数のスイッチの一部又は全部が照明スイッチであり、前記制御信号が前記照明器具を点灯又は消灯させるための信号である、請求項1から6のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のサーバと、複数の壁スイッチ部とを含むスイッチシステムであって、
前記複数の壁スイッチ部の各々が、
ユーザ操作に応じて前記個別制御指令信号を生成する少なくとも1つの前記スイッチと、
前記個別制御指令信号を前記サーバに送信し、又は前記制御信号を前記サーバから受信する通信回路と、
前記スイッチに対応する照明器具又は換気扇への給電線を開閉する切換回路と、
前記個別制御指令信号又は前記制御信号に基づいて前記切換回路の開閉を制御する制御回路と
を備える、スイッチシステム。
【請求項9】
前記個別制御指令信号又は前記グループ制御指令信号を前記サーバに送信するユーザ端末をさらに含む請求項8に記載のスイッチシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ及びそれを用いたスイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のシステムは、検知装置、制御装置及び管理装置(センタサーバ)を有する。制御装置は、照明装置を遠方から操作する遠隔操作の機能を実現する。例えば、利用者が使用する端末装置等が照明装置の遠隔制御を行うと、制御装置はネットワークを介してセンタサーバや端末装置から制御信号を受信する。また、利用者が照明スイッチを操作すると、照明装置が無線通信を介して点消灯制御されるとともに、照明装置が点灯又は消灯された旨の検知結果が無線通信を介して制御装置に送信される。そして、制御装置は、センタサーバ又は端末装置から制御信号を受信すると、無線通信を介して照明装置の制御を行う。また、検知装置は、照明スイッチ又はセンサであり、照明装置が操作されたか否かなどを検知する。制御装置は、通信を介して検知装置から検知結果を取得する。照明装置及びそれに対する操作を受け付けるスイッチは、無線LANなどの無線通信機能を有する。
【0003】
特許文献2のIoT(モノのインターネット)ベースの照明制御装置は、インターネットを介してユーザの制御端末装置と通信して照明装置又は照明装置グループを制御する制御管理サーバを含む。この照明制御装置では、制御管理サーバは、照明装置を個別又はグループ別に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-021754号公報
【文献】特開2017-204458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成のシステムでは、照明スイッチ間(すなわち、照明装置間)の複数種類のグループ化が考慮されておらず、多数の照明装置をユーザの使用態様に合わせて多様かつ柔軟に設定及び制御することができない。特に住宅用の照明器具などの機器について、住宅の構造上の観点から潜在的に連動することが好ましい機器もあれば、ユーザ(すなわち、居住者)の動線、生活スタイル、住宅の使用状況などの観点から柔軟な連動が望まれる機器もある。さらに、一般的なユーザは、宅内の照明器具などの機器の配置、スイッチ仕様、動作仕様などといった機器の性質を全て把握しているとは限らないため、その知識の不足を補うような機器制御の実行が望ましい場合もある。したがって、照明器具などの機器の連動制御、グループ制御などを適切に設定及び実行可能とするスイッチシステムが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、照明器具などの機器の連動制御、グループ制御などを機器の性質に応じて適切に設定及び実行することを可能とするスイッチシステム及びそれを実現するサーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様のサーバは、指令信号を受信する通信部と、複数の照明器具又は換気扇にそれぞれ対応して壁スイッチを構成する複数のスイッチの第1のタイプのグループの設定情報及び複数のスイッチの第2のタイプのグループの設定情報を記憶する記憶部と、指令信号が第1のタイプのグループに含まれる各スイッチを指定する個別制御指令信号である場合には当該物理スイッチを第1の指令対象スイッチとして特定し、指令信号が第2のタイプのグループのうちの各グループを指定するグループ制御指令信号である場合には当該グループに含まれる全てのスイッチを第2の指令対象スイッチとして特定し、第1又は第2の指令対象スイッチの各々が属する第1のタイプのグループに含まれる全てのスイッチを制御対象スイッチとして決定する制御対象決定部と、制御対象スイッチを制御するための制御信号を生成して制御信号を通信部から制御対象スイッチに送信する制御信号生成部とを備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のサーバと、複数の壁スイッチユニットとを含むスイッチシステムである。複数の壁スイッチユニットの各々は、ユーザ操作に応じて個別制御指令信号を生成する少なくとも1つのスイッチと、個別制御指令信号をサーバに送信し、又は制御信号をサーバから受信する通信回路と、スイッチに対応する照明器具又は換気扇への給電線を開閉する切換回路と、個別制御指令信号又は制御信号に基づいて切換回路の開閉を制御する制御回路とを備える。また、スイッチシステムは、個別制御指令信号又はグループ制御指令信号をサーバに送信するユーザ端末を含み得る。
【0009】
上記構成のサーバ及びスイッチシステムによると、個別制御指令信号又はグループ制御指令信号に直接関与する指令対象スイッチだけでなく、指定対象スイッチが第1のタイプのグループにおいて関与するスイッチが制御対象スイッチに含まれる。すなわち、ユーザの意思に起因する個別制御指令信号又はグループ制御指令信号によって直接特定されるスイッチに加えて、潜在的に連動制御されることが好ましいスイッチが補完的に制御対象に含まれ、これに対応する照明器具などの機器が制御される。したがって、照明器具などの機器の連動制御、グループ制御などを機器の性質に応じて適切に設定及び実行することを可能とするスイッチシステム及びそれに用いるサーバが実現される。
【0010】
また、ユーザ端末から指令信号が受信される場合に、制御対象決定部又は制御信号生成部が、制御対象スイッチを示す制御確認信号を、制御信号の送信の前に通信部からユーザ端末に送信するように構成されてもよい。これにより、各グループの構成を正確に把握していないユーザであっても、誤認なく機器の制御を実行することができる。
【0011】
また、サーバは、通信部によって受信されたユーザ端末からの設定信号に応じて、第1のタイプのグループ又は第2のタイプのグループを設定するグループ設定部を備える。これにより、両タイプのグループが柔軟に設定又は変更可能となる。
【0012】
ここで、グループ設定部は、設定信号で指定された第1又は第2のタイプのグループに含まれる全てのスイッチの各々が属する第1のタイプのグループに含まれる全てのスイッチを示す設定確認信号を、第1又は第2のタイプのグループの設定前に、通信部からユーザ端末に送信するように構成されてもよい。これにより、機器の配置、動作仕様などを正確に把握していないユーザであっても、第1又は第2のタイプのグループを適切に設定することができる。
【0013】
また、制御信号生成部は、制御対象スイッチとして複数のスイッチが決定された場合であって制御信号が制御対象スイッチをオンする信号である場合に、複数のスイッチの制御タイミングを異ならせるように構成されてもよい。これにより、複数の制御対象スイッチを介して複数の機器に投入される突入電流のピークが低減され、電源設備の負担が軽減される。
【0014】
また、制御信号生成部は、制御対象スイッチとして複数のスイッチが決定された場合に、制御対象スイッチのうちの指令対象スイッチ以外のスイッチに対する制御信号のタイミングを、指令対象スイッチに対する制御信号の送信のタイミングよりも遅らせるように構成されてもよい。これにより、ユーザは、制御対象スイッチに対応する機器のうち、指令対象スイッチに対応する機器とそれ以外の機器とを感覚的に識別することができ、ユーザにおけるグループ設定内容の学習及び記憶が促進される。
【0015】
上記各態様において、例えば、複数のスイッチの一部又は全部が照明スイッチであり、制御信号が照明器具を点灯又は消灯させるための信号である。これにより、上記効果を奏する照明スイッチシステム用のサーバ及び照明スイッチシステムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態によるスイッチシステムのブロック図である。
図2】実施形態におけるスイッチユニットの外観図である。
図3】実施形態によるスイッチシステムの制御を説明する概略図である。
図4】実施形態によるスイッチシステムの制御を説明する概略図である。
図5】実施形態によるスイッチシステムにおけるサーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
図1に、本発明の実施形態によるスイッチシステム1のブロック図を示す。スイッチシステム1は、サーバ2、スイッチユニット(壁スイッチ部)3-1~3-m、機器4-1~4-n、無線LANルータ5及びユーザ端末6を含み、IoTスイッチシステムを構成する。サーバ2は住宅Hの遠隔に配置され、スイッチユニット3-1~3-m、機器4-1~4-n及び無線LANルータ5は住宅Hの内部に又は住宅Hに近接して配置される。ユーザ端末6は住宅Hの内部(すなわち宅内)に存在する場合もあれば、住宅Hの外部(すなわち外出先などの宅外)に存在する場合もある。実際には、1つのサーバ2に対して多数の住宅H及びユーザ端末6が存在することが想定されるが、本実施形態では説明のために1組の住宅H及びユーザ端末6に関して説明する。
【0018】
詳細を後述するように、本実施形態では、スイッチユニット3-1~3-mの全部又は大部分は照明スイッチであり、機器4-1~4-nの全部又は大部分は照明器具である。したがって、スイッチシステム1は、全体として照明スイッチシステムを構成する。なお、本開示において、スイッチユニット3-1~3-mを総称して又はいずれか1つを代表してスイッチユニット3というものとし、特に断りがない限り、各スイッチユニット3は実質的に同じ機能ブロックを有するものとする。また、機器4-1~4-nを総称して又はいずれか1つを代表して機器4というものとする。
【0019】
スイッチユニット3は、スイッチ31a、スイッチ31b、センサ32、通信回路33、制御回路34及び切換回路35を備える。また、スイッチ31a及び31b並びにその他のスイッチ(後述のスイッチ31A~31Jなど)を総称して又はいずれか1つを代表してスイッチ31というものとする。
【0020】
スイッチ31は、ユーザ操作を受け付けるための押下部などの物理スイッチである。スイッチ31は、ユーザ操作(プッシュ操作)に応じてオン/オフ信号である指令信号(後述の個別制御指令信号)を生成する。センサ32は、例えば赤外線 焦電型赤外センサ素子、CCD撮像素子などからなる人感センサであり、検知エリア内の人体の在/不在に応じて在/不在信号を出力する。例えば、センサ32からの在信号に応じて機器4-1及び4-2がオン(点灯)され、不在信号に応じて所定の遅延時間経過後に機器4-1及び4-2がオフ(消灯)されるように設定される。
【0021】
通信回路33は、スイッチ31が生成した指令信号及びセンサ32が出力した在/不在信号を無線LANルータ5に送信する。また、通信回路33は、無線LANルータ5から制御信号を受信する。切換回路35は、給電線Lと給電線Laとの接続状態及び給電線Lと給電線Lbとの接続状態をそれぞれ切り換えるリレー回路である。給電線La及びLbは、機器4-1及び4-2にそれぞれ接続される。
【0022】
制御回路34は、スイッチ31から出力された指令信号(オン/オフ指令信号)、センサ32から出力された在/不在信号、又は通信回路33で受信された制御信号(オン/オフ制御信号)に基づいて、切換回路35を制御する。スイッチ31aからのオン指令信号、スイッチ31aに対するオン制御信号、又は在信号が入力された場合、制御回路34は切換回路35に給電線Lと給電線Laの間を閉成させ、機器4-1への給電を投入する。これにより、機器4-1がオン(点灯)する。同様に、スイッチ31bからのオン指令信号、スイッチ31bに対するオン制御信号、又は在信号が入力された場合、制御回路34は切換回路35に給電線Lと給電線Lbの間を閉成させ、機器4-2への給電を投入する。これにより、機器4-2がオン(点灯)する。スイッチ31aからのオフ指令信号、スイッチ31aに対するオフ制御信号、又は不在信号が入力された場合、制御回路34は(必要に応じて遅延をもたせて)切換回路35に給電線Lと給電線Laの間を開成させ、機器4-1への給電を遮断する。これにより、機器4-1がオフ(消灯)する。同様に、スイッチ31bからのオフ指令信号、スイッチ31bに対するオフ制御信号、又は不在信号が入力された場合、制御回路34は(必要に応じて遅延をもたせて)切換回路35に給電線Lと給電線Lbの間を開成させ、機器4-2への給電を遮断する。これにより、機器4-2がオフ(消灯)する。
【0023】
スイッチユニット3は、例えば、図2に示すような壁スイッチである。図2に示すように、スイッチユニット3は、スイッチプレート300、スイッチ31に対応する操作部301及び302、並びにセンサ32に対応するセンサ部305を備える。操作部301及び302には、必要に応じて、それぞれインジケータ303及び304(例えば、LED)が設けられる。インジケータ303及び304は、例えば、それぞれ操作部301及び302に対応する機器4-1及び4-2が点灯している場合には消灯し(又は赤色で点灯し)、当該機器が消灯している場合には(例えば緑色で)点灯するように構成される。センサ部305には、人感センサのカバー306及び通信接続確認用のインジケータ307(例えばLED)が設けられる。インジケータ307は、例えば、無線LANルータ5との無線通信接続(Wi-Fi接続)が確立されている場合には点灯し、それ以外の場合には消灯するように構成される。本実施形態では、インジケータ307は、センサ部305に設けられるが、他の箇所に設けられてもよい。
【0024】
機器4は、例えば照明器具であり、点灯装置41及び光源42を含む。点灯装置41は、一般的な照明用安定器であり、交流電源ACからの入力交流電圧を所定の出力電流に変換してその出力電流を光源42に供給する。例えば、光源42がLEDである場合、点灯装置41は整流回路及びDC/DCコンバータを備える電子安定器である。また、光源42が放電灯である場合、点灯装置41は整流回路及びDC/ACコンバータを備える電子安定器又は銅鉄コイルを備える磁気式安定器である。また、点灯装置41と光源は一体化されて電球形照明器具を形成してもよい。照明器具としての機器4についての上記説明は他の機器4についても当てはまるが、機器4-1~4-nは相互に同種であっても異種であってもよい。なお、1つのスイッチユニットが1個又は3個以上のスイッチ31を備える場合もあり、機器4の接続数nは、スイッチユニット3の設置数mの2倍になるとは限らない。また、機器4は、照明器具に限らず、換気扇、電動ブラインド、電動シャッターなどであってもよい。いずれの場合であっても、機器4は給電のオン/オフのみでその動作状態が制御される機器であればよく、スイッチシステム1のために特殊な機器4を導入する必要はない。
【0025】
無線LANルータ5は、スイッチユニット3(通信回路33)及びユーザ端末6(通信部61)と無線接続可能に構成され、インターネットなどの通信ネットワークNを介してサーバ2(通信部21)と通信可能に構成される。無線LANルータ5とスイッチユニット3及びユーザ端末6とは、Wi-Fi(登録商標)通信によって接続される。すなわち、無線LANルータ5は、通信回路33のWi-FiSoCとWi-Fi通信可能なWi-Fiルータである。無線LANルータ5とサーバ2とは3G、4G、LTEなどによって接続され、必要に応じて無線LANルータ5と通信ネットワークNとの間にモデムが接続されてもよい。このように、一般的に普及しているWi-Fi規格を用いることにより、すなわち、一般家庭に普及し得るWi-Fiルータを無線LANルータ5として利用することにより、スイッチシステム1の汎用性が確保される。
【0026】
サーバ2は、例えばクラウドサーバであり、通信部21、記憶部22、処理部23、制御対象決定部24、制御信号生成部25及びグループ設定部26を含む。これらの各部は相互に信号及びデータのやり取りが可能な態様で接続されているものとする。通信部21は、一般的な通信装置であればよく、無線LANルータ5及びユーザ端末6と通信ネットワークNを介して通信可能である。、処理部23、制御対象決定部24、制御信号生成部25及びグループ設定部26の各々はCPUを構成し得る。
【0027】
記憶部22には、各受信信号及び送信信号に含まれるアドレスと、各スイッチ31と(必要に応じて各機器4と)の対応関係が予め記憶されている。さらに、記憶部22には、センサ32の各々に対応する検出エリアを示す検出エリア情報が記憶される。また、記憶部22は、スイッチ31の第1のタイプのグループ(以下、「ハードグループ」という)の設定情報及びスイッチ31の第2のタイプのグループ(以下、「ソフトグループ」という)の設定情報の二種類の設定情報を記憶する。ハードグループ及びソフトグループに関しては、詳細を後述する。
【0028】
また、記憶部22は、データベースとして機能し、大量のデータをビックデータとして蓄積することができる。このビックデータには、通信部21で受信された指令信号、在/不在信号、後述の設定信号、その他各種信号の全ての記録(すなわちログ)が含まれ得る。さらに、ビックデータには、通信部21から送信された制御信号、後述の通知信号、その他各種信号の全てのログも含まれ得る。
【0029】
処理部23は、サーバ2内の各部の統括制御、計時、通信部21の通信制御など、一般的なクラウドサーバの処理機能を実行し得る。言い換えると、処理部23は、制御対象決定部24、制御信号生成部25及びグループ設定部26の機能以外の各種機能を実行し得る。また、処理部23は、記憶部22に蓄積されたビックデータの個数処理など、統計的処理を行うことができる。
【0030】
制御対象決定部24は、通信部21によってスイッチユニット3(スイッチ31)又はユーザ端末6から受信された指令信号に基づいて、指令信号によって指定される指令対象スイッチを特定し、その指令対象スイッチに基づいて制御対象スイッチを決定する。この指令信号、指令対象スイッチの特定及び制御対象スイッチの決定については、詳細を後述する。
【0031】
制御信号生成部25は、制御対象決定部24によって決定された制御対象スイッチを制御するための制御信号を生成する。この制御信号には、少なくとも、制御対象スイッチのアドレス(又はID)及び制御の内容(オン/オフ)が含まれる。また、制御信号生成部25は、通信部21によって在/不在信号が受信された場合には、対応するスイッチ31に対するオン制御信号/遅延付きオフ制御信号を生成及び送信する。制御信号生成部25は、これらの制御信号を通信部21から送信させる。すなわち、制御信号生成部25の制御下で、制御信号は、通信部21から通信ネットワークN及び無線LANルータ5を介して制御対象のスイッチ31に送信される。
【0032】
ここで、図3を用いて、ハードグループ及びソフトグループの定義について説明する。なお、図3の具体例は、説明のための一例にすぎない。図3において、丸で示された要素31A~31Gは関連するスイッチ31(スイッチ31A~31G)に対応する。スイッチ31A~31Gのオン/オフ制御によって、機器4としての照明器具4A~4Gがそれぞれ点灯/消灯されるものとする。なお、ユーザ視点では、照明器具4A~4Gを制御することになるが、サーバ2からはスイッチ31A~31Gを制御することになるため、以下の説明ではスイッチ31A~31Gの制御について説明し、これに対応する照明器具4A~4Gに関する記載を省略する。ハードグループH1及びH2が実線ブロックで示され、ソフトグループS1~S3が破線ブロックで示される。ハードグループH1はスイッチ31A及び31Bを含み、ハードグループH2はスイッチ31E及び31Fを含む。ソフトグループS1はスイッチ31A及び31Cを含み、ソフトグループS2はスイッチ31C及び31Dを含み、ソフトグループS3はスイッチ31B及び31Eを含む。スイッチ31Gは、いずれのグループにも属さない。
【0033】
ハードグループにおいては、当該ハードグループに含まれるスイッチ31のうちの1つ以上が選択されて指令対象となった場合に、当該指令対象となったスイッチ31及び当該ハードグループに含まれる残余のスイッチ31(すなわち、当該ハードグループ内の全スイッチ31)が制御対象となる。言い換えると、あるハードグループにおいて1つのスイッチが制御される際に、そのハードグループ内の全てのスイッチが連動制御される。例えば、住宅Hの構造上の観点から潜在的に連動することが好ましい機器4(例えば、1階と2階の間の階段の1階付近の照明器具と2階付近の照明器具など)に対応するスイッチ31がハードグループとして設定され得る。
【0034】
ソフトグループにおいては、あるソフトグループが選択されて指令対象となると、当該ソフトグループ内の全てのスイッチ31が制御対象となる。ただし、ハードグループとは異なり、当該ソフトグループに含まれるスイッチ31が個別に指令対象となった場合、当該指令対象となったスイッチ31のみが制御対象となり、当該ソフトグループ内の他のスイッチ31の制御は連動しない。例えば、ユーザ(すなわち、居住者)の動線、生活スタイル、住宅の使用状況などの観点から柔軟な連動が望まれる機器4に対応するスイッチ31がソフトグループとして設定され得る。また、ユーザが外出する際に住宅H内の全ての機器4をオフしたい(特に、照明器具を全て消灯したい)場合があることを考慮して、住宅Hの全機器4(全スイッチ3)をオフするようなソフトグループが設定されてもよい。
【0035】
(1)個別制御の場合
以下に、サーバ2が受信する指令信号が個別制御指令信号である場合、すなわち、個別制御指令信号によってスイッチ31A~31Gの各々が個別に選択及び指定される場合について説明する。個別制御指令信号は、スイッチユニット3(スイッチ31)又はユーザ端末6の操作によって生成及び送信される。以下に、左列から、指令対象スイッチ、制御対象スイッチ及び適用されるハードグループ(HG)を示す(個別制御ではソフトグループは関与しない)。なお、スイッチ及びグループとも符号のみを示す。
指令対象スイッチ 制御対象スイッチ 適用HG
31A 31A、31B H1
31B 31A、31B H1
31C 31C
31D 31D
31E 31E、31F H2
31F 31E、31F H2
31G 31G
このように、ハードグループに含まれるスイッチ31の一方のみが制御対象となることはなく、必ず当該ハードグループに含まれる全てのスイッチ31が制御対象となる。なお、同時に複数のスイッチ31が選択及び指定されてもよい。
【0036】
(2)グループ制御の場合
以下に、サーバ2が受信する指令信号がグループ制御指令信号である場合、すなわち、グループ制御指令信号によってソフトグループS1~S3の各々が選択及び指定された場合について説明する。グループ制御指令信号は、ユーザ端末6の操作によって生成及び送信される(スイッチユニット3はグループ制御指令信号を生成しない)。以下に、左列から、指定に係るソフトグループ(SG)、指令対象スイッチ、制御対象スイッチ及び適用されるハードグループを示す。なお、スイッチ及びグループとも符号のみを示す。
指定SG 指令対象スイッチ 制御対象スイッチ 適用HG
S1 31A、31C 31A、31C、31B H1
S2 31C、31D 31C、31D なし
S3 31B、31E 31B、31E、31A、31F H1、H2
このように、指令対象スイッチが属するハードグループに含まれる全てのスイッチ31が制御対象となる。なお、図3には明記していないが、全てのスイッチ31A~31Gを一括して指令対象として指定するソフトグループが設けられてもよい。なお、同時に複数のソフトグループが選択及び指定されてもよい。
【0037】
なお、制御対象決定部24又は制御信号生成部25は、ユーザ端末6からの指令信号に対する制御対象スイッチを示す制御確認信号を通信部21からユーザ端末6に送信してもよい。この場合、制御確認信号を受信したユーザ端末6は、制御対象スイッチ(又は制御対象となる機器4)の制御実行の可否を問うボタン(例えば、「制御を実行しますか?」、「はい」、「いいえ」)などをタッチパネルに表示する。これに対して、ユーザ端末6は、ユーザによって入力された制御実行可否の回答を示す制御確認応答信号をサーバ2に送信する。制御対象決定部24又は制御信号生成部25は、制御確認応答信号を受けて制御対象スイッチを確定する。例えば、個別制御指令信号においてスイッチ31Aが指令対象である場合に、制御確認信号はスイッチ31A及び31Bが制御対象となることを示す。また、グループ制御指令信号においてソフトグループS1が指令対象である場合に、制御確認信号はスイッチ31A、31B及び31Cが制御対象となることを示す。これにより、複雑に設定されたハードグループ又はソフトグループに対しても、ユーザは制御対象スイッチを正しく把握して的確な制御を実行することができる。
【0038】
グループ設定部26は、通信部21によってユーザ端末6から受信された設定信号に基づいて、ハードグループ及びソフトグループの設定処理を行う。また、グループ設定部26は、設定信号において指示されたグループ設定の制御が実行されたとした場合に、特に既存の他のハードグループの存在に基づいて、いずれのスイッチ31(機器4)がグルーピングされるのか、又は制御対象となるのかを示す設定確認信号をユーザ端末6に送信してもよい。この場合、設定確認信号を受信したユーザ端末6は、結果として得られるグループ設定の設定可否を問うボタン(例えば、「設定を決定しますか?」、「はい」、「いいえ」)などをタッチパネルに表示する。これに対して、ユーザ端末6は、ユーザから入力された設定可否の回答を示す設定確認応答信号をサーバ2に送信する。グループ設定部26は、設定確認応答信号を受けてグループ設定を確定する。
【0039】
例えば、図3の例において、スイッチ31B及び31G(照明器具4B及び4G)を新たなハードグループとして設定する場合を想定する。この場合、ユーザは、スイッチ31A(照明器具4A)の存在又はハードグループH1の存在を忘れている可能性がある。また逆に、ユーザは、他のスイッチ31E(照明器具4E)など、スイッチ31Bが属するハードグループH1とは無関係のスイッチ(照明器具)がスイッチ31B(照明器具4B)と連動するはずだと誤認している可能性もある。したがって、上記ハードグループ設定の結果として、スイッチ31A、31B及び31G(照明器具4A、4B及び4G)がハードグループ設定され、すなわち、拡大されたハードグループH1として連動制御されることが、設定確認信号によって示される。すなわち、グループ設定部26は、設定信号によって指定されるハードグループに含まれるスイッチ31の各々が属するハードグループに含まれる全てのスイッチ31を示す設定確認信号を生成する。
【0040】
また、図3の例において、スイッチ31B及び31G(照明器具4B及び4G)を新たなソフトグループとして設定する場合を想定する。この場合も、ユーザは、スイッチ31A(照明器具4A)の存在又はハードグループH1の存在を忘れている可能性がある。また逆に、ユーザは、他のスイッチ31E(照明器具4E)など、スイッチ31Bが属するハードグループH1とは無関係のスイッチ(照明器具)がスイッチ31B(照明器具4B)と連動するはずだと誤認している可能性もある。したがって、上記新たなソフトグループのグループ制御を実行すると、スイッチ31B及び31G(照明器具4B及び4G)だけでなくスイッチ31A(照明器具4A)も連動制御されることが、設定確認信号に示される。すなわち、グループ設定部26は、設定信号によって指定されるソフトグループに含まれるスイッチ31の各々が属するハードグループに含まれる全てのスイッチ31を示す設定確認信号を生成する。
【0041】
各グループの設定は、ユーザ端末6からユーザによって任意に設定され得るが、ハードグループは、必然的に連動することが望まれる機器4をグルーピングするために設定され得る。例えば、宅内の1階と2階の間の階段において、1階側の照明器具及び2階側の照明器具(さらにはその階段に繋がる踊り場の照明器具、廊下の照明器具など)がハードグループとしてグルーピングされ得る。また、帰宅時の状況を想定して、玄関の照明器具及び玄関に繋がる廊下の照明器具がハードグループとしてグルーピングされ得る。また、ハードグループは、一般的に連動制御が望まれるグループである場合が多いことから、スイッチシステム1の導入時に施工業者などによって設定されてユーザ(住宅Hの居住者)に対するデフォルト設定とされてもよい。
【0042】
一方、ソフトグループは、状況に応じてまとめて制御されることが望まれる機器4をグルーピングするために設定され得る。例えば、帰宅時の動線を考慮して、玄関からリビングまでに配置される照明器具がソフトグループとしてグルーピングされ得る(ユーザが玄関先からユーザ端末6を用いてグループ制御指令信号を送信することが想定される)。また、一家団欒の状況を考慮してダイニングキッチンの照明器具及びリビングの照明器具がソフトグループとしてグルーピングされ得る(ユーザがダイニングキッチン又はリビングからユーザ端末6を用いてグループ制御指令信号を送信することが想定される)。あるいは、夜間のトイレの状況を考慮して、寝室からトイレまでに配置される照明器具がソフトグループとしてグルーピングされ得る(ユーザが寝室からユーザ端末6を用いてグループ制御指令信号を送信することが想定される)。あるいは、防犯目的で在宅を装うために、1階のいずれかの照明器具及び2階のいずれかの照明器具がソフトグループとしてグルーピングされ得る(ユーザが外出先などの遠隔からユーザ端末6を用いてグループ制御指令信号を送信することが想定される)。
【0043】
また、ソフトグループは、多数のスイッチ31の設定又は制御を統括する場合にも利用され得る。例えば、図4の例では、ハードグループH1がスイッチ31A及び31Bを含み、ハードグループH2がスイッチ31C~31Eを含み、ハードグループH3がスイッチ31F~31Hを含み、ハードグループH4がスイッチ31I及び31Jを含む。なお、各ハードグループは、単一のスイッチユニット3に対応していてもいなくてもよい。例えば、スイッチ31C、31D及び31Eは、別個の場所に配置されたスイッチ(例えば、階段1階側の照明器具、階段2階側の照明器具及び2階廊下の照明器具にそれぞれ対応するスイッチ)であってもよいし、1つのスイッチユニット3に含まれる3個のスイッチであってもよい。ここで、ユーザはスイッチ31A~31Hを連動制御させたいものとする。この場合、ユーザは、スイッチ31A、31C及び31FをソフトグループS1として設定してソフトグループS1を制御すれば、ハードグループH1~H3に起因してスイッチ31A~31Hが連動制御することになる。このようなソフトグループ設定を用いることにより、グループ設定の状況において、8個のスイッチ31A~31Hを逐一選択してグループ設定する必要がなく、迅速かつ簡易な設定が可能となる。また、制御の状況においても、ハードグループH1~H3を逐一選択する必要がなく、あるいは全スイッチ31A~31Jを一括制御してからハードグループH4の制御を元に戻す必要もなく、迅速かつ簡易な制御が可能となる。
【0044】
また、制御信号生成部25は、複数の制御対象スイッチが存在する場合に、複数の制御対象スイッチに対する制御信号の送信タイミング間に時間差を設けてもよい。すなわち、制御信号生成部25は、制御信号に対して設定されたそれぞれのタイミングで制御信号の送信を行う。特に、制御がオン制御である場合に、複数の機器4への突入電流が同時に発生することが防止され、すなわち、住宅H全体としての突入電流のピークを低減でき、これは電源設備の保守上望ましい。上記時間差は、サーバ2におけるデフォルト設定として設定され得る。
【0045】
また、制御信号生成部25は、制御対象スイッチに対する制御信号のうち、指令対象スイッチに対する制御信号の送信タイミングよりも残余の制御信号の送信タイミングが後になるような比較的短い時間差(例えば、0.1~1秒程度)を設けてもよい。これにより、ユーザ(ユーザ端末6)が宅内に存在する場合などに、ユーザは、直接指令を及ぼした機器4(照明器具)とそれに対して連動制御される機器4(照明器具)とを視覚的に判別することができる。この視覚的判別の効果は、機器4としての照明器具が点灯される場合だけでなく消灯される場合にも得られる。あるいは、ユーザ(ユーザ端末6)が宅外に存在する場合などに、制御対象スイッチに対する制御信号が所定の順序(例えば、生活上の動線に沿った順序)で比較的長い時間差(例えば、数秒~数分)で制御されるようにしてもよい。これにより、制御が機器4(照明器具)の点灯又は消灯である場合に、宅外からは、いかにも宅内に住人が存在しているかのように見え、高い防犯効果が実現され得る。上記の比較的短い時間差は、サーバ2におけるデフォルト設定として設定され得る。また、上記の比較的長い時間差は、ユーザ端末6におけるユーザ操作に応じてグループ設定部26によって設定され得る。
【0046】
ユーザ端末6は、例えば、スマートフォン又はタブレットなどの携帯端末である。ユーザ端末6は、通信部61、CPU62、メモリ63及び入出力インターフェース(I/F)64を備える。通信部61は、サーバ2(通信ネットワークN及び通信部21)及び無線LANルータ5と通信可能な一般的な通信手段であればよい。CPU62及びメモリ63は、一般的なコンピュータを構成するプロセッサ及びメモリであり、メモリ63には必要なアプリケーションのプログラムが既にインストールされているものとし、CPU62はそのプログラムを実行可能であるものとする。入出力I/F64は、タッチパネルからなる表示画面である(以下、「タッチパネル64」ともいう)。
【0047】
ユーザ端末6は、所定のアプリケーション(以下、「アプリ」という)において指令信号、設定信号、制御確認応答信号、設定確認応答信号などを送信することができ、制御確認信号、設定確認信号、現状通知信号、監視通知信号などを受信することができる。住宅H付近のユーザ端末6とサーバ2との間で送受信される上記各信号は、無線LANルータ5及び通信ネットワークNを介して転送される。住宅Hの遠隔にあるユーザ端末6とサーバ2との間で送受信される上記各信号は、通信ネットワークNを介して通信される。
【0048】
指令信号は、上述したように、個別制御指令信号及びグループ制御指令信号を含む。
ユーザが個別制御指令を行う場合には、例えば、タッチパネル64に「リビング」、「ダイニング」、「ベッドルーム」などの文字が記されたアイコンが表示され、このアイコンに対するユーザのタッチ操作に応じて個別制御指令信号が生成及び送信される。また、各アイコンに現在の制御状態を示すインジケータが設けられる。このインジケータは、スイッチユニット3に関して説明したインジケータ303及び304と同様の態様で表示され得る。すなわち、対応するアイコンのインジケータは、現状がオン状態(点灯状態)である場合には赤色表示(又は黒色、灰色若しくは白色表示)され、現状がオフ状態(消灯状態)である場合には緑色表示され得る。また、ユーザがグループ制御指令を行う場合には、例えば、タッチパネル64に「全体」、「グループ1」、「グループ2」などの文字が記されたアイコンが表示され、このアイコンに対するユーザのタッチ操作に応じてグループ制御指令信号が生成及び送信される。
【0049】
なお、指令信号は、上記のようにユーザによるユーザ端末6のマニュアル操作に従って送信されるものであってもよいし、ユーザがユーザ端末6において予め設定されたスケジュール(タイマ設定)に従って送信されるものであってもよい。あるいは、このスケジュールはサーバ2の記憶部22に記憶され、スケジュールの実行はユーザ端末6の動作とは無関係にサーバ2単体で実行されてもよい。
【0050】
現状通知信号は、サーバ2が機器4の現状の制御状態をユーザ(ユーザ端末6)に通知するための信号である。現状通知信号がサーバ2からユーザ端末6に送信されるタイミングは、アプリの起動時、アプリがアクティブである場合の定期的な時間毎、アプリがアクティブである場合の機器4の制御状態の変化発生時、又はユーザからの問合せ信号の受信時となり得る。ユーザ端末6が現状通知信号を受信した場合、CPU62は、アプリにおいて、現状通知信号に示される機器4-1~4-nの現状の制御状態(点消灯状態)をタッチパネル64に表示させることができる。例えば、上記のインジケータのアイコンにおいて現状の制御状態が表示され得る。あるいは、タッチパネル64において、住宅Hの内部の地図表示(すなわち、間取り図)に現状の点消灯状態を示す表示が重ねられて表示されてもよいし、宅内の部屋の名称と、それに対応する現状の点消灯状態とがテキストなどによってリスト表示されてもよい。現状通知信号に基づく表示によって、特に住宅Hの遠隔に存在するユーザは、現状の機器の制御状態に応じて、どのような指令信号を送信すべきか、又はその指令信号を送信すべきか否かを適切に判断することができる。
【0051】
監視通知信号は、サーバ2がセンサ32の現状の検知状態をユーザ(ユーザ端末6)に通知するための信号である。監視通知信号がサーバ2からユーザ端末6に送信されるタイミングは、アプリの起動時、アプリがアクティブである場合の定期的な時間毎、アプリがアクティブである場合のセンサ32の検知状態の変化発生時、又はユーザからの問合せ信号の受信時となり得る。ユーザ端末6が監視通知信号を受信した場合、CPU62は、アプリにおいて、監視通知信号に示される検知エリア及び検知状態をタッチパネル64に表示させることができる。例えば、タッチパネル64において、住宅Hの内部の地図表示(すなわち、間取り図)に現状の検知状態を示す表示が重ねられて表示されてもよいし、宅内の部屋の名称と、それに対応する現状の検知状態とがテキストなどによってリスト表示されてもよい。監視通知信号に基づく表示によって、特に住宅Hの遠隔に存在するユーザは、現状の在/不在状況に応じて、どのような指令信号を送信すべきか、又はその指令信号を送信すべきか否かを適切に判断することができる。
【0052】
図5に、サーバ2におけるスイッチ制御動作のフローチャートを示す。
ステップS100において、通信部21が、スイッチユニット3又はユーザ端末6から指令信号(個別制御指令信号又はグループ制御指令信号)を受信する。個別制御指令信号は、スイッチユニット3及びユーザ端末6のいずれからも送信され得る。また、グループ制御指令信号は、ユーザ端末6から送信され得る。
【0053】
ステップS110において、制御対象決定部24は、指令信号がグループ制御指令信号か否かを判定する。指令信号がグループ制御指令信号でない場合、すなわち、指令信号が個別制御指令信号である場合(ステップS110、No)、処理はステップS112に進む。一方、指令信号がグループ制御指令信号である場合(ステップS110、Yes)、処理はステップS114に進む。
【0054】
ステップS112において、制御対象決定部24は、個別制御指令信号において指定されたスイッチを指令対象スイッチとして特定する。また、ステップS114において、制御対象決定部24は、グループ制御指令信号において指定されたソフトグループに含まれるスイッチを指令対象スイッチとして特定する。ステップS116において、制御対象決定部24は、ステップS112又はS114で特定された指令対象スイッチの各々について、その指定対象スイッチが属するハードグループに含まれる全てのスイッチを制御対象スイッチとして決定する。
【0055】
ステップS120において、制御対象決定部24又は制御信号生成部25は、ステップS116において決定された制御対象スイッチを示す制御確認信号を通信部21からユーザ端末6に送信する。ステップS122において、ユーザ端末6からの制御確認応答信号が制御実行の許可を示す場合(ステップS122、Yes)、処理はステップS130に進む。ステップS122において、ユーザ端末6からの制御確認応答信号が制御実行の取消を示す場合(ステップS122、No)、処理はステップS100に戻る。なお、ステップS120及びS122は、選択的なステップであり、設けられなくてもよい。
【0056】
ステップS130において、制御信号生成部25は、ステップS116において決定された制御対象スイッチを制御するための制御信号を生成する。制御信号は、制御対象スイッチのアドレス及び制御の内容を含む。制御信号生成部25は、生成した制御信号を通信部21からネットワークNに送出させ、制御対象のスイッチ31に送信する。
【0057】
以上のように、本発明のサーバ2は、指令信号を受信する通信部21と、複数の機器4にそれぞれ対応して壁スイッチ部(スイッチユニット3)を構成する複数のスイッチ31のハードグループの設定情報及び複数のスイッチ31のソフトグループの設定情報を記憶する記憶部22と、指令信号がハードグループに含まれる各スイッチ31を指定する個別制御指令信号である場合には当該スイッチ31を指令対象スイッチとして特定し、指令信号がソフトグループのうちの各グループを指定するグループ制御指令信号である場合には当該グループに含まれる全てのスイッチ31を指令対象スイッチとして特定し、指令対象スイッチの各々が属するハードグループに含まれる全てのスイッチ31を制御対象スイッチとして決定する制御対象決定部24と、制御対象スイッチを制御するための制御信号を生成して制御信号を通信部21から制御対象スイッチに送信する制御信号生成部25とを備える。
【0058】
また、本発明のスイッチシステム1は、サーバ2と、複数の壁スイッチ部(スイッチユニット3)とを含む。複数のスイッチユニット3の各々は、ユーザ操作に応じて個別制御指令信号を生成する少なくとも1つのスイッチ31と、個別制御指令信号をサーバ2に送信し、又は制御信号をサーバ2から受信する通信回路33と、スイッチ3に対応する機器4への給電線を開閉する切換回路35と、個別制御指令信号又は制御信号に基づいて切換回路35の開閉を制御する制御回路34とを備える。また、スイッチシステム1は、個別制御指令信号又はグループ制御指令信号をサーバ2に送信するユーザ端末6を含み得る。
【0059】
上記構成のサーバ2又はスイッチシステム1によると、個別制御指令信号又はグループ制御指令信号に直接関与する指令対象スイッチだけでなく、指定対象スイッチがハードグループにおいて関与するスイッチ31が制御対象スイッチに含まれる。すなわち、ユーザの意思に起因する個別制御指令信号又はグループ制御指令信号によって特定されるスイッチ31に加えて、潜在的に連動制御されることが好ましいスイッチ31が補完的に制御対象に含まれ、これに対応する機器4が制御される。したがって、機器4の連動制御、グループ制御などを機器4の性質に応じて適切に設定及び実行することを可能とするスイッチシステム1及びそれに用いるサーバ2が実現される。
【0060】
また、ユーザ端末6から指令信号が受信される場合に、制御対象決定部24又は制御信号生成部25が、制御対象スイッチを示す制御確認信号を、制御信号の送信の前に通信部21からユーザ端末6に送信してもよい。これにより、各グループの構成を正確に把握していないユーザであっても、誤認なく機器の制御を実行することができる。
【0061】
また、サーバ2は、通信部21によって受信されたユーザ端末6からの設定信号に応じて、ハードグループ又はソフトタイプのグループを設定するグループ設定部26をさらに備える。これにより、ハードグループ及びソフトグループが柔軟に設定又は変更可能となる。
【0062】
ここで、グループ設定部26は、設定信号で指定されたハードグループ又はソフトグループに含まれる全てのスイッチ31の各々が属するハードグループに含まれる全てのスイッチ31を示す設定確認信号を、ハードグループ又はソフトグループの設定前に、通信部21からユーザ端末6に送信させてもよい。これにより、機器4の配置、動作仕様などを正確に把握していないユーザであっても、ハードグループ又はソフトグループを適切に設定することができる。
【0063】
また、制御信号生成部25は、制御対象スイッチとして複数のスイッチ31が決定された場合であって制御信号が制御対象スイッチをオンする信号である場合に、複数のスイッチ31の制御タイミングを異ならせてもよい。これにより、複数の制御対象スイッチを介して複数の機器4に投入される突入電流のピークが低減され、電源設備の負担が軽減される。
【0064】
また、制御信号生成部25は、制御対象スイッチとして複数のスイッチ31が決定された場合に、制御対象スイッチのうちの指令対象スイッチ以外のスイッチに対する制御信号のタイミングを、指令対象スイッチに対する制御信号の送信のタイミングよりも遅らせてもよい。これにより、ユーザは、制御対象スイッチに対応する機器4のうち、指令対象スイッチに対応する機器4とそれ以外の機器4とを感覚的に識別することができ、ユーザにおけるグループ設定内容の学習及び記憶が促進される。
【0065】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0066】
(1)ユーザ端末6に関する変形
上記実施形態では、ユーザ端末6がスマートフォン又はタブレット端末である場合を説明したが、ユーザの音声を認識して認識結果に応じて所定の無線信号(Wi-Fi信号)を出力する音声命令装置などのAPI機器であってもよい。ユーザ端末6がAPI機器である場合、入出力I/F64はマイク、スピーカなどのオーディオデバイスとなる。
【0067】
(2)通信規格に関する変形
上記実施形態では、スイッチユニット3の通信回路33と無線LANルータ5とがWi-Fi通信を行う構成を示したが、同様の無線通信機能を実現可能なものであれば、現存する又は将来に開発される他の通信規格が採用されてもよい。また、スイッチユニット3(通信回路33)にSIMカードが装着又は挿入され、スイッチユニット3の通信回路33とサーバ2の通信部21とが直接通信可能に構成されてもよい。この場合、SIMカードは、スイッチユニット3の施工時に施工業者によって装着され得る。あるいは、スイッチユニット3のいずれかの箇所にSIMカード挿入用のスロットが設けられ、SIMカードがユーザ(居住者)によって挿入されるようにしてもよい。
【0068】
(3)センサ32に関する変形
上記実施形態では、センサ32が人感センサである構成を示したが、センサ32に温度センサ、音センサ、振動センサなどが採用されてもよい。例えば、温度センサによって検知される熱によって人体の有無を判別してもよいし、音センサ又は振動センサによって人体の動きを検知してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 スイッチシステム
2 サーバ
3、3-1~3-m スイッチユニット(壁スイッチ部)
4、4-1~4-n 機器(照明器具、換気扇)
5 無線LANルータ
6 ユーザ端末
21 通信部
22 記憶部
23 処理部
24 制御対象決定部
25 制御信号生成部
26 グループ設定部
31、31a、31b、31A~31J スイッチ
32 センサ
33 通信回路
34 制御回路
35 切換回路

図1
図2
図3
図4
図5