(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】電動補助自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20220928BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20220928BHJP
【FI】
B62M6/55
B62M6/90
(21)【出願番号】P 2016091467
(22)【出願日】2016-04-28
【審査請求日】2019-01-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】真野 恭規
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】大谷 光司
【審判官】筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-183394(JP,A)
【文献】特開2014-196080(JP,A)
【文献】特開平9-277977(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013107623(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2409908(EP,A1)
【文献】特開2001-106164(JP,A)
【文献】特開2014-144768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M6/40-6/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも前方に位置し、
前記2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域と、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とが、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重なら
ず、
前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられず、
前記ハウジングには、車両の上方に開口し、前記ハウジングが収容する基板に接続された配線を取り出すための取出口が形成されており、
前記電動補助自転車は、さらに、前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備え、
前記バッテリユニットは、前記取出口よりも上方に配置されており、
前記取出口は、車両の前後方向において、前記クランク軸の軸心よりも前方であって、且つ、前記一方の取付部よりも後方に位置している、電動補助自転車。
【請求項2】
請求項1に記載の電動補助自転車であって、
前記駆動ユニットは、さらに、
前記ハウジングに収容されたモータを含み、
車両の側面から見たときに、前記モータは、前記クランク軸よりも前方に位置している、電動補助自転車。
【請求項3】
請求項2に記載の電動補助自転車であって、
前記駆動ユニットは、さらに、
前記クランク軸が挿入され、一端が前記クランク軸に結合されたクランク回転入力軸と、
前記クランク軸が挿入され、前記クランク回転入力軸の他端に対してワンウェイクラッチ機構を介して接続された合力出力軸と、
前記ハウジングに収容され、前記モータの駆動力を前記合力出力軸に伝達する減速歯車とを含み、
前記減速歯車の回転中心は、車両の側面から見たときに、前記クランク軸の軸心と、前記モータが有するロータの回転中心とを結ぶ直線よりも下方に位置している、電動補助自転車。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の電動補助自転車であって、さらに、
サドルと、
前記サドルを支持するシートポストとを備え、
前記車体フレームは、さらに、
前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の上方に延びて、前記シートポストが挿入されるシートチューブとを含み、
車両の側面から見たときに、前記クランク軸の軸心と、前記シートチューブの上端の開口の中心とを結ぶ基準線を設定し、
前記一方の取付部は、車両の側面から見たときに、前記基準線よりも前方に位置し、
前記他方の取付部は、車両の側面から見たときに、前記基準線よりも後方に位置している、電動補助自転車。
【請求項5】
請求項2に記載の電動補助自転車であって、
前記ハウジングは、
車両の側面から見たときに、前記モータの一部と重なる凸状面を含み、
前記凸状面は、車両の左右方向で前記ハウジングの内側から外側に向かって突出し、前記モータが有するロータの回転中心に近いほど、車両の左右方向への突出高さが大きい、電動補助自転車。
【請求項6】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも前方に位置し、
前記2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域と、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とが、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重ならず、
前記駆動ユニットは、さらに、
前記ハウジングに収容されたモータを含み、
車両の側面から見たときに、前記モータは、前記クランク軸よりも前方に位置しており、
前記ハウジングは、
車両の側面から見たときに、前記モータの一部と重なる凸状面を含み、
前記凸状面は、車両の左右方向で前記ハウジングの内側から外側に向かって突出し、前記モータが有するロータの回転中心に近いほど、車両の左右方向への突出高さが大きく、
前記一方の取付部は、
車両の側面から見たときに、前記ロータの径方向で前記凸状面よりも外側に位置し、且つ、前記ハウジングから車両の左右方向に突出するボスを含み、
前記ハウジングは、さらに、
前記ハウジングから
前記凸状面の外周より車両の左右方向に突出し、且つ、前記ロータの回転中心となる軸線に直交する方向に延びて、前記凸状面と前記ボスの外面とを接続する接続部を含む、電動補助自転車。
【請求項7】
請求項2に記載の電動補助自転車であって、
前記駆動ユニットは、さらに、
前記クランク軸が挿入され、一端が前記クランク軸に結合されたクランク回転入力軸と、
前記クランク軸が挿入され、前記クランク回転入力軸の他端に対してワンウェイクラッチ機構を介して接続された合力出力軸と、
前記ハウジングに収容され、前記モータの駆動力を前記合力出力軸に伝達する減速歯車とを含み、
前記合力出力軸は、
前記減速歯車と噛み合う被駆動歯車を含み、
前記ハウジングは、
車両の側面から見たときに、前記モータの一部と重なる第1側面と、
車両の側面から見たときに、前記減速歯車の一部と重なり、車両の左右方向で前記第1側面よりも外側に位置する第2側面と、
車両の側面から見たときに、前記被駆動歯車の一部と重なり、車両の左右方向で前記第2側面よりも外側に位置する第3側面とを含む、電動補助自転車。
【請求項8】
請求項2に記載の電動補助自転車であって、
前記駆動ユニットは、さらに、
前記クランク軸が挿入され、一端が前記クランク軸に結合されたクランク回転入力軸と、
前記クランク軸が挿入され、前記クランク回転入力軸の他端に対してワンウェイクラッチ機構を介して接続された合力出力軸と、
前記ハウジングに収容され、前記モータの駆動力を前記合力出力軸に伝達する減速歯車とを含み、
前記合力出力軸は、
前記減速歯車と噛み合う被駆動歯車を含み、
前記ハウジングは、
車両の側面から見たときに、前記被駆動歯車の一部と重なる凸状面を含み、
前記凸状面は、車両の左右方向で前記ハウジングの内側から外側に向かって突出し、前記クランク軸の回転中心に近いほど、車両の左右方向への突出高さが大きい、電動補助自転車。
【請求項9】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットよりも上方に配置されるサドルと、
前記サドルを支持するシートポストとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーと、
前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の上方に延びて、前記シートポストが挿入されるシートチューブとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、前記クランク軸より前方に位置し、他方の取付部は、前記クランク軸より後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域は、車両の側面から見たときに前記ブラケットが延びる方向で、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とは異なる位置にあり、
前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられず、
前記ハウジングには、
車両の上方に開口し、前記ハウジングが収容する基板に接続された配線を取り出すための取出口が形成されており、
前記一方の取付部、
前記取出口、前記シートチューブの前記ブラケットへの取付位置、及び前記他方の取付部は、前記ブラケットが延びる方向で、この順に並び、
前記電動補助自転車は、さらに、
前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備え、
前記バッテリユニットは、前記取出口よりも上方に配置されており、
前記取出口は、車両の前後方向において、前記クランク軸の軸心よりも前方であって、且つ、前記一方の取付部よりも後方に位置している、電動補助自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動補助自転車に関し、詳しくは、車体フレームに取り付けられる駆動ユニットを備える電動補助自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車は、手軽に利用できる交通手段として、老若男女を問わず、広く普及している。近年、乗員のペダル踏力をモータの駆動力でアシストする電動補助自転車の普及が進んでいる。このような電動補助自転車は、例えば、特開2014-196080号公報に開示されている。
【0003】
上記公報では、電動補助自転車は、駆動ユニットを備える。駆動ユニットは、クランク軸を含む。クランク軸には、アームを介して、ペダルが取り付けられる。駆動ユニットは、車体フレームの下端に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記駆動ユニットは、従来の自転車には存在しなかった部品である。そのため、例えば、競技用自転車等のように、走行性能を重視する自転車では、駆動ユニットが邪魔になって、走行性能が低下するという問題がある。具体的には、車両の側面から見たときのクランク軸の軸心から後輪の車軸の軸心までの距離(リアセンター長)が長くなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、車体フレームに取り付けられる駆動ユニットを備える電動補助自転車において、リアセンター長が長くなるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態による電動補助自転車は、前輪と、後輪と、車体フレームと、駆動ユニットとを備える。後輪は、前輪よりも後方に位置する。車体フレームは、前輪及び後輪を支持する。駆動ユニットは、車体フレームに取り付けられる。駆動ユニットは、後輪に伝達される駆動力を発生させる。駆動ユニットは、ハウジングと、2つの取付部と、クランク軸とを含む。2つの取付部は、ハウジングの外面に形成されている。2つの取付部は、ハウジングを車体フレームに取り付けるために用いられる。クランク軸は、ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置される。車体フレームは、ブラケットと、チェーンステーとを含む。ブラケットには、駆動ユニットが取り付けられる。チェーンステーは、車両の前後方向でクランク軸よりも後方においてブラケットに取り付けられる。チェーンステーは、ブラケットから車両の後方に延びて、後輪の車軸を支持する。2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向でクランク軸よりも前方に位置する。2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向でクランク軸よりも後方に位置する。チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域と、他方の取付部がブラケットに取り付けられる領域との少なくとも一方は、車両の側面から見たときに、後輪の車軸の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線分と重ならない。
【0008】
上記電動補助自転車においては、リアセンター長が長くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態による電動補助自転車を示す右側面図である。
【
図2】
図1に示す電動補助自転車が備える駆動ユニットの内部構造を示す縦断面図である。
【
図4】
図2の他の一部を拡大して示す縦断面図である。
【
図5】右側のハウジング部材が取り外された状態での駆動ユニットの内部構造を示す右側面図である。
【
図6】ブラケットに取り付けられた駆動ユニットを拡大して示す右側面図である。
【
図7】駆動ユニットのブラケットへの取付構造を示す断面図である。
【
図9】ブラケットが取り付けられた車体フレームの一部を拡大して示す右側面図である。
【
図10】ブラケットが取り付けられた車体フレームの他の一部を拡大して示す右側面図である。
【
図11】ブラケットが取り付けられた車体フレームのさらに別の一部を拡大して示す右側面図である。
【
図13】チェーンステーがブラケットに対して固定されている状態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者等は、駆動ユニットが車体フレームに取り付けられる電動補助自転車において、リアセンター長が長くなるのを抑制するための方策について、鋭意検討した。そして、駆動ユニットが車体フレームに取り付けられる構造に着目した。
【0011】
本発明者は、駆動ユニットが車体フレームに取り付けられる構造について、詳細に検討した。そして、特開2014-196080号公報に記載のように、駆動ユニットが3つの取付部を介して車体フレームに取り付けられる場合に、リアセンター長が長くなるとの知見を得るに至った。以下、この知見について、詳述する。
【0012】
3つの取付部は、駆動ユニットが備えるハウジングの外面に設けられる。これらの3つの取付部のうち、第1の取付部は、車両の側面視で最も前方に位置している。残りの2つの取付部(第2の取付部及び第3の取付部)は、車両の側面視で第1の取付部よりも後方に位置している。第2の取付部及び第3の取付部は、車両の前後方向で略同じ位置にあり、且つ、車両の上下方向に離れている。具体的には、第2の取付部は、第3の取付部よりも上方に位置している。
【0013】
駆動ユニットは、車体フレームの下端に設けられたブラケットに取り付けられる。ブラケットには、ヘッドチューブに接続されたダウンチューブや、サドルを支持するシートポストが挿入されるシートチューブ、さらには、後輪の車軸を支持するチェーンステーが接続されている。そのため、駆動ユニットが備える3つの取付部は、これらのチューブやステーが接続されている領域とは別の領域において、ブラケットに取り付けられる必要がある。
【0014】
本発明者等は、リアセンター長を短くするために、チェーンステーがブラケットに接続される領域と、第2の取付部がブラケットに取り付けられる領域との関係に着目した。そして、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域と、第2の取付部がブラケットに取り付けられる領域とが、車両の側面から見たときに、後輪の車軸の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線分上にあると、リアセンター長が長くなることに気付いた。つまり、第2の取付部が有するボスの肉厚(径方向の厚み)が邪魔になるので、チェーンステーを後方にずらして配置していることに気付いた。なお、リアセンター長を変更せずに、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域を後方にずらすと、ブラケットが後輪と接触するおそれがある。そこで、本発明者等は、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域を工夫することについて検討した。
【0015】
具体的には、駆動ユニットを下げることにより、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域を、車両の側面から見たときに、第2の取付部がブラケットに取り付けられる領域の略真上とすることについて検討した。しかしながら、この場合には、駆動ユニットの地面からの高さ(最低地上高)を確保することが難しいことが判った。
【0016】
また、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域を、車両の側面から見たときに、第2の取付部がブラケットに取り付けられる領域の略真下とすることについても検討した。しかしながら、この場合には、第3の取付部がブラケットに取り付けられる領域との位置関係を考慮しなければならないことが判った。
【0017】
本発明者等は、上記のようにして得られた知見に基づいて、更なる検討を行った。その結果、リアセンター長が長くなるのを抑制するには、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域だけでなく、駆動ユニットがブラケットに取り付けられる領域についても検討する必要があるとの結論に達した。そして、後輪の車軸の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線分との関係で、チェーンステーがブラケットに取り付けられる領域と、駆動ユニットがブラケットに取り付けられる領域(特に、クランク軸よりも後方に位置する領域)とを調整すればよいとの知見を得るに至った。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
【0019】
[電動補助自転車]
図1を参照しながら、本発明の実施の形態による電動補助自転車10について説明する。
図1は、電動補助自転車10の概略構成を示す右側面図である。
【0020】
以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、電動補助自転車10のサドル18に着座した乗員から見た方向を意味する。以下の説明で参照する図において、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Uは車両の上方を示し、矢印Lは車両の左方を示し、矢印Rは車両の右方を示す。
【0021】
電動補助自転車10は、車体フレーム12と、前輪14Fと、後輪14Rと、ハンドル16と、サドル18と、駆動ユニット20と、バッテリユニット26とを備える。
【0022】
車体フレーム12は、ヘッドチューブ121と、トップチューブ122と、ダウンチューブ123と、シートチューブ124と、ブラケット125とを含む。
【0023】
ヘッドチューブ121は、車体フレーム12の前部に配置され、上下方向に延びている。ヘッドチューブ121には、ステム27が回転自在に挿入されている。ステム27の上端には、ハンドル16が固定されている。ステム27の下端には、フロントフォーク28が固定されている。フロントフォーク28の下端には、前輪14Fが回転可能に取り付けられている。つまり、前輪14Fは、ステム27及びフロントフォーク28を介して、車体フレーム12に支持されている。
【0024】
トップチューブ122は、ヘッドチューブ121の後方に配置され、前後方向に延びている。トップチューブ122の前端は、ヘッドチューブ121に接続されている。トップチューブ122の後端は、シートチューブ124に接続されている。
【0025】
ダウンチューブ123は、ヘッドチューブ121の後方に配置され、前後方向に延びている。ダウンチューブ123は、トップチューブ122の下方に配置されている。ダウンチューブ123の前端は、ヘッドチューブ121に接続されている。なお、本実施の形態では、ダウンチューブ123の前端部は、トップチューブ122の前端部にも接続されている。ダウンチューブ123の後端は、ブラケット125に接続されている。
【0026】
ダウンチューブ123には、バッテリユニット26が取り付けられている。バッテリユニット26は、駆動ユニット20に電力を供給する。バッテリユニット26は、バッテリ及び制御部を備える。バッテリは、充放電可能な充電池である。制御部は、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流及び残量等を監視する。
【0027】
シートチューブ124は、トップチューブ122及びダウンチューブ123の後方に配置され、上下方向に延びている。シートチューブ124の下端は、ブラケット125に接続されている。つまり、シートチューブ124は、ブラケット125から上方に延びている。
【0028】
シートチューブ124は、上下方向の中間部分で折れ曲がっている。その結果、シートチューブ124の下部は上下方向に延びているが、シートチューブ124の上部は上下方向に対して傾斜した方向に延びている。
【0029】
シートチューブ124には、シートポスト29が挿入されている。シートポスト29の上端には、サドル18が取り付けられている。
【0030】
ブラケット125は、車体フレーム12の下端に位置している。ブラケット125は、駆動ユニット20を支持する。駆動ユニット20は、前輪14Fよりも後方に位置する後輪14Rに伝達される駆動力を発生させる。ブラケット125及び駆動ユニット20の詳細については、後述する。
【0031】
車体フレーム12は、さらに、スイングアーム30と、一対の接続アーム303、303と、サスペンション304とを備える。スイングアーム30は、一対のチェーンステー301、301と、一対のシートステー302、302とを含む。
【0032】
一対のチェーンステー301、301は、それぞれ、前後方向に延びている。一対のチェーンステー301、301は、左右方向に並んで配置されている。一対のチェーンステー301、301の間には、後輪14Rが配置されている。一対のチェーンステー301、301は、左右対称に配置されている。そのため、
図1では、右側のチェーンステー301だけが図示されている。
【0033】
各チェーンステー301の前端部は、ブラケット125に取り付けられている。つまり、各チェーンステー301は、ブラケット125から後方に延びている。各チェーンステー301は、ブラケット125に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0034】
各チェーンステー301の後端部には、後輪14Rの車軸141が回転不能に取り付けられている。つまり、一対のチェーンステー301、301により、後輪14Rが車軸141の周りで回転可能に支持されている。要するに、後輪14Rは、車体フレーム12によって支持されている。後輪14Rには、複数段の従動スプロケット32が固定されている。
【0035】
一対のシートステー302、302は、それぞれ、前後方向に延びている。一対のシートステー302、302は、左右方向に並んで配置されている。一対のシートステー302、302の間には、後輪14Rが配置されている。一対のシートステー302、302は、左右対称に配置されている。そのため、
図1では、右側のシートステー302だけが図示されている。
【0036】
左側のシートステー302の後端部は、左側のチェーンステー301の後端部に接続されている。右側のシートステー302の後端部は、右側のチェーンステー301の後端部に接続されている。
【0037】
一対の接続アーム303、303は、それぞれ、前後方向に延びている。一対の接続アーム303、303は、左右方向に並んで配置されている。一対の接続アーム303、303の間には、シートチューブ124が配置されている。一対の接続アーム303、303は、左右対称に配置されている。そのため、
図1では、右側の接続アーム303だけが図示されている。
【0038】
各接続アーム303は、シートチューブ124に取り付けられている。各接続アーム303は、シートチューブ124に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0039】
車両の側面から見たときに、各接続アーム303の前端は、シートチューブ124よりも前方に位置している。車両の側面から見たときに、各接続アーム303の後端は、シートチューブ124よりも後方に位置している。
【0040】
左側の接続アーム303の後端部は、左側のシートステー302の前端部に取り付けられている。左側の接続アーム303は、左側のシートステー302に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0041】
右側の接続アーム303の後端部は、右側のシートステー302の前端部に取り付けられている。右側の接続アーム303は、右側のシートステー302に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0042】
サスペンション304は、シートチューブ124の前方であって、且つ、ダウンチューブ123の後方に配置されている。サスペンション304の上端部は、一対の接続アーム303、303に取り付けられている。サスペンション304は、一対の接続アーム303、303に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。サスペンション304の下端部は、ブラケット125に取り付けられている。サスペンション304は、ブラケット125に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。サスペンション304のブラケット125への取付位置は、シートチューブ124のブラケット125への取付位置よりも前方にある。
【0043】
駆動ユニット20には、支持部材33を介して、駆動スプロケット34が取り付けられている。駆動スプロケット34及び従動スプロケット32には、チェーン36が巻き掛けられている。
【0044】
なお、図示はしていないが、駆動ユニット20が備えるクランク軸22の軸方向両端部には、それぞれ、クランクアームが取り付けられる。クランクアームには、ペダルが取り付けられる。
【0045】
[駆動ユニット]
図2を参照しながら、駆動ユニット20について説明する。
図2は、駆動ユニット20の内部構造を示す縦断面図である。
【0046】
駆動ユニット20は、ハウジング21と、クランク軸22と、回転軸23と、減速歯車24と、モータ25とを含む。以下、これらについて説明する。
【0047】
ハウジング21は、複数の締結具により、ブラケット125に固定される。ハウジング21は、ハウジング部材211と、ハウジング部材212と、カバー213とを含む。ハウジング部材211、ハウジング部材212及びカバー213は、それぞれ、金属材料で形成されている。金属材料は、例えば、アルミニウム合金である。
【0048】
ハウジング部材211は、ハウジング部材212に対して、左右方向で左側から重ね合わせられる。この状態で、ハウジング部材211は、ハウジング部材212に対して、複数の締結具により、固定される。その結果、ハウジング部材211とハウジング部材212との間には、空間214が形成されている。
【0049】
カバー213は、ハウジング部材211に対して、左右方向で左側から重ね合わせられる。この状態で、カバー213は、ハウジング部材211に対して、複数の締結具により、固定される。その結果、ハウジング部材211の外側(左側)には、カバー213で覆われた空間215が形成されている。
【0050】
クランク軸22は、ハウジング21を左右方向に貫通して配置されている。つまり、クランク軸22の中心軸線CL1は、左右方向に延びている。中心軸線CL1は、クランク軸22の軸方向から見た場合に、クランク軸22の回転中心RC1となる。
【0051】
クランク軸22には、クランク軸22の軸方向に貫通する孔が形成されている。つまり、クランク軸22は、筒形状を有する。
【0052】
クランク軸22は、クランク軸22の中心軸線CL1周りで、ハウジング21に対して、回転可能に支持されている。クランク軸22を回転可能に支持する軸受38Lは、ハウジング部材211に固定されている。後述するワンウェイクラッチ233の従動部材2332及びすべり軸受40L、40Rを介してクランク軸22を回転可能に支持する軸受38Rは、ハウジング部材212に固定されている。
【0053】
クランク軸22は、回転軸23を貫通して配置されている。回転軸23は、ハウジング21に収容されている。回転軸23の詳細については、後述する。
【0054】
図3を参照しながら、モータ25及び減速歯車24について説明する。
図3は、
図2の一部を拡大して示す断面図である。
【0055】
モータ25は、ハウジング21に収容されている。モータ25は、電動補助自転車10の走行をアシストするための駆動力を発生する。モータ25は、ステータ251と、ロータ252とを備える。
【0056】
ステータ251は、コイル2511が巻き回されたボビン2512を複数(本実施形態では、14個)備える。各ボビン2512には、鉄心2513が挿入されている。ステータ251は、空間215内に配置されている。この状態で、ステータ251は、ハウジング部材211に固定されている。
【0057】
ロータ252は、ステータ251の内側に配置されている。ロータ252の中心軸線CL2は、クランク軸22の中心軸線CL1と平行である。つまり、ロータ252は、クランク軸22と平行に配置されている。中心軸線CL2は、クランク軸22の軸方向から見たときに、ロータ252の回転中心RC2となる。
【0058】
ロータ252は、ロータ本体2521と、出力軸2522とを含む。以下、これらについて説明する。
【0059】
ロータ本体2521の外周面には、N極とS極とが周方向に交互に着磁されている。本実施形態では、N極及びS極の数は、それぞれ、7個である。
【0060】
出力軸2522は、ロータ本体2521を貫通して配置されている。出力軸2522は、ロータ本体2521に固定されている。つまり、出力軸2522は、ロータ本体2521とともに回転する。
【0061】
出力軸2522は、2つの軸受42L,42Rにより、中心軸線CL2周りで、ハウジング21に対して、回転可能に支持されている。軸受42Lは、カバー213に固定されている。軸受42Rは、ロータ本体2521よりも右端側(軸方向他端側)に配置され、ハウジング部材211に固定されている。
【0062】
出力軸2522は、ハウジング部材211を貫通して配置されている。出力軸2522のうち、空間214内に位置する部分には、出力歯車252Aが形成されている。
【0063】
減速歯車24は、ハウジング21に収容されている。具体的には、減速歯車24は、空間214内に配置されている。減速歯車24は、クランク軸22の軸方向から見たときに、モータ25の一部と重なる位置に配置されている。
【0064】
減速歯車24の中心軸線CL3(つまり、回転軸241の中心軸線CL3)は、クランク軸22の中心軸線CL1と平行である。つまり、減速歯車24は、クランク軸22と平行に配置されている。中心軸線CL3は、クランク軸22の軸方向から見たときに、減速歯車24の回転中心RC3となる。回転中心RC3は、クランク軸22の軸方向から見たときに、ステータ251と重なる。
【0065】
減速歯車24は、回転軸241と、筒部242とを含む。以下、これらについて説明する。
【0066】
筒部242は、円筒形状を有する。筒部242は、出力歯車252Aと噛み合う歯車242Aを有する。歯車242Aは、出力歯車252Aよりも大径であって、且つ、出力歯車252Aよりも多い歯を有する。つまり、歯車242Aの回転速度は、出力歯車252Aよりも遅い。
【0067】
回転軸241は、筒部242に挿入されている。回転軸241は、筒部242に対して、同軸上に配置されている。回転軸241は、歯車241Aを有する小径軸部が大径軸部に圧入されることで形成されている。歯車241Aは、回転軸241の軸方向で歯車242Aと異なる位置にある。歯車241Aは、左右方向で歯車242Aよりもハウジング部材212の近くに位置している。
【0068】
回転軸241と筒部242との間には、ワンウェイクラッチ243が配置されている。これにより、ロータ252が正方向に回転するときには、回転軸241が筒部242とともに回転する。つまり、モータ25の駆動力が、減速歯車24を介して、歯車2333に伝達される。また、モータ25が停止している状態で、歯車2333が前転方向(車両が前進する方向)に回転するときには、回転軸241が筒部242に対して回転する。つまり、ロータ252には、歯車2333の回転は伝達されない。
【0069】
回転軸241は、2つの軸受44L,44Rにより、中心軸線CL3周りで、ハウジング21に対して、回転可能に支持されている。軸受44Lは、ハウジング部材211に軽圧入されている。軸受44Rは、ハウジング部材212に固定されている。
【0070】
図4を参照しながら、回転軸23について説明する。
図4は、
図2の他の一部を拡大して示す縦断面図である。
【0071】
回転軸23は、クランク軸22と同軸上に配置され、クランク軸22とともに回転可能である。回転軸23は、連結軸231と、ワンウェイクラッチ233とを含む。
【0072】
連結軸231は、円筒形状を有する。連結軸231には、クランク軸22が挿入されている。連結軸231は、クランク軸22と同軸に配置されている。
【0073】
連結軸231の左端部(軸方向一端部)は、クランク軸22に対して、スプライン結合等で連結されている。その結果、クランク軸22が前転方向及び後転方向の何れに回転しても、連結軸231はクランク軸22とともに回転する。
【0074】
連結軸231の周囲には、トルク検出装置232が配置されている。トルク検出装置232は、ハウジング部材211に支持されている。
【0075】
トルク検出装置232は、運転者がペダルを漕ぐときに連結軸231に発生するトルクを検出する。トルク検出装置232は、公知の磁歪式のトルクセンサである。トルク検出装置232は、検出したトルク信号を、基板48に実装された制御装置に出力する。制御装置は、トルク検出装置232が検出したトルク信号を参照して、運転者によるペダリングの状態を把握し、モータ25を制御する。
【0076】
ワンウェイクラッチ233は、クランク軸22の軸方向でトルク検出装置232よりもハウジング部材212の近くに配置されている。ワンウェイクラッチ233は、クランク軸22と同軸に配置されている。
【0077】
ワンウェイクラッチ233は、駆動部材2331と、従動部材2332とを含む。以下、これらについて説明する。
【0078】
駆動部材2331は、円筒形状を有する。駆動部材2331の左端部(軸方向一端部)には、連結軸231の右端部(軸方向他端部)が挿入されている。駆動部材2331は、連結軸231と同軸上に配置されている。この状態で、連結軸231の右端部(軸方向他端部)は、駆動部材2331の左端部(軸方向一端部)に対して、スプライン結合等で連結されている。その結果、連結軸231が前転方向及び後転方向の何れに回転しても、駆動部材2331は、連結軸231とともに回転する。つまり、クランク軸22が前転方向及び後転方向の何れに回転しても、駆動部材2331は、クランク軸22とともに回転する。連結軸231及び駆動部材2331は、クランク軸22と一体的に回転するクランク回転入力軸234として機能する。
【0079】
駆動部材2331の外周面には、環状の取付面233Aが形成されている。取付面233Aは、駆動部材2331の径方向に広がり、且つ、周方向に延びている。取付面233Aには、リング磁石46が固定されている。つまり、リング磁石46は、駆動部材2331とともに回転する。そのため、ハウジング21内に配置された基板48に実装されている検出素子を用いて、リング磁石46の回転に伴う磁場の変化を検出することにより、駆動部材2331(つまり、クランク軸22)の回転を検出することができる。
【0080】
従動部材2332は、円筒形状を有する。従動部材2332には、クランク軸22が挿入されている。従動部材2332とクランク軸22との間には、すべり軸受40L、40Rが配置されている。これにより、従動部材2322は、クランク軸22に対して、同軸上で相対回転可能に配置されている。
【0081】
従動部材2332は、駆動部材2331の右端部(軸方向他端部)に挿入されている。従動部材2332と、駆動部材2331の右端部(軸方向他端部)との間には、ワンウェイクラッチ機構としてのラチェット機構が形成されている。これにより、駆動部材2331の前転方向の回転力は、従動部材2332に伝達されるが、駆動部材2331の後転方向の回転力は、従動部材2332に伝達されない。
【0082】
従動部材2332は、ハウジング部材212に固定された軸受38Rにより、クランク軸22の中心軸線CL1周りで、ハウジング21に対して回転可能に支持されている。
【0083】
従動部材2332は、ハウジング部材212を貫通して配置されている。従動部材2332のうち、ハウジング21の外側(右側)に位置する部分には、支持部材33(例えば、
図1及び
図8参照)を介して、駆動スプロケット34(
図1参照)が取り付けられる。
【0084】
従動部材2332は、歯車2333を有する。歯車2333は、減速歯車24が有する歯車241Aと噛みあっている。歯車2333は、歯車241Aよりも大径であって、且つ、歯車241Aよりも多い歯を有する。つまり、歯車2333の回転速度は、歯車241Aの回転速度よりも遅くなる。
【0085】
従動部材2332により、ワンウェイクラッチ233を介して入力される人力(ペダル踏力)と、歯車2333を介して入力されるモータ駆動力との合力を出力する合力出力軸235が実現されている。つまり、合力出力軸235は、回転軸23に含まれる。
【0086】
図5を参照しながら、クランク軸22の回転中心RC1と、ロータ252の回転中心RC2と、減速歯車24の回転中心RC3との関係について説明する。
図5は、ハウジング部材212が取り外された状態での駆動ユニット20の内部構造を示す右側面図である。
【0087】
回転中心RC3は、車両の前後方向で、回転中心RC1よりも前方に位置している。回転中心RC2は、車両の前後方向で、回転中心RC3よりも前方に位置している。つまり、回転中心RC2は、車両の前後方向で、回転中心RC1よりも前方に位置している。要するに、モータ25は、車両の前後方向で、クランク軸22よりも前方に位置している。
【0088】
回転中心RC3は、車両の側面から見たときに、回転中心RC1と回転中心RC2とを結ぶ直線L1よりも下方に位置している。
【0089】
また、
図5に示すように、ハウジング21内には、基板48が配置されている。基板48は、モータ25への電力供給を制御する。基板48は、クランク軸22の軸方向から見て、クランク軸22を取り囲むように配置されている。
図5に示す例では、基板48は、クランク軸22の軸方向から見て、略C字形状を有する。
【0090】
ハウジング21には、基板48に接続された配線50を取り出すための取出口52が形成されている。なお、本実施の形態では、取出口52に対して、グロメット54が配置されている。グロメット54は、弾性体によって形成されている。グロメット54は、配線50の保護、防塵及び防水のために配置されている。配線50は、グロメット54を通って、駆動ユニット20の外側に取り出されている。配線50は、バッテリユニット26(
図1参照)に接続される。
【0091】
[駆動ユニットのブラケットへの取付構造]
図6を参照しながら、駆動ユニット20のブラケット125への取付構造について説明する。
図6は、ブラケット125に取り付けられた駆動ユニット20を拡大して示す右側面図である。
【0092】
[ブラケット]
ブラケット125は、左右一対の側板1251、1251を含む。一対の側板1251、1251は、前後方向及び上下方向に延びている。一対の側板1251、1251は、左右方向に並んで配置されている。一対の側板1251、1251は、左右対称に配置されている。そのため、
図6では、右側の側板1251だけが図示されている。
【0093】
ブラケット125は、
図7に示すように、上板1252をさらに含む。上板1252は、一対の側板1251、1251を連結する。左側の側板1251は、上板1252の左端部から下方に向かって延びている。右側の側板1251は、上板1252の右端部から下方に向かって延びている。なお、
図7では明示されていないが、上板1252には、シートチューブ124の下端と、ダウンチューブ123の下端とが接続されている。
【0094】
再び、
図6を参照しながら、説明する。各側板1251は、全体として、前後方向に延びている。各側板1251は、縁125Aと、縁125Bと、縁125Cとを有する。
【0095】
縁125Aは、前後方向に延びている。縁125Bは、前方且つ上方に向かって延びている。つまり、縁125Bの前端は、縁125Bの後端よりも上方に位置している。縁125Bの前端は、縁125Aの後端に接続されている。縁125Cは、縁125Bの後端から後方且つ下方に向かって弧を描きながら延びている。縁125Cは、回転中心RC1との距離を略一定に保ちながら、弧を描いている。縁125Cの後端は、縁125Cの前端よりも後方且つ下方に位置している。縁125Cの前端は、縁125Bの後端に接続されている。
【0096】
各側板1251のうち、縁125A及び縁125Bを有する部分は、全体として、前方且つ上方に向かって延びている。以下、当該部分を第1部分125Xとする。
【0097】
第1部分125Xの後部には、孔1253が形成されている。孔1253は、第1部分125Xを左右方向(厚さ方向)に貫通している。孔1253は、縁125Bの上方に位置している。孔1253には、サスペンション304の下部に設けられた軸3041が挿入されている。これにより、サスペンション304が第1部分125Xに対して揺動可能に取り付けられている。
【0098】
各側板1251のうち、縁125Cを有する部分は、全体として、第1部分125Xの後端から後方且つ下方に向かって弧を描きながら延びている。以下、当該部分を第2部分125Yとする。第2部分125Yの前端は、第1部分125Xの後端に接続されている。第2部分125Yの前端は、第2部分125Yの後端よりも上方に位置している。
【0099】
第2部分125Yは、チェーンステー301の前端部が取り付けられる領域125Dを有する。理解を容易にするために、
図6では、領域125Dに斜線を付している。なお、領域125Dについて説明するときに参照する他の図面においても、同様に、領域125Dには、斜線を付している。
【0100】
領域125Dは、第2部分125Yのうち、車両の側面視で、チェーンステー301と重なる部分である。領域125Dは、第2部分125Yが延びる方向での中間に位置している。領域125Dは、縁125Cよりも後方に位置している。
【0101】
領域125Dには、孔1255が形成されている。つまり、領域125Dは、孔1255を含む。孔1255には、チェーンステー301の前端部に設けられた軸3011が挿入されている。これにより、チェーンステー301が、ブラケット125(具体的には、側板1251)に対して、揺動可能に取り付けられている。
【0102】
[駆動ユニットの取付部]
図8を参照しながら、駆動ユニット20が有する2つの取付部216、217について説明する。
図8は、駆動ユニット20の右側面図である。
【0103】
取付部216は、ハウジング21に設けられている。取付部216は、ハウジング21の外面から上方に向かって突出している。取付部216は、クランク軸22よりも上方に位置している。取付部216は、グロメット54よりも前方に位置している。
【0104】
取付部216は、
図2に示すように、ボス216Lと、ボス216Rとを含む。以下、
図2を参照しながら、取付部216の詳細について説明する。
【0105】
ボス216Lは、ハウジング部材211に形成されている。ボス216Lは、ハウジング部材211の外面から突出している。
【0106】
ボス216Lには、孔2161が形成されている。孔2161は、ボス216Lを左右方向に貫通している。
【0107】
ボス216Rは、ハウジング部材212に形成されている。ボス216Rは、ハウジング部材212の外面から突出している。
【0108】
ボス216Rには、孔2162が形成されている。孔2162は、ボス216Rを左右方向に貫通している。
【0109】
孔2162は、小径部2163と、大径部2164とを含む。以下、これらについて説明する。
【0110】
小径部2163は、左右方向で、大径部2164よりも、孔2161の近くに位置している。小径部2163の内周面には、ねじ溝が形成されている。つまり、孔2162のうち、小径部2163は、ねじ孔として機能する。
【0111】
大径部2164は、小径部2163よりも大きな直径を有する。大径部2164の内周面には、ねじ溝が形成されていない。孔2162のうち、大径部2164は、挿入孔として機能する。
【0112】
図5を参照しながら、孔2161について説明する。孔2161は、直線L1よりも上方に位置している。つまり、孔2161は、直線L1に対して、回転中心RC3とは反対側に位置している。孔2161は、基板48よりも前方に位置している。孔2161は、モータ25の上方に位置している。孔2161は、回転中心RC2よりも後方に位置している。孔2161は、グロメット54よりも前方に位置している。孔2161は、前後方向で回転中心RC3と略同じ位置にある。孔2161は、回転中心RC1よりも前方に位置している。
【0113】
再び、
図2を参照しながら、説明する。ハウジング部材211がハウジング部材212に取り付けられた状態で、孔2161と孔2162とは、同軸上に位置する。つまり、孔2161と、孔2162とにより、取付部216を左右方向に貫通する孔2165が実現されている。
【0114】
なお、
図2では、取付具56が孔2162の大径部2164に軽圧入されている。取付具56は、取付部216をブラケット125に取り付けるために用いられる。取付具56は、全体として筒形状を有する。なお、取付具56の右端(軸方向の端)には、異形フランジ56Fが一体的に形成されている。異形フランジ56Fは、取付具56の軸方向に垂直な方向での長さが周方向で異なっている。異形フランジ56Fがハウジング部材212の外面に形成された突起2121と接触することにより、取付具56の回転止めが実現されている(
図6及び
図8参照)。
【0115】
再び、
図8を参照しながら、説明する。取付部217は、ハウジング21に設けられている。取付部217は、ハウジング21の外面から後方且つ下方に向かって突出している。取付部217は、クランク軸22よりも後方に位置している。取付部217は、クランク軸22よりも下方に位置している。取付部217は、取付部216よりも後方に位置している。取付部217は、取付部216よりも下方に位置している。
【0116】
取付部217は、取付部216と同様に、ハウジング部材211に形成されたボス217L(
図5参照)と、ハウジング部材212に形成されたボス217Rとを含む。ボス217Lには、
図5に示すように、孔2171が形成されている。ボス217Rには、ボス216Rと同様に、小径部と大径部とを有する孔が形成されている。
【0117】
ハウジング部材211がハウジング部材212に取り付けられた状態で、ボス217Lに形成された孔2171と、ボス217Rに形成された孔とは、同軸上に位置する。つまり、ボス217Lに形成された孔2171と、ボス217Rに形成された孔とにより、取付部217を左右方向に貫通する孔が実現されている。
【0118】
なお、ボス217Rに形成された孔の大径部には、
図8に示すように、取付具58が軽圧入されている。取付具58は、取付部217をブラケット125に取り付けるために用いられる。取付具58は、取付具56と同様に、全体として筒形状を有する。なお、取付具58の右端(軸方向の端)には、異形フランジ58Fが一体的に形成されている(
図6及び
図8参照)。異形フランジ58Fは、取付具58の軸方向に垂直な方向での長さが周方向で異なっている。異形フランジ58Fがハウジング部材212の外面に形成された突起2122と接触することにより、取付具58の回転止めが実現されている(
図6及び
図8参照)。
【0119】
図5を参照しながら、孔2171について説明する。孔2171は、直線L1よりも下方に位置している。孔2171は、回転中心RC2よりも後方に位置している。孔2171は、回転中心RC2よりも下方に位置している。孔2171は、基板48よりも後方に位置している。孔2171は、回転中心RC1及び回転中心RC3よりも後方に位置している。
【0120】
[駆動ユニットが有する2つの取付部のブラケットへの取付位置]
図6に示すように、ブラケット125は、取付部216が取り付けられる領域125Eと、取付部217が取り付けられる領域125Fとを有する。以下、これらの領域125E、125Fについて説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、理解を容易にするために、領域125E及び領域125Fに斜線を付している。
【0121】
先ず、領域125Eについて説明する。領域125Eは、第1部分125Xの前部に設けられている。領域125Eは、第1部分125Xのうち、車両の側面視で、取付部216が重なる領域である。
図6では、取付部216を第1部分125Xに取り付けるためのボルト62の頭部を、仮想線で示している。ボルト62の軸は、領域125Eに形成された孔1254に挿入される。つまり、領域125Eは、孔1254を含む。
【0122】
領域125Eは、孔1253よりも前方に位置している。領域125Eは、グロメット54よりも、ダウンチューブ123の下端(つまり、ブラケット125への取付端)の近くに位置している。
【0123】
図7を参照しながら、取付部216がブラケット125の領域125Eに取り付けられた状態について説明する。
図7は、取付部216のブラケット125への取付構造を示す断面図である。
【0124】
取付部216の孔2165に対して、左側からボルト60が挿入されている。この状態で、ボルト60は、左側の側板1251に形成された孔1254にも挿入されている。ボルト60の外周面に形成されたねじ山は、孔2162の内周面に形成されたねじ溝と噛み合っている。ボルト60を締め付けることにより、ボス216Lが左側の側板1251に接触する。
【0125】
取付具56には、孔561が形成されている。孔561に対して、右側からボルト62が挿入されている。この状態で、ボルト62は、右側の側板1251に形成された孔1254にも挿入されている。ボルト62の外周面に形成されたねじ山は、孔561の内周面に形成されたねじ溝と噛み合っている。ボルト62を締め付けることにより、孔2162の大径部2164に軽圧入されている取付具56が右側(孔2162の大径部2164から抜け出す方向)に移動し、右側の側板1251に接触する。
【0126】
続いて、領域125Fについて説明する。領域125Fは、第2部分125Yの後部に設けられている。領域125Fは、第2部分125Yのうち、車両の側面視で、取付部217が重なる領域である。
図6では、取付部217を第2部分125Yに取り付けるためのボルト62の頭部を、仮想線で示している。ボルト62の軸は、領域125Fに形成された孔1254に挿入される。つまり、領域125Fは、孔1254を含む。
【0127】
領域125Fは、領域125Dよりも下方に位置している。つまり、領域125Fは、チェーンステー301のブラケット125に対する揺動中心SC1よりも下方に位置している。領域125Fは、揺動中心SC1よりも前方に位置している。
【0128】
領域125Fは、第2部分125Yが延びる方向で、シートチューブ124がブラケット125に取り付けられる位置よりも後方に位置している。領域125Fは、シートチューブ124の下端(つまり、ブラケット125への取付端)よりも下方に位置している。
図6に示す例では、領域125Fは、シートチューブ124の下端の真下に位置している。
【0129】
取付部217がブラケット125の領域125Fに取り付けられた状態は、取付部216がブラケット125の領域125Eに取り付けられた状態と同様であるから、その詳細な説明は省略する。
【0130】
図9を参照しながら、領域125E及び領域125Fの位置関係について説明する。
図9は、ブラケット125が取り付けられた車体フレーム12の一部を拡大して示す右側面図である。
【0131】
領域125Eは、線分SL1よりも上方に位置している。線分SL1は、後輪14Rの車軸141の軸心141Cと、クランク軸22の軸心22C(つまり、回転中心RC1)とを結ぶ線分である。線分SL1の長さは、リアセンター長を示す。
【0132】
領域125Fは、線分SL1よりも下方に位置している。これに対して、領域125Dは、線分SL1よりも上方に位置している。つまり、領域125F及び領域125Dは、線分SL1上に並んでいない。要するに、領域125F及び領域125Dは、線分SL1と重ならない。
【0133】
図9に示す例では、チェーンステー301の前端部は、ブラケット125の近傍で上方に向かって湾曲している。つまり、チェーンステー301の大部分は、線分SL1に沿って延びている。
【0134】
図9に示す例では、シートチューブ124の下端及びサスペンション304の下端は、線分SL1よりも上方に位置している。
【0135】
図10を参照しながら、領域125E及び領域125Fの位置関係について説明する。
図10は、ブラケット125が取り付けられた車体フレーム12の他の一部を拡大して示す右側面図である。
【0136】
領域125Eは、直線L2よりも前方に位置している。直線L2は、シートチューブ124の上端の開口中心OC1と、クランク軸22の軸心22Cとを結ぶ直線である。領域125Fは、直線L2よりも後方に位置している。領域125Dは、直線L2よりも後方に位置している。
【0137】
図10に示す例では、サスペンション304の下端は、直線L2よりも前方に位置している。これに対して、シートチューブ124の下端は、直線L2よりも後方に位置している。
【0138】
図11を参照しながら、領域125E及び領域125Fの位置関係について説明する。
図11は、ブラケット125が取り付けられた車体フレーム12のさらに別の一部を拡大して示す右側面図である。
【0139】
領域125Eは、車両の側面視で、直線L3と重なる位置にある。直線L3は、車両の側面視で、クランク軸22の軸心22Cを通過し、ダウンチューブ123と平行に延びる直線である。領域125Fは、直線L3よりも後方に位置している。
【0140】
図11に示す例では、サスペンション304の下端、シートチューブ124の下端及び領域125Dは、直線L3よりも後方に位置している。
【0141】
電動補助自転車10においては、領域125Dと、領域125Fとが、線分SL1上で並ばない。そのため、チェーンステー301がブラケット125に取り付けられる位置に関して、取付部217(具体的には、ボス217L、217R)が邪魔にならない。その結果、領域125Dと領域125Fとが線分SL1上で並ぶ場合と比べて、リアセンター長(線分SL1の長さ)を短くすることができる。
【0142】
電動補助自転車10においては、車両の側面から見たときに、モータ25がクランク軸22よりも前方に位置している。そのため、モータ25がクランク軸22よりも後方に位置する場合と比べて、リアセンター長を短くすることができる。
【0143】
電動補助自転車10においては、減速歯車24の回転中心RC3が直線L1よりも下方に位置している。そのため、駆動ユニット20の低重心化を図ることができる。また、ハウジング21内の上部(直線L1よりも上方の空間)において、配線50を取り出すための空間を確保することができる。
【0144】
電動補助自転車10は、サスペンション304を備える。そのため、ブラケット125には、サスペンション304の下端を接続するための領域が必要になる。
【0145】
ブラケット125においては、領域125Eが第1部分125Xの前部に設けられており、領域125Fが第2部分125Yの後部に設けられている。つまり、側板1251の前端部に領域125Eが設けられており、側板1251の後端部に領域125Fが設けられている。そのため、サスペンション304の下端を接続するための領域を確保し易くなる。
【0146】
電動補助自転車10においては、グロメット54が、クランク軸22よりも前方であって、且つ、取付部216よりも後方に位置している。そのため、シートチューブ124及びサスペンション304がブラケット125に取り付けられる領域を確保し易くなる。
【0147】
[駆動ユニットから延び出す配線の取り回し]
図5に示すように、配線50を外部に取り出すためのグロメット54は、ハウジング21の上部に配置されている。
図6に示すように、駆動ユニット20がブラケット125に取り付けられた状態で、駆動ユニット20から延び出す配線50(
図5参照)は、ブラケット125に形成された孔(図示せず)を通って、ダウンチューブ123内に入る。配線50は、
図1に示すように、ダウンチューブ123に配置され、駆動ユニット20よりも上方に位置するバッテリユニット26に接続される。電動補助自転車10においては、配線50を短くすることができる。
【0148】
[ハウジングの外面の形状]
駆動ユニット20においては、
図12に示すように、ハウジング21が、側面21Aと、側面21Bと、側面21Cとを備える。
図12は、駆動ユニット20の斜視図である。以下、これらの側面21A、21B、21Cについて、
図12を参照しながら説明する。
【0149】
側面21Aは、ハウジング21の右側面に形成されている。つまり、側面21Aは、ハウジング部材212に形成されている。側面21Aは、クランク軸22の周囲に形成されている。つまり、側面21Aは、環状に形成されている。
【0150】
図2を参照しながら、側面21Aについて説明する。側面21Aは、車両の側面視で、歯車2333と重なる。
図2に示す例では、側面21Aは、歯車2333のうち、外周縁に形成された複数の歯よりも内側の部分と重なる。
【0151】
側面21Aの内周縁は、側面21Aの外周縁よりも右側(左右方向で外側)に位置している。つまり、側面21Aでは、クランク軸22の中心軸線CL1に近いほど、右側(左右方向で外側)に突出している。側面21Aでは、右側(左右方向で外側)への突出高さが変化する割合は、クランク軸22の径方向で、略一定である。つまり、側面21Aは、凸状の傾斜面である。
【0152】
再び、
図12を参照しながら説明する。側面21Bは、側面21Aよりも左側(左右方向で内側)に位置している。つまり、側面21Aは、側面21Bよりも右側(左右方向で外側)に位置している。側面21Bは、クランク軸22の中心軸線CL1に垂直な方向(径方向)で、側面21Aよりも外側に位置している。側面21Bは、側面21Aよりも前方に位置している。側面21Bは、減速歯車24の中心軸線CL3周りの周方向に延びるように形成されている。側面21Bの内周縁及び外周縁は、左右方向で同じ位置にある。つまり、側面21Bは、平坦面である。
【0153】
図2を参照しながら、側面21Bについて説明する。側面21Bは、車両の側面視で、減速歯車24と重なる。
図2に示す例では、側面21Bは、減速歯車24のうち、筒部242と重なる。
【0154】
再び、
図12を参照しながら説明する。側面21Cは、側面21Bよりも左側(左右方向で内側)に位置している。つまり、側面21Bは、側面21Cよりも右側(左右方向で外側)に位置している。側面21Cは、クランク軸22の中心軸線CL1に垂直な方向(径方向)で、側面21Aよりも外側に位置している。側面21Cは、減速歯車24の中心軸線CL2に垂直な方向(径方向)で、側面21Bよりも外側に位置している。側面21Cは、ロータ252の中心軸線CL2周りの周方向に延びるように形成されている。
【0155】
図2を参照しながら、側面21Cについて説明する。側面21Cは、車両の側面視で、モータ25と重なる。
図2に示す例では、側面21Cの外周縁がステータ251と重なり、側面21Cの内周縁がロータ252と重なる。
【0156】
側面21Cの内周縁は、側面21Cの外周縁よりも右側(左右方向で外側)に位置している。つまり、側面21Cでは、ロータ252の中心軸線CL2に近いほど、右側(左右方向で外側)に突出している。側面21Cでは、右側(左右方向で外側)への突出高さが変化する割合は、中心軸線CL2に近いほど小さい。つまり、側面21Cは、ドーム状の傾斜面である。
【0157】
再び、
図12を参照しながら説明する。取付部216のボス216Rは、ロータ252の中心軸線CL2に垂直な方向(径方向)で、側面21Cよりも外側に位置している。ボス216Rの右端面は、側面21Cの外周縁よりも、右側(左右方向で外側)に位置している。
【0158】
ハウジング21の右側面には、接続部218が設けられている。接続部218は、ハウジング21の右側面から右側(左右方向で外側)に突出している。接続部218は、ロータ252の径方向に延びている。接続部218は、側面21Cと、ボス216Rの側面(外周面)とを接続している。
【0159】
電動補助自転車10においては、ハウジング21が側面21Aを有する。そのため、ハウジング21の剛性を向上させることができる。
【0160】
電動補助自転車10においては、ハウジング21が側面21Cを有する。そのため、ハウジング21の剛性を向上させることができる。
【0161】
電動補助自転車10においては、側面21Aと、側面21Bと、側面21Cとが、左右方向で異なる位置に形成されている。そのため、ハウジング21の剛性をさらに向上させることができる。
【0162】
電動補助自転車10においては、ハウジング21の右側面に、接続部218が設けられている。そのため、ハウジング21の剛性をさらに向上させることができる。
【0163】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0164】
例えば、上記実施の形態では、チェーンステー301がブラケット125に対して揺動可能に取り付けられている場合について説明したが、チェーンステー301は、
図13に示すように、ブラケット125に固定されていてもよい。この場合、車両の側面視において、領域125Fが線分SL1と重ならない。つまり、チェーンステー301がブラケット125に取り付けられる領域と、領域125Fとは、線分SL1上で並ばない。そのため、リアセンター長を短くすることができる。なお、
図13に示す例では、チェーンステー301がブラケット125に取り付けられる領域は、車両の側面視で、線分SL1と重なっているが、線分SL1と重ならないようにしてもよい。
【0165】
上記実施の形態では、歯車2333がワンウェイクラッチ233の従動部材2332に設けられ、人力(ペダル踏力)とモータ駆動力との合力を出力するタイプの駆動ユニット20について説明したが、例えば、歯車2333を従動部材2332に設ける代わりに、減速歯車24の回転軸に補助スプロケットを設け、駆動スプロケット34及び従動スプロケット32に巻き掛けられたチェーン36の途中にモータ駆動力を付加するタイプの駆動ユニットであっても、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0166】
10 電動補助自転車
12 車体フレーム
125 ブラケット
125D 領域
125F 領域
14F 前輪
14R 後輪
141 車軸
14C 軸心
20 駆動ユニット
21 ハウジング
216 取付部
217 取付部
22 クランク軸
22C 軸心
SL1 線分