(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】半導体パッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20220928BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20220928BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220928BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L23/50 N
H01L21/56 R
H01L21/78 Q
(21)【出願番号】P 2016154512
(22)【出願日】2016-08-05
【審査請求日】2019-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2015158072
(32)【優先日】2015-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社アムコー・テクノロジー・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴原 将文
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 一
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011457(JP,A)
【文献】米国特許第06608366(US,B1)
【文献】特開平11-191561(JP,A)
【文献】特開2006-073570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0001616(US,A1)
【文献】国際公開第2015/145651(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254214(US,A1)
【文献】特開平11-186481(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015850(WO,A1)
【文献】特開2006-066545(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0043566(US,A1)
【文献】特開平05-166964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 23/50
H01L 21/56
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が配置されるダイパッドと前記ダイパッドの周囲に第1面に凹部を有する外部端子とをそれぞれ含み、マトリックス状に配置された複数の単位フレームと、前記複数の単位フレームを接続するとともにダイシングブレードにより切断される切断領域とを含む単位フレーム集合体を備えるリードフレームを準備し、
前記ダイパッドの前記第1面と反対側の面である第2面に複数の信号端子を有する半導体素子を配置し、
前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続し、
前記外部端子の前記第1面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子を封入する封止体を形成し、
前記外部端子の凹部に導電性のペーストを前記封止体の表面から突出するように充填し、
前記導電性のペーストを加熱により溶融及び固化させて導電性の接続端子を形成し、
前記切断領域に沿って個片化することを含む半導体パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記接続端子を形成後に、前記切断領域に沿って前記第1面側から前記封止体の一部まで切り込み溝を形成し、
前記切り込み溝を形成したことによって露出した前記外部端子の側面に導電膜を形成し、
前記封止体の残部を切断することによって前記個片化することを特徴とする請求項1の半導体パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記切り込み溝は、テーパ形状に切り込むことによって形成することを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記切り込み溝の幅は、前記残部の切断幅よりも広いことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記接続端子を形成後に、前記接続端子側の面又は当該接続端子側の面の反対側の面である前記封止体側の面にテープを貼り、
前記切断領域に沿って切断し、
前記切断することによって露出した前記外部端子の側面に導電膜を形成し、
前記テープを剥がすことによって前記個片化することを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記切断は、テーパ形状に切り込むことによって行うことを特徴とする請求項5に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項7】
半導体素子が配置されるダイパッドと前記ダイパッドの周囲に外部端子とをそれぞれ含み、マトリックス状に配置された複数の単位フレームと、前記複数の単位フレームを接続するとともにダイシングブレードにより切断される切断領域とを含む単位フレーム集合体を備えるリードフレームを準備し、
第2面に複数の信号端子を有する半導体素子を配置し、
前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続し、
前記外部端子の前記第2面と反対側の面である第1面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子を封入する封止体を形成し、
前記切断領域に沿って前記第1面側から前記封止体の一部まで切り込み溝を形成し、
前記切り込み溝を形成したことによって露出した前記外部端子の側面に導電膜を前記封止体の側面から突出するように形成し、
前記封止体の残部を切断することによって個片化することを含む半導体パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記切り込み溝を形成することは、テーパ形状に切り込むことによって行うことを特徴とする請求項7に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項9】
ダイパッドと、
前記ダイパッドの上に配置され、複数の信号端子を有する半導体素子と、
前記ダイパッドの周囲に複数個配置され、前記半導体素子が配置される側とは反対側の第1面に一端面に凹部を有する外部端子と、
前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続する配線と、
前記外部端子の前記第1面と前記一端面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子及び前記配線を封止する封止体と、
前記凹部に配置され前記封止体の表面から突出するように設けられ導電性の接続端子と
を備える半導体パッケージ。
【請求項10】
前記外部端子の前記第1面と前記一端面とが形成する角度が鋭角又は鈍角であることを特徴とする請求項9に記載の半導体パッケージ。
【請求項11】
前記外部端子の前記一端面に配置される導電膜をさらに有することを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ及びその製造方法に関する。本発明は、特に、QFN(Quad Flat Non-leaded package)などパッケージ側面から外側に電気接続用端子が突出していないタイプの半導体パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に対応するために、樹脂封止型の半導体パッケージなどの半導体部品の高密度実装が要求され、これに伴い、半導体部品の小型、薄型化が進んでいる。また、小型で薄型でありながら、多ピン化が進み、高密度の小型、薄型の樹脂封止型半導体パッケージが望まれている。
【0003】
以下、
図14及び
図15を用いて、従来のQFN型の樹脂封止型半導体パッケージについて説明する。
図14は、従来のQFN型の樹脂封止型半導体パッケージの概略構成を示す斜視図である。また、
図15は、従来の外部端子の構造を示す拡大図である。
図14に示すように、従来の樹脂封止型半導体パッケージは、外部端子の端面側に凹所を設けることにより、外部端子の端面側に半田フィレットをできやすくして、パッケージの上面からの観察で半田フィレットを見やすくしている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このようなパッケージの製造方法について簡単に説明すると、マトリックスフレームと呼ばれる成型金属板に複数のパッケージを形成し、各パッケージの周縁部に外部端子(リード端子)を構成する領域を形成し、この外部端子を構成する領域を腐食することによって凹所を形成し、それぞれの中心部にダイパッドと半導体チップを配設し、半導体チップの各信号端子と所定の外部端子を構成する領域とをワイヤで結線し、マトリックスフレームの下面にフィルムを貼って、モールド樹脂が外部端子の下面に流れ込むのを防止した後、マトリックスフレームを樹脂成型用の型に入れ、周知の方法によって全領域の上面をモールド樹脂で封止する。
【0005】
この状態では、隣接する各パッケージが外部端子によって接続され、全パッケージがモールド樹脂で封止された状態であるため、例えば切断用の回転歯(ダイシングブレード)(図示せず)をモールド樹脂の上面に押し当て、パッケージの相互の境界部分に沿って縦方向及び横方向に移動させて切断し、
図14に示すような個々のパッケージに分割していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ブレードダイシングによる個片化(個々のパッケージに分割すること)の場合には、一括モールドが可能であることから、マトリックスフレームあたりの取り数が多いというメリットがある一方で、ブレードダイシング時に外部端子の凹所に切削屑が入り込んでしまうことがあるため、良好なフィレットを形成することができないという問題がある。そこで、ブレードダイシングによる個片化ではなく、パンチングによって個片化を行うことで、外部端子の凹所に切削屑が入り込むのを防止することが考えられる。
【0008】
しかしながら、パンチングによる個片化では、モールド樹脂の注入ゲートをパッケージごとに配置し、パッケージごとに金型を配置するスペースを要するため、マトリックスフレームあたりの取り数が少なくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題を解決しようとするものであって、その目的とするところは、ブレードダイシングによる個片化を行いつつ、外部端子の凹部に切削屑が入り込むのを防止するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、半導体素子が配置されるダイパッドと前記ダイパッドの周囲に第1面に凹部を有する外部端子とをそれぞれ含み、マトリックス状に配置された複数の単位フレームと、前記複数の単位フレームを接続するとともにダイシングブレードにより切断される切断領域とを含む単位フレーム集合体を備えるリードフレームを準備し、前記ダイパッドの前記第1面と反対側の面である第2面に複数の信号端子を有する半導体素子を配置し、前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続し、前記外部端子の前記第1面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子を封入する封止体を形成し、前記外部端子の凹部に導電性のペーストを充填し、前記導電性のペーストを加熱により溶融及び固化させて導電性の接続端子を形成し、前記切断領域に沿って個片化することを含む半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
【0011】
前記接続端子を形成後に、前記切断領域に沿って前記第1面側から前記封止体の一部まで切り込み溝を形成し、前記切り込み溝を形成したことによって露出した前記外部端子の側面に導電膜を形成し、前記封止体の残部を切断することによって前記個片化してもよい。
【0012】
前記切り込み溝は、テーパ形状に切り込むことによって形成してもよい。
【0013】
前記切り込み溝の幅は、前記残部の切断幅よりも広くてもよい。
【0014】
前記接続端子を形成後に、前記接続端子側の面又は当該接続端子側の面の反対側の面である前記封止体側の面にテープを貼り、前記切断領域に沿って切断し、前記切断することによって露出した前記外部端子の側面に導電膜を形成し、前記テープを剥がすことによって前記個片化してもよい。
【0015】
前記切断は、テーパ形状に切り込むことによって行ってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、半導体素子が配置されるダイパッドと前記ダイパッドの周囲に外部端子とをそれぞれ含み、マトリックス状に配置された複数の単位フレームと、前記複数の単位フレームを接続するとともにダイシングブレードにより切断される切断領域とを含む単位フレーム集合体を備えるリードフレームを準備し、第2面に複数の信号端子を有する半導体素子を配置し、前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続し、前記外部端子の前記第2面と反対側の面である第1面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子を封入する封止体を形成し、前記切断領域に沿って前記第1面側から前記封止体の一部まで切り込み溝を形成し、前記切り込み溝を形成したことによって露出した前記外部端子の側面に導電膜を形成し、前記封止体の残部を切断することによって個片化することを含む半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
【0017】
前記切り込み溝を形成することは、テーパ形状に切り込むことによって行ってもよい。
【0018】
また、本発明の一実施形態によれば、ダイパッドと前記ダイパッドの上に配置され、複数の信号端子を有する半導体素子と、前記ダイパッドの周囲に複数個配置され、前記半導体素子が配置される側とは反対側の第1面に一端面に凹部を有する外部端子と、前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続する配線と、前記外部端子の前記第1面と前記一端面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子及び前記配線を封止する封止体と、前記凹部に配置される導電性の接続端子とを備える半導体パッケージが提供されてもよい。
【0019】
別の好ましい態様において、前記導電性の接続端子は、前記第1面から突出していることを特徴とする半導体パッケージが提供されてもよい。
【0020】
前記外部端子の前記第1面と前記一端面とが形成する角度が鋭角又は鈍角であってもよい。
【0021】
前記外部端子の前記一端面に配置される導電膜をさらに有してもよい。
【0022】
別の好ましい態様において、ダイパッドと前記ダイパッドの上に配置され、複数の信号端子を有する半導体素子と、前記ダイパッドの周囲に複数個配置される外部端子と、前記外部端子と前記半導体素子の信号端子とを電気的に接続する配線と、前記外部端子の前記半導体素子が配置される側とは反対側の第1面と一端面が露出するように、前記ダイパッド、前記半導体素子及び前記配線を封止する封止体とを備え、前記外部端子の中のコーナーに配置される外部端子に凹部が形成されることを特徴とする半導体パッケージが提供されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、ブレードダイシングによる個片化を行いつつ、外部端子の凹部に切削屑が入り込むのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る外部端子の構造を示す拡大図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る半導体パッケージのコーナーパッド付近を示す拡大図である。
【
図14】従来のQFN型の樹脂封止型半導体パッケージの概略構成を示す斜視図である。
【
図15】従来の外部端子の構造を示す拡大図である。
【
図16】従来の半導体パッケージの概略構成を示す図である。
【
図17】従来の半導体パッケージのコーナーパッド付近を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0026】
また、本明細書中において「上」とは、ダイパッドの主面(半導体素子を配置する面)を基準とした相対的な位置を指し、ダイパッドの主面から離れる方向が「上」である。
図2以降においては、紙面に向かって上方が「上」となる。また、「上」には、物体の上に接する場合(つまり「on」の場合)と、物体の上方に位置する場合(つまり「over」の場合)とが含まれる。
【0027】
<第1実施形態>
[半導体パッケージの構成]
図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの構成について説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す上面図であり、
図1(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す側面図である。半導体パッケージ10は、外部端子101、ダイパッド102、半導体素子103、ワイヤ104、封止樹脂(モールド樹脂)105及び半田106を含む。
【0028】
ダイパッド102は、半導体素子103を固定支持する。半導体素子103は、複数の信号端子(図示せず)を有し、ダイパッド102の上に配置される。半導体素子103は、ICチップやLSIチップ等の半導体デバイスである。
図1では、ダイパッド102上に1つの半導体素子103を配置する例を示しているが、実際には、ダイパッド102上に複数の半導体素子103を配置することが可能である。
【0029】
ワイヤ(ボンディングワイヤ)104は、外部端子101と半導体素子103の信号端子とを電気的に接続する。ワイヤ104は、主に金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などでできた超極細な金属線である。
【0030】
封止樹脂105は、外部端子101の一方の面(第1面)120と一端面122が露出するように、ダイパッド102、半導体素子103及びワイヤ104を封止する。封止樹脂105は、外部からの水分や不純物の混入からダイパッド102、半導体素子103の上部を保護する。封止樹脂105としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂などを使用することができる。
【0031】
[外部端子の構造]
図2は、本発明の第1実施形態に係る外部端子の構造を示す拡大図である。外部端子101は、ダイパッド102の周囲に複数個配置され、半導体素子103が配置される側(上側)とは反対側の下面(第1面)120に一端面122に凹部を有する。
【0032】
この例では、凹部は、断面でみると、四角形状となっているが、凹部の形状は、これに限定されるものではなく、半円形状、反楕円形状、四角形状以外の多角形状であってもよい。
【0033】
凹部には、導電性の接続端子(半田)106が配置される。半田106は、第1面120から突出している。凹部は、半田106で埋め込まれているが、製造プロセス上隙間ができる場合を除く趣旨ではなく、完全に半田106で埋め込まれていなくてもよい。他方、半田106は、一端面122において、外部端子101と同一平面状に形成される。
【0034】
[半導体パッケージの製造方法]
図3乃至
図5を用いて、半導体パッケージ10の製造方法について説明する。
図3乃至
図5は、それぞれ本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。
図3乃至
図5において、
図1に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。
【0035】
図3(a)に示すように、半導体素子が配置されるダイパッド102とダイパッドの周囲に外部端子101とをそれぞれ含み、マトリックス状に配置された複数の単位フレームと、複数の単位フレームを接続するとともにダイシングブレードにより切断される切断領域とを含む単位フレーム集合体を備えるリードフレームを準備する。次に、
図3(b)に示すように、外部端子101の一面に凹部107を形成する。この凹部は、例えば、腐食することによって形成することができる。
【0036】
続いて、
図3(c)に示すように、ダイパッド102の上に、複数の信号端子(図示せず)を有する半導体素子103を配置する。すなわち、ダイパッド102の上に、例えば銀ペースト樹脂をのせてから半導体素子103を軽く押しつけて接着する。
【0037】
続いて、
図3(d)に示すように、例えば、ワイヤ104を用いて、固定された半導体素子103の信号端子と外部端子102を接続する。この工程をワイヤボンディングという。
【0038】
続いて、
図4(a)に示すように、外部端子101の下面が露出するように、ダイパッド102、半導体素子103及びワイヤ104を封止樹脂105で樹脂封止する。この工程において、それぞれの凹部107は、非貫通孔であり、樹脂封止を半導体素子搭載側から行うため、その内部には封止樹脂105は侵入しない。
【0039】
続いて、
図4(b)に示すように、外部端子102の凹部のサイズに開港したメタルマスク108を外部端子部に搭載する。そして、
図4(c)に示すように、例えば、半田ペーストをメタルマスク108を介して印刷し、半田ペーストを充填させる。
【0040】
続いて、
図4(d)に示すように、スキージ109を用いて、余分な半田ペーストを除去し、
図5(a)に示すように、メタルマスク108を外す。そして、
図5(b)に示すように、半田ペーストをリフローで溶融し、固化させて、半田(導電性の接続端子)106を形成する。
【0041】
最後に、
図5(c)に示すように、ダイシングブレード110を用いて、半導体パッケージを個片化する。なお、この例では、一度に個片化を行っているが、この方法に限定されるものではなく、ダイシングブレードを用いて切り込み溝を形成した後に、メッキ処理等を行った後に、ダイシングブレードを用いて、個片化を行う方法であってもよい。
【0042】
本実施形態によれば、ブレードダイシングによる個片化の際には、凹部には、半田106が埋め込まれている。そのため、ブレードダイシング時の切削屑が凹部に入り込むことを防止することができるという効果を奏する。その結果、外側端子101端面側に良好な半田フィレットを形成することが可能となり、接合強度を高めるとともに、実装信頼性が向上するという効果を奏する。また、ブレードダイシングによる個片化が可能であるため、パンチングによる個片化の場合と比べて、フレームあたりの取り数が向上するという効果を奏する。さらに、外側端子101端面側に良好な半田フィレットを形成することが可能となり、半導体パッケージの上面から半田フィレットを観察することにより、半導体パッケージと基板との半田接合が十分に行われているかどうかを容易に確認することができるという効果を奏する。
【0043】
<第2実施形態>
図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージ10Aについて説明する。
図6(a)は、本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す図である。
図6(b)は、
図6(a)のA-A’線での断面図である。本実施形態は、外部端子の一端面に導電膜111を有する点、外部端子101の一端面と封止樹脂105Aの側面が一致しない点において、第1実施形態と異なり、その他の点は、第1実施形態と同じである。ここでは、第1実施形態と重複する点は説明を省略する。
【0044】
導電膜111は、外部端子101の一端面に配置される。この例では、導電膜111は、半田である。もっとも、導電膜111の材料は、半田に限定されるものではなく、半田を代替することができる導電性金属膜あってもよい。
【0045】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、封止樹脂105Aの側面と外部端子101の一端面とは一致していない。また、封止樹脂105Aの側面と導電膜111の側面とは一致していない。封止樹脂105Aが導電膜111より突出しているが、この原因については、後述の半導体パッケージの製造方法によるものである。
【0046】
次に、
図7及び
図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。
図7及び
図8は、本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。本実施形態に係る製造方法は、第1実施形態の製造方法のうち、半田106を形成するところ(
図5(b))までは同じであり、それ以降が異なる。
図7(a)は、
図5(b)と同じである。ここでは、第1実施形態と重複する点は説明を省略する。
【0047】
図7(a)に続いて、切断領域に沿って外部端子101がある側から封止樹脂105Aの一部まで切り込み溝を形成する(
図7(b))。切り込み溝の形成は、ダイブレードによってもレーザによってもよい。切り込みは、少なくとも外部端子101の一端面(側面)が露出するまで行う必要がある。
【0048】
続いて、切り込み溝を形成したことによって露出した外部端子101の一端面(側面)及び半田106の側面に導電膜111を形成する(
図7(c))。この導電膜111の形成は、例えば、
図7(c)に示す矢印の方向からジェットディスペンサーなどを用いて半田ペーストを吹き付けることによって行う。
【0049】
続いて、半田ペーストをリフローで溶融し、固化させて、導電膜111を形成する(
図8(a))。最後に、例えば、ダイシングブレード110Aを用いて、封止樹脂105Aの残部を切断する(
図8(b))。その結果、半導体パッケージを個片化することができる。ここで、
図7(b)の切り込み溝の幅は、
図8(b)においてダイシングブレード110Aを用いて封止樹脂105Aの残部を切断したときの切断幅よりも広くなる。これは、形成した導電膜111をダイシングブレード110Aによって削ってしまわないようにするためである。
【0050】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ブレードダイシングによる個片化の際には、凹部には、半田106が埋め込まれている。そのため、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0051】
本実施形態では、第1実施形態と比較して、さらに外部端子101の一端面(側面)及び半田106の側面に導電膜111を形成する。そして、導電膜111も半田106と同様に半田フィレットを形成する。第1実施形態と比較すると、外部端子101の一端面(側面)に導電膜111があるため、第1実施形態もさらに良好な半田フィレットを形成することが可能となり、接合強度を高めるとともに、実装信頼性が向上するという効果を奏する。また、半導体パッケージの上面から半田フィレットを観察することにより、半導体パッケージと基板との半田接合が十分に行われているかどうかを容易に確認することができるという効果を奏する。
【0052】
<第3実施形態>
図9を用いて、本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージ10Bについて説明する。
図9(a)は、本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージの概略構成を示す図である。
図9(b)は、
図9(a)のB-B’線での断面図である。本実施形態は、外部端子の一端面(側面)に導電膜111Bを有する点において、第1実施形態と異なり、その他の点は、第1実施形態と同じである。ここでは、第1実施形態と重複する点は説明を省略する。
【0053】
導電膜111Bは、外部端子101の一端面に配置される。導電膜111Bの材料は、第2実施形態の導電膜111と同じである。
【0054】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、封止樹脂105Bの側面と導電膜111Bの一端面とは一致していない。言い換えれば、導電膜111Bが封止樹脂105Bより突出しているが、この原因については、後述の半導体パッケージの製造方法によるものである。
【0055】
次に、
図10及び
図11を用いて、本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。
図10及び
図11は、本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージの製造方法の一部を説明するための断面図である。本実施形態に係る製造方法は、第1実施形態の製造方法のうち、半田106を形成するところ(
図5(b))までは同じであり、それ以降が異なる。
図9(a)は、
図5(b)と同じである。ここでは、第1実施形態と重複する点は説明を省略する。
【0056】
図10(a)に続いて、外部端子101がある側の面とは反対側の面にテープを貼る(
図10(b))。後の工程において、ダイブレードやレーザによるダイシング工程、テープ113を剥がす工程があるため、テープ113の材質は、これらの工程を行うことができる程度に粘着性がある材質である必要がある。テープ113は、紫外光をあてることによって、粘着力が低下するタイプのテープであってもよい。この例では、外部端子101がある側の面とは反対側の面にテープ113を貼っているが、外部端子101がある側の面に貼ってもよい。
【0057】
続いて、切断領域に沿って切断する(
図10(c))。次に、外部端子101の一端面(側面)及び半田106の側面に導電膜111Bを形成する(
図11(a))。導電膜111Bの形成方法は、導電膜111の形成方法と同じである。なお、
図10(b)のように、外部端子101がある側の面とは反対側の面にテープ113を貼る方が、外部端子101がある側の面にテープ113を貼るよりも、半田ペーストを吹き付けて接着させやすい。
【0058】
続いて、半田ペーストをリフローで溶融し、固化させて、導電膜111Bを形成する(
図11(b))。最後に、テープ113を剥がす(
図11(c))。その結果、半導体パッケージを個片化することができる。
【0059】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
本実施形態では、第1実施形態と比較して、さらに外部端子101の一端面(側面)及び半田106の側面に導電膜111Bを形成する。そして、導電膜111Bも半田106と同様に半田フィレットを形成する。第1実施形態と比較すると、外部端子101の一端面(側面)に導電膜111Bがあるため、第1実施形態もさらに良好な半田フィレットを形成することが可能となり、接合強度を高めるとともに、実装信頼性が向上するという効果を奏する。さらに、第1実施形態及び第2実施形態と比較すると、導電膜111Bが封止樹脂105Bより突出しているため、半田フィレットを形成したときに、半導体パッケージの上面から半田フィレットを観察することにより、半導体パッケージと基板との半田接合が十分に行われているかどうかを第1実施形態及び第2実施形態よりも容易に確認することができるという効果を奏する。
【0061】
<変形例1>
第2実施形態及び第3実施形態では、
図7(b)及び
図10(c)に示すように、外部端子101がある側の面に対して垂直に切断していた。もっとも、切断のしかたは、これに限定されるものではなく、テーパダイシングによってもよい。ここで、テーパダイシングとは、テーパ付きブレードを用いて、テーパ形状に切断することを意味する。言い換えれば、外部端子101の一方の面(第1面)120と一端面とが形成する角度が鋭角又は鈍角である。すなわち、外部端子101がある側の面からテーパ形状に切り込むと、外部端子101の一方の面(第1面)120と一端面とが形成する角度は鈍角となる。他方、外部端子101がある側の面と反対側の面からテーパ形状に切り込むと、外部端子101の一方の面(第1面)120と一端面とが形成する角度は鋭角となる。
【0062】
このようにテーパダイシングを用いて切断によると、切断によって外部端子101に露出される面の面積が、第2実施形態及び第3実施形態の場合の面積よりも広くなる。そのため、第2実施形態及び第3実施形態の場合よりも、半田ペーストを吹き付けることができる面積が広くなる。その結果、第2実施形態及び第3実施形態よりもさらに良好な半田フィレットを形成することが可能となり、接合強度を高めるとともに、実装信頼性が向上するという効果を奏する。
【0063】
<変形例2>
第1実施形態から第3実施形態及び変形例1においては、外部端子101に凹部107を形成し、凹部107に半田106を形成していた。本変形例では、凹部107を形成しない。他方、第2実施形態、第3実施形態及び変形例1と同様に、外部端子101の一端面に導電膜を形成する。これによって、外側端子101端面側に良好な半田フィレットを形成することが可能となり、接合強度を高めるとともに、実装信頼性が向上するという効果を奏する。また、外側端子101端面側に良好な半田フィレットを形成することが可能となり、半導体パッケージの上面から半田フィレットを観察することにより、半導体パッケージと基板との半田接合が十分に行われているかどうかを容易に確認することができるという効果を奏する。
【0064】
<第4実施形態>
[半導体パッケージの構成]
図12及び
図13を用いて、第4実施形態に係る半導体パッケージ40について説明する。
図12(a)は、第4実施形態に係る半導体パッケージの概略を示す上面図である。
図12(b)は、第4実施形態に係る半導体パッケージの概略を示す側面図である。
図13(a)は、
図12(b)におけるコーナーパッド付近の拡大図である。
図13(b)は、第4実施形態に係る半導体パッケージを基板に実装したときのコーナーパッド付近の拡大図である。
【0065】
第4実施形態に係る半導体パッケージ40は、第1実施形態と同様に、ブレードダイシングによって個片化されたQFNの半導体パッケージである。
図12(b)に示すように、外部端子401の下面と封止樹脂405の下面は、同一平面である。
【0066】
図16(a)は、従来の半導体パッケージの概略を示す上面図である。
図16(b)は、従来の半導体パッケージの概略を示す側面図である。
図17(a)は、
図16(b)におけるコーナーパッド付近の拡大図である。
図17(b)は、従来の半導体パッケージを基板に実装したときのコーナーパッド付近の拡大図である。ブレードダイシングによって個片化されたQFNの半導体パッケージ90では、
図16(b)及び
図17(a)に示すようにコーナーパッド912の下面も外部端子の下面と同様に、封止樹脂の下面と同一平面であった。
【0067】
しかしながら、従来のブレードダイシングによって個片化されたQFNの半導体パッケージ90では、
図17(b)に示すように、基板に実装する際に、実装状態を確認しにくいといった問題や実装信頼性が高くないといった問題があった。
【0068】
本実施形態では、
図13(a)に示すように、コーナーパッド412は、下面をハーフエッチで薄くすることによって、封止樹脂405の下面と同一平面ではなく、隙間が形成されている。そのため、
図13(b)に示すように、基板実装時に半田フィレット414を形成することが容易になるという効果を奏する。また、半田フィレット414を形成することが容易になったことにより、実装信頼性が向上するという効果を奏する。さらに、良好な半田フィレットを形成することが可能となり、半導体パッケージの上面から半田フィレットを観察することにより、半導体パッケージと基板との半田接合が十分に行われているかどうかを容易に確認することができるという効果を奏する。
【0069】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10、40、80、90:半導体パッケージ
101、401、801、901:外部端子
102、802:ダイパッド
103、803:半導体素子
104、804:ワイヤ
105、405、805、905:封止樹脂
106:半田 111:導電膜
412、912:コーナーパッド 414、914:半田フィレット