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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】記録紙カセット及びプリンタ装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/00 20060101AFI20220928BHJP
   B65H 3/00 20060101ALI20220928BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20220928BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220928BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B65H1/00 Z
B65H3/00 310A
B41J11/00 Z
B41J3/36 Z
B41J29/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018055905
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019167203
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小口 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寿美男
(72)【発明者】
【氏名】森 幸博
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-101128(JP,A)
【文献】特開平03-106672(JP,A)
【文献】特開2001-146008(JP,A)
【文献】特開平01-172127(JP,A)
【文献】実開昭58-005762(JP,U)
【文献】実開平01-093453(JP,U)
【文献】特開平08-025729(JP,A)
【文献】特開2016-098056(JP,A)
【文献】特表2005-500195(JP,A)
【文献】特開2007-331890(JP,A)
【文献】特開平05-112062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B41J 3/36
B41J 11/00-11/70
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタに接続される記録紙カセットであって、
記録紙を収納する収納部と、
電池と、
前記プリンタに前記電池の電力を供給する複数の電極端子と、
を有し、
前記複数の電極端子は、前記収納部の前記プリンタと接続される側の長手方向両端部に設けられていることを特徴とする記録紙カセット。
【請求項2】
前記記録紙を搬送するカセット給紙ローラと、
前記カセット給紙ローラを回転させるモータと、
を有し、
前記モータは、前記電池の電力により回転することを特徴とする請求項1に記載の記録紙カセット。
【請求項3】
前記電池は、前記プリンタに設けられている電池よりも電圧が高いことを特徴とする請求項1または2に記載の記録紙カセット。
【請求項4】
前記プリンタに設けられている給紙ローラの回転に連動して回転する補助ローラが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録紙カセット。
【請求項5】
前記プリンタには、前記記録紙カセットの着脱に連動して開閉するスイッチが設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録紙カセット。
【請求項6】
前記収納部の内部に前記記録紙を仕切る中仕切板を有し、
前記中仕切板の少なくとも一方に前記記録紙を通す開口部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の記録紙カセット。
【請求項7】
プリンタに接続され、カセット電池を収納する記録紙カセットと、
前記カセット電池の電力を前記プリンタに供給する複数の電極端子と、
前記プリンタに収納されるプリンタ電池と、
前記プリンタを制御する制御部と、
前記プリンタと前記記録紙カセットとの接続に応じてオンオフが切り替えられるスイッチと、
を有し、
前記複数の電極端子は、記録紙を収納する収納部の前記プリンタと接続される側の長手方向両端部に設けられており、
前記記録紙カセットが前記プリンタに接続されると前記プリンタ電池が前記制御部から分離されることを特徴とするプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙カセット及びプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯型プリンタは箱形に形成されており比較的大きく、バッグ等に入れられて持ち運ばれていたが、携帯型プリンタは小型で軽く、持ち運びやすいものが好ましい。また、携帯型プリンタでは、記録紙が収納される記録紙カセットが用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-159427号公報
【文献】特開2004-345819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯型プリンタには電池が内蔵されており、電池に蓄えられた電力によりプリンタが駆動されるが、携帯型プリンタをできるだけ小型にするため、電池も小型で低容量なものが用いられる。
【0005】
しかしながら、小型で低容量の電池では高速印刷等をすることができないが、小型の携帯型プリンタであっても、高速印刷等が可能であるものが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、プリンタに接続される記録紙カセットであって、記録紙を収納する収納部と、電池と、前記プリンタに前記電池の電力を供給する複数の電極端子と、を有し、前記複数の電極端子は、前記収納部の前記プリンタと接続される側の長手方向両端部に設けられていることを特徴とする。

【発明の効果】
【0007】
開示の記録紙カセットによれば、携帯型プリンタに接続することにより、携帯型プリンタを高速印刷等が可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】携帯型のプリンタの斜視図
図2】携帯型のプリンタの断面図
図3】第1の実施の形態の記録紙カセットの部分透過した斜視図(1)
図4】第1の実施の形態の記録紙カセットの部分透過した斜視図(2)
図5】第1の実施の形態の記録紙カセットの部分透過した正面図
図6】携帯型のプリンタの正面図
図7】第1の実施の形態の記録紙カセットにプリンタが接続された上面側の斜視図
図8】第1の実施の形態の記録紙カセットにプリンタが接続された底面側の斜視図
図9】第1の実施の形態の記録紙カセットに携帯端末が載置された上面側の斜視図
図10】第1の実施の形態の記録紙カセットに携帯端末が載置された底面側の斜視図
図11】第1の実施の形態の記録紙カセットに携帯端末が載置された断面図
図12】第1の実施の形態の記録紙カセットに取り付け板を用いた上面側の斜視図
図13】第1の実施の形態の記録紙カセットに取り付け板を用いた底面側の斜視図
図14】携帯型のプリンタへの携帯情報端末の取り付け方法の説明図(1)
図15】携帯型のプリンタへの携帯情報端末の取り付け方法の説明図(2)
図16】第1の実施の形態の記録紙カセットを説明するためのブロック図(1)
図17】第1の実施の形態の記録紙カセットを説明するためのブロック図(2)
図18】第2の実施の形態の記録紙カセットの部分透過した側面図
図19】第2の実施の形態の記録紙カセットの断面図(1)
図20】第2の実施の形態の記録紙カセットの断面図(2)
図21】第3の実施の形態の記録紙カセットの斜視図
図22】第3の実施の形態の記録紙カセットの説明図
図23】第3の実施の形態の記録紙カセットの構造の説明図
図24】第3の実施の形態の記録紙カセットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については同一の符号を付して説明を省略する。本願において、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
(プリンタ)
本実施の形態による記録紙カセットが取り付けられる携帯型のプリンタ10について説明する。プリンタ10は円柱状のペン型に形成されており、ペン型プリンタとも呼ばれる。プリンタ10について図1及び図2に基づき説明する。図1はプリンタ10の斜視図であり、図2はプリンタ10の断面図である。プリンタ10は、プリンタ機能と無線による通信機能とを有しているIoT(Internet of Things)デバイスである。
【0011】
プリンタ10は、サーマルヘッド等の印刷ヘッド11、プラテンローラ12、給紙ローラ13、記録紙ガイド14、加圧バネ、制御基板16、給紙口センサ17、内蓋50、外蓋60を有している。印刷ヘッド11は加圧バネによりプラテンローラ12に押されている。記録紙は、給紙ローラ13が設けられている側から記録紙ガイド14に沿ってプリンタ10に入り、印刷ヘッド11とプラテンローラ12との間で挟まれた状態で、プラテンローラ12により搬送されながら印刷されて排紙される。制御基板16には、プリンタ10の制御を行う電子回路や電子部品が搭載されている。
【0012】
内蓋50及び外蓋60は円筒状であり、外蓋60の内側に内蓋50が入るように形成されている。内蓋50にはその母線に沿って開口している給紙口51及び排紙口52が設けられており、外蓋60にはその母線に沿って開口している給紙口61及び排紙口62が設けられている。外蓋60は内蓋50に対し回転可能である。
【0013】
プリンタ10により印刷を行う際には、内蓋50の給紙口51と外蓋60の給紙口61の位置が一致して開いており、内蓋50の排紙口52と外蓋60の排紙口62の位置が一致して開いている。このように開いている給紙口51及び給紙口61より記録紙がプリンタ10に入り、排紙口52及び排紙口62より排紙される。プリンタ10には、給紙口51、61が開放している状態で後述する記録紙カセット100を給紙口61に接続できる。
【0014】
プリンタ10で印刷を行う際には、印刷データが不図示の携帯情報端末よりプリンタ10にBLE(Bluetooth Low Energy)等の無線通信により送信される。このため、プリンタ10の内部には無線通信を行うためのアンテナが内蔵されている。
【0015】
プリンタ10には、充電池であるリチウムイオン電池が入れられた電源部80が設けられており、リチウムイオン電池より供給される電力によりプリンタ10を駆動することができる。プリンタ10には、充電池に充電するための不図示のコネクタが内蔵されている。本願においては、プリンタ10に内蔵されている充電池をプリンタ充電池と記載する場合がある。
【0016】
プリンタ10は、直径が約18mm、長さは約165mm~170mmと小型であり、ストレスを伴うことなく持ち運びができる。プリンタ10にはフック90が設けられており、ペンと同様に胸のポケット等にさした状態で持ち運ぶことが可能である。
【0017】
(記録紙カセット)
次に、第1の実施の形態の記録紙カセット100について説明する。本実施の形態の記録紙カセット100は、プリンタ10に取り付けられて使用するものである。図3は、本実施の形態の記録紙カセット100の筐体110を透過した斜視図であり、図4は記録紙カセット100を別の方向から見た斜視図であり、図5は正面図である。
【0018】
記録紙カセット100は、筐体110内に記録紙101を収納することができ、2本の充電池120a、120b、モータ130、カセット給紙ローラ140、補助ローラ150、制御基板160、電力送信用のコイル170が設けられている。また、制御基板160には、USBコネクタ81が設けられている。
【0019】
記録紙カセット100の筐体110の内側には、記録紙101の位置を規制するため、記録紙101の三方を囲むように複数の記録紙ガイド111が設けられており、図4に示されるように、記録紙ガイド111の内側に記録紙101が設置される。本願においては、記録紙ガイド111に囲まれた記録紙を収納する領域を収納部と記載する場合がある。また、2本の充電池120a、120bをカセット充電池と記載する場合がある。
【0020】
収納部の底面には付勢バネ112が設けられており、重ねられた記録紙101をZ1側に押し上げる。
【0021】
記録紙カセット100に設けられる2本の充電池120a、120bは、図示はしないが直列に接続されている。プリンタ10の内部に設けられているプリンタ充電池は公称電圧が約3.6Vの一本(1セル)の充電池である。一方、記録紙カセット100では、2本の充電池120a、120bを直列に接続することにより、プリンタ充電池の2倍の約7.2Vの電圧の電力が供給される。充電池120a、120bの電力は、記録紙カセット100内のモータ130、制御基板160、コイル170に供給される他、プリンタ10にも供給可能である。
【0022】
モータ130は、カセット給紙ローラ140を回転させるためのものである。モータ130の回転軸にはギア131が取り付けられており、カセット給紙ローラ140の回転軸に取り付けられたギア141とギア131との間には、ギア132が設けられている。
【0023】
X2側から見た場合、モータ130が時計回りに回転すると、ギア131も時計回りに回転し、ギア131と噛み合っているギア132は反時計回りに回転する。ギア132が反時計回りに回転すると、ギア132と噛み合っているギア141が時計回りに回転し、これに伴いカセット給紙ローラ140も時計回りに回転する。カセット給紙ローラ140は記録紙カセット100内の一番上の記録紙101と接触しており、カセット給紙ローラ140が時計回りに回転することにより、接触している記録紙101をプリンタ10側、即ち、Y2側に一枚ずつ搬送し、プリンタ10に供給することができる。
【0024】
記録紙カセット100のY2側には、プリンタ10に記録紙カセット100を取り付けるための2つのツメ113が設けられている。ツメ113をプリンタ10の給紙ローラ13のシャフトに引っ掛けることにより、プリンタ10に記録紙カセット100を取り付けることができる。
【0025】
補助ローラ150は、カセット給紙ローラ140とは独立に回転する。記録紙カセット100をプリンタ10に取り付けた状態では、後述するように、補助ローラ150は給紙ローラ13の回転に連動して回転し、プリンタ10への記録紙101の供給を補助する。
【0026】
また、記録紙カセット100のプリンタ10に取り付けられるY2側の面には、プリンタ10と磁気吸着させるための2つの磁石114、プリンタ10に充電池120a、120bからの電力を供給するための電極端子115a、115b、プリンタ10と情報通信をするための通信用端子116が設けられている。
【0027】
図6に示されるように、プリンタ10の給紙口51及び給紙口61に接続される側には、磁気接続部31a、31b、電極端子32a、32b、通信用端子33が設けられている。磁気接続部31a、31bは、給紙口51及び給紙口61の両端部に各々設けられている。
【0028】
磁気接続部31a、31bは記録紙カセット100の磁石114と磁気吸着されるものであり、鉄、コバルト、ニッケルを含む金属材料などの磁気材料により形成されている。電極端子32a、32bは電極端子115a、115bと接続され、記録紙カセット100よりプリンタ10に電力が供給される。通信用端子33は記録紙カセット100の通信用端子116と接続され、プリンタ10と記録紙カセット100との間でのシリアルデータ情報通信を行う。
【0029】
記録紙カセット100とプリンタ10とが磁石114により磁気吸着している状態では、電極端子115a、115bとプリンタ10に設けられた電極端子とが接触し、充電池120a、120bの電力を記録紙カセット100からプリンタ10に供給することが可能となる。また、通信用端子116とプリンタ10に設けられた通信用端子とが接触し、記録紙カセット100とプリンタ10との間で情報通信が可能となる。
【0030】
本実施の形態においては記録紙カセット100の両端2ヶ所に電極端子115a、115bが設けられている。そのため、プリンタ10に記録紙カセット100が斜めに取り付けられた場合など、記録紙カセット100が正常にプリンタ10に接続されていない場合には、電極端子115a/115bの少なくとも一方がプリンタの電極端子と接続されない状態になるため、プリンタ10に記録紙カセット100からの電力は供給されない。これにより、不完全な接続状態での動作による記録紙101の詰まり、ギア破損を防止できる。尚、電極端子115a及び115bのうちの一方が正極であり、他方が負極である。
【0031】
また、本実施の形態においては、通信用端子116を介しプリンタ10と記録紙カセット100とが双方向の通信を行うので、モータ130の駆動の制御等の記録紙カセット100の制御等をプリンタ10から行うことができる。
【0032】
制御基板160には不図示の制御ICが搭載されており、モータ130の回転の制御等、記録紙カセット100における様々な制御を行う。コイル170は、プリンタ充電池に無線充電するために設けられている。記録紙カセット100のコイル170が設けられている部分の上にプリンタ10を載置し、電力送信用のコイル170から放射された電磁波をプリンタ10に設けられた不図示の電力受信用のコイル170が受信することにより、プリンタ充電池を非接触に充電することができる。
【0033】
(プリンタとの接続)
次に、記録紙カセット100とプリンタ10との接続について説明する。上述したように、記録紙カセット100に設けられたツメ113を給紙ローラ13のシャフトに引っ掛けることにより、プリンタ10に記録紙カセット100が取り付けられる。これにより、記録紙カセット100とプリンタ10とが接続される。図7は、記録紙カセット100が取り付けられた状態のプリンタ10の上面側の斜視図であり、図8は底面側の斜視図である。
【0034】
記録紙カセット100の筐体110のZ1側の面には、後述するスマートフォン等の携帯端末を載置する載置領域117が設けられており、携帯端末180は図9及び図10に示すように載置領域117に載置される。図9は、プリンタ10及び携帯端末180が取り付けられている状態の記録紙カセット100の上面側の斜視図であり、図10は底面側の斜視図である。図9及び図10に示されるように、カバー181が取り付けられた携帯端末180を記録紙カセット100の載置領域117に載置することができる。
【0035】
図11は、プリンタ10及び携帯端末180が取り付けられている状態の記録紙カセット100の断面図である。図11に示されるように、ツメ113をプリンタ10の給紙ローラ13のシャフトに引っ掛けることにより、プリンタ10に記録紙カセット100を取り付けることができる。
【0036】
プリンタ10に記録紙カセット100が取り付けられている状態では、給紙ローラ13のギア13aと補助ローラ150のギア151とが噛み合った状態となる。そのため、補助ローラ150は給紙ローラ13の回転に連動して回転し、プリンタ10への記録紙101の供給を補助する。具体的には、図11に示される状態のプリンタ10により記録紙101に印刷を行う際には、プリンタ10の不図示のモータによってギア13aを図示時計回りに回転し、これに伴い給紙ローラ13を時計回りに回転させて、記録紙カセット100から印刷ヘッド11に向けて記録紙101を搬送させる。ギア13aが時計回りに回転するとギア13aと噛み合っている補助ローラ150のギア151が反時計回りに回転し、これに伴い補助ローラ150が反時計回りに回転する。
【0037】
一方、記録紙カセット100では、モータ130によってカセット給紙ローラ140がX2側から見て時計回りに回転し、記録紙カセット100に納められている記録紙101がY2側に搬送される。このように搬送された記録紙101が給紙ローラ13と補助ローラ150との間に入り込むと、記録紙101は給紙ローラ13及び補助ローラ150の回転によりプリンタ10の内部に搬送される。
【0038】
本実施の形態の記録紙カセット100では、カセット給紙ローラ140はプリンタ10の給紙ローラ13と独立して回転する。給紙ローラ13の搬送速度はカセット給紙ローラ140の給紙速度より速く設定されており、記録紙101のたるみ防止がなされている。記録紙101が給紙ローラ13により搬送されている間、印字への影響を防止する目的でカセット給紙ローラ140は給紙ローラ13により搬送される記録紙101により自由回転となる。図2に示されるプリンタ10の給紙口センサ17により記録紙101の先端が検出された時点でモータ130は停止する。これにより、記録紙カセット100からは記録紙が搬送されなくなる。そのため、記録紙101への印刷が終了した後に、記録紙カセット100から次の記録紙101が出てしまうことを防ぐことができる。
【0039】
(取り付け板)
記録紙カセット100に携帯端末180を取り付ける際には、図12から図15に示されるように携帯端末180を取り付けるための取り付け板182を用いてもよい。図12は、取り付け板182を用いて携帯端末180が取り付けられた状態の記録紙カセット100の上面側の斜視図であり、図13は底面側の斜視図である。図14は、カバー181に収納された携帯端末180、取り付け板182、プリンタ10、記録紙カセット100各部の斜視図であり、図15は固定バンド183により取り付け板182をプリンタ10に取り付ける過程を示す。
【0040】
図12から図15に示されるように、取り付け板182には、プリンタ10を固定するための固定バンド183が設けられており、固定バンド183によりプリンタ10の電源部80を覆うことでプリンタ10に取り付け板182が固定される。取り付け板182とカバー181とは接着されていてもよく、また、磁石等により磁気吸着するものであってもよい。
【0041】
取り付け板182が取り付けられているカバー181に携帯端末180を収納し、固定バンド183により携帯端末180をプリンタ10に固定した状態で、取り付け板182が記録紙カセット100の載置領域117の側となるように載置され取り付けられる。
【0042】
(電力供給)
次に、プリンタ10への電力供給について図16及び図17に基づき説明する。プリンタ10には、USBコネクタ81、充電回路82、プリンタ充電池83、ノックスイッチ84、ダイオード85、86、第1のゲート回路71、第2のゲート回路72、論理和回路73、DC-DCコンバータ74、CPU(Central Processing Unit)を有する制御部75、充電状態検出回路76、開閉スイッチ77が設けられている。開閉スイッチ77は、プリンタ10への記録紙カセット100の接続に応じてオンオフが切り替えられるスイッチである。プリンタ10に記録紙カセット100が接続されているとき、開閉スイッチ77は記録紙カセット100の筐体110の一部によって押されてオフとなり、記録紙カセット100が接続されていないときにオンとなる。開閉スイッチ77は押されていない時に回路ショートするスイッチでプリンタ10側に設けられており、給紙口51に記録紙カセット100が接続された時に記録紙カセット100の筐体110の一部で押されて開閉する位置に設けられている。プリンタ充電池83は電源部80内に内蔵されている。DC-DCコンバータ74は、直流電圧を変換するためのものであり、3.6Vの直流電圧を入力すると、ロジック電圧である3Vの直流電圧を出力する。
【0043】
制御部75は、印加電圧検出部78により印加されている電圧を検出する。カセット充電池120からは7.2Vの電圧が印加されるのに対し、プリンタ充電池からは3.6Vの電圧が印加される。そのため、制御部75は、印加電圧検出部78が検出した電圧に応じて、カセット充電池による駆動電圧印加時と、プリンタ充電池による駆動電圧印加時とで、プリンタ10の制御を変えることができる。プリンタ充電池による駆動とカセット充電池による駆動とを切り分けるしきい値は、例えば5.5Vに設定すればよい。
【0044】
図16に基づき、プリンタ充電池83を用いたプリンタ10の駆動について説明する。図16ではプリンタ10には記録紙カセット100が取り付けられていないため、開閉スイッチ77は閉じられており、プリンタ充電池83より電源供給する回路が形成されている。開閉スイッチ77が閉じることにより、記録紙カセット100が接続されていないときにはプリンタ充電池からの電流はダイオード86をバイパスする。このように、開閉スイッチ77が閉じられていると、プリンタ充電池83の電圧が開閉スイッチ77を介し、ノックスイッチ84、第1のゲート回路71、第2のゲート回路72に印加される。この状態でノックスイッチ84を押下すると、第1のゲート回路71に電源オン要求信号が出力される。この信号を受けて、第1のゲート回路71は、論理和回路73に対し「H」を出力する。論理和回路73は、「H」を次段のDC-DCコンバータ74に出力する。DC-DCコンバータ74は、ロジック電圧VDDを出力する。これにより、制御部75が起動し、第2のゲート回路72に対し、ロック信号を出力する。このとき、ノックスイッチ84を外しても、制御部75がロック信号を出力し続けるため、この状態が継続される。制御部75には、開閉スイッチ77を介しプリンタ充電池83の電圧が印加される。制御部75には、印刷ヘッド11を駆動する駆動回路やプラテンローラ12を回転させるためのモータの駆動回路が設けられており、これらの駆動回路にプリンタ充電池83の電力が供給される。尚、制御部75には印加電圧検出部78が設けられており、ヘッド/モータ等に印加されている給電電圧を検出し、検出電圧に応じたエネルギー制御、印字速度制御を行う。
【0045】
プリンタ充電池83による駆動の場合、印加電圧は5.5V未満であるため、制御部は検出された印加電圧に応じた処理、例えばプリンタ充電池83による低速印字制御を行う。
【0046】
図17に基づき、プリンタ10に記録紙カセット100を取り付け、記録紙カセット100に搭載されている充電池120a、120bを用いてプリンタ10を駆動する場合について説明する。カセット充電池120によりプリンタを駆動する場合、プリンタ充電池83を切り離さないと電圧の高いカセット充電池120からプリンタ充電池83に過剰電流が流れ、障害の原因となる。本実施の形態では、プリンタ充電池83へ過剰電流が流れることを防止する。
【0047】
図17の場合、プリンタ10に記録紙カセット100が取り付けられているため開閉スイッチ77が開く。カセット充電池120の電圧は、制御部75、ノックスイッチ84、第1のゲート回路71、第2のゲート回路72に印加される。一方、カセット充電池の電圧の方がプリンタ充電池の電圧よりも高いため、記録紙カセット100が接続されるとダイオード86によりプリンタ充電池83への回り込みは防止され、プリンタ10の制御部75などにはカセット充電池120より電力が供給される。同時に、プリンタ充電池83が切り離される。また、カセット充電池120の電圧が印加された場合、制御部は検出された印加電圧に応じた処理、例えば高速印刷の処理を行うことができる。
【0048】
プリンタ10に記録紙カセット100が取り付けられている状態では、プリンタ10をカセット充電池120により駆動することができるが、カセット充電池120による駆動と並行して、プリンタ充電池83を充電することも可能である。具体的には、USBコネクタ81より供給された電力を充電回路82よりダイオード85を介しプリンタ充電池83に供給することにより、プリンタ充電池83を充電することができる。尚、USBコネクタ81にUSB充電器が差されている場合、充電回路82に印加される電圧は高々5V程度であるから、ダイオード86により次段回路からは分離され、プリンタ10の制御部75等には引き込まないので通常に充電が実行される。
【0049】
この際、充電回路82の出力は、充電状態検出回路76にも入力しており、充電状態検出回路76から制御部75に充電状態である旨の信号が入力され、これにより、制御部75は、プリンタ充電池83の充電を保証するとともにプリンタ動作を停止するため、第2のゲート回路72にロック解除信号を送信する。
【0050】
プリンタ充電池83を充電中に記録紙カセット100がプリンタ10より外された場合には、印加電圧検出部78はしきい値以下の電圧を検出する。このとき、制御部75は記録紙カセット100に接続確認を行う。記録紙カセット100からの返信がなければ、制御部75は記録紙カセット100が切り離されたと判断する。一方、記録紙カセット100からアクノーリッジが返れば、制御部75はカセット充電池に異常が発生したと判断する。この場合、プリンタ充電池83が充電中か否かの判断を行い、プリンタ充電池83が充電中であり、プリンタ10による記録紙101への印刷がなされていなければ、プリンタ10の電源をオフにする。
【0051】
また、プリンタ10をプリンタ充電池83により駆動しているときにプリンタ10に記録紙カセット100を取り付けると、しきい値を超える印加電圧が印加電圧検出部78により検出される。このとき、制御部75は記録紙カセット100に接続確認信号を送る。記録紙カセット100からアクノーリッジが返信されれば、制御部はカセットが接続されたと判断し、必要に応じて高速印字制御に切り換える。一方、記録紙カセット100からアクノーリッジが検出されない場合は異常としてエラーをインジケータ表示し、プリンタ10の動作を停止する。
【0052】
ダイオード86は、プリンタ充電池83とカセット充電池120の切替を行う際のバックアップダイオードである。カセット充電池120が接続された場合、ダイオード86によりカセット充電池120からプリンタ充電池83への回り込みが防止される。また、(プリンタ充電池83の電圧)<(カセット充電池120の電圧)であるため、ダイオード86が逆バイアスとなり、プリンタ充電池83への充電と独立してプリンタ10をカセット充電池120によって駆動可能であり、記録紙カセット100を取り外すとき、開閉スイッチ77のチャタリングによる瞬断を防止できる。
【0053】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態の記録紙カセット200について説明する。本実施の形態の記録紙カセット200にはカセット給紙ローラ240を回転させるためのモータは設けられておらず、補助ローラ150に設けられているギア151とカセット給紙ローラ240に設けられているギア241とが噛み合っている。図18は、本実施の形態の記録紙カセット200の筐体210を透過した側面図であり、図19図20は、プリンタ10に取り付けられている状態の記録紙カセット200の断面図であり、異なる位置で切断したものである。
【0054】
本実施の形態では、プリンタ10に記録紙カセット200を取り付けることにより、プリンタ10の給紙ローラ13に取り付けられたギア13aと、補助ローラ150に取り付けられたギア151とが噛み合った状態となる。
【0055】
従って、プリンタ10により記録紙101に印刷を行う際には、給紙ローラ13が時計回りに回転する。一方、給紙ローラ13の回転によりギア13aも時計回りに回転する。ギア13aが時計回りに回転するとギア13aと噛み合っているギア151が反時計回りに回転し、これに伴い、補助ローラ150が反時計回りに回転する。更に、ギア151が反時計回りに回転することによって、ギア151と噛み合っているカセット給紙ローラ240のギア241が時計回りに回転し、これに伴い、カセット給紙ローラ240も時計回りに回転する。この動作によって、カセット給紙ローラ240と接している記録紙カセット100内の記録紙101がプリンタ10側に搬送され、プリンタ10内に給紙される。
【0056】
本実施の形態においては、記録紙を搬送するためのモータが不要となるため、省電力が可能となる。
【0057】
尚、上記以外の内容については、第1の実施形態と同様である。
【0058】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態による記録紙カセット300は、ファンフォールド紙に対応しているものである。図21は、記録紙カセット300の斜視図であり、図23は記録紙カセット300の内部を示す図であり、図24はプリンタ10に取り付けられた状態の記録紙カセット300の断面図である。
【0059】
記録紙カセット300では、筐体310の内部に中仕切板360が設けられており、ファンフォールド紙301は折りたたまれた状態で筐体310の内部の中仕切板360の下側(Z2側)に設置されている。中仕切板360のZ1側の面には付勢バネ370が取り付けられており、更に、円滑にファンフォールド紙301が搬送されるように、Z1側に凸となるY1-Y2方向に延びる複数のリブ361が設けられている。中仕切板360のY1側には、中仕切板360の下側から上側にファンフォールド紙301を取り出すための開口部362が設けられている。これにより、中仕切板360の下側に設置されているファンフォールド紙301の一部が開口部362を通り、中仕切板360の上側の付勢バネ370の上に載置される。付勢バネ370は、ファンフォールド紙301をプリンタ10に給紙しやすくするために、ファンフォールド紙301を上側、即ち、Z1側に持ち上げている。
【0060】
尚、図21に示されるように、記録紙カセット300がプリンタ10と接続されていないと、記録紙カセット300の正面側のツメ113、磁石、電極端子、通信用端子、補助ローラ150が露出する。このため、図22に示されるように、プリンタ10に接続されていない状態でも記録紙カセット300を持ち運ぶことができるように、記録紙カセット300の正面側を覆う前面カバー319を取り付けることができる。
【0061】
本実施の形態による記録紙カセット300を用いることにより、プリンタ10によるファンフォールド紙301への印刷が可能となる。
【0062】
尚、上記以外の内容については、第1の実施形態と同様である。
【0063】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0064】
10 プリンタ
13 給紙ローラ
100 記録紙カセット
110 筐体
115a、115b 電極端子
116 通信用端子
120 カセット充電池
130 モータ
131、132、141 ギア
140 カセット給紙ローラ
150 補助ローラ
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