(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
F25D23/00 307
(21)【出願番号】P 2018131530
(22)【出願日】2018-07-11
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山川 ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】川野 敬太
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-090043(JP,A)
【文献】特開平09-296979(JP,A)
【文献】特開2001-280809(JP,A)
【文献】実開昭52-041567(JP,U)
【文献】特開昭62-206371(JP,A)
【文献】実開昭57-157891(JP,U)
【文献】実開昭52-111474(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水樋を形成する排水樋形成部材に排水管を接続するように構成された冷蔵庫であって、
前記排水管に設けられた係合部と、
前記係合部に係合するように前記排水樋形成部材に取り付けられ、前記排水管を抜け止めする抜け止め部材と、
前記冷蔵庫の背面側に開口して形成され、前記排水管の外周面の一部を外部に露出した状態で収容する切欠部と、を備え、
前記排水樋形成部材は、前記排水管の延びる方向において前記係合部の第1箇所と当接して前記係合部の
下方への移動を規制し、
前記抜け止め部材は、前記切欠部を介して、前記排水管の延びる方向において前記係合部の前記第1箇所よりも前記冷蔵庫の背面側に位置する前記係合部の第2箇所と当接して前記係合部の
下方への移動を規制する冷蔵庫。
【請求項2】
前記排水管の係合部は、突起からなる段差で構成されており、
前記抜け止め部材は、前記段差に係合するように構成された請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記排水樋形成部材と前記排水管を接続する部位は、冷蔵庫の貯蔵空間を形成する内箱の背面側に配置されるように構成された請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記抜け止め部材は、前記内箱に前側から後側へ下がるように形成された傾斜面に当接されるように配置された請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記排水樋形成部材に前記抜け止め部材が取り付けられたときに、前記排水樋形成部材の背面と前記抜け止め部材の背面が面一となるように構成された請求項1から4のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記排水管の係合部は、鍔部で構成され、
前記抜け止め部材は、前記排水管が収容される溝部を有し、
前記抜け止め部材が前記排水樋形成部材に取り付けられたときに、前記鍔部が前記抜け止め部材の上面の上に載置支持されるように構成された請求項1から5のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫において、除霜水を排水する排水樋に排水ホースを接続する場合、庫内で両者を接続する構成が知られている。しかし、庫内で両者を接続する構成の場合には、パイプ等が庫内に露出しているため、見栄えが悪い、また、冷気シールによるシールが不完全であると、庫内に冷気が漏れたりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題を解消する構成として、断熱壁内で排水樋と排水ホースを接続する構成が知られている(例えば特許文献1)。この構成では、排水樋としての部品が別途必要であり、組立工数等が多くなるという問題があった。
そこで、断熱壁内で排水樋に排水ホースを容易に接続することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷蔵庫は、排水樋を形成する排水樋形成部材に排水管を接続するように構成されたものであって、排水管に設けられた係合部と、前記係合部に係合するように前記排水樋形成部材に取り付けられ、前記排水管を抜け止めする抜け止め部材と、前記冷蔵庫の背面側に開口して形成され、前記排水管の外周面の一部を外部に露出した状態で収容する切欠部と、を備え、前記排水樋形成部材は、前記排水管の延びる方向において前記係合部の第1箇所と当接して前記係合部の下方への移動を規制し、
前記抜け止め部材は、前記切欠部を介して、前記排水管の延びる方向において前記係合部の前記第1箇所よりも前記冷蔵庫の背面側に位置する前記係合部の第2箇所と当接して前記係合部の下方への移動を規制する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】中間絶縁部材に抜け止め部品を取り付ける様子を示す部分斜視図
【
図4】排水樋周辺における排水ホースが配置されていない抜け止め部品部分の縦断面を示す部分縦断側面図
【
図5】
図2中のV-V線に沿う断面構成を示す斜視図
【
図6】中間絶縁部材に抜け止め部品を取り付けた状態を示す背面図
【
図7】中間絶縁部材及び抜け止め部品に粘着テープを張り付けた状態を示す背面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態による冷蔵庫を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫10の概略構成を示す縦断側面面図である。以下の説明において、冷蔵庫10の
図1中の左側を前側、前面側とし、その反対方向を後側、背面側、又は奥側とする。
【0008】
図1に示すように、冷蔵庫10は、外郭を形成する外箱11と貯蔵空間を形成する内箱12との間に例えば発泡断熱材13例えばウレタンフォームを充填した断熱箱体からなる冷蔵庫本体14を備える。冷蔵庫本体14の内部に形成される貯蔵空間は、仕切壁15によって上方の冷凍室16と下方の冷蔵室17とに区画されている。仕切壁15は、冷蔵庫本体14の内部に形成される貯蔵空間を上下に断熱区画しており、仕切壁15の上面が冷凍室16の底面を構成し、仕切壁15の下面が冷蔵室17の天井面を構成している。
【0009】
冷凍室16の前面開口部は、図示しない例えばヒンジ式の冷凍室扉によって開閉可能に構成されている。冷凍室16は、例えば-18℃以下の冷凍温度に冷却される空間である。冷蔵室17の前面開口部は、図示しない例えばヒンジ式の冷蔵室扉によって開閉可能に構成されている。冷蔵室17は、例えば、0~3℃の冷蔵温度に冷却される空間である。
【0010】
冷凍室16の背部には、冷却器18を収納する冷却器室19が設けられている。冷却器室19の内部には、冷却器18と図示しない送風ファンとが収納されている。送風ファンにより生成された空気、即ち、冷気は、図示しない冷凍ダクトを介して冷凍室16内に供給され、冷凍ダクト及び図示しない冷蔵ダクトを介して冷蔵室17内に供給されるように構成されている。
【0011】
冷却器室19に設けられた冷却器18は、冷蔵庫10の下部の機械室20内に設けられた図示しない圧縮機、及び、いずれも図示しない凝縮器やキャピラリーチューブ等と共に冷凍サイクルを構成している。圧縮機から吐出される冷媒が凝縮器及びキャピラリーチューブを介して冷却器18に導入される。これにより、冷却器18は冷却器室19内の空気を冷却するように構成されている。
【0012】
さて、
図2にも示すように、冷却器室19内における冷却器18の下方には、除霜用のガラス管ヒータ21が配設されている。冷却器室19の底部には、中間絶縁部材22が配設されており、この中間絶縁部材22は、冷蔵庫本体14の後部断熱壁23内、即ち、内箱12と外箱11との間における仕切壁15の後方に配置されている。中間絶縁部材22は、例えばEPS部品、即ち、発泡スチロール部品で構成されている。
【0013】
中間絶縁部材22の上部における冷却器18及びガラス管ヒータ21の下方部位には、除霜運転時にガラス管ヒータ21の加熱により冷却器18から除霜された除霜水を受けて排水する排水樋25が設けられている。即ち、中間絶縁部材22は、排水樋形成部材を構成している。排水樋25は、中間絶縁部材22に開口部が下へ行くほど小さくなるように形成された凹部26と、凹部26の下部に下方に延びるように形成された貫通孔27とを有するように構成されており、全体として漏斗の内側形状を有している。凹部26の内面部には、例えばアルミシートが貼り付けられている。貫通孔27内には、例えばアルミパイプ29が挿入されて固定されている。アルミパイプ29の上端部には、凹部26の下部の内面に沿って配置された拡開部29aが設けられている。
【0014】
中間絶縁部材22の貫通孔27の下部には、貫通孔27よりも径大な開口部30が形成されている。
図3、
図4及び
図5にも示すように、中間絶縁部材22における上記開口部30の下方には、排水ホース31を通すと共に、別部品である例えば抜け止め部品32を嵌合するための切欠部33が形成されている。排水ホース31は、排水樋25で受けた除霜水を、冷蔵庫の本体の下部の機械室内に設けられた蒸発皿に導く。尚、
図4は、
図2の縦断面と異なる縦断面、即ち、排水ホース31が配置されていない抜け止め部品32部分の縦断面を示す。また、
図5は、
図2において、V-V線に沿って横断面にした構成を斜めにした状態を示す斜視図である。
【0015】
排水ホース31の上端部には、
図2及び
図5に示すように、係合部である例えば鍔部31aが形成されている。この鍔部31aは、突起に含まれる構成でもある。上記鍔部31aの外周部には、短円筒部31bが一体に上方へ向けて形成されている。排水ホース31の上端部を排水樋25の下端部の開口部30に接続するに際しては、排水ホース31の上端部の短円筒部31bを中間絶縁部材22の開口部30内に嵌合する。この場合、短円筒部31bの外周部に例えばソフトテープを貼り付けておくことにより、短円筒部31bを中間絶縁部材22の開口部30内に嵌合したときに、仮止めするように構成することが好ましい。排水ホース31の短円筒部31bを中間絶縁部材22の開口部30内に嵌合した状態では、短円筒部31bと排水樋25のアルミパイプ29は重なり合うように構成されている。
【0016】
そして、抜け止め部材である例えば抜け止め部品32は、例えばEPS部品、即ち、発泡スチロール部品で構成されている。
図2、
図3、
図4に示すように、抜け止め部品32の下面部32a及び前面部32bには、排水ホース31の上部が嵌合する断面ほぼ半円状の溝部32c及び32dが形成されている。溝部32dは、抜け止め部品32の前面部32bから上面32eに跨って形成されている。溝部32cは、抜け止め部品32の下面部32aから背面32fに跨って形成されている。
【0017】
中間絶縁部材22の下部には、排水樋25の下端部の開口部30を露出させるように切欠部33が形成されている。切欠部33の背面部から下面部にわたって、矩形状の開口部を有している。切欠部33は、排水ホース31の上部を収容すると共に、抜け止め部品32を嵌合させるための内容積を有している。
【0018】
排水ホース31を上記したように仮止めした状態で、抜け止め部品32を中間絶縁部材22の切欠部33内に嵌合すると、抜け止め部品32の溝部32c、32d内に排水ホース31の上部が嵌合し、抜け止め部品32の上面32eの上に排水ホース31の鍔部31aが載置支持されるように構成されている。この構成の場合、鍔部31aの一部、例えば後側半分ぐらいの部分が抜け止め部品32上に載っている。この結果、排水ホース31の鍔部31aが抜け止め部品32の上面32e、即ち、溝部32dの上面開口縁部に係合することにより、排水ホース31が抜け止めされる。
【0019】
本実施形態においては、抜け止め部品32を中間絶縁部材22の切欠部33内に嵌合したときには、
図2、
図4、
図5、
図6に示すように、排水樋25を形成する中間絶縁部材22の背面22aと抜け止め部品32の背面32fがほぼ面一となるように構成されている。そして、この状態で、
図7に示すように、例えば粘着テープ34を中間絶縁部材22と抜け止め部品32にまたがるように貼り付けることにより、抜け止め部品32を中間絶縁部材22に固定する。尚、抜け止め部品32の背面32fは、上から下へ行くほど後から前へ向けて傾斜する傾斜面となっている。また、中間絶縁部材22は、内箱12の背面に取り付けられている。
図6に示すように、中間絶縁部材22の下部は、内箱12に例えば粘着テープ34を両者にまたがるように張り付けることにより固定されている。
【0020】
また、本実施形態では、
図4に示すように、内箱12における中間絶縁部材22の下部が当接する部分は、前側から後側へ徐々に下がる傾斜面12aとなっている。そして、抜け止め部品32の下面32aも、前側から後側へ徐々に下がる傾斜面となっており、抜け止め部品32を中間絶縁部材22の切欠部33内に嵌合する際には、抜け止め部品32の下面32aが内箱12の傾斜面12a上に当接しながらすべって行くように構成されている。抜け止め部品32が切欠部33内に完全に嵌合すると、抜け止め部品32の前面32bが切欠部33の奥の面33aに当接し、抜け止め部品32の上面32eが切欠部33の下面33bに当接し、抜け止め部品32の下面32aの傾斜面が内箱12の傾斜面12aに当接するようになっている。
【0021】
上記した構成の本実施形態においては、排水ホース31の係合部である鍔部31aに、抜け止め部材である抜け止め部品32が係合するように、該抜け止め部品32を排水樋形成部材である中間絶縁部材22に取り付けることにより、排水ホース31を抜け止めした。この構成によれば、断熱壁内で排水樋25に排水ホース31を接続する構成でありながら、排水樋25を形成する中間絶縁部材22に抜け止め部品32を取り付けるだけであるから、排水樋25に排水ホース31を容易に接続することができる。
【0022】
また、上記実施形態においては、排水樋25と排水ホース31を接続する部位を、冷蔵庫本体14の内箱12の背面側に配置するように構成した。この構成によれば、断熱壁内で排水樋25に排水ホース31を接続する構成を容易に実現することができ、庫内への冷気漏れをなくすることができる。
【0023】
上記実施形態では、抜け止め部品32を、内箱12に形成された傾斜面12aに当接させるように配置した。この構成によれば、抜け止め部品32を中間絶縁部材22の切欠部33内に嵌合する際に、抜け止め部品32の下面32aが内箱12の傾斜面12a上に当接しながらすべって行くことから、スムーズに嵌合することができ、また、抜け止め部品32の脱落を防止することができる。
【0024】
上記実施形態では、中間絶縁部材22に抜け止め部品32を取り付けたときに、中間絶縁部材22の背面22aと抜け止め部品32の背面32fが面一となるように構成した。この構成によれば、中間絶縁部材22の背面22aと抜け止め部品32の背面32fが面一であることにより、抜け止め部品32の嵌合状態が確実であるか否かを容易に判別することができ、また、粘着テープ34を張り付ける作業を容易に実行することができる。
【0025】
上記実施形態では、排水ホース31の係合部を鍔部31aで構成し、抜け止め部品32に排水ホース31が収容される溝部32c、32dを形成し、抜け止め部品32が中間絶縁部材22に取り付けられたときに、鍔部31aが抜け止め部品32の上面32eの上に載置支持されるように構成した。この構成によれば、抜け止め部品32により排水ホース31を確実に抜け止めすることができる。
【0026】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を加えても良い。
上記実施形態においては、排水ホース31の係合部として鍔部31a、即ち、突起を設けるように構成したが、これに限られるものではなく、鍔部以外の種々の形状の係合凸部を突起として設けても良く、また、種々の形状の係合凸部が係合可能な形状の凹部を設けても良い。即ち、係合部を上記した突起または上記した凹部からなる段差で構成するようにし、この段差に、抜け止め部品32または抜け止め部品32に形成された被係合部が係合するように構成することが好ましい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
図面中、10は冷蔵庫、11は外箱、12は内箱、13は発泡断熱材、14は冷蔵庫本体、15は仕切壁、16は冷凍室、17は冷蔵室、19は冷却器室、21はガラス管ヒータ、22は中間絶縁部材、23は後部断熱壁、25は排水樋、26は凹部、27は貫通孔、29はアルミパイプ、30は開口部、31は排水ホース、31aは鍔部、32は抜け止め部品、33は切欠部、34は粘着テープである。