(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】フランジ継手およびフランジ継手の補強方法
(51)【国際特許分類】
E02B 7/02 20060101AFI20220928BHJP
F16L 23/032 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
E02B7/02 B
F16L23/032
(21)【出願番号】P 2018151293
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】築城 彰良
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 拓也
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 慶太
(72)【発明者】
【氏名】中川 真介
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-123487(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0157592(US,A1)
【文献】特開2005-344816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/02
F16L 23/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に設置される捕捉体を構成するフランジ継手であって、
第1フランジと、
前記第1フランジに突き合わされて接合される第2フランジと、
前記第1フランジに一体的に形成され、前記第1フランジ及び前記第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆うカバー部と、を備え
、
前記カバー部が前記河川の上流側又は上側に向けて配置されるフランジ継手。
【請求項2】
前記カバー部は、前記第2フランジの前記接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されている請求項1に記載のフランジ継手。
【請求項3】
前記第1フランジ及び前記第2フランジを互いに接合する接合具を備え、
前記接合具は、前記カバー部を前記第1フランジ及び前記第2フランジに接合している請求項2に記載のフランジ継手。
【請求項4】
前記カバー部は、前記第2フランジの前記背面において周方向に間隔を空けた複数個所を覆うように設けられている請求項2又は3に記載のフランジ継手。
【請求項5】
前記カバー部は、前記第1フランジ及び前記第2フランジの前記接合部における前記外周部の全周を覆うように形成され、かつ、前記外周部から前記第1フランジとは反対方向に延びて前記第2フランジの前記接合部とは反対側の背面から突出し、
前記カバー部を外周側から内周側に半径方向に貫通し、前記第2フランジの前記背面に接触する係止部材を備える請求項1に記載のフランジ継手。
【請求項6】
第1フランジと、
前記第1フランジに突き合わされて接合される第2フランジと、
前記第1フランジに一体的に形成され、前記第1フランジ及び前記第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆うカバー部と、
前記第2フランジに一体的に形成され、前記第1フランジ及び前記第2フランジの前記接合部における前記外周部の少なくとも一部を覆う第2のカバー部
と、を備え、
前記カバー部は、前記第2フランジの前記接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成され、
前記第2のカバー部は、前記第1フランジの前記接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されてい
るフランジ継手。
【請求項7】
第1フランジ及び第2フランジを有し且つ河川に設置される捕捉体を構成するフランジ継手の補強方法であって、
互いに接合された
前記第1フランジ及び
前記第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆
い且つ前記河川の上流側又は上側に向くようにカバー部を前記第1フランジに一体的に形成するフランジ継手の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ継手およびフランジ継手の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、河川の上流から流されてくる巨礫などを捕捉するために、河川の河床に捕捉体が設置されている。この捕捉体は、フランジ付き鋼管同士を突き合わせ、各フランジ孔にボルトを通しナットを締結して接合することにより、支柱や梁となる部分を立体的に構築して形成される。
【0003】
このような捕捉体では、巨礫がフランジ部分に衝突することによる衝撃により、フランジの接合部が変形することを防止するため、フランジの接合部を覆うカバー部材がフランジの接合部に取り付けられている。
【0004】
このようなカバー部材としては、例えば、特許文献1に記載のカバー部材が知られている。特許文献1のカバー部材は、
図19に示すように、分割された2つの円弧状セグメント201、202を備えており、この2つの円弧状セグメント201、202をフランジ203の接合部204の全周を覆うように突き合わせて互いに接合することにより、フランジ203の接合部204に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記カバー部材は、2つの円弧状セグメントを突き合せて互いに接合されることによってフランジの接合部に取り付けられて使用されるものなので、上流から流されてくる巨礫などがカバー部材に衝突してカバー部材が破損してしまうと、カバー部材がフランジの接合部から脱落してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、その目的は、上流から流されてくる巨礫などが衝突してもカバー部が脱落しにくいフランジ継手およびフランジ継手の補強方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフランジ継手は、河川に設置される捕捉体を構成するフランジ継手であって、第1フランジと、前記第1フランジに突き合わされて接合される第2フランジと、前記第1フランジに一体的に形成され、前記第1フランジ及び前記第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆うカバー部と、を備え、前記カバー部が前記河川の上流側又は上側に向けて配置される。
【0009】
この構成によれば、カバー部が第1フランジに一体的に形成されているので、カバー部に巨礫などが衝突して破損が生じたとしてもカバー部が第1フランジから脱落しにくい。さらに、カバー部が第1フランジ及び第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆っており、カバー部は上流側または上側に向けて配置される。このため、巨礫が第1及び第2フランジの接合部に直接的に衝突することがカバー部によって抑制され、その結果、接合部の変形が抑制される。そのため、例えば、第1及び第2フランジが形成された鋼管の一方のみを取り替えたい場合に、第1フランジの前面と第2フランジの前面とが合わさらず、強固に第1フランジと第2フランジとを接合することができないことを防ぐことができる。
【0010】
上記構成において、前記カバー部は、前記第2フランジの前記接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第2フランジにおいてカバー部によって覆われる面積が大きくなるので、巨礫が第2フランジに直接的に衝突することが抑制される。そのため、巨礫の衝突による第1及び第2フランジの接合部の変形をより抑制することができる。
【0012】
さらに、巨礫などの衝突によって第1及び第2フランジを管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジに作用しても、カバー部が第2フランジの背面を覆っているので、第1及び第2フランジが管軸方向に引き離されにくくなる。そのため、第1及び第2フランジの接合部の耐久性が向上する。尚、第2フランジの背面とカバー部との間に隙間が形成されていてもよい。この場合、第1及び第2フランジを管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジに作用したときに、カバー部が第2フランジの背面に接触できる程度の大きさの隙間に形成される。
【0013】
上記構成において、前記フランジ継手は、前記第1フランジ及び前記第2フランジを互いに接合する接合具を備えてもよい。前記接合具は、前記カバー部を前記第1フランジ及び前記第2フランジに接合していてもよい。
【0014】
この構成によれば、カバー部がより第1及び第2フランジから脱落しにくくなる。さらに、第1フランジ及び第2フランジを互いに接合する接合具を用いてカバー部を第1及び第2フランジに接合しているので、カバー部を接合するための別の接合具を用意する必要がない。さらに、第1及び第2フランジを管軸方向に引き離す力および管軸方向に直交する方向の力に対して接合具が抵抗するので、第1及び第2フランジが管軸方向にさらに引き離されにくくなる。
【0015】
上記構成において、前記カバー部は、前記第2フランジの前記背面において周方向に間隔を空けた複数個所を覆うように設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、必要に応じて第2フランジの背面の複数個所をカバー部によって局所的に保護することができる。
【0017】
上記構成において、前記カバー部は、前記第1フランジ及び前記第2フランジの前記接合部における前記外周部の全周を覆うように形成され、かつ、前記外周部から前記第1フランジとは反対方向に延びて前記第2フランジの前記背面から突出してもよい。前記フランジ継手は、前記カバー部を外周側から内周側に半径方向に貫通し、前記第2フランジの前記背面に接触する係止部材を備えてもよい。
【0018】
この構成によれば、前記カバー部は、前記第1フランジ及び前記第2フランジの前記接合部における前記外周部の全周を覆うように形成されているので、第1及び第2フランジの接合部に巨礫が直接的に衝突することがより抑制され、接合部の変形をより抑制することができる。さらに、フランジ継手は、カバー部を外周側から内周側に半径方向に貫通し、前記第2フランジの前記背面に接触する係止部材を備える。そのため、巨礫などがカバー部や鋼管に衝突した際に、第1及び第2フランジを管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジに作用したとしても、その力に対して係止部材が抵抗するので、第1及び第2フランジが管軸方向に引き離されにくくなる。そのため、第1及び第2フランジの接合部の耐久性が向上する。
【0019】
本発明に係るフランジ継手は、第1フランジと、前記第1フランジに突き合わされて接合される第2フランジと、前記第1フランジに一体的に形成され、前記第1フランジ及び前記第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆うカバー部と、前記第2フランジに一体的に形成され、前記第1フランジ及び前記第2フランジの前記接合部における前記外周部の少なくとも一部を覆う第2のカバー部と、を備え、前記カバー部は、前記第2フランジの前記接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成され、前記第2のカバー部は、前記第1フランジの前記接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されている。
【0020】
この構成によれば、第2のカバー部は、第1フランジの接合部とは反対側の背面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されているので、第1及び第2フランジの接合部に巨礫が直接的に衝突することがより抑制される。さらに、第2のカバー部が、第1及び第2フランジを管軸方向に引き離す力に対して抵抗するので、第1及び第2フランジが管軸方向にさらに引き離されにくくなる。
【0021】
本発明に係るフランジ継手の補強方法は、第1フランジ及び第2フランジを有し且つ河川に設置される捕捉体を構成するフランジ継手の補強方法であって、互いに接合された第1フランジ及び第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆い且つ前記河川の上流側又は上側に向くようにカバー部を前記第1フランジに一体的に形成する。
【0022】
この構成によれば、フランジ継手の補強方法は、互いに接合された前記第1フランジ及び前記第2フランジの接合部の外周部の少なくとも一部を覆い且つ前記河川の上流側又は上側に向くようにカバー部を前記第1フランジに一体的に形成する。そのため、カバー部に巨礫などが衝突して破損が生じたとしてもカバー部が第1フランジから脱落しにくい。さらに、既設のフランジ継手にカバー部を取り付けることができるので、必要に応じて適宜第1及び第2フランジの接合部を補強することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上流から流されてくる巨礫などが衝突してもカバー部が脱落しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るフランジ継手が適用された捕捉体の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るフランジ継手によって鋼管が繋ぎ合された状態を示す横断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線で切断した断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るフランジ継手によって鋼管が繋ぎ合された状態を示す横断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の変形例に係るフランジ継手のカバー部による保護状態を示す図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係るフランジ継手によって鋼管が繋ぎ合された状態を示す横断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線で切断した断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態の変形例に係るフランジ継手のカバー部による保護状態を示す図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係るフランジ継手によって鋼管が繋ぎ合された状態を示す横断面図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係るフランジ継手によって鋼管が繋ぎ合された状態を示す横断面図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線で切断した断面図である。
【
図14】本発明の第6実施形態に係るフランジ継手によって鋼管が繋ぎ合された状態を示す横断面図である。
【
図16】本発明の第7実施形態に係るフランジ継手に取り付けられる補強片の斜視図である。
【
図17】本発明の第7実施形態に係るフランジ継手の補強方法を示す横断面図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線で切断した断面図である。
【
図19】従来のフランジ継手に取り付けるカバー部材の取付方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態に係るフランジ継手を説明するために必要となる主要な構成要素を簡略化して示したものである。したがって、本発明の各実施形態に係るフランジ継手は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成要素を備え得る。
【0026】
(第1実施形態)
以下、
図1~3を参照しながら、第1実施形態に係るフランジ継手1が適用されて構築された捕捉体101について説明する。尚、本発明に係るフランジ継手1は、フランジを接合して鋼管を繋ぎ合せる構造を有する捕捉体であれば、いずれの捕捉体にも適用することができる。また、
図1では、簡略化のため後述するカバー部を省略している。
【0027】
捕捉体101は、河川の上流から流されてくる巨礫や流木などを捕捉する捕捉部102と、捕捉部102の重量を支えて安定させるために河床に定着された基礎部(図示省略)と、を備える。
【0028】
捕捉部102は、
図1に示すように、支柱や梁となる部分を立体的に構築して形成されている。具体的には、捕捉部102は、河川の流れ方向に直交する方向に間隔を空けて基礎部に立設された複数の支柱103と、各支柱103を下流側から支持する複数の支持部104と、支柱103と支持部104に対して横方向に架け渡される複数の梁105と、を有する。
【0029】
各支持部104は、一端部が支柱103の上端における下流側の面に連結されるとともに、他端部が基礎部における支柱103の立設位置から下流側に離れた位置に連結されることにより、支柱103が倒れないように支持している。尚、各支持部104の支柱103との連結位置は、支柱103の上端に限定されるものではなく、支柱103の上端と下端との間の中間部における下流側の面であってもよい。
【0030】
各梁105は、各支柱103や各支持部104の間に架け渡されている。各支柱103と各支持部104と各梁105は、本発明の第1実施形態のフランジ継手1を用いて複数の鋼管を連結することによって形成されている。
【0031】
フランジ継手1は、
図2、3に示すように、鋼管106の一端に形成された第1フランジ2と、鋼管106とは別の鋼管107の一端に形成され、第1フランジ2に突き合わされて接合される第2フランジ3と、第1フランジ2及び第2フランジ3を互いに接合する接合具6と、第1フランジ2に一体的に形成されたカバー部4と、を備える。
【0032】
第1及び第2フランジ2、3は、それぞれ、円板状に形成され、その中心が、鋼管106、107の中心線と一致するように、鋼管106、107の一端に固定されている。第1及び第2フランジ2、3は、鋼管106、107の外径よりも大きい径を有し、鋼管106、107から外側に突出している。第1及び第2フランジ2、3は、互いに突き合わされた状態で接合具6によって接合されている。以下、第1フランジ2の前面と第2フランジ3の前面とが互いに突き合わされているところを第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7と称する。
【0033】
尚、第1及び第2フランジ2、3は、鋼管106、107の内径と同径の円形の貫通孔を中心に有する円環状に形成されてもよい。すなわち、第1及び第2フランジ2、3は、鋼管106、107の一端の全周から外側に鋼管106、107の外面に対して直角に突出するように形成されていてもよい。第1及び第2フランジ2、3が円環状に形成された場合、上記円板状に形成される場合に比べて、第1及び第2フランジ2、3の重量が軽くなるため、輸送・組立作業の軽減や材料費の削減に繋がる。また、上記円板状に形成される場合に比べて、第1及び第2フランジ2、3の強度が低下するが、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の一部が、後述するようにカバー部4によって覆われるため、第1及び第2フランジ2、3が円環状に形成されることによる強度の低下を補完することができる。
【0034】
接合具6は、第1及び第2フランジ2、3の半径方向の略中間部を鋼管106、107の管軸方向に貫通している。また、接合具6は、第1及び第2フランジ2、3における鋼管106、107から外側に突出する部分において周方向に一定の間隔をおいて複数配置されている。接合具6としては、例えば、ボルトが用いられる。
【0035】
カバー部4は、第1フランジ2の外周部2aの周方向の一部に形成されている。具体的には、カバー部4は、第1フランジ2の外周部2aの周方向における全周の半分よりも若干短くなる部位に形成されている。カバー部4の周方向の両側縁は、管軸方向に平行に延びている。尚、カバー部4は、第1フランジ2の外周部2aの周方向の全周に亘って形成されていてもよい。
【0036】
カバー部4は、第1フランジ2の外周部2aから第2フランジ3の外周部3aまで管軸方向に向けて延びている。すなわち、カバー部4は、第2フランジ3の接合部7とは反対側の背面3aから管軸方向に突出しない位置まで延びている。これにより、カバー部4は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの一部と第2フランジ3の外周部3aの一部とに接触した状態で、接合部7の外周部7aの一部と第2フランジ3の外周部3aの一部とを外側から覆っている(
図2、3参照)。
図2の例では、カバー部4は、管軸方向の突出端が第2フランジ3の背面3aと面一になる位置まで延びている。尚、カバー部4は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの一部と第2フランジ3の外周部3aの一部とを外側から覆っていれば、接合部7の外周部7aと第2フランジ3の外周部3aとに接触しなくてもよい。また、カバー部4は、第2フランジ3の背面3aから管軸方向における第1フランジ2から第2フランジ3の向かう方向に突出していてもよい。
【0037】
カバー部4は、第1フランジ2の外周部2aに一体的に形成されている。具体的には、カバー部4は、第1フランジ2を形成する金属板材とは別の金属板材を溶接することによって第1フランジ2の外周部2aに一体的に形成されている。尚、カバー部4は、例えば、ボルトなどの接合具によって第1フランジ2の外周部2aに一体的に形成されてもよい。また、カバー部4と第1フランジ2の板厚が小さい場合には、カバー部4は、第1フランジ2及びカバー部4を形成するための金属板材を曲げ加工によって第1フランジ2の外周部2aに一体的に形成されてもよい。
【0038】
このように構成された第1実施形態のフランジ継手1は、例えば、第1フランジ2と第2フランジ3とを管軸方向に突き合わせて使用される。このとき、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの全周のうち上流側を向く部分をカバー部4が覆うように第1フランジ2と第2フランジ3とが接合される。支柱103と支持部104との間の梁105を形成する鋼管106、107を繋ぎ合せるフランジ継手1については、接合部7の外周部7aの全周のうち上側を向く部分をカバー部4が覆うように第1及び第2フランジ2、3を接合するように使用される。
【0039】
第1実施形態のフランジ継手1によれば、カバー部4が第1フランジ2に一体的に形成されているので、カバー部4に巨礫などが衝突して破損が生じたとしてもカバー部4が第1フランジ2から脱落しにくい。
【0040】
また、巨礫が第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7に直接的に衝突することがカバー部4によって抑制されるので、接合部7の変形、すなわち、第1フランジ2の前面と第2フランジ3の前面の変形を抑制することができる。そのため、例えば、支柱103を形成する複数の鋼管106、107のうちの一方のみを取り替えたい場合に、第1フランジ2の前面と第2フランジ3の前面とが合わさらず、強固に第1フランジ2と第2フランジ3とを接合することができないことを防ぐことができる。
【0041】
さらに、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの全周のうち上流側を向く部分を覆っているカバー部4については、上流から流されてくる巨礫などが接合部7に衝突することを効果的に抑制することができる。さらに、例えば、鋼管106に上流側から巨礫が衝突しても、カバー部4が第2フランジ3の外周部3aに接触しているので、第1フランジ2と第2フランジ3とが管軸方向に直交する方向へ引き離されてしまうことが抑制される。また、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの全周のうち上側を向く部分を覆っているカバー部4については、増水した場合などのように、巨礫が上から接合部7に直接的に衝突することを抑制することができる。
【0042】
以上に説明した第1実施形態のフランジ継手1は、本発明の一実施形態であり、その具体的構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0043】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のフランジ継手21について説明する。第1実施形態のフランジ継手1と対応する要素については、第1実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
第2実施形態のフランジ継手21は、カバー部4が第2フランジ3の接合部7とは反対側の背面3bを覆っている点で、第1実施形態と相違している。具体的には、カバー部4は、
図4、5に示すように、第1フランジ2の外周部2aから管軸方向に延びる覆片5と、覆片5から第2フランジ3の半径方向の内側に向けて張り出し、第2フランジ3の背面3bを覆う係止片22と、を有する。
【0045】
覆片5は、鋼管106、107の管軸方向における第1フランジ2から第2フランジ3に向かう方向に第2フランジ3の背面3aから突出する位置まで延びている。これにより、覆片5は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの一部と第2フランジ3の外周部3aの一部とに接触した状態で、接合部7の外周部7aの一部と第2フランジ3の外周部3aの一部とを外側から覆っている。尚、覆片5は、接合部7の外周部7aの一部と第2フランジ3の外周部3aの一部とを外側から覆っていれば、接合部7の外周部7aと第2フランジ3の外周部3aとに接触しなくてもよい。覆片5の周方向の両側縁は、管軸方向に平行に延びている。
【0046】
係止片22は、第2フランジ3の背面3bの外周側の部位における周方向の全周の半分以下となるように円弧状に形成されている。
図5の例では、係止片22は、第2フランジ3の背面3bの外周側における周方向の全周の半分よりも若干短くなるように形成されている。そして、係止片22は、上記覆片5から第2フランジ3の半径方向の内側に向かって接合具6の近傍まで延びている。すなわち、係止片22は、第2フランジ2の背面3bにおいて、接合具6の半径方向の内側まで張り出さないように形成されている。係止片22は、第2フランジ3の背面3bに接触している。尚、係止片22は、第2フランジ3の背面3bに接触しないで、第2フランジ3の背面3bとの間で隙間を形成していてもよい。この場合、鋼管106、107に巨礫などが衝突して、第1フランジ2と第2フランジ3とを管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジに2、3に作用したときに、係止片22が第2フランジ3の背面3bに接触できる程度の大きさに隙間が形成される。
【0047】
このように構成された第2実施形態のフランジ継手21は、次のように使用される。まず、作業者は、例えば、第2フランジ3がカバー部4の係止片22に接触しない程度に、第2フランジ3を第1フランジ2に対して管軸方向に直交する方向にずらした状態で第2フランジ3と第1フランジ2とを突き合わせる。その後、作業者は、第2フランジ3を管軸方向に直交する方向にスライドさせて第2フランジ3の背面3aにカバー部4の係止片22を接触させる。この状態で、作業者は、第1及び第2フランジ2、3を接合具6によって接合する。
【0048】
第2実施形態のフランジ継手21によれば、カバー部4は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aを覆う覆片5と、第2フランジ3の背面3bを覆う係止片22と、を有するので、第2フランジ3においてカバー部4によって覆われる面積が大きくなる。そのため、第1実施形態と比べて、巨礫が第2フランジ3に直接的に衝突することがより抑制される。
【0049】
さらに、係止片22が第2フランジ3の背面3bに接触しているので、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジ2、3に作用しても、この力に対して係止片22が抵抗する。そのため、第1及び第2フランジ2、3が管軸方向に引き離されにくく、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の耐久性が向上する。
【0050】
尚、第2実施形態のカバー部4は、第2フランジ3の背面3bの外周側における全周の半分以下となる部位において周方向に間隔を空けた複数個所を覆うように複数配置してもよい。
図6の例では、カバー部4は、2つ設けられている。このようにすると、必要に応じて第2フランジ3の背面3bと、第1及び第2フランジ7の接合部7aの外周部7aの複数個所をカバー部4によって局所的に保護することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のフランジ継手31について説明する。第3実施形態のフランジ継手31のカバー部4は、
図7、8に示すように、係止片32が接合具6の半径方向の内側まで張り出している点で、第2実施形態のカバー部4と相違している。第2実施形態のフランジ継手21と対応する要素については、第2実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
係止片32は、第2フランジ3の背面3bの半径方向の中間部における周方向の全周の半分以下の長さとなるように形成されている。
図8の例では、係止片32は、第2フランジ3の背面3bの半径方向の中間部における周方向の全周の半分よりも若干短くなるように形成されている。係止片32は、第1フランジ2及び第2フランジ3を互いに接合する接合具6によって第1フランジ2及び第2フランジ3に接合されている。
図7の例では、係止片32と第1フランジ2と第2フランジ3とに形成した貫通孔の内面に形成した雌ネジとボルトの雄ネジとを螺合させることによって係止片32を第1フランジ2及び第2フランジ3に接合している。尚、前記貫通孔の内面に雌ネジを形成せず、単にボルトを前記貫通孔に貫通させてボルトをナットで締め付けることによって係止片32を第1フランジ2及び第2フランジ3に接合してもよい。接合具6は、第2フランジ3の背面3bの半径方向の略中間部において周方向に一定の間隔をおいて複数配置されている(
図8参照)。
【0053】
第3実施形態のフランジ継手31によれば、第1フランジ2及び第2フランジ3を互いに接合する接合具6によって接合されているので、カバー部4が第1及び第2フランジ2、3から脱落しにくくなる。さらに、第1フランジ2及び第2フランジ3を互いに接合する接合具6を用いてカバー部4を第1及び第2フランジ2、3に接合しているので、カバー部4を接合するための別の接合具を用意する必要がない。さらに、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力および管軸方向に直交する方向に引き離す力に対して接合具6が抵抗するので、第1及び第2フランジ2、3がさらに引き離されにくくなる。そのため、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の耐久性がさらに向上する。
【0054】
尚、第3実施形態のカバー部4は、第2フランジ3の背面3bの外周面における周方向の全周の半分以下となる部位において間隔を空けた複数箇所を覆うように複数配置してもよい。
図9の例では、カバー部4は、2つ設けられている。このようにすると、必要に応じて第2フランジ3の背面3bと、第1及び第2フランジ7の接合部7aの外周部7aの複数個所をカバー部4によって局所的に保護することができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態のフランジ継手41について説明する。フランジ継手41は、
図10、11に示すように、係止部材42を備える点、カバー部4が第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの全周を覆っている点、カバー部4が第2フランジ3の背面3bから突出している点で、第1実施形態と相違している。第1実施形態と対応する要素については、第1実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
第4実施形態のカバー部4は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7における外周部7aの全周を覆うように形成されている。カバー部4は、第1フランジ2の外周部2aの周方向の全周から管軸方向における第1フランジ2から第2フランジ3に向かう方向に延びるように筒状に形成されている。これにより、第4実施形態のカバー部4は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの全周を外側から覆っている。
図10の例では、第4実施形態のカバー部4は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aと第2フランジ3の外周部3aとに接触しているが、少なくとも前記外周部7aと前記外周部3aとを覆っていればよい。第4実施形態のカバー部4は、管軸方向の第1フランジ2から第2フランジ3に向かう方向に第2フランジ3の背面3bから突出している。
【0057】
係止部材42は、カバー部4における第2フランジ3の背面3bから管軸方向に突出する部分において、外周側から内周側に半径方向に貫通し、第2フランジ3の背面3bに接触している。この係止部材42は、周方向に一定の間隔をおいて複数配置されている(
図11参照)。係止部材42としては、金属製のボルトが用いられるが、これに限定されることはない。係止部材42は、巨礫や流木が鋼管106、107やカバー部4に衝突したときに生じ得る、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力に対して抵抗できる程度の剛性を有するものであれば、例えば、木材やプラスチックによって形成された棒状部材であってもよい。
【0058】
第4実施形態のフランジ継手41によれば、カバー部4は、第1フランジ2及び第2フランジ3の接合部7における外周部7aの全周を覆うように形成されているので、上記各実施形態に比べて、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7に巨礫が直接的に衝突することがより抑制される。
【0059】
第4実施形態のフランジ継手41によれば、係止部材42が第2フランジ3の背面3bに接触している。そのため、巨礫などがカバー部4や鋼管106、107に衝突した際に、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジ2、3に作用したとしても、その力に対して係止部材42が抵抗するので、第1及び第2フランジ2、3が管軸方向に引き離されにくい。そのため、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の耐久性が高い。
【0060】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態のフランジ継手51について説明する。第5実施形態のフランジ継手51は、
図12、13に示すように、第2のカバー部52を更に備えている点で、第2実施形態と相違している。第2実施形態と対応する要素については、第2実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
第2のカバー部52は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aにおいて、管軸に対してカバー部4とは反対側を覆っている(
図12参照)。第2のカバー部52は、第2フランジ3の外周部3aの周方向の一部から第1フランジ2の外周部2aに向けて延びる覆片53と、覆片53から第1フランジ2の半径方向の内側に向けて張り出し、第1フランジ2の接合部7とは反対側の背面2bを覆う係止片54と、を有する。
【0062】
第2のカバー部52の覆片53は、鋼管106、107の管軸方向における第1フランジ2から第2フランジ3に向かう方向に第1フランジ2の背面2aから突出する位置まで延びている。これにより、第2のカバー部52の覆片53は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの一部を外側から覆っている。第2のカバー部52の覆片53の周方向の両側縁は、管軸方向に平行に延びている。
【0063】
第2のカバー部52の係止片54は、
図13に示すように、第1フランジ2の背面2bの外周側における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されている。
図13の例では、カバー部4及び第2のカバー部52の係止片22、54の周方向の長さは、いずれも第1フランジ2の外周部2aにおける周方向の全周の半分の約3分の1程度になっている。
【0064】
このように構成された第5実施形態のフランジ継手51は、次のように使用される。まず、作業者は、例えば、第2フランジ3がカバー部4の係止片22に接触せず、かつ、第1フランジ2が第2のカバー部52の係止片54に接触しない程度に、第2フランジ3を第1フランジ2に対して管軸方向に直交する方向にずらした状態で第2フランジ3と第1フランジ2とを突き合わせる。その後、作業者は、第2フランジ3を第1フランジ2に対して管軸方向に直交する方向にスライドさせることにより、第2フランジ3の背面3aをカバー部4の係止片22に接触させるとともに、第1フランジ2の背面2aを第2のカバー部52の係止片54に接触させる。この状態で、作業者は、第1及び第2フランジ2、3を接合具6によって接合する。
【0065】
尚、第2フランジ3を、管軸を中心に鋼管107とともに回転させることにより、第2のカバー部52を、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aおいてカバー部4と周方向に隣接する位置に配置し、この状態で、第1及び第2フランジ2、3を接合してもよい。
【0066】
第5実施形態のフランジ継手51によれば、第2のカバー部52は、第1フランジ2の背面2bの外周面における周方向の全周の半分以下の部位を覆うように形成されているので、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7に巨礫などが直接的に衝突することがより抑制される。さらに、カバー部4の係止片22だけでなく、第2のカバー部52の係止片22が、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力に対して抵抗するので、上記各実施形態に比べて第1及び第2フランジ2、3が管軸方向に引き離されにくい。
【0067】
第5実施形態のフランジ継手51によれば、第2のカバー部52は、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aにおいて、管軸に対してカバー部4とは反対側を覆っている。そのため、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力が第1及び第2フランジ2、3に作用しても、その力に対して、カバー部4の係止片22と第2のカバー部52の係止片54とが管軸に対して対称な位置で抵抗することができる。そのため、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力に対してカバー部4の係止片22と第2のカバー部52の係止片54とがバランスよく抵抗することができる。その結果、第1及び第2フランジ2、3が管軸方向に引き離されにくくなる。
【0068】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態のフランジ継手61について説明する。第6実施形態のフランジ継手61は、
図14、15に示すように、係止片62が接合具6の半径方向の内側まで張り出している点、カバー部4と第2のカバー部52が接合具6によって第1及び第2フランジ2、3に接合されている点で、第5実施形態と相違している。その他の点については、第6実施形態のフランジ継手61は、第5実施形態のフランジ継手51と同様の構成を備えている。
【0069】
第6実施形態のフランジ継手61によれば、第1及び第2フランジ2、3を管軸方向に引き離す力および管軸方向に直交する方向に引き離す力に対して接合具6が抵抗するので、第1及び第2フランジ2、3が第5実施形態よりも引き離されにくい。そのため、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の耐久性が第5実施形態よりも高い。
【0070】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態のフランジ継手の補強方法について説明する。上記各実施形態では、設置前の第1フランジ2にカバー部4を一体的に形成したが、第7実施形態は、互いに接合された既設の第1及び第2フランジ2、3にカバー部4を一体的に形成する点で、上記各実施形態と相違している。
【0071】
第7実施形態のカバー部4は、
図16に示すように、第3実施形態のカバー部4と略同形状の補強片72が既設の第1及び第2フランジ2、3に取り付けられることによって一体的に形成される。そのため、第3実施形態と対応する要素については、第3実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
補強片72は、既設のフランジ継手の第1及び第2フランジ2、3の外周部2a、3aの周方向の一部に沿うように内面5aが形成された円弧状の覆片5と、覆片5の内面5aから覆片5に対して直角に延びる円弧状の係止片32と、を有する。係止片32は、覆片5の短手方向の一端部における長手方向の全体に亘って形成されている。係止片32は、長手方向に一定の間隔を空けて接合具6を貫通させる貫通孔73を有する。
【0073】
第7実施形態のフランジ継手の補強方法では、既設のフランジ継手の第1フランジ2と第2フランジ3とを接合している接合具6を取り外す取外工程と、補強片72を溶接する溶接工程と、補強片72を接合具6によって接合する接合工程とが行われる。
【0074】
溶接工程では、作業者は、まず、既設の第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの一部を覆うように、第1フランジ2の外周部2a及び第2フランジ3の外周部3aに補強片72の覆片5の内面5aを当接させる。同時に、作業者は、係止片32を第2フランジ3の背面3bに当接させる(
図16の破線参照)。この状態で、作業者は、覆片5の長手方向の両側縁部と第1及び第2フランジ2、3の外周部2a、3aとを溶接することにより一体的に形成する。
【0075】
溶接工程が終了すると、接合工程が行われる。接合工程では、作業者は、
図17に示すように、係止片32の貫通孔73から接合具6を挿入し、係止片32を第1フランジ2及び第2フランジ3に接合する。
【0076】
以上の工程を経ることによって、カバー部4が第1及び第2フランジ2、3に一体的に形成される(
図17、18参照)。
【0077】
尚、溶接工程は、接合工程の前に行われてもよい。また、溶接工程と接合工程のうちの一方の工程は、省略してもよい。
【0078】
第7実施形態のフランジ継手の補強方法によれば、上記溶接工程において、互いに接合された既設の第1フランジ2及び第2フランジ3の接合部7の外周部7aの一部を覆うように、カバー部4が第1及び第2フランジ2、3に溶接により一体的に形成される。そのため、カバー部4に巨礫などが衝突して破損が生じたとしてもカバー部4が第1フランジ2及び第2フランジ3から脱落しにくい。さらに、既設のフランジ継手にカバー部4を取り付けることができるので、必要に応じて適宜第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7を補強することができる。
【0079】
尚、複数の補強片72が第1及び第2フランジ2、3に取り付けられることにより、第1及び第2フランジ2、3同士の接合部7の外周部7aの全周が覆われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 フランジ継手
2 第1フランジ
2a 背面
3 第2フランジ
3a 背面
4 カバー部
6 接合具
7 接合部
7a 外周部
42 係止部材
52 第2のカバー部