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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】プラスグレルを含む口腔内崩壊錠
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4365 20060101AFI20220928BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220928BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20220928BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61K31/4365
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P7/02
A61P43/00 111
A61P43/00 123
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2018152864
(22)【出願日】2018-08-15
(65)【公開番号】P2019034935
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2017157406
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146581
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 公樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161160
【弁理士】
【氏名又は名称】竹元 利泰
(72)【発明者】
【氏名】伊井 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉江 健介
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161823(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103565773(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含有する口腔内崩壊錠。
【請求項2】
カルメロースの含量が、錠剤の総重量に対して0.5から30重量%である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項3】
カルメロースの含量が、錠剤の総重量に対して1から20重量%である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項4】
ヒドロキシプロピルセルロースの含量が、錠剤の総重量に対して0.1から3.0重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項5】
ヒドロキシプロピルセルロースの含量が、錠剤の総重量に対して0.1から2.0重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項6】
さらにクロスポビドンを含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項7】
クロスポビドンが、錠剤の総重量に対して1から10重量%である、請求項6に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項8】
アルファー化デンプンの平均アルファー化度が90%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項9】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含有する口腔内崩壊錠。
【請求項10】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む薬物含有混合末又は薬物含有顆粒;並びに、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有混合末を含有する、口腔内崩壊錠。
【請求項11】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む薬物含有混合末;並びに、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有顆粒を含有する、口腔内崩壊錠。
【請求項12】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む薬物含有顆粒;並びに、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有顆粒を含有する、口腔内崩壊錠。
【請求項13】
結晶セルロースが、錠剤の総重量に対して1から50重量%である、請求項9から12のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項14】
アルファー化デンプンが、錠剤の総重量に対して1から15重量%である、請求項9から12のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項15】
さらにクロスポビドンを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項16】
クロスポビドンが、錠剤の総重量に対して1から10重量%である、請求項15に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項17】
装置による崩壊試験において、1秒以上、45秒以下で崩壊する、請求項9から16のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項18】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル、プラスグレル塩酸塩又はプラスグレルマレイン酸塩である、請求項1から17のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項19】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル塩酸塩である、請求項1から17のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項20】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びD-マンニトールを混合し、水に溶解したヒドロキシプロピルセルロースを加えて混合することによって薬物含有顆粒を製造する工程;D-マンニトール及びかさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロースを混合し、水に分散したアルファー化デンプンを噴霧することによって薬物不含有顆粒を製造する工程;並びに得られた2種類の顆粒を圧縮成形する工程を含む口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項21】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル、プラスグレル塩酸塩又はプラスグレルマレイン酸塩である、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル塩酸塩である、請求項20に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスグレル又はその薬理上許容される塩を含有し、口中に含んだ際又は水の中に入れた際に速やかに崩壊し、通常の製造、輸送又は使用に際して十分な硬度をもち、ばらつきの少ない溶出性を示す口腔内崩壊錠及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品の分野における経口用固形製剤の剤形として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが知られているが、高齢者、小児や嚥下困難な患者にもより服用しやすい剤形として、口中に含んだ際、あるいは水の中に入れた際に速やかに崩壊する口腔内崩壊錠の開発が期待されている。
【0003】
口腔内崩壊錠は、口腔内で速やかに崩壊するという特性に加え、通常の錠剤と同じく、製造、輸送又は使用に際しては物理的な衝撃に耐えうる十分な硬度をもち、更に、ばらつきの少ない溶出性を併せ持つことが必要とされている。また、口中に含んだ際、不快な味や刺激が抑制され、良好な口当たりを有することが、服薬コンプライアンスの面でも望ましい。
【0004】
口腔内崩壊錠については、これまでに種々の報告がされている。例えば、特許文献1には、薬物、かさ密度が0.23g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール及びアルファー化デンプンを含有する口腔内崩壊錠が記載されている。しかしながら、当該文献には、プラスグレル、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含有する口腔内崩壊錠に関する記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2013/161823号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、プラスグレル又はその薬理上許容される塩を含有し、口中に含んだ際又は水の中に入れた際に速やかに崩壊し、通常の製造、輸送又は使用に際して十分な硬度をもち、ばらつきの少ない溶出性を示す口腔内崩壊錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含有する口腔内崩壊錠が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含有する口腔内崩壊錠及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
本発明は、以下の(1)から(22)に関する。
(1) プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含有する口腔内崩壊錠。
【0010】
(2) カルメロースの含量が、錠剤の総重量に対して0.5から30重量%である、上記(1)に記載の口腔内崩壊錠。
【0011】
(3) カルメロースの含量が、錠剤の総重量に対して1から20重量%である、上記(1)に記載の口腔内崩壊錠。
【0012】
(4) ヒドロキシプロピルセルロースの含量が、錠剤の総重量に対して0.1から3.0重量%である、上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0013】
(5) ヒドロキシプロピルセルロースの含量が、錠剤の総重量に対して0.1から2.0重量%である、上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0014】
(6) さらにクロスポビドンを含有する、上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0015】
(7) クロスポビドンが、錠剤の総重量に対して1から10重量%である、上記(6)に記載の口腔内崩壊錠。
【0016】
(8) アルファー化デンプンの平均アルファー化度が90%以下である、上記(1)から(7)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0017】
(9) プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含有する口腔内崩壊錠。
【0018】
(10) プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む薬物含有混合末又は薬物含有顆粒;並びに、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有混合末を含有する、口腔内崩壊錠。
【0019】
(11) プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む薬物含有混合末;並びに、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有顆粒を含有する、口腔内崩壊錠。
【0020】
(12) プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む薬物含有顆粒;並びに、D-マンニトール、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有顆粒を含有する、口腔内崩壊錠。
【0021】
(13) 結晶セルロースが、錠剤の総重量に対して1から50重量%である、上記(9)から(12)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0022】
(14) アルファー化デンプンが、錠剤の総重量に対して1から15重量%である、上記(9)から(12)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0023】
(15) さらにクロスポビドンを含む、上記(9)から(12)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0024】
(16) クロスポビドンが、錠剤の総重量に対して1から10重量%である、上記(15)に記載の口腔内崩壊錠。
【0025】
(17) 装置による崩壊試験において、1秒以上、45秒以下で崩壊する、上記(9)から(16)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0026】
(18) プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル、プラスグレル塩酸塩又はプラスグレルマレイン酸塩である、上記(1)から(17)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0027】
(19) プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル塩酸塩である、上記(1)から(17)のいずれか一つに記載の口腔内崩壊錠。
【0028】
(20) プラスグレル又はその薬理上許容される塩、カルメロース及びD-マンニトールを混合し、水に溶解したヒドロキシプロピルセルロースを加えて混合することによって薬物含有顆粒を製造する工程;D-マンニトール及びかさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロースを混合し、水に分散したアルファー化デンプンを噴霧することによって薬物不含有顆粒を製造する工程;並びに得られた2種類の顆粒を圧縮成形する工程を含む口腔内崩壊錠の製造方法。
【0029】
(21) プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル、プラスグレル塩酸塩又はプラスグレルマレイン酸塩である、上記(20)に記載の製造方法。
【0030】
(22) プラスグレル又はその薬理上許容される塩が、プラスグレル塩酸塩である、上記(20)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、プラスグレル又はその薬理上許容される塩を含み、口腔内又は水の中に入れた際に速やかな崩壊性を有し、通常の製造、輸送又は使用の過程において十分な硬度をもち、ばらつきの少ない溶出性を示す口腔内崩壊錠を提供することができる。
さらに、本発明により、上記のような優れた特性を有する口腔内崩壊錠を、複雑な工程や特殊な設備を要することなく、通常の圧縮成形によって製造する製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明において口腔内崩壊錠とは、口中に含んだ際又は水の中に入れた際に、速やかな崩壊性を有する圧縮成形物である。具体的には、口腔内での主として唾液による崩壊試験又は装置による崩壊試験などにおいて、通常1秒以上、180秒以下、好ましくは1秒以上、45秒以下、さらに好ましくは1秒以上、40秒以下で崩壊する錠剤を意味する。ここで、崩壊試験及び装置による崩壊試験とは、第十七改正日本薬局方の『崩壊試験法』を参考にし、測定するものである。
【0033】
本発明の口腔内崩壊錠は、通常の製造、輸送又は使用の過程において十分な硬度を有する。例えば、硬度試験においては、通常硬度2kg以上、好ましくは2.5kg以上の硬度を持つ口腔内崩壊錠である。ここで、硬度試験とは、全自動錠剤測定装置(Type WHT-2、PHARMA TEST APPRATEBAU GmbH)又は錠剤硬度計(PTB-302、PHARMA TEST APPRATEBAU GmbH)を用いて測定するものである。
【0034】
本発明の口腔内崩壊錠は、医薬品に適したばらつきの少ない溶出性を有する。例えば、溶出試験においては、各時点において溶出率のベッセルごとのばらつき(標準偏差)が1.4%以下の口腔内崩壊錠である。
【0035】
本発明に用いられるプラスグレルとは下記式(1)
【0036】

【化1】
【0037】
で表される、酢酸5-[(1RS)-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン-2-イルであり、特開平6-41139号公報又は特開2002-145883号公報に記載されており、製造することができる。
【0038】
プラスグレルは溶媒和物(水和物を含む)であってもよく、薬理上許容される塩又はそれらの溶媒和物(水和物を含む)であってもよい。その薬理上許容される塩としては、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩若しくはヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩若しくはリン酸塩のような無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩若しくはエタンスルホン酸塩のような低級アルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩若しくはp-トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩若しくはマレイン酸塩のような有機酸塩;又は、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩若しくはアスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩等を挙げることができ、好適には、塩酸塩又はマレイン酸塩であり、最も好適には、下記式(1a)
【0039】

【化2】
【0040】
で表される、酢酸5-[(1RS)-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル一塩酸塩(プラスグレル塩酸塩)である。
【0041】
本発明において用いられるプラスグレルはプロドラッグであり、生体内で活性代謝物に変換された後、血小板膜上のADP受容体P2Y12を選択的かつ非可逆的に阻害することで血小板凝集を抑制する。
【0042】
本発明において用いられるプラスグレルは、国内外で実施した臨床試験により、PCIが適用される予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者の主要心血管イベントの発現抑制、及び、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞患者の主要心血管イベントの発現抑制に用いられている。
【0043】
本発明の口腔内崩壊錠に含有されるプラスグレルは、PCIが適用される予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者の主要心血管イベントの発現抑制においては、日本では通常、成人には、投与開始日にプラスグレルとして20mg用量を1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与する。
【0044】
本発明の口腔内崩壊錠に含まれるカルメロース(例えば、日本薬局方適合品)の量は、特に限定されないが、所望の崩壊性、溶出性、硬度を示すように本明細書中に記載される崩壊性試験、溶出試験、硬度試験の基準を参考に当業者によって適宜決定される。好ましくは口腔内崩壊錠100重量%当たり、0.5から30重量%であり、より好ましくは1から20重量%である。
【0045】
本発明は、カルメロースに加えて他の崩壊剤を組み合わせることができる。使用される他の崩壊剤とは、一般に、服用した際に、導水性や膨潤性により、もとの薬物の粒子まで崩壊・分散させ、吸収を容易にする目的で加える添加剤のことをいい、例えば、クロスポビドン(例えば、日本薬局方適合品)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、日本薬局方適合品)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、日本薬局方適合品)、トウモロコシデンプン(例えば、日本薬局方適合品)、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、日本薬局方適合品)及びアルファー化デンプンから選ばれる1種または2種以上の崩壊剤とカルメロースの組み合わせが挙げられ、好適には、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びアルファー化デンプンから選ばれる1種または2種以上の崩壊剤とカルメロースの組み合わせである。
【0046】
本発明の口腔内崩壊錠に含まれるヒドロキシプロピルセルロースの量は、特に限定されないが、所望の崩壊性、溶出性、硬度を示すように本明細書中に記載される崩壊性試験、溶出試験、硬度試験の基準を参考に当業者によって適宜決定される。好ましくは口腔内崩壊錠100重量%当たり、0.1から3.0重量%であり、より好ましくは0.1から2.0重量%である。
【0047】
本発明における口腔内崩壊剤は、上記成分に加え、糖アルコール及びかさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース、さらに所望によりアルファー化デンプンを含有する。
【0048】
糖アルコールとしてはD-マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール等が挙げられ、好ましくはD-マンニトール、エリスリトール、キシリトール、さらに好ましくはD-マンニトールである。D-マンニトールとしては、日本、欧州および米国の薬局方に適合するものを通常に用いることができる。配合するD-マンニトールの結晶形、粒子径および比表面積は特に限定されないが、結晶形はα型、β型、δ型、非晶質のいずれでもよく、粒子径は10μm以上、250μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以上、150μm以下であり、比表面積は0.1m/g以上、4m/g以下が好ましく、より好ましくは0.1m/g以上、2m/g以下であり、結晶形、粒子径および比表面積は、例えば、X線回折法、レーザー回折式粒度測定法、BET式比表面積測定法(多点法)によりそれぞれ測定できる。市販のものとしては、例えば、メルク社、ロケット社、東和化成社、花王社等のD-マンニトールが挙げられる。
【0049】
上記糖アルコールの配合量は、適宜選択することができる。D-マンニトールを用いる場合、口腔内崩壊錠100重量%当たり、通常20から95重量%であり、好ましくは、30から85重量%である。
【0050】
上記糖アルコールは、粉末のまま他の成分と混合して打錠末とし、圧縮成形してもよく、また、適当な結合剤を用いて造粒してから圧縮成形に供してもよい。
【0051】
結晶セルロースとしては、通常、かさ密度0.10から0.46g/cmのグレードがあるが、本発明に用いられるのは、かさ密度が0.10から0.26g/cmの結晶セルロースである。市販のものとしては、例えば、セオラスKG-1000(登録商標。かさ密度0.10から0.15g/cm)、セオラスKG-802(登録商標。かさ密度0.13から0.23g/cm)、セオラスUF-711(登録商標。かさ密度0.20から0.26g/cm)(以上、旭化成ケミカルズ製)が挙げられ、好ましくは、かさ密度0.13から0.23g/cmの結晶セルロースである。また、かさ密度が異なる2種以上の結晶セルロースを組み合わせて、所望のかさ密度になるように調整したものを用いることもできる。
【0052】
上記結晶セルロースの配合量は、口腔内崩壊錠100重量%当たり、1から50重量%であることが好ましい。50重量%を超えると、流動性が悪化し、製造性が低下する可能性がある。より好ましい配合量は、5から30重量%である。
【0053】
上記結晶セルロースと糖アルコールの配合比率(重量比)は、糖アルコールとしてD-マンニトールを用いる場合、結晶セルロース1に対し、糖アルコール1から10倍、好ましくは1から8.5倍、更に好ましくは1から5倍である。
【0054】
上記結晶セルロースは、粉末のまま他の成分と混合して打錠末とし、圧縮成形してもよく、また、適当な結合剤を用いて造粒してから圧縮成形に供してもよい。
【0055】
本発明に用いられるアルファー化デンプンとは、デンプンを加熱処理してアルファー化したものであり、部分アルファー化デンプンも含む。また、上記アルファー化デンプンとしては日本医薬品添加物規格に記載されたものを用いることができる。平均アルファー化度は90%以下が好ましく、より好ましくは、70から80%である。市販のものとしては、例えば、アルファー化デンプンswelstar PD-1(旭化成ケミカルズ製)が使用できる。
【0056】
上記アルファー化デンプンの配合量は、口腔内崩壊錠100重量%当たり、通常1から15重量%であり、好ましくは、1から10重量%である。
【0057】
アルファー化デンプンは、粉末のまま他の成分と混合して打錠末とし、圧縮成形してもよく、また、他の成分とともに造粒してから圧縮成形に供してもよい。
【0058】
本発明の口腔内崩壊錠において、アルファー化デンプンは、崩壊剤としての役割を果たすが、一方で、製造に際しては、液体、例えば水に分散すると粘性を示すため、粉末状態の原料に噴霧すると造粒が進行し顆粒にすることができる。この性質を利用し、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロースおよび糖アルコールを含む粉末状の混合物にアルファー化デンプンを水に分散した分散液を噴霧して、流動層造粒することで顆粒を製造し、これを必要に応じて他の成分と混合して圧縮成形することで、良好な成形性と所望の口腔内崩壊性を持つ錠剤を得ることができる。このような製造上の利点は、慣用の崩壊剤である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンなどを用いた場合にはほとんど得られない、アルファー化デンプン特有の性質である。
【0059】
本発明の口腔内崩壊錠は、発明の効果に支障のない限り、錠剤の製造に一般に用いられる種々の添加剤を含むことができる。
【0060】
上記の添加剤としては、例えば、滑沢剤、コーティング剤、可塑剤、着色剤、着香剤、甘味剤、矯味剤、流動化剤、発泡剤及び界面活性剤等を挙げることができる。
【0061】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム(例えば、日本薬局方適合品)、ステアリン酸カルシウム(例えば、日本薬局方適合品)、フマル酸ステアリルナトリウム(例えば、医薬品添加物規格適合品)及びタルク(例えば、日本薬局方適合品)から選ばれる1種または2種以上の組み合わせが挙げられ、特に好ましくは、ステアリン酸マグネシウムである。
【0062】
滑沢剤の配合量は、口腔内崩壊錠100重量%当たり、好ましくは0.1から5.0重量%である。
【0063】
粉末状の薬物の表面(結晶の表面)または造粒された薬物の顆粒表面を被覆するコーティング剤としては、たとえば、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーL、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセタール・ジエチルアミノアセテート及びポリ酢酸ビニル樹脂から選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0064】
コーティング剤と組み合わせる可塑剤としては、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸、ポリエチレングリコール及びトリアセチンから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0065】
着色剤としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素;食用レーキ色素、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン、β-カロチン及びリボフラビンから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0066】
着香剤としては、例えば、オレンジ、レモン、ストロベリー、ハッカ、メントール、メントールミクロン及び各種香料から選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0067】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、グリチルリチン酸二カリウム、スクラロース、ステビア及びソーマチンから選択される1つまたは2つ以上の組み合わせをなどが挙げられる。
【0068】
矯味剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、イノシン酸二ナトリウム、L-グルタミン酸ナトリウム及びハチミツから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0069】
流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸及びタルクから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0070】
発泡剤としては、例えば、酒石酸及び/又は無水クエン酸を挙げることができる。
【0071】
界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ポリオキシル40、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン及びラウリル硫酸ナトリウムから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0072】
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法は、固形製剤に関する周知の製造方法を採用することができ、例えば、主薬や添加剤等を加えて混合し、製錠することにより、錠剤を得ることができる。主薬や添加剤等とともに造粒後、滑沢剤等を加えて混合し、製錠することにより、錠剤を得ることもできる。また、造粒後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。以下、本発明の口腔内崩壊錠の一態様(態様A及びB)をその製造方法とともに説明する。
【0073】
態様A:かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール及びアルファー化デンプンを含む薬物不含有顆粒と、薬物又は薬物含有顆粒を圧縮成形して得られる口腔内崩壊錠。
本態様において、薬物不含有顆粒は、口腔内崩壊錠として望ましい崩壊性と成形性を付与することができる製剤の骨格として機能する。薬物不含有顆粒は、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール、及びアルファー化デンプンの3つの成分だけを配合することでも優れた崩壊性と成形性を発揮するが、必要に応じて他の添加剤を配合してもよい。また、本態様における口腔内崩壊錠は0.5から30重量%のカルメロース、及び0.1から3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースを添加することにより、さらに優れた崩壊性、及びばらつきの少ない溶出性を発揮する。
態様Aの口腔内崩壊錠の製造方法は、薬物不含有顆粒を製造する工程(A-1)及び薬物含有顆粒を製造する工程(A-2)、並びに、薬物不含有顆粒、薬物又は薬物含有顆粒、及び他の添加剤を混合し、圧縮成形する工程(A-3)が含まれる。
【0074】
A-1:薬物不含有顆粒を製造する工程
以下の1)または2)の方法を用いて、薬物不含有顆粒を製造することができる。
1)かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール(例えばD-マンニトール)とアルファー化デンプンを含む混合物を水により湿式造粒する方法。
2)かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース及び糖アルコール(例えばD-マンニトール)を含む混合物を、アルファー化デンプンを水などに分散させた液により造粒する方法。
ここで造粒には、慣用の押し出し造粒法、混合攪拌造粒法、高速攪拌造粒法、流動層造粒法、又は転動造粒法などを用いることができる。
アルファー化デンプンは、液体、例えば水に分散させると、造粒に適した粘性を示す。造粒する方法には、アルファー化デンプンを粉末状態のまま他の成分と混合し、造粒した顆粒を圧縮成形する方法、及びアルファー化デンプンを水に分散させた液により造粒した顆粒を圧縮成形する方法がある。いずれの方法も所望の性質をもつ錠剤を与えるが、好ましくは後者の方法が挙げられる。
また、アルファー化デンプンを分散させた液を用いて造粒する場合、高速攪拌造粒法と流動層造粒法のいずれの方法も適用可能であるが、流動層造粒法にて顆粒を製造した場合に、より優れた口腔内崩壊錠を得ることができる。薬物不含有顆粒に、慣用の崩壊剤などの他の添加剤を配合する場合は、造粒前の混合物中に配合すればよい。
薬物不含有顆粒中の、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロースと糖アルコールの配合比率は、糖アルコールとしてD-マンニトールを用いる場合、結晶セルロース1に対し、糖アルコール1から8.5重量部、好ましくは1から5重量部である。
【0075】
A-2:薬物含有顆粒を製造する工程
薬物は、粉末上のまま、あるいは所望により顆粒状にしてから、薬物不含有顆粒と混合することができる。薬物含有顆粒は、例えば、慣用の押し出し造粒法、混合攪拌造粒法、高速攪拌造粒法、流動層造粒法、又は転動造粒法で製造できる。
また、粉末状又は顆粒状の薬物、及び糖アルコールの混合末を、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解又は分散させた液により造粒して薬物含有顆粒とすることもできる。
薬物又は薬物含有顆粒は、苦味や刺激性などの不快な味、においのマスキングや、溶出性の制御のためにコーティングを施すこともできる。コーティングには、前述のコーティング剤、及び可塑剤を適宜用いることができる。コーティング方法は、例えば、流動層造粒・コーティング機、転動流動層造粒・コーティング機、遠心流動型造粒・コーティング機、ワースター型流動層造粒・コーティング機を用いることで行われる。
2種以上の薬物を使用する場合は、薬物同士の配合適性により、同一の顆粒内に含有させるか、別々の顆粒にそれぞれ含有させて、圧縮成形に供することができる。
【0076】
A-3:薬物不含有顆粒と、薬物又は薬物含有顆粒、及び他の添加剤を混合し圧縮成形する工程
薬物不含有顆粒と、薬物又は薬物含有顆粒、カルメロース及び所望により他の崩壊剤、滑沢剤、その他の添加剤を混合し圧縮成形して口腔内崩壊錠とする。混合は、例えば、タンブルミキサー、対流式ミキサーを用いることで行われる。薬物はその他の添加剤と混合し、薬物含有混合末として使用することもできる。
本発明の口腔内崩壊錠の圧縮成形は、通常の打錠機を用いて行うことができる。打錠機による成形圧力は通常の錠剤と同程度でよく、錠剤の形状、大きさにもよるが、好ましくは、2から20kN、より好ましくは4から14kN程度である。
【0077】
薬物不含有顆粒の錠剤成分総重量に対する配合割合は、薬物が粉末状の場合であっても、薬物を造粒して用いる場合であっても、通常は30から90%であり、好ましくは40から90%であり、より好ましくは40から75%である。また、薬物を造粒して用いる場合、薬物不含有顆粒と薬物含有顆粒の配合重量比は、薬物含有顆粒1に対して、薬物不含有顆粒0.5から2.0が好ましい。
【0078】
態様B:かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール及びアルファー化デンプンを含有する薬物不含有混合末と、薬物または薬物含有顆粒とを圧縮成形して得られる口腔内崩壊錠。
【0079】
本態様において、薬物不含有混合末が口腔内崩壊錠として望ましい崩壊性と成形性を与える。薬物不含有混合末は、かさ密度が0.26g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール、及びアルファー化デンプンの3つの成分だけを配合することでも優れた崩壊性と成形性を発揮するが、必要に応じて他の添加剤を配合してもよい。また、本態様における口腔内崩壊錠は0.5から30重量%のカルメロース、及び0.1から3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースを添加することにより、さらに優れた崩壊性、及びばらつきの少ない溶出性を発揮する。
【0080】
態様Bの口腔内崩壊錠の製造方法は、所望により薬物含有顆粒を製造する工程、薬物又は薬物含有顆粒及び他の添加剤を混合し圧縮成形する工程が含まれる。薬物含有顆粒を製造する工程は上述のA-2と同様である。
【0081】
薬物又は薬物含有顆粒、及び他の添加剤を混合し圧縮成形する工程において、混合又は圧縮成形の工程は上述のA-3と同様である。
【0082】
かくして得られる本発明の口腔内崩壊錠は、口腔内あるいは水の中に入れた際に崩壊性に優れ、かつ、ばらつきの少ない溶出性を有する。
【0083】
本発明の口腔内崩壊錠の崩壊性は口腔内での崩壊時間(健康な成人男子の口腔内で、水分を口に含まず唾液のみで錠剤が完全に崩壊するまでの時間)が通常180秒以下、好ましくは60秒以下、より好ましくは45秒以下、さらに好ましくは40秒以下である。
本発明の口腔内崩壊錠は、口中に含む時、唾液により次第に崩壊するものであるが、口腔内の圧迫、すなわち上アゴと舌による圧力、あるいは舌による摩擦、すなわち“なめる”動作等によって、より短時間で崩壊する。口腔内の乾いた人、あるいは唾液の少ない人においては、水もしくはお湯を用いて口腔内で崩壊してもよく、又は、通常の錠剤と同様に水とともにそのまま服用しても何ら差し支えない。
【0084】
一方、本発明の口腔内速崩壊錠の硬度は、温湿度下(例えば、温度25℃、湿度75%、PTP1次包装、6ヵ月)の安定性試験の後にも、製造工程及び流通過程において崩れない硬度を有する。
従って、製剤の製造工程及び流通過程において崩れない硬度を有し、温湿度下での保存においても実用的な硬度を有している。
【0085】
本発明の口腔内崩壊錠は、高齢者、小児や嚥下困難な患者にとっても服用し易い製剤として、また、一般成人用の安全な製剤として、病気の治療に用いることができる。
【実施例
【0086】
以下の実施例は例証目的であって本発明をこれら実施例に限定することを意図しない。
【0087】
[比較例1-1]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、WSG-120)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)88200g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-1000、登録商標)39900gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)5250gを精製水60380gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒277.2g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)235.9g、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製、LH-21)48gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、Vela5)にて、打錠圧14.5kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、400mg)を得た。
【0088】
[比較例1-2]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、WSG-120)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)88200g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-1000、登録商標)39900gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)5250gを精製水60380gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒277.2g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)163.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製、LH-21)48g、及びカルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)72gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、Vela5)にて、打錠圧14.5kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、400mg)を得た。
【0089】
[比較例1-3]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、WSG-120)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)88200g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-1000、登録商標)39900gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)5250gを精製水60380gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒277.2g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)187.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製、LH-21)48g、及びカルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)48gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、Vela5)にて、打錠圧14.5kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、400mg)を得た。
【0090】
[比較例1-4]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、WSG-120)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)88200g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-1000、登録商標)39900gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)5250gを精製水60380gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒277.2g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)211.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製、LH-21)48g、及びカルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)24gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、Vela5)にて、打錠圧14.5kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、400mg)を得た。
【0091】
[比較例1-5]
流動層造粒乾燥機(フロイント産業製、NFLO-5)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)2160g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)1600gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)240gを精製水1840gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒450g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)14.18g、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)72g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)18g、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)6g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)0.6g、及び三二酸化鉄(癸巳化成製)0.3gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、卓上錠剤成形機(市橋精機製、HANDTAB)にて、打錠圧14kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、400mg)を得た。
【0092】
[実施例1-1]
流動層造粒乾燥機(フロイント産業製、NFLO-5)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)2160g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)1600gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)240gを精製水1840gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒450g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)14.18g、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)72g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)18g、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)6g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)0.6g、及び三二酸化鉄(癸巳化成製)0.3gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-SSL-SFP)を比率が1%となるように加えて混合した。そして、卓上錠剤成形機(市橋精機製、HANDTAB)にて、打錠圧14kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、404mg)を得た。
【0093】
[実施例1-2]
流動層造粒乾燥機(フロイント産業製、NFLO-5)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)2160g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)1600gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)240gを精製水1840gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒450g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)14.18g、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)72g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)18g、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)6g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)0.6g、及び三二酸化鉄(癸巳化成製)0.3gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-SSL)を比率が1%となるように加えて混合した。そして、卓上錠剤成形機(市橋精機製、HANDTAB)にて、打錠圧14kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、404mg)を得た。
【0094】
[実施例1-3]
流動層造粒乾燥機(フロイント産業製、NFLO-5)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)2160g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)1600gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)240gを精製水1840gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒450g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)32.93g、D-マンニトール(メルク製、Parteck M100、登録商標)14.18g、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)72g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)18g、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)6g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)0.6g、及び三二酸化鉄(癸巳化成製)0.3gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-197S)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末594g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)6gを混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L 微粉)を比率が1%となるように加えて混合した。そして、卓上錠剤成形機(市橋精機製、HANDTAB)にて、打錠圧14kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、404mg)を得た。
【0095】
[実施例2-1]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、FD-GPCG-30)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)13500g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)10000gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)1500gを精製水17250gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
得られた速崩壊性顆粒20000g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)2195g、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 100SD、登録商標)12565g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)2000g、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)1600g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L微粉)200g、アセスルファムカリウム(丸善製薬製、サネットPharma Grade D、登録商標)800g、及び酸化チタン(フロイント産業製、A-HR)40gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-U-10)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末39400g及びステアリン酸マグネシウム(マリンクロット製、HyQual 5712、登録商標)600gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、AQU3 10362L2J II)にて、打錠圧12.5kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(10.5mmφ、400mg)を得た。
【0096】
[実施例2-2]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、FD-GPCG-30)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)13500g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)10000gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)1500gを精製水17250gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
高速攪拌造粒機(パウレック製、FM-VG-100)に、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)6240g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)7800g、及び黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)117gを投入し、混合することで混合物(顆粒外混合末)を得た。
得られた速崩壊性顆粒20000g、顆粒外混合末3630g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)1372g、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 100SD、登録商標)13698g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L微粉)200g、アセスルファムカリウム(丸善製薬製、サネットPharma Grade D、登録商標)600gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-U-10)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末39500g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学製、軽質)500gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、AQU3 10362L2J II)にて、打錠圧5.5kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(6.0mmφ、80mg)を得た。
【0097】
[実施例2-3]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、FD-GPCG-30)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)13500g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)10000gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)1500gを精製水17250gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
高速攪拌造粒機(パウレック製、FM-VG-100)に、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)6240g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)7800g、及び三二酸化鉄(癸巳化成製)31.2gを投入し、混合することで混合物(顆粒外混合末)を得た。
得られた速崩壊性顆粒20000g、顆粒外混合末3608g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)1372g、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 100SD、登録商標)13720g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L微粉)200g、アセスルファムカリウム(丸善製薬製、サネットPharma Grade D、登録商標)600gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-U-10)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末39500g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学製、軽質)500gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、AQU3 10362L2J II)にて、打錠圧7.0kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(7.0mmφ、120mg)を得た。
【0098】
[実施例2-4]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、FD-GPCG-30)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)13500g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)10000gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)1500gを精製水17250gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
高速攪拌造粒機(パウレック製、FM-VG-100)に、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)6240g、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)7800g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)124.8g、及び三二酸化鉄(癸巳化成製)31.2gを投入し、混合することで混合物(顆粒外混合末)を得た。
得られた速崩壊性顆粒20000g、顆粒外混合末3640g、プラスグレル塩酸塩(宇部興産製)2195g、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 100SD、登録商標)12465g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L微粉)200g、アセスルファムカリウム(丸善製薬製、サネットPharma Grade D、登録商標)800gを混合し、スクリーニングミル(パウレック製、QC-U-10)により篩過することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末39300g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学製、軽質)700gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、AQU3 10362L2J II)にて、打錠圧12kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(14.0x6.5mm、400mg)を得た。
【0099】
[実施例2-5]
流動層造粒乾燥機(パウレック製、FD-GPCG-15)に、プラスグレル塩酸塩1123g、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)5423g、カルメロース(五徳薬品製、NS-300、登録商標)1964g、及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L微粉)450gを投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L)40.91gを精製水848.5gに溶解した結合液を噴霧後、乾燥することで造粒物(薬物含有顆粒)を得た。また、流動層造粒乾燥機(パウレック製、FD-GPCG-15)に、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 50C、登録商標)7290g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製、セオラスKG-802、登録商標)5400gを投入し、アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製、swelstar PD-1)810gを精製水9315gに分散した液を噴霧後、乾燥することで造粒物(速崩壊性顆粒)を得た。
高速攪拌造粒機(パウレック製、FM-VG-50)に、クロスポビドン(BASF製、Kollidon CL-F、登録商標)5400g及び黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)81gを投入し、混合することで混合物(顆粒外混合末)を得た。
得られた薬物含有顆粒6600g、速崩壊性顆粒12000g、顆粒外混合末1218g、D-マンニトール(ロケット製、Pearlitol 100SD、登録商標)3522g、アセスルファムカリウム(丸善製薬製、サネットPharma Grade D、登録商標)360gを混合することで混合物(一次混合末)を得た。さらに、得られた一次混合末23700g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学製、軽質)300gを混合した後、ロータリー打錠機(菊水製作所製、VIRGO)にて、打錠圧5.0kNで打錠を行い、口腔内崩壊錠(6.0mmφ、80mg)を得た。
【0100】
[評価方法]
実施例及び比較例で得た錠剤について、以下の方法で評価を行った。
【0101】
[試験例1]
丸錠の質量、錠厚、及び硬度、並びに異形錠の質量及び錠厚は、全自動錠剤測定装置(Type WHT-2、PHARMA TEST APPRATEBAU GmbH)を用いて測定した。異形錠の硬度は、錠剤硬度計(PTB-302、PHARMA TEST APPRATEBAU GmbH)を用いて測定した。
【0102】
[試験例2]
崩壊試験は、第十七改正日本薬局方の『崩壊試験法』に準じて、測定した(個々最大値を記載)。
【0103】
[試験例3]
溶出試験は、日本薬局方に記載の第2法(パドル法、50rpm)に従って実施し、平均溶出率を算出した。溶出試験液は、薄めたMcIlvaine緩衝液pH4.5を用いた。
なお、溶出試験器ベッセル内での崩壊時間は目視により確認した。
【0104】
結果を表1から表3に示す。
【0105】
[結果の簡単な説明]
表1:比較例1-1のように、カルメロースを配合しない場合、崩壊時間の延長が認められ、口腔内崩壊錠としての機能を確保することが難しくなる。しかし、比較例1-2から1-4のように、カルメロースを配合すると、崩壊時間が短縮される一方、溶出試験器ベッセル内にて錠剤が崩壊するまでの時間が長く、ばらつきが生じる。
表2:そこで、実施例1-1から1-3のように、カルメロースに加えてヒドロキシプロピルセルロースを配合することで、溶出試験器ベッセル内での錠剤が崩壊するまでの時間が比較例1-5に比べて短くなる。この際、ヒドロキシプロピルセルロースの物性に関わらず、溶出試験器ベッセル内で錠剤が速やかに崩壊する。
表3:実施例2-1から2-5のように、処方中にカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロースを配合すると、製剤含量に関わらず、速やかな崩壊時間を示し、口腔内崩壊錠として適した機能を確保することが可能となる。さらに、溶出試験器ベッセル内で速やかに崩壊し、ばらつきの少ない溶出性を確保できる。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明により、プラスグレル又はその薬理上許容される塩を含み、口腔内あるいは水の中に入れた際、速やかな崩壊性を有し、通常の製造、輸送又は使用の過程において十分な硬度をもち、ばらつきの少ない溶出性を示す口腔内崩壊錠を提供することができる。
さらに、本発明により、上記のような優れた特性を有する口腔内崩壊錠を、複雑な工程や特殊な設備を要することなく、通常の圧縮成形によって製造することができる。