(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20220928BHJP
F02D 17/00 20060101ALI20220928BHJP
F02D 21/08 20060101ALI20220928BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20220928BHJP
F02D 41/22 20060101ALI20220928BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20220928BHJP
F02D 29/00 20060101ALI20220928BHJP
F02D 23/02 20060101ALI20220928BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20220928BHJP
F02D 29/04 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
F02D45/00 345
F02D17/00 H
F02D21/08 301Z
F02D41/04
F02D41/22
F02D43/00 301H
F02D43/00 301Z
F02D29/00 B
F02D23/02 N
F02D29/02 K
F02D29/04 H
(21)【出願番号】P 2018164566
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】糸賀 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 泰樹
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-89699(JP,A)
【文献】特開2010-174857(JP,A)
【文献】特開2016-75267(JP,A)
【文献】特開2012-92788(JP,A)
【文献】特開2013-108502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00 - 45/00
E02F 9/00
G01M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンへ吸入される空気を圧縮する過給機と、前記エンジンの燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、前記過給機のコンプレッサと前記燃焼室とを接続する吸気路を開閉する吸気弁と、前記燃焼室と前記過給機のタービンとを接続する排気路を開閉する排気弁と、前記エンジンの回転数を検出する回転数センサと、前記エンジンから排出される排気ガスの温度を検出する温度センサと、前記エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、作動油を貯蔵する作動油タンクと、前記油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへ供給される作動油の流れを制御する方向制御弁と、前記方向制御弁と前記作動油タンクとの間に設けられて前記作動油タンクへの戻り油量を制御する流量制御弁と、前記エンジンにおいて異常燃焼が発生した場合に前記エンジンを停止させるための制御を行うコントローラと、を備えた建設機械において、
前記コントローラは、
前記回転数センサで検出されたエンジン回転数と予め設定された目標エンジン回転数との回転数偏差を演算すると共に、前記温度センサで検出された排気温度と予め設定された前記エンジンの正常稼働時における排気温度との差を演算し、
演算された回転数偏差が所定の回転数偏差閾値よりも大きく、かつ演算された排気温度の差が所定の温度差閾値よりも大きくなる異常燃焼発生条件を満たすか否かを判定し、
前記異常燃焼発生条件を満たすと判定された場合に、前記流量制御弁の閉弁を指令すると共に、前記油圧ポンプに掛かる負荷が前記エンジンの出力トルク以上となるように前記油圧ポンプの吐出流量の増加を指令する指令信号を生成する
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記コントローラは、前記異常燃焼発生条件を満たすと判定された場合に、前記インジェクタに対して燃料の噴射の停止を指令する指令信号、前記吸気弁に対して閉弁を指令する指令信号、及び前記排気弁に対して閉弁を指令する指令信号のうち、少なくともいずれかの指令信号を生成する
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械において、
前記吸気弁の下流側かつ前記排気弁の上流側において前記排気路と前記吸気路とを連通するEGR通路を開閉するEGR弁をさらに備え、
前記排気弁に対して閉弁を指令する指令信号を生成する場合に、前記EGR弁に対して閉弁を指令する指令信号を生成する
ことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記コントローラは、継続して前記異常燃焼発生条件を満たす時間を計測し、計測された継続時間が所定の継続時間以上である場合に、前記異常燃焼発生条件を満たすと判定する
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出された排気ガスの流れを利用してコンプレッサを駆動してエンジンへの吸気を加圧する過給機を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排ガス規制に対応するべく、油圧ショベル等の建設機械においてもクローズドシステムエンジンが搭載されている。この「クローズドシステムエンジン」とは、クランクケース内に存在する燃焼ガスや未燃焼の混合ガス等を含んだブローバイガスをエンジンの吸気側に還元して利用する方式のエンジンである。例えば、油圧ショベルが稼働する作業現場は傾斜地や路面の凹凸が大きい場所が多く、大きな揺れや転倒により車体が大きく傾く可能性がある。このとき、クローズドシステムエンジンが搭載された油圧ショベルでは、エンジンが大きく傾くことにより、大量のエンジンオイルがブローバイガス流路を通ってエンジンの吸気路から燃焼室内に流入する場合がある。
【0003】
このように、エンジンで駆動する車両では、エンジンオイル等がエンジンの燃焼室内に流入することがあり、流入したエンジンオイルが燃焼することによって異常燃焼が発生する可能性がある。この場合、エンジンが過回転を起こし、エンジンが制御不能となったり、エンジンが破損したりするおそれがある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、エンジンの燃焼室内にオイルや燃料が異常流入して異常燃焼が生じたとき、電動過給器のモータをブレーキ制御してタービン回転を停止することによりエンジンを停止させるエンジン異常燃焼時の停止制御方法が開示されている。このエンジンの停止制御方法では、燃料室内への燃料噴射を停止すると共に、吸気弁、VGTベーン、及びEGRバルブの開度をそれぞれ閉じることにより新規吸入空気量を下げることで異常燃焼の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のエンジン異常燃焼時の停止制御方法では、例えば、吸気弁、VGTベーン、及びEGRバルブそれぞれの閉弁時に異物等が挟まってわずかな隙間が生じて新規吸入空気の流入を完全に遮断することができない場合や、異常燃焼の影響によってエンジンに付属する部品が故障してしまう場合があり、エンジンの過回転を抑制することが困難となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、エンジンにおいて異常燃焼が発生した場合に、エンジン側の制御によらないでエンジンを停止させることが可能な建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、前記エンジンへ吸入される空気を圧縮する過給機と、前記エンジンの燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、前記過給機のコンプレッサと前記燃焼室とを接続する吸気路を開閉する吸気弁と、前記燃焼室と前記過給機のタービンとを接続する排気路を開閉する排気弁と、前記エンジンの回転数を検出する回転数センサと、前記エンジンから排出される排気ガスの温度を検出する温度センサと、前記エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、作動油を貯蔵する作動油タンクと、前記油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへ供給される作動油の流れを制御する方向制御弁と、前記方向制御弁と前記作動油タンクとの間に設けられて前記作動油タンクへの戻り油量を制御する流量制御弁と、前記エンジンにおいて異常燃焼が発生した場合に前記エンジンを停止させるための制御を行うコントローラと、を備えた建設機械において、前記コントローラは、前記回転数センサで検出されたエンジン回転数と予め設定された目標エンジン回転数との回転数偏差を演算すると共に、前記温度センサで検出された排気温度と予め設定された前記エンジンの正常稼働時における排気温度との差を演算し、演算された回転数偏差が所定の回転数偏差閾値よりも大きく、かつ演算された排気温度の差が所定の温度差閾値よりも大きくなる異常燃焼発生条件を満たすか否かを判定し、前記異常燃焼発生条件を満たすと判定された場合に、前記流量制御弁の閉弁を指令すると共に、前記油圧ポンプに掛かる負荷が前記エンジンの出力トルク以上となるように前記油圧ポンプの吐出流量の増加を指令する指令信号を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エンジンにおいて異常燃焼が発生した場合に、エンジン側の制御によらないでエンジンを停止させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの一構成例を示す外観側面図である。
【
図2】油圧ショベルに搭載された油圧回路の構成を示す図である。
【
図3】油圧ショベルに搭載されたエンジン及びその周辺機器の構成を示す図である。
【
図4A】エンジンがまっすぐなときの状態について説明する図である。
【
図4B】エンジンが傾いたときの状態について説明する図である。
【
図5】コントローラが有する機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】コントローラ内で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の一態様として、ホイール式の油圧ショベルについて説明する。
【0012】
(油圧ショベル1の概略構成)
まず、油圧ショベル1の概略構成について、
図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る油圧ショベル1の一構成例を示す外観側面図である。
【0014】
油圧ショベル1は、路面を走行するための下部走行体101と、下部走行体101の上方に旋回装置100を介して旋回可能に取り付けられた上部旋回体102と、上部旋回体102の前部において俯仰動可能に連結されて掘削等の作業を行うフロント作業機103と、を備えている。
【0015】
下部走行体101は、左右一対の前輪11及び後輪12と、油圧駆動式の走行モータ13と、を有している。油圧ショベル1は、公道を走行することが可能なホイール式の油圧ショベルであり、走行モータ13の駆動力がプロペラシャフト及びアクスル(不図示)を介して左右一対の前輪11及び後輪12にそれぞれ伝達されて回転することにより走行する。なお、
図1では、左右一対の前輪11及び後輪12のうち、一方側(左側)のみを示している。
【0016】
上部旋回体102は、オペレータが搭乗する運転室21と、フロント作業機103とのバランスを保つためのカウンタウェイト22と、エンジンや油圧ポンプ等の各機器が内部に収容された機械室23と、を有している。上部旋回体102において、運転室21は前部に、カウンタウェイト22は後部に、機械室23は運転室21とカウンタウェイト22との間に、それぞれ配置されている。上部旋回体102は、旋回装置100内に設けられた旋回モータ(不図示)の駆動力によって下部走行体101に対して旋回する。
【0017】
フロント作業機103は、基端部が上部旋回体102に回動可能に取り付けられて、上部旋回体102に対して上下方向に回動(俯仰)するブーム31と、ブーム31の先端部に回動可能に取り付けられてブーム31に対して前後方向に回動するアーム32と、アーム32の先端部に回動可能に取り付けられてアーム32に対して前後方向に回動するバケット33と、を備えている。
【0018】
バケット33は、例えば土砂等を掘削したり、均したり、あるいは地面を締め固めたりするものである。このバケット33は、例えば、木材や岩石、廃棄物等を掴むグラップルや、岩盤を掘削するブレーカ等のアタッチメントに変更することが可能である。これにより、油圧ショベル1は、作業内容に適したアタッチメントを用いて、掘削や破砕等を含む様々な作業を行うことができる。
【0019】
また、フロント作業機103は、上部旋回体102とブーム31とを連結するブームシリンダ310と、ブーム31とアーム32とを連結するアームシリンダ320と、アーム32とバケット33とを連結するバケットシリンダ330と、これらの各油圧シリンダ310,320,330へ作動油を導くための複数の配管300と、を有している。
【0020】
ブームシリンダ310は、ロッド310Aが伸縮することによってブーム31を上部旋回体102に対して回動させる。アームシリンダ320は、ロッド320Aが伸縮することによってアーム32をブーム31に対して回動させる。バケットシリンダ330は、ロッド330Aが伸縮することによってバケット33をアーム32に対して回動させる。
【0021】
ブームシリンダ310、アームシリンダ320、及びバケットシリンダ330、ならびに走行モータ13及び旋回モータはそれぞれ、油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧アクチュエータの一態様である。
【0022】
(油圧回路4の構成)
次に、油圧ショベル1における油圧回路4の構成について、
図2を参照して説明する。
【0023】
図2は、油圧ショベル1に搭載された油圧回路4の構成を示す図である。
【0024】
以下では、油圧アクチュエータとしてブームシリンダ310を例に挙げて説明する。したがって、
図2では、ブームシリンダ310に係る回路構成のみを図示しており、その他の油圧アクチュエータや方向制御弁、操作装置等の図示を省略している。
【0025】
油圧回路4は、メインポンプ41及びパイロットポンプ42と、作動油を貯蔵する作動油タンク43と、ブームシリンダ310と、メインポンプ41からブームシリンダ310へ供給される作動油の流れ(流量及び方向)を制御する方向制御弁44と、方向制御弁44を操作するためのパイロット圧を生成するパイロット弁45と、方向制御弁44と作動油タンク43との間に設けられて作動油タンク43への戻り油量を制御する流量制御弁46と、メインポンプ41の吐出圧の上限を規定するリリーフ弁47と、を含んで構成されている。
【0026】
メインポンプ41は、エンジン51によって駆動され、傾転角に応じて押し退け容積が制御される斜板式あるいは斜軸式の可変容量型の油圧ポンプである。傾転角は、コントローラ6に接続されたポンプ用電磁弁48からのパイロット圧にしたがってレギュレータ41Aにより調整される。このメインポンプ41は、作動油タンク43から作動油を吸入し、方向制御弁44を介してブームシリンダ310に作動油を供給する。
【0027】
パイロットポンプ42は、エンジン51によって駆動される固定容量型の油圧ポンプである。このパイロットポンプ42は、作動油タンク43から作動油を吸入し、パイロット弁45を介して方向制御弁44の一対の受圧室44A,44Bにそれぞれ供給する。
【0028】
方向制御弁44は、センターバイパス型の方向制御弁であり、ブームシリンダ310のロッド310Aを伸長させる第1切換位置44Lと、メインポンプ41と作動油タンク43とを連通させて作動油を作動油タンク43へ直接戻す中立位置44Nと、ブームシリンダ310のロッド310Aを縮ませる第2切換位置44Rと、を有している。
【0029】
方向制御弁44は、一対の受圧室44A,44Bにそれぞれ作用するパイロット圧に応じて内部のスプールがストロークすることにより、第1切換位置44L、中立位置44N、及び第2切換位置44Rのいずれかに切り換わる構成になっている。これにより、メインポンプ41からブームシリンダ310へ供給される作動油の流れが制御される。
【0030】
第1切換位置44Lは、ブームシリンダ310のボトム室310Bとメインポンプ41とを連通させ、かつブームシリンダ310のロッド室310Cと作動油タンク43とを連通させる。これにより、作動油は、メインポンプ41からブームシリンダ310のボトム室310Bに供給されると共に、ブームシリンダ310のロッド室310Cから作動油タンク43へ流出する。
【0031】
第2切換位置44Rは、ブームシリンダ310のロッド室310Cとメインポンプ41とを連通させ、かつブームシリンダ310のボトム室310Bと作動油タンク43とを連通させる。これにより、作動油は、メインポンプ41からブームシリンダ310のロッド室310Cに供給されると共に、ブームシリンダ310のボトム室310Bから作動油タンク43へ流出する。
【0032】
パイロット弁45は、運転室21(
図1参照)に設けられた操作レバー21Aを一方側、例えば
図2における右側へ操作した場合に、パイロット圧Xを生成する。生成されたパイロット圧Xは、方向制御弁44の一方の受圧室44A(
図2における左側の受圧室)に作用し、方向制御弁44は第1切換位置44Lに切り換わる。これにより、ブームシリンダ310のロッド310Aは伸長する(
図2における矢印Yの方向に動作する)。
【0033】
流量制御弁46は、コントローラ6に接続された制御弁用電磁弁49からのパイロット圧にしたがって開弁位置46L又は閉弁位置46Rに切り換わる。
図2において、方向制御弁44が中立位置44Nであって、かつ流量制御弁46が開弁位置46Lである場合、メインポンプ41から吐出した作動油は作動油タンク43に戻る。一方、方向制御弁44が中立位置44Nであって、かつ流量制御弁46が閉弁位置46Rである場合、メインポンプ41から吐出した作動油は作動油タンク43に流出することができず、メインポンプ41の吐出圧はリリーフ弁47の設定圧力まで上昇し、エンジン51に掛かる負荷が増大する。
【0034】
実際には、流量制御弁46は、各油圧アクチュエータに係る方向制御弁がいずれも中立位置である場合、すなわち各油圧アクチュエータが動作しない状態において、開弁位置46Lと閉弁位置46Rとを切り換えることによって作動油タンク43への戻り油量を制御している。これにより、メインポンプ41の吐出圧が調整されて、エンジン51に掛かる負荷を制御することができる。メインポンプ41の吐出圧は、圧力センサ410によって検出されてコントローラ6に入力される。
【0035】
(エンジン51及びその周辺機器の構成)
次に、エンジン51及びその周辺機器の構成について、
図3ならびに
図4A及び
図4Bを参照して説明する。
【0036】
図3は、油圧ショベルに搭載されたエンジン51及びその周辺機器の構成を示す図である。
図4Aは、エンジン51がまっすぐなときの状態について説明する図である。
図4Bは、エンジン51が傾いたときの状態について説明する図である。
【0037】
エンジン51は、燃焼室511と、燃焼室511に燃料を噴射するインジェクタ512と、を有している。また、エンジン51には、前述した油圧回路4と、エンジン51へ吸入される空気を圧縮する過給機52と、が併設されている。
【0038】
過給機52は、エンジン51の排気路501上に設けられてエンジン51からの排気エネルギーにより回転するタービン521と、エンジン51の吸気路502上に設けられてタービン521の回転力を利用して吸気を圧縮するコンプレッサ522と、を有している。
【0039】
排気路501のうち、燃焼室511とタービン521とを接続する上流側排気路501Aには排気弁53が、タービン521の下流側となる下流側排気路501Bにはエンジン51から排出される排気ガスの温度を検出する温度センサ54が、それぞれ設けられている。排気弁53は、上流側排気路501Aを開閉することにより排気ガスの流量を調整する。
【0040】
吸気路502のうち、コンプレッサ522の上流側となる上流側吸気路502Aには吸気量を検出する吸気量センサ55が、コンプレッサ522と燃焼室511とを接続する下流側吸気路502Bにはインタークーラ56及び吸気弁57が、それぞれ設けられている。インタークーラ56は、コンプレッサ522により圧縮されて高温となった吸気を冷却する。吸気弁57は、下流側吸気路502Bを開閉することにより吸気量を調整する。
【0041】
上流側排気路501Aと下流側吸気路502Bとは、排気弁53の上流側かつ吸気弁57の下流側においてEGR通路503によって連通されており、排気ガスの一部を下流側吸気路502Bに戻すことにより排気再循環(Exhaust Gas Recircuration:EGR)を行っている。EGR通路503には、EGR通路503を開閉するEGR弁58が設けられている。
【0042】
本実施形態に係るエンジン51は、クランクケース内に存在する燃焼ガスや未燃焼の混合ガス等を含んだブローバイガスを吸気側に還元するクローズドシステムエンジンであり、エンジン51と上流側吸気路502Aとの間には、ブローバイガス用通路504が設けられている。
【0043】
油圧ショベル1が平坦な路面上を走行している場合には、
図4Aに示すように、エンジン51は傾かずにまっすぐな状態であり、ブローバイガスのみがブローバイガス用通路504を通って上流側吸気路502Aに流入する。
【0044】
一方、油圧ショベル1が傾斜面や凹凸の大きい路面上を走行している場合には、
図4Bに示すように、エンジン51が傾いてしまい、ブローバイガスと共にエンジンオイルがブローバイガス用通路504を通って上流側吸気路502Aに流入してしまう。そして、エンジンオイルが燃焼室511内に流入すると、エンジンオイル自体が燃焼し、エンジン51において異常燃焼が発生することがある。この場合、エンジン51が過回転を起こして制御不能もしくは破損する可能性があることから、コントローラ6によりエンジン51を停止させる必要がある。エンジン51の回転数は、回転数センサ59により検出されてコントローラ6に入力される。
【0045】
コントローラ6は、CPU、RAM、ROM、入力I/F、及び出力I/Fがバスを介して互いに接続されて構成される。そして、圧力センサ410(
図2参照)、温度センサ54、吸気量センサ55、及び回転数センサ59といった検出器等が入力I/Fにそれぞれ接続され、ポンプ用電磁弁48、制御弁用電磁弁49、インジェクタ512、排気弁53、吸気弁57、及びEGR弁58等が出力I/Fにそれぞれ接続されている。
【0046】
このようなハードウェア構成において、ROMや光学ディスク等の記録媒体に格納された演算プログラム(ソフトウェア)をCPUが読み出してRAM上に展開し、展開された演算プログラムを実行することにより、演算プログラムとハードウェアとが協働して、コントローラ6の機能を実現する。
【0047】
なお、本実施形態では、コントローラ6をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成されるコンピュータとして説明しているが、これに限らず、他のコンピュータの構成の一例として、油圧ショベル1の側で実行される演算プログラムの機能を実現する集積回路を用いてもよい。
【0048】
(コントローラ6の機能)
次に、コントローラ6の機能構成、及びコントローラ6内で実行される処理について、
図5~7を参照して説明する。
【0049】
図5は、コントローラ6が有する機能構成を示す機能ブロック図である。
図6は、コントローラ6内で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図7は、エンジン51の性能曲線図である。
【0050】
図5に示すように、コントローラ6は、データ取得部61と、演算部62と、判定部63と、継続時間計測部64と、記憶部65と、指令部66と、を含む。
【0051】
データ取得部61は、温度センサ54で検出された排気ガスの温度T(以下、単に「実排気温度T」とする)、吸気量センサ55で検出された吸気量Q(以下、単に「実吸気量Q」とする)、回転数センサ59で検出されたエンジン回転数N(以下、単に「実エンジン回転数N」とする)、及び圧力センサ410で検出されたメインポンプ41の吐出圧Paに関するデータをそれぞれ取得する。
【0052】
演算部62は、回転数偏差演算部62Aと、温度差演算部62Bと、吸気量偏差演算部62Cと、を含む。回転数偏差演算部62Aは、データ取得部61で取得された実エンジン回転数Nと、予め設定された目標エンジン回転数N1との回転数偏差ΔNを演算する。温度差演算部62Bは、データ取得部61で取得された実排気温度Tと、予め設定されたエンジン51の正常稼働時における排気温度T1との差ΔTを演算する。吸気量偏差演算部62Cは、データ取得部61で取得された実吸気量Qと、予め設定されたエンジン51の正常稼働時における吸気量Q1との吸気量偏差ΔQを演算する。
【0053】
判定部63は、異常燃焼発生判定部63Aと、エンジン停止判定部63Bと、を含む。異常燃焼発生判定部63Aは、回転数偏差演算部62Aで演算された回転数偏差ΔNが所定の回転数偏差閾値ΔNthよりも大きく(ΔN>ΔNth)、かつ温度差演算部62Bで演算された排気温度の差ΔTが所定の温度差閾値ΔTthよりも大きくなる(ΔT>ΔTth)異常燃焼発生条件を満たすか否かを判定する。
【0054】
本実施形態に係る油圧ショベル1のように、公道を走行するホイール式の建設機械では、例えば下り坂を下りるとき等にエンジン51において異常燃焼が発生していなくても回転数偏差ΔNが大きくなる場合がある。このような場合に、コントローラ6が、エンジン51において異常燃焼が発生していると誤って判定しないように、異常燃焼発生条件に排気温度の差ΔTに係る条件を含めている。
【0055】
また、本実施形態では、異常燃焼発生条件に、吸気量偏差演算部62Cで演算された吸気量偏差ΔQが所定の吸気量偏差閾値ΔQthよりも大きくなる(ΔQ>ΔQth)条件を含む。
【0056】
エンジン停止判定部63Bは、データ取得部61で取得されたメインポンプ41の吐出圧Paが所定の目標吐出圧Pthであるか否かを判定すると共に、データ取得部61で取得された実エンジン回転数Nが0であるか否か、すなわちエンジン51が停止したか否かを判定する。
【0057】
継続時間計測部64は、継続して異常燃焼発生条件を満たす時間tを計測する。本実施形態では、継続時間計測部64で計測された継続時間tが所定の継続時間t1異常である場合に(t≧t1)、異常燃焼発生判定部63Aは前述した異常燃焼発生条件を満たすと判定する。
【0058】
記憶部65は、所定の目標エンジン回転数N1、エンジン51の正常稼働時における所定の排気温度T1及び所定の吸気量Q1、所定の回転数偏差閾値ΔNth、所定の温度差閾値ΔTth、所定の吸気量偏差閾値ΔQth、ならびに所定の継続時間t1等の各種の目標値や閾値を記憶している。
【0059】
指令部66は、エンジン制御指令生成部66Aと、油圧ポンプ負荷指令生成部66Bと、を含む。エンジン制御指令生成部66Aは、異常燃焼発生判定部63Aにて異常燃焼発生条件を満たすと判定された場合に、インジェクタ512に対して目標燃料噴射量を0とする指令信号、すなわち燃料の噴射の停止を指令する指令信号、ならびに排気弁53、吸気弁57、及びEGR弁58のそれぞれに対して全閉とする指令信号を生成する。
【0060】
吸気弁57を閉弁とすることにより燃料の燃焼に必要な吸気の流入が減り、排気弁53を閉弁とすることにより排圧が上昇する。このとき、EGR弁58も閉弁とすることによって、排圧が上昇しやすくなる。このように、エンジン制御指令生成部66Aは、エンジン51、及びエンジン51に付属する各機器の駆動を制御するための指令信号を生成する。
【0061】
なお、エンジン制御指令生成部66Aは、異常燃焼発生判定部63Aにて異常燃焼発生条件を満たすと判定された場合に、インジェクタ512に対して燃料の噴射の停止を指令する指令信号、排気弁53に対して閉弁を指令する指令信号、及び吸気弁57に対して閉弁を指令する指令信号のうち、少なくともいずれかの指令信号を生成すればよい。
【0062】
油圧ポンプ負荷指令生成部66Bは、異常燃焼発生判定部63Aにて異常燃焼発生条件を満たすと判定された場合に、メインポンプ41に掛かる負荷がエンジン51の出力トルク以上となるように(メインポンプ負荷≧エンジン出力トルク)、メインポンプ41の吐出流量の増加を指令すると共に、流量制御弁46の閉弁(閉弁位置46Rへの切り換え)を指令する指令信号を生成する。なお、このとき、方向制御弁44は中立位置44Nとなっている。
【0063】
ここで、
図7は、エンジン51の回転数Nと出力Fとの関係を示しており、エンジン51は、負荷領域Bでは稼働し続け、負荷領域Aでは停止する。例えば、実エンジン回転数NがN2のとき、エンジン51の出力が最大エンジン出力F1を超える出力F2(F2>F1)となるとエンジン51は停止する。そこで、エンジン51の出力FがF2になるように、油圧ポンプ負荷指令生成部66Bは、ポンプ用電磁弁48及び制御弁用電磁弁49に対して駆動指令信号を生成する。これにより、流量制御弁46が閉弁の状態でメインポンプ41の吐出流量が増加し、メインポンプ41の吐出圧Paが所定の目標吐出圧Pthとなったときにエンジン51は停止する。
【0064】
なお、
図7において、実エンジン回転数Nが上限回転数Naを超えた場合、エンジン51の出力が定格点出力Faになるように、油圧ポンプ負荷指令生成部66Bは、ポンプ用電磁弁48及び制御弁用電磁弁49に対して駆動指令信号を生成する。
【0065】
図6に示すように、コントローラ6では、まず、データ取得部61が、温度センサ54からの実排気温度T、吸気量センサ55からの実吸気量Q、及び回転数センサ59からの実エンジン回転数Nをそれぞれ取得する(ステップS601)。
【0066】
次に、回転数偏差演算部62Aが、ステップS601で取得した実エンジン回転数Nと所定の目標エンジン回転数N1との回転数偏差ΔNを演算し、温度差演算部62Bが、ステップS601で取得した実排気温度Tとエンジン51の正常稼働時における所定の排気温度T1との差ΔTを演算し、吸気量偏差演算部62Cが、ステップS601で取得した実吸気量Qとエンジン51の正常稼働時における所定の吸気量Q1との吸気量偏差ΔQを演算する(ステップS602)。
【0067】
次に、異常燃焼発生判定部63Aは、ステップS602で演算された回転数偏差ΔNが記憶部65に記憶された所定の回転数偏差閾値ΔNthよりも大きいか否か判定する(ステップS603)。ステップS603において回転数偏差ΔNが所定の回転数偏差閾値ΔNthよりも大きい(ΔN>ΔNth)と判定された場合(ステップS603/YES)、異常燃焼発生判定部63Aは、ステップS602で演算された排気温度の差ΔTが記憶部65に記憶された所定の温度差閾値ΔTthよりも大きいか否かを判定する(ステップS604)。
【0068】
ステップS604において排気温度の差ΔTが所定の温度差閾値ΔTthよりも大きい(ΔT>ΔTth)と判定された場合(ステップS604/YES)、異常燃焼発生判定部63Aは、ステップS602で演算された吸気量偏差ΔQが記憶部65に記憶された所定の吸気量偏差閾値ΔQthよりも大きいか否かを判定する(ステップS605)。
【0069】
ステップS605において吸気量偏差ΔQが所定の吸気量偏差閾値ΔQthよりも大きい(ΔQ>ΔQth)と判定された場合(ステップS605/YES)、異常燃焼発生判定部63Aは、継続時間計測部64で計測された継続時間tが記憶部65に記憶された所定の継続時間t1以上であるか否かを判定する(ステップS606)。
【0070】
ステップS606において継続時間計測部64で計測された継続時間tが所定の継続時間t1以上である(t≧t1)と判定された場合(ステップS606/YES)、エンジン制御指令生成部66Aは、インジェクタ512に対して目標燃料噴射量を0とし、排気弁53、吸気弁57、及びEGR弁58に対してそれぞれ全閉とする指令信号を生成する(ステップS607)。続いて、油圧ポンプ負荷指令生成部66Bは、ポンプ用電磁弁48及び制御弁用電磁弁49に対してそれぞれ駆動指令信号を生成する(ステップS608)。
【0071】
すなわち、コントローラ6では、ステップS606においてYESとなった場合、エンジン51側を制御する処理であるステップS607、及びメインポンプ41に負荷を掛ける処理であるステップS608の両ステップが順に実行される。
【0072】
メインポンプ41に負荷を掛ける処理(ステップS608)の後、データ取得部61は、圧力センサ410からのメインポンプ41の吐出圧Paを取得する(ステップS609)。そして、エンジン停止判定部63Bが、ステップS609で取得したメインポンプ41の吐出圧Paが所定の目標吐出圧Pthとなったか否かを判定する(ステップS610)。
【0073】
ステップS610においてメインポンプ41の吐出圧Paが所定の目標吐出圧Pthとなった(Pa=Pth)と判定された場合(ステップS610/YES)、データ取得部61は、再度、回転数センサ59から実エンジン回転数Nを取得する(ステップS611)。一方、ステップS610においてメインポンプ41の吐出圧Paが所定の目標吐出圧Pthでない(Pa≠Pth)と判定された場合(ステップS610/NO)、ステップS608に戻る。
【0074】
そして、エンジン停止判定部63Bは、ステップS611で再取得した実エンジン回転数Nが0であるか否かを判定する(ステップS612)。ステップS612において実エンジン回転数Nが0である(N=0)と判定された場合(ステップS612/YES)、エンジン51は停止状態であり、コントローラ6での処理が終了する。一方、ステップS612において実エンジン回転数Nが0でない(N≠0)と判定された場合(ステップS612/NO)、ステップS607に戻る。
【0075】
本実施形態では、コントローラ6は、エンジン51側を制御する処理(ステップS607)と、メインポンプ41に負荷を掛ける処理(ステップS608)とを、両方実行しているが、これに限らず、少なくともメインポンプ41に負荷を掛ける処理(ステップS608)を実行すればよい。すなわち、指令部66は、少なくとも油圧ポンプ負荷指令生成部66Bを含んでいればよい。
【0076】
また、ステップS603において回転数偏差ΔNが所定の回転数偏差閾値ΔNth以下(ΔN≦ΔNth)と判定された場合(ステップS603/NO)、ステップS604において排気温度の差ΔTが所定の温度差閾値ΔTth以下(ΔT≦ΔTth)と判定された場合(ステップS604/NO)、ステップS605において吸気量偏差ΔQが所定の吸気量偏差閾値ΔQth以下(ΔQ≦ΔQth)と判定された場合(ステップS605/NO)、及びステップS606において継続時間tが所定の継続時間t1よりも短い(t<t1)と判定された場合(ステップS606/NO)にはそれぞれ、コントローラ6での処理が終了する。
【0077】
本実施形態では、異常燃焼発生判定部63Aは、回転数偏差ΔNに関する条件(ステップS603)、排気温度の差ΔTに関する条件(ステップS604)、吸気量偏差ΔQに関する条件(ステップS605)、及び継続時間tに関する条件(ステップS606)の全ての条件を満たす場合に異常燃焼発生条件を満たすと判定しているが、これに限らず、少なくとも回転数偏差ΔNに関する条件(ステップS603)、及び排気温度の差ΔTに関する条件(ステップS604)を満たす場合に異常燃焼発生条件を満たすと判定すればよい。
【0078】
このように、油圧ショベル1では、エンジン51における異常燃焼が発生した場合に、コントローラ6は、メインポンプ41に負荷を掛ける制御を実行することによりエンジンを停止させるため、エンジン51側の制御によらないでエンジン51を停止させることができる。したがって、仮に、排気弁53や吸気弁57の閉弁時に異物等が挟まって隙間が生じて吸気の流入を完全に遮断することができない場合や、異常燃焼の影響によってインジェクタ512等のエンジン51に付属する部品が故障してしまった場合であっても、異常燃焼によるエンジン51の過回転を抑制することができる。
【0079】
本実施形態では、コントローラ6は、メインポンプ41に負荷を掛ける処理(ステップS608)に加えて、エンジン51側の制御処理(ステップS607)を行うため、メインポンプ41に負荷を掛ける処理(ステップS608)のみを行う場合と比べて、迅速かつ効率的にエンジン51を停止させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、異常燃焼発生判定部63Aは、継続時間計測部64で計測された継続時間tが所定の継続時間t1以上である場合に、異常燃焼発生条件を満たすと判定するため、油圧ショベル1の動作等によって一時的にエンジン51の回転数が増加した場合や排気温度が上昇してしまった場合等を異常燃焼の発生として誤判定しにくくなり、精度よく異常燃焼の発生を判定することが可能である。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0082】
例えば、上記実施形態では、油圧ショベル1は、ホイール式の油圧ショベルであったが、これに限らず、クローラ式の油圧ショベルであってもよい。また、必ずしも油圧ショベルでなくてもよく、他の建設機械であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、エンジン51側の制御処理と、メインポンプ41に負荷を掛ける処理と、を含むエンジン51の異常燃焼発生時におけるエンジン51の停止に係る制御処理を1つのコントローラ6によって行っていたが、これに限らず、例えばエンジン51側の制御処理を行うエンジンコントローラ、及びメインポンプ41に負荷を掛ける処理を含むそれ以外の処理を行うメインコントローラの2種類のコントローラを用いてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、メインポンプ41のレギュレータ41Aはポンプ用電磁弁48で生成されたパイロット圧で、流量制御弁46は制御弁用電磁弁49で生成されたパイロット圧で、それぞれ駆動するパイロット操作式であったが、電磁式であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1:油圧ショベル(建設機械)
6:コントローラ
41:メインポンプ(油圧ポンプ)
43:作動油タンク
44:方向制御弁
46:流量制御弁
51:エンジン
52:過給機
53:排気弁
54:温度センサ
57:吸気弁
58:EGR弁
59:回転数センサ
310:ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
501A:上流側排気路(排気路)
502B:下流側吸気路(吸気路)
511:燃焼室
512:インジェクタ
521:タービン
522:コンプレッサ