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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ブラシ及びヘッド部
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/34 20060101AFI20220928BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61C17/34 F
A46B15/00 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018220589
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020081391
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 智義
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-247800(JP,A)
【文献】特開2005-124878(JP,A)
【文献】米国特許第04991249(US,A)
【文献】国際公開第2010/067753(WO,A1)
【文献】米国特許第03980906(US,A)
【文献】米国特許第04192035(US,A)
【文献】特開2003-180717(JP,A)
【文献】特開平11-090867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/16-17/40
A46B15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在する毛部を備えたヘッド部と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に伸縮するアクチュエータと、当該アクチュエータの振動を前記ヘッド部に伝達する接続部材と、前記アクチュエータを内蔵する筐体とをふくむボディ部と、含み、
前記接続部材は、前記ヘッド部が固定されるための固定部と、前記アクチュエータの振動を前記ヘッド部に伝達する伝達部と、前記筐体に固定される脚部とを備え、前記固定部は、前記伝達部に比較して硬いブラシ。
【請求項2】
前記アクチュエータを駆動させる信号には、音声信号を含む請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記接続部材の前記伝達部は、前記アクチュエータと対向する請求項1に記載のブラシ。
【請求項4】
前記ボディ部の前記筐体は、前記アクチュエータを固定する台座部をさらに備え、
前記台座部と、前記伝達部とで前記アクチュエータを押圧している請求項3に記載のブラシ。
【請求項5】
前記音声信号に基づき前記アクチュエータを駆動させているときに、前記毛部がユーザの歯に当たっていると、骨伝導音が発生する請求項2に記載のブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ及びヘッド部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯ブラシは、電動のものが販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-61986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、単に手動を電動にした歯ブラシである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のブラシは、第1の方向に延在する毛部を備えたヘッド部と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に伸縮するアクチュエータと、当該アクチュエータの振動を前記ヘッド部に伝達する接続部材と、前記アクチュエータを内蔵する筐体とをふくむボディ部と、含み、前記接続部材の脚部は前記筐体に固定されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、新規なブラシを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の構造例を示す断面図である。
図2】一例にかかるブロック図である。
図3】一例にかかる信号の周波数特性を示す図である。
図4】第2の構造例を示す断面図である。
図5】第3の構造例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1図4図5は、実施形態に係るブラシの断面図である。ブラシは歯ブラシを例に説明するが、その他のブラシであってもよい。
【0010】
たとえば、歯ブラシは、大きく分けて3つの部材からなっていてもよい。一つ目は毛部11を備えたヘッド部Hである。2つ目は、持ち手の部分、つまり筐体21を備えたボディ部Bである。3つめはたとえば乾電池の場合は不要な場合もあるが、充電可能なバッテリの場合に便利な充電台Dである。
【0011】
図1の構造を参照して各部材の説明をする。ヘッド部Hは、毛部11、柄部12、固定部13を備えている。
【0012】
毛部11は、たとえば、直径が0.1~0.4mm程度のナイロン製のひもの集合体からなる。毛部11は、概ね30~40mmの長さの前記ひもを15~20本程度の束にした後、束の真ん中で2つ折りにして、後述する柄部12の穴に挿入される。すなわち、挿入後には、一つの穴に対して、ひもを30~40本程度の束にしたものが一つ入っている。挿入後の毛部11は、長さをそろえるためにカットされる。カット後の柄部12から突出した毛部11の先端までの長さはたとえば0.7mmから13mmである。カット面は、毛部11の長さが均一な平坦面でもよく、毛部11の長さが異なるのこぎりの歯状のギザギザした面でも良い。
【0013】
柄部12は、たとえばアクリルやポリカーボネート、ポリプロピレン等のプラスティック素材からなっていてもよい。柄部12の表面には、前述した毛部11を埋め込むために、直径1.3mm~2.1mm程度の穴が、おおよそ12個から36個程度設けられている。この穴に先の毛部11が押し込まれている。この柄部12は、一例として、穴が設けられた面(穴側の面という)の縦の寸法が15~35mm、横の寸法が8~15mm、先の面に直交する厚みが、アクチュエータ31の厚みを含んで、2~10mmであってもよい。
【0014】
柄部12の毛部11が植え込まれた側とは逆側の端部には、固定部13がある。固定部13は、ボディ部B側の固定部24と嵌合して固定される。固定部13と固定部24とは、雄ねじと雌ねじの組み合わせでもよい。また嵌合される互いの部位の断面がのこぎりの歯状を呈する形状にして、押し込みによる挿入後、外れ難くするようにしてもよい。
【0015】
これにより、ヘッド部Hの交換が行えるとともに、ヘッド部Hが不用意に外れることがおきにくくできる。
【0016】
ボディ部Bは、持ち手となる筐体21、アクチュエータ31、制御系や昇圧回路等を搭載した基板32、電極パッド33、キャップ部40、バッテリ35、操作部34、接続部材22などを含んで構成されてもよい。筐体21は筒状をなしており、その内部にメモリ38、バッテリ35や基板32等を備える。筐体21の一方側端部には、接続部材22が固定されて、接続部材22により筐体21の内部が密閉されてもよい。筐体22の他方側端部には、キャップ部40が固定されて、接続部材により密閉されてもよい。
【0017】
筐体21は、ヘッド部Hの支持部としての機能を有する。また筐体21は、内部に基板32やバッテリ35等を収納する。大人が通常の使用態様で握っても壊れない強度を有していればよく、アクリルやポリカーボネート、ポリプロピレン等のプラスティック素材からなっていてもよい。筐体21の長さは、たとえば10cm~25cm程度である。筐体21の筒状の外側の直径は、おおよそ1~3cm程度である。
【0018】
接続部材22は、筐体21に脚部29がねじ25で固定されて、筐体21の内部を密閉する役割を果たしている。接続部材22に設けられたねじ25を挿入するための孔は、ねじ25の挿入後に樹脂で覆うことで封止してもよい。あるいはパッキン等の封止部材をかませてねじ止めしてもよい。もちろん、ねじ25で固定する以外にも、たとえば筐体21と接続部材22とを超音波溶着したり、あるいは接着剤で固定したりしても良い。
【0019】
接続部材22は固定部23、伝達部27及び脚部29を備える。そして、後述するアクチュエータ31の積層方向への伸縮(図1の矢印)によって生じる振動を歯ブラシのヘッド部Hに伝達する役割を果たす。接続部材22はたとえばシリコーンゴム等のゴム素材等が採用可能である。接続部材22は、ねじ25により固定している部位である脚部29及び固定部23は固めのゴムやプラスティック素材、あるいは金属等を用いてもよい。またアクチュエータ31と固定部23との間の部分である伝達部27は、固定部23等よりもやわらかい素材、たとえばゴムを用いてもよい。接続部材22の製造は、よく知られた2色成型技術や一体成型技術を使えばよい。もちろん接続部材22は、固定部23と伝達部27等、すべて部位を同じ素材にて作製してもよい。固定部23に求められる硬さと、伝達部27に求められる硬さとの中間程度の堅さに設定すればよい。この場合、接続部材22の製造工程が簡素化できる。
【0020】
接続部材22の固定部23には、ヘッド部Hの固定部13が挿入される。互いの固定部13,23において、ねじ込み式あるいは押し込みによる挿入式のどちらでも良いことは先にのべたとおりである。また、雄側と雌側が入れ替わってもよい。すなわち接続部材22の固定部23側が雄、ヘッド部Hの固定部13が雌になってもよい。なお、ゴムの硬さは、たとえばテクロック社製のデュロメーター計タイプA用のGS-719シリーズやGS-720シリーズを用いて、JIS K 6253シリーズ:2012に基づき、測定すればよい。
【0021】
接続部材の脚部29は、アクチュエータ31の周囲を周回するように管状をなしている。そして、筐体21の内側の壁面に接触して、筐体21内部の密閉を実現する。
脚部29は、筐体21の内壁には接触しているが、アクチュエータ31の振動を阻害しないように、アクチュエータ31には接触しない。
【0022】
また、筐体21の内部には、台座部24が、筐体21に対してねじ25により固定されている。筐体21に設けられたねじ25を挿入するための孔は、ねじ25挿入後に樹脂を流し込み封止して防水性を担保してもよい。あるいはO-リングと呼ばれる封止部材をかませてねじ止めしてもよい。この台座部24と接続部材22の伝達部27との間でアクチュエータ31が挟まれている。そしてアクチュエータ31が伸縮する際に、その伸びる力が伝達部27側へといくようになしてある。つまり台座部24側は伝達部27に比較して強固に固定されており、伝達部27側へはアクチュエータ31が伸びやすいようになしてある。そのためには、この台座部24は、接続部材22の伝達部27よりも十分な曲がりにくさ・硬さを有している。台座部24はたとえばSUSや真ちゅう等の金属素材からなっていてもよい。あるいは硬質プラスティックでも良い。アクチュエータ31の伸縮により伝達部27が変形し、固定部23もこれに応じてアクチュエータ31の伸縮方向とほぼ同じ方向に毛部11を振動させることができる。なお、ほぼ同じ方向とは、圧電素子の伸縮方向に対して、毛部11の振動方向(毛部の主たる前後運動の方向)がなす角が30°以下であることをいう。つまり毛部11が、毛部の毛の延在方向に対して、90°±30度の範囲で往復振動するので、たとえば歯の表面をなぞるように振動させることができる。
【0023】
本実施の形態では、アクチュエータ31はたとえば積層型の圧電素子である。積層型圧電素子は、例えばPZT等の圧電特性を示す誘電体と、断面が櫛歯状の内部電極とが交互に積層されて構成される。内部電極は、第1の側面の電極に接続されるものと、第2の側面の電極に接続されるものとが交互に積層される。
【0024】
圧電素子は、少なくとも2つの電極を有している。そして、基板32から配線39を通じて、一方側の電極と他方側の電極にそれぞれ電気的に接続される。積層型圧電素子は、積層方向(上記した圧電素子の振動方向にほぼ一致する)の長さが例えば5mm~120mmである。また、積層型圧電素子の積層方向と直交する方向の断面形状は、例えば2mm角~15mm角の略正方形状や、正方形状以外の円柱形状など、任意の形とすることができる。なお、積層型圧電素子の積層数や断面積は適宜決定される。
【0025】
積層型圧電素子には、たとえば基板32から信号(供給信号)が供給される。換言すれば、積層型圧電素子には、基板32から印加される電圧が交流電圧の場合には、ある瞬間に、一方側の電極に正の電圧が印加されるときには、他方側の電極には負の電圧が印加されてもよい。反対に、一方側の電極に負の電圧が印加されるときには、他方側の電極には正の電圧が印加される。一方側の電極及び他方側の電極に電圧が印加されると、誘電体に分極が起こり、積層型圧電素子は電圧が印加されない状態から伸縮する。積層型圧電素子の伸縮の方向は、誘電体と内部の電極の積層方向にほぼ沿っている。あるいは、積層型圧電素子の伸縮方向は、誘電体と内部の電極の積層方向とほぼ一致している。積層型圧電素子は、積層方向にほぼ沿って伸縮するため、伸縮方向の振動伝達効率がよいという利点がある。
【0026】
あるいは積層型圧電素子には、基板32から一方側の電極に正の電圧、たとえば10Vが印加されるときには、他方側の電極には0Vの電圧が印加されてもよい。駆動アンプ37の昇圧回路により積層型の圧電素子に印加する信号(供給信号)の電圧は、例えば3Vp-p~50Vp-pとすることができるが、かかる範囲に限定されない。なお、配線部39等を通じて、アクチュエータ31に供給される信号はたとえば図3のような周波数特性を持つ。
【0027】
基板32は、防水構造が実現された筒状の筐体21の内部に収納される。基板32には、図2のブロック図であらわされた各機能部が搭載される。たとえば、基板32は、信号生成部36、駆動アンプ37などが搭載される。
【0028】
操作部34は、ブラシのON・OFFを切り替える電源スイッチ(たとえばボタンスイッチ)と、音量調整するスイッチ(たとえば+ボタン・-ボタン)や、コンテンツである曲や音声の選択スイッチを含んでもいてもよい。これらのスイッチは筐体21の外側の面に配置されている。ユーザが筐体21の外側から各スイッチを操作可能である。たとえば、筐体21の外側表面に防水シートを貼付し、その内側にこれらのスイッチが設けられてもよい。
【0029】
バッテリ35は、筐体21の内部に収納されている。そしてバッテリ35は、充電台Dの送電部53から非接触給電の規格等に準拠した無線給電により、受電部41を介して、電力が供給される。なお、バッテリ35は乾電池でも良く、その場合、送電部53、受電部41はなくともよい。
【0030】
キャップ部40は、筐体21の接続部材22とは逆側の端部に取り付けられる。キャップ部40は、バッテリ35や基板32が配置されている内部の空間を密閉する。また、キャップ部40の内部側の表面には、受電部41、及び受電した電力をバッテリ35へとおくる端子や回路を備えた基板が設けられている。
【0031】
筐体21の内部には、メモリ38を格納するメモリスロットがもうけられる。メモリ38は、たとえばSDカードと呼ばれるメモリの類でも良く、独自のフラッシュメモリでも良い。このメモリ38の着脱や、バッテリ35の交換等を目的として、キャップ40はユーザが着脱できるようにしてもよい。メモリ38には、様々な音源が記憶されていてもよい。例えばユーザが好みの楽曲や音源等のコンテンツを、PCやスマートフォン経由で、音声信号としてメモリ38に記録し、その楽曲入りメモリを筐体21の内部のメモリスロットに挿入することができる。
【0032】
充電台Dは、筐体51、基板52、送電部53及びプラグ54を備える。充電台Dの筐体51は、ボディ部Bを搭載可能な平板上の主面を備える。主面には送電部53が配置されており、ボディ部Bの受電部41に電力を送電する。筐体51の内部には、基板52が配置されており、プラグ54からの商用電源からの電力を非接触給電に準拠した送電可能な電力に変換する。
【0033】
次に図2の実施例を、回路構成等の電気的な接続関係を含めて説明する。
充電台Dは、たとえば100v、1.5A、50/60Hzの商用電源に接続されるプラグ54をそなえる。プラグ54から供給される電力は、基板52に搭載された回路を通じて、非接触充電規格に適合した電圧、電流に変換して、送電部53へ送られる。
【0034】
送電部53からの電力は受電部41を介して、バッテリ35に蓄積される。
【0035】
ボディ部Bは、圧電素子31、操作部34、バッテリ35、信号生成部36、駆動アンプ37、メモリ38、受電部41等を含んで構成される。
【0036】
操作部34は、ブラシのON・OFF切り替えスイッチ回路と、音量調整回路とを含んでもよい。さらには、楽曲選択のスイッチ回路を備えていてもよい。
バッテリ35は、充電回路及び過充電防止回路を備えていてもよい。またサーミスタを備えていてもよい。
【0037】
メモリ38は、圧電素子31を駆動するための音声信号等を記憶する。具体的には、可聴域において所定の周波数帯域からなる音声信号、すなわち20kHz以下の可聴域の周波数において非離散的な信号、すなわち連続的な広がりを有する信号を含んで記憶する。この非離散的な信号とは、以下(1)~(4)の手順を経て測定されたものが、(5)の条件をみたすものをいう。
(1)IEC60318シリーズのHATSの人口耳から5cm程度の位置に、すくなくとも200Hzから10000Hzまでは気導音を出力できるスピーカを配置し,
(2)前記スピーカにより先の音声信号を用いて音声を少なくとも10秒以上連続再生し、
(3)HATSのマイクからの入力である音圧をFFT(高速フーリエ変換処理)し、
(4)そのFFTした後の出力値の周波数特性を示すグラフにおいて、当該出力値を周波数F(Hz)=1×n:(nは200~10000の整数)とあらわしたときに
(5)フロアノイズを15dB(SPL)以上うわまわる有意な出力値である整数nが50個以上連続して存在すること。たとえばn=250,251,252・・・,299,300のすべてにおいて、有意な検出値が出力されていることである。図3はその一例である。
【0038】
この非離散的な信号は、たとえばアナログやデジタルの音声信号である。音声信号には、楽曲信号や人間の会話データ、歌声等が含まれてよい。ただし、音響の分野でいわゆる純音(pure tone)といわれるような単一の周波数だけを提示する信号や、たとえばモータ等を単一の回転数で駆動させるための信号はここでいう非離散的な信号には含まれない。
【0039】
また複数の純音だけからなる信号も離散的であるため含まれない。たとえば200Hzの純音と10kHzの純音だけからなる信号も、上記の式において、nが2つ(n=200、n=10000)しかなく且つ互いの整数nが連続していないため、非離散的な信号には含まれない。
【0040】
また、メモリに記憶される信号には、たとえば20kHz超から100kHzまでの周波数に対応する超音波信号をさらに含んでいてもよい。超音波信号は離散的であってもよい。たとえば50kHzだけの信号により超音波駆動により、ブラッシング効果を高めるために使用されてもよい。この場合、可聴域の非離散的な信号に、超音波の純音の信号が重畳されてもよい。
【0041】
またメモリに記憶された信号は、符号化圧縮がされていてもよい。これらの信号を記憶するためのメモリ38は、不揮発性メモリであってもよい。
【0042】
信号生成部36は、メモリ38に記録された信号をアクチュエータ31に供給するための供給信号(アクチュエータ31に供給される信号をここでは供給信号とよぶ。)に変換する。なお、特に変換不要な場合もある。そして所定の周波数帯の強化等が行われたのち、駆動アンプ37を経て、アクチュエータ31へと供給される。
【0043】
たとえば供給信号も、上記のメモリに記録された信号のうち、非離散的な信号と同様に、周波数特性において所定の範囲で連続的な信号、すなわち所定の範囲で非離散的な信号を含むことになる。たとえばメモリ38に記憶されたオリジナルの音声信号と比較して、信号生成部36では、たとえば200Hzから400Hzまでの周波数特性だけをおおよそ20dB分だけ強化した強化信号を生成して、これを供給信号としてもよい。このように低周波数帯の信号のパワーを局所的に上げることにより、ブラシング効果の向上が期待される。なお、この強化信号は、メモリ38から出力された楽曲の信号を、駆動アンプ37にかける際に、強化したい周波数帯域をイコライザにて強める補正を行う(信号生成プロセス)ことで実現してもよい。もちろん、強化信号と同様の周波数特性を持つ信号自体を最初からメモリ38に音声信号として記憶するようにしてもよい。
【0044】
次に、アクチュエータ31及び毛部11の動作について説明する。アクチュエータ31は、駆動アンプを経た供給信号に従い、積層方向(図1の矢印)にそって伸縮する振動を生じる。アクチュエータ31の伸縮に沿って、伝達部27が前後に振動することで、ヘッド部Hの毛部11が前後に振動する(図1の矢印)。この振動を供給信号に応じて繰り返すことで、楽曲が再生される。楽曲にあわせて、前後に振動した歯ブラシは、毛部11を介してユーザの歯に振動を伝達する。結果として、ユーザは歯から骨伝導経由で音を聞くことができる。
【0045】
なお、操作部34のスイッチが操作されて基本の音声信号を元に駆動させる通常モードと、ブラッシングを強化する強化モードとを切り替えてもよい。あるいは、また、通常モードの場合でも、強化モードの場合でも、操作部のスイッチにて音量調整をしてもよい。
【0046】
そして、音量調整で音量を大きくする操作をしたときには、特定の周波数に関係なく、楽曲全体のボリュームが上がるように、アクチュエータ31に供給するパワーの大小が変更される。
【0047】
また、基本信号の種類を変更すること、すなわち楽曲や物語等のコンテンツを変更することで、様々な周波数帯域の振動を得ることもできる。このため、ユーザは、歯を経由した骨伝導で好みのコンテンツを聴きながら、当該コンテンツに一致した振動で歯ブラシができてもよい。
【0048】
さらには、アクチュエータ31は、可聴域(10Hzから20kHzまで)に加え、超音波帯(20kHz以上)でも振動させてもよい。たとえば可聴域(10Hzから20kHzまで)の連続的な振動に加え、50kHz付近のみで振動してもよい。この場合、超音波振動によるブラシングが可能となる。超音波振動を与える信号は純音であってもよいし、また離散的な信号でもよい。もちろん連続的、非離散的な信号でもよい。
【0049】
次に図4を参照しながら構造例2を説明する。特に図1との変更点を中心に説明する。図1の構造例1と異なる点は特に接続部材22の脚部29の内部にインサート成形された補強部材26をそなえる点である。補強部材26は、たとえばSUSや板金を曲げ加工してL字状になしてある。そして筐体21に接続部材22を固定する際には、筐体21、補強部材26がともにねじ25により固定される。
【0050】
これにより接続部材22をたとえば伝達部27の硬さに合わせてショア00にて30~70程度の柔らかい素材を採用したときでも、接続部材22を筐体21に対して固定しやすい。ゴムの硬さであるショア00は、ASTM D 2240 standardに準拠したデュロメーター計、たとえばテクロック社製:GS-754Gにて測定できる。なお、補強部材27は、圧電素子31の振動方向において伝達部26と対向する領域には設けなくともよい。その場合、たとえば伝達部27や固定部23の領域を避けてその周囲を周回するような環状の部位を持つ補強部材26としてもよい。あるいは、棒状の金具を単にL字状に折り曲げたような部分的なものを2つ用いることでも良い。これにより筐体21への確実な固定と、伝達部27の振動伝達を阻害しにくい構造が実現できる。なお、補強部材27は金属に限らず硬質プラスティックでもよい。接続部材22において、柔らかいゴム素材等に硬質プラスティックが2色成型技術により一体的に埋設されてもよい。
【0051】
次に図5を参照しながら構造例2を説明する。特に図1との変更点を中心に説明する。この実施例では、脚部29と、台座部24とが同じねじ25により筐体21に対して固定されている。構造が簡素化されてよい。
【符号の説明】
【0052】
H・・・ヘッド部
B・・・ボディ部
D・・・充電台
11・・・毛部
12・・・柄部
13・・・固定部
21・・・筐体
22・・・接続部材
23・・・固定部
24・・・台座部
25・・・ねじ部
26・・・補強部材
29・・・脚部
31・・・アクチュエータ(圧電素子)
32・・・基板
33・・・電極パッド
34・・・操作部
35・・・バッテリ
36・・・信号生成部
37・・・駆動アンプ
38・・・メモリ
39・・・配線部
40・・・キャップ部
41・・・受電部
51・・・筐体
52・・・基板
53・・・送電部
54・・・プラグ
図1
図2
図3
図4
図5