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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】加熱可能なグレイジング
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20220928BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20220928BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20220928BHJP
   H05B 3/86 20060101ALI20220928BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
C03C27/12 M
B32B17/10
B60J1/00 H
H05B3/86
H05B3/20 355A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018564344
(86)(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2017063145
(87)【国際公開番号】W WO2017211641
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】16173527.9
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ホラーク, パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】グーティエ, ローラン
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-030847(JP,A)
【文献】国際公開第2016/038372(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00-29/00
B32B 1/00-43/00
B60J 1/00-1/20
H05B 3/20-3/38
H05B 3/84-3/86
B60S 1/02-1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも熱可塑性中間層(5)、
- 前記熱可塑性中間層(5)上に配置された第1の母線(11)、
- 前記第1の母線(11)上に配置された少なくとも1つの加熱ワイヤー(4)、
- 前記加熱ワイヤー(4)上に少なくとも部分的に配置され、かつ前記第1の母線(11)上に少なくとも部分的に配置された第2の母線(12)
を含むアセンブリ(21)を含み、
- オートクレーブ中での溶融のために適切なはんだ層(15)が、前記第1の母線(11)または前記第2の母線(12)の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ前記加熱ワイヤー(4)と接触するように配置され、
前記アセンブリ(21)が、少なくともガラスシート(2、3)を積層される、積層グレイジング(1)において、
前記はんだ層(15)が、前記第1の母線(11)および/または前記第2の母線(12)の中央部分に配置されること、接着剤層(17)が、前記第1の母線(11)または前記第2の母線(12)の表面の少なくとも一部上で前記第1の母線(11)と前記第2の母線(12)との間に配置されること、および前記接着剤層(17)が、前記第1の母線(11)および/または前記第2の母線(12)、並びに前記第1の母線(11)および/または前記第2の母線(12)の中央部分に配置された前記はんだ層(15)のいずれかの側面から配置されることを特徴とする、積層グレイジング(1)。
【請求項2】
前記アセンブリ(21)は、2つのガラスシート(2、3)間に積層されることを特徴とする、請求項1に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項3】
接着剤層(17)は、他の母線(11、12)に面する前記第1の母線(11)または前記第2の母線(12)の1つの前記表面の少なくとも一部上に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項4】
前記第2の母線(12)は、前記第1の母線(11)に面する前記表面の少なくとも一部上においてはんだ層(15)および接着剤層(17)で被覆されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項5】
前記接着剤層(17)は、前記第1の母線(11)または前記第2の母線(12)の長さ全部に沿ってかつその幅の一部のみにおいて配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項6】
前記第1の母線(11)は、低融点母線であり、かつ前記熱可塑性中間層(5)に固定されるその表面の少なくとも一部上においてさらなる接着剤層を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項7】
前記ワイヤー端部(4)における電気接続が、(i)前記熱可塑性中間層(5)に固定された前記第1の母線(11)、(ii)前記加熱ワイヤー(4)、(iii)前記第2の母線(12)、および前記第1の母線(11)と前記第2の母線(12)との間または前記第2の母線(12)上に配置された前記積層グレイジングの外部の接続のための電気コネクター(8)の重層で構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項8】
前記第1の母線(11)は、前記熱可塑性中間層と接触し、および前記第2の母線(12)は、ガラスシート(2)または(3)と接触することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項9】
ワイヤードウインドシールドであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項10】
前記第1の母線(11)または/および前記第2の母線(12)は、着色銅ストリップであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項11】
前記母線(11、12)は、2mm~12mm、より好ましくは4mm~10mm、最も好ましくは6mm~8mmの範囲の幅を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項12】
前記加熱ワイヤー(4)は、前記グレイジング(1)にわたって延在するタングステンの細いワイヤーの配列を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層グレイジング(1)。
【請求項13】
a.熱可塑性中間層(5)を提供すること、
b.前記熱可塑性中間層(5)上に第1の母線(11)を配置すること、
c.前記第1の母線(11)上に少なくとも1つの加熱ワイヤー(4)を配置すること、
d.前記加熱ワイヤー(4)および前記第1の母線(11)上に第2の母線(12)を配置すること
を含み、
e.オートクレーブ中での溶融のために適切なはんだ層(15)が、前記第1の母線(11)または/および前記第2の母線(12)の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ前記加熱ワイヤー(4)と接触するように配置される、グレイジング(1)を製造する方法において、
前記はんだ層(15)が、前記第1の母線(11)および/または前記第2の母線(12)の中央部分に配置されること、接着剤層(17)が、前記第1の母線(11)または前記第2の母線(12)の表面の少なくとも一部上で前記第1の母線(11)と前記第2の母線(12)との間に配置されること、および前記接着剤層(17)が、前記第1の母線(11)および/または前記第2の母線(12)、並びに前記第1の母線(11)および/または前記第2の母線(12)の中央部分に配置された前記はんだ層(15)のいずれかの側面から配置されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
接着剤層(17)は、前記第1の母線または前記第2の母線の表面の少なくとも一部上で前記第1の母線と前記第2の母線との間に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記接着剤層(17)は、前記第2の母線(12)の表面の少なくとも一部上に配置されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱可能なグレイジング、特にワイヤー状の加熱可能なグレイジングに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車フロントガラスの分野において、通常、ガラスの2つの外部プライ間の中間層材料中に埋め込まれた微細な密接に離間された加熱ワイヤーの配列が提供されることは周知である。
【0003】
加熱ワイヤーは、電気回路として、典型的にグレイジングの2つの対向する縁部に隣接して配置される2つの対向する母線間に延在し、かつ2つの対向する母線と電気的に接触する。
【0004】
したがって、最も単純な場合、電気的に加熱される窓は、特に微細なワイヤーの加熱エレメントおよび離間された対向する母線の対を含み得、通常、窓の表面の2つの対向側面のそれぞれの上に1つが存在し、加熱エレメントは、窓上でそれらの間に延在する。外部電源、例えば車両からの電力供給との電気接続は、既知の種類のプラグおよびコンセントコネクターによってなされ得、そのプラグ部分は、一般に母線にはんだ付けにされるかまたは他に接着される。
【0005】
加熱ワイヤーが2つの母線間で配置されるように、実質的な電流を運ぶように改造された母線とも呼ばれる、狭い金属ストリップとより広い金属ストリップとを含む母線を使用することが知られている。母線アセンブリと加熱ワイヤーとの間の電気接続を改善するために、金属ストリップの1つは、加熱ワイヤーと接触する表面の一部上において低融点はんだ層を提供され得る。低融点はんだは、オートクレーブ中で溶融し、加熱ワイヤーと母線との間の空間を充填するはんだ、すなわち最大オートクレーブ温度である150℃以下の融点を有するはんだとして定義される。固結時、低融点はんだは、所与の位置で固く加熱ワイヤーを接着し、金属ストリップおよび加熱ワイヤーの両方間に永続的な電気接続を提供する。
【0006】
さらに、電気回路は、一般に、積層前に中間層材料のプライ、特にPVBシートなどの熱可塑性中間層のプライ上に構成される。2つの母線とワイヤーとの結合は、最終的にオートクレーブ工程中に実行される。電気回路、この場合には加熱ワイヤーと母線との良好な結合を保証するために、加熱ワイヤーおよび母線を熱可塑性中間層(PVB)上であらかじめ結合させ、端部ワイヤーを2つの母線間に挟む。この予結合段階は、現在、母線長さ上で厳密なはんだ付けによって実行されており、この方法は、次のいくつかの欠点を有するため、製造の観点から問題がある。実際に、このプロセスは、遅く、高価であり、スズ残留物を生じ、したがって熱可塑性中間層PVB公害のために世界的に製造収率が減少している。さらに、母線の接着は低く、したがってPVBが積層プロセス前に貯蔵および配置される場合、いくつかの電気回路は損傷を受ける。
【0007】
作動中の損傷が低い加熱ワイヤーを含む代替的なグレイジングが引き続き要求されており、対応する単純な製造方法が望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明は、
- 熱可塑性中間層の少なくともプライ、
- 中間層材料のプライ上に配置された第1の母線、
- 第1の母線上に配置された少なくとも1つの加熱ワイヤー、
- 加熱ワイヤー上に少なくとも部分的に配置され、かつ第1の母線上に少なくとも部分的に配置された第2の母線
を含むアセンブリを含み、
- オートクレーブ中での溶融のために適切なはんだ層が、第1の母線または/および第2の母線の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ加熱ワイヤーと接触するように配置される、積層グレイジングを提供する。
【0009】
本発明によると、アセンブリは、少なくとも1つのガラスシートを積層される。
【0010】
本発明によると、接着剤層が、第1の母線または第2の母線の表面の少なくとも一部上で第1の母線と第2の母線との間に配置される。
【0011】
好ましくは、接着剤層は、第2の母線の表面の少なくとも一部上で第1の母線と第2の母線との間に配置される。
【0012】
したがって、本発明者らは、第1または/および第2の母線上での接着剤層と組み合わされた低融点母線の使用により、グレイジングアセンブリ前の中間層材料のプライ上での加熱電気回路構成中の単純かつ迅速なテープ接着によって母線の事前結合プロセスを迅速化および改善することが可能となることを示した。この調製工程後、低融点合金は、はんだ付けによって良好な接触品質を保証するためのオートクレーブ中で実行されるガラス積層プロセス中に溶融する。
【0013】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、接着剤層は、好ましくは、第1または第2の母線全部に沿ってかつその幅の一部において配置される。
【0014】
好ましくは、接着剤層は、好ましくは、第2の母線全部に沿ってかつその幅の一部において配置される。
【0015】
好ましくは、接着剤層は、1μm~100μm、より好ましくは10μm~50μmの範囲の厚さを有する。好ましくは、加熱ワイヤーの配列は、加熱ワイヤーの配列に電力を供給するための第1の母線と第2の母線との間に延在し、かつそれと電気的に接触する。
【0016】
好ましくは、本発明による中間層材料の少なくともプライならびに第1の母線および第2の母線を含むアセンブリは、グレイジング材料(ガラスシート)の第1のプライと第2のプライとの間に配置される。
【0017】
したがって、ガラスは、ソーダライム-シリカ、アルミノシリケートまたはボロシリケート型などのガラスであり得る。好ましくはかつより低い生産コストの理由のため、本発明によるガラスシートは、ソーダライム-シリカガラスのシートである。本発明の有利な実施形態によると、ガラスシートの組成物は、追加的に、所望される効果の作用として適切な量で1種以上の成分/着色剤を含み得る。この/これらの成分/着色剤は、例えば、塩化クロムの存在によって生じた色を「中和する」ために、したがって本発明のガラスの色をより中性または無色にするために使用され得る。あるいは、この/これらの着色剤は、例えば、塩化クロムの存在によって生じ得る色以外の所望の色を得るために使用され得る。
【0018】
上記の実施形態と組み合わされ得る本発明の別の有利な実施形態によると、ガラスシートは、例えば、塩化クロムの存在によって生じ得る色を修正または中和することを可能にする層またはフィルム(例えば、着色PVBフィルム)でコーティングされ得る。
【0019】
本発明によるガラスシートは、有利には、外部トリム要素の被覆部分の抵抗を強化するために化学的または熱的に強化され得る。
【0020】
本発明の一実施形態によると、ガラスシートは、少なくとも1つの透明で電気的伝導性の薄層でコーティングされる。本発明による透明伝導性薄層は、例えば、SnO2:F、SnO2:SbまたはITO(酸化インジウムスズ)、ZnO:AlまたはさらにZnO:Gaをベースとする層であり得る。
【0021】
本発明の別の有利な実施形態によると、ガラスシートは、少なくとも1つの反射防止層でコーティングされる。本発明による反射防止層は、例えば、低い屈折率を有する多孔性シリカをベースとする層であり得るか、またはそれは、いくつかの層(スタック)、特に低い屈折率および高い屈折率を有し、かつ低い屈折率を有する層で終了する、誘電体材料交代性層の層スタックから構成され得る。テクスチャードガラスシートも使用され得る。反射を避けるために、エッチングまたはコーティング技術が使用され得る。
【0022】
別の実施形態によれば、ガラスシートは、少なくとも1つの反指紋層でコーティングされるか、または指紋を減少させるかもしくは防ぐように処理されている。そのような層またはそのような処理は、反対面上に析出された透明で電気的伝導性の薄層と組み合わされ得る。そのような層は、同一面上に析出された反射防止層と組み合わされ得、反指紋層は、スタックの外側にあり、したがって反射防止層を被覆している。
【0023】
所望の用途および/または特性により、他の層が本発明によるガラスシートの1つおよび/または他の面上に析出され得る。
【0024】
本発明によるガラスシートは、フローティングプロセス、ドローイングプロセス、ローリングプロセス、または溶融ガラス組成物から出発してガラスシートを製造するために既知の他のいずれかのプロセスによって得られるガラスシートであり得る。本発明による好ましい実施形態によれば、ガラスシートは、フロートガラスシートである。「フロートガラスシート」という用語は、還元条件下で溶融スズの浴上に溶融ガラスを注ぎ入れることを含むフロートガラスプロセスによって形成されたガラスシートを意味すると理解される。フロートガラスシートは、周知の様式で「スズ面」、すなわちシートの表面に近いガラスの本体中にスズが濃縮された面を含む。「スズの濃縮」という用語は、実質的にゼロ(スズが存在しない)であってもまたはそうでなくてもよい、コアにおけるガラスの組成に関するスズの濃度の増加を意味すると理解される。
【0025】
本発明によるガラスシートは、0.1~5mmで変化する厚さを有することができる。有利には、本発明によるガラスシートは、0.1~3mmで変化する厚さを有し得る。好ましくは、重量の理由のため、本発明によるガラスシートの厚さは、0.1~2.2mmである。
【0026】
ガラスシートは、平坦であるかまたは完全にもしくは部分的に湾曲して、車両または建築物に必要とされる形状としてガラス支持体の特定の設計と正確に適合し得る。ガラスシートは、着色され得る。それは、コーティングされるかまたはガラスおよびプラスチックの多数のプライの積層であり得る。ガラスシートは、強化され得る。
【0027】
本発明による別の実施形態において、本発明による中間層材料の少なくともプライならびに第1の母線および第2の母線を含むアセンブリは、グレイジング材料の第1のプライと、ガラスもしくはプラスチックまたはいずれかもしくは両方の材料の複合体などの透明基板の第2のプライ、例えばプラスチックシート、ポリカーボネートシートとの間に配置される。
【0028】
本発明によると、
a.熱可塑性中間層を提供すること、
b.熱可塑性中間層上に第1の母線を配置すること、
c.第1の母線上に少なくとも1つの加熱ワイヤーを配置すること、
d.加熱ワイヤーおよび第1の母線上に第2の母線を配置すること
を含み、
e.オートクレーブ中での溶融のために適切なはんだ層が、第1の母線または/および第2の母線の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ加熱ワイヤーと接触するように配置される、グレイジングを製造する方法も提供される。
【0029】
本発明によると、接着剤層が、第1の母線または第2の母線の表面の少なくとも一部上で第1の母線と第2の母線との間に配置される。したがって、第2の母線は、接着剤層により、第1の母線に予備的に固定される。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、接着剤層は、第2の母線の表面の少なくとも一部上に配置される。
【0031】
したがって、中間層ならびに第1の母線および第2の母線を含むアセンブリは、第1の母線および第2の母線が溶融によって最終的に固定されるガラスアセンブリのための積層プロセス前に貯蔵され得る。
【0032】
有利な実施形態において、この方法は、少なくとも1つの母線の表面の中央部分を低融点はんだ材料で被覆することを含む。少なくとも1つの母線の表面の低融点はんだがない部分は、接着剤層によって被覆され得る。
【0033】
本発明の別の実施形態において、少なくとも1つの母線は、他の母線と接触する全てのその表面上において低融点はんだで被覆される。容易かつ迅速なプロセスのため、接着剤ストリップが母線の表面から離れて上に添加され得る。
【0034】
好ましくは、接着剤層は、80℃の温度に抵抗する接着剤ストリップ層である。
【0035】
より好ましくは、第1の母線は、スズベースの合金によって包囲された銅ストリップであり、第2の母線は、ガラス積層オートクレーブプロセスで溶解する150℃より低い溶融温度を有する合金によって包囲された銅ストリップである。低融点母線の利点は、積層オートクレーブプロセス中に完全な溶融が達成されるため、全ての母線長さをはんだ付けすることを必要としない、はんだ付け結合法の良好な接触品質を提供することである。好ましくは、はんだは、融点温度を低下させるビスマスまたはインジウムを含む。
【0036】
好ましい実施形態において、接着剤ストリップ層は、第2の母線上に添加され、およびその長さ全部に沿ってかつその幅の一部のみにおいて配置される。このテープは、2つの母線をはんだ付けするために低融点合金の残りの表面が溶融するオートクレーブ積層プロセス前に2つの母線を一緒に貼り合わせることができる。
【0037】
本発明によると、グレイジングが積層を含む場合、ワイヤーは、積層を形成する2つのパイル間に配置され得、それにより所定位置に固定され得るため、通常、細いワイヤー、特にタングステンワイヤーがより好ましい。
【0038】
母線は、グレイジングの形状に適するいずれかで、側面から側面へとグレイジング上に延在し得るか、または上部から底部へと延在し得る。
【0039】
母線の厚さは、それらの抵抗を変更し得る。母線が金属ストリップである場合、典型的に10~200ミクロンの範囲のストリップの種々の厚さが使用され得る。導体抵抗は、窓の特定の部位を好ましく加熱するため、またはより均一な加熱効果を生じさせるように不均一な数の導体の種々の群の合成抵抗の均衡を保つために変動し得る。
【0040】
母線が微細金属ワイヤーである場合、母線は、好ましくは、金属ストリップ、例えば着色銅ストリップから形成される。
【0041】
母線は、特にそれらの端部に向けて先細にされるかまたは段階状にされ得る。したがって、母線幅に対する本明細書における参照は、他に示されない限り、一定幅を有する母線(または母線部分)の一部の頂部幅に対する参照である。幅の局部的変動、特に局部的な増加は、無視されるべきである。一定幅のいずれの実質的な母線部分もない場合、参照は、母線(または母線部分)の一部の平均幅であるとみなされるべきである。明らかに、比較的広い母線部分および比較的狭い母線部分の幅は、別に考慮されるはずである。
【0042】
好ましくは、母線は、2mm~12mm、より好ましくは4mm~10mm、最も好ましくは6mm~8mmの範囲の幅を有し得る。
【0043】
好ましくは、第1の母線および/または第2の母線は、金属、より好ましくは銅製であり、10μm~200μm、最も好ましくは50μm~100μmの範囲の厚さを有する。
【0044】
好ましくは、低融点はんだ層は、加熱ワイヤーと接触する第1の母線または加熱ワイヤーと接触する第2の母線の実質的に全ての表面を被覆し、およびはんだ層の厚さは、1μm~50μm、より好ましくは5μm~20μmの範囲である。
【0045】
好ましくは、低融点はんだ層は、100℃~150℃、より好ましくは120℃~140℃の範囲で溶融する。低融点母線の利点は、積層オートクレーブプロセス中に完全な溶融が達成されるため、全ての母線長さをガラスアセンブリ前に手動または自動で事前にはんだ付けすることを必要としない、はんだ付け結合法の良好な接触品質を提供することである。
【0046】
本発明の全ての実施形態において、グレイジングは、給与電圧を供給する電源と連結される。母線は、母線がその電圧の適用時にグレイジングを加熱するために、より特にグレイジングの曇り防止または除氷を提供する程度までグレイジングを加熱するために適切であるような抵抗値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
ここで、図面を参照して非限定的な実施例によって本発明を説明する。
【0048】
図1】加熱ワイヤーを含有する平面において、本発明によるグレイジングに積層される電気回路を含む熱可塑性中間層を示す。
図2】母線の端部から見た、本発明によるグレイジングの断面図を示す。
図3】第2の母線が、母線の中央部分に配置された低融点はんだのいずれかの側面からの接着剤層を含む、本発明の好ましい実施形態によるグレイジングにおいて積層される母線の対の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、本明細書において特に自動車のフロントガラスを参照して記載されるが、それは、他の車両グレイジング、例えばリアウインドウまたはサイドウインドウへの応用を有することが理解されるであろう。
【0050】
図1および図2は、熱可塑性中間層のプライとしてのPVB中間層5と一緒に積層された2シートのガラス(図1では、それを過度に装填しないために示されてない)から構成されるグレイジング1を示す。ガラスシート2、3は、0.5~10mmの範囲の同一または異なる厚さを有する。PVBシート5は、0.1mm~10mmの範囲の厚さを有し、かつ加熱機能のために使用される電気回路をその上に構成するために別々にガラスアセンブリプロセスから調製される。グレイジングは、特に車両、例えば自動車のための積層ウインドシールド1である。1つの電気回路4は、ウインドシールド1にわたって延在する。電気回路4は、積層ウインドシールドの内部に位置する金属ワイヤー、好ましくはタングステンの細いワイヤーを含み、これは、電流が通るとウインドシールド1を加熱する。細金属ワイヤーは、それらの端部において、電気コネクターとしての第1および第2の母線11、12の第1および第2の対6、7に対して平行に接続される。
【0051】
ウインドシールド1の上部において、母線の第2の対7に加熱ワイヤーを接続する上部母線の第1の対6がある。
【0052】
加熱ワイヤー4に接続された母線の第2の対7は、一般にワイパーレスト領域でウインドシールド1の底部に向かって位置する。母線の第2の対7は、車両の接地(図示せず)に接続される。母線の第1および第2の対6、7は、グレイジングの上部および底部端部と実質的に平行に延在する。
【0053】
母線の第1および第2の対は、第1の母線11および第2の母線12を含む。このような特定の実施形態において、母線11、12は、金属ストリップ製である。積層集積ガラスから出るコネクター8により、母線が外部電力供給に接続することが可能となる。
【0054】
グレイジングパネルの1つの側面のみで電気接続が必要とされる場合、母線11、12は、所望の接続位置に到達するように熱可塑性中間層(例えば、PVB)の側面上で延在することが可能である。3つ以上のコネクターを使用することができる。
【0055】
本発明によると、第1の母線11および第2の母線12は、熱可塑性中間層上に配置される。
【0056】
したがって、好ましい実施形態において、ワイヤー端部4における電気接続は、異なる電気素子の重層で構成され、すなわち(i)PVB5に固定された第1の母線11、(ii)細い加熱ワイヤー4、(iii)積層アセンブリの外部の接続のための電気コネクター8、(iv)第2の母線12から構成される。2つの母線は、同一または異なる幅を有し得る。第1の母線と第2の母線との間のワイヤーの良好な電気接続を保証するために2mmの最小幅が好ましい。
【0057】
コネクター8は、第2の母線12の上部に配置され得る。低融点はんだ層は、加熱ワイヤー4に面する第1の母線11の上部表面上または第2の母線12の底部表面上に適用され得る。
【0058】
したがって、本発明の特定の実施形態として、この場合にはPVBである熱可塑性中間層5に接触する第1の母線11は、種々の種類のものであり得、したがって例えば低融点であるかまたは低融点ではないスズベースの合金によって部分的にまたは全体的に被覆された銅金属ストライプからなり、かつPVBと接触する側面において適用された接着剤ストリップによるホットメルトによってPVB上に固定され得る。したがって、第1の母線11は、中間層材料のプライ5上に配置され、および加熱ワイヤー4の配列は、第1の母線11上に配置される。
【0059】
第2の母線は、種々の種類:(i)スズベースの合金によって包囲され、かつ150℃未満の溶融温度を有する低融点合金15によって1つの側面上で被覆された銅ストリップ12、(ii)150℃未満の溶融温度を有する低融点合金15によって包囲された銅ストライプ12、(iii)150℃未満の溶融温度を有する低融点合金15によって1つの側面上で被覆された銅ストライプ12から製造され得る。
【0060】
本発明の一実施形態によると、第2の母線12は、加熱ワイヤー4上に配置され、アセンブリ21が形成される。図2に示されるように、PVBなどの熱可塑性中間層5は、グレイジング2の第1のプライ/シート上に配置され、およびグレイジング材料3の第2のプライ/シートは、第2の母線12上に配置される。本発明の一実施形態によると、第2の母線12は、低融点層15上に貼り付けられた接着剤ストライプ17の層から構成される。接着剤ストリップ17は、母線の一部において母線長さの全てに沿って、第1の母線11に面する母線ストリップ12の側面上に配置される。これは、はんだ付け合金が幅の一部において被覆されないままであることを意味する。
【0061】
低融点はんだ層15は、2つの役割を果たす:第1に加熱ワイヤーと母線との間の電気接続を改善させること、および第2に加熱ワイヤー4の周囲の間隙を充填し、湿分潜入を防ぐことである。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、接着剤ストリップ17は、母線の1つの側面または2つの側面上に配置され得るが、いずれの場合でも、被覆されていない低融点合金15の最小の残存する幅は、加熱ワイヤー4と母線11、12との間の良好な電気接続を保証するために2ミリメートルより高くなければならない。
【0063】
低融点合金15のストリップの使用の場合、接着剤17は、合金に接触することができるかまたはできない。
【0064】
1つの側面上に接着剤ストリップ17がある場合、接着剤は、PVB縁部5に関して内側または外側に配置され得る。
【0065】
したがって、本発明によると、熱可塑性中間層5のプライ、特に現在使用されるPVB中間層上に加熱ワイヤー4を配置するプロセスは、第2の母線12の固定の段階まで同一のままである。本発明により、第2の母線は、第1の母線11上に貼り付けられる。次いで、ガラスの積層のために、電気回路を有するPVBシートを貯蔵することが可能である。
【0066】
電力供給は、電極としての役割を果たす外部ワイヤーを使用して積層グレイジングに接続される。陽極は、母線の第1の対に接続され、および陰極は、母線の第2の対に接続される。補助母線が使用され得ることが理解される。側面/側壁母線が使用され得ることが理解される。したがって、積層グレイジングは、電気的に加熱され得る。
【0067】
したがって、本発明の加熱可能なグレイジングは、グレイジングが必要とされる全ての部位における用途を有する。その使用は、それらに限定されないが、それらは、車両、特に路上走行車において特定の応用が見出された。例えば、船、列車および航空機の窓にも応用が存在する。
図1
図2
図3