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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/02 20060101AFI20220928BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20220928BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
F25D11/02 J
F25D17/06 313
F25D17/06 308
F25D23/00 302D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019002582
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020112294
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】阪井田 佳信
(72)【発明者】
【氏名】鷲▲崎▼ 翼
(72)【発明者】
【氏名】真下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 孝仁
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036853(JP,A)
【文献】特開平01-200174(JP,A)
【文献】特開2001-311575(JP,A)
【文献】特表2002-504661(JP,A)
【文献】特開平10-047827(JP,A)
【文献】特開平03-207975(JP,A)
【文献】特開2013-113526(JP,A)
【文献】特開2004-286393(JP,A)
【文献】特開平07-198242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/02
F25D 17/06
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室内に設けられる特別冷却室と、
前記特別冷却室内の冷却を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記特別冷却室内を冷却する冷却モードとして、
前記特別冷却室内を通常温度帯に冷却する通常冷却モードと、
前記特別冷却室内を前記通常冷却モードにおける通常温度帯よりも低い低温度帯に冷却する強冷却モードと、
前記特別冷却室内を前記強冷却モードにおける低温度帯よりもさらに低い特別温度帯に冷却する特別冷却モードと、
を実行可能であり、
前記特別冷却モードにおいて前記特別冷却室内の冷却を停止する温度として、前記強冷却モードにおいて前記特別冷却室内の冷却を停止する温度よりも低い温度が設定されており、
前記特別冷却モードにおける前記特別冷却室内の温度を、前記強冷却モードにおける前記特別冷却室内の温度よりも緩やかに下降させる制御を行う冷蔵庫。
【請求項2】
前記特別冷却室内に冷気を送風するファンを備え、
前記制御手段は、前記特別冷却モードにおける前記ファンの回転速度を、前記強冷却モードにおける前記ファンの回転速度よりも低くする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
所定領域の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記特別冷却モードでは、前記温度検知手段が検知する温度に関わらず前記ファンを一定の回転速度で駆動し、
前記強冷却モードでは、前記温度検知手段が検知する温度に応じて前記ファンの回転速度を変化させる請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
所定領域の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記特別冷却モードでは、前記強冷却モードにおける前記ファンの回転速度よりも低い回転速度において、前記温度検知手段が検知する温度に応じて前記ファンの回転速度を変化させる請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記ファンが送風する冷気を前記特別冷却室の底面に案内する案内手段を備える請求項からの何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記制御手段は、前記特別冷却室内に湿気を供給するうるおいモードを実行可能であり、
前記うるおいモードにおける前記ファンの回転速度を、前記特別冷却モードにおける前記ファンの回転速度よりも高くする請求項からの何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷蔵室の内部にチルド室を設けた冷蔵庫が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-102320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷蔵庫において例えばチルド室などの特別冷却室の内部には、例えば肉類などの生鮮食品類が貯蔵される。そのため、特別冷却室の内部を、このような生鮮食品類の貯蔵に適した低温度に冷却する技術の提供が求められている。
【0005】
そこで、本実施形態は、チルド室などのような特別冷却室の内部を一層低温度に冷却できるようにした冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る冷蔵庫は、冷蔵室内に設けられる特別冷却室と、前記特別冷却室内の冷却を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記特別冷却室内を冷却する冷却モードとして、前記特別冷却室内を通常温度帯に冷却する通常冷却モードと、前記特別冷却室内を前記通常冷却モードにおける通常温度帯よりも低い低温度帯に冷却する強冷却モードと、前記特別冷却室内を前記強冷却モードにおける低温度帯よりもさらに低い特別温度帯に冷却する特別冷却モードと、を実行可能であり、前記特別冷却モードにおいて前記特別冷却室内の冷却を停止する温度として、前記強冷却モードにおいて前記特別冷却室内の冷却を停止する温度よりも低い温度が設定されており、前記特別冷却モードにおける前記特別冷却室内の温度を、前記強冷却モードにおける前記特別冷却室内の温度よりも緩やかに下降させる制御を行う
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す正面図
図2】本実施形態に係るチルド室およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断側面図
図3】本実施形態に係る冷蔵庫の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
図4】本実施形態に係る特別チルドモードの制御例を他の制御モードと比較して示す図(その1)
図5】本実施形態に係る冷蔵庫の外気の温度の検知手法の一例を概略的に示す図
図6】本実施形態に係る特別チルドモードによるチルド室内の温度変化を他の制御モードによるチルド室内の温度変化と比較して示す図
図7】本実施形態に係る特別チルドモードと他の制御モードとが同時に選択された場合における動作例を概略的に示す図(その1)
図8】本実施形態に係る特別チルドモードと他の制御モードとが同時に選択された場合における動作例を概略的に示す図(その2)
図9】本実施形態に係る特別チルドモードと他の制御モードとが同時に選択された場合における動作例を概略的に示す図(その3)
図10】本実施形態に係る特別チルドモードと他の制御モードとが同時に選択された場合における動作例を概略的に示す図(その4)
図11】本実施形態に係る特別チルドモードの制御例を他の制御モードと比較して示す図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する冷蔵庫1は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体2の内部に複数の貯蔵室、この場合、冷蔵室3、野菜室4、製氷室5、小冷凍室6、大冷凍室7を備えている。この場合、冷蔵室3は、断熱箱体2の最上部に設けられている。野菜室4は、冷蔵室3の下部に設けられている。製氷室5および小冷凍室6は、野菜室4の下部において左右に並べて設けられている。大冷凍室7は、製氷室5および小冷凍室6の下部、換言すれば、断熱箱体2の最下部に設けられている。断熱箱体2は、内箱および外箱の間に真空断熱パネルや発泡ウレタンなどの断熱材を備えた構成である。また、複数の貯蔵室3,4,5,6,7は、それぞれ貯蔵室扉によって開閉されるようになっている。
【0009】
また、冷蔵室3の内部、この場合、底部には特別冷却室の一例であるチルド室10が設けられている。次に、このチルド室10およびその周辺部分の構成例について説明する。図2に例示するように、冷蔵室3内の後部には上下方向に延びる冷気ダクト11が設けられている。冷気ダクト11の上部には、複数の冷蔵室用冷気吹出口11aが設けられている。また、冷気ダクト11の下部には、冷蔵庫1の前方側である冷蔵室3内側に膨出した冷却室12が設けられている。チルド室10は、冷蔵室3内において、この冷却室12の前方に位置して設けられている。
【0010】
冷却室12の前面の上部には、チルド室用冷気吹出口12aが設けられている。また、冷却室12の前面の下部には、チルド室用冷気吸込口12bが設けられている。チルド室用冷気吹出口12aには、冷蔵庫1の前方側であるチルド室10内側に突出する案内部12cが設けられている。案内部12cは、案内手段の一例であり、この場合、チルド室10内の底面に向かって下降傾斜する板状に設けられている。また、冷蔵庫1は、チルド室用冷気吹出口12aおよびチルド室用冷気吸込口12bにダンパを備えていない構成となっている。なお、冷蔵庫1は、チルド室用冷気吹出口12aおよびチルド室用冷気吸込口12bにダンパを備える構成としてもよい。
【0011】
冷却室12の内面には、例えば発泡ウレタンなどにより構成される断熱材12dが取り付けられている。また、冷却室12内には、冷気を生成するための冷凍サイクルを構成する冷却器13、および、この冷却器13が生成する冷気を送風するファン14が備えられている。このファン14が駆動することにより、冷却器13が生成する冷気は、冷気ダクト11の冷蔵室用冷気吹出口11aから冷蔵室3内に供給され、また、冷却室12のチルド室用冷気吹出口12aからチルド室10内に供給される。このとき、ファン14が送風する冷気は、チルド室用冷気吹出口12aから案内板12cによって案内されて、チルド室10の底面に向かうように流れるようになる。また、チルド室10内に供給された冷気は、ファン14の送風作用により、冷却室12のチルド室用冷気吸込口12bから冷却室12内に吸い込まれるようになっている。
【0012】
本開示に係る冷蔵庫1においては、チルド室10内には、複数、この場合、2つの収容容器21,22が上下に配置されている。これら収容容器21,22は、それぞれ別個にチルド室10内から冷蔵庫1の前後方向に沿って出し入れ可能となっている。
【0013】
次に、冷蔵庫1の制御系の構成例について説明する。図3に例示する制御装置30は、制御手段の一例である。制御装置30は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定内容に基づき冷蔵庫1の動作全般を制御する。制御装置30には、上述したファン14が接続されている。また、制御装置30には、外気温度センサ31、チルド室用温度センサ32、表示パネル33、冷凍サイクルを構成するコンプレッサ34などが接続されている。
【0014】
外気温度センサ31は、温度検知手段の一例であり、冷蔵庫1に関わる所定領域の温度を検知するものである。本開示に係る冷蔵庫1では、外気温度センサ31は、冷蔵庫1に関わる所定領域として、この場合、冷蔵庫1の外気の温度、つまり、冷蔵庫1の周辺の温度を検知するようになっている。外気温度センサ31は、冷蔵庫1の外気の温度を検知可能な部位に設けるとよく、例えば、断熱箱体2の外面などに設けるとよい。チルド室用温度センサ32は、例えばチルド室10の内部に設けられており、チルド室10内の温度を検知する。
【0015】
表示パネル33は、報知手段の一例であり、例えば、冷蔵室3を開閉する冷蔵室扉の前面に設けられている。表示パネル33は、選択されている制御モードを例えば文字情報やアイコン情報などにより表示可能に構成されている。また、表示パネル33は、例えば静電容量式のタッチスイッチを備えており、使用者の操作を受け付ける操作部としても機能するようになっている。
【0016】
コンプレッサ34は、上述した冷却器13や図示しない凝縮器とともに、冷気を生成するための周知の冷凍サイクルを構成している。
【0017】
制御装置30は、制御プログラムや表示パネル33を介して入力された各種の設定内容に基づいて、ファン14やコンプレッサ34などの駆動を制御することにより、冷蔵室3などの各種の貯蔵室の内部をそれぞれ設定温度に冷却する。そして、本開示に係る冷蔵庫1は、特に、チルド室10内の冷却制御について創意工夫が施されている。次に、そのチルド室10内の冷却制御例について詳細に説明する。
【0018】
制御装置30は、チルド室10内を冷却する冷却モードとして、複数種類の冷却モード、この場合、少なくとも、通常冷却モード、強冷却モード、特別チルドモードを実行可能に構成されている。
【0019】
通常冷却モードは、チルド室10内を所定の通常温度帯に冷却する冷却モードである。なお、通常冷却モードにおける通常温度帯は、適宜変更して設定することができる。
【0020】
強冷却モードは、チルド室10内を通常冷却モードにおける通常温度帯よりも低い低温度帯に冷却する冷却モードである。なお、強冷却モードにおける低温度帯は、通常冷却モードにおける通常温度帯よりも低い温度帯において適宜変更して設定することができる。
【0021】
特別チルドモードは、特別冷却モードの一例であり、チルド室10内を通常冷却モードにおける通常温度帯および強冷却モードにおける低温度帯よりもさらに低い特別温度帯に冷却する冷却モードである。なお、特別チルドモードにおける特別温度帯は、強冷却モードにおける低温度帯よりも低い温度帯において適宜変更して設定することができる。
【0022】
次に、上述した強冷却モードおよび特別チルドモードについて、図4を参照しながら説明する。
【0023】
強冷却モードは、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になると冷却動作が開始され、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になると冷却動作が終了される冷却モードである。この場合、所定の開始温度の一例として3.0℃、所定の終了温度の一例として1.0℃が設定されている。なお、強冷却モードにおける所定の開始温度および所定の終了温度は、適宜変更して設定することができる。
【0024】
以上の通り、強冷却モードにおける冷却動作の開始条件は、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になることであり、強冷却モードにおける冷却動作の終了条件は、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になることである。
【0025】
また、強冷却モードは、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合には、ファン14の回転速度を所定の低ランク回転速度に変化させ、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合には、ファン14の回転速度を所定の中ランク回転速度に変化させ、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合には、ファン14の回転速度を所定の高ランク回転速度に変化させる冷却モードである。この場合、所定の低ランク回転速度の一例として1000rpm、所定の中ランク回転速度の一例として1500rpm、所定の高ランク回転速度の一例として2000rpmが設定されている。なお、強冷却モードにおける所定の低ランク回転速度、所定の中ランク回転速度、所定の高ランク回転速度は、適宜変更して設定することができる。
【0026】
以上の通り、強冷却モードは、冷蔵庫1の外気の温度RTに応じて、ファン14の回転速度を段階的に変化させる冷却モードとなっている。
【0027】
一方、特別チルドモードは、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合と所定の中ランク温度である場合と所定の高ランク温度である場合とで、特別チルドモードにおける冷却動作の終了条件を変化させる冷却モードとなっている。ここで、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合は、第1段階の一例であり、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合は、第2段階の一例であり、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合は、第3段階の一例である。つまり、第3段階は、冷蔵庫1の外気の温度RTが第2段階および第1段階よりも高い場合であり、第2段階は、冷蔵庫1の外気の温度RTが第1段階よりも高い場合である。
【0028】
なお、図5に例示するように、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合とは、符号Taで例示するように外気の温度RTが例えば11℃よりも低い温度から上昇している状況では当該外気の温度RTが例えば13℃以下である場合のことであり、符号Tbで例示するように外気の温度RTが例えば13℃よりも高い温度から下降している状況では当該外気の温度RTが例えば11℃以上である場合のことである。なお、この場合、外気の温度RTが例えば11℃よりも低い温度から上昇して変動する場合であっても、低ランク温度と判定される。また、外気の温度RTが例えば13℃よりも高い温度から下降して変動する場合は、中ランク温度と判定される。また、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合とは、符号Tcで例示するように外気の温度RTが例えば13℃よりも低い温度から上昇している状況では当該外気の温度RTが例えば26℃以下である場合のことであり、符号Tdで例示するように外気の温度RTが例えば26℃よりも高い温度から下降している状況では当該外気の温度RTが例えば13℃以上である場合のことである。なお、この場合、外気の温度RTが13℃から26℃の間で変動する場合であっても、中ランク温度と判定される。また、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合とは、符号Teで例示するように外気の温度RTが例えば26℃よりも低い温度から上昇している状況では当該外気の温度RTが例えば28℃以下である場合のことであり、符号Tfで例示するように外気の温度RTが例えば28℃よりも高い温度から下降している状況では当該外気の温度RTが例えば26℃以上である場合のことである。なお、この場合、外気の温度RTが例えば28℃よりも高い温度から下降して変動する場合であっても、高ランク温度と判定される。また、外気の温度RTが例えば26℃よりも低い温度から上昇して変動する場合は、中ランク温度と判定される。
【0029】
つまり、外気の温度RTが上昇している状況においては、当該外気の温度RTが例えば13℃以下である場合は低ランク温度と判定され、当該外気の温度RTが例えば26℃以下である場合は中ランク温度と判定され、当該外気の温度RTが例えば28℃以下である場合は高ランク温度と判定される。また、外気の温度RTが下降している状況においては、当該外気の温度RTが例えば11℃以上である場合は低ランク温度と判定され、当該外気の温度RTが例えば13℃以上である場合は中ランク温度と判定され、当該外気の温度RTが例えば26℃以上である場合は高ランク温度と判定される。
【0030】
つまり、制御装置30は、冷蔵庫1の外気の温度RTが上昇する場合と下降する場合とで、それぞれ異なる基準温度との比較に基づき特別チルドモードの冷却動作を終了する終了条件を変化させるようになっている。なお、図5に例示する複数の基準温度は、あくまでも一例であり、例えば、冷蔵庫1の機種、冷蔵室3の容量、チルド室10の容量などに応じて適宜変更して設定することができる。
【0031】
そして、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合には、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になると特別チルドモードの冷却動作が開始され、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になると特別チルドモードの冷却動作が終了される。この場合、所定の開始温度の一例として3.0℃、所定の終了温度の一例として-1.0℃が設定されている。なお、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合の特別チルドモードにおける冷却動作の所定の開始温度および所定の終了温度は、適宜変更して設定することができる。
【0032】
以上の通り、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合における特別チルドモードの冷却動作の開始条件は、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になることであり、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の低ランク温度である場合における特別チルドモードの冷却動作の終了条件は、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になることである。
【0033】
また、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合には、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になると特別チルドモードの冷却動作が開始され、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になると特別チルドモードの冷却動作が終了される。この場合、所定の開始温度の一例として3.0℃、所定の終了温度の一例として-2.0℃が設定されている。なお、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合の特別チルドモードにおける冷却動作の所定の開始温度および所定の終了温度は、適宜変更して設定することができる。
【0034】
以上の通り、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合における特別チルドモードの冷却動作の開始条件は、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になることであり、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の中ランク温度である場合における特別チルドモードの冷却動作の終了条件は、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になることである。
【0035】
また、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合には、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になると特別チルドモードの冷却動作が開始され、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になると特別チルドモードの冷却動作が終了される。この場合、所定の開始温度の一例として3.0℃、所定の終了温度の一例として0.0℃が設定されている。なお、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合の特別チルドモードにおける冷却動作の所定の開始温度および所定の終了温度は、適宜変更して設定することができる。
【0036】
以上の通り、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合における特別チルドモードの冷却動作の開始条件は、チルド室10内の温度が所定の開始温度以上になることであり、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定の高ランク温度である場合における特別チルドモードの冷却動作の終了条件は、チルド室10内の温度が所定の終了温度以下になることである。
【0037】
また、特別チルドモードによれば、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、冷却動作を開始する所定の開始温度として同じ温度、この場合、3.0℃が設定されている。なお、特別チルドモードは、冷蔵庫1の外気の温度RTに応じて、冷却動作を開始する所定の開始温度を変化させるようにしてもよい。
【0038】
また、特別チルドモードによれば、冷蔵庫1の外気の温度RTに応じて、冷却動作を終了する所定の終了温度を変化させるようにしている。なお、特別チルドモードは、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、冷却動作を終了する所定の終了温度として同じ温度を設定するようにしてもよい。また、特別チルドモードは、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、冷却動作を終了する所定の終了温度として、強冷却モードにおける冷却動作の所定の終了温度よりも低い温度を設定するようにしている。
【0039】
また、特別チルドモードは、冷蔵庫1の外気の温度RTに関わらず、ファン14の回転速度を一定の回転速度で駆動する。この場合、一定の回転速度として900rpmが設定されている。つまり、制御装置30は、特別チルドモードにおけるファン14の回転速度を、強冷却モードにおけるファン14の回転速度よりも低くするようにしている。
【0040】
以上の通り、制御装置30は、冷蔵庫1の外気の温度RTに応じて、特別チルドモードにおける冷却動作を終了する終了条件を第1段階、第2段階、第3段階の3段階で変化させる。そして、第2段階における冷却動作の終了条件として設定されるチルド室10内の温度、この場合、-2.0℃は、第1段階における冷却動作の終了条件として設定されるチルド室10内の温度、この場合、-1.0℃よりも低くなっている。また、第3段階における冷却動作の終了条件として設定されるチルド室10内の温度、この場合、0.0℃は、第2段階における冷却動作の終了条件として設定されるチルド室10内の温度、この場合、-2.0℃よりも高くなっている。
【0041】
また、制御装置30は、さらに、うるおいモードを実行可能に構成されている。うるおいモードは、チルド室10内に湿気を供給する制御モードであり、この場合、冷却器13に付着した霜をファン14の送風作用によって吹き飛ばしてチルド室10内に供給する制御モードとなっている。そして、制御装置30は、このうるおいモードにおけるファン14の回転速度を、特別チルドモードにおけるファン14の回転速度、この場合、900rpmよりも高くする。この場合、制御装置30は、うるおいモードにおけるファン14の回転速度を、例えば1800rpmで設定している。
【0042】
なお、うるおいモードの動作を開始する開始条件および動作を終了する終了条件は、適宜変更して設定することができる。例えば、うるおいモードの動作を開始する開始条件は、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定温度以上になった場合、図示しない湿度センサにより検知される湿度が所定湿度以下になった場合、ユーザによりうるおいモードの開始が入力された場合などを設定することができる。また、うるおいモードの動作を終了する終了条件は、冷蔵庫1の外気の温度RTが所定温度以下になった場合、図示しない湿度センサにより検知される湿度が所定湿度以上になった場合、ユーザによりうるおいモードの終了が入力された場合などを設定することができる。
【0043】
また、図6に例示するように、制御装置30は、上述したように特別チルドモードの開始条件、終了条件、ファン14の回転速度、コンプレッサ34の出力などを制御することにより、特別チルドモードにおけるチルド室10内の温度TPを、強冷却モードにおけるチルド室10内の温度TQよりも緩やかに下降させるようになっている。また、制御装置30は、上述したように特別チルドモードの開始条件、終了条件、ファン14の回転速度、コンプレッサ34の出力などを制御することにより、特別チルドモードにおけるチルド室10内の温度TPを、強冷却モードにおけるチルド室10内の温度TQよりも緩やかに上昇させるようになっている。なお、コンプレッサ34の出力制御は、例えば、低出力、中出力、高出力といった多段階で出力レベルを適宜切り替えることにより制御するとよい。
【0044】
また、制御装置30は、特別チルドモードと当該特別チルドモードとは異なる他の制御モードとが同時に選択された場合には、例えば次のように動作するように構成されている。なお、以下の説明において、他の制御モードとして例示する急速冷蔵モード、解凍モード、急速冷凍モードは、何れも、当該モードが選択された場合に一時的に実行される制御モードである。これに対して、特別チルドモードは、いったん選択されると、ある程度の長い時間をかけて継続的あるいは永続的に実行される制御モードである。つまり、制御装置30は、特別チルドモードの実行時間を、他の制御モードの実行時間よりも長くする構成となっている。また、特別チルドモードや他の制御モードの選択は、例えば、冷蔵庫1に設けられている操作部を介したユーザによる操作入力に基づいて選択することができ、また、制御プログラムや各種の設定内容に基づき制御装置30が選択することも可能である。冷蔵庫1の操作部は、例えば、貯蔵室扉の前面、この場合、冷蔵室3を開閉する冷蔵室扉の前面に設けられている。
【0045】
(特別チルドモードの実行中に急速冷蔵モードが選択された場合について)
以下、特別チルドモードの実行中に、当該特別チルドモードとは異なる他の制御モードとして急速冷蔵モードが選択された場合について説明する。急速冷蔵モードは、ファン14の回転速度やコンプレッサ34の出力を高めることにより、冷蔵室3内を急速に冷却する制御モードである。この急速冷蔵モードによれば、冷蔵室3内が急速に冷却されることに伴い、当該冷蔵室3内に設けられているチルド室10内も間接的に冷却することができる。つまり、この急速冷蔵モードは、チルド室10内を冷却するための冷却モードでもある。また、この急速冷蔵モードの実行時間は、この場合、2時間で設定されている。
【0046】
図7に例示するように、制御装置30は、他の制御モードが選択されていない状態で特別チルドモードが選択された場合には、当該特別チルドモードの実行を開始する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0047】
そして、制御装置30は、特別チルドモードの実行中に急速冷蔵モードが選択されると、当該特別チルドモードの実行を中断して急速冷蔵モードの実行を開始する。これにより、冷蔵室3内が冷蔵用の強レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示するとともに、急速冷蔵モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。つまり、制御装置30は、急速冷蔵モードの実行中に、特別チルドモードが選択されていること、および、急速冷蔵モードが選択されていることを示す情報を表示パネル33による表示を介して使用者に報知する。
【0048】
そして、制御装置30は、急速冷蔵モードを終了すると、特別チルドモードの実行を再開する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、急速冷蔵モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などの表示を停止して、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0049】
(特別チルドモードの実行中に解凍モードが選択された場合について)
以下、特別チルドモードの実行中に、当該特別チルドモードとは異なる他の制御モードとして解凍モードが選択された場合について説明する。解凍モードは、チルド室10内の冷却を停止あるいは弱めることでチルド室10内の貯蔵物を解凍するための制御モードである。この解凍モードは、チルド室10内の冷却が停止あるいは弱められることに伴い、チルド室10内の温度が上昇する制御モードとなっている。また、この解凍モードの実行時間は、この場合、1時間で設定されている。
【0050】
図8に例示するように、制御装置30は、他の制御モードが選択されていない状態で特別チルドモードが選択された場合には、当該特別チルドモードの実行を開始する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0051】
そして、制御装置30は、特別チルドモードの実行中に解凍モードが選択されると、当該特別チルドモードの実行を中断して解凍モードの実行を開始する。これにより、チルド室10内の冷却が停止あるいは弱められ、チルド室10内の温度が例えば6.0℃程度に上昇する。また、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示するとともに、解凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。つまり、制御装置30は、解凍モードの実行中に、特別チルドモードが選択されていること、および、急速冷蔵モードが選択されていることを示す情報を表示パネル33による表示を介して使用者に報知する。
【0052】
そして、制御装置30は、解凍モードを終了すると、特別チルドモードの実行を再開する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、解凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などの表示を停止して、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0053】
(特別チルドモードの実行中に急速冷凍モードが選択された場合について)
以下、特別チルドモードの実行中に、当該特別チルドモードとは異なる他の制御モードとして急速冷凍モードが選択された場合について説明する。急速冷凍モードは、図示しない冷凍用のファンの回転速度やコンプレッサ34の出力を高めて図示しない冷凍用の冷却器による冷却作用を高めることにより、冷凍室7内を急速に冷却する制御モードである。また、この急速冷凍モードの実行時間は、この場合、3時間で設定されている。
【0054】
図9に例示するように、制御装置30は、他の制御モードが選択されていない状態で特別チルドモードが選択された場合には、当該特別チルドモードの実行を開始する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0055】
そして、制御装置30は、特別チルドモードの実行中に急速冷凍モードが選択されると、当該特別チルドモードの実行を中断して急速冷凍モードの実行を開始する。これにより、冷凍室7内が冷凍用の強レベルで冷却され、このとき、冷蔵室3内は、例えば3.0℃程度あるいは4.0℃程度の温度に維持される。また、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示するとともに、急速冷凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。つまり、制御装置30は、急速冷凍モードの実行中に、特別チルドモードが選択されていること、および、急速冷蔵モードが選択されていることを示す情報を表示パネル33による表示を介して使用者に報知する。
【0056】
そして、制御装置30は、急速冷凍モードを終了すると、特別チルドモードの実行を再開する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、急速冷凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などの表示を停止して、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0057】
(急速冷凍モードの実行中に特別チルドモードが選択された場合について)
以下、特別チルドモードとは異なる他の制御モードの一例である急速冷凍モードの実行中に特別チルドモードが選択された場合について説明する。
【0058】
図10に例示するように、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていない状態で急速冷凍モードが選択された場合には、当該急速冷凍モードの実行を開始する。これにより、冷凍室7内が冷凍用の強レベルで冷却され、このとき、冷蔵室3内は、例えば3.0℃程度あるいは4.0℃程度の温度に維持される。また、制御装置30は、急速冷凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0059】
そして、制御装置30は、急速冷凍モードの実行中に特別チルドモードが選択されると、特別チルドモードを開始することなく、そのまま急速冷蔵モードの実行を継続する。このとき、制御装置30は、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示するとともに、急速冷凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。つまり、制御装置30は、急速冷凍モードの実行中に、特別チルドモードが選択されていること、および、急速冷凍モードが選択されていることを示す情報を表示パネル33による表示を介して使用者に報知する。
【0060】
そして、制御装置30は、急速冷蔵モードを終了すると、特別チルドモードの実行を開始する。これにより、チルド室10内がチルド用の特別レベルで冷却され、例えば1.0℃程度の低温に冷却される。また、制御装置30は、急速冷凍モードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などの表示を停止して、特別チルドモードが選択されていることを示す文字情報またはアイコン情報などを表示パネル33に表示する。
【0061】
また、本出願の発明者による検証結果によれば、上述した特別チルドモードにより、チルド室10内の貯蔵物、例えば、肉類の旨味成分が大幅に増加することが確認されている。具体的には、チルド室10内に肉類を収容し、上述の特別チルドモードを7日間継続した場合に、肉類に含まれるグルタミン酸が36パーセント程度増加したことが確認されている。
【0062】
本開示に係る冷蔵庫1によれば、特別チルドモードにおいてチルド室10内の冷却を停止する温度として、強冷却モードにおいてチルド室10内の冷却を停止する温度よりも低い温度が設定されている。このような特別チルドモードによれば、従来の強冷却モードよりもチルド室10内を一層低温度に冷却することができ、例えば肉類などの生鮮食品類を適切に冷却することができる。
【0063】
また、冷蔵庫1によれば、特別チルドモードにおけるチルド室10内の温度を、従来の強冷却モードにおけるチルド室10内の温度よりも緩やかに下降させることができる。そのため、チルド室10内の貯蔵物の温度が低下する場合には、その温度低下を緩やかにすることができ、温度低下に伴い貯蔵物が傷んでしまうことを抑制することができる。
【0064】
また、冷蔵庫1によれば、特別チルドモードにおけるチルド室10内の温度を、従来の強冷却モードにおけるチルド室10内の温度よりも緩やかに上昇させることができる。そのため、チルド室10内の貯蔵物の温度が上昇する場合には、その温度上昇を緩やかにすることができ、温度上昇に伴い貯蔵物が傷んでしまうことを抑制することができる。
【0065】
また、冷蔵庫1によれば、特別チルドモードにおけるファン14の回転速度を、強冷却モードにおけるファン14の回転速度よりも低くする。このような特別チルドモードによれば、チルド室10内の貯蔵物に吹き付けられる冷気の勢いを弱めることができ、冷却に伴い貯蔵物が傷んでしまうことを抑制することができる。
【0066】
また、冷蔵庫1によれば、従来の強冷却モードでは、冷蔵庫1の外気の温度に応じてファン14の回転速度を変化させるのに対し、特別チルドモードでは、冷蔵庫1の外気の温度に関わらずファン14を一定の回転速度で駆動する。つまり、ファン14の回転速度が高すぎると、チルド室10内に冷気が入りにくくなるおそれがある。そのため、特別チルドモードにおけるファン14の回転速度を冷蔵庫1の外気の温度に関わらず一定の回転速度とすることにより、冷蔵庫1の外気の温度がどのような状況であっても、チルド室10内に良好に冷気を供給することができる。
【0067】
また、冷蔵庫1によれば、ファン14が送風する冷気を、案内部12cによってチルド室10の底面に案内する。この構成によれば、貯蔵物が載置されるチルド室10の底面上に向かって冷気を効率良く供給することができ、貯蔵物の冷却を一層良好にすることができる。
【0068】
また、冷蔵庫1によれば、うるおいモードにおけるファン14の回転速度を、特別チルドモードにおけるファン14の回転速度よりも高くする。つまり、うるおいモードにおけるファン14の回転速度を、ある程度の高い回転速度とすることにより、冷却器13に付着した霜を効率良く吹き飛ばしてチルド室10内に供給することができ、チルド室10内の湿気を十分に維持することができる。
【0069】
また、冷蔵庫1によれば、特別チルドモードの実行中に当該特別チルドモードとは異なる他の制御モードが選択されると、特別チルドモードの実行を中断して他の制御モードを実行し、他の制御モードを終了すると特別チルドモードの実行を再開する。また、冷蔵庫1によれば、特別チルドモードとは異なる他の制御モードの実行中に特別チルドモードが選択されると、他の制御モードを終了してから特別チルドモードの実行を開始する。つまり、冷蔵庫1によれば、チルド室10内を冷却する特別チルドモードと他の制御モードとが同時に選択された場合には、他の制御モードを優先するようにした。
【0070】
ここで、特別チルドモードは、いったん選択されると、ある程度の長い時間をかけて継続的あるいは永続的に実行される制御モードである。これに対して、他の制御モードは、選択された場合に一時的に実行される制御モードである。そのため、特別チルドモードと他の制御モードとが同時に選択された場合に、一時的に実行される制御モードの実行を優先することにより、他の制御モードを完了させつつ、その後に特別チルドモードを実行することができ、使用者の利便性を損なってしまうことを抑制することができる。
【0071】
また、他の制御モードの一例である急速冷蔵モードは、チルド室10内を冷却する冷却モードでもある。そのため、他の制御モードの実行中においてもチルド室10内を冷却することができ、チルド室10内の貯蔵物の温度が上昇してしまうことを抑制することができる。
【0072】
また、他の制御モードの一例である解凍モードは、チルド室10内の温度が上昇する制御モードである。そのため、このような制御モードを優先して先に実行し、その後に、特別チルドモードを実行することにより、チルド室10内の温度上昇を抑制しつつ良好に冷却することができる。
【0073】
また、冷蔵庫1は、他の制モードの実行中に、特別チルドモードが選択されていること、および、他の制御モードが選択されていることを報知する。この構成によれば、使用者は、特別チルドモードが待機状態であることを確認することができ、例えば特別チルドモードを再選択するための操作といった無用な操作を使用者が行ってしまうことを抑制することができる。
【0074】
また、冷蔵庫1によれば、特別チルドモードの実行時間を、他の制御モードの実行時間よりも長くしている。つまり、特別チルドモードは、ある程度の長い時間をかけて継続的あるいは永続的に実行される制御モードである。そのため、このような特別チルドモードの優先度を他の制御モードの優先度よりも低くすることにより、一時的に実行が求められている他の制御モードの実行を優先することができ、使用者の利便性が損なわれてしまうことを抑制することができる。
【0075】
また、冷蔵庫1によれば、冷蔵庫1の外気の温度に応じて、この場合、特別チルドモードを終了する終了条件を変化させる。ここで、外気の温度が高いほど、冷気を生成する冷凍サイクルのコンプレッサ34が円滑に動作するようになるため、チルド室10内が必要以上に冷却されて貯蔵物が凍結してしまうおそれがある。一方、外気の温度が低いほど、チルド室10内が冷却されやすくなるため、チルド室10内が必要以上に冷却されて貯蔵物が凍結してしまうおそれがある。そのため、冷蔵庫1の外気の温度に応じて、特別チルドモードを終了する終了条件を変化させることにより、チルド室10内が必要以上に冷却されてしまうことを抑制できる。
【0076】
また、冷蔵庫1によれば、第2段階、つまり、冷蔵庫1の外気の温度が所定の中ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件として設定されるチルド室10内の温度を、第1段階、つまり、冷蔵庫1の外気の温度が所定の低ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件として設定されるチルド室10内の温度よりも低く設定した。また、第3段階、つまり、冷蔵庫1の外気の温度が所定の高ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件として設定されるチルド室10内の温度を、第2段階、つまり、冷蔵庫1の外気の温度が所定の中ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件として設定されるチルド室10内の温度よりも高くした。
【0077】
つまり、冷蔵庫1によれば、冷蔵庫1の外気の温度が所定の中ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件の温度が、冷蔵庫1の外気の温度が所定の低ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件の温度、および、冷蔵庫1の外気の温度が所定の低ランク温度である場合における特別チルドモードの終了条件の温度よりも低い温度となっている。
【0078】
よって、冷蔵庫1の外気の温度が所定の低ランク温度である場合、および、冷蔵庫1の外気の温度が所定の高ランク温度である場合においては、冷蔵庫1の外気の温度が所定の中ランク温度である場合に比べ、チルド室10内の温度が高い状態で特別チルドモードが終了されるようになる。そのため、チルド室10内が必要以上に冷却されてしまうことを抑制できる。
【0079】
一方、冷蔵庫1の外気の温度が所定の中ランク温度である場合においては、冷蔵庫1の外気の温度が所定の低ランク温度である場合、および、冷蔵庫1の外気の温度が所定の高ランク温度である場合に比べ、チルド室10内が必要以上に冷却されてしまうことを懸念する必要性が低い。そのため、冷蔵庫1の外気の温度が所定の中ランク温度である場合においては、冷蔵庫1の外気の温度が所定の低ランク温度である場合、および、冷蔵庫1の外気の温度が所定の高ランク温度である場合に比べ、チルド室10内の温度が低い状態を継続することができ、チルド室10内の貯蔵物を良好な状態で冷却することができる。
【0080】
また、冷蔵庫1によれば、冷蔵庫1の外気の温度が上昇する場合と下降する場合とで、それぞれ異なる基準温度との比較に基づき特別チルドモードを終了する終了条件を変化させる。つまり、冷蔵庫1によれば、ある程度の温度幅を有する温度帯と冷蔵庫1の外気の温度との比較に基づき特別チルドモードの終了条件を変化させるようにした。そのため、冷蔵庫1の外気の温度に柔軟に対応しながら特別チルドモードの終了条件を決定することができる。
【0081】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形または拡張を行うことができる。例えば、冷蔵庫1は、当該冷蔵庫1に関わる所定領域の温度として外気の温度を検知するものに限られるものではなく、例えば、貯蔵室内の温度、制御装置30やコンプレッサ34が備えられる図示しない機械室の温度、冷却室12内の温度などの温度を検知するように構成してもよい。
【0082】
また、図11に例示するように、制御装置30は、冷蔵庫1に関わる所定領域の温度に応じて、特別チルドモードの冷却動作を開始する開始条件も変化させるように構成してもよい。なお、開始条件を変化させる場合も、終了条件と同様に、第2段階における開始条件として設定されるチルド室10内の温度を、第1段階における開始条件として設定されるチルド室10内の温度よりも低くするとよい。また、第3段階における開始条件として設定されるチルド室10内の温度を、第2段階における開始条件として設定されるチルド室10内の温度よりも高くするとよい。また、制御装置30は、冷蔵庫1に関わる所定領域の温度に応じて、特別チルドモードの冷却動作を開始する開始条件を変化させ、冷却動作を終了する終了条件を変化させないように構成してもよい。
【0083】
また、他の制御モードは、上述した実施形態に例示した複数の制御モードに限られるものではなく、冷蔵庫1に適用可能な制御モードであれば種々の制御モードを採用することができる。
【0084】
また、特別冷却室は、チルド室に限定されるものではなく、他の冷却室であってもよい。また、特別冷却室が設けられる位置は、冷蔵室3内の底部に限定されるものではなく、例えば、冷蔵室3内の上部や側部、あるいは、他の貯蔵室の内部など、適宜変更して実施することができる。
【0085】
また、制御装置30は、特別チルドモードでは、強冷却モードにおけるファン14の回転速度よりも低い回転速度において、冷蔵庫1に関わる所定領域の温度に応じてファン14の回転速度を変化させるように構成してもよい。また、制御装置30は、冷蔵庫1の外気の温度RTに応じて、特別チルドモードにおける冷却動作を終了する終了条件を4段階以上の複数段階で変化させるようにしてもよい。また、制御装置30は、冷蔵庫1の外気の温度RTに応じて、特別チルドモードにおける冷却動作を開始する開始条件を4段階以上の複数段階で変化させるようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
図面中、1は冷蔵庫、3は冷蔵室、10はチルド室(特別冷却室)、12cは案内部(案内手段)、14はファン、30は制御装置(制御手段)、31は外気温度センサ(温度検知手段)、33は表示パネル(報知手段)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11