(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】水位検知装置、および、加湿装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/292 20060101AFI20220928BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G01F23/292 B
F24F6/00 A
(21)【出願番号】P 2019055839
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩平
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0233070(US,A1)
【文献】特開2012-145477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/28-23/296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内における液体の液面を検知する測距センサと、
前記測距センサの出力値に基づいて、又は、所定の時間経過に基づいて、前記容器内の前記液体が無くなったとの判定を行う判定部と、
前記容器内の前記液体が無くなったと前記判定部により判定されると、前記測距センサの出力値を補正する補正部とを備える、水位検知装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記測距センサの出力値に基づいて得られる、前記液面の揺らぎに基づいて、前記判定をする、請求項1に記載の水位検知装置。
【請求項3】
前記判定部は、温度、及び、湿度の少なくとも一方に基づいて得られる、所定期間内における前記液体の推定使用量に基づいて前記判定をする、請求項1に記載の水位検知装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記測距センサの出力値に基づいて得られる、前記容器が収容された収容部から前記容器が取り外されたか否かに基づいて前記判定をする、請求項1に記載の水位検知装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記測距センサの出力値が、第1の値から、所定の閾値を越えて前記測距センサへ近づく方向へ変化した第2の値となり、さらに前記第2の値から前記所定の閾値を越えて前記第1の値よりも前記測距センサから離れた位置を示す第3の値へ変化すると、前記収容部から前記容器が取り外されたことを検知する、請求項4に記載の水位検知装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の水位検知装置を備えている加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、水位検知装置、および、加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された水位検知装置のように、容器内の水位を検知する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水位検知装置は、例えば汚れが付着するなどにより、検知する水位の精度に誤差が生じる。このため、定期的に、水位検知装置は、誤差を補正するキャリブレーションが行われる必要がある。しかし、従来、キャリブレーションを行うには、ユーザが、キャリブレーションに用いる所定の測定対象物を、水位検知装置から所定の距離だけ離れた特定の位置に配置するという、煩わしい作業が必要であった。本発明の一態様は、ユーザの煩わしい作業を防止してキャリブレーションを行うことが可能な水検知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る水位検知装置は、容器内における液体の液面を検知する測距センサと、前記測距センサの出力値に基づいて、又は、所定の時間経過に基づいて、前記容器内の前記液体が無くなったとの判定を行う判定部と、前記容器内の前記液体が無くなったと前記判定部により判定されると、前記測距センサの出力値を補正する補正部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、水位検知装置は、ユーザの煩わしい作業を防止して測距センサのキャリブレーションを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る加湿装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る加湿装置の構成を表す機能ブロック図である。
【
図3】(a)は、実施形態1に係る加湿装置において、ファンが停止している際の貯水トレイ内の水面の様子を表す図であり、(b)は、実施形態1に係る加湿装置において、ファンが回転している際の貯水トレイ内の水面の様子を表す図である。
【
図4】(a)は、貯水トレイ内の水が無くなった場合に、水位算出部が算出している水位の時間変化の様子を表す図であり、(b)は、貯水トレイ内の水が有る場合に、水位算出部が算出している水位の時間変化の様子を表す図である。
【
図5】実施形態1に係る加湿装置が、水位を補正する際の処理の流れを表す図である。
【
図6】実施形態2に係る加湿装置の構成を表す機能ブロック図である。
【
図7】実施形態2に係る加湿装置における、風量と加湿量との関係の一例を表す図である。
【
図8】実施形態2に係る、温度および湿度と、加湿装置による単位時間当たりの加湿量との関係を表す図である。
【
図9】実施形態2に係る、温度および湿度と、加湿装置における加湿能力との関係を表す図である。
【
図10】実施形態2に係る加湿装置が水位を補正する際の処理の流れを表す図である。
【
図11】実施形態3に係る加湿装置の構成の一例を表す図である。
【
図12】実施形態3に係る加湿装置の機能ブロック図である。
【
図13】(a)は、実施形態3に係る加湿装置において、貯水トレイを筐体内から取り外す直前の様子を表す図であり、(b)は、実施形態3に係る加湿装置において、貯水トレイを筐体内から取り外している最中の様子を表す図であり、(c)は、加湿装置において、貯水トレイを筐体内から取り外した直後の様子を表す図である。
【
図14】実施形態3に係る加湿装置が水位を補正する際の処理の流れの一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る加湿装置1の構成の一例を示す図である。例えば、加湿装置1は、加湿対象である室内等の空間に、加湿された空気を供給することによって、加湿装置1が配置された周囲の空間の湿度を高くする。
図1に示すように、加湿装置1は、例えば、筐体(収容部)10、ファン15、貯水トレイ(容器)20、測距センサ30、温度センサ41、湿度センサ42、および制御部50を有する。筐体10は、吸気口11、送風口12、および開閉部13を備える、箱状の部材である。
【0010】
筐体10は、加湿装置1を構成する各部のうち、少なくとも、貯水トレイ20、ファン15、および測距センサ30を内部に収容する。また、筐体10の外側面には、図示しない操作部が配置される。前記操作部は、加湿装置1を動作させるための電源ボタンや、加湿装置1の動作条件等を設定するためのボタン等を備える。
【0011】
貯水トレイ20は、例えば、給水された水(液体)25を内部に貯水するトレイ状の容器である。例えば、貯水トレイ20は、筐体10内の下方に収容されている。筐体10内において、貯水トレイ20は、筐体10内の底面10aに、筐体10内から筐体10外へ取り外し可能に配置されている。例えば、ユーザは、筐体10の開閉部13を開くことで貯水トレイ20を取り外して、貯水トレイ20へ給水したり貯水トレイ20内の水25を交換したりすることができる。貯水トレイ20の内部には、加湿フィルタ21が配置されている。
【0012】
加湿フィルタ21は、通気性および吸水性を有する部材であり、例えば、不織布等によって形成されている。例えば、加湿フィルタ21は、貯水トレイ20内の底面20aに、底面20aから起立するように配置されている。加湿フィルタ21のうち、下方部分は、貯水トレイ20内の水25に浸漬されて水25を吸収する。これにより、加湿フィルタ21の全体に水25が行きわたる。また、加湿フィルタ21のうち、上方部分は、貯水トレイ20内における水25の水面(液面)25aから露出している。加湿フィルタ21は、貯水トレイ20または筐体10に対して、取り外し可能に取り付けられている。ユーザは、加湿フィルタ21を取り外して、汚れを除去するための清掃や交換等のメンテナンスを行うことができる。
【0013】
ファン15は、吸気口11から吸引され、送風口12から放出される空気の、筐体10内の流れである気流WDを発生させる。具体的には、例えば、ファン15は、複数の羽根を備えた羽根車と、駆動源であるファンモータとを有する。制御部50からの指示により、指示された回転数にてファンモータが羽根車を回転させる。これにより、ファン15は、貯水トレイ20に向けて、所定の風量である気流WDを発生させる。例えば、
図1に示すように、ファン15における羽根車が回転する(単に、ファン15が回転すると称する)と、筐体10内において、吸気口11から、加湿フィルタ21における上方部分(水面25aから露出している部分)を通って、送風口12へ向かう気流WDが発生する。この気流WDは、加湿フィルタ21に吸収されている水分を含みつつ、送風口12から筐体10外へ放出される。この結果、加湿装置1は、加湿装置1の周囲の空間の空気を加湿する。ファン15は、加湿装置1が加湿運転を行うときに回転し、加湿装置1が加湿運転を停止するときは回転を停止する。ファン15の回転数は、記憶部60に逐次、記憶される。
【0014】
測距センサ30は、貯水トレイ20内の水位WLを検知するためのセンサである。測距センサ30は、発光部31と受光部32とを有する。測距センサ30は、例えば、貯水トレイ20の上方に配置される。
図1に示すように、例えば、測距センサ30は、筐体10内において、筐体10の底面10aに配置された貯水トレイ20内の底面20aを基準として、底面20aから距離H1だけ離れた位置に配置されている。例えば、測距センサ30は、TOF(Time of Flight)方式を用いるセンサである。ただし、測距センサ30は、貯水トレイ20内の水位WLを検知することが可能なセンサであればよく、TOF方式のセンサに限定されない。
【0015】
例えば、測距センサ30は、発光部31から水面25aに向けて照射光L1を照射し、水面25aにて反射した反射光L2を受光部32によって受光する。例えば、発光部31が照射した照射光L1の位相と、受光部32が受光した反射光L2の位相との差に基づいて、制御部50が、測距センサ30から水面25aまでの距離dを算出し、測距センサ30が検知した水位WLaを算出し、さらに、水位WLaを補正した水位WLを算出する。この測距センサ30および制御部50を用いた水位WLの算出方法についての詳細は後述する。発光部31は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。受光部32は、例えばフォトダイオードなど、発光部31からの照射光L1を受光して電気信号を出力可能な光電変換素子である。
【0016】
温度センサ41は、空気の温度を検知するセンサである。温度センサ41は、検知した空気の温度を温度信号として制御部50へ出力する。湿度センサ42は、空気の湿度を検知するセンサである。湿度センサ42は、検知した空気の湿度を湿度信号として制御部50へ出力する。例えば、温度センサ41および湿度センサ42は、筐体10内に配置されている。なお、温度センサ41および湿度センサ42は筐体10の外壁面に配置されていてもよい。
【0017】
図2は、実施形態1に係る加湿装置1の構成を表す機能ブロック図である。
図2に示すように、例えば、測距センサ30、制御部50、および、記憶部60を含めて、水位検知装置5と称する。水位検知装置5は、貯水トレイ20内の水位WLを算出する。
【0018】
制御部50は、加湿装置1の各部の動作を制御する。制御部50は、例えばCPU、MPU等であって、記憶部60に格納されるプログラムに従って各種の情報処理を実行する。記憶部60は、例えばフラッシュメモリやRAM等であって、制御部50によって実行されるプログラムや、各種のデータを記憶する。記憶部60は、制御部50のワークメモリとして動作してもよい。また、記憶部60には、所定の距離である距離H1が記憶されており、また、測距センサ30の出力値(水位WL)を補正するための補正値が記憶されている。
【0019】
制御部50は、水位算出部51と、判定部52と、補正部53とを有する。水位算出部51は、測距センサ30における照射光L1および反射光L2に基づいて、貯水トレイ20内の水位WLを経時的に算出する。判定部52は、水位算出部51が経時的に算出する水位WLを監視し、貯水トレイ20内に水25が無くなったか否かを判定する。補正部53は、判定部52が、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定すると、水位算出部51が算出する水位WLを補正(キャリブレーション)する。
【0020】
例えば、水位算出部51は、測距センサ30が照射した照射光L1の位相と、測距センサ30が受光した反射光L2の位相との位相差に基づいて、測距センサ30から水面25aまでの距離d(
図1参照)を算出する。そして、水位算出部51は、記憶部60に記憶されている距離H1から、距離dを減算することで、測距センサ30が貯水トレイ20内の水位であるとして検知した水位WLaを算出する。
【0021】
ここで、測距センサ30が、水面25aの位置を検知する際の誤差が無い理想的な状態の場合、距離H1から距離dを減算すれば、貯水トレイ20内の実際の水位を正確に水位WLaとして算出することができる。しかし、測距センサ30は、例えば汚れなどによって、水面25aの位置を検知する際の誤差を含む。すなわち、測距センサ30が貯水トレイ20内の水位であるとして検知した水位WLaと、実際の貯水トレイ20内の水位とに差が生じる場合がある。このため、水位算出部51は、測距センサ30が貯水トレイ20内の水位であるとして検知した水位WLaに、記憶部60を参照して取得する補正値を加算して、貯水トレイ20内の水位WLを算出する。すなわち、補正部53は、以下の(式1)により、水位WLを算出する。
「水位WL」=「水位WLa」+「補正値」 (式1)
【0022】
ここで、「補正値」=「既知の距離」-「水位WLa」である。既知の距離は、本実施形態では、測距センサ30から貯水トレイ20内の底面20aまでの距離H1である。既知の距離と水位WLaは0以上の値である。補正値は、正、負、0のいずれの値もとりえる。
【0023】
また、加湿装置1を使用していると、例えば測距センサ30の汚れの状態が変化するなどによって、測距センサ30が貯水トレイ20内の水面25aの位置を検知する精度も変化する。このため、補正部53は、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定部52によって判定されると、測距センサ30からの出力値(すなわち水位WL)を補正する(キャリブレーションする)。具体的には、例えば、補正部53は、水位算出部51が算出する貯水トレイ20内の水位WLに基づいて水25が無くなったと判定部52によって判定されると、記憶部60に記憶されている補正値を補正する。換言すると、補正部53は、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定部52によって判定されると、水位WLaと、補正値とを加算した値が、距離H1となるように、記憶部60に記憶されている補正値を調整すると表現することもできる。そして、水位算出部51は、補正部53により補正された補正値を用いて、水位WLを算出していく。
【0024】
次に、
図3および
図4を用いて、判定部52が、貯水トレイ20内の水25が無くなったか否かを判定する方法の一例について説明する。
図3(a)は、加湿装置1において、ファン15が停止している際の貯水トレイ20内の水面25aの様子を表す図であり、
図3(b)は、加湿装置1において、ファン15が回転している際の貯水トレイ20内の水面25aの様子を表す図である。本実施形態では、例えば、判定部52は、水位算出部51が算出している水位WLに基づいて得られる、貯水トレイ20内の水面25aの揺らぎに基づいて、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定する。
【0025】
図3(a)に示すように、加湿装置1が加湿運転を停止している場合、すなわち、ファン15が停止している場合、筐体10内に気流WDが発生しないため、水面25aに揺らぎほぼ生じない。このため、水面25aはほぼ平坦となる。この場合、発光部31が照射した照射光L1が水面25aにて反射した反射光L2は、乱反射せずに受光部32に受光される。このため、反射光L2の経路はほぼ一定となる。この反射光L2に乱反射が発生しないのは、貯水トレイ20内の水25が無くなり、貯水トレイ20内の底面20aが露出した場合も同様である。すなわち、加湿装置1が加湿運転を行うことでファン15が回転している場合であっても、貯水トレイ20内の水25が無くなり底面20aが露出すると、発光部31が照射した照射光L1が底面20aにて反射した反射光L2は、乱反射せずに受光部32に受光される。このため、反射光L2の経路はほぼ一定となる。このため、照射光L1と反射光L2とに基づいて水位算出部51が算出する水位WLも、ほぼ揺らぎは無く一定となる。例えば、判定部52は、このように、水位WLの揺らぎが一定の範囲内となった場合、貯水トレイ20内の水25は無くなったと判定することができる。
【0026】
図4(a)は、貯水トレイ20内の水25が無くなった場合に、水位算出部51が算出している水位WLの時間変化の様子を表す図である。
図4(a)を用いて、判定部52が、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定する具体的な一例について説明する。
図4(a)に示すように、第1所定期間t1は、ユーザによって予め設定された所定の区間である。区間最大値maxは、第1所定期間t1における水位WLの最大値である。区間最小値minは、第1所定期間t1における水位WLの最小値である。不安定度合D1は、第1所定期間t1において、区間最大値maxから区間最小値minを減算した値である。第1所定期間t1、区間最小値min、区間最大値maxおよび不安定度合D1は記憶部60に記憶されている。第1所定期間t1は、ユーザなどにより予め設定されて記憶部60に記憶されていればよい。例えば、第1所定期間t1は30秒である。不安定度合D1は、第1所定期間t1における水位WLの揺らぎの幅である。判定部52は、水位算出部51が経時的に算出する水位WLに基づいて、第1所定期間t1毎に不安定度合D1を算出する。例えば、判定部52は、不安定度合D1が、予め設定されて記憶部60に記憶されている第1閾値TH1未満となると、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定する。
【0027】
例えば、区間最大値maxおよび区間最小値minは、第1所定期間t1が経過する前の初期値としては、実験結果などに基づいて予め数値が設定されて、記憶部60に記憶されていればよい。記憶部60に記憶されている区間最大値maxは、判定部52によって、第1所定期間t1の経過中に、記憶部60に記憶されている区間最大値max以上になった水位WLに随時更新される。また、記憶部60に記憶されている区間最小値minは、判定部52によって、第1所定期間t1の経過中に、記憶部60に記憶されている区間最小値min以下になった水位WLに随時更新される。
【0028】
一方、
図3(b)に示すように、貯水トレイ20内に水25が存在している際に、加湿装置1が加湿運転を行うと、すなわち、ファン15が回転すると、筐体10内に発生した気流WDが水面25aに当たり、水面25aに揺らぎが生じる。この揺らぎによって、水面25aに局所的な高低差が生じ、発光部31からの照射光L1が水面25aにて反射した反射光L2は、乱反射して受光部32に受光される。この乱反射のため、反射光L2の経路は一定にならず、変化することになる。このため、照射光L1と反射光L2とに基づいて水位算出部51が算出する水位WLも、揺らぎは大きくなる。例えば、判定部52は、このように、水位WLの揺らぎが一定の範囲外の場合、貯水トレイ20内の水25は有ると判定することができる。
【0029】
図4(b)は、貯水トレイ20内の水25が有る場合に、水位算出部51が算出している水位WLの時間変化の様子を表す図である。具体的な一例として、
図4(b)に示すように、判定部52は、第1所定期間t1毎に不安定度合D1を監視し、不安定度合D1が、第1閾値TH1以上の場合、貯水トレイ20内に水25が有ると判定する。そして、補正部53は、現在算出している水位WL(換言すると補正値)は補正せず、判定部52は、水位算出部51が算出する水位WLの第1所定期間t1毎における不安定度合D1の監視を継続する。
【0030】
図5は、実施形態1に係る加湿装置1が、水位WLを補正する際の処理の流れを表す図である。水位算出部51は、測距センサ30からの出力に基づいて経時的に水位WLを算出する。そして、制御部50は、加湿装置1が加湿運転を行っているか否かを判定する(ステップS11)。例えば、制御部50はファン15が回転しているか否かに基づいて、加湿運転を行っているか否かを判定すればよい。ステップS11において、制御部50が加湿運転をしていると判定すると(ステップS11のYesの場合)、判定部52は、例えば水位計などの出力信号に基づき、貯水トレイ20内に水25が有るか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、判定部52は、貯水トレイ20内に水25は無いと判定すると(ステップS12のNoの場合)、制御部50は、加湿装置1の加湿運転を停止する(ステップS13)。すなわち、制御部50は、ファン15の回転を停止する。一方、ステップS12において、判定部52は、貯水トレイ20内に水25が有ると判定すると(ステップS12のYesの場合)、次いで、例えば、以下のステップS14~S21に示すように、貯水トレイ20内の水25が無くなるか否かの判定をする処理を行う。そして、後述するステップS22に示すように、判定部52によって貯水トレイ20内に水25が無くなったと判定されると、後述するステップS23に示すように、補正部53は、水位算出部51が算出する水位WLを補正する。具体的には、補正部53は、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。
【0031】
すなわち、上述したステップS12のYesの場合、判定部52は、水位算出部51が算出した現在の水位WLが、記憶部60に記憶されている区間最大値max(
図4(a)(b)参照)以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0032】
ステップS14において、判定部52は、当該水位WLが区間最大値max以上であると判定すると(ステップS14のYesの場合)、当該水位WLを区間最大値maxとして記憶部60に記憶する(ステップS15)。一方、ステップS14において、判定部52は、当該水位WLが区間最大値max未満であると判定すると(ステップS14のNoの場合)、次のステップS16の処理を行う。
【0033】
次いで、判定部52は、ステップS14における判定に用いた当該水位WLが、記憶部60に記憶されている区間最小値min(
図4(a)(b)参照)以下であるか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16において、判定部52は、当該水位WLが区間最小値min以下であると判定すると(ステップS16のYesの場合)、当該水位WLを区間最小値minとして記憶部60に記憶する(ステップS17)。一方、ステップS16において、判定部52は、当該水位WLが区間最小値minより大きいと判定すると(ステップS16のNoの場合)、判定部52は、次のステップS18の処理を行う。
【0034】
次いで、判定部52は、例えば、ステップS11の処理を行った時間を基準時間として、基準時間から第1所定期間t1が経過したか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18において、判定部52は、基準時間から第1所定期間t1が経過していないと判定すると(ステップS18のNoの場合)、ステップS11の処理に戻る。一方、ステップS18において、判定部52は、第1所定期間t1が経過したと判定すると(ステップS18のYesの場合)、区間最大値maxから区間最小値minを減算することで、不安定度合D1(
図4(a)(b)参照)を算出する(ステップS19)。ステップS14~S19により、判定部52は、第1所定期間t1あたりの、水位WLの最大値である区間最大値maxと、水位WLの最小値である区間最小値minとの差である不安定度合D1を算出する。この不安定度合D1は、第1所定期間t1における水位WLの揺らぎの幅を表している。
【0035】
そして、判定部52は、次の第1所定期間t1におけるステップS14~S17の処理のために、区間最大値maxおよび区間最小値minそれぞれとして現在の水位WLの値を記憶部60に記憶する(ステップS20)。次いで、判定部52は、ステップS19において算出した不安定度合D1が、記憶部60に記憶されている第1閾値TH1未満であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0036】
ステップS21において、判定部52は、不安定度合D1が、第1閾値TH1以上の場合(ステップS21のNoの場合)、判定部52は、貯水トレイ20内に水25が有ると判定して、ステップS11の処理へ戻る。一方、ステップS21において、判定部52は、不安定度合D1が第1閾値TH1未満の場合(ステップS21のYesの場合)、補正部53は貯水トレイ20内の水25は無くなったと判定し、制御部50は、加湿運転を停止、すなわちファン15の回転を停止する(ステップS22)。そして、補正部53は、水位WLを補正する(ステップS23)。換言すると、補正部53は、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。そして、ステップS11の処理へ戻る。
【0037】
このように、水位検知装置5は、測距センサ30の出力値である水位WLに基づいて、貯水トレイ20内から水25が無くなったと判定部52により判定されると(ステップS22)、補正部53は、測距センサ30の出力値である水位WLを補正する。換言すると、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。これにより、水位検知装置5は、貯水トレイ20内の水25が無くなったタイミングで、自動で、測距センサ30の出力値(水位WL)の補正(キャリブレーション)を行うことができる。このため、従来キャリブレーションを行うに際し、ユーザが行っていた、キャリブレーションに用いる所定の測定対象物を、水位検知装置から所定の距離だけ離れた特定の位置に配置するという、煩わしい作業が不要である。よって、水位検知装置5によると、ユーザによる煩わしい作業を防止して、測距センサ30の出力値を補正(キャリブレーション)することができる。
【0038】
本実施形態に係る水位検知装置5は、貯水トレイ20内の水25の揺らぎの大小に基づいて、貯水トレイ20内の水25が無くなったか否かを判定する。このため、比較的短時間である30秒程度(第1所定期間t1)毎に、貯水トレイ20内の水25が無くなったか否かを判定することができる。さらに、水位検知装置5の周囲の温度および湿度などの環境の影響を比較的受けずに、貯水トレイ20内の水25の有無を判定することができるため、比較的精度よく、貯水トレイ20内の水25の有無を判定することができる。
【0039】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図6は、実施形態2に係る加湿装置1Aの構成を表す機能ブロック図である。加湿装置1Aにおいて、
図6に示す機能ブロック以外の構成は、
図1に示した加湿装置1の構成と同様である。本実施形態では、加湿装置1Aは、貯水トレイ20内の水25が無くなったか否かを、測距センサ30の出力値ではなく、所定の時間経過に基づいて判断する点で、加湿装置1(
図1等)と相違する。
【0040】
図6に示すように、加湿装置1Aは、加湿装置1(
図2など)が備えていた水位検知装置5に換えて、水位検知装置5Aを備えている。水位検知装置5Aは、水位検知装置5が備えていた制御部50に換えて制御部50Aを備えている。制御部50Aは、制御部50が備えていた判定部52および補正部53に換えて判定部52Aおよび推定加湿量算出部54Aを備え、さらに、推定加湿量算出部54Aを備えている。
【0041】
推定加湿量算出部54Aは、温度、湿度、および風量の少なくとも一つに基づいて、所定の時間経過に基づく加湿量を推定し、当該推定した推定加湿量を記憶部60に記憶する。または、推定加湿量算出部54Aは、温度、湿度、および風量を組み合わせて所定の時間経過に基づく加湿量を推定し、当該推定した推定加湿量を記憶部60に記憶してもよい。例えば、推定加湿量算出部54Aは、一定期間(例えば30秒)当たりの推定加湿量を算出し、算出した推定加湿量を所定期間(例えば1時間)分、積算推定加湿量として加算して記憶部60へ記憶していく。一定期間および所定期間は、ユーザなどによって任意に設定されていればよい。
【0042】
判定部52Aは、推定加湿量算出部54Aが推定した推定加湿量と、所定の時間経過に基づいて、貯水トレイ20内の水25が無くなったか否かを判定する。例えば、判定部52Aは、記憶部60に記憶された所定期間(所定の時間経過)分の積算推定加湿量が一定量以上となったにも関わらず、所定期間経過の前と後との水位WL同士がほぼ変化していなければ、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定する。一定量は、第1閾値TH1Aとして記憶部60に予め記憶しておく。第1閾値TH1Aは、例えば、400cc程度である。また、判定部52Aは、所定時間経過の前と後とで比較する水位WL同士が、第2閾値TH2A以内であれば、変化していないと判定してもよい。第2閾値TH2Aは、例えば、5mm程度であり、予め記憶部60に記憶しておく。なお、第2閾値TH2(例えば5cm)は、第1閾値TH1A(例えば、400cc)から算出される所定時間経過あたりに水面25aが下がると推定される推定量(例えば1cm)に基づいて算出してもよい。
【0043】
補正部53Aは、判定部52Aが、貯水トレイ20内の水25が無くなったと判定すると、水位算出部51が算出する水位WLを補正する。すなわち、補正部53Aは、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。この補正部53Aが補正値を補正する方法は、実施形態1にて説明した補正部53が補正値を補正する方法と同じである。
【0044】
図7は、加湿装置1Aにおける、風量と加湿量との関係の一例を表す図である。制御部50Aは、加湿装置1Aの加湿運転モードが、強運転、中運転、静音運転の順に、風量が小さくなるようにファン15を回転させる。
図7に示すように、風量が大きければ単位時間当たりの加湿量も大きく、風量が小さければ、単位時間当たりの加湿量も小さくなる。
【0045】
図8は、温度および湿度と、加湿装置1Aによる単位時間当たりの加湿量との関係を表す図である。
図8に示すように、湿度が一定であっても温度が高くなれば、単位時間当たりの加湿量は大きくなる。また、
図8に示すように、温度が一定であっても、湿度が高くなれば、単位時間当たりの加湿量は小さくなる。
【0046】
図9は、温度および湿度と、加湿装置1Aにおける加湿能力との関係を表す図である。
図9では、一例として、温度が20℃で湿度が30%のときの加湿装置1Aの加湿能力を基準(「1」)とした場合の、他の温度および他の湿度での加湿能力の係数を表している。例えば、温度が20℃で湿度が30%での加湿能力に対して、温度が50℃で湿度が30%の場合の加湿能力は、1.8倍となる。
【0047】
例えば、
図7~
図9に示すデータに基づいて、温度、湿度および風量の少なくとも一つから単位時間当たりの加湿量を表すデータベースを予め作成しておき、記憶部60に記憶しておけばよい。推定加湿量算出部54Aは、温度センサ41が検知した温度、湿度センサ42が検知した湿度、および、ファン15の回転数から算出される単位時間当たりの風量の少なくとも一つと、記憶部60に記憶されているデータベースとに基づいて、単位時間当たりの推定加湿量を算出することができる。
【0048】
図10は、実施形態2に係る加湿装置1Aが水位WLを補正する際の処理の流れを表す図である。ステップS11~S13の処理は、
図5を用いて説明した処理と同様である。ステップS12のYesの場合、次いで、例えば、以下のステップS31~S33に示すように、推定加湿量算出部54Aは、所定期間(所定の時間経過)あたりの推定加湿量を算出する。そして、ステップS34~S37・S22に示すように、判定部52Aが、貯水トレイ20内の水25が無くなるか否かを判定する処理を行う。そして、ステップS22に示すように、判定部52Aによって貯水トレイ20内に水25が無くなったと判定されると、ステップS23に示すように、補正部53Aは、水位算出部51が算出する水位WLを補正する。具体的には、補正部53は、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。
【0049】
すなわち、例えば、ステップS12のYesの場合、推定加湿量算出部54Aは、ステップS11の処理を行った時間を基準時間として、一定期間(例えば30秒)が経過したか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31において、推定加湿量算出部54Aが、一定期間が経過していないと判定すると(ステップS31のNoの場合)、ステップS11の処理へ戻る。一方、ステップS31において、推定加湿量算出部54Aが、一定期間が経過したと判定すると(ステップS31のYesの場合)、推定加湿量算出部54Aは、温度センサ41から温度信号として制御部50Aが取得している温度、湿度センサ42から湿度信号として制御部50Aが取得している湿度、および、ファン15の回転数に基づいて得られる気流WDの風量を取得する(ステップS32)。そして、推定加湿量算出部54Aは、ステップS32において取得した温度、湿度および風量と、記憶部60に記憶されたデータベースとに基づいて、一定期間(例えば30秒)当たりの推定加湿量を算出し、記憶部60に記憶されている積算推定加湿量に積算する(ステップS33)。
【0050】
次いで、判定部52Aは、例えば、ステップS11の処理を行った時間を基準時間として、基準時間から所定期間(例えば1時間)が経過したか否かを判定する(ステップS34)。ステップS34において、判定部52Aが、所定期間(例えば1時間)が経過していないと判定すると(ステップS34のNoの場合)、ステップS11の処理へ戻る。この場合、記憶部60に記憶された、ステップS31における一定期間毎の推定加湿量が積算された積算推定加湿量が、ステップS34における所定期間(例えば1時間)分加算されていないことになる。
【0051】
一方、ステップS34において、判定部52Aが、所定期間(例えば1時間)が経過したと判定する(ステップS34におけるYesの場合)と、この場合、記憶部60に記憶された、ステップS31における一定期間毎の推定加湿量である積算推定加湿量が、ステップS34における所定期間(例えば1時間)分加算されたことになる。次に、判定部52Aは、所定期間(例えば1時間)分の積算推定加湿量が、第1閾値TH1A(例えば400cc)以上であるか否かを判定する(ステップS35)。
【0052】
ステップS35において、判定部52Aが、所定期間(例えば1時間)分の積算推定加湿量が、第1閾値TH1A(例えば400cc)未満であると判定すると(ステップS35におけるNo)、判定部52は、水位算出部51が算出した現在の水位WLを記憶部60に記憶し(ステップS36)、ステップS11の処理へ戻る。このステップS36にて記憶部60に記憶される「現在の水位WL」は、後述するステップS37にて「所定期間前の水位WL」として用いられる。
【0053】
ここで、例えば、極端に高温多湿状態が続いた場合、所定期間(例えば1時間)経過したにも関わらず(ステップS34のYes)、加湿運転がされずに所定期間(例えば1時間)当たりの積算推定加湿量が少なすぎる場合がある。この場合、判定部52Aは、ステップS35にてNoと判定し、ステップS36の処理を経て、ステップS11の処理へ戻る。
【0054】
一方、ステップS35において、判定部52Aが、所定期間(例えば1時間)の積算推定加湿量が、第1閾値TH1A(例えば400cc)以上であると判定すると(ステップS35におけるYes)、貯水トレイ20内の水25が、第1閾値TH1A(例えば400cc)以上使用されたと推定される。換言すると、所定期間(例えば1時間)当たり、第1閾値TH1A(例えば400cc)と貯水トレイ20の容量とから算出される量(例えば1cm)だけ、水位WLが下ったと推定される。
【0055】
このため、次に、判定部52は、水位算出部51が算出した現在の水位WLと、所定期間(例えば1時間)前の水位WL(直近のステップS36にて記憶部60に「現在の水位WL」として記憶された「所定期間前の水位WL」)との差が第2閾値TH2A(例えば5mm)未満であるか否かを判定する(ステップS37)。第2閾値TH2Aは、比較対象となる水位WL同士がほぼ同じであるとみなせる程度の差である。
【0056】
ステップS37において、判定部52Aは、水位算出部51が算出した現在の水位WLと、記憶部60に記憶された所定期間(例えば1時間)前の水位WLとの差が第2閾値TH2A(例えば5mm)以上であると判定すると(ステップS37のNoの場合)、判定部52Aによって、貯水トレイ20内に水25が存在していると判定されたことになる。そして、判定部52Aは、ステップS36の処理を行う。すなわち、判定部52Aは、記憶部60に記憶されている水位WLの値を、水位算出部51が算出した現在の水位WLの値に更新する。そして、ステップS11の処理へ戻る。
【0057】
一方、ステップS37において、判定部52Aは、水位算出部51が算出した現在の水位WLと、記憶部60に記憶された所定期間(例えば1時間)前の水位WLとの差が第2閾値TH2A未満であると判定すると(ステップS37のYesの場合)、加湿運転しているにも関わらず、所定期間の経過前後で貯水トレイ20内の水位WLが変化していないと推定される。つまり、貯水トレイ20内の底面20aが露出している状態であると推定される。このため、ステップS37のYesの場合、判定部52Aは、次に、ステップS22の処理を行う。
【0058】
すなわち、ステップS22において、判定部52Aは貯水トレイ20内の水25は無くなったと判定し、制御部50Aは、加湿運転を停止する。すなわち制御部50Aはファン15の回転を停止する。そして、ステップS23において、補正部53Aは、水位算出部51が算出する水位WLを補正する。換言すると、補正部53Aは、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。そして、ステップS11の処理へ戻る。
【0059】
本実施形態のように、判定部52Aは、温度、湿度、および風量の少なくとも一つに基づいて得られる、または、それらの組み合わせにより得られる、所定期間(例えば1時間)における積算推定加湿量(推定加湿量)に基づいて、貯水トレイ20内から水25が無くなったと判定してもよい。このように、水位検知装置5Aは、自動で測距センサ30の出力値を補正(キャリブレーション)することができる。本実施形態に係る加湿装置1Aによると、温度、湿度、および風量の少なくとも一つ、または、それらの組み合わせにより得られる、積算推定加湿量に基づいて貯水トレイ20内の水25が無くなったか否かを判定している。このため、加湿しやすい適切な環境(温度および湿度がそれぞれ高すぎたり低すぎたりしない環境)であれば、加湿装置1Aの製品毎の特性の影響を比較的受けずに、貯水トレイ20内の水25の有無を判定することができる。
【0060】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図11は、実施形態3に係る加湿装置1Bの構成の一例を表す図である。
図12は、実施形態3に係る加湿装置1Bの機能ブロック図である。本実施形態に係る加湿装置1Bは、測距センサ30の出力値に基づいて、貯水トレイ20が筐体10内から取り外されたと判定した時も、貯水トレイ20内の水25が筐体10内から無くなった(貯水トレイ20ごと水25が筐体10内から無くなった)と判定する点で、実施形態1に係る加湿装置1および実施形態2に係る加湿装置1Aと異なる。
【0061】
図11に示すように、加湿装置1Bにおいて、測距センサ30は、貯水トレイ20内の底面20aから距離H1だけ離れて配置されており、また、貯水トレイ20が配置されている筐体10内の底面10aから、距離H2だけ離れて配置されている。
図12に示すように、加湿装置1Bは、加湿装置1(
図2など)が備えていた水位検知装置5に換えて、水位検知装置5Bを備えている。水位検知装置5Bは、水位検知装置5が備えていた制御部50に換えて制御部50Bを備えている。制御部50Bは、制御部50が備えていた判定部52および補正部53に換えて判定部52Bおよび補正部53Bを備えている。
【0062】
本実施形態においては、記憶部60には、所定の距離である距離H1に加え、所定の距離である距離H2も記憶されている。また、水位算出部51が算出する水位WLも逐次、記憶部60に記憶されていく。
【0063】
判定部52Bは、判定部52(
図2参照)が有する機能に加え、さらに、筐体10の底面10aに配置された貯水トレイ20が、筐体10外へ取り外されたか否かを判定する。そして、補正部53Bは、補正部53の機能に加え、貯水トレイ20が筐体10外へ取り外されたと判定部52Bによって判定されたとき、水位算出部51が算出する水位WL(すなわち補正値)を補正する。
【0064】
図13(a)~
図13(c)を用いて、判定部52Bが、貯水トレイ20が筐体10外へ取り外されたと判定する方法の一例について説明する。
図13(a)は、加湿装置1Bにおいて、貯水トレイ20を筐体10内から取り外す直前の様子を表す図であり、
図13(b)は、加湿装置1Bにおいて、貯水トレイ20を筐体10内から取り外している最中の様子を表す図であり、
図13(c)は、加湿装置1Bにおいて、貯水トレイ20を筐体10内から取り外した直後の様子を表す図である。
【0065】
図13(a)に示すように、筐体10内の底面10aに配置された貯水トレイ20内の水面25aを測距センサ30が検知しているときに水位算出部51が算出する水位WLを水位(第1の値)WL1と称する。
図13(b)に示すように、筐体10内の底面10aに配置された貯水トレイ20が取り外されている最中に、貯水トレイ20の側壁における頭頂面20bを測距センサ30が検知しているときに水位算出部51が算出する水位WLを水位(第2の値)WL2と称する。
図13(c)に示すように、筐体10内の底面10aから貯水トレイ20が取り外された後、測距センサ30が筐体10内の底面10aを検知しているときに水位算出部51が算出する水位WLを水位(第3の値)WL3と称する。
【0066】
図13(a)に示すように、筐体10内の底面10aに配置された貯水トレイ20内の水面25aを測距センサ30が検知しているときは、水位算出部51は水位WL1を算出する。そして、
図13(b)の矢印B1に示す方向へ、筐体10内から貯水トレイ20が取り外されている最中に、貯水トレイ20の側壁における頭頂面20bが、測距センサ30と対向すると、測距センサ30は頭頂面20bを検知する。このとき、水位算出部51は水位WL2を算出する。測距センサ30からの距離は、水面25aよりも、頭頂面20bの方が近い。このため、水位WL2は、水位WL1を基準に測距センサ30へ近づく方向へ急峻に変化した値となる。そして、
図13(c)の矢印B1に示す方向へ、筐体10内から貯水トレイ20が取り外されると、測距センサ30と筐体10内の底面10aとが対向する。すると、測距センサ30は筐体10内の底面10aを検知する。このとき、水位算出部51は水位WL3を算出する。測距センサ30からの距離は、頭頂面20bおよび水面25aよりも、筐体10内の底面10aの方が遠い。このため、水位WL3は、水位WL2を基準に、測距センサ30から離れる方向へ急峻に変化した値となる。加えて、水位WL3は、水位WL1よりも、測距センサ30からの距離が遠い値となる。
【0067】
よって、例えば、判定部52Bは、水位WLが、水位WL1から水位WL2へと急峻に上昇し、さらに、水位WL2から水位WL3へと急峻に下降し、かつ、急峻な変化直前である水位WL1よりも、急峻な変化後である水位WL3の方が、値が小さければ、筐体10内から貯水トレイ20が取り外されたと検知する。判定部52Bは、水位算出部51が算出する水位WLに基づいて得られる、筐体10から貯水トレイ20が取り外されたことの検知に基づいて、筐体10内において、貯水トレイ20内の水25が貯水トレイ20ごと無くなったと判定する。
【0068】
例えば、判定部52Bは、水位WLの所定時間当たりの上昇量が、予め記憶部60に記憶された所定量である第1閾値TH1B以上であれば、水位WLが、水位WL1から水位WL2へと急峻に上昇したと判定すればよい。または、例えば、判定部52Bは、水位WLの所定時間当たりの下降量が、予め記憶部60に記憶された所定量である第2閾値TH2B以上であれば、水位WLが、水位WL2から水位WL3へと急峻に下降したと判定すればよい。
【0069】
そして、補正部53は、筐体10内において、貯水トレイ20内の水25が貯水トレイ20ごと無くなったと判定部52Bによって判定されると、測距センサ30が算出する水位WLを補正する。すなわち、補正部53は、測距センサ30が水位WLの算出に用いる補正値を補正する。本実施形態において、補正部53は、実施形態1と同様に以下の(式1)を用いて水位WLを補正する。
「水位WL」=「水位WLa」+「補正値」 (式1)
【0070】
ただし、「補正値」=「既知の距離」-「水位WLa」であるところ、本実施形態では、既知の距離は、測距センサ30から筐体10内の底面10aまでの距離H2である。すなわち、本実施形態のように、筐体10内において貯水トレイ20内の水25が貯水トレイ20ごと無くなったと判定部52Bによって判定された場合、補正部53は、水位WLaと、補正値とを加算した値が、距離H2なるように、水位算出部51が水位WLの算出に用いる補正値の値を調整すると表現することもできる。
【0071】
図14は、実施形態3に係る加湿装置1Bが水位WLを補正する際の処理の流れの一例を表す図である。水位算出部51は、経時的に水位WLを算出し、逐次、記憶部60に記憶していく。そして、判定部52Bは、水位WLが急峻に上昇するか否かを判定する(ステップS41)。例えば、判定部52Bは、水位WLの所定時間当たりの上昇量が、記憶部60に記憶された第1閾値TH1B以上であるか否かを判定することで、水位WLが急峻に上昇するか否かを判定する。ステップS41により、判定部52Bは、貯水トレイ20における側壁の頭頂面20bが測距センサ30と対向する位置まで、貯水トレイ20が筐体10内から引き出されたか否かを判定することができる。
【0072】
ステップS41において、判定部52Bが、水位WLが急峻に上昇したと判定すると(ステップS41のYes)、記憶部60を参照し、水位WLが急峻に上昇する直前の水位WL1を取得する(ステップS42)。なお、ステップS42にて判定部52Bが取得する水位WL1は、水位WLが急峻に上昇する直前の短い期間の水位WL1の平均値であってもよい。
【0073】
次に、判定部52Bは、水位WLが急峻に下降するか否かを判定する(ステップS43)。例えば、判定部52Bは、水位WLの所定時間当たりの下降量が、記憶部60に記憶された第2閾値TH2B以上であるか否かを判定することで、水位WLが急峻に下降するか否かを判定する。ステップS43により、判定部52Bは、貯水トレイ20における側壁の頭頂面20bが測距センサ30と対向する位置から、さらに、貯水トレイ20が移動されたか否かを判定することができる。
【0074】
ステップS43において、判定部52Bが、水位WLが急峻に下降したと判定すると(ステップS43のYes)、記憶部60を参照し、水位WLが急峻に下降した直後の水位WL3を取得する(ステップS44)。なお、ステップS44にて判定部52Bが取得する水位WL3は、水位WLが急峻に下降した直後の短い期間の水位WL3の平均値であってもよい。
【0075】
次いで、判定部52Bは、ステップS42にて取得した水位WL1と、ステップS44にて取得した水位WL3とを比較し、水位WL3の方が低いか否かを判定する(ステップS45)。ステップS45において、判定部52Bは、水位WL1よりも水位WL3の方が低いと判定すると(ステップS45のYesの場合)、判定部52Bは、貯水トレイ20が筐体10内から取り外されたと判定し、制御部50Bは加湿運転を停止する(ステップS46)。そして、補正部53Bは、水位算出部51が算出する水位WLを補正する(ステップS47)。一方、ステップS45において、判定部52Bが、水位WL3が水位WL1以上であると判定すると(ステップS45のNoの場合)、ステップS41の処理へ戻る。
【0076】
このように、水位検知装置5Aは、自動で測距センサ30を自動で補正(キャリブレーション)することができる。本実施形態に係る加湿装置1Bによると、貯水トレイ20が筐体10内から取り外されたな否かによって、貯水トレイ20内の水25が貯水トレイ20ごと無くなったか否かを判定している。このため、比較的短時間で、貯水トレイ20内の水25が貯水トレイ20ごと無くなったか否かを判定することができる。また、貯水トレイ20内の水25が貯水トレイ20ごと無くなったか否かを判定するための判定部52Bを構成するためのプログラムまたは判定する論理回路を比較的シンプルにすることができる。
【0077】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1・1A・1B 加湿装置
5・5A・5B 水位検知装置
10 筐体(収容部)
15 ファン
20 貯水トレイ(容器)
21 加湿フィルタ
25 水(液体)
25a 水面(液面)
30 測距センサ
41 温度センサ
42 湿度センサ
50・50A・50B 制御部
51 水位算出部
52・52A・52B 判定部
53・53A・53B 補正部
54A 推定加湿量算出部
60 記憶部