(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合触媒およびこれを用いて重合されたポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20220928BHJP
C08F 10/02 20060101ALI20220928BHJP
C07F 7/28 20060101ALN20220928BHJP
C07F 7/10 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F10/02
C07F7/28 G
C07F7/10 S
(21)【出願番号】P 2019530122
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(86)【国際出願番号】 KR2017014258
(87)【国際公開番号】W WO2018106028
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2016-0164937
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515358285
【氏名又は名称】ハンファ ケミカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA CHEMICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン スン イ
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】ソ ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒ ジュ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】サン チョル ユン
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-507959(JP,A)
【文献】特表2003-507541(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0244535(US,A1)
【文献】特開2011-231260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60- 4/70
6/00-246/00
C07F 7/28
C07F 7/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式A2またはB2で表される、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【化1】
【化2】
(前記化学式A2およびB2において、互いに独立して、
Mは、チタニウム(Ti)であり、
Qは、シリコン(Si)であり、
Yは、窒素(N)であり、
X
1とX
2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルであり、
R
1およびR
9~R
11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換
であるC
1-20アルキル、置換あるいは非置換
であるC
2-20アルケニル、置換あるいは非置換
であるC
6-20アリール、置換あるいは非置換
であるC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換あるいは非置換
であるC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換あるいは非置換
であるC
1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換
であるC
3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換
であるC
1-20シリルであり、
R
2~R
8は、それぞれ水素である。)
【請求項2】
前記化学式
A2は、下記化学式a-1ないしa-24のうち一つである、請求項1に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
(前記化学式a-1ないしa-24において、それぞれ独立して、
Mは、チタニウムであり、X
1とX
2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルである。)
【請求項3】
前記化学式
B2は、下記化学式b-1ないしb-24のうち一つである、請求項1に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
(前記化学式b-1ないしb-24において、それぞれ独立して、
Mはチタニウムであり、X
1とX
2はそれぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルである。)
【請求項4】
下記化学式A2で表される化合物および下記化学式B2で表される化合物のうち一つ以上を含む主触媒化合物;および
助触媒化合物を含むオレフィン重合触媒。
【化51】
【化52】
(前記化学式A2およびB2において、互いに独立して、
Mは、チタニウム(Ti)であり、
Qは、シリコン(Si)であり、
Yは、窒素(N)であり、
X
1とX
2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルであり、
R
1およびR
9~R
11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換
であるC
1-20アルキル、置換あるいは非置換
であるC
2-20アルケニル、置換あるいは非置換
であるC
6-20アリール、置換あるいは非置換
であるC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換あるいは非置換
であるC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換あるいは非置換
であるC
1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換
であるC
3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換
であるC
1-20シリルであり、
R
2~R
8は、それぞれ水素である。)
【請求項5】
前記助触媒化合物は、下記式1で表される化合物、式2で表される化合物および式3で表される化合物のうち一つ以上を含む、請求項4に記載のオレフィン重合触媒。
【化53】
(前記式1において、nは2以上の整数であり、
R
aは、水素、ハロゲンラジカル、C
1-20ヒドロカルビルラジカルまたはハロゲンに置換されたC
1-20ヒドロカルビルラジカルである。)
【化54】
(前記式2において、Dはアルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、
R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立してハロゲンラジカル、C
1-20のヒドロカルビルラジカルまたはハロゲンに置換されたC
1-20ヒドロカルビルラジカルである。)
【化55】
(前記式3において、Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、
[L-H]
+および[L]
+は、ブレンステッド酸であり、
Zは、13族元素であり、
Aは、それぞれ独立して一つ以上の水素原子がハロゲン、C
1-20ヒドロカルビル、C
1-20アルコキシまたはC
6-20アリールオキシラジカルに置換されるか非置換
であるC
6-20アリールまたはC
1-20アルキルである。)
【請求項6】
前記主触媒化合物は、前記化学式
A2の化合物と前記化学式
B2の化合物の混合物である、請求項
4に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項7】
前記化学式
A2の化合物が前記化学式
B2の化合物よりモル基準含有量が高い、請求項
6に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項8】
前記化学式
A2の化合物と前記化学式
B2の化合物のモル比は、2~4:1である、請求項
7に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項9】
請求項
4ないし
8のいずれか一項に記載のオレフィン重合触媒下
でのオレフィン系単量体の重合
によりポリオレフィン
を製造する方法。
【請求項10】
前記オレフィン系単量体は、C
2-20α-オレフィン(α-olefin)、C
-204
ジオレフィン(diolefin)、C
3-20シクロオレフィン(cyclo-olefin)およびC
-204
シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選ばれる一つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
分子量が250,000Mw以上である、請求項
9に記載の
方法。
【請求項12】
密度が0.908g/cm
3以下である、請求項
9に記載の
方法。
【請求項13】
融点が98℃以下である、請求項
9に記載の
方法。
【請求項14】
エチレンと1-オクテンが共重合されて形成され
る、請求項
9に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合触媒およびこれを用いて重合されたポリオレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合に用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物にシクロペンタジエニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基などのリガンドが配位結合された化合物であり、基本的な形態としてサンドイッチ構造を有する。
【0003】
メタロセン触媒は、前記メタロセン化合物とメチルアルモキサンなどの助触媒を含んで構成されるシングルサイト触媒(single-site catalyst)として、前記メタロセン触媒で重合された高分子は分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一で、チーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
ただし、まだ商業的に用いるには多くの困難があるので、100℃以上の高温でも高い活性、高い共重合性を持つ触媒の開発および経済性に基づく製造技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物とこれを含んで高温でも高い活性、共重合性を有するオレフィン重合触媒およびこれを用いて重合されることによって低密度、高分子量などの優れた物性を有するポリオレフィンを提供することにある。
【0006】
本発明のまた他の目的は、オレフィン重合性能に対する製造単価を節減できる遷移金属化合物の混合物を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式A1またはB1で表される。
【化1】
【化2】
【0009】
前記化学式A1およびB1において、互いに独立して、nは、1~4であり、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Qは、シリコン(Si)または炭素(C)であり、Yは、窒素(N)、リン(P)、酸素(O)または硫黄(S)であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R1~R10は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルである。
【0010】
前記化学式A1は、下記化学式A2であり得る。
【化3】
【0011】
前記化学式A2において、Mはチタニウムであり、Qはシリコンであり、Yは窒素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1およびR9~R11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり、R2~R8はそれぞれ水素であり得る。
【0012】
前記化学式A1は、下記化学式a-1ないしa-24のうち一つであり得る。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【0013】
前記化学式a-1ないしa-24において、それぞれ独立して、Mはチタニウムであり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり得る。
【0014】
前記化学式B1は、下記化学式B2であり得る。
【化28】
【0015】
前記化学式B2において、Mはチタニウムであり、Qはシリコンであり、Yは窒素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1およびR9~R11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり、R2~R8は、それぞれ水素であり得る。
【0016】
前記化学式B1は、下記化学式b-1ないしb-24のうち一つであり得る。
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【0017】
前記化学式b-1ないしb-24において、それぞれ独立して、Mはチタニウムであり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり得る。
【0018】
前記課題を解決するための本発明の他の実施例によるオレフィン重合触媒は、下記化学式A1で表される化合物および下記化学式B1で表される化合物のうち一つ以上を含む主触媒化合物および助触媒化合物を含む。
【化53】
【化54】
【0019】
前記化学式A1およびB1において、互いに独立して、nは、1~4であり、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Qは、シリコン(Si)または炭素(C)であり、Yは、窒素(N)、リン(P)、酸素(O)または硫黄(S)であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R1~R10は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルである。
【0020】
前記化学式A1は下記化学式A2であり、前記化学式B1は下記化学式B2であり得る。
【化55】
【化56】
【0021】
前記化学式A2およびB2において、互いに独立して、Mはチタニウムであり、Qはシリコンであり、Yは窒素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1およびR9~R11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり、R2~R8は、それぞれ水素であり得る。
【0022】
前記助触媒化合物は、下記化学式1で表される化合物、化学式2で表される化合物および化学式3で表される化合物のうち一つ以上を含み得る。
【化57】
【0023】
前記化学式1において、nは2以上の整数であり、R
aは水素、ハロゲンラジカル、C
1-20ヒドロカルビルラジカルまたはハロゲンに置換されたC
1-20ヒドロカルビルラジカルであり得る。
【化58】
【0024】
前記化学式2において、Dは、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立してハロゲンラジカル、C
1-20のヒドロカルビルラジカルまたはハロゲンに置換されたC
1-20ヒドロカルビルラジカルであり得る。
【化59】
【0025】
前記化学式3において、Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+は、ブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して一つ以上の水素原子がハロゲン、C1-20ヒドロカルビル、C1-20アルコキシまたはC6-20アリールオキシラジカルに置換されるか非置換されたC6-20アリールまたはC1-20アルキルであり得る。
【0026】
前記主触媒化合物は、前記化学式A1の化合物と前記化学式B1の化合物の混合物であり得る。
【0027】
前記化学式A1の化合物が前記化学式B1の化合物よりモル基準含有量が高くてもよい。
【0028】
前記化学式A1の化合物と前記化学式B1の化合物のモル比は、2~4:1であり得る。
【0029】
前記課題を解決するための本発明のまた他の実施例によるポリオレフィンは、オレフィン系単量体が上述したオレフィン重合触媒下に重合されて形成される。
【0030】
前記オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cyclo-olefin)およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選ばれる一つ以上を含み得る。
【0031】
前記ポリオレフィンは、分子量が250,000Mw以上であり得る。
【0032】
前記ポリオレフィンは、密度が0.908g/cm3以下であり得る。
【0033】
前記ポリオレフィンは、融点が98℃以下であり得る。
【0034】
前記ポリオレフィンは、エチレンと1-オクテンが共重合されて形成されたものであり得る。
【0035】
その他実施例の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施例によれば、少なくとも次のような効果がある。
本発明の遷移金属化合物を含んで高温でも高い活性および共重合性を有するオレフィン重合触媒を製造することができ、これを用いて重合されたポリオレフィンは、低密度、高分子量などの優れた物性を持つことができる。
【0037】
さらに、リガンドを別途分離せず製造した遷移金属化合物の混合物をそのまま用いることによって、オレフィン重合性能に対する製造単価を節減することができる。
本発明の実施例による効果は、以上で例示した内容によって制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】化学式A3で表される化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムの
1H-NMRスペクトルである。
【
図2】化学式A3で表される化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムと化学式B3で表される化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの混合物(3:1モル比)の
1H-NMRスペクトルである。
【
図3】化学式B3で表される化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの
1H-NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され、本実施例は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0040】
本明細書において、用語「CA-B」は、「炭素数がA以上B以下」であることを意味し、用語「A~B」は、「A以上B以下」であることを意味し、用語「置換あるいは非置換された」において、「置換された」は、「炭化水素化合物または炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンに置換された」ことを意味し、「非置換された」は「炭化水素化合物または炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンに置換されていない」ことを意味する。
【0041】
本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式A1で表されることができる。
【化60】
【0042】
前記化学式A1において、nは、1~4であり、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Qは、シリコン(Si)または炭素(C)等の14族元素であり、Yは、窒素(N)またはリン(P)等の15族元素であるか、R10が非置換される場合、酸素(O)または硫黄(S)等の16族元素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R1~R10は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり得る。
【0043】
具体的には、前記遷移金属化合物は、下記化学式A2で表されることができる。
【化61】
【0044】
前記化学式A2において、Mは、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Qは、シリコンであり、Yは、窒素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1およびR9~R11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり、R2~R8は、それぞれ水素であり得る。
【0045】
より具体的には、前記遷移金属化合物は、下記化学式a-1ないしa-24のうち少なくとも一つであり得る。
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【化76】
【化77】
【化78】
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【化83】
【化84】
【化85】
【0046】
前記化学式a-1ないしa-24において、Mは、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり得る。
【0047】
本発明の他の実施例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式B1で表されることができる。
【化86】
【0048】
前記化学式B1において、nは、1~4であり、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Qは、シリコン(Si)または炭素(C)等の14族元素であり、Yは、窒素(N)またはリン(P)等の15族元素であるか、R10が非置換される場合、酸素(O)または硫黄(S)等の16族元素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R1~R10はそれぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり得る。
【0049】
具体的には、前記遷移金属化合物は、下記化学式B2で表されることができる。
【化87】
【0050】
前記化学式B2において、Mは、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Qは、シリコンであり、Yは、窒素であり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1およびR9~R11は、それぞれ独立して水素、置換あるいは非置換されたC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC2-20アルケニル、置換あるいは非置換されたC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC1-20アルキルC6-20アリール、置換あるいは非置換されたC6-20アリールC1-20アルキル、置換あるいは非置換されたC1-20ヘテロアルキル、置換あるいは非置換されたC3-20ヘテロアリール、または置換あるいは非置換されたC1-20シリルであり、R2~R8は、それぞれ水素であり得る。
【0051】
より具体的には、前記遷移金属化合物は、下記化学式b-1ないしb-24のうち少なくとも一つであり得る。
【化88】
【化89】
【化90】
【化91】
【化92】
【化93】
【化94】
【化95】
【化96】
【化97】
【化98】
【化99】
【化100】
【化101】
【化102】
【化103】
【化104】
【化105】
【化106】
【化107】
【化108】
【化109】
【化110】
【化112】
【0052】
前記化学式b-1ないしb-24において、Mは、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、X1とX2は、それぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり得る。
【0053】
本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒は、前記例示した遷移金属化合物のうち一つ以上を含む主触媒化合物および助触媒化合物を含み得る。
【0054】
主触媒化合物として、前記化学式A1で表される化合物および前記化学式B1で表される化合物のうち一つ以上を含み得る。
【0055】
いくつかの実施例において、主触媒化合物は、前記化学式A1の化合物と前記化学式B1の化合物の混合物であり得る。主触媒化合物において、前記化学式A1の化合物が前記化学式B1の化合物よりモル基準含有量が高くてもよく、より具体的には前記化学式A1の化合物と前記化学式B1の化合物のモル比は、2~4:1であり得る。
【0056】
例示的な実施例において、化学式A1と化学式B1の遷移金属化合物の製造過程のうちリガンド合成段階で化学式A1のリガンドと化学式B1のリガンドに対する別途の分離なしに合成を進めることによって、化学式A1の化合物と化学式B1の化合物が3:1のモル比で混合された混合物を得ることができ、前記混合物をそのまま用いることによって、オレフィン重合性能に対する重合触媒の製造単価を節減することができる。
【0057】
しかし、これに限定されるものではなく、分離した化学式A1の化合物または化学式B1の化合物を単独で用いることもでき、分離後に化学式A1の化合物と化学式B1の化合物を再び混合して用いることもできる。
【0058】
前記化学式A1で表される化合物は、前記化学式A2で表される化合物であるか、前記化学式a-1ないしa-24で表される化合物のうち少なくとも一つであり得る。
【0059】
前記化学式B1で表される化合物は、前記化学式B2で表される化合物であるか、前記化学式b-1ないしb-24で表される化合物のうち少なくとも一つであり得る。
【0060】
助触媒化合物は、下記化学式1で表される化合物、化学式2で表される化合物および化学式3で表される化合物のうち一つ以上を含み得る。
【化113】
【0061】
前記化学式1において、nは2以上の整数であり、R
aは水素、ハロゲンラジカル、C
1-20ヒドロカルビルラジカルまたはハロゲンに置換されたC
1-20ヒドロカルビルラジカルであり得る。
【化114】
【0062】
前記化学式2において、Dは、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立してハロゲンラジカル、C
1-20のヒドロカルビルラジカルまたはハロゲンに置換されたC
1-20ヒドロカルビルラジカルであり得る。
【化115】
【0063】
前記化学式3において、Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+は、ブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して一つ以上の水素原子が置換されるか非置換されたC6-20アリールまたはC1-20アルキルであり得、前記水素原子は、ハロゲン、C1-20ヒドロカルビル、C1-20アルコキシまたはC6-20アリールオキシラジカルに置換され得る。
前記オレフィン重合触媒は、担体をさらに含み得る。
【0064】
担体は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物を担持できるものであれば、特に制限されない。例示的な実施例において、担体は、炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライト、塩化マグネシウムなどであり得る。
【0065】
担体にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物および助触媒化合物を担持する方法として、物理的吸着方法または化学的吸着方法を用いることができる。
【0066】
例示的な実施例において、物理的吸着方法は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法、またはオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥してオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が担持された担体を製造し、これと別に助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥して助触媒化合物が担持された担体を製造した後、これらを混合する方法などであり得る。
【0067】
例示的な実施例において、化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物を先に担持させた後、助触媒化合物にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を担持させる方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面の水酸基(-OH))と触媒化合物を共有結合させる方法などであり得る。
【0068】
遷移金属化合物を含む主触媒化合物の担持量の総合は、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり得、助触媒化合物の担持量は、担体1gを基準に2mmol~15mmolであり得る。
【0069】
しかし、このような担体は必須として含まなければならないものではなく、必要に応じてその使用可否を適切に選択することができる。
【0070】
上述したような本発明のオレフィン重合触媒下にオレフィン系単量体を重合させてポリオレフィンを形成することができる。
【0071】
ポリオレフィンは、例えばフリーラジカル(free radical)、陽イオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)等の重合反応によって重合された単独重合体(homopolymer)または共重合体(copolymer)であり得るが、これに制限されるものではない。
【0072】
例示的な実施例において、ポリオレフィンは、気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法等により製造され得る。ポリオレフィンが溶液重合法またはスラリー重合法により製造される場合、用いられる溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子に置換された炭化水素溶媒;これらの混合物などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0073】
オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cyclo-olefin)およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選ばれる一つ以上であり得る。
【0074】
例示的な実施例において、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ハプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンなどであり得、ポリオレフィンは、前記例示したオレフィン系単量体を1種のみを含む単独重合体であるか2種以上含む共重合体であり得る。
【0075】
好ましくは、ポリオレフィンは、エチレンと1-オクテンが共重合された共重合体であり得るが、これに限定されるものではない。
【0076】
本発明のオレフィン重合触媒下に重合されたポリオレフィンは、分子量が250,000Mw以上であり得、具体的には、密度が0.908g/cm3以下であるとき分子量が300,000Mw以上のものであり得る。また、前記ポリオレフィンは、密度が0.908g/cm3以下であり、融点が98℃以下であり、触媒活性度が80kg/mmol.h以上であり得る。
【0077】
重合されたポリオレフィンの分子量が250,000Mw以上であれば、ポリオレフィンの引張強度の側面から有利であり、密度が0.908g/cm3以下であるか、融点が98℃以下であれば、ポリオレフィンの弾性率および透明性の側面から有利であり、触媒活性度が80kg/mmol.h以上であれば触媒の使用量に対する重合反応性に優れるので、ポリオレフィンの生産コスト削減の側面から有利である。
【0078】
より具体的には、化学式A1の化合物または化学式B1の化合物のうち1種のみを含むオレフィン重合触媒だけでなく、上述した通りリガンドの分離なしに合成を進めて得られた化学式A1の化合物および化学式B1の化合物の混合物を含むオレフィン重合触媒下に重合されたポリオレフィンも上のような優れた物性を持つことができる。すなわち、別途の分離なしに化学式A1の化合物および化学式B1の化合物の混合物をそのまま用いることによって、オレフィン重合性能に対する重合触媒の製造単価を節減することができる。
【0079】
以下、本発明のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物のうち下記化学式A3で表される化合物、化学式B3で表される化合物およびこれの混合物に対する具体的な製造例と、これを含むオレフィン重合触媒下に重合されたポリオレフィンの物性を評価する具体的な実験例について述べる。
【化116】
【化117】
【0080】
<製造例1>化学式A3の化合物の製造
製造例1-1:2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オンの製造
AlCl3(25.2g、189mmol)をジクロロメタン(200mL)に分散させた溶液に2-ブロモ-2-メチルプロパノイルブロミド(17.4g、76mmol)と1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(10.0g、76mmol)をジクロロメタン(200mL)に希釈した溶液も0℃で投入した。投入完了後、常温で12時間攪拌し、0℃で水を添加して反応を終えた。以後、有機層を抽出し、真空下で溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーにより2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オン7.9g(52%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.50(d,1H),7.10(d,1H),3.22(dd,1H),2.86-2.83(m,2H),2.69-2.66(m,3H),2.50(dd,1H),1.92-1.77(m,4H),1.30(d,3H).
【0081】
製造例1-2:2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オールの製造
前記製造例1-1で製造した2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オン(5.9g、29mmol)をメタノール(80mL)に希釈した溶液にソジウムボロハイドライド(NaBH4)(1.3g、35mmol)を0℃で添加した後常温に徐々に昇温させた後、1時間攪拌した。反応終結後に真空下でメタノールを除去した後、水とジクロロメタンを入れた後に有機層を抽出した。以後、マグネシウムスルファートで水分を除去し、真空下で溶媒を除去して2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オール5.9g(99%、異性体混合物)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.19-7.13(m,1H),7.01-6.96(m,1H),4.96,4.71(2broad t,1H),2.4-3.1(m,6H),2.30-2.24(m,1H),1.82-1.75(m,4H),1.68,1.37(2d,1H),1.25,1.18(2d,3H).
【0082】
製造例1-3:2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレンの製造
前記製造例1-2で製造した2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オール(5.9g、29mmol)とp-トルエンスルホン酸(0.5mol%)をトルエン(60mL)に入れた後、110℃で還流させながら1時間攪拌した。反応終結後にマグネシウムスルファートで水を除去して真空下で溶媒を除去し、2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン5.2g(97%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.00(2d,2H),6.45(s,1H),3.12(s,2H),2.81(t,2H),2.71(t,2H),2.15(s,3H),1.85-1.82(m,4H).
【0083】
製造例1-4:(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)クロロジメチルシランの製造
前記製造例1-3で製造した2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン(3.2g、17mmol)をヘキサン(80mL)に希釈した溶液にn-ブチルリチウム(8.2g、19mmol、1.6Mヘキサン溶液)を-30℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後に12時間攪拌した。攪拌後、生成された白色固体を濾過した後真空下で乾燥してリチウム塩化合物2.7g(81%)を得た。
ジクロロジメチルシラン(Me2SiCl2)(5.5g、42mmol)をジエチルエーテル(80mL)に希釈した溶液に前記リチウム塩化合物(2.7g、14mmol)をジエチルエーテル(40mL)に分散させて-78℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。反応終結後に真空下で溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下で溶媒を除去した後(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)クロロジメチルシラン3.3g(85%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.18(d,1H),6.83(d,1H),6.66(s,1H),3.52(s,1H),2.81-2.79(m,4H),2.28(s,3H),1.84-1.81(m,4H),0.42(s,3H),0.12(s,3H).
【0084】
製造例1-5:N-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)シランアミンの製造
t-ブチルアミン(t-BuNH2)(3.5g、48mmol)をTHF(20mL)に希釈した溶液に前記製造例1-4で製造した(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)クロロジメチルシラン(3.3g、12mmol)をTHF(30mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。反応終結後に真空下ですべての溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下でヘキサンを除去した後、N-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)シランアミン3.7g(99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.17(d,1H),6.78(d,1H),6.57(s,1H),3.33(s,1H),2.82-2.79(m,4H),2.27(s,3H),1.84-1.81(m,4H),1.12(s,9H),0.60(broad s,1H),0.13(s,3H),0.11(s,3H).
【0085】
製造例1-6:ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムの製造
前記製造例1-5で製造したN-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)シランアミン(676mg、2.2mmol)をジエチルエーテル20mlに希釈した溶液にメチルリチウム(4.0g、8.8mmol、1.6Mジエチルエーテル溶液)を-30℃で添加した後、常温に徐々に昇温させた後2時間攪拌した。以後、TiCl
4(409mg、2.2mmol)をPentane(4mL)に希釈して-30℃でゆっくり添加した後2時間攪拌した。反応終結後に真空下ですべての溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下でヘキサンを除去した後、前記化学式A3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウム670mg(80%)を得た。
図1は化学式A3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムの下記のような
1H-NMRスペクトルを示すものである。
1H-NMR(CDCl
3,300MHz):δ 7.20(d,1H),6.96(s,1H),6.79(d,1H),2.93-2.77(m,4H),2.15(s,3H),1.89-1.85(m,4H),1.50(s,9H),0.65(s,3H),0.57(s,3H),0.50(s,3H),0.60(s,3H).
【0086】
<製造例2>化学式A3の化合物と化学式B3の化合物の混合物の製造
製造例2-1:2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オンと2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オンの混合物の製造
AlCl3(25.2g、189.1mmol)をジクロロメタン(400mL)に分散させた溶液に2-ブロモ-2-メチルプロパノイルブロミド(17.4g、75.64mmol)と1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(10.0g、72.64mmol)をジクロロメタン(100mL)に希釈した溶液も0℃で投入した。投入完了後、常温で12時間攪拌した。以後、0℃で水を添加して反応を終結して有機層を抽出した後、真空下で溶媒を除去して2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オンと2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オンの混合物14.9g(98%)を得た。
1H-NMR (CDCl3,300MHz):δ 7.50(d,1H),7.47(s,1H),7.15(s,1H),7.09(d,1H),3.35-3.17(m,2H),2.85-2.83(m,4H),2.69-2.48(m,8H),1.86-1.81(m,8H),1.32-1.28(d,6H).
【0087】
製造例2-2:2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オールと2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オールの混合物の製造
前記製造例2-1で製造した2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オンと2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オンの混合物(9.7g、48.35mmol)をメタノール(150mL)に希釈した溶液にソジウムボロハイドライド(NaBH4)(2.2g、58.02mmol)を0℃で添加した後、常温に徐々に昇温させた後、2時間攪拌した。反応終結後に真空下でメタノールを除去した後、水とジクロロメタンを入れた後に有機層を抽出した。以後、マグネシウムスルファートで水分を除去し、真空下で溶媒を除去して2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オールと2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オールの混合物9.7g(99%、異性体混合物)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.19-7.10(m,2H),7.01-6.93(m,2H),4.99-4.65(m,2H),3.07-2.49(m,12H),2.31-2.22(m,2H),1.83-1.76(m,10H),1.45-1.15(m,8H).
【0088】
製造例2-3:2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレンと2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレンの混合物の製造
前記製造例2-2で製造した2-メチル-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オールと2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オールの混合物(9.0g、44.55mmol)とp-トルエンスルホン酸(0.5mol%)をトルエン(100mL)に入れた後110℃で還流させながら1時間攪拌した。反応終結後にマグネシウムスルファートで水を除去し、真空下で溶媒を除去して2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレンと2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレンの混合物(3:1モル比)7.9g(96%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.08(s,1H),7.07(d,2H),6.97(s,1H),6.47(s,1H),6.42(s,1H),3.25(s,2H),3.14(s,2H),2.85-2.71(m,8H),2.18(s,3H),2.15(s,3H),1.90-1.82(m,8H).
【0089】
製造例2-4:(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)クロロジメチルシランと(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)クロロジメチルシランの混合物の製造
前記製造例2-3で製造した2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレンと2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレンの混合物(7.5g、40.96mmol)をヘキサン(250mL)に希釈した溶液にn-ブチルリチウム(19.1g、45.06mmol、1.6Mヘキサン溶液)を-30℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。攪拌後、生成された白色固体を濾過した後真空下で乾燥してリチウム塩化合物7.0g(90%)を得た。
ジクロロジメチルシラン(Me2SiCl2)(13.9g、107.6mmol)をジエチルエーテル(100mL)に希釈した溶液に前記リチウム塩化合物(6.8g、35.87mmol)をジエチルエーテル(50mL)に分散させて-78℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。反応終結後に真空下で溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下で溶媒を除去した後(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)クロロジメチルシランと(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)クロロジメチルシランの混合物(3:1モル比)9.4g(94%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.18(d,1H),7.12-7.03(m,2H),6.84(d,1H),6.66(s,1H),6.51(s,1H),3.60-3.45(m,2H),2.90-2.70(m,8H),2.27-2.17(m,6H),1.90-1.70(m,8H),0.42(s,6H),0.12(s,6H).
【0090】
製造例2-5:N-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)シランアミンとN-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)シランアミンの混合物の製造
t-ブチルアミン(t-BuNH2)(6.6g、90.03mmol)をTHF(70mL)に希釈した溶液に前記製造例2-4で製造した(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)クロロジメチルシランと(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)クロロジメチルシランの混合物(6.2g、22.51mmol)をTHF(80mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。反応終結後に真空下ですべての溶媒を除去した後、ヘキサンで抽出して濾過した。真空下でヘキサンを除去した後N-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)シランアミンとN-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)シランアミンの混合物(3:1モル比)6.95g(99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.42-6.77(m,4H),6.57-6.42(m,2H),3.70-3.18(m,2H),2.70-2.90(m,8H),2.10-2.30(m,6H),1.70-1.90(m,8H),1.20(s,9H),1.15(s,9H),0.60(s,2H),0.13(s,6H),-0.11(s,6H).
【0091】
製造例2-6:ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムとジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの混合物の製造
前記製造例2-5で製造したN-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)シランアミンとN-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)シランアミンの混合物(3.2g、10.25mmol)をジエチルエーテル100mLに希釈した溶液にメチルリチウム(19.0g、42.02mmol、1.6Mジエチルエーテル)を-30℃で添加した後、常温に徐々に昇温させた後2時間攪拌した。以後、TiCl
4(1.9g、10.25mmol)をペンタン(4mL)に希釈して-30℃でゆっくり添加した後、2時間攪拌した。反応終結後に真空下ですべての溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下でヘキサンを除去した後、前記化学式A3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムと前記化学式B3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの混合物(3:1モル比)3.1g(84%)を得た。
図2は化学式A3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-3-イル)ジメチルチタニウムと化学式B3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの混合物(3:1モル比)の下記ような
1H-NMRスペクトルを示すものである。
1H-NMR(CDCl
3,300MHz):δ 7.36(s,1H),7.20(d,1H),7.15(s,1H),6.96(s,1H),6.91(s,1H),6.78(d,1H),2.93-2.70(m,8H),2.15(s,3H),2.13(s,3H),1.88-1.77(m,8H),1.49(s,18H),0.65(s,6H),0.57(s,6H),0.50(s,6H),-0.58(s,6H).
【0092】
<製造例3>化学式B3の化合物の製造
製造例3-1:2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オンの製造
AlCl3(25.2g、2.5eq.)をジクロロメタン(500mL)に分散させた溶液に2-ブロモ-2-メチルプロパノイルブロミド(17.4g)と1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(10.0g)をジクロロメタン(50mL)に希釈した溶液も0℃で投入した。投入完了後、常温で12時間攪拌した。以後、0℃で水を添加して反応を終結し、有機層を抽出した後、真空下で溶媒を除去してカラムクロマトグラフィーにより2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オンを得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.46(s,1H),7.14(s,1H),3.34-3.26(m,1H),2.84-2.82(m,4H),2.71-2.60(m,2H),1.82-1.80(m,4H),1.28(d,2H).
【0093】
製造例3-2:2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オールの製造
前記製造例3-1で製造した2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オン(2.0g、10.05mmol)をメタノール(100mL)に希釈した溶液にソジウムボロハイドライド(NaBH4)(456mg、12.06mmol)を0℃で添加した後、常温に徐々に昇温させた後2時間攪拌した。反応終結後に真空下でメタノールを除去した後、水とジクロロメタンを入れた後に有機層を抽出した。以後、マグネシウムスルファートで水分を除去した後、真空下ですべての溶媒を除去して2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オール2.0g(99%、異性体混合物)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.12(s,1H),7.09(s,1H),6.94(s,1H),6.92(s,1H),4.93(broad t,1H),4.67(broad t,1H),3.09-2.36(m,12H),2.27-2.17(m,2H),1.79-1.77(m,8H),1.65(d,1H),1.36(d,1H),1.23(d,3H),1.14(d,3H).
【0094】
製造例3-3:2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレンの製造
前記製造例3-2で製造した2-メチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オール(1.6g、8.13mmol)とp-トルエンスルホン酸(0.5mol%)をトルエン(30mL)に入れた後、110℃で還流させながら1時間攪拌した。反応終結後、マグネシウムスルファートで水を除去して真空下で溶媒を除去して2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン1.5g(97%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.07(s,1H),6.96(s,1H),6.40(s,1H),3.23(s,2H),2.77-2.90(m,4H),2.13(s,3H),1.78-1.83(m,4H).
【0095】
製造例3-4:(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)クロロジメチルシランの製造
前記製造例3-3で製造した2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン(1.4g、7.43mmol)をヘキサン(50mL)に希釈した溶液にn-ブチルリチウム(3.5g、8.17mmol、1.6Mヘキサン溶液)を-30℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。攪拌後、生成された白色固体を濾過した後真空下で乾燥してリチウム塩化合物1.3g(92%)を得た。
ジクロロジメチルシラン(Me2SiCl2)(2.5g、19.69mmol)をジエチルエーテル(30mL)に希釈した溶液に前記リチウム塩化合物(1.2g、6.56mmol)をジエチルエーテル(20mL)に分散させて-78℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。反応終結後に真空下で溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下で溶媒を除去した後(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)クロロジメチルシラン1.6g(90%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.12-7.00(m,2H),6.52(s,1H),3.61-3.45(m,1H),2.70-2.90(m,4H),2.17-2.23(m,3H),1.70-1.85(m,4H),0.41(s,3H),0.14(s,3H).
【0096】
製造例3-5:N-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)シランアミンの製造
t-ブチルアミン(t-BuNH2)(1.5g、20.58mmol)をTHF(20mL)に希釈した溶液に前記製造例3-4で製造した(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)クロロジメチルシラン(1.4g、5.15mmol)をTHF(30mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後、常温に徐々に昇温させた後12時間攪拌した。反応終結後に真空下ですべての溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下でヘキサンを除去した後N-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)シランアミン1.5g(94%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.31-6.85(m,2H),6.52-6.41(m,1H),3.63-3.24(m,1H),2.60-2.85(m,4H),2.21-2.03(m,6H),1.75-1.85(m,4H),1.19-1.15(m,9H),0.39(s,1H),0.07(s,3H),-0.11(s,3H).
【0097】
製造例3-6:ジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの製造
前記製造例3-5で製造したN-tert-ブチル-1,1-ジメチル-1-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)シランアミン(1.0g、3.31mmol)をジエチルエーテル20mLに希釈した溶液にメチルリチウム(6.1g、13.24mmol、1.6Mジエチルエーテル溶液)を-30℃で添加した後、常温に徐々に昇温させた後2時間攪拌した。以後、TiCl
4(628mg、3.31mmol)をペンタン(4mL)に希釈して-30℃でゆっくり添加した後、2時間攪拌した。反応終結後に真空下ですべての溶媒を除去した後ヘキサンで抽出して濾過した。真空下でヘキサンを除去した後前記化学式B3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウム985mg(83%)を得た。
図3は化学式B3の化合物であるジメチルシリル(t-ブチルアミド)(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-イル)ジメチルチタニウムの下記のような
1H-NMRスペクトルを示すものである。
1H-NMR(CDCl
3,300MHz):δ 7.36(s,1H),7.15(s,1H),6.91(s,1H),2.88-2.70(m,4H),2.13(s,3H),1.81-1.74(m,4H),1.49(s,9H),0.65(s,3H),0.56(s,3H),0.50(s,3H),-0.58(s,3H).
【0098】
<製造例4>化学式A3の化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-オクテン共重合体の合成
前記化学式A3の化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次の通りエチレンと1-オクテンを共重合した。
先に、2Lオートクレーブ反応器にヘキサン溶媒(1L)と1-オクテン(45g)を加えた後、反応器の温度を70℃に予熱した。次に、トリイソブチルアルミニウム化合物で処理した前記製造例1で製造した化学式A3の遷移金属化合物(4x10-6M)を触媒貯蔵タンクに入れた後、高圧のアルゴン圧力を加えて反応器に入れ、2.4x10-5Mのジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒を高圧アルゴン圧力を加えて反応器に入れた。重合反応は5分間行い、反応熱は反応器内部の冷却コイルにより除去して重合温度を90℃に最大限一定に維持した。重合反応後、残ったガスを取り出して高分子溶液を反応器の下部に排出させた後、過量のエタノールを加えて冷却させて沈殿を誘導した。得られた高分子をエタノールおよびアセトンでそれぞれ2~3回洗浄した後、80℃真空オーブンで12時間以上乾燥してエチレン-1-オクテン共重合体を得た。
【0099】
<製造例5>化学式A3の化合物と化学式B3の化合物の混合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-オクテン共重合体の合成
遷移金属化合物として化学式A3の化合物と化学式B3の化合物の混合物(3:1モル比)を用いたことを除いては、前記製造例4と同様の方法によりエチレン-1-オクテン共重合体を得た。
【0100】
<製造例6>化学式B3の化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-オクテン共重合体の合成
遷移金属化合物として化学式B3の化合物を用いたことを除いては、前記製造例4と同様の方法によりエチレン-1-オクテン共重合体を得た。
【0101】
<比較例>Dimethylsilylene(t-butylamido)(indenyl)titanium dimethylを含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-オクテン共重合体の合成
遷移金属化合物として下記化学式Dで表されるDimethylsilylene(t-butylamido)(indenyl)titanium dimethylを用いたことを除いては、前記製造例4と同様の方法によりエチレン-1-オクテン共重合体を得た。
【化118】
【0102】
<実験例>エチレンおよび1-オクテン共重合体の物性測定
前記製造例4~6および比較例で重合されたエチレン-1-オクテン共重合体の物性を測定した。その結果は下記表1のとおりである。
【表1】
【0103】
前記表1に示す通り、本発明の化学式A3の化合物または化学式B3の化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて製造したオレフィン重合体は、比較例で製造したオレフィン重合体より密度、分子量、融点および触媒活性度などの物性が顕著に優れていることが分かった。
【0104】
また、化学式A3と化学式B3の遷移金属化合物の製造過程のうちリガンド合成段階で化学式A3のリガンドと化学式B3のリガンドに対する別途の分離なしに合成を行って得られた化学式A3の化合物と化学式B3の化合物の混合物を用いた場合にも(製造例5)、比較例で製造したオレフィン重合体より物性が顕著に優れたオレフィン重合体を得ることができた。一部の物性(分子量、触媒活性度)は、製造例4または6で得たオレフィン重合体よりも優れていた。
【0105】
上述した実験により、本発明のオレフィン重合触媒を用いる場合、低密度、高分子量、高活性の側面から優れたポリオレフィン形成が可能であり、別途の分離なしに製造された遷移金属化合物の混合物をそのまま用いることによって、重合性能に対する製造単価を節減できることを確認することができる。
【0106】
以上、例示した化学構造式と製造例などを参照して本発明の思想に属する実施例を具体的に説明した。ただし、本発明の思想は例示した化学構造式と製造例などに制限されるものではなく、例示した化学構造式と製造例などに基づいて本発明の思想は多様に変形することができる。例示した化学構造式と製造例などは、発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明の思想の権利範囲は請求項の範疇によってのみ定義される。したがって、上記実施例はすべての面で例示的なものであり限定的なものではないと理解しなければならない。