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特許7148543発光素子搭載用基板およびアレイ基板、ならびに発光装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】発光素子搭載用基板およびアレイ基板、ならびに発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0233 20210101AFI20220928BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20220928BHJP
【FI】
H01S5/0233
H01S5/022
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019555293
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2018042632
(87)【国際公開番号】W WO2019102956
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2017225960
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018075456
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古久保 洋二
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/031446(WO,A1)
【文献】特開平07-038208(JP,A)
【文献】特開2005-223083(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183638(WO,A1)
【文献】特開2006-196505(JP,A)
【文献】国際公開第2005/054921(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板と、
前記基板のおもて面から突出した台座と、を備えており、
該台座は、上面に発光素子を搭載するための搭載部を有し、
該搭載部は、前記おもて面に対して傾斜した傾斜面を成しており、
前記傾斜面のうち前記発光素子と接する部位の少なくとも一部は、前記搭載部に搭載される前記発光素子の発光面に対して垂直となっており、
前記基板と前記台座とはセラミックスで一体的に形成されており、
前記台座は、前記上面が上側に凸状に湾曲している、
発光素子搭載用基板。
【請求項2】
前記基板は、対向する2つの端面を有しており、
前記傾斜面において、前記おもて面からの高さの低い方を低位部としたときに、前記低位部が前記2つの端面のうちの一つに沿って配置されている、請求項1に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項3】
前記低位部が前記おもて面から0より大きい高さを有している、請求項2に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項4】
前記台座は、前記低位部側に前記傾斜面から突き出た堤部を有している、請求項2または3に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項5】
前記台座は、前記堤部の前記搭載部側に隣接する位置に溝部を有する、請求項4に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項6】
前記基板は、前記2つの端面に対してそれぞれ直角な位置に側面を有し、前記おもて面における前記側面側に、前記側面に沿って、前記おもて面に対して立設している第1壁部材が設けられている、請求項2乃至5のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項7】
前記おもて面における、前記2つの端面のうちの一方の端面側に、前記おもて面に対して立設している第2壁部材が設けられており、前記第1壁部材と前記第2壁部材とは、前記2つのの端面のうちの一方の端面および前記側面が交差する角部の一つで繋がっている、請求項6に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項8】
前記基板は、平面視したときの形状が矩形状であり、前記おもて面の角部のうち、前記第1壁部材および前記第2壁部材が設けられていない角部に、前記おもて面に対して立設している柱部材が設けられている、請求項7に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項9】
前記台座は、前記上面に凹部を有し、該凹部が前記搭載部となる、請求項1乃至8のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項10】
前記凹部の底面は、前記凹部以外の前記上面と平行である、請求項9に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項11】
前記凹部内の前記傾斜面において、前記おもて面からの高さの低い方を低位部とし、前記おもて面からの高さの高い方を高位部としたときに、前記凹部は、前記凹部以外の前記上面から前記傾斜面までの深さが、前記低位部側から前記高位部側に向けて深くなっている、請求項9に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項12】
前記凹部内の前記傾斜面において、前記おもて面からの高さの低い方を低位部とし、前記おもて面からの高さの高い方を高位部としたときに、前記凹部が前記低位部側および前記高位部側にそれぞれ内壁を有しており、前記低位部側の前記内壁および前記高位部側の前記内壁のうちの少なくとも一方の前記内壁が、前記基板の前記おもて面に対して垂直である、請求項9乃至11のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項13】
前記台座は、前記上面に一体的に形成されており、円柱または角柱を成す、前記発光素子の搭載位置を決めるための位置決め基準を有する、請求項1乃至12のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項14】
円柱または角柱を成す前記位置決め基準の上底面が、前記基板の前記おもて面に対して平行である、請求項13に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項15】
前記おもて面からの高さの低い方を低位部とし、前記おもて面からの高さの高い方を高位部としたときに、前記位置決め基準が前記上面に複数個設けられており、複数個の前記位置決め基準は、前記台座の前記高位部から前記低位部の方向または該方向に対して垂直な方向に配置されている、請求項13または14に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項16】
前記台座は、前記上面が凹凸状である、請求項1乃至15のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項17】
請求項1乃至16のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板が複数個連結されている、アレイ基板。
【請求項18】
請求項1乃至16のうちいずれかに記載の発光素子搭載用基板の前記搭載部に発光素子を有し、
前記搭載部は、前記おもて面に対して傾斜した傾斜面を成しており、
前記傾斜面のうち前記発光素子と接する部位の少なくとも一部は、前記搭載部に搭載される前記発光素子の発光面に対して垂直となっている
発光装置。
【請求項19】
請求項17に記載のアレイ基板のそれぞれの前記搭載部に発光素子を有し、
前記搭載部は、前記おもて面に対して傾斜した傾斜面を成しており、
前記傾斜面のうち前記発光素子と接する部位の少なくとも一部は、前記搭載部に搭載される前記発光素子の発光面に対して垂直となっている
発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、発光素子搭載用基板およびアレイ基板、ならびに発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ光を放出する発光素子を搭載するための発光素子搭載用パッケージが開示されている。発光素子搭載用パッケージは、外部に熱を放出するメタルベースと、メタルベース上にハンダなどの接合材で固着されたセラミックス製のサブマウントとを有し、サブマウント上に発光素子が搭載される構造である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-116514号公報
【発明の概要】
【0004】
実施形態の一態様に係る発光素子搭載用基板は、平板状の基板と、前記基板のおもて面から突出し、発光素子が搭載される搭載面を有する1つ以上の台座と、を備え、前記搭載面が前記基板の対向する2つの端面の方向に前記おもて面からの高さが異なり、前記おもて面に対して傾斜した傾斜面を成しており、前記基板と前記台座とはセラミックスで一体的に形成されている。
【0005】
実施形態の一態様に係るアレイ基板は、上記の発光素子搭載用基板が複数個連結されている。
【0006】
実施形態の発光装置は、上記の発光素子搭載用基板の搭載部または上記のアレイ基板の搭載部に発光素子を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の発光素子搭載用基板の利用形態の一例を示す模式図である。
図2図1のii-ii線断面図である。
図3】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図4】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図5】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図6】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図7図6のvii-vii線断面図である。
図8】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図9図8のix-ix線断面図である。
図10】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図11】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図12】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図13】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図14】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図15】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図16】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す断面図である。
図17】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図18】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図19】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図20】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図21図20のxx-xx線断面図である。
図22】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。
図23】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す断面図である。
図24】発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す断面図である。
図25図24に示したSo部を拡大した断面図である。
図26】実施形態のアレイ基板を模式的に示す斜視図である。
図27】実施形態の発光素子搭載用基板の一製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の一態様は、発光素子から放出される光が対象物に当たった後にも、反射した光を発光素子の発光面に入りにくくすることのできる発光素子搭載用基板と、これを複数個連結したアレイ基板を提供するものである。
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する発光素子搭載用基板およびアレイ基板の実施形態について説明する。ここで、発光素子としては、レーザーダイオード(Laser Diode)および発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを挙げることができる。以下に示す各実施形態は、とりわけレーザーダイオード用として有用なものとなる。
【0010】
図1は、実施形態の発光素子搭載用基板の利用形態の一例を示す模式図である。図1では、発光素子5を実装した発光素子搭載用基板Aを示している。以下、発光素子5を実装した発光素子搭載用基板Aのことを発光装置と表記する場合がある。また、図1では、光phの反射する表面7aを有する基材7を設置した状態を示している。図2は、図1のii-ii線断面図である。図1において、発光素子5および光phが反射する表面7aを有する基材(以下、基材7と表記する。)については、説明の便宜上、仮想的な形態で示している。このため発光素子5および基材7については、その形状を破線で表している。
【0011】
図1などに示すように、実施形態に係る発光素子搭載用基板Aは、平板状の基板1と、基板1のおもて面1aから上方に突出する台座3とを備えている。また、台座3の上面3aには搭載部3aaが設けられている。かかる搭載部3aaに発光素子5が搭載される。この場合、発光素子5の形状としては、例えば、六面体形状あるいは円筒形状の柱状体を想定する。発光素子5の発光面5aが向く位置には基材7が配置される。基材7は発光素子5から放出される光phが当たった後に反射する性質を有している。ここで、図1に示す発光素子搭載用基板Aを構成する台座3の上面3aは、基板1の対向する2つの端面1b、1cの方向におもて面1aからの高さhが異なる。言い換えると、上面3aは、基板1のおもて面1aに対して傾斜している。図1、2では、台座3の高さhの低い方を低位部3Lとし、高さhの高い方を高位部3Hとして表している。以下、傾斜している上面3aのことを傾斜面3aと表記する場合がある。台座3の低位部3Lは、台座3の上面3aを基板1の端面1b側から端面1c側に向けた長さの範囲で3等分した場合における端面1b側の部位のことである。一方、高位部3Hは、台座3の上面3aを基板1の端面1b側から端面1c側に向けた長さの範囲で3等分した場合における端面1c側の部位である。なお、図1、2に示した発光素子搭載用基板Aは、発光素子5の発光面5a側で傾斜面3aの高さが低く、発光面5aとは反対側が高くなった配置であるが、これ以外に、台座3の高位部3H側が発光素子5の発光面5a側となるように台座3の向きを反対向きに配置しても良い。
【0012】
傾斜面3aの搭載部3aaに発光素子5を実装した場合、発光素子5の発光面5aは傾斜面3aに対して垂直な面となる。そうすると、発光面5aから放出される光phは傾斜面3aにほぼ平行な向きに放出される。発光素子搭載用基板Aを構成する基板1に対して垂直な向きに基材7が配置されている場合、発光面5aから放出される光phは基材7の表面7aに対して、直角ではなく、直角よりも小さい角度θ1で当たることになる。基材7の表面7aに当たって反射した光phは、図2に示しているように、光phが基材7の表面7aに当たった角度θ1と同程度の角度θ2で反射するようになる。その結果、発光素子5から放出された光phが基材7の表面7aに当たって反射しても発光素子5の発光面5aの方向に反射して帰ってくる割合を小さくすることができる。つまり、発光素子搭載用基板Aによれば、反射した光phが発光素子5の発光面5aに入る割合を小さくすることができる。このため発光素子搭載用基板Aによれば、発光素子5の出力の低下を抑えることが可能となる。また、発光素子5の長寿命化を図ることができる。
【0013】
また、この発光素子搭載用基板Aでは、基板1と台座3とはセラミックスで一体的に形成されている。基板1および台座3はセラミック粒子の焼結体によって構成されている。すなわち、発光素子搭載用基板Aには、発光素子5が搭載される台座3と、外部に熱を放出する機能を有する基板1との間には界面が設けられていない。台座3と基板1との間に界面が存在すると大きな熱抵抗が生じる可能性が高くなる。界面に異種材料が含まれる場合も同様である。これにより基板1と台座3との間の熱抵抗を小さくすることができる。その結果、台座3から基板1に効率よく熱を伝えることができる。したがって、放熱性の高い発光素子搭載用基板Aを実現することができる。
【0014】
基板1および台座3には、種々のセラミックスを適用することが可能である。この場合、特に、熱伝導率が高くかつ熱膨張率が発光素子5(例えば、レーザーダイオード)に近いという点から窒化アルミニウムが好適なものとなる。
【0015】
なお、図1および図2には図示していないが、発光素子搭載用基板Aには、必要に応じて、基板1のおもて面1a、裏面1aaおよび内部、台座3の搭載面3a、側面および内部に導体が設けられる。以下、同様に、図3図24に示す発光素子搭載用基板B~Sおよびアレイ基板Tについても導体が設けられる。導体の材料としては、基板1および台座3に窒化アルミニウムを適用した場合に、同時焼成が可能であるという点からタングステン(W)、モリブデン(Mo)およびこれらの合金あるいはこれに銅などを複合化した金属材料のうちのいずれかが適したものとなる。
【0016】
図3は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図3に示す発光素子搭載用基板Bは、低位部3Lがおもて面3aから0より大きい高さを有している。基板1のおもて面3aから上面(傾斜面)3aまでの高さhの低い方の部位(低位部3L)が基板1のおもて面1aから所定の高さh1を有している構造である。この場合も、図1、2に示した発光素子搭載用基板Aと同じような効果を奏するものとなる。発光素子搭載用基板Bは発光素子搭載用基板Aに比べて台座3の体積が大きいため、発光素子5からの放熱性をより高めることができる。ここで、低位部3Lがおもて面3aから0より大きい高さとは、低位部3Lのおもて面3aからの高さが0.1mm以上ある状態を意味する。低位部3Lのおもて面3aからの高さの上限は、高位部3Hのおもて面3aからの高さの1/2が目安とする。この場合、基板1のおもて面3aから上面3aまでの高さhの低い方(低位部3L)の縁3bが基板1の端面1bに沿うように配置されていてもよい。
【0017】
図4図5は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図4に示す発光素子搭載用基板Cおよび図5に示す発光素子搭載用基板Dでは、基板1のおもて面3aから上面3aまでの高さhの低い方(低位部3L)の縁3bが基板1の端面1bに近くなっている。この場合、低位部3Lの縁3bと基板1の端面1bとが一致する配置であっても良い。このような構成によれば、発光素子5から放出された光phが台座3の前方(基材7側)のおもて面1aに当たって反射するのを抑えることができる。これにより発光素子5から放出される光phの指向性をより高めることが可能になる。なお、発光素子5の発光面5aを高位部3H側に配置する場合は、高位部3Hを端面1bに沿って配置すればよい。
【0018】
図5に示す発光素子搭載用基板Dと比較すると、図4に示す発光素子搭載用基板Cは、傾斜面3aに発光素子5を搭載したときに、基板1のおもて面1aから発光素子5の上面までの高さを低くできるため、発光装置の低背化を図ることができる。また、発光素子搭載用基板Cの場合には、台座3における傾斜面3aの基板1のおもて面1aからの角度θ3を大きくすることができる。このようにすれば、基材7の表面7aの反射性能が大きい場合にも適用しやすいものとなる。一方、図5に示す発光素子搭載用基板Dは台座3の体積が大きいため、発光素子搭載用基板Bと同様、発光素子5からの放熱性を高めることができる。
【0019】
図6は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図7は、図6のvii-vii線断面図である。図6図7に示す発光素子搭載用基板Eは、台座3に堤部9を有する。堤部9は台座3の傾斜面3aから突き出た状態で形成されている。台座3の低位部3Lに堤部9が形成されていると、図7に示すように、発光素子5が傾斜面3aの端に突き当たる状態にできる。このため、発光素子5を傾斜面3a上に設置したときに、安定した状態で固定できる。この場合、堤部9の傾斜面3a側の側面9a(突き当て面9aと表記する場合がある。)は傾斜面3aに対して直角である方が良い。突き当て面9aが傾斜面3aに対して直角であると、発光素子5の突き当て面9aと接触する面積が大きくなるため、発光素子5から熱が台座3に伝わりやすくなり、放熱性を高めることができる。なお、突き当て面9aは基板1のおもて面1aに対して垂直であっても良い。この場合、突き当て面9aは、発光素子5の発光面5aに線接触した状態となるため、発光素子5の発光面5aにおける温度分布を小さくすることができる。
【0020】
図8は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図9は、図8のix-ix線断面図である。図8、9に示す発光素子搭載用基板Fは、傾斜面3aの堤部9側に溝部9bを有する。この場合、溝部9bの底部9bbは上面3aよりも深い位置にある。つまり、堤部9の突き当て面9aは上面3aよりも深い位置にまで達している。堤部9付近に溝部9bが形成されており、また、突き当て面9aが上面3aよりも深い位置まで達していると、発光素子5が突き当て面9aに面で接しやすくなる。これにより発光素子5を上面3aの搭載部3aaに搭載したときの位置決め精度を高めることができる。なお、溝部9bの突き当て面9aの反対側の壁面9cは、基板1のおもて面1aに垂直かまたは溝部9bの上側が大きく開くように壁面9cが高位部3H側に傾いた形状であるのが良い。
【0021】
傾斜面3aに溝部9bが形成されていない構造、例えば、傾斜面3aから突き当て面9aに変化する部分が湾曲した形状である場合を想定する。このような形状の場合には、発光素子5がその湾曲した部分に乗り上げてしまうおそれがある。台座3がこのような構造の場合には、発光素子5を傾斜面3aおよび突き当て面9aに同時に精度良く接触させることが困難になる。このような場合には、発光素子5から放出される光phの方向性のばらつきが大きくなる。
【0022】
図10~15は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図10~15に示す発光素子搭載用基板G~Lは、台座3の上面3aに発光素子5を設置するための凹部11を有する。これらの中で、図10に示す発光素子搭載用基板Gは、図1、2に示した発光素子搭載用基板Aの傾斜面3aに凹部11を設けた構造である。この場合、凹部11の底11aが発光素子5の搭載部3aaとなる。また、底11aは、凹部11以外の上面3aに平行である。また、凹部11は低位部3L側で傾斜面3aを一部残すように形成されている。このため低位部3L側には突き当て面9aが形成されている。一方、高位部3H側は傾斜面3aを高位部3Hの上端まで切り欠いた構造である。
【0023】
図11に示した発光素子搭載用基板Hは、図3に示した発光素子搭載用基板Bの傾斜面3aに凹部11を設けたものである。凹部11の構造は、図10に示した発光素子搭載用基板Gと同様である。この場合も、凹部11の底11aが発光素子5の搭載部3aaとなる。
【0024】
図12に示した発光素子搭載用基板Iは、図10に示した発光素子搭載用基板Gに対して、台座3の高位部3H側に上面(傾斜面)3aを一部残す構造である。この場合も、凹部11の底11aが発光素子5の搭載部3aaとなる。
【0025】
図13に示した発光素子搭載用基板Jは、図11に示した発光素子搭載用基板Gに対して、台座3の高位部3H側に上面(傾斜面)3aを一部残す構造である。この場合も、凹部11の底11aが発光素子5の搭載部3aaとなる。
【0026】
図14に示した発光素子搭載用基板Kは、図10に示した発光素子搭載用基板Gに対して、凹部11の深さDpが低位部3L側から高位部3H側にかけて深くなるようにしたものである。この場合も、凹部11の底11aが発光素子5の搭載部3aaとなる。凹部11の深さDpは、上面(傾斜面)3aから凹部11の底11aまでの深さのことである。深さの方向は基板1のおもて面1aに対して垂直な方向である。
【0027】
図15に示した発光素子搭載用基板Lは、図11に示した発光素子搭載用基板Hに対して、凹部11の深さDpが低位部3L側から高位部3H側にかけて深くなるようにしたものである。この場合も、凹部11の底11aが発光素子5の搭載部3aaとなる。
【0028】
台座3の上面(傾斜面)3aに上記のような構造で凹部11が形成されていると、搭載部3aaに発光素子5をより安定に固定することができる。また、上面(傾斜面)3aにおいて発光素子5の位置決めの精度を高めることができる。さらには、台座3の搭載部3aaに発光素子5を搭載したときに、発光素子5が凹部11に埋設された構造になるため、発光素子5と台座3との接触面積が大きくなる。これにより発光素子5の放熱性を高めることができる。
【0029】
図16は、図12に示した発光素子搭載用基板の断面図である。図16に記したS1およびS2は、基板1のおもて面1aに対する角度の程度を表すように便宜上描いた指標線である。指標線S1は基板1のおもて面1aに対して垂直な方向を向くように描いたものである。指標線S2は台座3の傾斜面3aに対して垂直な方向を向くように描いたものである。台座3の搭載面3aに凹部11を有する発光素子搭載用基板の場合、図16に指標線S1で示しているように、凹部11の低位部3L側の内壁11bが基板1のおもて面1aに対して垂直であるのが良い。これに加えて、凹部11の高位部3H側の内壁11cも基板1のおもて面1aに対して垂直であるのが良い。
【0030】
図16に示すように、凹部11の低位部3L側の内壁11bが指標線S1で表される角度である場合には、凹部11を基板1のおもて面1aに対して垂直な上方から見たときに、凹部11の内壁11b、11cの上側と下側とが同じ位置になる。凹部11の低位部3L側の内壁11bが指標線S1で表される角度である場合というのは、言い換えると、凹部11が基板1のおもて面1aに対して垂直な方向にえぐられた形状となる。ここで、上方からというのは、図16に示した画像処理装置12の位置から基板1のおもて面1aに対して垂直な方向に下向きにという意味である。凹部11が基板1のおもて面1aに対して垂直な方向にえぐられた形状である場合には、発光素子5を画像処理装置12が捉えた凹部11の位置情報に即して精度よく設置することができる。
【0031】
一方、凹部11の低位部3L側の内壁11bが指標線S2で表される角度の場合には、凹部11の内壁11b、11cの上側と下側とが同じ位置に無い状態となる。
【0032】
凹部11の低位部3L側の内壁11bが指標線S2で表される角度というのは、凹部11が傾斜面3aに対して垂直な方向にえぐられた形状である。
【0033】
凹部11の低位部3L側の内壁11bが指標線S2で表される角度の場合には、画像処理装置12から凹部11を基板1のおもて面1aに対して垂直な方向に下向きに見たときに、凹部11の内壁11b、11cの上側と下側とが同じ位置に無い状態となる。画像処理装置12が、凹部11を基板1の傾斜面3a上の低位部3Lと高位部3Hとの間を移動したときに、画像処理装置12により得られる凹部11の位置情報に、凹部11の内壁11b、11cの上側(台座3の傾斜面3aの位置)と下側(凹部11の底11aの位置)の水平方向の位置の差の分が入ってくる。この差の分が画像処理装置12が捉えた凹部11の位置情報に加えられるため、発光素子5を設置するときの位置精度に誤差が発生しやすい。これに対して、図12および図16に示した発光素子搭載用基板Iは、上記したように、発光装置を精度よく組み立てることができる。
【0034】
なお、凹部11の低位部3L側の内壁11bが基板1のおもて面1aに対して垂直である構造は、図12に示した発光素子搭載用基板に限らず、図13および図15にそれぞれ示した発光素子搭載用基板にも同様に適用することができる。
【0035】
図17~19は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図17~19に示す発光素子搭載用基板M~Oは、基板1上に壁部材15を有する。図17~19に示す発光素子搭載用基板M~Oは、基板1を平面視したときに、その形状が矩形状である。言い換えると、基板1の形状は2つの端面1b、1cにそれぞれ直角な2つの側面1d、1eを有するいわゆる長方形状である。基板1は2つの側面1d、1eのうちの一つの側面1e側の縁部1eeに、おもて面1aに対して立設する第1壁部材15aを有する。第1壁部材15aは、台座3の長手方向(高位部3Hから低位部3Lに向かう方向)に平行に配置されている。
【0036】
図18に示す発光素子搭載用基板Nは、図17に示した発光素子搭載用基板Mに対して、基板1の端面1cに沿った第2壁部材15bを有する。第2壁部材15bは基板1の端面1cと側面1eが交差する一つの角部1fで第1壁部材15aと繋がるように配置されている。第1壁部材15aと第2壁部材15bとは、基板1を平面視したときにL字状を成すように設けられている。この場合、第1壁部材15aおよび第2壁部材15bは同じ高さとしてもよい。
【0037】
図19に示す発光素子搭載用基板Oは、図18に示した発光素子搭載用基板Nに対して、第1壁部材15a、第2壁部材15bが設けられていない基板1の角部1gに柱部材17を設けた構造である。
【0038】
これらの発光素子搭載用基板M~Oでは、第1壁部材15aが発光素子5から放出される光phの進行方向と平行な方向に向くように配置されている。このような構成によれば、発光素子5から放出される光phの状態(収束度)および進行方向の傾きなどを第1壁部材15aに映した状態で確認することができる。この場合、第1壁部材15aの表面は鏡面であるのが良い。
【0039】
また、発光素子搭載用基板N、Oでは、発光素子5から放出される光phの進行方向(符号18で示した開口部)とは反対の位置に第2壁部材15bが設けられている。このような構成であると、基材7の表面7aとその反対側に位置する第2壁部材15bとの間においても、発光素子5から放出される光phの状態(収束度、強度)および進行方向の傾きなどを、第1壁部材15a側とともに、発光素子5の発光面5aと反対側の面においても確認することができる。この場合も、第2壁部材15bの表面は鏡面であるのが良い。
【0040】
さらに、発光素子搭載用基板Oでは、第1壁部材15aおよび第2壁部材15bが設けられていない角部1gに柱部材17が設けられている。このような構成によれば、壁部材15(第1壁部材15aおよび第2壁部材15b)上に、例えば、蓋体(不図示)を設置した場合などに、壁部材15が設けられていない角部においても、蓋体を安定に設置することが可能になる。
【0041】
また、発光素子搭載用基板Oでは、第2壁部材15bと柱部材17との間に壁部材15を設けず、この間が開口19となる構造である。このような構成によれば、発光素子5から放出される光phの状態(収束度、強度)および進行方向の傾きなどを直接確認することができる。また、発光素子5の搭載部3aaからの脱着が容易となり、発光素子5の交換および補修を容易に行うことができる。
【0042】
図17図19には、図3に示した台座3の構造を例として示したが、図17図19に示した壁部材15および柱部材17の構造は、図3に示した発光素子搭載用基板B以外に、図1図4図5図6図8図10図11図12図13図14および図15に示した発光素子搭載用基板にも同様に適用することができる。また、発光素子搭載用基板M~O以外に、壁部材15を基板1の端面1c側にだけに設けた構造でも良い。なお、第1壁部材15a、第2壁部材15bおよび柱部材17は、基板1および台座3とともにセラミックスで一体的にセラミック粒子の焼結体によって形成されているのが良い。これにより発光素子搭載用基板M~Oはより高い放熱性を有するものとなる。
【0043】
図20は、発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す斜視図である。図21は、図20のxx-xx線断面図である。図20および図21に示す発光素子搭載用基板Pは、図1および図2に示した発光素子搭載用基板Aを基にしている。図20および図21に示した発光素子搭載用基板Pには、発光素子5の搭載位置を決めるための位置決め基準21が設けられている。そして、かかる位置決め基準21を用いて発光素子5を位置決めすることにより、発光素子5を搭載面3aの所定の位置に、より高い精度で設置することができる。したがって、半導体レーザなどの細長い形状を有する発光素子5を台座3の傾斜面3aに搭載する構造の場合に、発光面5aから放射される光phの光軸を所定の方向に容易に揃えることが可能になる。これにより光軸ずれの小さい発光装置を得ることができる。
【0044】
ここで、位置決め基準21としては、カメラ等の画像処理装置12が台座3の傾斜面3aとは異なる形状として認識できるものであれば良い。図20~22に示した凸状を成す立体的な形状の他に、円形や矩形などの平面的な形状であっても良い。さらには平面視したときの形状が円形や矩形であり、それらが窪みまたは貫通孔であっても良い。さらには、例えば、傾斜面3aと位置決め基準21との間で形状または輪郭ではなく色調に違いがあるものでも良い。また、位置決め基準21は台座3の傾斜面3aと一体的に形成される凸形状であっても良い。
【0045】
また、位置決め基準21が台座3の傾斜面3aに形成される凸形状である場合、位置決め基準21の上底面21aは基板1のおもて面1aに平行であるのが良い。
【0046】
位置決め基準21がこのような形状であると、カメラ等の画像処理装置12を、例えば、傾斜面3aの低位部3Lから高位部3Hの方向に移動させて、位置決め基準21を基板1のおもて面1aに対して垂直な方向から見るようにしたときに、位置決め基準21は円また正方形など等方的な形状に映りやすい。位置決め基準21を上方から画像処理装置12によって読み取る際に、位置決め基準21のエッジを鮮明に検出することができる。つまり、位置決め基準21の位置をより高精度に検出することができる。
【0047】
また、上底面21aが基板1のおもて面1aに対して平行である位置決め基準21は、胴部21bの上底面21aに対して平行な断面の面積が上底面21aの面積と同等となる形状であっても良い。具体的には、位置決め基準21は上底面21aに対して垂直な方向に、その断面の面積が同じになる形状を有する円柱または角柱であっても良い。この場合、胴部21bとは、位置決め基準21の上底面21aに対して垂直な側面によって形成される部位のことである。また、位置決め基準21は、台座3の低位部3L側と高位部3H側との間で傾斜面3aから上底面21aまでの高さが異なる形状となっていても良い。つまり、位置決め基準21は台座3の低位部3L側における傾斜面3aから上底面21aまでの高さ21LHが台座3の高位部3H側における傾斜面3aから上底面21aまでの高さ21HHよりも高い(距離的に長い)形状であっても良い。この場合、位置決め基準21と傾斜面3aとの間の角度(θ4)は、基板1のおもて面1aに対して垂直な角度を90°とし、基板1のおもて面1aに対する傾斜面3aの角度をθ3としたときに、θ3+θ4=90°となる関係であるのが良い。この場合、位置決め基準21と傾斜面3aとの間の角度(θ4)とは、位置決め基準21が立設する方向と傾斜面3aとの間の角度のことである。
【0048】
また、位置決め基準21は、図20および図22に示しているように、傾斜面3a上に複数個配置されていても良い。位置決め基準21が傾斜面3a上に、例えば、2ヵ所配置されていると、2ヵ所の位置決め基準21同士を結んだ直線を基準線23とし、この基準線23の位置を基にして発光素子5の配置を決定することができる。なお、複数個の位置決め基準21は、図20に示しているように、台座3の高位部3Hから低位部3Lの方向に並んだ配置の他、図22に示しているように、台座3の高位部3Hから低位部3Lの方向に対して垂直な方向、つまり、基板1の端面1b、1cに沿う方向に配置した構造でも良い。
【0049】
なお、位置決め基準21の上底面21aが傾斜面3aと平行である場合、あるいは、位置決め基準21が台座3の傾斜面3aに対して垂直な方向に向くように設置されている場合には、位置決め基準21の上底面21aの向きが画像処理装置12に対して正対しない向きとなる。そのような場合、例えば、位置決め基準21の上底面21aの形状が円形であれば楕円の形状に見えることになる。その結果、位置決め基準21の上底面21aの中心点の位置のずれが大きくなる可能性がある。
【0050】
これに対し、図20および図21に示した配置の位置決め基準21の場合は、位置決め基準21の上底面21aの形状が円形のまま映し出されるため、検出された上底面21aの中心点の位置ずれを少なくすることができる。つまり、上述の構成によれば、台座3の搭載面3aに搭載する発光素子5を高い精度で配置することができる。
【0051】
図23は、図2に示した発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す断面図である。図23に示した発光素子搭載用基板Rを例にすると、台座3の上面(傾斜面)3aが上側に凸状に湾曲した形状を成していてもよい。ここで、台座3の上面(傾斜面)3aが上側に凸状に湾曲した形状というのは、例えば、台座3の高位部3Hの端部3Hpと低位部3Lの端部3Lpとを直線Laで結んだときに、傾斜面3aが当該直線Laよりも上側に位置している状態のことを言う。ここで、傾斜面3aが当該直線Laよりも上側に位置している状態とは、直線Laと中間点3Cとの間の幅3dが2μm以上ある場合を言う。直線Laと中間点3Cとの間の幅3dとしては5~15μmが良い。
【0052】
なお、台座3の上面(傾斜面)3aが上側に凸状に湾曲した形状を成している形状としては、傾斜面3aの勾配が低位部3L側で大きい形状が良い。つまり、傾斜面3aと直線Laとの間の幅3dの最も大きい箇所が低位部3L側にあるのが良い。傾斜面3aの勾配が低位部3L側で大きい形状であると、例えば、図23に示すように、発光素子5を台座3の傾斜面3aの高位部3H側に設置したときに、発光素子5から放射される光Phが傾斜面3aで反射するのを低減することができる。これにより発光素子搭載用基板Rから外部に出射される光Phの発光効率を向上させることができる。
【0053】
台座3の上面(傾斜面)3aが上側に凸状に湾曲した形状を成している構造は、図2に示した発光素子搭載用基板Aに限らず、図3図4および図5にそれぞれ示した発光素子搭載用基板B、C、Dにも同様に適用することができる。
【0054】
図24は、図2に示した発光素子搭載用基板の他の態様を模式的に示す断面図である。図25は、図24に示したSo部を拡大した断面図である。図24に示した発光素子搭載用基板Sは、台座3の上面(傾斜面)3aが凹凸状を成す構造である。台座3の上面(傾斜面)3aが凹凸状の構造は図24では断面しか示していないが、紙面の奥の方に向かって凹の部分と凸の部分とがほぼ一様に伸びた構造となっている。つまり、この発光素子搭載用基板Sにおける台座3の傾斜面3aは、台座3の高位部3Hから低位部3Lへ向かう方向に凹凸が交互に並んだ構造となっている。
【0055】
台座3の上面(傾斜面)3aが凹凸状を成す構造であると、発光素子5を上面3a上に設置したときに、凸部3sは発光素子5に接する部分となるが、凹部3nは発光素子5に接しない部分となる。台座3の上面3aをこのような凹凸状の形状にすると、発光素子5を接合するための接合材Adが凹部3nに充填されて、凸部3s上には塗布されない状態にすることができる。これにより発光素子5を台座3の凸部3sに直に接触させた状態で上面3aに接合することが可能になる。これにより発光素子5から台座3への放熱性を高めることができる。この場合、傾斜面3aの表面粗さ(Ra)としては1~3μmが良い。また、上面3aの搭載部3aaにおける凸部3sおよび凹部3nの幅のそれぞれの割合としては、台座3の高位部3Hから低位部3Lまでの範囲において、搭載部3aaの同方向における幅を100%としたときに、凸部3sの幅の合計が20~80%の割合であるのが良い。例えば、凸部3sの幅の合計が20%である場合には、その他の80%の部分が凹部3nの幅の合計となる。また、接合材Adとしては、Au-Sn材の他、樹脂製の接着材を用いてもよい。耐熱性という点からAu-Sn材が良い。
【0056】
図26は、実施形態のアレイ基板を模式的に示す斜視図である。図26に示したアレイ基板Tは発光素子搭載用基板Aが複数連結されたものであり、これによりアレイ型の発光装置を得ることができる。
【0057】
アレイ基板Tの場合、発光素子搭載用基板Aごとに、台座3の傾斜面3aの角度θ3および傾斜面3aの向きなどを変えることも可能である。この場合、傾斜面3aの向きとは、傾斜面3aの向き(この場合、図26の座標軸のX軸方向)を座標軸のX-Y平面内で変えることを意味する。発光素子搭載用基板Aごとに、台座3の傾斜面3aの角度θ3および傾斜面3aの向きを変えれば、各発光素子搭載用基板Aに搭載された発光素子5の光phを集光させることが可能になる。また、集光する光phの範囲を広げることが可能になる。
【0058】
また、実施形態のアレイ基板Tは、発光素子搭載用基板A同士が一体焼結したものである。これにより高放熱性かつ高強度のアレイ型の発光装置を得ることができる。アレイ基板Tには、各発光素子搭載用基板Aにそれぞれ色の異なる発光素子5を搭載することが可能となり、波長範囲の広い光phを形成することも可能になる。なお、図26には、発光素子搭載用基板として、図1および図2に示した発光素子搭載用基板Aが複数連結された構造の例を示したが、上記した図1および図2に示した台座3以外の上記した構造の台座3を有する発光素子搭載用基板も同様に適用することができる。
【0059】
次に、各実施形態に係る発光素子搭載用基板の製造方法について説明する。図27は、実施形態の発光素子搭載用基板の一製造工程を示す断面図である。図27では、図1および図2に示した発光素子搭載用基板Aを作製する方法を説明する。
【0060】
まず、図27に示すように、あらかじめ所定の形状に加工したグリーンシート31を用意する。次に、所定の形状のプレス金型33を用いて、グリーンシート31の上方から下方に向けてプレス加工を行い、発光素子搭載用基板Aとなる成形体35を形成する。
【0061】
なお、発光素子搭載用基板Aとして、その表面および内部の少なくとも一方に導体を有する発光素子搭載用基板Aを作製する場合には、グリーンシート31の表面および内部の少なくとも一方に、予め、導体となる導体パターン(ビア導体も含む)を形成したグリーンシート31を用いると良い。
【0062】
次に、作製した成形体35を焼成(最高温度:1500~1900℃)して、発光素子搭載用基板Aを得る。
【0063】
発光素子搭載用基板A以外の他の発光素子搭載用基板B~Sおよびアレイ基板Tについても、それぞれ形状の異なる金型を用いることにより得ることができる。
【実施例
【0064】
以下のように、各実施形態に係る発光素子搭載用基板およびアレイ基板を作製し、これにレーザーダイオード(1.5kW)を搭載し、発光装置を作製した。レーザーダイオードはAu-Sn材によって発光素子搭載用基板またはアレイ基板のそれぞれの搭載部に接着させた。また、レーザーダイオードはワイヤボンディングで結線した。レーザーダイオードへの電力の供給は電源からワイヤボンディングを通じて行った。そのため発光素子搭載用基板またはアレイ基板は、表面および内部に導体部を有しないものを試料として作製した。
【0065】
まず、グリーンシートを形成するための混合粉末として、窒化アルミニウム粉末94質量%に対して、イットリア粉末を5質量%、カルシア粉末を1質量%の割合で混合した混合粉末を調製した。
【0066】
次に、この混合粉末(固形分)100質量部に対して、有機バインダーとしてアクリル系バインダーを20質量部、トルエンを50質量部添加してスラリーを調製し、次に、ドクターブレード法を用いて所定の厚みのグリーンシートを作製した。
【0067】
そして、上述したグリーンシートを用いて、図27に示した製造方法によって成形体を作製した。
【0068】
次に、作製した成形体を還元雰囲気中、最高温度が1800℃となる条件にて2時間の焼成を行って発光素子搭載用基板およびアレイ基板を作製した。なお、作製した発光素子搭載用基板のサイズは、焼成後の形状で幅2.5mm×長さ4.2mmとした。高さは表1に示した。台座(搭載面)のサイズは幅0.5mm×長さ1mmとした。基板の厚みは0.1mmであった。アレイ基板としては、上記のサイズの発光素子搭載用基板が図19に示すように5個連結されたサイズとなるように成形体を形成し、焼成して作製した。台座の上面(傾斜面)の基板のおもて面に対する角度(傾斜角度)は、図14および図15の構造の試料については40°に設定し、これ以外の試料については30°に設定した。図14および図15の構造の試料における搭載部の角度は基板のおもて面に対して30°となるように設定した。また、図3、5、6、8、11、13、15、17、18および19の構造の試料における台座の低位部の高さh1は0.2mmとした。
【0069】
次に、作製した各発光装置を図1、2に示したように、基材としてシリコンウエハを設置し、レーザーダイオードを発光させて発光素子側に反射する光(反射光)の強度と、その反射光の強度のばらつきの範囲を測定した。反射光の強度の評価にはフォトダイオードを用いた。アレイ基板については、図26に示すアレイ基板の各搭載面にレーザーダイオードを搭載した試料を作製し、各レーザーダイオードからの反射光の強度を測定した。アレイ基板の場合には、発光素子搭載用基板ごとにフォトダイオードを設置して測定し、その平均値を求めた。
【0070】
比較例の試料(試料No.17)として、図3に示した発光素子搭載用基板を基にして、台座の上面(搭載部)が基板のおもて面に平行な構造の試料を作製し、同様の評価を行った。表1には、試料No.17については、「上面がおもて面に平行」と表記した。表1に示した反射光の強度とそのばらつきは、試料No.17の値で規格化した値を示した。これらの評価は各試料、試料数を5として評価した。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示した結果から明らかなように、台座の上面を傾斜面とした発光素子搭載用基板の場合(試料No.1~16)は、台座の上面が基板のおもて面に平行な発光素子搭載用基板(試料No.17)に比較して、反射光の強度が低かった。また、傾斜面に堤部を設けた構造の発光素子搭載用基板(試料No.5~10)は、堤部を設けていない構造の発光素子搭載用基板(試料No.1~4、11~16)に比較して、反射光の強度のばらつきの範囲が小さかった。
【符号の説明】
【0073】
A~S・・・・・・・・・発光素子搭載用基板
T・・・・・・・・・・・アレイ基板
1・・・・・・・・・・・基板
1a・・・・・・・・・・(基板の)おもて面
1aa・・・・・・・・・(基板の)裏面
1b、1c・・・・・・・(基板の)端面
1d、1e・・・・・・・(基板の)側面
h、h1・・・・・・・・(基板のおもて面からの)高さ
3・・・・・・・・・・・台座
3a・・・・・・・・・・上面(傾斜面)
3aa・・・・・・・・・搭載部
3b・・・・・・・・・・(台座の低位部側の)縁
3L・・・・・・・・・・低位部
3H・・・・・・・・・・高位部
5・・・・・・・・・・・発光素子
5a・・・・・・・・・・発光面
7・・・・・・・・・・・基材
7a・・・・・・・・・・基材の表面
9・・・・・・・・・・・堤部
9a・・・・・・・・・・突き当て面
9b・・・・・・・・・・溝部
9bb・・・・・・・・・底部
9c・・・・・・・・・・壁面
11・・・・・・・・・・凹部
11b、11c・・・・・(凹部の)内壁
15a・・・・・・・・・第1壁部材
15b・・・・・・・・・第2壁部材
21・・・・・・・・・・位置決め基準
21a・・・・・・・・・上底面
h・・・・・・・・・・・光
Dp・・・・・・・・・・(凹部の)深さ
θ、θ1、θ2、θ3、θ4・・角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27