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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】外科用ロボット器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/00 20160101AFI20220928BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61B34/00
B25J17/02 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019567378
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 GB2018051541
(87)【国際公開番号】W WO2018224824
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】1709014.3
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】チャップリン,ベン ロバート
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0046122(US,A1)
【文献】特表2015-501697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0350570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0127045(US,A1)
【文献】特開2011-200593(JP,A)
【文献】特表2016-518160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0209965(US,A1)
【文献】国際公開第2016/161449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 18/28
34/00 - 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボット器具であり、
シャフトと、
エンドエフェクタ要素と、
前記エンドエフェクタ要素を前記シャフトに連結する関節と、
クレビスユニットと、
を含み、
前記関節が、
第1の駆動要素対によって駆動できる第1のジョイントであり、前記シャフトの長手方向軸を横切る第1の軸周りで前記エンドエフェクタ要素が回転できるようにする前記第1のジョイントと、
第2の駆動要素対によって駆動できる第2のジョイントと、
プーリー装置と、
を含み、
前記第2の駆動要素対が前記プーリー装置の周りで移動するように拘束され、
前記プーリー装置が、
前記第1の軸周りで回転可能なプーリー第1組と、
前記プーリー第1組の近位に位置するプーリー第2組で、第2の軸周りで回転可能な第1のプーリーと、前記第2の軸に平行且つオフセットされている第3の軸周りで回転可能な第2のプーリーを含み、前記第1のプーリーおよび前記第2のプーリーが前記シャフトの前記長手方向軸および前記第1の軸の両方に垂直な方向においてオフセットされている前記プーリー第2組と、
を含み、
前記クレビスユニットが、前記プーリー装置の前記プーリーを支持する2つのアームと、一方の前記アームから延び出して前記第1のプーリーと前記第2のプーリーのうち一方を保護するプーリーガードと、を含む
外科用ロボット器具。
【請求項2】
前記第2のジョイントが前記第1のジョイントの遠位にある請求項1に記載の外科用ロボット器具。
【請求項3】
前記シャフトの前記長手方向軸を横切る方向において、前記第2の軸と前記第3の軸が前記第1の軸に対してオフセットされている請求項1または2に記載の外科用ロボット器具。
【請求項4】
前記第1の軸が前記シャフトの前記長手方向軸に交差している請求項1~3の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項5】
前記第2の軸と前記第3の軸が前記第1の軸に平行である請求項1~4の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項6】
前記2つのアームのうち第1のアームが前記第1のプーリーを支持し、前記2つのアームのうち第2のアームが前記第2のプーリーを支持する請求項1~5の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項7】
前記第1のアームと前記第2のアームが、前記シャフトの前記長手方向軸を含み前記第1の軸を横切る平面において互いに反対側にある請求項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項8】
前記クレビスユニットが、前記第1のアームから延び出して前記第1のプーリーを保護する第1のプーリーガードおよび前記第2のアームから延び出して前記第2のプーリーを保護する第2のプーリーガードを含んでいる請求項6または7に記載の外科用ロボット器具。
【請求項9】
前記第1のプーリーガードおよび前記第2のプーリーガードが、前記シャフトの前記長手方向軸を含み、前記第1の軸を横切る第1の平面において互いに反対側に配置されており、且つ、前記シャフトの前記長手方向軸および前記第1の軸の両方を含む第2の平面において互いに反対側に配置されている請求項8に記載の外科用ロボット器具。
【請求項10】
前記第1のプーリーガードが前記第1のプーリーを部分的に囲む内側側壁を含み、前記第2のプーリーガードが前記第2のプーリーを部分的に囲む内側側壁を含む請求項8または9に記載の外科用ロボット器具。
【請求項11】
前記プーリーガードが、前記シャフトの外形で画定される前記クレビスユニットの内部空間内に配置される請求項1~10の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項12】
前記クレビスユニットが、第1の駆動要素ガイドおよび第2の駆動要素ガイドを更に含み、前記第1の駆動要素対の一方の駆動要素が、前記第1の駆動要素ガイドを通過し、前記第1の駆動要素対の他方の駆動要素が、前記第2の駆動要素ガイドを通過し、前記第1の駆動要素ガイドおよび前記第2の駆動要素ガイドのそれぞれが前記クレビスユニットの前記第1のアームおよび前記第2のアームの間に位置する請求項6~10の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項13】
前記プーリーガードが、前記一方のアームと一方の前記駆動要素ガイドの間を延びる請求項12に記載の外科用ロボット器具。
【請求項14】
前記第1のプーリーガードが前記第1のアームおよび前記第1の駆動要素ガイドの間を延びて、前記第2のプーリーガードが前記第2のアームおよび前記第2の駆動要素ガイドの間を延びる請求項8に従属する場合の請求項12に記載の外科用ロボット器具。
【請求項15】
前記第1の駆動要素ガイドおよび前記第2の駆動要素ガイドが、前記シャフトの前記長手方向軸および前記第1の軸を含む平面において、互いに反対側に配置されている請求項12~14の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【請求項16】
記クレビスユニットがベース部分および、該ベース部分から延びる2つの前記アームを備え、前記プリーガードが、前記第1のプーリーおよび前記第2のプーリーのオフセットによる空間に位置し一方の前記アームと該アームに隣接する前記ベース部分から延びている請求項1~15の何れか1項に記載の外科用ロボット器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット外科用器具を関節運動させるためのプーリーガードおよびプーリー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術を補助および実行するためのロボットを使用することが知られている。図1は、ベース108と、アーム102と、器具105から構成される典型的な外科用ロボット100を示している。ベースはロボットを支持し、ベース自体が、例えば、手術室の床や、手術室の天井またはトロリーに堅固に取り付けられている。アームは、ベースと器具との間を延びる。アームは、その長さに沿って、外科用器具を患者に対して所望の位置に配置するために使用される複数の可撓性ジョイント103によって間接連結される。外科用器具は、ロボットアームの遠位端104に取り付けられる。外科用器具は、手術部位に到達するために、ポート107において患者101の身体を貫通する。この器具は、その遠位端において、医療処置のためのエンドエフェクタ106を備える。
【0003】
図2は、ロボット腹腔鏡手術を行うための典型的な外科用器具200を示す。外科用器具はベース201を備え、ベース201により、外科用器具がロボットアームに接続される。シャフト202は、ベース201と関節203との間を延びる。関節203はエンドエフェクタ204で終端する。図2では、一対の鋸歯状の顎部がエンドエフェクタ204として表されている。関節203によって、エンドエフェクタ204がシャフト202に対して相対移動することが可能になる。関節によって、エンドエフェクタ204の動作に少なくとも2自由度が提供されることが望ましい。
【0004】
図3では、ピッチジョイント301および2つのヨージョイント302によって、エンドエフェクタ204がシャフト202に対して相対移動可能である、周知の外科用器具300の例を表している。ジョイント301は、エンドエフェクタ204がピッチ軸303の周りで回転することを可能にする。ジョイント302は、エンドエフェクタ204の各顎部がヨー軸304の周りで回転することを可能にする。ジョイントは、ケーブル306,307,308によって駆動される。プーリー305は、ケーブル307および308を、それらの通路からピッチジョイントを越えてヨージョイントに導くために使用される。プーリー305は、関節203の中心軸からオフセットされている。
【0005】
典型的な腹腔鏡手術では、外科医は多くの器具を利用するため、何度も器具の交換を行う。したがって、ある器具をロボットアームから取り外して異なる器具を取り付ける時間を最小にし、かつその簡便性を最大化することが望ましい。加えて、ロボットアームに取り付けた後、器具が使用可能なようにセットアップする時間を最小化することが望ましい。
【0006】
このように、外科用器具300は、その近位端において、器具インターフェースによってロボットアームの遠位端に取り付けられてもよい。器具インターフェースは、ロボットアームのインターフェースに接続または係合してもよい。器具(例えば、ジョイント301,302)のジョイントを駆動する機械的駆動は、ロボットアームからロボットアームインターフェースおよび器具インターフェースを介して、器具に伝達されてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、外科用ロボット器具であり、シャフトと、エンドエフェクタ要素と、前記エンドエフェクタ要素を前記シャフトに連結する関節と、クレビスユニットと、を含み、前記関節が、第1の駆動要素対によって駆動できる第1のジョイントであり、前記シャフトの長手方向軸を横切る第1の軸周りで前記エンドエフェクタ要素が回転できるようにする前記第1のジョイントと、第2の駆動要素対によって駆動できる第2のジョイントと、プーリー装置と、を含み、前記第2の駆動要素対が前記プーリー装置の周りで移動するように拘束され、前記プーリー装置が、前記第1の軸周りで回転可能なプーリー第1組と、前記プーリー第1組の近位に位置するプーリー第2組で、第2の軸周りで回転可能な第1のプーリーと、前記第2の軸に平行且つオフセットされている第3の軸周りで回転可能な第2のプーリーを含む前記プーリー第2組と、を含み、前記クレビスユニットが、前記プーリー装置の前記プーリーを支持する2つのアームと、一方の前記アームから延び出して前記第1のプーリーと前記第2のプーリーのうち一方を保護するプーリーガードと、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記第2のジョイントが前記第1のジョイントの遠位にあってもよい。
【0009】
前記第2の軸と前記第3の軸が前記第1の軸に対してオフセットされていてもよい。
【0010】
前記シャフトの前記長手方向軸を横切る方向において、前記第2の軸と前記第3の軸が前記第1の軸に対してオフセットされていてもよい。
【0011】
前記第2の軸と前記第3の軸が、前記シャフトの前記長手方向軸に垂直な平面に存在してもよい。
【0012】
前記第1の軸が前記シャフトの前記長手方向軸に交差していてもよい。
【0013】
前記第2の軸と前記第3の軸が前記第1の軸に平行であってもよい。
【0014】
前記2つのアームのうち第1のアームが前記第1のプーリーを支持してもよく、前記2つのアームのうち第2のアームが前記第2のプーリーを支持してもよい。
【0015】
前記第1のアームと前記第2のアームが、前記シャフトの前記長手方向軸を含み前記第1の軸を横切る平面において互いに反対側にあってもよい。
【0016】
前記クレビスユニットが、前記第1のアームから延び出して前記第1のプーリーを保護する第1のプーリーガードおよび前記第2のアームから延び出して前記第2のプーリーを保護する第2のプーリーガードを含んでいてもよい。
【0017】
前記第1のプーリーガードおよび前記第2のプーリーガードが、前記シャフトの前記長手方向軸を含み、前記第1の軸を横切る第1の平面において互いに反対側に配置されており、且つ、前記シャフトの前記長手方向軸および前記第1の軸の両方を含む第2の平面において互いに反対側に配置されていてもよい。
【0018】
前記第1のプーリーガードが前記第1のプーリーを部分的に囲む内側側壁を含んでもよく、前記第2のプーリーガードが前記第2のプーリーを部分的に囲む内側側壁を含んでもよい。
【0019】
前記プーリーガードが、前記シャフトの外形で画定される前記クレビスユニットの内部空間内に配置されてもよい。
【0020】
前記クレビスユニットが、第1の駆動要素ガイドおよび第2の駆動要素ガイドを更に含み、前記第1の駆動要素対の一方の駆動要素が、前記第1の駆動要素ガイドを通過し、前記第1の駆動要素対の他方の駆動要素が、前記第2の駆動要素ガイドを通過し、前記第1の駆動要素ガイドおよび前記第2の駆動要素ガイドのそれぞれが前記クレビスユニットの前記第1のアームおよび前記第2のアームの間に位置してもよい。
【0021】
前記プーリーガードが、前記一方のアームと一方の前記駆動要素ガイドの間を延びてもよい。
【0022】
前記第1のプーリーガードが前記第1のアームおよび前記第1の駆動要素ガイドの間を延びてもよく、前記第2のプーリーガードが前記第2のアームおよび前記第2の駆動要素ガイドの間を延びてもよい。
【0023】
前記第1の駆動要素ガイドおよび前記第2の駆動要素ガイドが、前記シャフトの前記長手方向軸および前記第1の軸を含む平面において、互いに反対側に配置されていてもよい。
【0024】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつ例を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】外科手術を実行する外科用ロボットを示す図。
図2】公知の外科用器具を示す図。
図3】外科用器具の関節型エンドエフェクタの公知の装置を示す図。
図4】外科用ロボットを示す図。
図5A】外科用器具の遠位端を示す図。
図5B】外科用器具の遠位端を示す図。
図5C】外科用器具の遠位端を示す図。
図5D】外科用器具の遠位端を示す図。
図6】直線的な構成における図5A~5Dの外科用器具の遠位端のプーリー装置を示す図。
図7】様々な非直線的な構成における図5A~5Dの外科用器具の遠位端のプーリー装置を示す図。
図8図5A~5Dで示されるプーリー装置のオフセットプーリーを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図4は、ベース401から延びるアーム400を有する外科用ロボットを表す。アームは、複数の剛性の肢402を備える。肢は、回転ジョイント403によって連結される。最近位肢402aは、ジョイント403aによってベースに連結される。最近位肢402aおよび他の肢は、さらなるジョイント403により、直列に連結される。リスト404は、4つの別個の回転ジョイントから構成されている。リスト404は、1つの肢(402b)をアームの最遠位肢(402c)に結合する。最遠位肢402cは、外科用器具406のためのアタッチメント405を担持する。アームの各ジョイント403は、それぞれのジョイントで回転運動を引き起こすように操作可能な1つ以上のモータ407を有し、また、そのジョイントにおける現在の構成および/または負荷に関する情報を提供する1つ以上の位置および/またはトルクセンサ408を有する。モータは、モータが運動を駆動するジョイントの近位に配置されて、重量分布を改善してもよい。明確にするために、モータおよびセンサの一部のみを図4に示す。アームは、おおむね本発明者らの同時係属の特許出願PCT/GB2014/053523に記載されているものとすることができる。
【0027】
アームは、器具406につなぎ合わせるためのアタッチメント405において終端する。器具406は、図2で説明した形態をとることができる。アタッチメント405は、器具の関節運動を駆動するための駆動アセンブリと、器具406の器具インターフェースと係合するための駆動アセンブリインターフェースとを備える。駆動アセンブリインターフェースの可動インターフェース要素は、ロボットアームから器具に駆動を伝達するために、器具インターフェースの対応する可動インターフェース要素に機械的に係合する。一般的な手術中において、器具は、何度か交換されてもよい。このように、器具は、手術中にロボットアームに着脱可能である。駆動アセンブリインターフェースおよび器具インターフェースの特徴は、互いに係合したときの位置合わせを容易にするものであってもよく、それによって、それらがユーザによって位置合わせされるための精度を低減する。
【0028】
器具406は、手術を行うエンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、任意の適切な形態をとることができる。例えば、エンドエフェクタは滑らかな顎部、鋸歯状の顎部、グリッパ、一対の鋏、縫合用針、カメラ、レーザー、ナイフ、ステープラー、焼灼器、吸引器であってもよい。図2で説明したように、器具は、器具シャフトとエンドエフェクタとの間にある関節を含む。関節は、エンドエフェクタが器具のシャフトに対して相対移動することを可能にする1つ以上のジョイントを備えることができる。関節における1つ以上のジョイントは、ケーブルなどの駆動要素によって作動される。これらの駆動要素は、器具シャフトの他端において、器具インターフェースのインターフェース要素に固定される。したがって、ロボットアームは、以下のように、エンドエフェクタに駆動を伝達する。駆動アセンブリインターフェース要素が移動すると、器具インターフェース要素が移動し、それにより駆動要素が移動し、またそれにより関節のジョイントが移動し、結果としてエンドエフェクタが移動する。
【0029】
モータ、トルクセンサおよびエンコーダのためのコントローラは、ロボットアームに分散して配置されている。コントローラは、通信バスを介して制御ユニット409に接続されている。制御ユニット409は、プロセッサ410とメモリ411とを備えている。メモリ411は、プロセッサによって実行可能なソフトウェアを非過渡的な方法で記憶し、モータ407の動作を制御して、アーム400を本明細書に記載の方法で動作させる。特に、ソフトウェアは、プロセッサ410を制御して、センサ408からの入力および外科医コマンドインターフェース412からの入力に依存して、モータを(例えば、分散されたコントローラを介して)駆動させることができる。制御ユニット409は、ソフトウェアの実行によって生成された出力に従ってモータ407を駆動するために、モータ407に結合される。制御ユニット409は、センサからの検知された入力を受信するためにセンサ408に結合され、コマンドインターフェース412からの入力を受け取るためにコマンドインターフェース412に結合される。それぞれの結合具は、例えば、それぞれが電気または光ケーブルであってもよいし、あるいは無線接続によって提供されてもよい。コマンドインターフェース412は、ユーザが所望の方法でエンドエフェクタの動きを要求できるような1つ以上の入力装置を備える。入力装置は、例えば、制御ハンドルまたはジョイスティックなどの手動で操作可能な機械的入力装置であってもよいし、光学式ジェスチャーセンサのような非接触入力装置であってもよい。メモリ411に記憶されたソフトウェアは、これらの入力に応答して、アームおよび器具のジョイントをそれに応じて予め定められた制御手法に従って、移動させるように構成される。制御手法は、コマンド入力に応答してアームおよび器具の動きを緩和する安全機能を含んでもよい。したがって、要約すると、コマンドインターフェース412についている外科医は、器具406が上記の方法で移動して所望の外科処置を実行するように制御できる。制御ユニット409および/またはコマンドインターフェース412は、アーム400から離れていてもよい。
【0030】
図5A、5Bは、例示的な外科用器具の遠位端の対向図を表す。図5A、5Bでは、エンドエフェクタ501は、一対のエンドエフェクタ要素502,503を備えており、エンドエフェクタ要素502,503は、この例では、一対の対向する鋸歯状の顎部として示されている。これは単に説明のためのものであることが理解されるであろう。エンドエフェクタは、上述のような任意の適切な形態をとることができる。エンドエフェクタ501は、関節505によって器具シャフト504に接続される。関節505は、エンドエフェクタ501がシャフト504に対して相対移動することを可能にするジョイントを含む。この例では、関節505は、3つのジョイントを備える。第1のジョイント506は、エンドエフェクタ501が第1の軸510の周りで回転することを可能にする。第1の軸510は、シャフト511の長手方向軸を横断する。第1のジョイント506は、シャフト504が遠位端ではジョイント506において終端するように配置される。第2のジョイント507は、第1のエンドエフェクタ要素502が第2の軸512の周りで回転することを可能にする。第2の軸512は、第1の軸510を横断する。第3のジョイント513は、第2のエンドエフェクタ要素503が第2の軸512の周りで回転することを可能にする。
【0031】
第1のエンドエフェクタ要素502および第2のエンドエフェクタ要素503は、第2および第3のジョイントによって第2の軸512の周りで独立して回転可能であってもよい。エンドエフェクタ要素は、第2および第3のジョイントによって、同じ方向または異なる方向に回転することができる。第1のエンドエフェクタ要素502が第2の軸の周りで回転して、第2のエンドエフェクタ要素503が第2の軸の周りで回転しないようになっていてもよい。第2のエンドエフェクタ要素503が、第2の軸の周りで回転して、第1のエンドエフェクタ要素502が第2の軸周りで回転しないようになっていてもよい。
【0032】
図において、第2のジョイント507および第3のジョイント513はいずれも、同じ軸512周りの回転を可能にする。しかし、第2および第3のジョイントは、別の軸の周りでエンドエフェクタ要素の回転を可能にしてもよい。一方のエンドエフェクタ要素の回転軸は、他方のエンドエフェクタ要素の回転軸からシャフト504の長手方向にオフセットされてもよい。一方のエンドエフェクタ要素の回転軸は、他方のエンドエフェクタ要素の回転軸からシャフト504の長手方向を横切る方向にオフセットされてもよい。一方のエンドエフェクタ要素の回転軸は、他方のエンドエフェクタ要素の回転軸と平行でなくてもよい。エンドエフェクタ要素502,503の回転軸は、シャフトの長手方向においてオフセットされてもよく、かつ/またはシャフトの長手方向に垂直な方向においてオフセットされてもよく、かつ/または互いに対して傾斜していてもよい。これは、エンドエフェクタ要素が非対称である結果として望ましい場合がある。例えば、電気外科要素において、第1のエンドエフェクタ要素には電力が供給されて、第2のエンドエフェクタ要素には電力が供給されず、第1のエンドエフェクタ要素から絶縁されてもよい。これを補助するために、2つのエンドエフェクタ要素の回転軸は、シャフトの長手方向に垂直な方向においてオフセットされ得る。別の例では、第1のエンドエフェクタ要素がブレードで、第2のエンドエフェクタ要素が平坦な切断面であってもよい。ブレードの使用を助けるために、2つのエンドエフェクタ要素の回転軸は互いに角度をつけられてもよい。
【0033】
図5A、5Bは、エンドエフェクタがシャフト504と一直線上にそろえられている外科用器具の直線的な構成を示す。この方向付けでは、シャフト511の長手方向軸が、関節の長手方向軸とエンドエフェクタの長手方向軸に一致する。第1、第2および第3のジョイントの関節運動は、エンドエフェクタがシャフトに対してある範囲の姿勢をとることを可能にする。
【0034】
関節505は、支持体509を備える。一端において、支持体509は、第1のジョイント506によってシャフト504に連結され、他端では、支持体509は、第2のジョイント507および第3のジョイント513によってエンドエフェクタ501に連結される。したがって、第1のジョイント506は、支持体509が第1の軸510の周りでシャフト504に対して相対回転することを可能にし、第2のジョイント507および第3のジョイント513は、エンドエフェクタ要素502,503が第2の軸512の周りで支持体509に対して相対回転することを可能にする。支持体509は、ジョイント507,513を支持し、ヨークとも称される。図5に示す直線的な構成では、ジョイント507,513は、シャフト511の長手方向軸の方向においてジョイント506の遠位である(すなわち、ジョイント506は、シャフト511の長手方向軸の方向においてジョイント507,513の近位である)。ジョイント507,513は、外科用器具の他の構成において、ジョイント506の遠位になることが理解されるであろう。
【0035】
この器具は、クレビスユニット508をさらに備える。クレビスユニットは、シャフト504の遠位端に配置される。シャフトは、クレビスユニットで終端してもよい。器具が図5に示された直線的な構成である(すなわち、支持体がクレビスユニットの遠位にある)とき、クレビスユニットは、長手方向軸511の方向において支持体509の近位にある。クレビスユニットが支持体の近位にあるような、器具の他の構成が存在することが理解されるであろう。クレビスユニットは、ベース部分532を備える。ベース部分は、クレビスユニットの近位端にある。ベース部分532は、クレビスユニットの周囲を画定する外壁または表面を含む。ベース部分の外面は、シャフト504の遠位端の外面と同一平面をなす。クレビスユニットは、第1のジョイント506を支持する一対の対向するアーム530,531をさらに備える。アームは、ベース部分532から延びる。アームは、シャフト511の長手方向軸と平行な方向に延びる。アームは、器具の遠位端に向かって延びる。アーム530,531は、シャフト511の長手方向軸を含む、第1のジョイント506の回転軸510を横断する平面の両側に位置する。アームは、クレビスユニット508の円周の周りに均等に間隔を置いて配置されてもよい。すなわち、アームは、回転軸510の方向に間隔を置いて配置されてもよい。アームは、本明細書ではタインとも称され得る。
【0036】
クレビスユニットは、駆動要素ガイド533,534をさらに備える。駆動要素については、以下で説明する。各ガイド533,534は、クレビスユニットのベース部分532から突出するブロックの形態をとる。ブロックは、図5に示される直線的な構成において、器具の遠位端に向かって突出する。すなわち、ブロックは、シャフト511の長手方向軸に平行な方向に遠位方向に突出すると言うことができる。各駆動要素ガイドは、外面または側壁(ガイド534について、535で示される)を含む。その外面はベース部分532の外面と同一平面をなす。駆動要素ガイドは、上面(ガイド534について、536で示されている)をさらに含む。図示の例では、駆動要素ガイドの上面は面取りされた面である。各駆動要素ガイドは、ガイド533については、537で示される孔をさらに含む。孔は、シャフト511の長手方向軸と平行な方向にガイドを通って延びる。駆動要素ガイドは、シャフト511の長手方向軸とジョイント506の第1の回転軸510との両方を含む平面の両側に配置される。各駆動要素ガイドは、2つのタイン530,531の間に位置する。ガイドは、(図面に示されるように)ベース部分の周囲に等間隔に配置されてもよい。このように、図では、ガイドは、ジョイント507,513の回転軸512と平行な方向において間隔を置いて配置されている。いくつかの例では、駆動要素ガイド533,534は、別個のブロックであってもよい。他の例では、駆動要素ガイド533,534は、同一のブロックの部分であってもよい。言い換えると、いくつかの例では、駆動要素ガイド533,534を組み合わせて単一のブロックを形成することができる。
【0037】
クレビスユニットは、プーリーガード538,539をさらに備えている。プーリーガードの輪郭が図5A、5Bに破線で描かれている。これは、そうでなければプーリーガードによって視界から不明瞭になるであろう器具の要素を示すためである。図5C、5Dは、図5A、5Bと同じ外科用器具の図を示しているが、実線の形で示されたプーリーガードを備えている。各プーリーガードは、それぞれのタインから延びる。具体的には、プーリーガード538は、タイン530から延び、プーリーガード539は、タイン531から延びる。プーリーガードは、タインに当接すると言うことができる。このような構成では、プーリーガードは、タインの剛性を高めるために便利に働くことができる。各プーリーガードは、タインのひとつの側部(すなわち、縁部)から延びる。すなわち、各プーリーガードは、タインのひとつの側部、または縁部に当接する。図示の例では、各プーリーガードは、タインと駆動要素ガイドとの間を延びる。具体的には、プーリーガード538は、タイン530と駆動要素ガイド533との間を延び、プーリーガード539は、タイン531と駆動要素ガイド534との間を延びる。好適には、各プーリーガードは、駆動要素ガイドに当接する。
【0038】
プーリーガードはまた、クレビスユニットのベース部分532から遠位方向に延びる。図示の例では、プーリーガードは、ベース部分から、面取り部536の下側縁部(すなわち、駆動要素ガイドの面取り部と側壁535との間の縁部)の位置レベルまで突出している。しかし、他の例では、プーリーガードがそれより大きく突出することも、それより小さく突出することもあることが理解されるであろう。プーリーガードは、駆動要素ガイドとタインの外側側壁と同一平面をなす外側側壁(図5Cにおいて、プーリーガード538について、540で示されている)を備えている。プーリーガードは、駆動要素ガイドとタインの間のクレビスユニットの内部空間を占めることがわかる。すなわち、プーリーガードは、クレビスユニット508およびシャフト504の突出外形によって画定される内部空間を占める。この例のプーリーガードは、タインと駆動要素ガイドとの間を延びるので、本明細書ではフィレットと称することもある。
【0039】
プーリーガード538,539は、シャフト511の長手方向軸と第1のジョイント506の回転軸510とを含む平面の両側に配置されている。プーリーガードは、第1のジョイント506の回転軸510を横断する軸511を含む平面の両側にも配置されている。したがって、プーリーガードは、斜めに対向していると言うことができる。あるいは、プーリーガードは、タイン530,531に対して斜めに配向されていると言うことができる。すなわち、プーリーガードは、タイン530,531が位置する軸に対して斜めになる軸上に位置してもよい。
【0040】
プーリーガードは、タインに固定された、または取り付けられた別個の構成要素であってもよい。あるいは、プーリーガードは、タイン(および、図示された例では、駆動要素ガイド)と一体的に形成されてもよい。
【0041】
関節505のジョイントは、駆動要素によって駆動される。駆動要素は、シャフト504を介して関節におけるジョイントから器具インターフェースに延びる細長い要素である。各駆動要素は、少なくとも、関節および器具インターフェースの内部構成要素と係合する領域において、その主要範囲に対して横方向に屈曲可能であってもよい。換言すれば、各駆動要素は、上記の領域においてその長手方向軸に対して横方向に撓むことができる。この可撓性により、駆動要素が、ジョイントおよびプーリーのような器具の内部構造を包むことが可能になる。駆動要素は、その長手方向軸に対する横方向で完全に可撓性であってもよい。駆動要素は、それらの主要な範囲に沿って可撓性がなくてもよい。駆動要素は、それらの長さに沿って印加される圧縮力および張力に耐えることができる。換言すれば、駆動要素は、それらの長手方向軸の方向に作用する圧縮力および張力に抵抗することができる。駆動要素は、高いモジュラスを有することができる。駆動要素は、動作中に緊張状態を維持することができ、それらは、たるむことができないようにされている場合もある。したがって、駆動要素は、器具インターフェースからジョイントに駆動を伝達することができる。駆動要素は、例えばケーブルであってもよい。
【0042】
各ジョイントは、一対の駆動要素によって駆動され得る。図5A、5Bを参照すると、第1のジョイント506は、第1の駆動要素対A1、A2によって駆動される。駆動要素A1、A2は、それぞれ、駆動要素ガイド533,534の孔を通って延びることが見て取れる。よって、駆動要素ガイドは、その長さの一部に沿って駆動要素A1、A2を包む。したがって、駆動要素ガイドは、駆動要素A1、A2を保持し、エンドエフェクタ501の遠位領域内での干渉から駆動要素を保護する。第2のジョイント507は、第2の駆動要素対B1、B2によって駆動される。第3のジョイントは、第3の駆動要素対C1、C2によって駆動される。したがって、関節505の各ジョイントは、それ自体の駆動要素対によって駆動される。言い換えると、各ジョイントは、専用の駆動要素対によって駆動される。ジョイントは独立して駆動されてもよい。一対の駆動要素は、図5A、5Bにおける第3の駆動要素対について示されるように、単一の部品として構成されてもよい。この場合、単一の部品は、一点でジョイントに固定される。例えば、第3の駆動要素対C1、C2は、第3のジョイント513に固定されたボール部520を含む。これにより、一対の駆動要素が駆動されると、その駆動がその軸の周りのジョイントの動きに伝達されることが保証される。あるいは、一対の駆動要素を2つの部品として構成してもよい。この場合、それぞれの別個の部品はジョイントに固定される。第1、第2および第3の駆動要素対は、器具シャフトを通って、関節に接続されたシャフトの遠位端から、器具インターフェースの駆動機構に接続されたシャフトの近位端まで延びる。
【0043】
図5A、5Bの外科用器具は、さらに、プーリー装置を備える。第2および第3の駆動要素対がそのプーリー装置の周りで移動するように拘束される。プーリー装置は、図6A、6Bによりよく示されている。支持体509は、プーリー装置をより明確に説明するために、図6A、6Bには示されていない。プーリー装置をより明確に示すために、プーリーガード538,539も図6A、6Bには示されていない。プーリー装置は、プーリー第1組601を備える。プーリー第1組601は、第1の軸510の周りで回転可能である。したがって、プーリー第1組601は、第1のジョイント506と同じ軸の周りで回転する。プーリー装置は、プーリー第2組602をさらに備える。プーリー装置は、プーリー装置の説明の後でより詳細に説明される一対の方向転換プーリー603をさらに備える。
【0044】
プーリー装置も図7に示されている。支持体、クレビスユニット、第1のジョイントおよび第1の駆動要素対は、プーリー装置をより明確に説明するために、図7からすべて省略されている。
【0045】
プーリー第1組601は、第1のプーリー705と第2のプーリー706を含む。第1のプーリー705および第2のプーリー706は、第1の軸510の周りで回転する。プーリー第1組の第1のプーリー705および第2のプーリー706は、シャフト504の長手方向において、第1のジョイント506の互いに反対側に配置されている。第1のプーリー705および第2のプーリー06は、第1の軸510において互いに反対側の端部に配置されている。第1のプーリー705および第2のプーリー706は、第1の駆動要素A1、A2を挟んで互いに反対側に配置される。プーリー第1組601は、クレビスユニット508のアーム530、531によって支持されている。プーリー第1組の第1のプーリー705と第2のプーリー706とは、クレビスユニットに回転可能に取り付けられている。プーリー705はアーム531に取り付けられ、プーリー706はアーム530に取り付けられる。
【0046】
プーリー第2組は、第1のプーリー701と第2のプーリー702とを備えている。プーリー第2組もまた、クレビスユニット508のアーム530,531に支持されている。プーリー第2組の第1のプーリー701および第2のプーリー702は、クレビスユニットに回転可能に取り付けられている。プーリー701はアーム531に取り付けられ、プーリー702はアーム530に取り付けられている。したがって、クレビスユニットの各アームは、プーリー第2組の一方のプーリーを支持する。プーリー第2組701,702は、駆動要素ガイド533,534によってさらに支持される。第1のプーリー701は、駆動要素ガイド533によって支持され、第2のプーリー702は、駆動要素ガイド534によって支持される。よって、各駆動要素ガイドは、プーリー第2組の一方のプーリーを支持する。したがって、プーリー701は、アーム531および駆動要素ガイド533によって支持され、プーリー702は、アーム530および駆動要素ガイド534によって支持される。プーリー701および702は駆動要素ガイド533,534およびアーム530,531に固定されたスピンドルに取り付けられてもよい。第1のプーリー701は、第1の軸510に平行な第3の軸703の周りで回転可能である。第3の軸703は、シャフトの長手方向の両方で第1の軸510からオフセットされ、シャフトの長手方向を横断する。第2のプーリー702は、第1の軸510に平行な第4の軸704の周りで回転可能である。第4の軸704は、シャフトの長手方向の両方で第1の軸510からオフセットされ、シャフトの長手方向を横断する。第3および第4の軸は、互いに平行であるが互いにオフセットしている。第3と第4の軸は、ジョイント507,513の回転軸512の方向において互いにオフセットされている。第3の軸703および第4の軸704は、シャフト511の長手方向と直交する同一平面内にある。
【0047】
図8は、プーリー第2組の第1のプーリー701および第2のプーリー702のオフセット軸をより明確に示す異なる視点からの外科用器具の遠位端を示す。第1のプーリー701および第2のプーリー702をオフセットすることにより、各プーリーに巻き付けられた駆動要素は、プーリーに巻き付けられた後にシャフトの下方に延びることができる。図6Aに示すように、プーリー第2組602の第1のプーリー701および第2のプーリー702は、シャフト504の長手方向において第1のジョイント506の互いに反対側に配置されている。第1のプーリー701および第2のプーリー702は、第1の駆動要素A1、A2を挟んで互いに反対側に配置されている。シャフト511の長手方向軸とジョイント506の回転軸510との両方に垂直な方向におけるプーリー702,701のオフセットにより、プーリーガード538,539を収容する空間を得られる。
【0048】
プーリー第2組は、プーリー第1組とシャフトの器具インターフェース端部との間に配置される。好適には、プーリー第2組は、図に示されるようにシャフト内に配置される。したがって、プーリー第2組602は、シャフト511の長手方向軸の方向に沿ってプーリー第1組601の近位である(すなわち、プーリー第1組601は、プーリー第2組602の遠位である)。プーリー両組がクレビスユニット508によって支持されているので、プーリー第2組602は、器具およびエンドエフェクタの構成とは独立して、プーリー第1組の近位にあることが理解されるであろう。プーリー第2組をシャフト508の遠位端に配置することにより、第1のジョイントと第2のジョイントとの間の距離は、プーリー第2組が関節内に位置する別の装置と比較して減少する。それにより、エンドエフェクタ501の正確な位置決めを維持するために必要な支持体509の剛性を低減する。
【0049】
上記のように、プーリー装置は、駆動要素の運動を拘束するように動作する。より詳細には、第2の駆動要素対B1、B2は、プーリー第1組601の第1のプーリー705および第2のプーリー706の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。第2の駆動要素対B1、B2は、プーリー第2組602の第1のプーリー701および第2のプーリー702の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。第2の駆動要素対は、プーリー第1組601の第1のプーリー705およびプーリー第2組602の第1のプーリー701の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。第2の駆動要素対は、プーリー第1組601の第2のプーリー706とプーリー第2組602の第2のプーリー702の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。
【0050】
第3の駆動要素対C1、C2は、プーリー第1組601の第1のプーリー705および第2のプーリー706の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。第3の駆動要素対C1、C2は、プーリー第2組602の第1のプーリー701および第2のプーリー702の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。第3の駆動要素対は、プーリー第1組601の第1のプーリー705とプーリー第2組602の第1のプーリー701の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。第3の駆動要素対は、プーリー第1組601の第2のプーリー706およびプーリー第2組602の第2のプーリー702の互いに反対側の周りを移動するように拘束される。
【0051】
第2および第3の駆動要素対は、それぞれ、第2および第3のジョイントに到達するために、第1のジョイント506を越えて延びるように拘束される。これにより、第2の駆動要素対のうちの1つ目B1は、第1のジョイント軸510上のプーリー第1組の第1のプーリー705の一方の側を通過し、第2の駆動要素対の2つ目B2は、第1のジョイント軸510上のプーリー第1組の第2のプーリー706の反対側を通過する。結果として、第1のジョイント506周りで支持体509がどのように回転しても、第2の駆動要素対B1、B2の長さは同じに保たれる。同様に、第3の駆動要素対の1つ目C1は、第1のジョイント軸510上のプーリー第1組の第2のプーリー706の一方の側を通過する。第3の駆動要素対の2つ目C2は、第1のジョイント軸510上のプーリー第1組の第1のプーリー705の反対側を通過する。結果として、第1のジョイント506の周りで支持体509がどのように回転しても、第3の駆動要素対C1、C2の長さは同じに保たれる。器具インターフェースの配置が、第2の駆動要素対B1、B2および第3の駆動要素対C1、C2の両方に対して対称である場合、第1のジョイント506の周りの支持体509のすべての回転角度に関して、第2の駆動要素対の長さは、第3の駆動要素対の長さと同じである。外科用器具のあらゆる構成において、第2の駆動要素対および第3の駆動要素対は、緊張状態のままであり、決してたるまない。したがって、外科用器具のジョイントのいずれであっても、それを関節運動させる際のバックラッシュはない。したがって、外科用器具のあらゆる構成において、外科用器具の移動の3自由度の全制御が達成される。
【0052】
図7は、5つの異なる構成における外科用器具の遠位端を示す。構成(c)は、先に述べた直線構成であり、エンドエフェクタは、器具シャフトと一直線上にそろえられる。(a)、(b)、(d)および(e)の構成では、第1のジョイントの周りの回転が構成(c)に対して生じた。(a)、(b)、(d)および(e)の構成において、構成(c)に対して、第2または第3のジョイントのいずれかの周りで回転は生じない。構成(c)から開始して、駆動要素A2(図示せず)は、構成(b)の配置へと導く第1の軸510の周りの回転を引き起こすために引っ張られる。駆動要素A2はさらに引っ張られて、第1の軸510の周りにさらなる回転を生じさせて、構成(a)の配置をもたらす。構成(c)から開始して、駆動要素A1(図示せず)は、第1の軸510の周りで構成(a)および(b)と反対方向に回転させるために引っ張られ、それによって構成(d)の配置につながる。駆動要素A1は、さらに引っ張られて、第1の軸510の周りにさらなる回転を生じさせて、構成(e)の配置をもたらす。
【0053】
第1の軸510の周りのエンドエフェクタ501の回転は、第1のジョイント506の周りの第1の駆動要素対A1、A2の最大移動によって制限される。構成(a)は、第1の軸510周りの一方向において最大に回転しているエンドエフェクタ501を示す。構成(e)は、第1の軸510周りの反対方向において最大に回転しているエンドエフェクタ501を示す。両構成におけるシャフト511の長手方向軸に対する最大回転角度は、角度φである。プーリー第2組602は、第2および第3の駆動要素対が、最大回転角度φでもプーリー第1組601およびプーリー第2組602と接触状態に保たれることを確実にするように、プーリー第1組601に対して配置される。エンドエフェクタ501の第1の軸510周りのすべての回転角度について、エンドエフェクタ501は、プーリー第2組の第1のプーリー701とプーリー第1組の第1のプーリー705とを連結する接線によって規定される円錐内に常に位置する。この接線は、駆動要素によって取られる経路である。エンドエフェクタ501は、図7の全ての構成に示すように、第2および第3のジョイントが図5A、5Bの直線形状に保持されているとき、この円錐内に位置する。図7からわかるように、プーリー第2組602がなければ、駆動要素B2およびC1は、構成(a)におけるプーリー第1組601との接触を失うだろう。プーリー第2組602がなければ、駆動要素B1およびC2は、構成(e)においてプーリー第1組601との接触を失うだろう。
【0054】
第2および第3の駆動要素対は、シャフトの長手方向軸に対するエンドエフェクタのすべての回転角度に対して、プーリー第1組および第2組に接触状態に保たれる。したがって、第1のジョイント506の周りの回転にかかわらず、第2の駆動要素対B1、B2の長さは同じに維持されるだろう。また、第1のジョイント506の回転にかかわらず、第3の駆動要素対C1、C2の長さは同じに保たれるだろう。したがって、プーリー第2組により、第1のジョイント506が第1の軸510周りでどのように駆動されるかにかかわらず、第2および第3の駆動要素において張力を保持することができる。したがって、第1のジョイント506が第1の軸510周りでどのように駆動されるかにかかわらず、第2および第3の駆動要素の制御が保持される。
【0055】
ここに表される例では、プーリー第1組601の各プーリーは、一対のプーリー要素を含む。第1のプーリー705は、内側プーリー要素708と外側プーリー要素709とを備えている。内側プーリー要素708は、外側プーリー要素709と第1の駆動要素対A1、A2の間に位置している。好適には、内側プーリー要素708は外側プーリー要素709に当接している。内側プーリー要素708は外側プーリー要素709に固定されてもよい。内側プーリー要素708は外側プーリー要素709と一体的に形成することができる。第2のプーリー706は内側プーリー要素710と外側プーリー要素711とを含む。内側プーリー要素710は、外側プーリー要素711と第1の駆動要素対A1、A2の間に位置する。好適には、内側プーリー要素710は外側プーリー要素711に当接する。内側プーリー要素710は、外側プーリー要素711に固定されてもよい。内側プーリー要素710は、外側プーリー要素711と一体的に形成されてもよい。各プーリー要素は、駆動要素をはめるための溝を備える。
【0056】
好適には、プーリー第2組602の各プーリーは、一対のプーリー要素を含む。第1のプーリー701は、内側プーリー要素712と外側プーリー要素713とを含む。内側プーリー要素712は外側プーリー要素713と第1の駆動要素対A1、A2との間に位置する。好適には、内側プーリー要素712は、外側プーリー要素713に当接する。内側プーリー要素712は外側プーリー要素713に固定されてもよい。内側プーリー要素712は外側プーリー要素713と一体に形成されてもよい。第2のプーリー702は内側プーリー要素714と外側プーリー要素715とを含む。内側プーリー要素714は外側プーリー要素715と第1の駆動要素対A1、A2の間に位置している。好適には、内側プーリー要素714は、外側プーリー要素715に当接する。内側プーリー要素714は、外側プーリー要素715に固定されてもよい。内側プーリー要素714は、外側プーリー要素715と一体的に形成されてもよい。各プーリー要素は、駆動要素をはめるための溝を備える。
【0057】
第2の駆動要素対B1、B2は、プーリー第2組の第1のプーリーの内側プーリー要素712と、プーリー第2組の第2のプーリーの外側プーリー要素715の周りを移動するように拘束される。第2の駆動要素対B1、B2は、プーリー第1組の第1のプーリーの内側プーリー要素708と、プーリー第1組の第2のプーリーの外側プーリー要素711の周りを移動するように拘束される。
【0058】
第3の駆動要素対C1、C2は、プーリー第2組の第1のプーリーの外側プーリー要素713と、プーリー第2組の第2のプーリーの内側プーリー要素714との周りを移動するように拘束される。第3の駆動要素対C1、C2は、プーリー第1組の第1のプーリーの外側プーリー要素709と、プーリー第1組の第2のプーリーの内側プーリー要素710の周りを移動するように拘束される。
【0059】
したがって、第2の駆動要素対B1、B2は、第3の駆動要素対C1、C2に対して、プーリー第1組601および第2組602の周りに対称的に逆の経路を有する。エンドエフェクタがシャフトと一直線上にそろえられている器具の直線構成において、プーリー装置周りの第2の駆動要素対B1、B2の経路は、シャフト511の長手方向軸に関して、第3の駆動要素対C1、C2のプーリー装置周りの経路の回転対称である。第2および第3の駆動要素対、B1、B2およびC1、C2は、プーリー第2組602からシャフトの遠位端へと対称的な配置で出現する。図7からより容易に分かるように、駆動要素B1およびC2は、シャフトの一方の側で互いに隣接して出現し、駆動要素C1、B2は、シャフトの反対側で互いに隣接して出現する。シャフトにおける駆動要素B1、C2の配置は、シャフト511の長手方向軸に関して、シャフトにおける駆動要素C1、B2の配置の回転対称である。プーリー第2組602は、プーリー第1組601からシャフトへ、第2および第3の駆動要素対をこのように方向転換する。
【0060】
エンドエフェクタのプーリー装置をより詳細に説明したが、プーリーガードの役割をより容易に理解することが可能である。図6および図7を参照すると、プーリーガード539は、プーリー第2組602の第1のプーリー701を保護することがわかる。また、これらの要素がシャフト内へと延びるときに、そのプーリーに巻き付けられた駆動要素B1およびC2を保護する。すなわち、プーリーガード539は、プーリー701とシャフトの遠位端部との間に延びる駆動要素の一部を遮蔽する。図5Dを参照して最も明確に見られるように、プーリーガード539は、プーリー701に巻きつく駆動要素を部分的に囲む内側側壁541(図では上端のみを見ることができる)を備える。これにより、駆動要素を遮蔽しやすくなる。
【0061】
同様に、プーリーガード538は、プーリー第2組602の第2のプーリー702を保護する。また、プーリーの周りに巻き付けられた駆動要素B2およびC1を、それらの要素がシャフト内へと延びるときに保護する。プーリー702とシャフトの遠位端部との間に延びる駆動要素の部分は、プーリーガード538によって遮蔽される。図5Cを参照すると最も明確に見られるように、プーリーガード538は、プーリー702に巻きつく駆動要素を部分的に囲む内側側壁542(図では上端のみを見ることができる)を備える。これにより、駆動要素を遮蔽しやすくなる。
【0062】
したがって、プーリーガードは、プーリー第2組のプーリーと、それらのプーリーに巻きつく駆動要素とを遮蔽する。したがって、プーリーガードは、エンドエフェクタ501の動作中にプーリーおよび駆動要素との望ましくない干渉を防止するのに有利に役立つことができる。
【0063】
さらに、プーリーガードは、エンドエフェクタの組立てを助けることができる。なぜなら、プーリーガードは、プーリー701,702に巻きつく駆動要素を部分的に囲む。よって、プーリーガードは、組立て中にプーリー701,702を正しい位置に配置することを補助するために使用される位置合わせ点を形成することができる。例えば、内側側壁の曲面は、プーリーをそれらの表面によって画定される経路内にはまるように配置することにより、プーリー701,702を正確に整合させるために使用することができる。事実上、プーリーガードは、プーリー701,702が組み立て中に配置され得る場所にさらなる拘束を行うことができる。プーリーを配置する可能性がある場所へのより厳しい拘束は、クレビスユニット内のプーリーの位置決めを導くのに役立てることができる。
【0064】
さらに、プーリー装置は方向転換プーリーの一対716,717を含む。これらの方向転換プーリーは、第1のジョイント506と第2および第3のジョイント507,513との間の関節505にある。方向転換プーリーは、第2の駆動要素対B1、B2をプーリー第1組601から第2のジョイント507へと導き、第3の駆動要素対C1、C2をプーリー第1組601から第3のジョイント513に導くように配置される。方向転換プーリーは、支持体に取り付けることができる。
【0065】
第2の駆動要素対B1、B2は、第1の方向転換プーリー716を経由して移動するよう拘束されている。第1の方向転換プーリー716は第1の方向転換プーリー軸718の周りで回転する。第1の方向転換プーリー軸718の第1の軸510に対する角度は角度θである。角度θは、第2の駆動要素対の1つ目B1がプーリー第1組601の第1のプーリー705のテイクオフポイントから第2のジョイント507上のピックアップポイント721に導かれるような角度である。好適には、第1の方向転換プーリー716は、駆動要素B1をはめる溝を含む。第3の駆動要素対C1、C2は、第1の方向転換プーリー716を経由して移動するように拘束されない。しかし、第3の駆動要素対の2つ目C2は、第3のジョイント513のテイクオフポイントとプーリー第1組601の第1のプーリー705上のピックアップポイントとの間で第1の方向転換プーリー716の傍を通過する。駆動要素C2は、第1の方向転換プーリー716によって部分的に囲まれてもよい。例えば、駆動要素C2は、第1の方向転換プーリー716の溝のウィングの間を部分的に通過することができるが、駆動要素C2は、第1の方向転換プーリー716の溝内にはめられない。
【0066】
第3の駆動要素対C1、C2は、第2の方向転換プーリー717を経由して移動するように制限されている。第2の方向転換プーリー717は、第2の方向転換プーリー軸719の周りで回転する。第2の方向転換プーリー軸719の第1の軸510に対する角度は、角度ψである。角度ψは、第3の駆動要素対の1つ目C1が、プーリー第1組601の第2のプーリー706のテイクオフポイント720から第3のジョイント513上のピックアップポイントに導かれるような角度である。好適には、第2の方向転換プーリー717は、駆動要素C1をはめる溝を含む。第2の駆動要素対B1、B2は、第2の方向転換プーリー717を経由して移動するように拘束されない。しかし、第2の駆動要素対の2つ目B2は、第2のジョイント507のテイクオフポイントとプーリー第1組601の第2のプーリー706上のピックアップポイントとの間で第2の方向転換プーリー717の傍を通過する。駆動要素B2は、第2の方向転換プーリー717によって部分的に囲まれてもよい。例えば、駆動要素B2は、第2の方向転換プーリー717の溝のウィングの間を部分的に通過することができるが、駆動要素B2は、第2の方向転換プーリー717の溝にはめられない。
【0067】
テイクオフポイントは、駆動要素がプーリーと接触しなくなる点である。ピックアップポイントは、駆動要素が最初にプーリーに接触する点である。第1のプーリーから第2のプーリーへ直接渡る駆動要素については、第1のプーリーからの駆動要素のテイクオフポイントと、第2のプーリー上の駆動要素のピックアップポイントは、第1のプーリーおよび第2のプーリーの両方への接線上の点である。テイクオフポイントは、接線が第1のプーリーと交差する場所である。ピックアップポイントは、接線が第2のプーリーと交差する場所である。これは説明のためだけのものであり、駆動要素の厚さを無視できるものとして扱っている。したがって、現実には、接線は駆動要素の厚さに等しい厚さを有し、テイクオフポイントは接線の一方の側が第1のプーリーと出会う場所であり、ピックアップポイントは接線の他方の側が第2のプーリーと出会う場所である。
【0068】
方向転換プーリー716は、方向転換プーリー716が存在しない場合に比して、駆動要素B1が第2のジョイント507の周りをより完全に囲むようにする。これにより、駆動要素B1と第2のジョイント507間の係合の長さを増加させる。これにより、駆動要素B1は、第2のジョイント507の周りをより大きく移動する。したがって、駆動要素B1は、方向転換プーリー716がない場合に発生し得るよりも大きい、第2の軸512周りのエンドエフェクタ要素502の回転を引き起こすことができる。方向転換プーリー716は、第2のジョイント507上の駆動要素B1のピックアップポイントを、方向転換プーリー716がない場合と比較して変化させる。
【0069】
方向転換プーリー717は、方向転換プーリー717が存在しない場合よりも、駆動要素C1が第3のジョイント513の周りをより完全に囲むようにする。それによって、駆動要素C1と第3のジョイント513間の係合の長さを増加させる。これにより、駆動要素C1は、第3のジョイント513の周りでより大きく移動する。したがって、方向転換プーリー717がない場合に発生し得るよりも大きい、第2の軸512の周りのエンドエフェクタ要素503の回転を引き起こすことができる。方向転換プーリー717は、第3のジョイント513上の駆動要素C1のピックアップポイントを、方向転換プーリー717がない場合と比較して変化させる。
【0070】
方向転換プーリーは、それぞれ、関節の両側で、関節の外側縁部に向かって配置される。これは、図5Aにおいてより容易に見られる。図6Aに見られるように、各方向転換プーリーは、関節の両側において関節の長手方向軸と関節の外形との間に位置する。好適には、各方向転換プーリーの直径は、利用可能な空間に対して最大化される。換言すれば、方向転換プーリーは可能な限り大きく、一方の駆動要素がプーリーの一方の側においてプーリーと係合し、他方の駆動要素がプーリーの反対側においてプーリーの隣を引っかかることなく通過することができ、プーリーと2つの駆動要素が関節の外形内に被包される。
【0071】
第1の方向転換プーリー716は、以下の3つの点によって定義される平面内に配置される。(i)プーリー第1組601の第1のプーリー705からの駆動要素B1の所望のテイクオフポイント、(ii)第2のジョイント507上の駆動要素B1の所望のピックアップポイント、および(iii)関節の境界上の点であり、第1の方向転換プーリー716が、平面内に位置するときに関節の境界内に被包されるような点である。好適には、第1の方向転換プーリー716は、可能な限り大きくされながらもこの平面内に位置し、関節の外形内に被包され、駆動要素C2の経路を妨げず、駆動要素B1がその周りを自由に移動することを可能にする。
【0072】
第2の方向転換プーリー717は、以下の3つの点によって定義される平面内に配置される。(i)プーリー第1組601の第2のプーリー706からの駆動要素C1の所望のテイクオフポイント、(ii)第3のジョイント513上の駆動要素C1の所望のピックアップポイント、および(iii)関節の境界上の点であって、第2の方向転換プーリー717が平面内に位置するときに関節の境界内に被包されるような点である。好適には、第2の方向転換プーリー717は、可能な限り大きくされながらもこの平面内に位置し、関節の外形内に被包され、駆動要素B2の経路を妨げず、駆動要素C1がその周りを自由に移動することを可能にする。
【0073】
所望のテイクオフポイントおよびピックアップポイントは、第2の軸周りのエンドエフェクタ要素の所望の最大回転を可能にするように、第2および第3のジョイントの周りの駆動要素の所望の移動を可能にするように決定される。
【0074】
第1および第2の方向転換プーリーは、異なる平面に配置される。図6Aに見られるように、これらの平面は、第1の軸510に垂直な平面に関して対称であってもよい。これらの平面は、第1の軸510に垂直な平面に関して回転対称であってもよい。具体的には、これらの平面は、第1の軸510に垂直な平面内の線に関して回転対称であってもよい。器具が図6Aに示される直線的な構成であるとき、これらの平面は、シャフト511の長手方向軸を中心として回転対称である。これは2次回転対称である。これらの平面は、第1の軸510に垂直な平面における互いの反射であってもよい。図示の例では、エンドエフェクタ要素502、503は回転対称であり、ジョイント507,513の周りの駆動要素の経路は回転対称である。あるいは、エンドエフェクタ要素502,503の軸は回転非対称であってもよく、かつ/またはジョイント507,513の周りの駆動要素の経路は非対称であってもよい。ジョイント507および513の周りの駆動要素の経路は、(異なる張力比を持たせるために)ジョイントの直径を異ならせたこと、および/または、ジョイントを支持体509の中心線から異なるオフセットに配置したことの結果として、非対称であってもよい。これらの代替例のいずれにおいても、第1、第2の方向転換プーリー716,717は、回転対称ではないだろう。それらは、先に説明したように、駆動要素に所望のテイクオフポイントおよびピックアップポイントを持たせるために、異なるサイズおよび/または異なる位置を有することになるだろう。
【0075】
好適には、プーリー第1組、プーリー第2組および方向転換プーリーを含む全プーリー装置は、第1の軸510に垂直な平面に関して対称である。具体的には、プーリー第1組の第1のプーリー705、プーリー第2組の第1のプーリー701、第1の方向転換プーリー716を含む第1の部分的装置は、プーリー第1組の第2のプーリー706、プーリー第2組の第2のプーリー702、および第2の方向転換プーリー717を含む第2の部分的装置に対して第1の軸510に垂直な平面に関して回転対称である。好適には、第1の部分的装置は、第1の軸510に垂直な前記平面における、第2の部分的装置の反射である。第2の駆動要素対B1、B2は、第3の駆動要素対C1、C2がプーリー装置の周りを移動するように拘束されるやり方と回転対称で逆になるように、プーリー装置の周りを移動するように拘束される。プーリー装置は、説明された対称性を有するので、プーリー装置の周りに対称的に移動するように拘束された第2および第3の駆動要素も、同じ対称性を有する。このように、プーリー装置周りの第2の駆動要素対B1、B2の経路は、プーリー装置周りの第3の駆動要素対C1、C2の経路に対して回転対称である。
【0076】
上記の例により、プーリー装置と2つのプーリーガードを有するクレビスユニットが説明された。別の構成で、クレビスユニットが、単一のプーリーガードのみを含んでもよいことが理解されるであろう。さらに、プーリーガードは、本明細書に記載された構成とは異なるプーリー装置を含むエンドエフェクタ内で実施することができる。このような装置は、例えば、方向転換プーリーを含んでいなくてもよい。別例の形態では、プーリー装置のプーリーは、2つのプーリー要素で形成されなくてもよく、単一のプーリー要素で形成されてもよい。プーリー装置は、本明細書に記載された例に含まれない追加のプーリーを有することができる。
【0077】
本明細書で説明される例では、器具の関節は、3つのジョイントを含んだ。他の例では、関節は、より多い数またはより少ない数のジョイントを含むことができることが理解されるであろう。例えば、別の例では、エンドエフェクタは、1つのエンドエフェクタ要素のみを有することができる。この場合、関節は、第3のジョイント513、またはそのジョイントを駆動するための関連するプーリーおよび駆動要素を含んでいなくてもよい。
【0078】
出願人はこれによって、ここに記載の各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを別々に開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示している。なお、そのような特徴または特徴の組み合わせが本明細書に開示される問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8