(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】アプリケーター装置
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220928BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20220928BHJP
A45D 33/34 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A45D34/04 535Z
A61M35/00 Z
A45D33/34 A
(21)【出願番号】P 2019571508
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2018066209
(87)【国際公開番号】W WO2018234286
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/065099
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519452699
【氏名又は名称】オメイア エスエイ
【氏名又は名称原語表記】OMEIA SA
【住所又は居所原語表記】Via al Mulino 4a,6814 Cadempino,CH
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】シルバー ゲルト
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-043723(JP,A)
【文献】米国特許第03240326(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105536128(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0183077(US,A1)
【文献】特開平01-091869(JP,A)
【文献】特表2002-531244(JP,A)
【文献】特表昭61-501019(JP,A)
【文献】米国特許第4696393(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A61M 35/00
A45D 33/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊細な表
面に薬
剤を塗布するためのアプリケーター装
置であって、軟質材料からなると共に縁部に沿って把持領域を有する上
層及び下
層を備え、前記上層と前記下層とが互いに接続されて前記把持領
域が形成されているものにおいて、
前記上層及び前記下層には、互いに平行する弱化
線が延設され、
前記弱化線は、
当該弱化線の始点及び終点が前記把持領域にあり、前記上層及び前記下層の余材によって囲まれたアプリケーター部を規定し、
前記アプリケーター部の周囲は前記上層及び前記下層
が互いに接続されて封止され、
前記アプリケーター部を囲む前記上層及び前記下層の材料は前記弱化線に沿って引き剥がすことができ、さらに前記アプリケーター部の境界は、前記上層及び前記下層の少なくとも一方または両方に設けられる薬剤含有部の境界
と一致しているか、または前記薬剤含有部の境界に対して後退しており、
前記薬剤含有部は、
薬剤を保持する材料の容積部、または線状隆起部として成形され、前記アプリケーター部の内部に薬剤を貯留するように構成された閉じ込め構造物の一つを備え、
前記薬剤含有部は、前記上層および前記下層の両方に配置される場合、前記上層及び前記下層の境界が一致するように鏡面対称に構成されており、
前記弱化線は前記薬剤含有部の縁よりも内側に後退距離だけ後退しており、前記弱化線は前記薬剤含有部の境界と平行であり、
前記後退距離は、
前記アプリケーター装置のサイズが10cmまでである場合、最小0.5mmで最大10mmであり、
前記アプリケーター装置のサイズが10cmより大きい場合、最小1mmで最大20mmであり、
前記サイズとは、塗布領域の境界における二点間の最大距離であり、
前記後退距離は、
閉じ込め構造物が存在する場合、さらに、前記線状隆起部の前記軟質材料との接触面における幅の最大50%に限定される
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアプリケーター装置であって、
前記後退距離は、
前記アプリケーター装置のサイズが10cmまでである場合、最小0.5mmで最大5mmであり、
前記アプリケーター装置のサイズが10cmより大きい場合、最小1mmで最大10mmである
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアプリケーター装置であって、
前記後退距離は、
前記アプリケーター装置のサイズが10cmまでである場合、最小0.5mmで最大3mmであり、
前記アプリケーター装置のサイズが10cmより大きい場合、最小1mmで最大5mmである
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアプリケーター装置であって、
前記後退距離は、
閉じ込め構造物が存在する場合、さらに、前記線状隆起部の前記軟質材料との接触面における幅の最大25%に限定される
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項5】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記弱化
線は、
1mm以上の曲率半径、あるいは前記弱化線上の最も離れた二点間の距離である最大距離の1%以上である曲率半径を
有する部分、または円の一部、楕円の一部、オーバル形状の一部、又は前記曲率半径を有する部分、円の一部、楕円の一部、オーバル形状の一
部の組み合わせ、の一つによっ
て構成される部分の一つ以上で構成され、
且つ少なくとも二つの部分が存在する場合、何れの二つの部分間の全ての移行部も前記曲率半径の下限値に従い、全ての前記移行部
は連続している
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項6】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記弱化線上の最も離れた二点間の距離である最大距離が、最小0.5cmで最大50cmであ
る
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアプリケーター装置であって、
前記弱化線上の最も離れた二点間の距離である最大距離が、最小0.5cmで最大10cmである
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項8】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記把持領
域の幅は、少なくとも
5mmである
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項9】
請求項8に記載のアプリケーター装置であって、
前記把持領域の幅は、少なくとも1cmである
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項10】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記薬剤の持続的塗布のため、前記閉じ込め構造
物は、不織繊維材料、織物材料、スポンジ、および発泡材料のうち一つ以上を含んで構成されている
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項11】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記閉じ込め構造
物は、前記弱化
線に重なっており、
前記アプリケーター装置を表
面に使用する際、前記閉じ込め構造物によって、前記上層および
前記下層の引き剥がされた縁部が、処置する前記表面から離された状態に維持される
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項12】
請求項1に記載のアプリケーター装置であって、
前記薬剤を保持する前記容積
部又は前記閉じ込め構造
物の高さは、
少なくとも薬剤を収容する前記容積部又は前記閉じ込め構造部の少なくとも前記把持領
域から最も離れた縁の部分であって、薬剤を収容する前記容積部又は前記閉じ込め構造部の全周の長さの少なくとも50
%を構成する部分では、
10cm未満の直径を有する前記薬剤を保持する前記容積部又は前記閉じ込め構造物の場合、最大10
mmで、有効高さが、少なくとも1mm、
少なくとも10cmの直径を有する前記薬剤を保持する前記容積部または前記閉じ込め構造物の場合、最大20
mmで、有効高さが、少なくとも1mm、
前記薬剤を保持する前記容積部又は前記閉じ込め構造物の最大1/
10で、最小1/50である
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項13】
請求項1に記載のアプリケーター装置であって、
前記閉じ込め構造物は、弾性高分子材料を含んで構成され、ほぼ前記弱化
線に沿った
リブとして成形されている
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項14】
請求項13に記載のアプリケーター装置であって、
前記弾性高分子材料が、シリコーンである
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項15】
請求項12に記載のアプリケーター装
置であって、
前記リ
ブの高さは、前記薬剤の塗布中に前記塗布領域の縁部と表
面との接触が避けられるように選択され、さらに前記高さは、前記閉じ込め構造
物の前記線状隆起部の二点間の最大距離である前記閉じ込め構造物の直径の0.5%~2%である
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項16】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記薬剤を保持する容積
部の一部
は、弾性的に圧縮可能
な材料を含んで構成され、
前記材料を前記弱化線に沿って引き剥がした後、前記圧縮可能な材料が膨張する傾向にあることで、前記上層と前記下層とが互いに拡がる
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項17】
請求項16に記載のアプリケーター装置であって、
前記圧縮可能な材料は、前記アプリケーター装置を閉じた状態で圧縮された状態の厚さを持つ弾性的に圧縮可能な高分子発泡体又はスポンジ材料である
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項18】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記上層および
前記下
層は、前記塗布部よりも外側で、
少なくとも前記塗布部よりも外側の前記弱化線に沿って、互いに接続され、前記薬
剤が前記アプリケーター部内に閉じ込められる
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項19】
請求項18に記載のアプリケーター装置であって、
前記上層及び前記下層が、密封、接着および/または溶着又は溶着されることで、前記薬剤が前記アプリケーター部内に閉じ込められる
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項20】
請求項1に記載の
アプリケーター装
置であって、
二次元の弾性的な屈曲が可能なばね部材を備え、
前記ばね部材は、前記上層と前記下層との間の距離を拡げる傾向の力を加えるような配置で、前記
上層と前記下
層と間に屈曲され張力が生じた状態で延在している
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項21】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記上
層及び前記下
層は、少なくとも二つの副層を含む複合材料
で構成され、少なくとも一つの
前記副層が高分子材料からな
り、前記上層及び前記下層が、ホットシールや超音波溶着を含む、
前記高分子材料を溶着する密封方法により互いに接続されている
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項22】
請求項21に記載のアプリケーター装置であって、
前記上層又は前記下層の一方を構成し他方の層と接触する少なくとも一つの前記副層が熱可塑性高分子材料からなり、
前記上層及び前記下層が、ホットシールや超音波溶着を含む、前記熱可塑性高分子材料を溶着する密封方法により互いに接続されている
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項23】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記上
層及び前記下
層は、前記把持領
域の縁部に沿って、前記上層及び前記下層の上に折り畳まれた一体型シートによって構成されている
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項24】
請求項1に記載のアプリケーター装
置であって、
前記把持領域には、前記縁部から前記把持領
域の反対側の境界に向かって延びる少なくとも一つの切欠
きが、前記縁部から離れる方向に向かう三角形のような形状に設けられ、
前記把持領域が屈曲されると
前記上層及び前記下層にかかる力が生成され、前記上層が前記下層から離れる方向に有効に拡げられる
ことを特徴とするアプリケーター装置。
【請求項25】
請求項1に記載のアプリケーター装
置を製造する製造方法であって、
前記弱化
線は、前記上
層および前記下
層が互いに接合される前に、前記弱化線の経路に沿って導かれたレーザー光によって形成される
ことを特徴とするアプリケーター装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、請求項1の前文に係るアプリケーター装置に関し、さらに、その装置の製造方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るアプリケーター装置は、表面に物質を塗布するのに役立つ、柔軟な単なる二次元の手段である。このアプリケーター装置は、人、または機械、例えばロボット、によって用いられる。人の手(同様に、機械の把持手段、または操作装置、例えばグローブボックスにおけるマニピュレーター)と上記表面や物質との接触は避けることが好ましい。その理由は、美容上、衛生上、技術的、または単に心理的なものである。また塗布は、人または動物全般の皮膚のように、敏感な生物学的表面、または繊細な技術的表面に対して行われる。
【0003】
特許文献1には、ほぼシート状の支持体により構成されたアプリケーター装置が開示されている。このアプリケーター装置は、柔軟なシートを備えており、このシートのアプリケーター側には、不透過性ではない材料からなる層が設けられている。この不透過性でない層によって、全表面の一部だけが覆われており、特に柔軟シートの周辺部は覆われていない。柔軟シートと不透過性でない層との間には、大量の防臭粉末が収納されている。このシートは、翼のように折り畳まれて小型のパウチを形成し、クロージャータブによって密閉されている。
【0004】
一般的に、グリップ又はバックボーンとして機能する折り畳み部分が保持され、パウチの壁の部分が翼のように広げられて、表面上に当てられる。この表面上を移動することで、上記粉末が、透過層を通過し、表面上に分散される。
【0005】
特許文献2には、広げられる複数の翼部を持つアプリケーターが開示されており、保護シートが密閉状態の翼部同士の間に折り返されていることで各翼部が個々に収容されている。内部の折り目に指を押し入れると、パッドを開くことができる。すなわち翼部を広げることができる。開いた後、保護シートの周辺部は作用面を覆っている部分と共に引き剥がされる。翼部同士の間で保護シートを折り返すことにより、作用面が覆われ、開くために挿入された指が作用面または薬剤とは接触しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許9,254,027号公報
【文献】米国特許3,240,326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、作用面のまわりに余分な保護層材料が存在するように弱化線が設けられ、翼部同士の間で折り返すための追加の保護シート材料が必要とされる。
【0008】
これらの先行技術により考慮されていない問題は、柔軟な支持シート、より具体的にはその境界、が処置中の表面と接触することである。支持シートは当該装置を取り扱うのに必要な安定性、その他の機械的性質を付与するように設計されているので、支持シートによって繊細な表面が汚され、刺激され、傷つけられ、或いはその他の機械的な損失を受けることがある。
【0009】
上記の先行技術におけるもう一つの問題は、アプリケーター層と支持シートとの間に作用物質が収容されていることである。この場合、アプリケーター層の周辺部を支持シートに取付けて、密封しなければならない。使用中、作用物質はアプリケーター層に浸透しなければならず、そのためには、非透過性ではないアプリケーター層が必要であり、薬剤がアプリケーター層を通り抜けるように、装置に対する十分な圧力が必要である。
【0010】
さらに、アプリケーター装置の使用中、薬剤はその表面上にだけ現われるため、まずは「乾燥している」アプリケーター層が表面と接触する。
【0011】
それゆえ、本発明の目的は、処置する表面にアプリケーター層だけが接触する蓋然性が高まるアプリケーター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのようなアプリケーター装置は請求項1に規定されている。他の請求項は好適な実施形態と、その装置の製造方法とを規定している。
詳しくは、本発明の第1の態様は、繊細な表面に薬剤を塗布するためのアプリケーター装置であって、軟質材料からなると共に縁部に沿って把持領域を有する上層及び下層を備え、前記上層と前記下層とが互いに接続されて前記把持領域が形成されているものにおいて、前記上層及び前記下層には、互いに平行する弱化線が延設され、前記弱化線は、当該弱化線の始点及び終点が前記把持領域にあり、前記上層及び前記下層の余材によって囲まれたアプリケーター部を規定し、前記アプリケーター部の周囲は前記上層及び前記下層が互いに接続されて封止され、前記アプリケーター部を囲む前記上層及び前記下層の材料は前記弱化線に沿って引き剥がすことができ、さらに前記アプリケーター部の境界は、前記上層及び前記下層の少なくとも一方または両方に設けられる薬剤含有部の境界と一致しているか、または前記薬剤含有部の境界に対して後退しており、前記薬剤含有部は、薬剤を保持する材料の容積部、または線状隆起部として成形され、前記アプリケーター部の内部に薬剤を貯留するように構成された閉じ込め構造物の一つを備え、前記薬剤含有部は、前記上層および前記下層の両方に配置される場合、前記上層及び前記下層の境界が一致するように鏡面対称に構成されており、前記弱化線は前記薬剤含有部の縁よりも内側に後退距離だけ後退しており、前記弱化線は前記薬剤含有部の境界と平行であり、前記後退距離は、前記アプリケーター装置のサイズが10cmまでである場合、最小0.5mmで最大10mmであり、前記アプリケーター装置のサイズが10cmより大きい場合、最小1mmで最大20mmであり、前記サイズとは、塗布領域の境界における二点間の最大距離であり、前記後退距離は、閉じ込め構造物が存在する場合、さらに、前記線状隆起部の前記軟質材料との接触面における幅の最大50%に限定されることを特徴とするアプリケーター装置にある。
また本発明の第2の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記後退距離は、前記アプリケーター装置のサイズが10cmまでである場合、最小0.5mmで最大5mmであり、前記アプリケーター装置のサイズが10cmより大きい場合、最小1mmで最大10mmであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第3の態様は、第2の態様のアプリケーター装置であって、前記後退距離は、前記アプリケーター装置のサイズが10cmまでである場合、最小0.5mmで最大3mmであり、前記アプリケーター装置のサイズが10cmより大きい場合、最小1mmで最大5mmであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第4の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記後退距離は、閉じ込め構造物が存在する場合、さらに、前記線状隆起部の前記軟質材料との接触面における幅の最大25%に限定されることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第5の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記弱化線は、1mm以上の曲率半径、あるいは前記弱化線上の最も離れた二点間の距離である最大距離の1%以上である曲率半径を有する部分、または円の一部、楕円の一部、オーバル形状の一部、又は前記曲率半径を有する部分、円の一部、楕円の一部、オーバル形状の一部の組み合わせ、の一つによって構成される部分の一つ以上で構成され、且つ少なくとも二つの部分が存在する場合、何れの二つの部分間の全ての移行部も前記曲率半径の下限値に従い、全ての前記移行部は連続していることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第6の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記弱化線上の最も離れた二点間の距離である最大距離が、最小0.5cmで最大50cmであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第7の態様は、第6の態様のアプリケーター装置であって、前記弱化線上の最も離れた二点間の距離である最大距離が、最小0.5cmで最大10cmであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第8の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記把持領域の幅は、少なくとも5mmであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第9の態様は、第8の態様のアプリケーター装置であって、前記把持領域の幅は、少なくとも1cmであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第10の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記薬剤の持続的塗布のため、前記閉じ込め構造物は、不織繊維材料、織物材料、スポンジ、および発泡材料のうち一つ以上を含んで構成されていることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第11の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記閉じ込め構造物は、前記弱化線に重なっており、前記アプリケーター装置を表面に使用する際、前記閉じ込め構造物によって、前記上層および前記下層の引き剥がされた縁部が、処置する前記表面から離された状態に維持されることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第12の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記薬剤を保持する前記容積部又は前記閉じ込め構造物の高さは、少なくとも薬剤を収容する前記容積部又は前記閉じ込め構造部の少なくとも前記把持領域から最も離れた縁の部分であって、薬剤を収容する前記容積部又は前記閉じ込め構造部の全周の長さの少なくとも50%を構成する部分では、10cm未満の直径を有する前記薬剤を保持する前記容積部又は前記閉じ込め構造物の場合、最大10mmで、有効高さが、少なくとも1mm、少なくとも10cmの直径を有する前記薬剤を保持する前記容積部または前記閉じ込め構造物の場合、最大20mmで、有効高さが、少なくとも1mm、前記薬剤を保持する前記容積部又は前記閉じ込め構造物の最大1/10で、最小1/50であることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第13の態様は、請求項1に記載のアプリケーター装置であって、前記閉じ込め構造物は、弾性高分子材料を含んで構成され、ほぼ前記弱化線に沿ったリブとして成形されていることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第14の態様は、第13の態様のアプリケーター装置であって、前記弾性高分子材料が、シリコーンであることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第15の態様は、第12の態様のアプリケーター装置であって、前記リブの高さは、前記薬剤の塗布中に前記塗布領域の縁部と表面との接触が避けられるように選択され、さらに前記高さは、前記閉じ込め構造物の前記線状隆起部の二点間の最大距離である前記閉じ込め構造物の直径の0.5%~2%であることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第16の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記薬剤を保持する容積部の一部は、弾性的に圧縮可能な材料を含んで構成され、前記材料を前記弱化線に沿って引き剥がした後、前記圧縮可能な材料が膨張する傾向にあることで、前記上層と前記下層とが互いに拡がることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第17の態様は、第16の態様のアプリケーター装置であって、前記圧縮可能な材料は、前記アプリケーター装置を閉じた状態で圧縮された状態の厚さを持つ弾性的に圧縮可能な高分子発泡体又はスポンジ材料であることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第18の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記上層および前記下層は、前記塗布部よりも外側で、少なくとも前記塗布部よりも外側の前記弱化線に沿って、互いに接続され、前記薬剤が前記アプリケーター部内に閉じ込められることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第19の態様は、第18の態様のアプリケーター装置であって、前記上層及び前記下層が、密封、接着および/または溶着又は溶着されることで、前記薬剤が前記アプリケーター部内に閉じ込められることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第20の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、二次元の弾性的な屈曲が可能なばね部材を備え、前記ばね部材は、前記上層と前記下層との間の距離を拡げる傾向の力を加えるような配置で、前記上層と前記下層と間に屈曲され張力が生じた状態で延在していることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第21の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記上層及び前記下層は、少なくとも二つの副層を含む複合材料で構成され、少なくとも一つの前記副層が高分子材料からなり、前記上層及び前記下層が、ホットシールや超音波溶着を含む、前記高分子材料を溶着する密封方法により互いに接続されていることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第22の態様は、第21の態様のアプリケーター装置であって、前記上層又は前記下層の一方を構成し他方の層と接触する少なくとも一つの前記副層が熱可塑性高分子材料からなり、前記上層及び前記下層が、ホットシールや超音波溶着を含む、前記熱可塑性高分子材料を溶着する密封方法により互いに接続されていることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第23の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記上層及び前記下層は、前記把持領域の縁部に沿って、前記上層及び前記下層の上に折り畳まれた一体型シートによって構成されていることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第24の態様は、第1の態様のアプリケーター装置であって、前記把持領域には、前記縁部から前記把持領域の反対側の境界に向かって延びる少なくとも一つの切欠きが、前記縁部から離れる方向に向かう三角形のような形状に設けられ、前記把持領域が屈曲されると前記上層及び前記下層にかかる力が生成され、前記上層が前記下層から離れる方向に有効に拡げられることを特徴とするアプリケーター装置にある。
本発明の第25の態様は、第1の態様のアプリケーター装置を製造する製造方法であって、前記弱化線は、前記上層および前記下層が互いに接合される前に、前記弱化線の経路に沿って導かれたレーザー光によって形成されることを特徴とするアプリケーター装置の製造方法にある。
【0013】
それに従い、アプリケーター装置は、アプリケーター部の外側の他の部分、特に支持シートの他の部分、を引き剥がすことができるように、アプリケーター部の周囲に亘って主弱化線を有している。
【0014】
支持シートは、二つの隣接した部分、すなわち翼部同士に分割されているので、翼部同士を互いに折り畳むと、アプリケーター部は密封部により囲まれたパウチを構成する。パウチの内部には、複数のアプリケーターパッド、好ましくはパウチの各壁(すなわち、各翼部)上にある各アプリケーターパッド、および/またはほぼ線状の隆起部またはリブが存在している。この隆起部又はリブは、表面に接触させる領域、すなわちアプリケーター部、を規定している。二つの支持シート部分の主弱化線は、両者が正確に重ね合わされるように、ほぼ鏡面対称に設けられていることが好ましい。接触する領域は弱化線まで伸びているため、弱化線に沿って引き剥がした後の支持シートの境界はアプリケーター部の境界とほぼ一致している。このため、アプリケーターパッド又は境界を定めるリブはスペーサーとして作用し、支持シートは、処置する表面から離された状態に保持される。上記の「ほぼ一致」とは、パッドが弱化線をわずかに越えて突出している状態、または弱化線がわずかにパッドの内部まで延びているか、正確に一致するまでわずかな距離延びている状態、を含むものと解される。
【0015】
さらに、各翼部の境界に配置された帯状の把持部同士は、バックボーン部または把持部を構成するために、折り畳まれて、接着、溶接、圧着、その他の公知の方法により互いに貼り付けられるよう設計されている。
【0016】
使用時には、把持部が把持され、支持シートの余分な部分が引き剥がされる。この状態で把持部から自由に延びた翼部は、アプリケーター装置が処置する表面に接触すると容易に拡げられる。
【0017】
アプリケーターパッドは、処置する表面に適した材料、特に、表面の損傷や、その他の表面への悪影響を避けることができる材料で形成されていればよい。好ましい材料としては、不織布、スポンジのような材料、発泡材料などが挙げられる。パッドは、少なくとも有効厚さを有する必要があり、線状の隆起部またはリブのそれぞれが、少なくとも有効高さを有する必要がある。
【0018】
好ましくは、アプリケーター層の表面上には、クリーム、液体、軟膏、スキンケア製品、剥離組成物、医薬活性物質または配合物、粉末、艶出材などのよう薬剤が供給される。一般的に、処置する表面に塗布する必要のある物質はアプリケーター上に存在し、この物質は純粋な材料および混合物を含む上記のような薬剤と解するものとする。
【0019】
繊細な、或いは刺激を受けやすい皮膚領域は、皮膚が薄い部分か、或いは皮膚の敏感な部分である。最も敏感な皮膚領域は外陰部周囲領域であり、もう一つの敏感な領域は眼の周りである。
【0020】
塗布された物質は、表面を改質する(磨く、洗浄する、今後の処置のための活性化する、または反対に不働態化する)、手入れする、または治癒過程を補助する(局所適用のための液体、クリーム、粉末、医薬品または化粧品の塗布)のに役立つ。
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図を参照しながら詳しく説明する。なお図において、厚さは図示のために誇張されており、層同士の実際の厚さ比率は反映されていない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】
図1のII-II線に対応するアプリケーター装置の断面図である。
【
図3】折り畳んで密封する前のアプリケーター装置の上面図である。
【
図4】アプリケーター装置の使用状態を概略的に示す、
図2と同様の断面図である。
【
図5】アプリケーターの中間製造状態を示す図であり、ハンドルを作成し、パッドを設置した状態の図である。
【
図6】
図5のVI-VI線に対応する断面図である。
【
図7】
図5及び
図6にしたがって製造されたアプリケーターの断面図である。
【
図8】第2の実施形態に係るアプリケーター装置を示す図であり、
図2と同様の断面図である。
【
図9】折り畳んで密封する前の
図5のアプリケーター装置の上面図である。
【
図10】第2の実施形態に係るアプリケーター装置の使用状態を概略的に示す、
図4と同様の図である。
【
図11】境界部を一致させたアプリケーター装置を示す図である。
【
図12】
図7と同様の断面図であり、拡開のためのばね要素を備えるアプリケーター装置を示す図である。
【
図13】
図5に対応する上面図であり、ばね要素の変形例を備える折り畳んで密封する前のアプリケーター装置を示す図である。
【
図14】
図5に対応する上面図であり、ばね要素の変形例を備える折り畳んで密封する前のアプリケーター装置を示す図である。
【
図15】
図5と同様の上面図であり、異なる輪郭のパッドと弱化線とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
アプリケーター装置またはアプリケーター1は、二つの支持シート部または支持シート7の二つの翼部3,5、すなわち、
図2に示したような上翼部3及び下翼部5を備えている。各翼部3,5上には、適切な非刺激性材料からなるパッド9,11が配置されている。
【0024】
これらアプリケーターパッド9,11は、適切な技術、例えば、接着、圧着あるいは溶着等により、翼部3,5のそれぞれに取付けられている。
【0025】
アプリケーターパッド9,11は、翼部3,5に設けられた主弱化線14,16によって囲まれている。これらの弱化線14,16は、末端弱化線17によって、支持シート7の中央部26を構成する把持部30,32を通って延長されている。主弱化線14,16は、これらの延長部又は二次的弱化線と共に、支持シート7の外方部22をパッド9,11を保持する部分及び把持部30,32から分離する役割を果たす。把持部30,32は、互いに折り畳まれて貼り付けられるとアプリケーター装置のハンドル又はグリップを構成する。
【0026】
主弱化線14,16は極めて正確にパッド9,11の輪郭に沿って設けられているか、またはわずかに後退しており、パッドの周辺部が弱化線14,16のそれぞれにより規定された領域より外側にはほとんど出ないようになっている。その結果、支持シート、特にその境界部が、アプリケーター装置1が使用される表面に接触するのを避けらるとともに、裏打ちされている支持シート7によって、パッドの支持及び機械的な安定性が維持される。支持シート7の上翼部3と下翼部5とは、折畳線28により切り分けられている。
図3において、折畳線28の上方及び下方には、上翼部3及び下翼部5の帯状の把持部30,32が設けられている。上翼部3及び下翼部5は、折畳線28に対して全体として鏡面対称であるので、これら二つの翼部は折畳線28で折畳むと重なり合い(
図1,2参照)、重なり合った状態では、パッド9,11と弱化線14,16とは相手方の上に正確に位置付けられる。
【0027】
折畳む前またはアプリケーター装置1を密封する前、アプリケーター1により表面に塗布される薬剤35を、パッド9,11の一方または両方の上又は内部に配置するか分散させる。アプリケーター装置が密封され、それによりパッド9,11及び薬剤35は密閉された袋内にしっかりと収納される。この際、適切な方法、例えば溶着、接着、圧着、またはそれらの組合せにより、パッド9,11及び把持部30,32を囲む領域において、上翼部3と下翼部5とが接続して、アプリケーター装置を密封する。溶着の場合、支持シートの材料としては、可塑性重合体材料を用いればよく、または、少なくとも溶着される領域が溶着可能な可塑性材料で被覆された材料を用いてもよい。
【0028】
アプリケーター装置1を開封しやすくするために、弱化線延長部17の端部には切込33が設けられている。
【0029】
アプリケーター装置を使用するには、支持シート7においてパッド9,11の外側になる部分を弱化線14,16に沿って引き剥がし、作業部が実質的に把持部30,32の残部34から構成されるようにする。開封動作中とその後の塗布中、アプリケーター1は、この残部34によって保持される。また、作業部はパッド9,11で覆われた部分によっても実質的に構成されている。後者は、この状態で、連結された把持部の部分34に蝶着されている。特に、使用者は、把持部分34によりアプリケーター1を保持し、アプリケーター1を表面36に押付け(
図4の矢印38)、それによりパッド9,11が拡げられる(
図4の矢印40)。表面36を処置するために(薬剤を塗布し、できる限り表面に浸み込ませるか、または表面上に分配するために)、アプリケーター1を表面36上で適宜移動させる。
【0030】
図4から明らかなように、パッド9,11は、弱化線14,16を若干越えている。パッド9,11が弱化線を越えて延びている場合、支持シート7または弱化線により設けられたその縁が処置する表面と接触する危険性は、さらに顕著に低下する。経験上、弱化線はパッドの縁に対して少なくとも1mm後退していることが好ましい。より具体的には、支持シートの縁からパッド9,11の縁までの距離は、直径3~10cmのパッドの場合1~3mmとし、直径10cm以上のパッドの場合2~5mmとする。ここでいう「直径」とは、パッド9,11の縁上の二点間の最も大きな距離をいう。したがって、本例のパッドの場合、直径とはパッドの形状を囲む円の直径である。
【0031】
上述の例に加えて、あるいは別の例として、すなわち、パッドの縁と輪郭が一致し、処理される表面に近づく支持シートの前面部に、弱化線があるレイアウトでは、パッドの材料の厚さは、処置される表面と支持シートとの接触が避けられるように選択される(
図11参照)。十分に厚いパッドは、以下のうちの一つ以上の理由で翼部3,5の拡開を引き起こす:
- パッド9,11の材料が膨張する、すなわち、その高さが増大する。この効果は、発泡材料やスポンジのような弾性材料を選択することにより、また、アプリケーターが閉じられている状態で材料が圧縮されていることで、補助される。
- アプリケーターが開かれると、把持部が指や、ペンチなど、でつままれ、それにより拡開力も生まれる。
【0032】
支持シートにおける弱化線のパッド9,11の輪郭への正確な適合は、他の部分に対して、すなわち、パッドの全輪郭の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、であることが好ましい。(これらの限度は実施例に対し広く適用できる。)
【0033】
パッド9,11の厚さは以下の通りでよい:
- 直径が10cmまでのパッドでは、最大10mm、好ましくは最大5mm、最も好ましくは最大3mm、また最小1mm、好ましくは最小2mm。
- 直径が少なくとも10cmのパッドでは、最大20mm、好ましくは最大10mm、最も好ましくは最大5mm、また最小3mm、好ましくは最小4mm。
- パッドの直径の最大1/10、好ましくは最大1/20、最も好ましくは最大1/30、また最小1/50、より好ましくは最小1/40。
【0034】
上記のことから、弱化線の外側の部分が取り除かれてパッドが機能的にアプリケーターの縁となる場合、弱化線とパッドとの一致が必要とされることは明らかである。特に、アプリケーターと表面との最初の接触中、支持シートの縁がパッドより前にこの表面と接触することがあるのは、これらの領域である。
【0035】
表面36への刺激を避けるために、把持部に隣接しないパッド9,11の輪郭、すなわち、弱化線14,16とほぼ一致するパッドの境界部分、は実質的に鋭角が無く、例えば図示したように、ほぼ半円形である。一般的に、パッドのこの部分は、所定値を下回らない曲率半径の屈曲形状を有していればよい。好ましい下限値は、輪郭全体における二点間の最大距離の1/5であることが判っているが、それよりも小さい曲率半径、例えば、その距離の1/50でも適用することができる。言い換えると、使用可能な公知の幾何学的形状は、円の一部、特に半分、楕円、オーバル形状、その他の鋭角を除いた線形状である。
【0036】
アプリケーター1の重要な態様は、弱化線14,16とパッド9,11の輪郭とが精密に一致していることである。このため、弱化線14,16の形成には高い精度が要求される。このような正確な形状の弱化線14,16は、レーザーを用いると迅速に形成することができることが知られている。
【0037】
アプリケーター1には、以下の材料が適していることが判明している:
[支持シート7(通常の材料と、厚さμm=マイクロメータ)]
・ OPP(配向ポリプロピレン、厚さ、例えば30μm、PE上で30μm:軟質の外観)
・ PET12μm、アルミニウム8μm、PE100μm-複数層:比較的硬質の外観。
・ PET12μm、アルミニウム8.5μm、PE75μm-複数層。
・ PET12μm、アルミニウム12μm、PP40μm-複数層。
(PE:ポリエチレン;PET:ポリエチレンテレフタラート;PP:ポリプロピレン)
【0038】
[パッド14,16]
・ フリースのような不織材料、フェルト。
・ 繊維同士が結合している織布、その他の繊維材料;(「織布」とは一般的に、実質的に繊維からなる織物材料または材料類であって、例えば織り、編み等のような当業界で既知の方法により繊維同士が互いに結合されたものをいう)。
・ 発泡材料やスポンジのような軟質重合体材料。
【0039】
アプリケーターは、一般的に使用分野に合わせたサイズを備えている。化粧品の用途では、サイズ、すなわち弱化線14,16の最大幅は、少なくとも1cmから数センチまで、例えば10cmまで、でよい。その他、例えば工業的な塗布の場合、好ましいサイズとして50cmまでのサイズが要求されることがある。
【0040】
一つの問題は、上翼部3および下翼部5が、
図4に示すように容易に拡がるかどうかである。弱化線14,16の外側の部分が引き剥がされると、それにより翼部3,5は既にわずかに拡げられるが、それらが表面36上に平らに置かれるように完全に拡げられほどではない。
【0041】
把持部26のほぼ中央部の切開部41が設けられている場合、切開部41の左右の部位43,44を互いに向かって動かすことにより、翼部3,5がさらに拡げられる。その後、支持シートの境界部が表面に触れることなく、表面36上に載置されている間にさらなる屈曲が生じる(
図4参照)。
【0042】
図5~6は、アプリケーター装置1の製造の他の例、及び使用可能となった状態のアプリケーターを示す。第1の工程では、上方把持部30及び下方把持部32を互いの上に折り畳み、例えば、溶着や接着によりそれらを接続することにより、把持部26を形成する。得られた中間物を平らにすると、結果として
図5,6の形状となる。合体した弱化線14,16にしたがって成形された一つの均一なピースとして両パッド9,11となる一つのパッドがこれらの弱化線の内側に設置され、薬剤がこのパッド9,11に供給される。あるいは、設置された状態で使用されるパッドには、すでに薬剤が供給されている。上翼部3と下翼部5とは重ね合わされ、その継目が、溶着や接着のような適切な技術により閉じられると、
図7に横断面図として示す形状が得られる。
【0043】
(第2実施形態)
時として装置は、薬剤を表面、例えば皮膚、に塗布することが要求されるが、当該表面との機械的相互作用は要求されない。あるいは、薬剤は、パッド9,11が不要あるいは不都合でさえあるような性質を備えている。
【0044】
そのような状況に適したアプリケーター装置1には(
図8~10参照)、各弱化線14,16に沿って伸びるリブ46が設けられている。その両端部は閉じられて、支持シート7の上翼部3及び下翼部5上には貯留部48が形成されていることが好ましい。貯留部48内には、薬剤が全体的(
図8参照)または部分的に、すなわちリブ46の高さより低い高さまで、充填されている。貯留部48には、第1実施形態のパッド9,11に適した材料のパッド50が含まれていてもよい。リブ46によって、支持シート7の縁20が表面36とは接触しないようになっているため、貯留部48内に配置されたパッド50はどのような形状でもよく、貯留部48の一部だけに充填されていてもよい。さらに言えば、パッド50は薬剤を持続的に放出する機能を有していればよい。パッド50は、翼部の一方または両方(
図9とは異なる)に存在してもよく、又は存在していなくてもよい(
図8)。
【0045】
リブまたは保持隆起部46は、支持シート7にプリントされるか、またはその他の方法で設けられてもよい。好ましくは、リブまたは保持隆起部46は、シリコーンまたは他のエラストマーのような弾性材料、発泡材料、繊維材料、またはこれらの混合物からなる。特に繊維材料が用いられる場合、忌避性を備えていてもよい。例えば、水中の薬剤に対しては疎水性であればよく、油中の薬剤に対しては疎油性であればよい。
【0046】
リブ46の高さはアプリケーターのサイズにより異なり、リブ46の直径を目安とすることができる(上記第1実施形態において「直径」の定義を参照)。過度に低いリブは十分量の薬剤を保持できない。過度に高いリブは、弱化線の外側でアプリケーターを密封している間、張力を生み出し、これにより、主として弱化線14,16に沿って支持シートを裂いて開くことがある。リブの最小高さは0.05mmであり、さらに可能な高さは0.1mm、0.5mm、1mmであり、後者は単により大きなアプリケーター向けであることが判っている。いずれの場合でも、これらの数値は下限値と考えてよい。上限値は、最も大きなアプリケーター(貯留部の直径が40cm~50cm)で約4~5mmであることが判っている。有用と実証されている他のアプローチは、アプリケーターのサイズ、より具体的には、リブ46により作られた貯留部48の直径、に関連した寸法設計である。リブの高さは、直径の0.5%~2%の範囲内で選択されればよい。例えば貯留部が直径5cmであるアプリケーターの場合にはリブの高さは0.25mm~1mmでよく、直径1.5cmの場合には0.075mm~0.3mm、直径40cmの場合には2mm~8mmでよい。これらの数字から、より小さい直径ではより高い数値、より大きい直径ではより低い数値という傾向が見られることが明らかである。もちろん、薬剤の性状および塗布の要件も考慮しなければならず、例えば幾つか挙げると、薬剤の有効量、その流動学的性質、処置する領域の大きさである。
【0047】
本実施形態に係るアプリケーターはさらに、その他の態様においては第1実施形態と同様である。具体的には、切開部または切欠き41を設けて、上述のように使用時に翼部を拡開させる力が生じるようにしてもよい。
【0048】
この例からも、隆起部46の高さが適切に選択されれば、後退はさらに少なくできゼロとしてもよい。特に、
図11に関してパッド9,10の輪郭に少なくとも部分的に正確に沿った弱化線について、上述と同様の配慮と寸法が当てはまる。
【0049】
リブが支持シートにおける主弱化線の外側部分と接続されていないか、または弱く接続(接着、溶着等)されている場合、
図10に示すように、支持シート7の縁、すなわち主弱化線14,16、をリブ46の縁に対して後退させることも可能である。このため支持シートのこの部分はリブ46を傷つけずにはぎ取られる。主弱化線14,16をリブに対して後退させる距離は、リブの足、すなわちリブが支持シートに触れる位置で測定したリブの幅、の最大で1/2であり、好ましくは最大で1/4である。
【0050】
(適用分野)
上述のアプリケーター装置は、あらゆる表面への薬剤の塗布に用いられ、特に、敏感な表面、例えば人の皮膚の様々な部分への塗布に用いられる。さらなる利点は、塗布される薬剤であってアプリケーター装置に含有される薬剤に使用者が接触することはなく、処置される表面に触れる必要がない点である。使用時まで、環境の影響(空気、温度または光)を受けやすい薬剤はしっかりと密封され、また支持シートの適切な設計、特に材質の選定により、有害な影響から良好に守られる。
【0051】
アプリケーター装置は医学用途または化粧品用途への使用に適しており、特に、敏感な皮膚の部分、例えば外陰部周囲領域、に薬剤を塗布する、またはこの部分を処置する、のに適している。このような部分では、衛生上のまたは心理的な理由や便宜性から、処置する領域または薬剤と接触しないことは顕著な利点である。医療スタッフのような専門的使用者は、医薬品との接触、時には患者の皮膚との接触、を避けるためにも、そのような装置を必要とする。
【0052】
また、アプリケーター装置は、支持シートのような支持構造と表面との接触が、この表面を刺激する(かき傷をつける等)ことがある、あるいは使用者と薬剤との接触を避けるべき繊細な技術的表面の処理に用いられてもよい。
【0053】
上記のアプリケーターは、開封後、薬剤をまず貯蔵部から絞り出さなくても、作用面が直ちに使用可能な状態にある、という一般的な利点を有する。もう一つの利点は、塗布される薬剤の正確な量である。
【0054】
別の利点としては、レーザー加工のような、弱化線を形成するための高精度な方法を用いると、弱化線が正確に作用面の輪郭に適合し、保護シートのいろいろな部分が作用面からはみ出ることが避けられ、それにより、特にアプリケーター装置の翼部が表面に接近しながら拡がる段階で、処置される表面に保護層が接触することが避けられる。
【0055】
レーザー加工のような方法は、弱化線の形状を設計する際に、自由度をより増大させる。具体的には、余材が正確に弱化線に沿って剥がされて好ましく取り除かれるように、鋭角とならないように弱化線を設計できる。そのような設計のさらなる利点は、保護シートの余材が一回の操作ではぎ取られることである。これにより、アプリケーターパッドをより迅速に開封できることに加え、使用者が運悪く薬剤と接触する危険が低減される。
【0056】
前述の好ましい実施形態の説明に基づき、当業者は、請求項にて定義された保護の範囲を逸脱することなく変更例や補足例を導き出すことができる。考えられるのは以下の変形例である。
【0057】
・ 上翼部及び下翼部は、一つのシートの複数部分を相互に折り畳んだものでなく、分離された個々のシートをそれぞれの把持部で溶着(または他の方法で接続)したものである。
【0058】
・
図3に示すように、翼部3,5または外側部分の間、すなわちシート7の末端の下部および上部の間、に把持部が配置され、これにより、翼部3,5が隣接し折畳線28により分離される。
【0059】
・ アプリケーター1の輪郭が長方形から外れている。例えば多角形、円形、または任意の形状が可能である。明らかに、そのような形状は、必要な輪郭を切り落とすことにより図示の形状から得られる。ほぼ必然的に、把持部は、上翼部及び下翼部を拡げるための蝶番を構成するほぼ直線によって区切られる。
【0060】
・ 支持シートの材料は、薬剤および/またはパッド9,11を環境の影響から保護するように選択される。例えば、金属層により、ガスを通さないとか、不透明にする。
【0061】
・ 支持シートはかなり硬質の材料からなり、柔軟な実質的に帯状の領域が上下翼部の把持部26と可動部との境界に沿って延びている。これにより、蝶番が構成され、翼部を拡げることができる。そのような柔軟な領域は特に薄い材料でよい。
【0062】
・ 薬剤は表面に塗布されるか、含侵されるか、または塗布・含侵されて、パッド9,11に供給される。例えば滴下のような、いかなる形状や方法も用いられる。図示したように、特にパッドや貯留部の全面を薬剤が覆うことはない。
【0063】
・ 支持シートの余分な部分が弱化線に沿って引き剥がされ、アプリケーターの境界部にパッドや溜め部が隣接した場合、主弱化線とパッドや貯留部の輪郭との一致度合は、当業界で既知の許容値内に収まるものと解される。
【0064】
・ 帯状の把持部が各翼部の他方の境界に位置している。しかしながら、それら把持部は、互いに重ね合わされることができるように、折畳線に対して鏡面対称的に設計する必要があることが、想定される。特に、それらは折畳線28に対向して各翼部の境界部にそれぞれ配置され、各翼部は折畳線に隣接する。
【0065】
・ 翼部3,5が拡がりやすくするため、パッドまたはフラップが例えば溶着や接着によりそれらの表面に取付けられていてもよい。あるいは、翼部3,5の内部で支持シート7に舌部を切り入れる。例えば、指またはペンチのような器具で掴める程度の大きさの実質的にU形(または例えばL形)の切込みをレーザーで入れてもよい。パッド9,11においてそのような舌部の下の部分は、支持シートに接続(接着)されるべきではない。
【0066】
・ アプリケーター装置には、ばね要素51(
図12参照)が埋め込まれていてもよい。ばね要素は、重合体や金属のような弾性材料の帯状片である。この材料は有害な影響を避けるように選択されなければならない。一般的に、当該材料は薬剤に対して不活性である必要がある。しかしながら、不活性でない材料が保護層で被覆されてもよい。ばね要素51はアプリケーター1を閉じる途中に屈曲し、それにより張力を生じさせる。アプリケーターが使用時に開封されると、ばね要素51によって翼部3,5が拡げられる。ばね要素51を使用すると、翼部が直ちに予め規定されたように拡がる。特に、ばね要素は真っすぐでも、緩んだ状態で傾いていてもよい。それにより、開封後、翼部はほぼ真直ぐまたは整合した形態にまで動くか、または上記のばね要素のほぼ元の角度にまで拡がる。ばね要素がパッド9,11の隙間に位置したり(例えば傾いた帯状片のように)、またはその両端がパッド9,11に埋め込まれる、といった状況を除外するものではない。特に、ばね要素により接続されたパッド9,11が(またはばね要素51がそれらに埋め込まれた状態で)支持シートに取付けられて、組立ユニットとなっていることも考えられる。他の変形例では、U字形のばね要素51(
図12参照)の折目または屈曲部は一つ以上の縁部を含んでなるか、またはこの縁部により構成されてよい。ばね要素の材料としては、高分子材料が好ましく、特にHDPE(高密度ポリエチレン)またはPETが好ましい。さらにばね要素の変形例は、好ましくは3mmまでの厚み、好ましくは最大0.5mm、より好ましくは0.1mmの厚みを持つ円板である。その他の考えられる形状は、オーバル形状または楕円形状のような変形円板で、延長方向が把持部26を横切っているものから、ほぼ長方形の帯状片までである。
【0067】
・ 弱化線およびパッドの輪郭の形状は広範に変えてもよい。パッド9,11の比較的高価な材料の最善の使用を考えると、未使用の材料が少ないかゼロである、すなわち損失の低い状態で多数のパッドを平面上に置くことができる長方形、その他の形状、例えば六角形、に近づけることが好ましい。弱化線に沿って支持シートの余材を迅速、正確、安全に引き離すことを考えると、弱化線の途中の角部はあまり鋭くない必要がある。引き剥がしが弱化線に沿うように、角部は少なくとも1mmの半径で丸みを帯びている必要があることが判っている。
【0068】
・ パッド7,9、または少なくともそのうち一つ、は弾性的に圧縮可能な材料からなり、膨張状態でのパッドの全厚みは、閉じた状態のアプリケーター(例えば
図2及び
図7に示されている)の内部に得られるスペースを超える。アプリケーターが開かれると、圧縮された材料が膨張する。この容量増加により、アプリケーターの翼部が拡げられる。好適な材料は、ポリウレタンフォーム、特にトルエンジイソシアネート由来のポリウレタンフォームである。この種のポリウレタンは低密度を有し、低容量膨張を示す。その吸収性は、意図した使用と、薬剤を含む薬剤含有部の必要とされる高または低充填量を考慮して選択されればよい。