(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】配電線電圧調整装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/12 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
H02J3/12
(21)【出願番号】P 2020046226
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000164391
【氏名又は名称】九電テクノシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520242399
【氏名又は名称】九州電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】和合 孝博
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼田 晃子
(72)【発明者】
【氏名】村上 清一
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 正剛
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-088929(JP,A)
【文献】特開2011-120427(JP,A)
【文献】特開平09-331699(JP,A)
【文献】特開2018-091745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0043045(US,A1)
【文献】米国特許第05378979(US,A)
【文献】特開2018-068045(JP,A)
【文献】特開2014-033492(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087539(WO,A1)
【文献】特開2015-082925(JP,A)
【文献】特開2014-239626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線の三相の相電圧または線間電圧を計測し、それを元にして導出された制御信号により配電線の電圧を調整する配電線電圧調整装置において、
計測部、変換部および制御演算部を備え、
前記計測部は、配電線の三相の相電圧または線間電圧を計測し、
前記変換部は、前記三相の相電圧または線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧
の実効値を導出し、
前記制御演算部は、前記正相電圧
の実効値を入力とし、
該実効値を指標として、配電線の電圧を調整するための制御信号を導出することを特徴とする配電線電圧調整装置。
【請求項2】
前記変換部は、前記計測部により計測された三相の相電圧または線間電圧をAD変換するAD変換器を含み、
前記変換部での処理は、前記AD変換器で離散化された三相の相電圧または線間電圧の離散値の演算により前記正相電圧を導出する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の配電線電圧調整装置。
【請求項3】
前記変換部は、前記AD変換器で離散化された三相の相電圧の離散値から当該三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルを導出し、そのうちの1つの相のベクトルをそのままとし、別の1つの相のベクトルの位相を120°進ませ、または240°遅らせ、さらに別の1つの相のベクトルの位相を240°進ませ、または120°遅らせ、それらの三相のベクトルを加算し、大きさを3分1にすることで前記正相電圧を導出することを特徴とする請求項2に記載の配電線電圧調整装置。
【請求項4】
前記変換部は、前記三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルの導出に商用周波数成分とのフーリエ演算を用いることを特徴とする請求項
3に記載の配電線電圧調整装置。
【請求項5】
前記変換部は、前記三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルの導出に離散化された離散値の実効値演算あるいは平均化演算で算出された振幅および零クロス箇所で算出された位相に三角関数演算を用いることを特徴とする請求項
3に記載の配電線電圧調整装置。
【請求項6】
前記変換部は、前記AD変換器で離散化された三相の相電圧の離散値を用い、そのうちの1つの離散値をそのままとし、別の1つの離散値を商用周期の120°時間進ませ、または240°時間遅らせ、さらに別の1つの離散値を商用周期の240°時間進ませ、または120°遅らせ、それらの3つの離散値を加算し、大きさを3分の1にすることにより前記正相電圧を導出することを特徴とする請求項2に記載の配電線電圧調整装置。
【請求項7】
前記計測部は、前記配電線の複数個所に対して複数設置され、該複数個所における三相の相電圧または線間電圧を同時刻に計測し、
前記変換部は、前記三相の相電圧または線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧
の実効値を導出し、
前記制御演算部は、前記正相電圧
の実効値を入力とし
、該実効値を指標として、前記配電線の複数個所で電圧を調整するための制御信号を導出することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の配電線電圧調整装置。
【請求項8】
前記配電線の電圧の調整が配電用変電所に設置されたタップ切換三相変圧器のタップ切換により行われることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の配電線電圧調整装置。
【請求項9】
前記変換部は、さらに前記計測部により計測された三相の相電圧または線間電圧からそれらの実効値を導出し、
前記制御演算部は、前記正相電圧
の実効値または前記
三相の相電圧または線間電圧から導出した実効値を選択的に用いて配電線の電圧を調整するための制御信号を導出することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の配電線電圧調整装置。
【請求項10】
さらに、前記配電線が保つべき電圧の基準値と制御履歴の少なくとも一方を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1つに記載の配電線電圧調整装置。
【請求項11】
前記計測部が子局に設けられ、前記制御演算部が親局に設けられ、前記変換部が前記子局と前記親局の何れか一方に設けられ、前記子局と親局とが互いに通信し、前記子局が前記制御信号を送出することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1つに記載の配電線電圧調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電用変電所に設置されたタップ切換三相変圧器や、配電線に設置された自動電圧調整器や無効電力補償装置などを制御し、あるいはそれらを統合的に制御して配電線の電圧を調整する配電線電圧調整装置に関し、特に、配電線の状況をより適切に表現する制御信号を導出し、配電線の電圧をより適切に調整することができる配電線電圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気事業法および同施行規則により、高圧配電線は、供給電圧(低圧側電圧)が101±6V(標準電圧が100Vの場合)、200±20V(標準電圧が200Vの場合)の範囲内となるように、高圧側電圧を供給し運用されなければならない。
【0003】
特許文献1には、タップ切換三相変圧器が出力する3種類の電圧(三相の相電圧または線間電圧)を平均化し、それにより導出される平均値(実効値)に基づいてタップ切換指令を発生させ、このタップ切換指令によりタップ切換三相変圧器のタップを切り換えることにより三相高圧配電線の電圧を調整する配電盤用電圧調整装置が記載されている。
【0004】
また、平均値とは別に3種類の電圧の実効値を算出し、平均値と実効値を選択的に用いてタップ切換指令を発生させ、このタップ切換指令によりタップ切換三相変圧器のタップを切り換えることにより三相高圧配電線の電圧を調整することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5501197号(特開2012-110131号公報)
【非特許文献】
【0006】
【文献】「対称座標法入門」,オーム社,村田愛祐 著
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されている配電盤用電圧調整装置において、タップ切換指令を発生させるために3種類の電圧の平均値を用いるのは、三相の相電圧が不平衡となることが想定される系統でも、その平均値が系統の状況を適切に表現し、それを用いれば配電線の電圧をより適切に調整できると考えられているためである。
【0008】
しかし、特許文献1に記載されている配電盤用電圧調整装置は、三相の相電圧は不平衡であっても、位相は均一であるという仮定の下で三相の相電圧の振幅のみを単純に平均化し、それにより導出される平均値を用いて配電線の電圧を調整するものであり、三相の相電圧の間の位相関係のずれを考慮していないので、配電線の電圧を適切に調整するという点で、まだ十分でない。
【0009】
本発明の目的は、配電線の状況をより適切に表現する制御信号を導出し、配電線の電圧をより適切に調整することができる配電線電圧調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、配電線の三相の相電圧または線間電圧を計測し、それを元にして導出された制御信号により配電線の電圧を調整する配電線電圧調整装置において、計測部、変換部および制御演算部を備え、前記計測部は、配電線の三相の相電圧または線間電圧を計測し、前記変換部は、前記三相の相電圧または線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値を導出し、前記制御演算部は、前記正相電圧の実効値を入力とし、該実効値を指標として、配電線の電圧を調整するための制御信号を導出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記変換部が、前記計測部により計測された三相の相電圧または線間電圧をAD変換するAD変換器を含み、前記変換部での処理は、前記AD変換器で離散化された三相の相電圧または線間電圧の離散値の演算により前記正相電圧を導出する処理を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記変換部が前記AD変換器で離散化された三相の相電圧または線間電圧の離散値から当該三相の相電圧または線間電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルを導出し、そのうちの1つの相のベクトルをそのままとし、別の1つの相のベクトルの位相を120°進ませ、または240°遅らせ、さらに別の1つの相のベクトルの位相を240°進ませ、または120°遅らせ、それらの三相のベクトルを加算し、大きさを3分1にすることで前記正相電圧を導出することを特徴とする。
また、本発明は、前記三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルの導出に商用周波数成分とのフーリエ演算を用いることを特徴とする。
また、本発明は、前記三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルの導出に離散化された離散値の実効値演算や平均化演算で算出された振幅および零クロス箇所で算出された位相に三角関数演算を用いることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記変換部が前記AD変換器で離散化された三相の相電圧または線間電圧の離散値を用い、そのうちの1つの離散値をそのままとし、別の1つの離散値を商用周期の120°時間進ませ、または240°時間遅らせ、さらに別の1つの離散値を商用周期の240°時間進ませ、または120°遅らせ、それらの3つの離散値を加算し、大きさを3分の1にすることにより前記正相電圧を導出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記計測部が、前記配電線の複数個所に対して複数設置され、該複数個所における三相の相電圧または線間電圧を同時刻に計測し、前記変換部は、前記三相の相電圧または線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値を導出し、前記制御演算部は、前記正相電圧の実効値を入力とし、該実効値を指標として、前記配電線の複数個所で電圧を調整するための制御信号を導出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記配電線の電圧の調整が配電用変電所に設置されたタップ切換三相変圧器のタップ切換により行われることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記変換部がさらに前記計測部により計測された三相の相電圧または線間電圧からそれらの実効値を導出し、前記制御演算部が前記正相電圧の実効値または前記三相の相電圧または線間電圧から導出した実効値を選択的に用いて配電線の電圧を調整するための制御信号を導出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、さらに、前記配電線が保つべき電圧の基準値と制御履歴の少なくとも一方を記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明は、前記計測部が子局に設けられ、前記制御演算部が親局に設けられ、前記変換部が前記子局と前記親局の何れか一方に設けられ、前記子局と親局とが互いに通信し、前記子局が前記制御信号を送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、配電線の状況をより適切に表現する制御信号として、配電線の三相の相電圧または線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値から導出された制御信号を用いるので、配電線の電圧をより適切に調整することができる。
【0020】
ここで、三相の相電圧または線間電圧をAD変換器で離散化し、離散値を演算するようにすることにより、温度変化による振幅や位相の変化を抑制して、三相の相電圧または線間電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧を算出することができる。また、ここで取り扱うデータの記憶や通信機能による伝送が容易になるので、付加価値を与えることができる。
【0021】
また、AD変換器で離散化された三相の相電圧または線間電圧の離散値から当該三相の相電圧または線間電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルを導出し、そのうちの1つの相のベクトルをそのままとし、別の1つの相のベクトルの位相を120°進ませ、または240°遅らせ、さらに別の1つの相のベクトルの位相を240°進ませ、または120°遅らせ、それらの三相のベクトルを加算し、大きさを3分1にすることで正相電圧を導出することができ、また、三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルの導出に商用周波数成分とのフーリエ演算を用いることもでき、また、三相の相電圧の振幅と位相をもつ三相のベクトルの導出に離散化された離散値の実効値演算や平均化演算で算出された振幅および零クロス箇所で算出された位相に三角関数演算を用いることもでき、フーリエ演算を用いる場合には、商用周波数成分以外の、例えば、商用周波数の高調波成分などの雑音成分の影響を抑制することができる。
【0022】
また、フーリエ演算によることなく、時間を進ませたり、遅らせたりした離散値を用いて、三相の相電圧または線間電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧を導出するようにすることにより、複雑なフーリエ演算を不要にすることができる。
【0023】
また、配電線の複数個所において三相の相電圧または線間電圧を同時刻に計測し、それらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値を導出するようにすることにより、配電線全体の状況を把握することができ、それにより配電線全体における電圧を適切に調整することができる。
【0024】
また、三相の相電圧または線間電圧からそれらの実効値を導出し、配電線の負荷変動状 態によって、三相の相電圧または線間電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値と三相の相電圧または線間電圧から導出した実効値を選択的に用いて配電線の電圧を調整するようにすることにより、良好な応答性または感度で、配電線の電圧を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】対称座標法における座標変換を示す説明図である。
【
図2】本発明に係る配電線電圧調整装置の一実施形態を示すブロック図である。
【
図3】三相の相電圧の不平衡ベクトルを示す図である。
【
図4】
図3の不平衡ベクトルの時系列波形を示す図である。
【
図5】サンプリングによる商用周波数波形の離散化を示す説明図である。
【
図6】
図3の不平衡ベクトルに変換式を適用して正相電圧を導出する過程で位相調整された三相の相電圧のベクトルを示す図である。
【
図7】三相の相電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧を導出する過程を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る配電線電圧調整装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係る配電線電圧調整装置について説明する。
非特許文献1には、交流理論の三相(例えば、a相,b相,c相)を正相成分と逆相成分と零相成分に変換する対称座標法が記載されている。下記(1)式は、相座標系(a,b,c)を対称座標系(0,1,2)に変換する変換式であり、下記(2)式は、対称座標系(0,1,2)を相座標系(a,b,c)に変換する変換式であり、
図1は、対称座標法における座標変換を示す説明図である。
【0027】
【0028】
【0029】
上記(1)式および(2)式で表されるように、対称座標法は、相座標系と対称座標系の間の変換であり、複素平面上のベクトル(振幅と位相の情報)を扱う。上記(1)式および(2)式において、a、b、cはそれぞれ、a相、b相、c相を表し、Va、Vb、Vcはそれぞれ、a相成分、b相成分、c相成分を表す。また、0、1、2はそれぞれ、零相、正相、逆相を表し、V0、V1、V2はそれぞれ、零相成分、正相成分、逆相成分を表す。なお、Va、Vb、Vc、V0、V1、V2は、複素平面上のベクトルであり、αは、120度進み演算子exp(j(2/3)π)である。本明細書において大文字表記はベクトルである。
【0030】
図1(a)に示される、配電線の系統に不平衡がなければ、正相成分V1のみが存在し、零相成分V0と逆相成分V1は存在しない。この場合、a相、b相、c相の成分Va、Vb、Vcは、
図1(b)に示すように、通常の三相ベクトルとなり、三相の3つの成分は、1つの正相成分で表現され、それは三相の3つの成分の振幅およびそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映する。
【0031】
このように、正相成分は、三相の3つの成分の間の位相関係の基準からのずれを反映しつつ三相の3つの成分の状態を表す。したがって、三相高圧配電線における三相の相電圧を調整するための1つの代表電圧として、三相の相電圧が不平衡の状態においても、それらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映し、三相電源の位相の相回転と同方向の平衡成分である正相成分を選択するのが妥当である。
【0032】
本発明では、以下に詳細に説明するように、配電線から計測された三相の相電圧または線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値を導出し、この正相電圧の実効値を指標として、制御信号を導出して配電線の電圧を調整する。
【0033】
図2は、本発明に係る配電線電圧調整装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態の配電線電圧調整装置は、計側部1、変換部2、制御演算部3および記憶部4を備える。ここで、変換部2や制御演算部3は、ハードウエアあるいは1つ以上のCPUとソフトウエアで構成することができる。なお、記憶部4は、配電線電圧調整装置の外部に設けてもよい。
【0035】
計測部1は、三相高圧配電線の三相の相電圧を計測する。計測部1は、三相高圧配電線の三相の相電圧を検出するセンサを含んでもよい。
【0036】
変換部2は、計測部1により計測された三相の相電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧の実効値を導出する。正相電圧の導出については、後で詳細に説明する。
【0037】
制御演算部3は、計側部1により計測された三相の相電圧および変換部2により導出された正相電圧の実効値を入力とし、それらの実効値の何れかを指標として配電線の電圧調整用の制御信号を導出する。この制御信号は、配電用変電所に設置されたタップ切換三相変圧器や、配電線に設置された配電用自動電圧調整器(SVR)や無効電力補償装置(SVC)などに送出され、それらを制御して高圧配電線の電圧を調整する。
【0038】
なお、制御演算部3により導出される制御信号の態様は、制御対象の機器やシステムより異なるが、制御演算部3は、それに合わせて制御信号を導出すればよく、例えばタップ切換三相変圧器へのタップ切換指令の導出などの技術は既知であるので、説明を省略する。
【0039】
記憶部4は、変換部2において三相の相電圧から正相電圧への変換に使用するデータや変換された正相電圧の実効値、制御演算部3において制御信号の導出に使用するデータおよび演算出力などを記憶する。記憶部4は、制御対象の動作のための情報、例えば制御信号が制御対象とする機器やシステムの挙動を決定するための設定値や調整時間などを記憶してもよい。
【0040】
以下、各部における動作をより詳細に説明する。
【0041】
まず、計測部1は、三相高圧配電線の三相の相電圧を計測する。ここでは、三相の相電圧を以降の処理に適した電圧情報に調整することもできる。
【0042】
変換部2は、計測部1により計測された三相の相電圧のベクトルをVa、Vb、Vcとすると、上記(1)式により、三相の相電圧Va、Vb、Vcからそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を導出する。
【0043】
図3は、三相の相電圧の不平衡ベクトルを示す図である。ここでは、三相の相電圧(三相高圧配電線における対地間の相電圧を想定)を実効値とした不平衡ベクトルVa、Vb、Vcを示す。
図4は、
図3の不平衡ベクトルの時系列波形を示す。
【0044】
三相の相電圧Va、Vb、Vcからそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1への変換は、アナログ回路により既知の回路を用いて実現することができる。例えば、位相調整が可能で必要な帯域で減衰のないオールパスフィルタや加算器や増幅器などを用い、b相の相電圧Vbを商用周波数で位相を120°進ませ、または240°遅らせ、c相の相電圧Vcを240°進ませ、または120°遅らせ、それらを位相調整しないa相の相電圧Vaと加算器で合成し、その振幅を3分の1にすればよい。
【0045】
なお、正相電圧V1を全波整流し、低域濾波器に通した後、適切な増幅率で増幅すれば、正相電圧V1の実効値を導出することができ、その実効値を指標として制御信号を導出し、その制御信号により配電線の電圧を調整することができる。なお、実効値の導出のための回路構成は既知であるので、その説明は省略する。
【0046】
三相の相電圧を離散化し、離散電圧から正相電圧V1を導出することもできる。以下に、計側部1により計測された三相の相電圧が変換部2のAD変換器により離散化されたとして、その離散電圧(va(i),vb(i),vc(i),i=0,1,・・・,(N-1))(瞬時値)から三相の相電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を導出する手法について説明する。なお、離散化のサンプリング周波数は、商用周波成分を計算するため商用周波数の整数倍が望ましい。以下では、商用周波数のN倍をサンプリング周波数として説明する。
【0047】
振幅1の商用周波数波形の1周期を離散化した余弦波fc(i),i=0,1,・・・,(N-1)と正弦波fs(i),i=0,1,・・・,(N-1)を記憶部4に記憶する。計側部1により計測され、離散化された三相の相電圧va(i),vb(i),vc(i),i=0,1,・・・,(N-1)のサンプリング時刻は、同時刻に揃うようにする。したがって、三相の相電圧の離散化では、同時サンプリングが望ましい。
【0048】
図5は、サンプリングによる商用周波数波形の離散化を示す説明図であり、同図(a)は、離散化された余弦波fc(i),i=0,1,・・・,(N-1)を示し、同図(b)は、離散化された正弦波fs(i),i=0,1,・・・,(N-1)を示す。
【0049】
離散化された三相の相電圧(va(i),vb(i),vc(i),i=0,1,・・・,(N-1))から、それらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を導出する場合、まず、三相の相電圧(va(i),vb(i),vc(i),i=0,1,・・・,(N-1))を複素数平面上のベクトルとしてベクトル化する。例えば、a相の相電圧va(i)は、下記(3)式~(5)式によりフーリエ演算することにより、複素数平面上のa相の相電圧Vaとしてベクトル化することができる。なお、jは、虚数を示す。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
同様に、b相の相電圧vb(i)は、複素数平面上のb相の相電圧Vbとしてベクトル化することができ、c相の相電圧vc(i)は、複素数平面上のc相の相電圧Vcとしてベクトル化することができる。
【0054】
次に、ベクトル化された三相の相電圧Va、Vb、Vcから上記(1)式によりそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を導出する。
図4の三相高圧配電線の三相の相電圧の時系列波形をフーリエ演算すると、
図3の三相の相電圧Va、Vb、Vcが導出される。なお、
図3における各ベクトルの振幅は、三相の相電圧Va、Vb、Vcが実効値に換算された値である。
【0055】
図3の三相の相電圧Va、Vb、Vcに、上記(1)式の変換式を適用して、正相電圧V1を導出する。
図6は、その導出の過程で位相変換された三相の相電圧Va、Vb、Vcを示す。これらの位相変換された三相の相電圧Va、Vb、Vcを加算し、その振幅を3分の1にすることにより、三相の相電圧Va、Vb、Vcの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を導出することができる。
【0056】
上記の手法では、商用周波数のフーリエ演算を用いるので、商用周波以外の周波数を除去できるという利点がある。なお、以上では、フーリエ演算を用いる場合のデータ数Nを商用周波数の1周期分としたが、商用周波数の緩やかな変動をより正確に抽出したい場合には、データ数Nを商用周波数の整数倍周期分とすればよい。
【0057】
また、データ数Nをフーリエ演算でのデータの一区切りとし、解析の供するデータ数Nをそのままにして、その区切りをサンプリングの1データ毎にずらしてゆけば、移動平均処理のように1サンプリング毎にリアルタイムで、三相の相電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を算出することができる。
【0058】
次に、ベクトル化された三相の相電圧Va、Vb、Vcの別の算出方法について説明する。離散電圧(va(i),vb(i),vc(i),i=0,1,・・・,(N-1))(瞬時値)から下記(6)式により各相の実効値の振幅(|Va|,|Vb|,|Vc|)を計算することができる。
【0059】
【0060】
これにより三相の振幅が既知となるので余弦定理で各位相を算出することができ、
図3のベクトルを導出することができる。また、離散電圧から
図4で観測される各相の零クロス点を算出し、位相を算出することもできる。その他、正弦の定理などの三角関数に関する演算を使用して振幅と位相を算出することもでき
る。図3のベクトル導出後の正相電圧の導出では、フーリエ演算と同様に、上記(1)式の変換式を適用すればよい。また、上記(6)式の実効値の振幅の計算に用いるデータ数Nを商用周波数の1周期分としたが、商用周波数の緩やかな変動をより正確に抽出したい場合には、フーリエ演算と同様に、データ数Nを商用周波数の整数倍周期分とすればよい。更にフーリエ演算と同様に、データ数Nをフーリエ演算でのデータの一区切りとし、解析の供するデータ数Nをそのままにして、その区切りをサンプリングの1データ毎にずらしてゆけば、移動平均処理のように1サンプリング毎にリアルタイムで、三相の相電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を算出することができる。
【0061】
次に、離散電圧(va(i),vb(i),vc(i),i=0,1,・・・,(N-1))から三相の相電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧V1を導出する別の手法について説明する。
【0062】
上記(1)式の代わりに、下記(7)式を変換式とし、商用周波数周期の120°時間遅延する遅延演算子D120°と商用周波数周期の240°時間遅延する遅延演算素子D240°を用いる。これは、三相の相電圧が離散化されているので可能であり、これによれば事前のベクトル化が不要となり、時系列波形に対して直接的に演算を適用することができる。
【0063】
なお、下記(7)式において、va(i)、vb(i)、vc(i)はそれぞれ、三相交流のa相、b相、c相の相電圧の瞬時値を表し、v0(i)、v1(i)、v2(i)はそれぞれ、三相交流の0相(零相)、1相(正相)、2相(逆相)の電圧の瞬時値を表す。
【0064】
【0065】
以上のように、遅延演算子D120°、D240°を用い、上記(7)式の変換式を用いて、三相交流のa相、b相、c相の相電圧の瞬時値va(i)、vb(i)、vc(i)からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧v1(i)を導出すれば、複雑な演算を不要にすることができ、リアルタイム性を高めることができる。
【0066】
なお、ある過去の時刻の時間断面を考え、その時間断面より時間を進めた演算を行うことにより三相の相電圧v0(i)、v1(i)、v2(i)からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれが反映された正相電圧v1(i)を導出することもできる。これは、例えば、遅延演算子D120°の代わりに商用周波数時間を240°進める演算子A240°を用い、遅延演算子D240°の代わりに商用周波数時間を120°進める演算子A120°を用いることで実現することができる。
【0067】
なお、これら遅延演算子や演算子を用いて正相電圧v1(i)を導出する場合には、商用周波数周期に整合性のある時間の遅延や進みとすることが必要であり、例えば、離散化のサンプリング周期を商用周波数周期の3分の1時間の整数倍とすることが望ましい。
【0068】
図7は、三相の相電圧v0(i)、v1(i)、v2(i)からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧v1(i)を導出する過程を示す説明図であり、同(a)は、
図4の三相高圧配電線の三相の相電圧v0(i)、v1(i)、v2(i)の時系列波形が位相調整された時系列波形、すなわちa相の相電圧の瞬時値va(i)、240°遅延されたb相の相電圧の瞬時値vb(i)、および120°遅延されたc相の相電圧の瞬時値vc(i)(同図(a))を示し、同図(b)は、上記(6)式により導出された正相電圧v1(i)の時系列波形を示す。
【0069】
以上のようにして、変換部2において正相電圧を演算し、制御演算部3において正相電圧から制御信号を導出する場合、三相の相電圧の1相分の電圧から制御信号を導出する場合に比べて、タップ切換や電圧調整の応答性や感度が悪くなる可能性がある。そこで、配電線の負荷変動の状況によって、変換部2が、正相電圧(実効値)と三相の相電圧(実効値)のいずれかを選択選定して出力し、制御演算部3が、それらの何れかを選択的に用いて制御信号を導出するようにすることが好ましい。
【0070】
制御演算部3は、定期的な電圧調整または非定期の電圧調整の制御タイミングを定めるタイミング信号を送出する。このタイミング信号の送出されるタイミングに従って、計測 部1は、配電線の三相の相電圧を計測し、変換部2は、計測部1により計測された三相の相電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧および三相の相電圧の実効値を導出し、配電線の負荷変動の状態によってそのいずれかの実効値を選択して出力する。制御演算部3は、その出力を指標として、変電所に設けられたタップ切換三相変圧器や配電線に設置された配電用自動電圧調整器や無効電力補償装置などでの電圧調整に適した制御信号を導出する。
【0071】
以上のようにして導出された制御信号を用いることにより、正相電圧の実効値または三相の相電圧の実効値を予め設定されて記憶部3に記憶されている目標電圧に保つことができ、それにより配電線の電圧を所定値に調整することができる。
【0072】
図3に示されるように、三相の相電圧(実効値)が、a相の相電圧4180V、b相の相電圧3415.3184V、c相の相電圧3835.8311Vである場合、それらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれが反映されて導出された正相電圧と、三相の相電圧の単純平均により導出された平均値とを比較すると、上記(1)式のフーリエ演算によるベクトル化(
図5)により三相の相電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれが反映されて導出された正相電圧(実効値)は、3797.5937Vとなり、
図6により三相の相電圧の振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれが反映されて導出された正相電圧(実効値)は、3797.6Vとなって、両者の値は一致する。しかし、三相の相電圧を単純平均により導出された平均値は、3810.3832Vとなり、十数Vの相違がある。
【0073】
図8は、本発明に係る配電線電圧調整装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【0074】
本実施形態の配電線電圧調整装置は、三相高圧配電線に設置される子局10と親局20から構成される。子局10は、計測部11、変換部12、子局制御部13、子局記憶部14、および子局通信部15を備える。なお、図示していないが、子局10は、三相高圧配電線に複数設置され、それらに対して1つの親機20が設置される。配電線には各子局10に対して1つずつの電圧調整装置が並列的に設置される。
【0075】
計測部11は、
図2の計測部1と同様に動作し、変換部12は、
図2の変換部2と同様に動作する。子局記憶部14は、子局制御部13により制御されて、
図2の記憶部4と同様に動作するが、それに加えて、子局10と親局20の間での情報伝達のために必要な情報を記憶する。
【0076】
子局制御部13は、
図2の制御演算部3と同じように動作するが、それに加えて、子局10と親局20の間での情報伝達のための子局通信部15を制御する。すなわち、子局制御部13は、計測部11と変換部12と子局記憶部14と子局通信部15を制御するとともに、配電線に設定された電圧調整装置への制御信号を親局20からの指令に従って送出する。
【0077】
親局20は、親局制御演算部23、親局記憶部24、親局通信部25、表示部26、および入力部27を備える。親局制御演算部23は、親局20の各部の動作を制御し、親局記憶部24は、親局20の各部での動作や子局10との間での通信に必要とする情報などを記憶する。親局通信部25は、親局制御演算部23により制御されて子局通信部15との間で情報を送受信する。
【0078】
表示部26は、電圧調整装置やシステムの状態(例えば、切換タップ位置や履歴など)を表示する。これにより、ユーザは、電圧調整装置やシステムの状態を確認することができる。入力部27からは予め設定されて親局記憶部24に記憶される電圧調整の目標電圧などの情報が入力される。
【0079】
親局20の親局制御演算部23は、定期的に電圧調整制御のタイミング信号を発生し、あるいは非定期で電圧調整制御のタイミング信号を発生し、親局通信部25は、そのタイミング信号で各子局10の子局通信部15に計測指令を送信する。
【0080】
子局通信部15がタイミング信号を受信すると、子局制御部13は、計測部11に三相の相電圧の計測を指示し、計測部11により計測されたデータは、子局記憶部14に記憶される。なお、計測部11は、三相の相電圧を常時計測していてもよく、その場合には、子局記憶部14は、計測指令のタイミングで計測されたデータ、すなわち、複数の子局10が計測指令のタイミングで同時刻に計測したデータを記憶する。
【0081】
ここで、親局20や子局10にGPS機能を持たせ、計測されたデータとともにGPS時刻を記憶するようにすれば、親局20や複数の子局10の間での時刻の一致性を確保することができ、これにより、計測されたデータの間での精度を高めることができる。
【0082】
変換部12は、
図2の変換部2と同様に動作し、親局制御演算部23は、変換部12からの正相電圧
の実効値などの情報を子局通信部15および親局通信部25を通して受信し、
図2の制御演算部3と同様に動作する。
【0083】
このとき、複数の子局10で計測された三相の相電圧から三相高圧配電線の電圧の分布を把握し、その分布から電圧調整の必要性を判断し、電圧調整の必要があれば、1つまたは複数の電圧調整装置に対して併設されている子局10へ制御信号を送信する。子局10では、子局通信部15が親局20からの制御信号を受信すると、子局制御部13が制御信号を送出する。
【0084】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々に変更されたものも含む。
【0085】
例えば、上記実施形態では、計測部1、11が三相の相電圧を計測するとしたが、線間電圧を計測し、その線間電圧からそれらの振幅とそれらの間の位相関係の基準からのずれを反映した正相電圧を導出するようにしてもよい。また、
図2の実施形態において、
図8の実施形態と同様に、表示部や入力部を備えてもよい。
【0086】
また、
図8の実施形態においては、子局10が変換部12を備えるが、親局20が変換部12を備えてもよい。また、三相高圧配電線に複数の子局を設置する場合、すべての子局に対応して電圧調整装置を併設することは要求されない。すなわち、三相高圧配電線の三相の相電圧を計測する機能だけをもつ子局や、子局を伴わない電圧調整装置があってもよい。
【0087】
また、
図8の実施形態では、親局制御演算部25が定期的に電圧調整制御のタイミング信号を発生し、あるいは非定期で電圧調整制御のタイミング信号を発生し、計側部11がそのタイミング信号のタイミングで同時刻に計測を行う、として説明したが、複数の子局で定期的に、例えば、0時、0時半、1時、1時半などというように、24時間の30分毎などの同時刻に計測するようにしてもよい。
【0088】
さらに、三相高圧配電線に複数設置されるセンサ機能付開閉器などを有効に利用することができ、また、三相高圧配電線の電圧を計測することができるスマートメータなども活用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1,11・・・計測部
2,12・・・変換部
3・・・制御演算部
4・・・記憶部
10・・・子局
13・・・子局制御部
14・・・子局記憶部
15・・・子局通信部
20・・・親局
23・・・親局制御演算部
24・・・親局記憶部
25・・・親局通信部
26・・・表示部
27・・・入力部