IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソフトバンクモバイル株式会社の特許一覧

特許7148564交通管制システム、移動体、電子制御装置、交通を管制する方法及びプログラム
<>
  • 特許-交通管制システム、移動体、電子制御装置、交通を管制する方法及びプログラム 図1
  • 特許-交通管制システム、移動体、電子制御装置、交通を管制する方法及びプログラム 図2
  • 特許-交通管制システム、移動体、電子制御装置、交通を管制する方法及びプログラム 図3
  • 特許-交通管制システム、移動体、電子制御装置、交通を管制する方法及びプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】交通管制システム、移動体、電子制御装置、交通を管制する方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0968 20060101AFI20220928BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220928BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20220928BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G08G1/0968 B
G08G1/09 F
G08G1/13
G01C21/34
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020074336
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021174023
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】松尾 卓哉
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114120(JP,A)
【文献】特開2019-45370(JP,A)
【文献】特開2015-172791(JP,A)
【文献】特開2000-30187(JP,A)
【文献】特開2017-130835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動経路を移動する移動体の交通を管制する交通管制システムであって、
災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得する手段と、
前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定する手段と、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信する手段と、
前記緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始した前記移動体から、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を受信する手段と、
前記緊急運行車両情報に基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路を変更する手段と、
前記変更後の用途及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信する手段と、
を備えることを特徴とする交通管制システム。
【請求項2】
移動経路を移動する移動体の交通を管制する交通管制システムであって、
災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得する手段と、
前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定する手段と、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信する手段と、
被害予測システムから、前記災害が発生している被災地における通信端末装置の位置を示す地図情報を受信する手段と、
前記移動体から取得した前記移動体情報と、前記被害予測システムから受信した前記被災地の地図情報とに基づいて、災害対応優先の対象とするための前記移動体の用途変更を決定し、前記災害対応優先の対象とした移動体が災害対応の行先まで混雑を回避して到達できるように前記災害対応の行先までの移動経路を決定する手段と、
前記災害対応の行先までの移動経路の情報を、前記災害対応優先の対象とした移動体に送信する手段と、
を備えることを特徴とする交通管制システム。
【請求項3】
請求項1又は2の交通管制システムにおいて、
前記災害の発生に関する災害情報と前記災害の発生による被災を予測した被災予測情報とを取得する手段を更に備え、
前記災害情報と前記被災予測情報と前記移動体情報とに基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定する、ことを特徴とする交通管制システム。
【請求項4】
請求項の交通管制システムにおいて、
前記災害情報は、前記災害の種類及び規模に関する情報を含み、
前記被災予測情報は、前記災害による被災状況が地理的及び規模的に時間経過とともに拡大又は縮小していくかを予測した情報を含む、ことを特徴とする交通管制システム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかの交通管制システムにおいて、
防災拠点の倉庫に収容されている災害発生時に対応するための物品又は物資の情報を取得する手段と、
移動通信の通信端末装置の位置情報を取得する手段と、を更に備え、
前記物品又は物資の情報と前記通信端末装置の位置情報とに基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定する、ことを特徴とする交通管制システム。
【請求項6】
請求項の交通管制システムにおいて、
前記緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始した前記移動体から、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を受信する手段と、
前記緊急運行車両情報に基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路を変更する手段と、
前記変更後の用途及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信する手段と、を更に備えることを特徴とする交通管制システム。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれかの交通管制システムにおいて、
緊急時の装備を有する移動体についてのみ、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路の決定及び前記緊急運行情報の送信を行うことを特徴とする交通管制システム。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記緊急時運行のための移動経路の混雑及び事故発生の状況に関する移動経路情報を取得して管理する手段と、
前記移動経路情報に基づいて、前記緊急時運行のための移動経路における信号及び交通標識を制御する手段と、を更に備えることを特徴とする交通管制システム。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体情報は、前記移動体の平常時の用途、乗車定員、最大積載量及びバッテリ残容量の少なくとも一つの情報を含むことを特徴とする交通管制システム。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体情報は、前記移動体の現在位置、前記移動体の内部の情報及び前記移動体の外部周辺の情報の少なくとも一つの情報を含むことを特徴とする交通管制システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体に対する前記緊急運行情報の送信における通信の優先度は、前記移動体における平常の通信の優先度よりも高いことを特徴とする交通管制システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体からの情報を、前記移動体の電子制御装置から受信し、
前記移動体への情報を、前記移動体の電子制御装置に送信する、ことを特徴とする交通管制システム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体は、外部から受信した運転制御情報に基づいて移動する自動運転型の移動体であることを特徴とする交通管制システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体は、複数人で共同使用される電動車両であることを特徴とする交通管制システム。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかの交通管制システムにおいて、
前記移動体は、地上又は地中を移動する車両、海上若しくは水上を移動する船舶、海中若しくは水中を移動する潜水艇、又は、空中を移動する飛行体であることを特徴とする交通管制システム。
【請求項16】
移動体の電子制御装置であって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信する手段と、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信する手段と、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御する手段と、
前記緊急運行情報に基づいて前記移動体が緊急時運行を開始した後、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を前記交通管制システムに送信する手段と、
前記緊急運行車両情報に基づいて変更された前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路に関する緊急運行情報を、前記交通管制システムから受信する手段と、
前記交通管制システムから受信した前記変更後の緊急運行情報に基づいて、前記移動体を前記変更後の緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御する手段と、
を備えることを特徴とする電子制御装置。
【請求項17】
移動体の電子制御装置であって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信する手段と、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信する手段と、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御する手段と、
前記移動体から取得した前記移動体情報と被害予測システムから受信した前記災害が発生している被災地における通信端末装置の位置を示す被災地の地図情報とに基づいて災害対応優先の対象とした移動体が災害対応の行先まで混雑を回避して到達できるように前記災害対応の行先までの移動経路を決定した前記交通管制システムから、前記災害対応の行先までの移動経路の情報を受信する手段と、
前記交通管制システムから受信した前記災害対応の行先までの移動経路の情報に基づいて、前記移動体を前記災害対応の行先までの移動経路で運行させるように制御する手段と、
を備えることを特徴とする電子制御装置。
【請求項18】
移動体の電子制御装置であって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信する手段と、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信する手段と、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御する手段と、
前記災害の発生時に移動を一時停止した後、前記交通管制システムから認証キーを受信する手段と、
前記交通管制システムから受信した認証キーと予め記憶している認証キーとを照合し、両方の認証キーが合致している場合に、前記交通管制システムからの遠隔制御を許容する手段と、
を備えることを特徴とする電子制御装置。
【請求項19】
移動体の電子制御装置であって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信する手段と、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信する手段と、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御する手段と、
災害発生時に被災エリアにおいて地上基地局が被災して通信不可の状態又は通信品質低下の状態になったとき、前記被災エリアに移動して親機として機能し、その周辺に位置する子機として機能する一又は複数の移動体の電子制御装置と上空基地局との間の通信を中継する手段と、
を備えることを特徴とする電子制御装置。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれかの電子制御装置を備える移動体。
【請求項21】
移動経路を移動する移動体の交通を管制する方法であって、
交通管制システムが、災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得することと、
前記交通管制システムが、前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定することと、
前記交通管制システムが、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信することと、
前記交通管制システムが、前記緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始した前記移動体から、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を受信することと、
前記交通管制システムが、前記緊急運行車両情報に基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路を変更することと、
前記交通管制システムが、前記変更後の用途及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
移動経路を移動する移動体の交通を管制する方法であって、
交通管制システムが、災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得することと、
前記交通管制システムが、前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定することと、
前記交通管制システムが、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信することと、
前記交通管制システムが、被害予測システムから、前記災害が発生している被災地における通信端末装置の位置を示す地図情報を受信することと、
前記交通管制システムが、前記移動体から取得した前記移動体情報と、前記被害予測システムから受信した前記被災地の地図情報とに基づいて、災害対応優先の対象とするための前記移動体の用途変更を決定し、前記災害対応優先の対象とした移動体が災害対応の行先まで混雑を回避して到達できるように前記災害対応の行先までの移動経路を決定することと、
前記交通管制システムが、前記災害対応の行先までの移動経路の情報を、前記災害対応優先の対象とした移動体に送信することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
移動経路を移動する移動体の交通を管制する交通管制システムに備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得するためのプログラムコードと、
前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定するためのプログラムコードと、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始した前記移動体から、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を受信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行車両情報に基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路を変更するためのプログラムコードと、
前記変更後の用途及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項24】
移動経路を移動する移動体の交通を管制する交通管制システムに備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得するためのプログラムコードと、
前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定するためのプログラムコードと、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信するためのプログラムコードと、
被害予測システムから、前記災害が発生している被災地における通信端末装置の位置を示す地図情報を受信するためのプログラムコードと、
前記移動体から取得した前記移動体情報と、前記被害予測システムから受信した前記被災地の地図情報とに基づいて、災害対応優先の対象とするための前記移動体の用途変更を決定し、前記災害対応優先の対象とした移動体が災害対応の行先まで混雑を回避して到達できるように前記災害対応の行先までの移動経路を決定するためのプログラムコードと、
前記災害対応の行先までの移動経路の情報を、前記災害対応優先の対象とした移動体に送信するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項25】
移動体の電子制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信するためのプログラムコードと、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、
前記緊急運行情報に基づいて前記移動体が緊急時運行を開始した後、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を前記交通管制システムに送信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行車両情報に基づいて変更された前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路に関する緊急運行情報を、前記交通管制システムから受信するためのプログラムコードと、
前記交通管制システムから受信した前記変更後の緊急運行情報に基づいて、前記移動体を前記変更後の緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項26】
移動体の電子制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信するためのプログラムコードと、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、
前記移動体から取得した前記移動体情報と被害予測システムから受信した前記災害が発生している被災地における通信端末装置の位置を示す被災地の地図情報とに基づいて災害対応優先の対象とした移動体が災害対応の行先まで混雑を回避して到達できるように前記災害対応の行先までの移動経路を決定した前記交通管制システムから、前記災害対応の行先までの移動経路の情報を受信するためのプログラムコードと、
前記交通管制システムから受信した前記災害対応の行先までの移動経路の情報に基づいて、前記移動体を前記災害対応の行先までの移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項27】
移動体の電子制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信するためのプログラムコードと、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、
前記災害の発生時に移動を一時停止した後、前記交通管制システムから認証キーを受信するためのプログラムコードと、
前記交通管制システムから受信した認証キーと予め記憶している認証キーとを照合し、両方の認証キーが合致している場合に、前記交通管制システムからの遠隔制御を許容するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項28】
移動体の電子制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信するためのプログラムコードと、
前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信するためのプログラムコードと、
前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、
災害発生時に被災エリアにおいて地上基地局が被災して通信不可の状態又は通信品質低下の状態になったとき、前記被災エリアに移動して親機として機能し、その周辺に位置する子機として機能する一又は複数の移動体の電子制御装置と上空基地局との間の通信を中継するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項29】
道路を移動する電動車両の交通を管制する車両管制プラットフォームであって、
災害の発生によって前記道路に一時停車している電動車両との間の優先パケット通信により、前記電動車両の状態を示す車両情報を取得し、
前記車両情報に基づいて、前記災害の発生時における前記電動車両の緊急時運行のための用途変更及び行先を含む運行ルートを決定し、
前記電動車両との間の優先パケット通信により、前記緊急時運行のための用途変更及び運行ルートに関する緊急運行情報を前記電動車両に送信し、前記電動車両の用途を前記緊急時運行のための用途に変更させ、前記電動車両を優先的に前記緊急運行情報のための運行ルートで運行させ
前記電動車両との間の優先パケット通信により、前記緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始した前記電動車両から、運行中又は運行終了時における前記電動車両の状態に関する緊急運行車両情報を受信し、
前記緊急運行車両情報に基づいて、前記電動車両の緊急時運行のための用途及び運行ルートを変更し、
前記電動車両との間の優先パケット通信により、前記変更後の用途及び運行ルートに関する緊急運行情報を前記電動車両に送信し、前記電動車両を前記変更後の緊急時運行のための運行ルートで運行させる、ことを特徴とする車両管制プラットフォーム。
【請求項30】
道路を移動する電動車両の交通を管制する車両管制プラットフォームであって、
災害の発生によって前記道路に一時停車している電動車両との間の優先パケット通信により、前記電動車両の状態を示す車両情報を取得し、
前記車両情報に基づいて、前記災害の発生時における前記電動車両の緊急時運行のための用途変更及び行先を含む運行ルートを決定し、
前記電動車両との間の優先パケット通信により、前記緊急時運行のための用途変更及び運行ルートに関する緊急運行情報を前記電動車両に送信し、前記電動車両の用途を前記緊急時運行のための用途に変更させ、前記電動車両を優先的に前記緊急運行情報のための運行ルートで運行させ、
被害予測システムから、前記災害が発生している被災地における通信端末装置の位置を示す地図情報を受信し、
前記電動車両から取得した前記車両情報と、前記被害予測システムから受信した前記被災地の地図情報とに基づいて、災害対応優先の対象とするための前記電動車両の用途変更を決定し、前記災害対応優先の対象とした電動車両が災害対応の行先まで混雑を回避して到達できるように前記災害対応の行先までの運行ルートを決定し、
前記電動車両との間の優先パケット通信により、前記災害対応の行先までの運行ルートの情報を、前記災害対応優先の対象とした電動車両に送信し、前記電動車両を優先的に前記緊急運行情報のための運行ルートで運行させる、ことを特徴とする車両管制プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時に地上、地中、海上、海中及び空中などにおける移動経路を移動する車両等の移動体の交通を管制する交通管制システム、方法及びプログラム、管制対象の移動体、並びに、その移動体に備える電子制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震、火災、台風、水害などの災害が発生したときには、負傷した人の救助や火災の消火のために救急車や消防車などの事前届出と所定の標章の掲示が必要な緊急車両が出動している。
【0003】
特許文献1には、交差点に設けられた路上表示装置によって緊急車両の進路を示す信号を受信し、交差点の各表示器において緊急車両の進路を表示する緊急車両用交通管制システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-301886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のシステムでは、災害発生時に道路の一般車両の混雑が発生し、救急車や消防車などの緊急車両が被災現場まで移動できず、緊急車両による救助が遅延するおそれがある。また、災害発生時に緊急車両や救援物資の調達が困難になるおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るシステムは、移動経路を移動する移動体の交通を管制する交通管制システムである。この交通管制システムは、災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得する手段と、前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定する手段と、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信する手段と、を備える。
前記交通管制システムにおいて、前記災害の発生に関する災害情報と前記災害の発生による被災を予測した被災予測情報とを取得する手段を更に備え、前記災害情報と前記被災予測情報と前記移動体情報とに基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定してもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記災害情報は、前記災害の種類及び規模に関する情報を含み、前記被災予測情報は、前記災害による被災状況が地理的及び規模的に時間経過とともに拡大又は縮小していくかを予測した情報を含んでもよい。
前記交通管制システムにおいて、防災拠点の倉庫に収容されている災害発生時に対応するための物品又は物資の情報を取得する手段と、移動通信の通信端末装置の位置情報を取得する手段と、を更に備え、前記物品又は物資の情報と前記通信端末装置の位置情報とに基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定してもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始した前記移動体から、運行中又は運行終了時における前記移動体の状態に関する緊急運行車両情報を受信する手段と、前記緊急運行車両情報に基づいて、前記移動体の緊急時運行のための用途及び移動経路を変更する手段と、前記変更後の用途及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信する手段と、を更に備えてもよい。
前記交通管制システムにおいて、緊急時の装備を有する移動体についてのみ、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路の決定及び前記緊急運行情報の送信を行ってもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記緊急時運行のための移動経路の混雑及び事故発生の状況に関する移動経路情報を取得して管理する手段と、前記移動経路情報に基づいて、前記緊急時運行のための移動経路における信号及び交通標識を制御する手段と、を更に備えてもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記移動体情報は、前記移動体の平常時の用途、乗車定員、最大積載量及びバッテリ残容量の少なくとも一つの情報を含んでもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記移動体情報は、前記移動体の現在位置、前記移動体の内部の情報及び前記移動体の外部周辺の情報の少なくとも一つの情報を含んでもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記移動体に対する前記緊急運行情報の送信における通信の優先度は、前記移動体における平常の通信の優先度よりも高くてもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記移動体からの情報を、前記移動体の電子制御装置から受信し、前記移動体への情報を、前記移動体の電子制御装置に送信してもよい。
前記交通管制システムにおいて、前記移動体は、外部から受信した運転制御情報に基づいて移動する自動運転型の移動体、複数人で共同使用される電動車両、又は、地上又は地中を移動する車両、海上若しくは水上を移動する船舶、海中若しくは水中を移動する潜水艇、又は、空中を移動する飛行体であってもよい。
【0007】
本発明の他の態様に係る装置は、移動体の電子制御装置である。この電子制御装置は、災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信する手段と、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信する手段と、前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御する手段と、を備える。
【0008】
本発明の更に他の態様に係る移動体は、前記電子制御装置を備える。
【0009】
本発明の更に他の態様に係る方法は、移動経路を移動する移動体の交通を管制する方法である。この方法は、災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得することと、前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定することと、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信することと、を含む。
【0010】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動経路を移動する移動体の交通を管制する交通管制システムに備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、災害の発生時に前記移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得するためのプログラムコードと、前記移動体情報に基づいて、前記災害の発生時における前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定するためのプログラムコードと、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記移動体に送信するためのプログラムコードと、を含む。
【0011】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動体の電子制御装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、災害の発生時に前記移動体の状態を示す移動体情報を交通管制システムに送信するためのプログラムコードと、前記移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を前記交通管制システムから受信するためのプログラムコードと、前記緊急運行情報に基づいて、前記移動体の用途を前記緊急時運行のための用途に変更し、前記移動体を前記緊急時運行のための移動経路で運行させるように制御するためのプログラムコードと、を含む。
【0012】
本発明の更に他の態様に係るプラットフォームは、道路を移動する電動車両の交通を管制する車両管制プラットフォームである。この車両管制プラットフォームは、災害の発生によって前記道路に一時停車している電動車両との間の優先パケット通信により、前記電動車両の状態を示す車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて、前記災害の発生時における前記電動車両の緊急時運行のための用途変更及び行先を含む運行ルートを決定し、前記電動車両との間の優先パケット通信により、前記緊急時運行のための用途変更及び運行ルートに関する緊急運行情報を前記電動車両に送信し、前記電動車両の用途を前記緊急時運行のための用途に変更させ、前記電動車両を優先的に前記緊急運行情報のための運行ルートで運行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、災害の発生時に移動体の状態を示す移動体情報に基づいて、移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定し、その用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を移動体に送信する。これにより、移動経路に位置する移動体のうち一部の移動体のみを災害発生時に必要な緊急車両の用途に変更して緊急時運行のための移動経路に従って移動させ、他の移動体の移動を制限する運行が可能になる。従って、災害発生時に移動経路における移動体の混雑を回避するとともに災害発生時に必要な緊急車両を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る交通管制システムにおける主要な構成の一例を示す説明図。
図2】実施形態に係る交通管制システムにおける災害発生時の主要な処理及び情報の流れの一例を示すシーケンス図。
図3】災害の発生によって地上基地局が通信不可の状態又は通信品質低下の状態になっても管制PFとEVとの通信を維持することができる交通管制システムの一例を示す説明図。
図4図3の交通管制システムにおいて、災害の発生によって地上基地局が通信不可の状態又は通信品質低下の状態になったときの管制PFとEVとの通信経路切替の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る交通管制システムにおける主要な構成の一例を示す説明図である。なお、図1は、地上の道路を移動する移動体としての車両である電動自動車(電気自動車)(以下「EV」という。)30(1)~30(5)の交通を管制する場合の例を示している。図1では5台のEV30(1)~30(5)を図示しているが、管制対象のEVは1~4台でもよいし、6台以上であってもよく、管制対象のEVの台数に制限はない。また、以下の説明において各EVを区別しない場合はEV30と記載する。
【0016】
また、本実施形態において、管制対象の移動体はEVに限定されるものではない。管制対象の車両は、地上の移動経路である道路を移動する自動車(ガソリン車、各種のハイブリッド車など)、トラック、バス、バイク、重機、移動型ロボットなどの移動体であってもよいし、上空などの空間における移動経路を飛行して移動可能な移動体(飛行体)であってもよいし、地中、水上(例えば海上)、水中(例えば海中)などにおける移動経路を移動可能な移動体(船舶、潜水艇)であってもよい。また、管制対象は、外部から受信した運転制御情報に基づいて移動する自動運転型の移動体であってもよい。また、管制対象は、これらの複数種類の移動体の一部又は全部が混在したものであってもよい。
【0017】
図1において、本実施形態の交通管制システムは、EV30の交通を管制する車両管制プラットフォーム(情報処理装置)としてのEV向け管制プラットフォーム(以下「管制PF」という。)10と、被害予測システム20と、防災倉庫システム25とを備える。管制PF10は、道路管理システム110と、車両管理システム120と、運行管理システム130とを備える。道路管理システム110、車両管理システム120及び運行管理システム130はそれぞれ、単一又は複数のコンピュータ装置で構成してもよいし、複数のコンピュータ装置が互いに連携して処理を実行する通信網を介して接続されたクラウドコンピュータシステムで構成してもよい。
【0018】
道路管理システム110は、EV30の緊急時運行のための道路の混雑及び事故発生の状況に関する道路情報(移動経路情報)を取得して管理する手段として機能する。また、道路管理システム110は、EV30の緊急時運行のために、道路に設置された交通信号の切り替えや電子交通標識の表示の切り替えなどの交通の制御を行う手段としても機能する。
【0019】
車両管理システム120は、災害の発生時に道路に位置しているEV30の状態を示すEV情報(移動体情報)を取得する手段として機能する。また、車両管理システム120は、各EV30がライドシェア(複数人による車両の共有使用の用途)、リテール(使用小売用途)、オフィス(法人用途)、パーソナル(個人用途)など平常時に何の用途で運行されているか、各EV30の平常時の乗車定員、最大積載容量、各EV30のバッテリ残などを管理する。
【0020】
図1において、各EV30の平常時の用途は、2台のEV30(1),30(2)がパーソナル(個人用途)であり、EV30(3)がオフィス(法人用途)であり、EV30(4)がライドシェア(複数人による車両の共有使用の用途)であり、EV30(5)がリテール(使用小売用途)である。
【0021】
EV30(1),30(3)~30(5)は災害が発生する前までの平常時に動力機関(電動モータ)が動いている運行中のEVであり、災害の発生の情報を知らせる災害情報通知を管制PF10等から受信すると、動力機関(電動モータ)が自動停止して道路の路肩に自動停車する。EV30(2)は、動力機関(電動モータ)が停止している休止中のEVであり、道路の路肩や駐車場などに停車している。
【0022】
また、EV30(2)~30(5)は、緊急時の装備(例えば、緊急時用のバッテリ、エマージェンシーキット、救護用スペースや収納タイプのベッドなど)を有する本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されているEVであり、管制PF10による管制対象になっている。一方、EV30(1)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されていないEVであり、管制PF10による管制対象になっていない。
【0023】
運行管理システム130は、前記EV車両情報に基づいて災害の発生時におけるEV30の緊急時運行のための用途変更及び移動経路(行先を含むルート情報)を決定する手段、及び、EV30の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報をEV30に送信する手段として機能する。EV30は、運行管理システム130から受信した緊急運行情報に基づいて、そのEV30の用途が緊急時運行のための用途に変更され、指定の緊急時運行のための移動経路(ルート)に従って移動するように、EV30の運行が強制的に制御される。
【0024】
運行管理システム130は、例えば、EV30に搭載された車載装置33に備える移動通信網に対応した通信モジュールに緊急運行情報を送信する。車載装置33は、移動通信網に対応した通信モジュールを備えたものであれば、ナビゲーション装置でもよいし、EV30の各部を制御する電子制御装置(ECU)であってもよい。車載装置33は、人工衛星からの電波を受信してEV30の現在位置(自身の現在位置)を測定するためのGNSS受信装置を備えてもよい。
【0025】
運行管理システム130からEV30へ緊急運行情報を送信する通信の優先度は、EV30における平常の通信の優先度よりも高くしてもよい。例えば、緊急運行情報のパケット通信に対する通信品質を示すQoS(Quality of Service)の識別子であるQCI(QoSクラス識別子)を、高い優先度(例えば、1,2又は3)を有するQCIに予め設定又は動的に設定しておく。この高い優先度のQCIに基づく優先パケット通信により、平常時の通常の通信よりも高い優先度で緊急運行情報をEV30に速やかに送信することができる。
【0026】
なお、図1の例では、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されて管制PF10による管制対象になっているEV30(2)~30(5)のうち、3台のEV30(2)、30(4)及び30(5)は災害発生時に管制PF10との間で優先パケット通信が可能なEVであり、残りの1台のEV30(3)は、災害発生時に周辺の電波環境等の影響により管制PF10との間で優先パケット通信ができないEVである。
【0027】
運行管理システム130とEV30との通信は、LTE(Long Term Evolution)/LTE-Advancedの移動通信システム、第5世代等の次世代の移動通信システム(NRシステム)などの移動通信網を介して行うことができる。また、管制PF10と被害予測システム20及び防災倉庫システム25との通信や、被害予測システム20と通信端末装置(「端末」、「ユーザ端末」、「ユーザ装置」、「UE」、「移動局」、「移動機」等ともいう。以下「UE」という。)40との通信は移動通信網を介して行ってもよいし、インターネットを介して行ってもよい。
【0028】
UE40は、人工衛星からの電波を受信して自身の現在位置(緯度、経度及び高度のGNSS位置情報)を測定するためのGNSS受信装置を備えてもよい。
【0029】
運行管理システム130は、災害の発生に関する災害情報と災害の発生による被災を予測した被災予測情報とを被害予測システム20から受信して取得する手段として機能し、被害予測システム20から受信した災害情報及び被災予測情報と、車両管理システム120から受信したEV情報とに基づいて、災害の発生時におけるEV30の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定してもよい。
【0030】
運行管理システム130は、災害発生時に対応するための物品又は物資の情報を防災倉庫システム25から受信して取得する手段及び被災者のUE40の位置情報(例えば、緯度、経度及び高度のGNSS位置情報)又はその地図情報を受信して取得する手段として機能し、防災倉庫システム25から受信した災害発生時に対応するための物品又は物資の情報と、被災者のUE40の位置情報とに基づいて、EV30の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定してもよい。
【0031】
運行管理システム130は、緊急運行情報に基づいて緊急時運行を開始したEV30から、運行中又は運行終了時におけるEV30の状態に関する緊急運行車両情報を受信する手段、緊急運行車両情報に基づいて、EV30の緊急時運行のための用途及び移動経路を変更する手段、及び前記変更後の用途及び移動経路に関する緊急運行情報をEV30に送信する手段として機能してもよい。
【0032】
また、運行管理システム130は、EV30の現在位置(例えば、緯度、経度及び高度のGNSS位置情報)、乗車人数などのEV内部の車内情報、外気温や湿度・ガス濃度などの外部周辺の車外情報を管理する。また、運行管理システム130は、乗車人員の年齢層(例えば、大人、子供等の情報)及び性別(男性、女性)、動物や積み荷の種類、サイズ及び重量などの情報も管理する。これらの情報の一部は車載センサで検知されたものであってもよい。運行管理システム130は、これらの車内情報、車外情報、乗車人員の情報等を考慮して、EV30の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定してもよい。
【0033】
被害予測システム20は、被災予測システム210と、災害情報システム220と、緊急速報システム230とを備える。被災予測システム210は、災害の発生による被災を予測し、その被災予測情報を管理する。また、被災予測システム210は、今後、被災状況が地理的及び規模的に時間の経過に伴い、どうように拡大又は縮小していくかを予測する。
【0034】
災害情報システム220は、災害の種類及び規模に関する情報を含む災害情報を管理する。また、災害情報システム220は、何処でどんな災害が発生したかについての情報と、地震、火事、水害などの災害内容(災害の種類)とを管理し、その災害の規模をレベル設定する。
【0035】
緊急速報システム230は、緊急地震速報などの緊急速報を管制PF10やUE40に送信する緊急通報を実行する。また、緊急速報システム230は、緊急速報を各UE40に送信したときに各UE40の現在位置の情報を自動受信して収集してもよい。UE40は、人工衛星からの電波を受信してEV30の現在位置を測定するためのGNSS受信装置を備えてもよい。
【0036】
防災倉庫システム25は、防災拠点の倉庫に収容されている災害発生時に対応するための資材や食糧などの物品又は物資の情報を管理し、その物品又は物資の情報を管制PF10に送信する。
【0037】
本実施形態において、管制PF10は、発生した災害の程度(災害レベル)及び災害発生時の管制サービスへの登録の有無に応じて、EV30の緊急時運行のための用途(緊急用途)への変更及び運行再開及びEV30の運行規制(動力機関の停止)を行ってもよい。
【0038】
例えば、表1に示すように、大雨の警戒レベルが1又は2のときは、大規模災害が発生していないと判断し、オフィス(法人用途)及びパーソナル(個人用途)のEVのいずれについても、災害発生時の管制サービスへの登録の有無に関わらず、平常時の運行が許容される。
【0039】
一方、大雨の警戒レベルが3~5のときは、管制PF10は、大規模災害が発生していると判断し、オフィス(法人用途)及びパーソナル(個人用途)のEVのいずれについても、災害発生時の管制サービスへの登録があるEVについて、災害対応優先(用途変更)の対象として緊急運行情報を送信し、路肩への自動停車の後、緊急時運行のための用途(緊急用途)への変更及び運行再開を行うように制御する。また、管制PF10は、オフィス(法人用途)及びパーソナル(個人用途)のEVのいずれについても、災害発生時の管制サービスへの登録がないEVについて、運行規制(動力機関停止)の対象とし、緊急運行情報を送信しないで路肩への停車を継続させる。
【0040】
【表1】
【0041】
また、表2に示すように、地震の震度階級が1~3のときは、大規模災害が発生していないと判断し、オフィス(法人用途)及びパーソナル(個人用途)のEVのいずれについても、災害発生時の管制サービスへの登録の有無に関わらず、平常時の運行が許容される。
【0042】
一方、地震の震度階級が4~7のときは、管制PF10は、大規模災害が発生していると判断し、オフィス(法人用途)及びパーソナル(個人用途)のEVのいずれについても、災害発生時の管制サービスへの登録があるEVについて、災害対応優先(用途変更)の対象として緊急運行情報を送信し、路肩への自動停車の後、緊急時運行のための用途(緊急用途)への変更及び運行再開を行うように制御する。また、管制PF10は、オフィス(法人用途)及びパーソナル(個人用途)のEVのいずれについても、災害発生時の管制サービスへの登録がないEVについて、運行規制(動力機関停止)の対象とし、緊急運行情報を送信しないで路肩への停車を継続させる。
【0043】
【表2】
【0044】
図1において、EV30(1)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されていないので、災害発生時に路肩に自動停車した後、管制PF10による交通管制の制御を受けることなく、災害地での緊急の救助や消火が終了して道路におけるEVの緊急運行状態が解除するまで路肩に停車したままになる。これにより、EV30(1)の運行開始による道路の混在を回避することができる。
【0045】
EV30(2)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されているので、優先パケット通信により管制PF10から緊急時の用途変更及び移動経路の情報を含む緊急運行情報を受信すると、自身の用途を緊急用途に変更し、緊急車両である旨を示す標章を自動表示し、行先である被災地区への混雑を回避した移動経路を設定し、休止中の状態から動力機関を動かして運行を開始する。これにより、EV30(2)を被災地区に速やかに移動させて被災者の救助を行うことができる。
【0046】
EV30(3)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されているが、災害発生時に路肩に自動停車した後、管制PF10との間で優先パケット通信ができないので、EV30(1)と同様に、管制PF10による交通管制の制御を受けることなく、災害地での緊急の救助や消火が終了して道路におけるEVの緊急運行状態が解除するまで路肩に停車したままになる。
【0047】
EV30(4)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されているので、災害発生時に路肩に自動停車した後、優先パケット通信により管制PF10から緊急時の用途変更及び移動経路の情報を含む緊急運行情報を受信すると、自身の用途を緊急用途に変更し、緊急車両である旨を示す標章を自動表示し、行先である被災地区外への混雑を回避した移動経路を設定し、動力機関を動かして運行を開始する。これにより、EV30(4)を被災地区外に速やかに移動させて緊急時の活動を行うことができる。
【0048】
EV30(5)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されているので、災害発生時に路肩に自動停車した後、優先パケット通信により管制PF10から緊急時の用途変更及び移動経路の情報を含む緊急運行情報を受信すると、自身の用途を緊急用途に変更し、緊急車両である旨を示す標章を自動表示し、行先である防災倉庫への混雑を回避した移動経路を設定し、動力機関を動かして運行を開始する。これにより、EV30(4)を防災倉庫に速やかに移動させて災害発生時に対応するための物品又は物資の運搬活動を行うことができる。
【0049】
図2は、実施形態に係る交通管制システムにおける災害発生時の主要な処理及び情報の流れの一例を示すシーケンス図である。図2において、EV30(4)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されている運行中のEVであり、管制PF10による管制対象になっている。EV30(1)は、本実施形態の災害発生時の管制サービスに登録されていない運行中のEVであり、管制PF10による管制対象になっていない。
【0050】
図2において、被害予測システム20は、災害の発生を知得すると、その災害の発生を知らせるための緊急通報を対象エリアのUE40及び管制PF10に送信する(S101,102)。UE40は緊急通報を受信すると、そのUE自身の現在位置情報を被害予測システム20に自動送信する(S103)。被害予測システム20は、対象エリアのUE40から受信して収集した現在位置情報と被災地(対象エリア)の地図と照合し、被災地における被災者のUE40の分布を示す被災UEマッピングを行う(S104)。
【0051】
管制PF10は、被害予測システム20から緊急通報を受信すると、発生した災害の内容を含む災害情報を通常のパケット通信によりEV30(4),30(1)に送信する(S105)。EV30(4),30(1)は、管制PF10から災害情報を受信すると、路肩に強制的に自動停車する(S106)。なお、EV30(4),30(1)は、災害の発生を自律的に検知して路肩に一時停車してもよい。
【0052】
次に、管制PF10は、優先パケット通信により、管制サービスの所定の認証キーの情報を管制対象のEV30(4)に送信する(S107)。EV30(4)の車載装置33は、管制PF10から受信した認証キーと、車載装置33内に予め記憶している認証キーとを照合し、両者が合致するか否かを確認する(S108)。認証キーが合致している場合は、管制PF10からの遠隔制御を許容する。
【0053】
次に、管制PF10は、EV30(4),30(1)から車内情報、車外情報、乗車人員の情報等のEV情報を受信して各EVの状態を確認し(S109)、被災地のUEの位置情報(被災UEマッピングの地図情報でもよい。)を受信する(S110)。管制PF10は、EV情報と被災地のUEの位置情報とに基づいて、災害対応優先(用途変更)の対象とするためのEV30(4)の用途変更を決定し、災害対応の行先まで混雑をできるだけ回避して到達できるように移動経路(運行ルート)を設計して決定する(S111)。管制PF10は、優先パケット通信により、上記決定した用途変更と運行ルートの情報を含む緊急運行情報を、EV30(4)に送信する(S112)。
【0054】
EV30(4)は、管制PF10から緊急運行情報を受信すると、自身の用途を緊急用途に変更し(S113)、緊急車両である旨を示す標章を自動表示し(S114)、行先である被災地区への混雑を回避した運行ルートに移動経路を設定して運行を再開する(S115)。
【0055】
上記EV(4)の緊急用途での運行を再開した後、管制PF10は、被災地のUE40から、そのUE40の現在位置を含む緊急の救難信号を受信すると(S116)、当該UE40の位置まで混雑をできるだけ回避して到達できるように移動経路(運行ルート)を設計し、その設計したルートにEV30(4)の運行ルートを変更する(S117)。管制PF10は、優先パケット通信により、上記変更後の運行ルートの情報を含む緊急運行情報を、EV30(4)に送信する(S118)。なお、運行ルートの変更とともに、EV30(4)の用途を変更してもよい。
【0056】
EV30(4)は、管制PF10から緊急運行情報を受信すると、上記変更後の運行ルートに移動経路を設定して運行し、救難信号を送信したUE40を所持する被災者を乗車させて救助する(S119、S120)。
【0057】
次に、管制PF10は、EV30(4),30(1)から車内情報、車外情報、乗車人員の情報等のEV情報を受信して各EVの現在の状態を確認し(S121)、被災地のUE40からの救難信号の停止を確認し、被害予測システム20から災害情報の更新を受信する(S123)。その後、管制PF10は、通常のパケット通信により、災害地での緊急の救助や消火が終了したことを示す更新後の災害情報通知をEV30(4),30(1)に送信する(S124)。
【0058】
EV30(4)は、管制PF10から更新後の災害情報通知を受信すると、災害対応優先を解除し、平常時に用途に戻して運行を再開することができる(S125)。EV30(1)は、管制PF10から更新後の災害情報通知を受信すると、一時停車状態を解除して平常時の運行を再開することができる(S126)。
【0059】
以上、本実施形態によれば、災害の発生時にEV30の状態を示すEV情報に基づいて、EV30の緊急時運行のための用途変更及び移動経路(緊急時ルート)を決定し、その用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報をEV30に送信する。これにより、道路に位置するEV30のうち一部のEV30のみを災害発生時に必要な緊急車両の用途に変更して緊急時運行のための移動経路に従って移動させ、他のEV等の車両の移動を制限する運行が可能になる。従って、災害発生時に道路における車両の混雑を回避するとともに災害発生時に必要な緊急車両を確保できる。
【0060】
上記実施形態において、緊急時運行のための用途変更及び移動経路(緊急時ルート)の決定及びその用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報の送信は、予め区画して設定したエリアごとに行ってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、交通管制システムの管制PF10がEV30の交通を管制する場合について説明したが、災害の発生によって管制PF10の一部又は全体の機能が停止したり通信障害が発生したりしたときは、管制PF10の機能を、道路に位置する一又は複数のEVが実行してもよい。例えば、道路上の一台のEVが、災害の発生時に自身及び他のEVの状態を示すEV情報に基づいて、自身及び他のEVの緊急時運行のための用途変更及び移動経路(緊急時ルート)を決定し、その用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を他のEVに送信してもよい。
【0062】
図3は、災害の発生によって地上基地局50が通信不可の状態又は通信品質低下の状態になっても管制PF10とEV30との通信を維持することができる交通管制システムの一例を示す説明図である。ここで、通信品質低下の状態とは、地上基地局50のEV30との通信や移動通信網側との通信の通信品質が、管制PF10による制御や監視に必要な通信に影響がある程度まで低下した状態である。
【0063】
図3において、地上基地局50は、地上にアンテナが設置された基地局であり、平時において地上のEV30と管制PF10との通信を中継することができる。上空基地局60は、上空に位置する人工衛星、気球、飛行船、ソーラープレーン、ドローンなどにアンテナが設置された基地局であり、地上のゲートウェイ局(フィーダー局)を介して管制PF10に接続されている。図中のEV30(10)の車載装置33は親機の機能を有し、EV30(11)の車載装置33と上空基地局60との無線通信を中継することができる。EV30(11)の車載装置33は子機の機能を有する。
【0064】
図3において、災害発生時に地上基地局50が被災して通信不可の状態又は通信品質低下の状態になったとき、被災エリアに位置する1台のEV30(1)の車載装置33が親機として機能し、周辺に位置する子機として機能する一又は複数のEV30(11)の車載装置33と上空基地局60との間の通信を中継する。災害発生時に、被災エリアに位置するEV30(10),30(11)の車載装置33は、上空基地局60を介して管制PF10と通信することができる。親機のEV30(1)の車載装置33と子機のEV30(11)の車載装置33と無線通信は、例えば、PC-5インターフェースを用いるSidelink方式などの車車間通信で行うことができる。
【0065】
図4は、図3の交通管制システムにおいて、災害の発生によって地上基地局50が通信不可の状態又は通信品質低下の状態になったときの管制PF10とEV30との通信経路切替の一例を示すシーケンス図である。
平時においては、EV30(10)、30(11)の車載装置33はそれぞれ地上基地局50を介して移動通信網に位置情報を登録し、移動通信網を介して管制PF10と通信することができる(S201,S202)。
【0066】
地震、火事、水害などの災害が発生して地上基地局50が被災して通信不可の状態又は通信品質低下の状態になった(S203)とき、親機の機能を有しないEV30(11)の車載装置33は地上基地局50との無線通信ができないこと又は通信品質が低下していることを検知する(S204)と、道路の路肩などの安全な場所に停車して移動を一時停止する(S205)。一方、親機の機能を有するEV30(10)の車載装置33は、地上基地局50との無線通信ができないこと又は通信品質が低下していることを検知する(S206)と、通信経路の切り替え処理を実行し(S207)、上空基地局60を介して移動通信網に位置情報を登録し、移動通信網を介して管制PF10と通信する通信回線を確立する(S208,S209)。
【0067】
親機のEV30(10)の車載装置33は、臨時基地局として、周辺に位置する子機のEV30(11)の車載装置33との通信を確立する(S110)。子機のEV30(11)の車載装置33は、親機のEV30(10)の車載装置33及び上空基地局60を介して移動通信網に位置情報を登録し、移動通信網を介して管制PF10と通信する通信回線を確立することができる(S211,S212)。
【0068】
被災エリアが復旧して地上基地局50が通信可能な状態又は通信品質が平時の通信品質まで回復した状態になると、子機のEV30(11)は移動を再開する(S214)。親機のEV30(10)の車載装置33は、地上基地局50との無線通信ができること又は平時の通信品質に回復したことを検知する(S215)と、子機のEV30(11)の現在位置を確認し(S216)、通信経路の切り替え処理を実行し(S217)、地上基地局50を介して移動通信網に位置情報を登録し、移動通信網を介して管制PF10と通信する通信回線を確立する(S218)。また、周辺のEV30(11)の車載装置33も、地上基地局50を介して移動通信網に位置情報を登録し、移動通信網を介して管制PF10と通信する通信回線を確立する(S219)。以上により、各EV30(10),30(11)の車載装置33はそれぞれ、管制PF10による制御や監視に必要な所定の通信品質で管制PF10と通信可能な状態になる。
【0069】
図3及び図4の実施形態において、地上基地局50が通信品質低下状態になったことや、地上基地局50の通信品質が平時の通信品質まで回復した状態になったことは、例えば、地上基地局50とEV30との通信における伝送遅延、伝搬遅延(無線区間)、通信速度、接続数、所定時間内の接続断の回数などの通信品質の変化(品質条件)に基づいて判定することができる。この判定結果に基づいて、地上基地局50を介した通信(図1及び図2参照)と地上基地局50を介さない(図3及び図4参照)とを切り替えてもよい。
【0070】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに交通管制プラットフォーム(情報処理装置)及び交通管制プラットフォームの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0071】
ハードウェア実装については、実体(例えば、サーバ、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0072】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASH(登録商標)メモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0073】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0074】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0075】
10 :管制PF
20 :被害予測システム
25 :防災倉庫システム
30 :EV
33 :車載装置
40 :UE
50 :地上基地局
60 :上空基地局
110 :道路管理システム
120 :車両管理システム
130 :運行管理システム
210 :被災予測システム
220 :災害情報システム
230 :緊急速報システム
図1
図2
図3
図4