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特許7148609内部溝を有するハウジングを備えたポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】内部溝を有するハウジングを備えたポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/66 20060101AFI20220928BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20220928BHJP
   F04D 29/16 20060101ALI20220928BHJP
   F04D 3/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
F04D29/66 B
F04D29/52 A
F04D29/16
F04D3/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020529453
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018055534
(87)【国際公開番号】W WO2019108312
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/592,662
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】プイ,キン
(72)【発明者】
【氏名】メン,セン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-144699(JP,A)
【文献】実開平07-010495(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/66
F04D 29/52
F04D 29/16
F04D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向流体通路を画定する内面を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記流体通路内に中心軸を中心として配置されるとともに、少なくとも1つのブレード先端部を規定する少なくとも1つのブレードを有するロータと、
を含む軸方向インデューサを備え、
前記ハウジングの前記内面は、前記少なくとも1つのブレード先端部に隣接する、周方向に細長い複数の溝を画定し、
前記複数の溝は、無端の溝と、前記無端の溝の後方にある端部を有する溝と、を含む、ポンプ。
【請求項2】
前記複数の溝は、複数の無端の溝と、前記複数の無端の溝の後方にある複数の端部を有する溝と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記複数の溝が複数の無端の溝を含み、前記無端の溝が均一に軸方向に離間されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
前記複数の溝は、溝の深さおよび溝の幅に関して共通のアスペクト比を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
前記複数の溝が一定の断面を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのブレードが第1の軸方向位置で始まるとともに、第2の軸方向位置で終わり、前記複数の溝が第3の軸方向位置で始まるとともに、第4の軸方向位置で終わり、前記第4の軸方向位置は、前記第2の軸方向位置の前方にあることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項7】
前記ハウジングの内面が、前記複数の溝の後方に、いかなる溝も除外するバンド部を含むことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項8】
前記複数の溝は、前記中心軸に垂直な基準面に関して、前方ピッチ角を規定し、前記少なくとも1つのブレードは、前記基準面に関して、後方ピッチ角を規定することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項9】
軸方向流体通路を画定する内面を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記流体通路内に中心軸を中心として配置されるとともに、少なくとも1つのブレード先端部を規定する少なくとも1つのブレードを有するロータと、
を含む軸方向インデューサを備え、
前記ハウジングの内面は、前記少なくとも1つのブレード先端部に隣接する複数の溝を画定し、前記複数の溝は、前記中心軸に垂直な基準面に関して、前方ピッチ角を規定し、前記少なくとも1つのブレードは、前記基準面に関して、後方ピッチ角を規定し、
前記複数の溝は、無端の溝と、前記無端の溝の後方にある端部を有する溝と、を含む、ポンプ。
【請求項10】
前記前方ピッチ角と、前記後方ピッチ角と、が合同な角であることを特徴とする請求項に記載のポンプ。
【請求項11】
前記合同な角は、5°~40°の範囲であることを特徴とする請求項10に記載のポンプ。
【請求項12】
軸方向流体通路を画定する内面を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記流体通路内に中心軸を中心として配置されるとともに、少なくとも1つのブレード先端部を規定する少なくとも1つのブレードを有するロータと、
を含む軸方向インデューサを備え、
前記ハウジングの内面は、前記少なくとも1つのブレード先端部に隣接する複数の溝を画定し、前記溝の各々は、前記中心軸に垂直な基準面に関して、該溝に沿って変化するピッチ角を規定し、
前記複数の溝は、無端の溝と、前記無端の溝の後方にある端部を有する溝と、を含む、ポンプ。
【請求項13】
前記ピッチ角が、前方ピッチ角であることを特徴とする請求項12に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年11月30日に出願された米国仮出願第62/592,662号の優先権を主張するものである。
(連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する声明)
本発明は、米国航空宇宙局から付与された契約番号NNM16AA02Cに基づく政府の支援を受けて行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
ポンプは一般的に公知であり、流体を加圧するために使用される。例えば、ポンプは、ロータから半径方向にオフセットされた先端まで延びる1つまたは複数のブレードを有するインデューサを含みうる。ロータとブレードが回転して、ポンプに入る流体を加圧する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一例によるポンプは、軸方向流体通路を画定する内面を有するハウジングを備えた軸方向インデューサを含む。ロータが、ハウジングの流体通路内の中心軸の周りに配置されるとともに、少なくとも1つのブレード先端部を規定する少なくとも1つのブレードを有する。ハウジングの内面は、少なくとも1つのブレード先端部に隣接する複数の溝を画定する。それらの溝は円周方向に細長い。
【0004】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、溝の各々は、無端の溝(endless groove)である。
【0005】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、端部を有する溝(ended groove)を含む。
【0006】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、無端の溝と、無端の溝の後方にある端部を有する溝と、を含む。
【0007】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、複数の無端の溝と、複数の無端の溝の後方にある複数の端部を有する溝と、を含む。
【0008】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、複数の無端の溝を含み、無端の溝は均一に軸方向に離間される。
【0009】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、溝の深さおよび溝の幅に関して共通のアスペクト比を有する。
【0010】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、一定の断面を有する。
【0011】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、1つまたは複数のブレードは、第1の軸方向位置で始まる。1つまたは複数のブレードは、第2の軸方向位置で終端する。複数の溝は、第3の軸方向位置で始まる。少なくとも1つの溝は第4の軸方向位置で終端し、第4の軸方向位置は第2の軸方向位置の前方にある。
【0012】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ハウジングの内面は、複数の溝の後方に、1つまたは複数の溝のいずれの溝も除外するバンド部(band)を含む。
【0013】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、複数の溝は、中心軸に垂直な基準面に関して、前方ピッチ角(forward pitch angle)を規定し、少なくとも1つのブレードは、基準面に関して、後方ピッチ角(aft pitch angle)を規定する。
【0014】
本開示の一例によるポンプは、軸方向流体通路を画定する内面を有するハウジングを有する軸方向インデューサを含む。ロータは、ハウジングの流体通路の中心軸の周りに配置され、少なくとも1つのブレード先端部を規定する少なくとも1つのブレードを有する。ハウジングの内面は、少なくとも1つのブレード先端部に隣接する複数の溝を規定する。複数の溝は、中心軸に垂直な基準面に対して、前方ピッチ角を規定する。ブレードは、基準面に対して、後方ピッチ角を規定する。
【0015】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、前方ピッチ角と、後方ピッチ角とは合同な角(congruent angles)である。
【0016】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、それらの合同な角は5°~40°の範囲である。
【0017】
本開示の一例によるポンプは、軸方向流体通路を画定する内面を有するハウジングを備えた軸方向インデューサを含む。ロータは、ハウジングの流体通路の中心軸の周りに配置され、少なくとも1つのブレード先端部を規定する少なくとも1つのブレードを有する。ハウジングの内面は、少なくとも1つのブレード先端部に隣接する複数の溝を規定する。各溝は、中心軸に垂直な基準面に関して、溝に沿って変化するピッチ角を規定する。
【0018】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ピッチ角は前方ピッチ角である。
【0019】
本開示の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面は、以下のように簡単に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】インデューサを備えた一例のポンプを示す図である。
図2図1のポンプのロータの分離された図である。
図3図1のポンプの断面図である。
図4】ポンプのハウジングの断面図である。
図5】ポンプのハウジングの溝を通した断面図である。
図6】ポンプのハウジングの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ポンプ20の選択された部分を概略的に示す。理解されるように、ポンプ20は、1つまたは複数の追加のポンプセクションおよび/またはタービンなどの、限定されない、図示されない他の構成要素を含みうる。以下でさらに詳述するように、ポンプ20は、ポンプの壊滅的な故障を生じさせるおそれのある流れによって引き起こされる不安定性を低減する特徴を含む。
【0022】
ポンプ20は、概して中心軸Aを中心として回転可能なシャフト22を含む。シャフト22上に配置されたインデューサ24が存在する。インデューサ24は、静的なハウジング26と、シャフト22と共に回転可能なロータ28とを含む。ハウジング26は、ポンプ入口34とポンプ出口36との間に概ね軸方向の流体流れのための軸方向流体通路32を画定する内面30を有する。ポンプの入口および出口34/36は、一般に、「前方」および「後方」方向、および、それらの用語のバリエーションを定義し、「前方」は、入口34への方向性を指し、「後方」は、出口36への方向性を指す。同様に、中心軸Aは一般に、「軸方向」、「径方向」、「周方向」、およびこれらの用語のバリエーションに関しての方向性を定義する。
【0023】
ロータ28は、ハウジング26の流体通路32内の中心軸Aの周りに配置される。ロータ28は、少なくとも1つのブレード先端部または縁部40を画定する1つまたは複数のブレード38を含む。ロータ28の拡大図も図2に示す。図示の例では、ブレード38はシュラウドレスであるが、ロータ28は、ブレード先端部40に取り付けられた1つまたは複数のシュラウドを含むとともにロータ28と共に回転するシュラウド付きのロータであってもよいことを理解されたい。
【0024】
図3に示すように、ハウジング26の内面30は、1つまたは複数のブレード先端部40に隣接する1つまたは複数の溝42を画定する。例えば、溝42は、1つまたは複数のブレード先端部40と径方向に位置合わせされ、かつ軸方向に均一に離間される。換言すれば、溝42の軸方向範囲は、少なくともブレード38の軸方向範囲と重なる。溝42は、周方向(CD)に細長い。例えば、そのような各溝42は、溝42が内面30の周りに延在し、軸方向(または軸方向成分)よりも周方向CD(または円周方向成分)において長い溝中心軸(central groove axis)44を規定する。
【0025】
断面では、図4の代表的な例に示されているように、溝42は矩形、特に正方形であり、実質的にそれらの全長に沿ってそれぞれ均一な断面である。さらに、溝42は、最も一般的には、同じまたは等しい断面を有し、その結果、溝42は、断面形状が等しい幾何学形状であり、幅および深さが等しい寸法である。代替的に、矩形の同等の溝は、流れによって引き起こされる不安定性を低減するのに役立つが、溝42の1つまたは複数は、半円形、楕円形、または多角形などの、矩形とは異なる断面形状を有してもよく、かつ/または、幅、奥行き、またはその他の特徴的な寸法の、異なるサイズを有しうることが想定される。
【0026】
図5を参照すると、ロータ28の無いハウジング26の半分の断面図を示し、この例の溝42は、それぞれ明確(definitive)な第1の端部42aで始まり、それぞれ明確な第2の端部42bで終端する、端部を有する溝(ended groove)である。第2の端部42bは、各溝42が螺旋の一部となるように、第1の端部42aの後方に軸方向に変位される。例えば、各溝42は、ハウジング26の内面30の周りにある距離で延在する。最も典型的には、各溝42は、内面30の周りに360°未満で延在する。さらなる例では、各溝42は、内面30の周りに等しい距離すなわち共通の距離で延在する。すなわち、それらの各個の第1の端部42aから各個の第2の端部42bまでの各々の溝中心軸44に沿った溝42の長さは互いに等しく、内面30内に等量巻きついている。例えば、各溝42は、内面の周りに90°、180°、270°、または90°~360°までのその他の指定された割合で巻きついている。
【0027】
ポンプ20の作動中、ロータ28とブレード38が回転すると、ブレード38の先端部40とハウジング26の内面30との間の容積部を通る流体の逆流や、ブレード先端部40またはその近くに渦、および/または、ブレード先端部40またはその近くにキャビテーションが生じる可能性がある(その程度は、流体のタイプ、圧力、温度、ロータ速度などに関連し得る)。総じて、このような現象は、本明細書では流れによって引き起こされる不安定性と呼ぶ。
【0028】
これに関して、溝42は、流れの不安定性の低減を促進する。例えば、流体がブレード先端部40の近くを流れるとき、ブレード38の回転により、流体が溝42内に移動する。溝42に入ると、溝42の側面は、流体がポンプ20内でさらに前方に流れるのを止め、それにより逆流を低減する。
【0029】
再び図3および5を参照すると、溝42およびブレード38は、流れによって引き起こされる不安定性の低減を強化するように構成される。例えば、各溝42は、溝ピッチ46を規定し、1つまたは複数のブレード38は、ブレードピッチ48を規定する。溝ピッチ46は、中心軸Aに垂直な基準平面50に対する、溝中心軸40上の点の接線の角度、すなわち、その接線と平面50との間の角度である。あるいは、正接の同等の基準点は、溝42の底部または側壁にある。ブレードピッチは、基準平面50に対する、ブレード先端部40上の点に接する線の角度、すなわち、その線と平面50との間の角度である。理解されるように、2つの線の間の角度を決定するための基準面50の選択は便宜上の問題であり、それらの線の角度は、同じ基準面がその両方の線に使用される限り、その他の基準面を使用しても等しく表すことができる。
【0030】
溝ピッチ46は前方ピッチ角を有し、ブレードピッチ48は後方ピッチ角を有する。別の言い方をすれば、ブレード先端部40は概ね中心軸Aから後方方向に傾斜し、溝42の細長い方向は概ね中心軸Aから前方方向に傾斜している。一例では、溝ピッチ46の前方ピッチ角と、ブレードピッチ48の後方ピッチ角とは、合同な角である。例えば、溝接線は、基準面50と10°の溝ピッチ角を形成し、ブレード接線は、基準面50と10°のブレードピッチ角を形成する。あるいは、前方および後方が、「+」(プラス記号)と「-」(マイナス記号)などの、互いに反対の記号で表される命名法が採用される場合、溝ピッチ角が-10°として表され、ブレードピッチ角が+10°として表されてもよく、またはその逆として表されてもよい。本明細書で使用する場合、選択された命名法により負の角度と正の角度とは、絶対値が等しい限り合同であると見なされる。
【0031】
合同な角度は、例えば、ポンピングされる流体のタイプ、予想される動作温度、予想される動作圧力、およびブレード先端部40の速度に応じて変えることができる。最も一般的には、合同な角は5°~40°の範囲であり(前方と後方とが両方とも正である命名法を想定)、代替的には、一方の角度が+5°~+40°の範囲にあり、他方の角度が-5°~-40°の範囲で等しいが反対の符号である(前方と後方が反対の符号である命名法を想定)。
【0032】
さらなる例では、溝ピッチ角は、溝42の長さに沿って変化し得る。例えば、溝42は、最初は、明確な第1の端部42aからの浅い溝ピッチ角、すなわち、平面50に対して低い角度を有しうる。次に、溝ピッチ角は、溝の長さに沿って個々の第2の端部に向かって増加し、すなわち平面50に対してより高い角度で増加しうる。最後に、溝ピッチ角は、個々の第2の端部42bまで減少しうる。すなわち、各溝42は、初期の低角度範囲、中間の高角度範囲、および後続の低角度範囲を有しうる。それにより、ブレードピッチ角がブレード先端部40(エッジ)に沿って軸方向に変化するときに、溝ピッチ角がブレードピッチ角との一致を保つことを可能にする。さらなる一例では、溝ピッチ角は、溝の長さに沿って連続的に変化し得る。
【0033】
ポンプ20の動作中、ブレード38の後方ピッチ角と併用される溝42の前方ピッチ角は、溝のない構成と比較して、流れによって引き起こされる不安定性の低減を向上させる。例えば、内面30の近くの流体がポンプ入口34に向かって逆流しようとするとき、ブレード38の回転が流体を溝42内に移動させる。溝42は前方ピッチ角を介して前方に傾斜し、ブレード38は後方ピッチ角を介して後方に傾斜するため、ブレード先端部40(エッジ)は複数の溝42を架橋する。溝42を横切るブレード38の回転運動は、流体を掃引して、溝42内の流体をポンプ出口36に向かって下流に流すように機能する。上流へと流れるには、流体は、ブレード先端部40での掃引作用および圧力を克服する必要がある。前方ピッチ角および後方ピッチ角は、それにより、溝42内の下流の流れが好まれる流動力学を生み出し、それによって逆流の低減を向上させる。
【0034】
図6は、ポンプ20で代替的に使用されうるハウジング126の別の例を示す。この例では、ハウジング126はまた、内面130と、概して円周方向に細長い溝142と、を含む。この例では、溝142は、2つの異なるタイプの溝、すなわち、無端の溝150と、端部を有する溝152と、を含む。端部を有する溝152は、上記の溝42と同様または同じである。一方、無端の溝150は、溝42のように個々の第1および第2の端部42a/42bを有さない。むしろ、各溝150は、中心軸Aの周りの連続した環である。溝42と同様に、溝150は均一に軸方向に離間され、溝152は均一に軸方向に離間される。
【0035】
図示の例では、一群の連続する無端の溝150があり、次いで、無端の溝150の下流すなわち後方に一群の連続する端部を有する溝152がある。無端の溝150の上流位置では、一般に圧力が低く、したがって逆流に抵抗する必要性が少ない一方、端部を有する溝152の下流位置では、圧力が高く、逆流に抵抗する必要があるため、前方ピッチ角を有する溝が使用される。
【0036】
また、図3および図6の各々に示されるように、ハウジング26/126のいずれかは、溝42/142の後方にあり、いかなる溝も除外する部分すなわちバンド部160を含み得る。すなわち、バンド部160内の内面30/130は滑らかである。例えば、図3に示されるように、溝42(または代替的に溝142)の軸方向範囲は、ブレード38の軸方向範囲と同一の広がりを持たない。例えば、ブレード38は、A1で表される第1の軸方向位置で始まり、ブレード38は、A2で表される第2の軸方向位置で終わる。溝42は、A3で表される第3の軸方向位置で始まり、A4で表される第4の軸方向位置で終わる。示されるように、第4の軸方向位置A4は、第2の軸方向位置A2の前方または後方であってもよい。
【0037】
図示の例では複数の特徴の組み合わせが示されるが、本開示の様々な実施形態の利点を実現するためにそれらのすべてを組み合わせる必要はない。言い換えれば、本開示の実施形態に従って設計されたシステムは、図のいずれか1つに示される特徴のすべてまたは図に概略的に示される部分のすべてを必ずしも含むとは限らない。さらに、1つの例示的な実施形態の選択された特徴は、他の例示的な実施形態の選択された特徴と組み合わせることができる。
【0038】
上記の説明は、本質的に限定的ではなく例示的である。開示された例に対する変形および修正が、本開示から必ずしも逸脱しないことが当業者にとって明らかとなるであろう。本開示に付与の法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6