(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ピーラー
(51)【国際特許分類】
A47J 17/02 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
A47J17/02
(21)【出願番号】P 2021186686
(22)【出願日】2021-11-16
【審査請求日】2021-11-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521496397
【氏名又は名称】平岡 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】平岡 晴彦
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第4021854(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0235830(US,A1)
【文献】特開2004-230156(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1830438(KR,B1)
【文献】特開平10-127480(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208958(JP,U)
【文献】特開2018-057798(JP,A)
【文献】中国実用新案第206314965(CN,U)
【文献】中国実用新案第204617855(CN,U)
【文献】特開2014-076080(JP,A)
【文献】米国特許第03961418(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材の皮を剥くための長尺状の刃部を備えたピーラーであって、
前記刃部の長手方向両端に連結されて前記刃部を支持する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記刃部の長手方向両端部とその近傍を把持するユーザの指を保護する指保護部と、
を備え、
前記指保護部は、前記連結部を把持する面である前記連結部の側面から外方向に突出する突出部であり、前記連結部の両側面に設けられており、
前記食材と対面する第1突出部と、
前記刃部の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍において、皮を剥くために引く方向と反対方向に指が移動しないように固定するための第2突出部と、が設けられることを特徴とする、ピーラー。
【請求項2】
食材の皮を剥くための長尺状の刃部を備えたピーラーであって、
前記刃部の長手方向両端に連結されて前記刃部を支持する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記刃部の長手方向両端部とその近傍を把持するユーザの指を保護する指保護部と、
を備え、
前記指保護部は、前記連結部から外方向に突出する突出部が、前記食材と対面する第1突出部と、前記刃部の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍である第2突出部と、に設けられ、
前記連結部に、指を掛けるための指掛部を設け、
前記指掛部は、前記指掛部に掛けた指を引く方向が変更可能であることを特徴とする、ピーラー。
【請求項3】
食材の皮を剥くための長尺状の刃部を備えたピーラーであって、
前記刃部の長手方向両端に連結されて前記刃部を支持する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記刃部の長手方向両端部とその近傍を把持するユーザの指を保護する指保護部と、
を備え、
前記指保護部は、前記連結部から外方向に突出する突出部が、前記食材と対面する第1突出部と、前記刃部の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍である第2突出部と、に設けられ、
前記連結部に、指を掛けるための指掛部を設け、
前記指掛部は、指を掛ける方向が変更可能であることを特徴とする、ピーラー。
【請求項4】
前記第1突出部と前記第2突出部とは、円弧状に一体に形成されている、又は、矩形の2辺で構成されていることを特徴とする、
請求項1~3のいずれかに記載のピーラー。
【請求項5】
前記刃部の長手方向両端部近傍に、把持した指の滑り防止部を備えたことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のピーラー。
【請求項6】
照明部を備え、
前記刃部の長手方向両端部近傍に、前記照明部のスイッチを備えたことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のピーラー。
【請求項7】
前記刃部及び前記連結部は、弾性変形可能であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のピーラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピーラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果物や野菜等の表皮を剥くことに便利な手動のピーラーとして、特許4021854号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献には、柄部を設けず、ピーリングブレードと、グリップ面と、横材とで構成され、横材のグリップ面の後方のくぼみ部分を把持部として操作を行う小型のピーラーが開示されている。グリップ面の後方に設けたくぼみに手を掛けることによって、掛けた指が滑ることを防止して効果的に皮を剥くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のピーラーでは、グリップ面は、ピーリングブレードの短手方向の一方にピーリングブレードから離れるように延びて構成されている。このため、ユーザは、比較的ピーリングブレードに近い位置を把持することはできるが、ユーザの操作力がピーリングブレードに伝達されにくい。また、ユーザはピーリングブレードに近い位置を把持するため、ピーリングブレードに接触して指を傷つける可能性がある。このように、操作性や安全性に課題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、刃部に近い位置を把持することができ操作性を向上させるとともに、安全性を向上させることの可能なピーラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によれば、食材の皮を剥くための長尺状の刃部を備えたピーラーであって、前記刃部の長手方向両端に連結されて前記刃部を支持する連結部と、前記連結部に設けられ、前記刃部の長手方向両端部とその近傍を把持するユーザの指を保護する指保護部と、を備え、前記指保護部は、前記連結部から外方向に突出する突出部が、前記食材と対面する第1突出部と、前記刃部の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍である第2突出部と、に設けられることを特徴とする、ピーラーが提供される。
【0007】
かかる構成によれば、刃部の長手方向両端部近傍を把持することができるので、ユーザの操作力が伝わりやすい。よって操作性が向上する。さらに指保護部を設けたことで、指の位置を固定しやすく、刃部の長手方向両端部を把持することの心理的な不安感が解消されやすい。このようにして、操作性を向上させるとともに、安全性を向上させることが可能である。なお、指保護部によって、把持した指が食材に接触しにくくなり、衛生面が向上するという効果もある。
【0008】
本発明は様々な応用が可能である。以下の応用例は、適宜組み合わせて実施できる。
例えば、前記刃部の長手方向両端部近傍に、把持した指の滑り防止部を備えてもよい。かかる構成によれば、滑り防止部によって指の滑りが防止されるので、操作性及び安全性をさらに向上させることができる。
【0009】
また、前記連結部に、指を掛けるための指掛部を設けてもよい。かかる構成によれば、刃部の長手方向両端部近傍に加えて、残りのいずれかの指で指掛部に指を掛けることが可能である。指掛部に掛けた指からも刃部に力を加えることができるので、操作性が向上する。
【0010】
また、前記指掛部は、前記指掛部に掛けた指を引く方向が変更可能であってもよい。かかる構成によれば、指を引く方向を変更することによって刃部を引く方向を容易に変更できるため、操作性が向上する。
【0011】
また、前記指掛部は、指を掛ける方向(指を指掛部に挿入する方向)が変更可能であってもよい。かかる構成によれば、ユーザごとに異なる持ちやすい方向に応じて指掛部の方向を変更できるため、操作性や安全性が向上する。
【0012】
また、照明部を備え、前記刃部の長手方向両端部近傍に、前記照明部のスイッチを備えてもよい。かかる構成によれば、照明部によって手元を照らして操作できる。また、ピーラーを把持するとスイッチが入るため、使用時には手元が照らされる。よって、操作性や安全性が向上する。
【0013】
また、前記刃部及び前記連結部は、弾性変形可能であってもよい。かかる構成によれば、刃部及び連結部を弾性変形させて食材の形状に対応させることができるため、きれいに効率よく皮を剥くことができる。刃部の長手方向両端部近傍を持つこととの相乗効果が得られる。
【0014】
また、前記連結部は、前記刃部との相対的な位置を変更可能であってもよい。かかる構成によれば、例えばピーラーを押して剥きたいときなど、連結部の位置を変更し、刃先の向きを変えて押して剥く操作を行うことができる。また、連結部の形状によっては、連結部の位置を変えることで、収納などの際に便利である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のピーラーによれば、操作性を向上させるとともに、安全性を向上させることの可能なピーラーが提供される。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態のピーラー100の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】ピーラー100の使用例を示す斜視図である。
【
図3】第2の実施形態のピーラー200の全体構成を示す斜視図である。
【
図4】第3の実施形態のピーラー300の全体構成を示す斜視図である。
【
図5】ピーラー300の使用例を示す斜視図である。
【
図6】第4の実施形態のピーラー400の全体構成を示す斜視図である。
【
図7】第4の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【
図8】第5の実施形態のピーラー500の全体構成を示す斜視図である。
【
図9】第6の実施形態のピーラー600の全体構成を示す斜視図である。
【
図10】第7の実施形態のピーラー700の全体構成を示す斜視図である。
【
図11】第8の実施形態のピーラー800の全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のピーラー100について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のピーラー100の全体構成を示す斜視図である。ピーラー100は、食材の皮を剥くための長尺状の刃部110と、刃部110の長手方向両端に連結されて刃部110を支持する連結部120と、連結部120に設けられ、刃部110の長手方向両端部とその近傍を把持するユーザの指を保護する指保護部130と、を備える。以下、ピーラー100の各部の構成について詳細に説明する。
【0019】
刃部110は、
図1に示したように、食材(果物や野菜等)の皮を剥くためのものであり、長尺状に構成される。刃部110は、例えば、剥く刃、又は切る複数の立刃等で形成されている。刃部110は、完全な平面刃でなくてもよく、鋭角な尖った刃を複数形成させた三角刃や、波刃であってもよい。また、刃部110は、例えば、ステンレス鋼や炭素鋼などの刃物鋼、セラミック素材等、利用可能な素材であればどのような材料を用いてもよい。なお、刃部110自体は一般的なものとすることができるため、これ以上の説明を割愛する。
【0020】
連結部120は、
図1に示したように、刃部110の長手方向両端に連結し、刃部110を支持する部分である。連結部120は、刃部110とは反対方向に延びた柄を含んでおり、この部分をユーザが把持することも可能である。なお、連結部120自体は一般的なものとすることができるため、これ以上の説明を割愛する。
【0021】
(指保護部130)
本実施形態に特徴的な構成要素である指保護部130について説明する。
指保護部130は、
図1に示したように、連結部120に設けられ、少なくとも刃部110の長手方向両端部を含むその近傍を把持するユーザの指を保護するものである。そして、指保護部130は、連結部120から外方向に突出する突出部が、食材と対面する第1突出部130aと、刃部110の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍である第2突出部130bと、に設けられる。なお説明の便宜上、本明細書で方向を定義する際には、食材を下方に置き、皮を剥くときにピーラー100を手前に引くとして方向を定義する。第1突出部130aはピーラー100の下方に設けられ、第2突出部130bは奥方向又は前方に設けられるということができる。本実施形態では、第1突出部130aと第2突出部130bとは円弧状に一体に形成されている。
【0022】
指保護部130は、プラスチック樹脂や、金属等様々な素材で形成することができ、具体的には、ABS樹脂や、ポリプロピレン樹脂等のプラスチック樹脂等や、ステンレス材等によって構成することができる他、利用可能な素材であればどのような材料を用いてもよい。その加工方法としては、射出成形金型による射出成形で作られる他、プレス加工等、成形可能であれば周知の方法でよく、特に限定するものではない。
【0023】
第1突出部130aは、食材と対面する部分に設けられている。よって、使用時に、刃部110の長手方向両端部を含むその近傍を把持したユーザの指と食材や刃部110との間に第1突出部130aが配置される。このため、指が食材に接触することがないため、衛生的である。また、刃部110の方向に滑ることが防止されるため、刃部110の長手方向両端部を把持することの心理的な不安感が解消されやすい。よって、ユーザは安心して把持し、操作を行うことができる。
【0024】
第2突出部130bは、刃部110の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍に設けられている。使用時に、刃部110の長手方向両端部を含むその近傍を把持したユーザの指の先端が当接する位置に配置される。よって、指の位置が固定されるため、ユーザは安定した操作を行うことができる。
【0025】
本実施形態では、第1突出部130aと第2突出部130bとは円弧状に一体に形成されている例を説明したが、第1突出部130aと第2突出部130bとは矩形の2辺で構成してもよく、分離していてもよい。
【0026】
また、指保護部130や連結部120の任意の位置に、芽切り用の突起を併設してもよい。このような芽切り用の突起は、衛生面や安全面からユーザが触れることはなく、指保護部130とは別の異なる機能を有するものである。
【0027】
以上、ピーラー100の構成について説明した。以下、ピーラー100の使い方について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、ピーラー100の使用例を示す斜視図である。ユーザは、
図2に示したように、刃部110の背面側から刃部110の長手方向両端部とその近傍の連結部120を例えば親指と人差し指とで把持する。このとき、親指と人差し指は第1突出部130aと第2突出部130bとに当接し、移動が規制されるため、安定して連結部120を把持することができる。
【0028】
また、親指と人差し指以外の指は、
図2に示したように、連結部120の刃部110とは反対方向に延びている柄の部分を把持することができる。よって、ユーザはピーラー100を安定して把持することができる。なお、本実施形態では、刃部110の長手方向両端部とその近傍の連結部120を親指と人差し指とで把持する例を説明したが、ユーザの使用感に応じて、人差し指以外の指と親指とで把持してもよい。
【0029】
このように、ユーザは、刃部110の長手方向両端部とその近傍を把持する。このため、例えば、食材を箸によって間接的につまむ際の指の実感と、食材を指で直接つまむことによる指の実感とでは、直接つまむ方が指に実感があることは言うまでもないことと同様に、刃部110から食材への操作中の力加減の伝達が、把持した指に伝わりやすくなる。よって、刃先の食い込み過ぎや食い込み不足を解消させる操作を行いやすくなるとともに、指には、直接的な感覚となりやすいために食材の皮をむやみに勢いよく引き過ぎることがなくなり、剥いた皮の飛び散りを抑えやすくできる。
【0030】
また、ユーザは、食材を持つほうの指に刃部110が接触しそうなときは、例えば、刃部110が斜めになるように把持して引くことによって切れ味がよくなるためにゆっくり引くことができ、操作を途中で止めやすく怪我の防止となりやすい。
【0031】
また、指保護部130を設けたことによって、把持した指が食材に接触することの衛生面や、刃部110の長手方向両端部を把持することの心理的な不安感が解消されやすい。よって、ユーザは安心して把持し、操作を行うことができる。
【0032】
また、指の手前には突出部がない構成のため、連結部120を把持しやすい。なお、指の手前側にも突出部がある構成としてもよいが、第1突出部130aに比べて突出量が少ない構成である方が好ましい。
【0033】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、刃部110の長手方向両端部近傍を把持することができるので、ユーザの操作力が伝わりやすい。よって操作性が向上する。さらに指保護部130を設けたことで、指の位置を固定しやすく、刃部110の長手方向両端部を把持することの心理的な不安感が解消されやすい。このようにして、操作性を向上させるとともに、安全性を向上させることが可能である。また、指保護部130によって、把持した指が食材に接触しにくくなり、衛生面が向上するという効果もある。
【0034】
以下では、上記第1の実施形態を応用した他の実施形態について説明する。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明の便宜上、主要な構成要素のみ符号を付している。また、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るピーラー200について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態のピーラー200の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、滑り防止部232が設けられた点が上記第1の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0036】
ピーラー200は、
図3に示したように、刃部110の長手方向両端部近傍に、指の滑り防止部232を備えたことを特徴とする。本実施形態の指保護部230は、第1突出部230a、第2突出部230b及び滑り防止部232とする。滑り防止部232は、連結部120の側面にあり、刃部110の短手方向に間隔を空けて複数設けられた長尺状の突起である。把持した指の滑り防止部232を備えたことによって、把持して引く際に滑り防止部232によって、指が滑ることなくピーラー200を強く引くことができるという効果を奏する。なお、このような滑り防止部は、第1突出部230a又は第2突出部230bのいずれか又は両方に設けてもよい。
【0037】
滑り防止部232は、例えば、粒状の突起体を複数設ける方法や、縦長状の突起体を複数設ける他、滑り防止シートの貼り付けや滑り防止樹脂の塗布等、趣旨を損なわなければどのような方法としてもよい。滑り防止部232は、ピーラー200の側面部分に一体成型や、溶着等の固着とすることが好ましく、側面部分と同素材とすることが好ましいが、その他には、例えば、シリコンやアクリルや天然ゴムのような滑りにくい素材とすることが好ましい。
【0038】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、滑り防止部232によって指の滑りが防止されるので、操作性及び安全性をさらに向上させることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るピーラー300について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態のピーラー300の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、連結部320に指掛部340が設けられている点が上記第1、第2の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第1、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
本実施形態のピーラー300は、
図4に示したように、連結部320に指掛部340を備えたことを特徴とする。連結部320は、第1の実施形態の連結部120とは異なり、刃部110とは反対方向に延びた柄を含んでおらず、刃部110に比較的近い位置までしかない。指掛部340は、連結部320の刃部110とは反対側の端部に設けられている。このような構成により、ピーラー300の長さが短くなり、小型化される。よって、ピーラー300の収納や持ち運びに便利となる。
【0041】
指掛部340と連結部320との連結は、一体成型や、溶着にて固着の他、連結部320を指が掛かるように凹状に形成してもよい。連結部320と指掛部340の材質は、同素材が好ましいが、使用可能であればどのような素材としてもよい。
【0042】
指掛部340の形状は、刃部110の背面側が開放された鉤状である。よって、指掛部340の開放された部分からユーザの指を挿入することができる。なお、指掛部340の形状は、刃部110の長手方向両端部近傍の連結部320を把持した残りのいずれかの指で指掛け又は握持が可能であれば、例えば、孔状や棒状等など任意の形状としてもよい。指掛部を鉤状や孔状に形成した場合は、鉤状や孔状部分をキッチンの収納用フックに掛けてぶら下げて保管でき好ましい。また、例えば、指掛部の形状を平面視において左右対称に設けることによって、右利きや左利きのどちらの使用者も握持がしやすくなり好ましい。
【0043】
以上、ピーラー100の構成について説明した。以下、ピーラー100の使い方について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、ピーラー300の使用例を示す斜視図である。ユーザは、
図5に示したように、第1の実施形態と同様に刃部110の背面側から刃部110の長手方向両端部とその近傍の連結部320を親指と人差し指とで把持し、残りのいずれかの指を指掛部340に掛ける。よって、ユーザはピーラー100を安定して把持することができる。
【0044】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、連結部320に、指を掛けるための指掛部340を設けたことにより、刃部110の長手方向両端部近傍に加えて、指掛部340からも刃部110に力を加えることができるので、操作性が向上する。
【0045】
また、連結部320に指掛部340を設けたことにより、ピーラー300の長さを短くすることができ、小型のピーラー300を提供できる。よって、収納や持ち運びに便利となる。さらに、原料費を抑え製造コストを低くできて社会に貢献できる。
【0046】
また、指掛部340を鉤状に構成したことにより、キッチンの収納用フックに掛けてぶら下げて保管できる。
【0047】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るピーラー400について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態のピーラー400の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、連結部420と指掛部440の構成が上記第3の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0048】
本実施形態のピーラー400は、
図6に示したように、連結部420に指掛部440を備える。そして、指掛部440は、指掛部440に掛けた指を引く方向が変更可能であることを特徴とする。連結部420は、U字状であり、刃部110との間が開口している。指掛部440は、リング状をしており、リングの中空部分に連結部420が挿通している。指掛部440は、連結部420に沿って摺動自在である。
【0049】
指掛部440を連結部420に係入する方法は、趣旨を損なわなければどのような係入方法としてもよい。例えば、指掛部440を係入後に指掛部440を溶着して固着したり、指掛部440に例えば、カラビナのような着脱可能な機能を設けたりしてもよい。また、リング状の形状も趣旨を損なわなければどのような形状としてもよい。
【0050】
ユーザは、連結部420を傾けて把持して刃部110を斜めにして引くことによって刃部110の切れ味をよくする操作を行う場合は、指掛部440が摺動して引く方向の適切な位置に移動する。よって、指掛部440として操作しやすくなる。このように、指掛部440が連結部420を自在に滑動して適切な位置で操作することができる。
【0051】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、指を引く方向を変更することによって刃部110を引く方向を容易に変更できるため、操作性が向上する。
【0052】
(変形例)
第4の実施形態の変形例であるピーラー400’を、
図7を参照しながら説明する。
図7は、第4の実施形態の変形例を示す斜視図である。指掛部450は、連結リング452を介して連結部420に摺動可能に連結される。指掛部450は細いリング状である。指掛部450の開口は連結リング452に対して連結リング452の円周の軸心と直交する軸周りに回転可能であるとともに円周方向に移動可能である。このように、指掛部450は、連結部420に対して広い範囲で角度を変更可能であるため、指を引く方向をほぼ自在に変更できる。
【0053】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るピーラー500について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態のピーラー500の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、指掛部540の構成が上記第3の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0054】
本実施形態のピーラー500は、
図8に示したように、指掛部540の形状は第3の実施形態の指掛部340と同様であるが、指掛部540は指を掛ける位置を変更可能に連結部520に回動可能に連結されている。指掛部540は、刃部110の短手方向を軸心に回転可能である。
【0055】
なお、指掛部540の回動手段を回動軸部材とした場合は、指掛部540は自在に回動軸部材の軸を起点に回動し、指を掛ける好みの位置に回動させて操作が可能となる。また、指掛部540を回動させることで、収納しやすい形態にすることもできる。なお、回動手段は、回動軸部材による他、指掛部の端を棒状部分として設け、棒状部分が貫通する筒状部分に挿通して回動手段とする他、趣旨を損なわなければどのような方法としてもよい。
【0056】
(第5の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、指掛部540は、指を掛ける方向が変更可能であるため、ユーザごとに異なる持ちやすい方向に応じて指掛部540の方向を変更できるため、操作性や安全性が向上する。
【0057】
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係るピーラー600について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態のピーラー600の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、照明部660とスイッチ670が設けられた点が上記第1、第2の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0058】
ピーラー600は、
図9に示したように、照明部660を備え、刃部110の長手方向両端部近傍に、照明部660のスイッチ670を備えたものである。照明部660は、指掛部640の刃部110側に、刃部110に向かって設けられている。よって、照明部660は刃部110の陰になることなく食材と刃部110の接点部分を照らすことができる。このため、調理部分が見やすくなり、薄暗い環境でも安全に操作ができる。
【0059】
また、簡易の照明器具として、食品のラベルの説明等の小さな文字が見やすくなり、床に落とした物や引き出しの中や収納庫の中のものを探しやすくなる、さらに、停電時の非常用照明としての利用が可能となる。使用する際にピーラー600が光ることによって、見た目も斬新で使用することが楽しくなりやすい便利なピーラーを提供できる。
【0060】
スイッチ670は、
図9に示したように、刃部110の長手方向両端部を把持した際に、押圧されることによりオンになり、刃部110の長手方向両端部から手を離すとオフになる。このように、把持している操作中のみスイッチ670が入り照らすことができ、指を外すと消えることで電池の消耗を減らすことができる。
【0061】
また、電池は任意の位置に設ければよく、照明部660やスイッチ670の電池部分の取り付け方法は、周知の方法によればよい。例えば、照明部660の点灯部分はLED、電池は薄型リチウムコイン電池とすることが望ましく、さらに、電池交換を必要としない充電式としてもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、照明部660を指掛部640に設けたが、刃部110を照らすことができれば任意の位置に設けることができる。例えば、照明部660を連結部620に設けてもよい。また、スイッチ670は刃部110の長手方向両端部近傍に設けたが、照明部660をオン、オフできれば任意の位置に設けることができる。例えば、スイッチ670を指保護部230や連結部620や指掛部640に設けてもよい。また、把持している操作中のみスイッチ670が入る構成でなくてもよい。
【0063】
(第6の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、照明部660を備えたことにより、手元を照らして操作できるため、操作性が向上する。また、照明部660のスイッチ670を刃部110の長手方向両端部近傍に備えたことにより、把持するとスイッチ670が入るため、使用時には手元が照らされる。よって、操作性や安全性が向上する。
【0064】
(第7の実施形態)
第7の実施形態に係るピーラー700について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施形態のピーラー700の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、刃部710と連結部720の構成が上記第1、第2の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
ピーラー700は、
図10に示したように、刃部710及び連結部720が弾性変形可能に構成されている。刃部710は、
図10(a)に示したように、平に構成されていてもよく、
図10(b)に示したように、予め背面方向に突出したアーチ形状に形成されていてもよい。刃部710は、厚さ0.4mm前後程度のステンレス、鉄等の薄板製で、焼入れして十分な強度を有する。
【0066】
刃部710は、背面方向に屈曲可能に形成されており、剥く刃、又は切る複数の立刃の少なくともいずれかとし、切る複数の立刃は、例えば、三角刃としてスポット溶接により形成されている。
【0067】
また、屈曲した刃部710が必要以上に食い込まないようにガイド部材を備えてもよい。ガイド部材は、刃部710と平行に備え略平面とする樹脂の薄い形状であれば刃部710と同様に曲率を変えることが可能となり、剥く皮の厚さの調整を行いやすい。
【0068】
このように、刃部710及び連結部720は、利用可能な素材で成形可能であれば趣旨を損なわない範囲で、その応用形態に応じて構成を適切に定めてもよい。
【0069】
連結部720は、略U字形のトング状に構成されており、刃部710の長手方向両端部が連結される両端部の幅が拡縮可能である。連結部720の素材は、例えば、樹脂材料や、ステンレス材料で形成されている。具体的には、ABS樹脂や、ポリプロピレン樹脂等のプラスチック樹脂等や、ステンレス材等の他、利用可能な素材であればどのような材料を用いてもよい。
【0070】
刃部710及び連結部720は、
図10(a)に示したように、原形に復帰となる素材及び曲成した形状を有するとともに、可撓性を備えたことによって、
図10(b)に示したように、刃部710の長手方向両端部とその近傍を把持することによって、連結部720と刃部710は曲成した形状で可撓性を有する。このため、把持する指の力加減によって刃部710の曲げ過ぎによる刃部710の破損を防ぐことができ、連結部720と刃部710は湾曲及び原形に復帰が可能となり、食材の曲面に対して接触部分が増えて効率的な操作が可能となる。
【0071】
(第7の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、刃部710及び連結部720を弾性変形させて食材の形状に対応させることができるため、きれいに効率よく皮を剥くことができる。
【0072】
(第8の実施形態)
第8の実施形態に係るピーラー800について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態のピーラー800の全体構成を示す斜視図である。本実施形態は、連結部820の構成が上記第1、第2の実施形態とは異なるものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0073】
ピーラー800は、
図11に示したように、連結部820が、刃部110との相対的な位置を変更可能であることを特徴とする。具体的には例えば、連結部820の一部820aが刃部110の長手方向両端に連結されて刃部110を支持する際に、
図11(a)に示したように、刃部110の上方を覆う構成とすることができる。これにより、連結部820の他の部分(ユーザが把持する部分等)は、刃部110よりも上方に設けることができる。すると、連結部820は、他の構成要素との干渉が生じないため、回動軸820bによって水平方向への回動又はスライドなど、任意の構成によって、刃部110との相対的な位置を変更することができる。
【0074】
この際の連結部820の回動量やスライド量は任意でよい。例えば、
図11(b)に示したように、連結部820のユーザが把持する部分を約180度回動させて、連結部820に対する刃部110の向きが逆になることによって、ピーラー800を押して剥くことができるようになる。ピーラー800を押して剥くことができるように、連結部820の先端に、連結部820が逆になっても操作しやすいような指掛部840(例えば、リング形状)を設けることが好ましい。また、押して剥きやすくするために、指保護部230の第2突出部は引く方向に設けてもよく、さらに、連結部820のユーザが把持する部分を約90度回動させることによって、ピーラー800の全体の形状を変える(例えば、略矩形状)ことにより、収納の際に好適である。刃部110を深く抉れる縦刃にしたり、剥く方向を逆向きにしたりすることによって、例えばりんごを皮ごと細かい片にカットすることができる。
【0075】
(第8の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、連結部820と刃部110との相対的な位置を変更可能であることによって、ピーラー800を押して剥きたいときなど、連結部820の位置を変更し、刃部110の向きを変えて押して剥く操作を行うことができる。また、連結部820の形状によっては、連結部820の位置を変えることで、収納などの際に便利である。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0077】
例えば、上記第1の実施形態では、第1突出部130aと第2突出部130bとは円弧状に一体に形成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1突出部130aと第2突出部130bとは矩形の2辺で構成してもよく、分離していてもよい。
【0078】
また、上記第1の実施形態では、連結部120の構成として、柄がある一般的なものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結部の構成として、刃部110の上方を覆うような構成を採用することもできる。このような連結部では、透明状の素材で構成することもできる。操作時に刃部110と食材が透けて見えることによって、刃部と食材の接点が把握しやすくなり、さらに、例えば、透明状の素材にレンズ機能を持たせることによって、さらに見やすくできる。このようなレンズ機能を持たせる方法は、例えば、連結部本体をレンズとして設けたり、透明状の連結部分にフィルム状レンズを貼り付けたりしてもよい。透明状の素材としては、ポリエチレン・テレフタレート(PET)の他、シリコン、アクリル、FRP、ポリウレタン、ポリカーボネート等があるが、利用可能であればどのような素材としてもよく、特に限定するものではない。他の部分も透明状素材としてもよい。以上の点は他の実施形態についても同様である。
【0079】
上記各実施形態、応用例、変形例などは適宜組み合わせて実施可能である。
【符号の説明】
【0080】
100、200、300、400、500、600、700、800 ピーラー
110、710 刃部
120、320、420、720、820 連結部
130、230 指保護部
130a、230a 第1突出部
130b、230b 第2突出部
232 滑り防止部
340、440、450、540、640、840 指掛部
452 連結リング
660 照明部
670 スイッチ
【要約】
【課題】刃部に近い位置を把持することができ操作性が向上をさせるとともに、安全性を向上させることの可能なピーラーを提供する。
【解決手段】ピーラー100は、刃部110の長手方向両端に連結されて刃部110を支持する連結部120と、連結部120に設けられ、刃部110の長手方向両端部とその近傍を把持するユーザの指を保護する指保護部130と、を備え、指保護部130は、連結部120から外方向に突出する突出部が、食材と対面する第1突出部130aと、刃部110の短手方向において皮を剥くために引く方向と反対側の端部近傍である第2突出部130bと、に設けられる。刃部110の長手方向両端部近傍を把持することができるので、操作性が向上する。さらに指保護部130を設けたことで、指の位置を固定しやすく、刃部の長手方向両端部を把持することの心理的な不安感が解消されやすい。
【選択図】
図1