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特許7148721二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置およびその製造方法
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  • 特許-二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 11/00 20060101AFI20220928BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20220928BHJP
   C21B 13/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
C21B11/00
C21B5/00 301
C21B13/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021521388
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2019013538
(87)【国際公開番号】W WO2020080808
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0123937
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,ミョン ギュン
(72)【発明者】
【氏名】ゴ,チャン グク
(72)【発明者】
【氏名】ユン,シギョン
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0035348(KR,A)
【文献】特開2018-024896(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0014438(KR,A)
【文献】特開平11-171527(JP,A)
【文献】国際公開第2009/082125(WO,A2)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0054849(KR,A)
【文献】特開2012-057202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 11/00
C21B 5/00
C21B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元ガスを用いて粉鉱を還元させる還元ユニット、
前記還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を製造する塊成体供給ユニット、
コークス製造設備から発生した副生ガスを供給するガス供給ユニット、および
前記第1還元塊成体と前記副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および前記副生ガスが改質された還元ガスを製造し、前記還元ガスを前記還元ユニットに供給する反応ユニット、を含み、
前記反応ユニットを構成する反応炉で、前記第1還元塊成体が触媒として作用して炭化水素および水素が含まれた前記副生ガスは一酸化炭素および水素が含まれた前記還元ガスに改質されることを特徴とする二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項2】
還元溶解炉は、
前記コークス製造設備から製造されたコークスを前記還元溶解炉に装入させるコークス装入ユニット、および
前記第2還元塊成体を前記還元溶解炉に装入させる塊成体装入ユニット、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項3】
前記反応ユニットは、
前記第1還元塊成体と前記副生ガスの反応が行われる前記反応炉、を含むことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項4】
前記反応ユニットは、
前記反応炉から製造された前記還元ガスの供給が行われる第1還元ガス導管、および
前記反応炉から製造された前記第2還元塊成体の供給が行われる第1供給ライン、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項5】
前記還元ユニットは、
前記反応炉から供給された前記還元ガスを部分燃焼させる燃焼機、
前記部分燃焼した還元ガスを供給する第2還元ガス導管、
前記燃焼機に酸素を吹き込みする第1酸素吹き込み機、および
前記部分燃焼した還元ガスおよび酸素によって前記粉鉱の還元が行われる流動層還元炉、を含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項6】
前記塊成体供給ユニットは、
前記還元された粉鉱が貯蔵される粉鉱貯蔵ビン、
前記粉鉱貯蔵ビンから供給された前記還元された粉鉱を熱間圧搾させて前記第1還元塊成体を製造する圧搾機、
前記熱間圧搾された第1還元塊成体を破砕する破砕機、および
前記破砕された第1還元塊成体を前記反応炉に供給する移送ライン、を含むことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項7】
前記ガス供給ユニットは、
前記コークス製造設備から発生した副生ガスの供給が行われる供給導管、
前記供給導管と連結されて前記副生ガスを加熱させる加熱機、および
前記加熱機と前記反応炉を連結して前記加熱した副生ガスの供給が行われる高温ガス導管、を含むことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項8】
前記ガス供給ユニットは、
前記高温ガス導管に硫化水素を吹き込みする硫化水素吹き込み機、および
前記高温ガス導管に酸素を吹き込みする第2酸素吹き込み機、をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項9】
前記還元ユニットは、
動層還元炉から発生した高温の排出ガスが通過する熱交換器、
前記熱交換器を経た排出ガスを湿式除塵する除塵機、
前記湿式除塵した排出ガスの排出が行われる排出導管、
前記排出導管から分岐され、前記熱交換器と連結されて前記湿式除塵した排出ガスの一部に熱供給が行われる第1循環導管、および
前記熱交換器と燃焼機を連結して前記熱供給された排出ガスの供給が行われる第2循環導管、をさらに含むことを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項10】
前記コークス装入ユニットは、
前記コークス製造設備から製造されたコークスが貯蔵されるコークス貯蔵ビン、および
前記コークス貯蔵ビンから供給されたコークスを前記還元溶解炉に移送する原料移送ライン、を含むことを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項11】
前記塊成体装入ユニットは、
前記反応炉から供給された第2還元塊成体を冷却させる冷却器、
前記冷却された第2還元塊成体の供給が行われる第2供給ライン、
前記冷却された第2還元塊成体が貯蔵される塊成体貯蔵ビン、
前記塊成体貯蔵ビンから供給された前記第2還元塊成体を切出する切出機、および
前記切出した第2還元塊成体を前記原料移送ラインに供給する第3供給ライン、を含むことを特徴とする請求項10に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項12】
前記反応炉の上部から前記第1還元塊成体の供給が行われ、前記反応炉の下部から前記副生ガスの供給が行われることを特徴とする請求項3乃至請求項11のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置。
【請求項13】
還元ガスを用いて粉鉱を還元させる段階、
前記還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を設ける段階、
コークス製造設備から発生した副生ガスを設ける段階、および
前記第1還元塊成体と前記副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および前記副生ガスが改質された還元ガスを製造する段階、を含み、
前記粉鉱を還元させる段階で、
前記副生ガスが改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させ
前記還元ガスを製造する段階では、前記第1還元塊成体が触媒として作用して炭化水素および水素が含まれた前記副生ガスは一酸化炭素および水素が含まれた還元ガスに改質されることを特徴とする二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項14】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階以後、
前記コークス製造設備から製造されたコークスを還元溶解炉に装入させる段階、および
前記第2還元塊成体を前記還元溶解炉に装入させる段階、をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項15】
前記副生ガスを設ける段階は、
前記コークス製造設備から発生して水素および炭化水素が含まれた前記副生ガスを加熱する段階、および
前記加熱した副生ガスを硫化水素および酸素とともに吹き込みする段階、を含むことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項16】
前記副生ガスを硫化水素および酸素とともに吹き込みする段階で、
前記酸素は、
前記吹き込みされる副生ガス、硫化水素および酸素の全体100体積%に対して、13~18体積%であることを特徴とする請求項15に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項17】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、
前記副生ガスと前記第1還元塊成体の反応温度は700~750℃であることを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項18】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、
素に対する硫化水素の分圧比(PH2S/PH2)は0.0003~0.0005であることを特徴とする請求項15乃至請求項17のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項19】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、
前記副生ガスと前記第1還元塊成体の反応は下記反応式1~3のうちの一つ以上を含むことを特徴とする請求項13乃至請求項18のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
[反応式1] CH+HO→CO+4H
[反応式2] Fe+CH→FeC+H
[反応式3] FeO+CH→FeC+H
【請求項20】
前記還元ガスは全体100体積%に対して、85体積%以上が一酸化炭素および水素であることを特徴とする請求項13乃至請求項19のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項21】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、
前記副生ガスと前記第1還元塊成体の反応圧力を常圧以下に維持することを特徴とする請求項13乃至請求項20のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【請求項22】
前記粉鉱を還元させる段階で、
前記粉鉱の還元率は65~75%であることを特徴とする請求項13乃至請求項21のいずれか一項に記載の二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置およびその製造方法に係り、より詳しくは、改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させる一方、炭化鉄が含まれた還元塊成体を用いて溶鉄を製造することによってコークスの使用量を低減して二酸化炭素の排出量を減少させることができる二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全世界の鉄生産量の60%程度は14世紀から開発された高炉法により生産されている。高炉法は焼結過程を経た鉄鉱石と有煙炭を原料として製造したコークスなどを高炉に共に入れて酸素を吹き込んで鉄鉱石を鉄に還元して溶鉄を製造する方法である。
このように溶鉄生産設備の主な方法である高炉法はその反応特性上一定水準以上の強度を保有し、炉内の通気性の確保を保障できる粒度を保有した原料が求められるので、燃料および還元剤として使用する炭素源としては特定の原料炭を加工処理したコークスに依存し、鉄源としては一連の塊状化工程を経た焼結鉱を主に使用している。
そのため現在の高炉法ではコークス製造設備および焼結設備などの原料予備処理設備を必ず伴うので、高炉以外の付帯設備を構築する必要があるだけでなく、付帯設備から発生する諸般の環境汚染物質に対する環境汚染防止設備の設置の必要があるので、多大の投資費用を要して製造原価が急激に上昇する問題がある。
【0003】
このような高炉法の問題を解決するための方策として高炉に使用されるコークスの量を低減するために製鉄工程の副生ガス、水素含有資源およびバイオマスなどを羽口に直接または改質後吹き込みすることによって高炉に使用されるコークスの一部を代替して低減する技術が提案されている。
また、製鉄工程の副生ガス、水素含有資源およびバイオマスなどを改質して還元ガスに転換した後この還元ガスを用いて鉄鉱石を還元して予備還元鉱を製造した後、これを上記の焼結鉱の代わりに高炉に装入することによって高炉内の鉱石還元に必要とされるコークスおよび焼結鉱の一部を低減する技術が提案されている。
しかし、前者の場合、羽口を介したガスの吹き込みは、羽口周辺の燃焼温度の過度な低下および高炉全体の熱不足現象の発生などによって吹き込み量が制限されており、後者の場合、還元鉄を製造して高炉に装入する方法は別途のガス改質炉が必要となるため、経済性の側面から商業化に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させる一方、炭化鉄が含まれた還元塊成体を用いて溶鉄を製造することによってコークスの使用量を低減して二酸化炭素の排出量を減少させることができる二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置は、還元ガスを用いて粉鉱を還元させる還元ユニット、前記還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を製造する塊成体供給ユニット、コークス製造設備から発生した副生ガスを供給するガス供給ユニット、および前記第1還元塊成体と前記副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および前記副生ガスが改質された還元ガスを製造し、前記還元ガスを前記還元ユニットに供給する反応ユニット、を含むことを特徴とする。
【0006】
還元溶解炉は、前記コークス製造設備から製造されたコークスを前記還元溶解炉に装入させるコークス装入ユニット、および前記第2還元塊成体を前記還元溶解炉に装入させる塊成体装入ユニット、をさらに含むことができる。
前記反応ユニットは、前記第1還元塊成体と前記副生ガスの反応が行われる反応炉、を含むことがよい。
前記反応ユニットは、前記反応炉から製造された還元ガスの供給が行われる第1還元ガス導管、および前記反応炉から製造された第2還元塊成体の供給が行われる第1供給ライン、をさらに含むことが好ましい。
【0007】
前記還元ユニットは、前記反応炉から供給された還元ガスを部分燃焼させる燃焼機、前記部分燃焼した還元ガスを供給する第2還元ガス導管,前記燃焼機に酸素を吹き込みする第1酸素吹き込み機、および前記部分燃焼した還元ガスおよび酸素によって前記粉鉱の還元が行われる流動層還元炉、を含むことができる。
前記塊成体供給ユニットは、前記還元された粉鉱が貯蔵される粉鉱貯蔵ビン、前記粉鉱貯蔵ビンから供給された前記還元された粉鉱を熱間圧搾させて前記第1還元塊成体を製造する圧搾機、前記熱間圧搾された第1還元塊成体を破砕する破砕機、および前記破砕された第1還元塊成体を前記反応炉に供給する移送ライン、を含むことがよい。
【0008】
前記ガス供給ユニットは、前記コークス製造設備から発生した副生ガスの供給が行われる供給導管、前記供給導管と連結されて前記副生ガスを加熱させる加熱機,および前記加熱機と前記反応炉を連結して前記加熱した副生ガスの供給が行われる高温ガス導管、を含むことが好ましい。
前記ガス供給ユニットは、前記高温ガス導管に硫化水素を吹き込みする硫化水素吹き込み機、および前記高温ガス導管に酸素を吹き込みする第2酸素吹き込み機、をさらに含むことができる。
前記還元ユニットは、前記流動層還元炉から発生した高温の排出ガスが通過する熱交換器、前記熱交換器を経た排出ガスを湿式除塵する除塵機、前記湿式除塵した排出ガスの排出が行われる排出導管、前記排出導管から分岐され、前記熱交換器と連結されて前記湿式除塵した排出ガスの一部に熱供給が行われる第1循環導管、および前記熱交換器と前記燃焼機を連結して前記熱供給された排出ガスの供給が行われる第2循環導管、をさらに含むことがよい。
【0009】
前記コークス装入ユニットは、前記コークス製造設備から製造されたコークスが貯蔵されるコークス貯蔵ビン、および前記コークス貯蔵ビンから供給されたコークスを前記還元溶解炉に移送する原料移送ライン、を含むことができる。
前記塊成体装入ユニットは、前記反応炉から供給された第2還元塊成体を冷却させる冷却器、前記冷却された第2還元塊成体の供給が行われる第2供給ライン、前記冷却された第2還元塊成体が貯蔵される塊成体貯蔵ビン、前記塊成体貯蔵ビンから供給された第2還元塊成体を切出する切出機、および前記切出した第2還元塊成体を前記原料移送ラインに供給する第3供給ライン、を含むことが好ましい。
前記反応炉の上部から前記第1還元塊成体の供給が行われ、前記反応炉の下部から前記副生ガスの供給が行われることがよい。
【0010】
本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法は、還元ガスを用いて粉鉱を還元させる段階、前記還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を設ける段階、コークス製造設備から発生した副生ガスを設ける段階,および前記第1還元塊成体と前記副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および前記副生ガスが改質された還元ガスを製造する段階、を含み、前記粉鉱を還元させる段階で、前記副生ガスが改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させることを特徴とする。
【0011】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階以後、前記コークス製造設備から製造されたコークスを還元溶解炉に装入させる段階、および前記第2還元塊成体を前記還元溶解炉に装入させる段階、をさらに含むことができる。
前記副生ガスを設ける段階は、前記コークス製造設備から発生して水素および炭化水素が含まれた副生ガスを加熱する段階、および前記加熱した副生ガスを硫化水素および酸素とともに吹き込みする段階、を含むことがよい。
【0012】
前記副生ガスを硫化水素および酸素とともに吹き込みする段階で、前記酸素は、前記吹き込みされる副生ガス、硫化水素および酸素の全体100体積%に対して、13~18体積%であることが好ましい。
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、前記副生ガスと前記第1還元塊成体の反応温度は700~750℃であることができる。
【0013】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、前記水素に対する前記硫化水素の分圧比(PH2S/PH2)は0.0003~0.0005であることがよい。
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、前記副生ガスと前記第1還元塊成体の反応は下記反応式1~3のうちの一つ以上を含むことが好ましい。
[反応式1] CH+HO→CO+4H
[反応式2] Fe+CH→FeC+H
[反応式3] FeO+CH→FeC+H
【0014】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、前記第1還元塊成体が触媒として作用して前記副生ガスは一酸化炭素および水素が含まれた還元ガスに改質されることがよい。
前記還元ガスは全体100体積%に対して、85体積%以上が一酸化炭素および水素であることができる。
【0015】
前記第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で、前記副生ガスと前記第1還元塊成体の反応圧力を常圧以下に維持することがよい。
前記粉鉱を還元させる段階で、前記粉鉱の還元率は65~75%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、本発明の二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置びその製造方法は、改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させる一方、炭化鉄が含まれた還元塊成体を用いて溶鉄を製造することによってコークスの使用量を低減して二酸化炭素の排出量を減少させることができる。
また、コークス使用量が低減して溶銑製造原価の低減効果が発生し、コークスに発生ガスを改質して水素を大幅に増加させてコークスに比べて二酸化炭素の排出量が顕著に低い還元ガスを使用することができる。これにより製造した還元塊成体を部分使用して溶銑を製造することによって溶銑製造過程における二酸化炭素排出原単位を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置の模式図である。
図2】本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置で反応炉での熱および物質のバランスを示す図である。
図3】本発明の実施例によるコークス低減効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1、第2および第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるがこれらに限定されない。これらの用語はある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するために使用される。したがって、以下で叙述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及されることができる。
ここで使用される専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む」の意味は特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるものではない。
【0019】
対照的にある部分が他の部分の「真上に」あると言及する場合、その間に他の部分が介在しない。
特に定義していないが、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。
【0020】
一般に用いられている辞書に定義された用語は関連技術文献と現在の開示された内容に合う意味を有するものとして追加解釈され、定義されない限り理想的または公式的過ぎる意味に解釈されない。
以下、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0021】
〔二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置〕
本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置は、図1のように、還元ガスを用いて粉鉱を還元させる還元ユニット100、還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を製造する塊成体供給ユニット200、コークス製造設備10から発生した副生ガスを供給するガス供給ユニット300および第1還元塊成体と副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および副生ガスが改質された還元ガスを製造し、還元ガスを還元ユニット100に供給する反応ユニット400を含む。
【0022】
反応ユニット400は副生ガスと第1還元塊成体の反応が行われる反応炉410を含む。反応炉410から製造された還元ガスの供給が行われる第1還元ガス導管420および反応炉410から製造された第2還元塊成体の供給が行われる第1供給ライン430を含む。
一方、本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置は、還元溶解炉500、コークス製造設備10から製造されたコークスを還元溶解炉500に装入させるコークス装入ユニット600および第2還元塊成体を還元溶解炉500に装入させる塊成体装入ユニット700をさらに含む。
【0023】
還元ユニット100は一酸化炭素(CO)が含まれた還元ガスを用いて粉鉱を還元させる。粉鉱には鉄鉱石が含まれる。
具体的には、還元ユニット100は反応炉410から供給された還元ガスを部分燃焼させる燃焼機110、部分燃焼した還元ガスを供給する第2還元ガス導管120、燃焼機110に酸素を吹き込みする第1酸素吹き込み機130および部分燃焼した還元ガスおよび酸素によって粉鉱の還元が行われる流動層還元炉140を含む。
【0024】
燃焼機110は反応炉410から製造された還元ガスの供給が行われる第1還元ガス導管420と連結されて供給された還元ガスを部分燃焼させることができる。第2還元ガス導管120は燃焼機110と連結されて部分燃焼した還元ガスの移動が行われる。
燃焼機110には第1酸素吹き込み機130が連結されて燃焼機110に酸素を吹き込みすることができる。第2還元ガス導管120は流動層還元炉140と連結されて部分燃焼した還元ガスと酸素が流動層還元炉140に供給される。還元ガスに含まれた一酸化炭素および水素の一部を燃焼させて燃焼熱により還元ガスを昇温させる。
流動層還元炉140は3段~4段の多段に構成されることがよい。
【0025】
具体的には、還元ユニット100は流動層還元炉140から発生した高温の排出ガスが通過する熱交換器150、熱交換器150を経た排出ガスを湿式除塵する除塵機160、湿式除塵した排出ガスの排出が行われる排出導管170、排出導管170から分岐され、熱交換器150と連結されて湿式除塵した排出ガスの一部に熱供給が行われる第1循環導管180および熱交換器150と前記燃焼機110を連結して熱供給された排出ガスの供給が行われる第2循環導管190をさらに含む。
熱交換器150は流動層還元炉140と連結されて部分燃焼した還元ガスおよび酸素から粉鉱を還元させて排出された高温の排出ガスの通過が行われる。除塵機160は熱交換器150と連結されて高温の排出ガスを湿式除塵して排出ガスに存在する粉塵を除去することができる。
【0026】
排出導管170では湿式除塵した排出ガスの外部への排出が行われる。一方、第1循環導管180は排出導管170から分岐され、熱交換器150と連結されて湿式除塵した排出ガスの一部が熱交換器150から熱の供給を受ける。第2循環導管190は熱交換器150および燃焼機110を連結し、熱交換器150から熱が供給された排出ガスが燃焼機110に移動して還元ガスとともに部分燃焼により昇温された後、流動層還元炉140に供給される。
排出ガスの一部を還元ガスとして再使用することはガスの利用率を高めるためであり、再使用される排出ガスの比率は排出ガス全体100体積%に対して70~80体積%であることがよい。そのため還元ガス内に二酸化炭素の含有量が過度に高まって還元率が低下する現象を防止することができる。
【0027】
塊成体供給ユニット200は還元ユニット100および反応ユニット400と連結されて還元ユニット100から供給された還元された粉鉱を用いて第1還元塊成体を製造し、第1還元塊成体を反応ユニット400に供給する。
具体的には、塊成体供給ユニット200は還元された粉鉱が貯蔵される粉鉱貯蔵ビン210、粉鉱貯蔵ビン210から供給された還元された粉鉱を熱間圧搾させて第1還元塊成体を製造する圧搾機220、熱間圧搾された第1還元塊成体を破砕する破砕機230および破砕された第1還元塊成体を反応炉410に供給する移送ライン240を含む。
粉鉱貯蔵ビン210に貯蔵された還元された粉鉱は還元ユニット100を介して粉鉱と還元ガスの反応により生成されて貯蔵されたものである。
【0028】
圧搾機220は粉鉱貯蔵ビン210と連結されて粉鉱貯蔵ビン210から供給された還元された粉鉱を熱間圧搾させることによって第1還元塊成体を製造することができる。
破砕機230は第1還元塊成体を破砕した後破砕された第1還元塊成体を移送ライン240に供給することができる。移送ライン240は破砕機230と反応炉410を連結して破砕された第1還元塊成体を反応炉410に供給する。
【0029】
ガス供給ユニット300はコークス製造設備10および反応ユニット400と連結されてコークス製造設備10から発生した副生ガスを反応ユニット400に供給する。副生ガスはCOGであり、副生ガスには水素および炭化水素が含まれる。炭化水素はCおよびCHのうちの1種以上を含む。
具体的には、ガス供給ユニット300は、コークス製造設備10から発生した副生ガスの供給が行われる供給導管310、供給導管310と連結されて副生ガスを加熱させる加熱機320および加熱機320と反応炉410を連結して加熱した副生ガスの供給が行われる高温ガス導管330を含む。
【0030】
供給導管310はコークス製造設備10と加熱機320を連結してコークス製造設備10から発生した副生ガスを加熱機320に供給できる。加熱機320は供給された副生ガスを加熱して高温の副生ガスに転換させる。高温ガス導管330は加熱機320と反応ユニット400の反応炉410を連結して加熱した副生ガスを反応炉410に供給する。
具体的には、ガス供給ユニット300は、高温ガス導管330に硫化水素を吹き込みする硫化水素吹き込み機340および高温ガス導管330に酸素を吹き込みする第2酸素吹き込み機350をさらに含むことができる。
【0031】
硫化水素吹き込み機340は高温ガス導管330と連結されて硫化水素(HS)を加熱した副生ガスとともに反応炉410に供給し得る。副生ガスに含まれた水素に対する硫化水素の分圧比(PH2S/PH2)を制御することによって第1還元塊成体に含まれた鉄(Fe)または酸化鉄(FeO)の炭化鉄(FeC)への変換を安定化させることができる。
第2酸素吹き込み機350は高温ガス導管330と連結されて酸素(O)を加熱した副生ガスとともに反応炉410に供給する。副生ガス、硫化水素および酸素の全体体積に対する酸素の体積比を制御することによって反応炉410の温度を副生ガスと第1還元塊成体の反応が容易な温度に調節することができる。
反応ユニット400は塊成体供給ユニット200から供給された第1還元塊成体とガス供給ユニット300から供給された副生ガスの反応が行われ、炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および一酸化炭素が含まれた還元ガスを製造する。
【0032】
具体的には、反応ユニット400を構成する反応炉410では第1還元塊成体が触媒として作用して副生ガスは一酸化炭素および水素が含まれた還元ガスに改質される。また、第1還元塊成体に含まれた鉄または酸化鉄が副生ガスに含まれた炭化水素と反応して炭化鉄が含まれた第2還元塊成体が生成される。
炭化鉄が含まれた第2還元塊成体は第1供給ライン430を介して装入ユニットに供給され得、副生ガスが改質された還元ガスは第1還元ガス導管420を介して還元ユニット100の燃焼機110に供給される。
第1還元塊成体の活用により副生ガスを経済的に還元ガスに改質することができ、炭化鉄が含まれた第2還元塊成体を溶鉄製造に用いることによって既存の還元および溶融に消耗するコークスの量を減少させることができる。
そのため既存の工程より二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0033】
具体的には、反応炉410の上部に移送ライン240が連結されて反応炉410の上部から第1還元塊成体の供給が行われ、反応炉410の下部に高温ガス導管330が連結されて反応炉410の下部から副生ガスの供給が行われる。
そのため第1還元塊成体および副生ガスが交差するようにして効率的な反応を期待することができる。
還元溶解炉500では溶鉄が製造される。還元溶解炉500は高炉で構成される。
【0034】
コークス装入ユニット600はコークス製造設備10および還元溶解炉500と連結されてコークス製造設備10から製造されたコークスを還元溶解炉500に装入させ得る。
具体的には、コークス装入ユニット600はコークス製造設備10から製造されたコークスが貯蔵されるコークス貯蔵ビン610およびコークス貯蔵ビン610から供給されたコークスを還元溶解炉500に移送する原料移送ライン620を含むことができる。
コークス貯蔵ビン610にはコークス製造設備10から製造されたコークスが貯蔵されて原料移送ライン620にコークスを供給する。原料移送ライン620を介してコークスが還元溶解炉500に供給される。一方、鉄源の供給が行われる鉄源貯蔵ビンも原料移送ライン620と連結されて原料移送ライン620を介して還元溶解炉500に鉄源の供給が行われる。
【0035】
具体的には、塊成体装入ユニット700は反応炉410から供給された第2還元塊成体を冷却させる冷却器710、冷却された第2還元塊成体の供給が行われる第2供給ライン720、冷却された第2還元塊成体が貯蔵される塊成体貯蔵ビン730、塊成体貯蔵ビン730から供給された第2還元塊成体を切出する切出機740および切出した第2還元塊成体を原料移送ライン620に供給する第3供給ライン750を含むことができる。
冷却器710は反応ユニット400の第1供給ライン430と連結されて第1供給ライン430から供給された第2還元塊成体を冷却させる。第2供給ライン720は冷却器710と連結されて冷却された第2還元塊成体の供給が行われ、冷却された第2還元塊成体は第2供給ライン720と連結された塊成体貯蔵ビン730に貯蔵される。
切出機740は塊成体貯蔵ビン730から第2還元塊成体を切出し、切出した第2還元塊成体は第3供給ライン750に沿って原料移送ライン620に供給されてコークスおよび鉄源と共に還元溶解炉500に供給される。
【0036】
〔二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法〕
本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法は、還元ガスを用いて粉鉱を還元させる段階、還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を設ける段階、コークス製造設備から発生した副生ガスを設ける段階および第1還元塊成体と副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および副生ガスが改質された還元ガスを製造する段階を含み、粉鉱を還元させる段階で副生ガスが改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させる。
本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄の製造方法は、第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階以後、コークス製造設備から製造されたコークスを還元溶解炉に装入させる段階および第2還元塊成体を還元溶解炉に装入させる段階をさらに含むことが好ましい。
【0037】
先に、粉鉱を還元させる段階では一酸化炭素(CO)が含まれた還元ガスを用いて粉鉱を還元させる。第1還元塊成体と副生ガスの反応により副生ガスが改質された還元ガスを用いて粉鉱を還元させる。具体的には、副生ガスが改質された還元ガスを部分燃焼させた後酸素とともに粉鉱の還元が行われる流動層還元炉に供給することがよい。
この時、粉鉱の還元率は65~75%であることが好ましい。これにより鉱石間付着現象を抑制することができ、多段に構成された流動層還元炉の操業効率の低下を防止することができる。
また、還元溶解炉内での鉱石還元負担と溶融負担を低下させて還元および溶融に消耗するコークス量を低減させることができる。
【0038】
次に、第1還元塊成体を設ける段階では還元された粉鉱を用いて鉄および酸化鉄のうちの1種以上が含まれた第1還元塊成体を製造する。具体的には、還元された粉鉱を熱間圧搾させて第1還元塊成体を形成させた後、熱間圧搾された第1還元塊成体を破砕して副生ガスと反応させることができる。
次に、副生ガスを設ける段階ではコークス製造設備から発生した副生ガスを設ける。副生ガスには水素および炭化水素が含まれる。炭化水素はCおよびCHのうちの1種以上を含むことができる。
具体的には、副生ガスを設ける段階はコークス製造設備から発生して水素および炭化水素が含まれた副生ガスを加熱する段階および加熱した副生ガスを硫化水素および酸素とともに吹き込みする段階を含む。
水素および炭化水素が含まれた副生ガスを加熱した後、加熱した副生ガスを硫化水素および酸素とともに第1還元塊成体と反応させることができる。酸素は加熱した副生ガスと反応して下記の化学式に示す反応が行われて昇温される。
[化学式] 2H+O→2H
【0039】
この時、酸素は吹き込まれる副生ガス、硫化水素および酸素の全体100体積%に対して、13~18体積%に制御することがよい。酸素が13体積%未満の場合、第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階で第1還元塊成体と副生ガスの反応温度を700~750℃に制御することは難しい。
反面、酸素が18体積%を超える場合、酸素消耗量が過度に多いため経済性が低下する虞がある。
次に、第2還元塊成体および還元ガスを製造する段階では、第1還元塊成体と副生ガスを反応させて炭化鉄が含まれた第2還元塊成体および副生ガスが改質された還元ガスを製造する。
【0040】
具体的には、第1還元塊成体に含まれた鉄または酸化鉄が副生ガスに含まれた炭化水素と反応して炭化鉄が含まれた第2還元塊成体が製造される。この時、第1還元塊成体が触媒として作用して炭化水素および水素が含まれた副生ガスは一酸化炭素および水素が含まれた還元ガスに改質される。
この時、下記の反応式1ないし3の一つ以上を含む反応が行われる。
[反応式1] CH+HO→CO+4H
[反応式2] Fe+CH→FeC+H
[反応式3] FeO+CH→FeC+H
第2還元塊成体に含まれた炭化鉄(FeC)は金属鉄に比べて溶融温度が低いので還元溶解炉に装入後、還元溶解炉内の軟化融着帯の安定化に寄与して操業効率を上げることができる。ただし、炭化鉄は熱力学的に安定していない物質であるためこれを安定化させることが求められる。そのため水素に対する硫化水素の分圧比(PH2S/PH2)を0.0003~0.0005に制御することが好ましい。これにより第2還元塊成体に含まれた炭化鉄を安定化させることができる。
【0041】
一方、第1還元塊成体と副生ガスの反応がよく行われるようにするために反応温度を700~750℃に制御することが好ましい。また、第1還元塊成体と副生ガスの反応圧力を常圧以下に維持することが好ましい。これは前記反応式1~3がすべて体積が増加する反応であるため、圧力が低いほど反応率が増加することができる。
第1還元塊成体と副生ガスの反応により生成された還元ガスは全体100体積%に対して、85体積%以上が一酸化炭素および水素であることができる。
【0042】
以下、本発明の具体的な実施例を記載する。しかし、下記実施例は本発明の具体的な一実施例であり、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0043】
(1)溶鉄の製造
〔実施例〕
本発明の一実施例による二酸化炭素排出低減型溶鉄製造装置を用いて溶鉄を製造した。図2および図3に示した条件により溶鉄を製造した。図2のとおり、反応炉で第1還元塊成体と副生ガスが反応することにより副生ガスに含まれたCおよびCH形態の炭化水素がほとんどCOおよびHに変化して還元ガスに改質され、第1還元塊成体に含まれたFeおよびFeOがFeCに転換されて第2還元塊成体の製造がなされた。
反応炉で水素に対する硫化水素の分圧比(PH2S/PH2)は0.00042に維持し、反応温度は720℃、反応圧力は常圧以下に維持した。反応炉で生成された還元ガスを用いて粉鉱を還元させた。この時、粉鉱の還元率は70%になるようにした。副生ガス1Nm当たり、1.8kgの第2還元塊成体を製造し、製造した第2還元塊成体を用いてコークスおよび鉄源と共に還元溶解炉に投入することによって溶鉄を製造した。
【0044】
反応炉で水素に対する硫化水素の分圧比(PH2S/PH2)は0.00042に維持し、反応温度は720℃、反応圧力は常圧以下に維持した。比較例)既存の高炉操業により鉄および酸化鉄が含まれた焼結鉱を用いて図3の条件により溶鉄を製造した。
(2)二酸化炭素排出の低減効果
図3に示したとおり、既存の高炉操業により溶鉄を製造した比較例の場合より、実施例の場合、還元溶解炉で生産する溶銑1トン当たり、コークス15kgが低減される効果がある。
そのため既存より二酸化炭素の排出量を低減することが可能である。
【0045】
本発明は前記実施形態および/または実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施形態および/または実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0046】
10 コークス製造設備
100 還元ユニット
110 燃焼機
120 第2還元ガス導管
130 第1酸素吹き込み機
140 流動層還元炉
150 熱交換器
160 除塵機
170 排出導管
180 第1循環導管
190 第2循環導管
200 塊成体供給ユニット
210 粉鉱貯蔵ビン
220 圧搾機
230 破砕機
240 移送ライン
300 ガス供給ユニット
310 供給導管
320 加熱機
330 高温ガス導管
340 硫化水素吹き込み機
350 第2酸素吹き込み機
400 反応ユニット
410 反応炉
420 第1還元ガス導管
430 第1供給ライン
500 還元溶解炉
600 コークス装入ユニット
610 コークス貯蔵ビン
620 原料移送ライン
700 塊成体装入ユニット
710 冷却器
720 第2供給ライン
730 塊成体貯蔵ビン
740 切出機
750 第3供給ライン



図1
図2
図3