(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-A]ピリミジン-3-カルボキサミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20220928BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220928BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220928BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P37/02
A61P17/00
(21)【出願番号】P 2021531412
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 US2019064427
(87)【国際公開番号】W WO2020123225
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-01
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ザオゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジェソップ,セオドア カーティス
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-519226(JP,A)
【文献】国際公開第2017/087590(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/081488(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/074284(WO,A1)
【文献】Moslin, R. 他,Identification of imidazo[1,2-b]pyridazine TYK2 pseudokinase ligands as potent and selective allosteric inhibitors of TYK2 signalling,Med. Chem. Comm.,2017年,8(4),700-712
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/519
A61P 17/00 - 37/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物であって、
【化1】
式中、Rが、
【化2】
である、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Rが、
【化3】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Rが、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
以下の式の請求項1または請求項2のいずれかに記載の化合物、
【化5】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
以下の式の請求項4に記載の化合物、
【化6】
。
【請求項6】
以下の式の請求項1または請求項3のいずれかに記載の化合物、
【化7】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
以下の式の請求項6に記載の化合物、
【化8】
。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、患者における乾癬を治療するための医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、患者における全身性エリテマトーデスを治療するための医薬組成物。
【請求項10】
乾癬を治療するための薬剤の製造のための、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
全身性エリテマトーデスを治療するための薬剤の製造のための、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤
を共に含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TYK2のシュードキナーゼドメイン(JH2)に結合し、かつある特定のサイトカインシグナル伝達、特にIL-23およびIFNαシグナル伝達を阻害するある特定の新規化合物と、この化合物を含む医薬組成物と、乾癬などのある特定の自己免疫疾患を治療するためにこの化合物を使用する方法と、この化合物の合成に有用な中間体およびプロセスとに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ある特定の炎症性サイトカインのTYK2シグナル伝達によって媒介されると考えられる乾癬および/または糖尿病などの他の自己免疫疾患の治療の分野にある(例えば、J.S.Tokarski,et al.,J.Biol.Chem.,vol.290(17),pages 11061-11074(2015)、およびL.Marroqui,et al.,Diabetes,vol.64,pages 3808-3817(2015)を参照されたい)。乾癬は慢性皮膚病であり、一般人口の約2%が罹患していると推定される。乾癬の治療選択肢には、例えば、コルチコステロイドなどの局所治療、紫外線B(UVB)光などの光線療法、およびメトトレキサートおよびアプレミラストなどの全身療法が挙げられる。残念ながら、そのような薬剤は効果的な治療を常に提供するとは限らず、種々の有害な副作用を伴う可能性がある。したがって、乾癬および全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患の治療には満たされていないニーズが存在し、新たな治療選択肢が所望される。
【0003】
WO2017/087590は、TYK2に作用してシグナル伝達阻害を引き起こすことによるIL-12、IL-23、および/またはIFNαの調節を通じて、乾癬またはSLEなどの自己免疫状態の治療に有用なある特定のイミダゾピリダジン化合物を開示する。米国特許第7,557,110号は、炎症性疾患および自己免疫疾患などのキナーゼ媒介性障害の治療に有用なキナーゼ阻害剤としてある特定のピラゾロ[1,5-a]ピリミジン誘導体を開示する。ある特定のイミダゾ[1,2-b]ピリダジンTYK2シュードキナーゼリガンドは、TYK2シグナル伝達の強力かつ選択的な阻害剤としてR.Moslin,et al.,Med.Chem.Commun.,vol.8,pages 700-712(2017)によって開示される。
【0004】
TYK2 JH2ドメインに作用し、IL-23およびIFNαのシグナル伝達を阻害するさらなる化合物が望まれる。本発明は、TYK2 JH2ドメインに結合するある特定の新規化合物を提供する。さらに、本発明は、IL-23およびIFNαシグナル伝達を阻害するある特定の新規化合物を提供する。したがって、本発明は、乾癬およびSLEなどの自己免疫疾患の治療に有用なある特定の新規化合物を提供する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、式Iの化合物であって、
【化1】
式中、Rが、
【化2】
である、化合物、
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
本発明は、乾癬の治療を必要とする患者における乾癬を治療する方法であって、患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法も提供する。本発明は、SLEの治療を必要とする患者におけるSLEを治療する方法であって、患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法をさらに提供する。本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、リウマチ様関節炎(RA)、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、体軸性脊椎関節炎、多発性硬化症(MS)、1型糖尿病、2型糖尿病、および成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)からなる群から選択される疾患の治療を必要とする患者におけるかかる疾患を治療する方法であって、患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法をさらに提供する。さらに、本発明は、療法に使用するための、特に乾癬の治療に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。加えて、本発明は、SLEの治療に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、RA、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、体軸性脊椎関節炎、MS、1型糖尿病、2型糖尿病、および成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)からなる群から選択される疾患の治療に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩も提供する。
【0007】
本発明は、乾癬を治療するための薬剤の製造のための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。加えて、本発明は、SLEを治療するための薬剤の製造のための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、RA、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、体軸性脊椎関節炎、MS、1型糖尿病、2型糖尿病、および成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)からなる群から選択される疾患を治療するための薬剤の製造のための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0008】
本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、医薬組成物をさらに提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するためのプロセスをさらに提供する。本発明は、式Iの化合物の合成のための新規の中間体およびプロセスも包含する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療」、または「治療する」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を抑制すること、遅延させること、阻止すること、または改善することを含む。
【0010】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、哺乳類、特にヒトを指す。
【0011】
本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、患者への単回または複数回投与の際に、診断中または治療中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量または投与量を示す。
【0012】
有効量は、既知技法の使用によって、かつ同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者により容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際には、患者の人種、そのサイズ、年齢、および全体的な健康状態、関与する特定の疾患または障害、疾患または障害の程度または関与または重症度、個々の患者の反応、投与される特定の化合物、投与の法式、投与される製剤の生物学的利用能特性、選択された投与レジメン、付随する薬物の使用、ならびに他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、多数の要因が担当診断医によって考慮される。
【0013】
本発明の化合物は、本化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。より好ましくは、かかる組成物は、経口投与用である。かかる医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
【0014】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、本発明の治療方法に特に有用であり、鏡像異性体を含むすべての立体配置およびラセミ体を含むそれらの混合物が本発明の範囲内で企図される。これらの立体配置が、本発明の治療方法および化合物の両方に適用可能であることが理解されるであろう。
【0015】
本発明の化合物は、
【化3】
ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0016】
式Ia(ii)および式Ib(ii)の化合物が好ましく、式Ia(ii)の化合物およびその薬学的に許容される塩が特に好ましい。
【0017】
以下の調製に記載されるある特定の中間体は、1つ以上の窒素保護基を含んでもよい。保護基は、特定の反応条件および実施される特定の変換に応じて、当業者によって認識されるように変化し得ることが理解される。保護および脱保護条件は、当業者に周知であり、文献(例えば、”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,by Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007を参照されたい)に記載される。
【0018】
鏡像異性体を含む個々の異性体は、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィーなどの方法によって、本発明の化合物の合成における任意の好都合な時点において、当業者により分離または分割されてもよい(例えば、J.Jacques,et al.,”Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981、およびE.L.Eliel and S.H.Wilen,”Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley-Interscience,1994を参照されたい)。
【0019】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩を、例えば、当該技術分野で周知の標準的な条件下で、ジエチルエーテルなどの好適な溶媒中で、本発明の化合物の適切な遊離塩基の、適切な薬学的に許容される酸の反応によって形成することができる。加えて、かかる薬学的に許容される塩の形成は、窒素保護基の脱保護と同時に起こり得る。例えば、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427-435(2000)、およびBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977)を参照されたい。
【0020】
ある特定の略語は以下のように定義される。「BINAP」は、(±)-2,2′-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1′-ビナフタレンを指し、「BOP」は、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「BrettPhos」は、ジシクロヘキシル[3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリス(1-メチルエチル)[1,1’-ビフェニル]-2-イル]ホスフィンを指し、「t-BuOH」は、t-ブタノールおよびt-ブチルアルコールを指し、「BSA」はウシ血清アルブミンを指し、「CDI」は、1,1’-カルボニルジイミダゾールを指し、「DCC」は、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミドを指し、「DCE」は、ジクロロエタンを指し、「DCM」は、ジクロロメタンを指し、「DEM」は、マロン酸ジエチルを指し、「DIC」は、1,3-ジイソプロピルカルボジイミドを指し、「DIEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMAP」は、ジメチルアミノピリジンを指し、「DMEM」は、Dulbecco’s Modified Eagle’s Mediumを指し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DPPA」は、ジフェニルホスホリルアジドを指し、「EDCI」は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指し、「EtOH」は、エタノールおよびエチルアルコールを指し、「FBS」は、ウシ胎児血清を指し、「第二世代グラブス触媒」は、(1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムを指し、「HATU」は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、「HBTU」は、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルメタニミニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「HEPES」は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸を指し、「HOAt」は、1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾールを指し、「HOBt」は、1-ヒドロキシルベンゾトリアゾール水和物を指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「IFNα」は、インターフェロンアルファを指し、「IL-12」は、インターロイキン12を指し、「IL-23」は、インターロイキン23を指し、「IPA」は、イソプロパノールおよびイソプロピルアルコールを指し、「JAK」は、ヤヌスキナーゼを指し、「LiHMDS」は、リチウムヘキサメチルジシラジドを指し、「MeI」は、ヨウ化メチルを指し、「MeNH2」は、メチルアミンを指し、「MeOH」は、メタノールおよびメチルアルコールを指し、「MTBE」は、メチルtert-ブチルエーテルを指し、「NaOEt」は、ナトリウムエトキシドを指し、「NiNTA」は、ニッケル-ニトリロ三酢酸を指し、「PBS」は、リン酸緩衝生理食塩水を指し、「Pd(dppf)Cl2」は、二塩化(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)を指し、「Pd(OAc)2」は、酢酸パラジウム(II)を指し、「PyBOP」は、(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)を指し、「PyBrOP」は、ブロモ(トリピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「RPM」は、1分あたりの回転数を指し、「RPMI」は、Roswell Park Memorial Instituteを指し、「SPA」は、シンチレーション近接アッセイを指し、「TEA」は、トリエチルアミンを指し、「TFA」は、トリフルオロ酢酸を指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「TYK2」は、チロシンキナーゼ2を指し、「UVB」は、紫外線Bを指し、「STAT」は、転写タンパク質のシグナル伝達物質および活性化因子を指し、「YSI」は、ケイ酸イットリウムを指す。
【0021】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、当業者に既知の様々な手順によって調製されてもよく、そのうちのいくつかが、以下のスキーム、調製法、および実施例に示される。以下のスキームにおける各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、および結晶化を含む、当該技術分野で周知の従来の方法によって回収することができる。以下のスキームにおいて、すべての置換基は、別途指示のない限り、すでに定義した通りである。試薬および出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。本発明の範囲を限定することなく、以下のスキーム、調製、および実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。
【化4】
【0022】
スキーム1、ステップAは、化合物(1)へのDEMの添加、およびEtOHなどの溶媒中で約80℃でNaOEtまたはカリウムt-ブトキシドなどの好適な塩基を使用した化合物(2)へのその後の環化を示す。
【0023】
ステップBにおいて、化合物(2)の7-ヒドロキシおよび5-オキソ基を、約50~100℃で、アセトニトリルなどの好適な溶媒中でPOCl3などの好適な塩素源およびピリジンなどの好適な有機塩基を使用して塩素化して、化合物(3)を得ることができる。
【0024】
ステップCにおいて、化合物(3)の7-クロロ基上の選択的求核芳香族置換を、周囲温度で1,4-ジオキサンなどの好適な溶媒中で1-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-メタンアミンなどの求核試薬およびDIEAなどの好適な有機塩基を使用して、当該技術分野で周知の条件下で実施して、化合物(4)を得ることができる。
【0025】
ステップDにおいて、Buchwaldカップリングを、当該技術分野で周知の条件下で、クロマン-8-アミン塩酸塩または6-メチルピリジン-2-アミンなどのアミンと共に化合物(4)に対して実施して、Pd(OAc)2およびBrettPhosなどの好適な触媒およびリガンドの組み合わせ、および約1,4-ジオキサンなどの溶媒中で炭酸カリウムなどの好適な塩基を使用して、約130℃でマイクロ波加熱しつつ実施して化合物(5)を形成することができる。
【0026】
化合物(5)を、1,4-ジオキサンおよびMeOHなどの溶媒中のNaOH水溶液で、約50~80℃で処理して、ステップEに示すようにエステルの塩基性加水分解により化合物(6)を得ることができる。
【0027】
ステップFにおいて、DMFなどの好適な溶媒中でDIEAなどの好適な有機塩基およびBOPなどの好切なカップリング剤を使用して、化合物(6)と(3R)-3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オンなどのアミンとの間でアミドカップリングを実施して、化合物(7)を得ることができる。当業者は、カルボン酸およびアミンとの反応から生じるアミド形成のためのいくつかの適切な方法があることを認識するであろう。例えば、DIEAまたはTEAなどの有機塩基を含むまたは含まないカップリング試薬の存在下でのアミン化合物の適切なカルボン酸との反応は、ステップFの化合物を提供することができる。カップリング試薬には、DCC、DIC、EDCIなどのカルボジイミド、またはCDIなどのカルボニルジイミダゾールが挙げられる。HOBtおよびHOAtなどのアミドカップリング添加剤をまた使用して、反応を増強することができる。加えて、HBTU、HATU、PyBOP、およびPyBrOPなどの非求核性アニオンのウロニウムまたはホスホニウム塩を、より伝統的なカップリング試薬の代わりに使用することができる。DMAPなどの添加剤を使用して反応を増強し得る。
【0028】
ステップGにおいて、化合物(7)を、約50℃で、DCEなどの好適な溶媒中でTFAなどの好適な酸を使用して、標準条件下で脱保護して、式Iの化合物を得る。
【化5】
【0029】
スキーム2、ステップAにおいて、化合物(9)の形成を、Pd(dppf)Cl2などの好適な触媒と炭酸カリウムなどの好適な塩基とを、約90℃で1,4-ジオキサンおよび水などの好適な溶媒系中で使用して、化合物(8)とビニルトリフルオロホウ酸カリウムとの間の鈴木・宮浦クロスカップリングとして示す。
【0030】
ステップBにおいて、芳香族求核置換により、当該技術分野で周知の条件下で、化合物(9)とアリルアルコールとの間で、約60℃で炭酸カリウムなどの適切な塩基を使用して化合物(10)が得られることを示す。
【0031】
化合物(10)の触媒閉環メタセシスにより、DCMなどの適切な溶媒中で、Grubbs触媒第2世代などの適切な触媒を使用して、化合物(11)が得られることをステップCに示す。
【0032】
ステップDにおいて、化合物(11)のパラジウム触媒によるニトロ/アルケン還元により、当該技術分野で周知の条件下で、MeOHおよびTHFなどの好適な溶媒系中で、水素雰囲気下で炭素上の10%Pdなどの適切な触媒を使用して、化合物(12)が得られることを示す。
【化6】
【0033】
スキーム3、ステップAにおいて、化合物(14)の形成を、0~22℃のDMFなどの溶媒中でDIEAなどの好適な有機塩基およびHATUなどの適切なカップリング剤を使用する、化合物(13)およびMeNH2の間のスキーム1、ステップFに一般的に記載されるような当該技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングとして示す。
【0034】
ステップBにおいて、ジメチルスルホニウムヨージド塩を形成するための化合物(14)へのMeIの添加、続いて0~22℃でのTHFなどの好適な溶媒中でLiHMDSなどの好適な塩基での処理を使用して、環化化合物(15)を得ることができる。
【0035】
ステップCにおいて、化合物(15)を、約55℃のアセトニトリルなどの好適な溶媒中で4-メチルベンゼンスルホン酸などの好適な酸を使用して、標準条件下で脱保護し、続いてMTBEなどの溶媒を添加して化合物(16)を沈殿させる。
【化7】
【0036】
式Ia(ii)およびIb(ii)などの式Iの化合物はまた、当業者によって容易に理解される適切な対応する出発物質を利用して、スキーム4に記載のように調製することができる。より具体的には、例えば、スキーム4、ステップAにおいて、化合物(3)の7-クロロ基上の選択的求核芳香族置換を、周囲温度で、THFなどの好適な溶媒中でMeNH2などの適切な求核試薬を使用して、当該技術分野で周知の条件下で実施して、化合物(17)を得ることができる。
【0037】
スキーム4、ステップAにおいて、化合物(3)の7-クロロ基上の選択的求核芳香族置換を、周囲温度で、THFなどの好適な溶媒中でMeNH2などの適切な求核試薬を使用して、当該技術分野で周知の条件下で実施して、化合物(17)を得ることができる。
【0038】
ステップBにおいて、Buchwaldカップリングを、化合物(12)と共に化合物(17)で実施して、1,4-ジオキサンおよび2-メチル-2-ブタノールなどの適切な溶媒系中で、アリルパラジウム(II)クロリド二量体、BINAPなどの好適な触媒およびリガンド系を酢酸カリウムなどの好適な塩基と共に使用し、125℃で加熱して、化合物(18)を形成することができる。
【0039】
化合物(18)を、還流下でMeOHおよびTHFなどの好適な溶媒系中で水性LiOHなどの好適な塩基で処理して、ステップCに示すようにエステルの塩基性加水分解により化合物(19)を得ることができる。
【0040】
ステップDは、DMFなどの溶媒中でDIEAなどの好適な有機塩基およびBOPなどの好適なカップリング剤を使用して、化合物(19)と化合物(16)との間での、スキーム1、ステップFに一般的に記載されるような、当該技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングによる式Ia(ii)の形成を示す。
【0041】
調製物1
【化8】
スキーム1、ステップA:エチル5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(12.5g、80.6mmol)、およびDEM(18.5mL、121mmol)をEtOH(90mL)に溶解する。この混合物に、NaOEt(EtOH中21質量%、45.1mL、121mmol)を添加し、反応物を90℃で24時間撹拌する。この後、反応物を周囲温度まで冷却する。次いで、混合物を5N HCl水溶液で酸性にし、得られた沈殿物を濾過して、表題化合物を白色の固体として得る(11.7g、65.1%)。ES/MS m/z224(M+H)。
【0042】
代替調製物1
スキーム1、ステップA:EtOH(6.00L)中のエチル5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(400g、2.58mol)およびDEM(584mL、3.87mol)の溶液に、カリウムt-ブトキシド(578g、5.16mol)を窒素下で、25℃で添加する。溶液を80℃で12時間撹拌し、次いで反応物を22℃まで冷却する。反応混合物を0.1N HCl(2L)で希釈し、5N HClでpHを3に調整する。混合物を濾過し、フィルターケーキを水(800mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得る(460g、81%)。ES/MS m/z224(M+H)。
【0043】
調製物2
【化9】
スキーム1、ステップB:エチル7-ヒドロキシ-5-オキソ-4H-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(11.7g、52.4mmol)をアセトニトリル(50mL)に懸濁し、窒素で5分パージする。この混合物に、POCl
3(14.8mL、157mmol)、続いてピリジン(4.28mL、52.4mmol)を50℃で添加し、次いで反応物を100℃で5時間撹拌する。この後、反応物を周囲温度まで冷却し、氷/水混合物に注ぐ。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、得られた沈殿物を濾過して、表題化合物を白色固体として得る(13g、95.3%)。ES/MS m/z(
35Cl/
37Cl)260/262[M+H]
+。
【0044】
代替調製物2
スキーム1、ステップB:アセトニトリル(2L)中のエチル7-ヒドロキシ-5-オキソ-4H-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(400g、1.79mol)の懸濁液に、POCl3(416mL、4.48mol)およびピリジン(217ml、2.69mol)を窒素下で、50℃で滴下する。反応物を80℃で12時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残留物を水(2L)に注ぐ。反応混合物を濾過し、固体を水(800mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をオレンジ色の固体として得る(360g、66%)。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)260/262[M+H]+。
【0045】
調製物3
【化10】
スキーム1、ステップC:エチル5,7-ジクロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(5g、19.2mmol)を1,4-ジオキサン(40mL)に溶解する。この混合物に、1-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-メタンアミン(3.5g、20mmol)、続いてDIEA(6.7mL、38.4mmol)を添加し、反応物を周囲温度で2時間撹拌する。この後、反応を水(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出する。次いで、合わせた有機物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~70%のEtOAc)で精製して、表題化合物を濃厚な透明な油として得、これは静置すると白色の固体に固化する(3.55g、49.3%)。ES/MS m/z(
35Cl/
37Cl)375/377[M+H]
+。
【0046】
調製物3a
【化11】
スキーム4、ステップA:エチル5,7-ジクロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(50.0g、192mmol)をTHF(250mL)に添加し、溶液を10℃まで冷却する。次いで、MeNH
2溶液(EtOH中33%w/w)(79mL、634mmol)を添加し、温度を20℃未満に保つ。反応混合物を撹拌し、22℃まで温め、4時間撹拌する。次いで水(300mL)を添加し、混合物をさらに1時間撹拌する。
【0047】
得られた固体を濾過により収集し、THF/水混合物(2:3)(100mL)および水(400mL)で洗浄する。次いで、固体を真空(10mbar/50℃)下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物を淡褐色の固体(49.5g、90%)として得る。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)255/257[M+H]+。
【0048】
調製物4
【化12】
スキーム2、ステップA:フラスコにビニルトリフルオロホウ酸カリウム(17g、120.6mmol)、炭酸カリウム(40g、286.5mmol)、およびPd(dppf)Cl
2(2g、2.7mmol)を入れる。フラスコを排気し、窒素を3回戻し充填する。1,4-ジオキサン(450mL)、水(140mL)、および1-ブロモ-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン(20g、90.1mmol)を添加する。再びフラスコを排気し、窒素を戻し充填する。反応混合物を90℃まで3.5時間加熱し、次いで室温まで冷却する。層を分離し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~10%EtOAc)で精製して、表題化合物を淡黄色の油(13.1g、84%)として得る。
1H NMR(d
6-DMSO)δ8.09-8.03(m,2H),7.44(t,J=8.0Hz,1H),6.91(dd,J=11.2,17.7Hz,1H),6.08(d,J=17.7Hz,1H),5.62(d,J=11.2Hz,1H)。
【0049】
調製物5
【化13】
スキーム2、ステップB:アリルアルコール(18.8g、323mmol)、2-フルオロ-1-ニトロ-3-ビニル-ベンゼン(12.2g、69.3mmol)、および炭酸カリウム(31g、224mmol)の混合物を60℃まで16時間加熱した後、室温まで冷却する。混合物をEtOAc(300mL)で希釈し、固体を濾過して廃棄する。濾液を蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~15%のEtOAc)で精製して、表題化合物を油として得る(13.4g、88%)。ES/MS m/z206(M+H)。
【0050】
調製物6
【化14】
スキーム2、ステップC:DCM(500mL)中2-アリルオキシ-1-ニトロ-3-ビニル-ベンゼン(13.4g、65.3mmol)に、Grubnbs触媒第2世代(300mg、0.3mmol)を添加する。フラスコを窒素でフラッシュし、室温で6時間撹拌する。次いで、混合物を蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~20%のEtOAc)で精製して、表題化合物をワックス状の黄色の固体(10.6g、91%)として得る。ES/MS m/z178(M+H)。
【0051】
調製物7
【化15】
スキーム2、ステップD:MeOH(350mL)およびTHF(350mL)中の8-ニトロ-2H-クロメン(22.2g、125mmol)および炭素上の10%Pd(600mg、0.53mmol)の混合物を、室温で水素1気圧下で撹拌する。4時間後、EtOAc(15mL)中の炭素上の10%Pd(450mg、0.4mmol)のスラリーを添加し、混合物を、水素1気圧下、室温でさらに16時間撹拌する。混合物を濾過し、濾液を蒸発させて、表題化合物を油として得る(17.6g、92%)。ES/MS m/z150(M+H)。
【0052】
調製物8
【化16】
スキーム3、ステップA:DMF(4L)中の(tert-ブトキシカルボニル)-D-メチオニン(400g、1.6mol)、メチルアミン塩酸塩(162.47g、2.4mol)、およびDIEA(700mL、4.01mol)の溶液を0℃まで冷却し、HATU(732.1g、1.92mol)を添加する。反応物を周囲温度まで温める。2時間撹拌した後、溶媒を蒸発させる。次いで、水(10L)を添加し、水溶液をDCM(2×3L)で抽出する。有機層を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。得られた残留物を、ヘキサン中のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色の固体として得る(368g、87%)。ES/MS m/z263(M+H)。
【0053】
調製物9
【化17】
スキーム3、ステップB:tert-ブチルN-[(1R)-1-(メチルカルバモイル)-3-メチルスルファニル-プロピル]カルバメート(368g、1.40mol)およびMeI(3.68L、59.11mol)の混合物を、周囲温度で18時間撹拌する。次いで、混合物を蒸発させる。得られた粗製ジメチルスルホニウムヨージド塩(210g、0.52mol)の一部分をTHF(4.7L)に溶解し、窒素雰囲気下で0℃まで冷却し、LiHMDS(THF中の1.00M溶液(1.16L、1.16mol)を滴下する。次いで、反応混合物を周囲温度まで温める。4時間後、水(2.4L)を添加し、溶媒を蒸発させて半分の体積にする。混合物をDCM(2×3L)で抽出する。有機物を合わせて蒸発させる。残留物を、DCM中のMeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色の固体として得る(50g)。ES/MS m/z215(M+H)。キラルHPLC:Rt(保持時間)=9.13分;LCカラム:ChiralPAc IA OD 4.6×250mm 5μm;アイソクラティック:0.1%ジエチルアミン/ヘキサン/エタノール(85/15);カラム温度:25℃;流速:1.0mL/分。旋光度:[α]
D
20=+53°(C=0.5、MeOH)。
【0054】
調製物10
【化18】
スキーム3、ステップC:アセトニトリル(500mL)中のtert-ブチルN-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]カルバメート(46g、214.69mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸(74.5g、433mmol)を55℃で加熱し、4時間撹拌する。次いで、MTBE(1L)を添加し、混合物を22℃まで冷却する。得られた固体を濾過により収集し、追加のMTBEで洗浄し、真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得る(60g、95%)。ES/MS m/z115(M+H)。旋光度:[α]
D
20=+31.3°(C=0.5、MeOH)。
【0055】
調製物11
【化19】
スキーム1、ステップD:火炎乾燥マイクロ波バイアルに、5-クロロ-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(400mg、1.1mmol)、クロマン-8-アミン塩酸塩(240mg、1.2mmol)、炭酸カリウム(450mg、3.3mmol)、BrettPhos(60mg、0.1mmol)およびPd(OAc)
2(20mg、0.1mmol)を添加する。バイアルを排気し、窒素を3回戻し充填する。1,4-ジオキサン(4.5mL)を添加し、バイアルを再び窒素でフラッシュする。混合物をマイクロ波で130℃まで25分間加熱し、室温まで冷却し、MeOH(20mL)で希釈し、珪藻土で濾過し、蒸発させる。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)で精製して、表題化合物を油として得る(232mg、42%)。ES/MS m/z488(+H)。
【0056】
以下の化合物を、調製物11の方法に本質的に類似する様式で調製する。
【表1】
【0057】
調製物11a
【化20】
スキーム4、ステップB:圧力フラスコにエチル5-クロロ-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(14g、55mmol)、BINAP(2.1g、3.3mmol)、アリルパラジウム(II)クロリド二量体(620mg、1.7mmol)、および酢酸カリウム(10.8g、110mmol)を入れ、次いで窒素でフラッシュした。窒素を10分間スパージしたクロマン-8-アミン(9g、60mmol)の1,4-ジオキサン(160mL)中溶液を混合物に添加し、続いて2-メチルブタン-2-オール(20mL)を添加する。フラスコを窒素でフラッシュし、125℃で加熱する。2時間後、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(300mL)で希釈する。混合物を珪藻土で濾過し、蒸発させる。残留物をEtOAcと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて赤色の半固体にする。この残留物にDCM(85mL)を添加し、混合物を5分間撹拌する。得られた固体を収集し、追加のDCMで洗浄し、真空下、室温で乾燥させて、わずかに桃色の物質を得る。濾液を総量60mLまで濃縮し、5分間撹拌する。得られた固体を収集し、追加のDCMで洗浄し、前の固体の収集物と組み合わせ、真空下で乾燥させて、11.2gの生成物を得る。残りの濾液をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~50%EtOAc)で精製して、さらに3.8gの生成物を得る。収集したすべての固体を合わせて、表題化合物(15.0g、74%)を得る。ES/MS m/z368.0(M+H)。
【0058】
調製物13
【化21】
スキーム1、ステップE:エチル5-(クロマン-8-イルアミノ)-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(232mg、0.45mmol)、5N NaOH(1mL、5mmol)、MeOH(4mL)、および1,4-ジオキサン(4mL)の混合物を50℃で撹拌する。16時間後、反応物を室温まで冷却し、蒸発させる。残留物に、DCM(25mL)、水(10mL)、および5N HCl(1mL)を添加する。5分後、層を分離する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、薄桃色の固体として表題化合物を得る(184mg、88%)。ES/MS m/z460(M+H)。
【0059】
調製物13a
【化22】
スキーム4、ステップC:MeOH(200mL)およびTHF(25mL)中のエチル5-(クロマン-8-イルアミノ)-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(21.8g、59mmol)に、水(120mL)中のLiOH(5.7g、240mmol)の溶液を添加する。混合物を窒素下で1時間加熱還流し、次いで室温まで冷却させる。5N HClを添加して、pHを約2に調整する。氷(125g)を混合物に添加し、フラスコを氷水浴に入れる。30分間撹拌した後、得られた固体を濾過し、氷冷水(75mL)で洗浄し、真空下、室温で乾燥させて、表題化合物を淡褐色の固体(18.2g、90%)として得る。ES/MS m/z340.0(M+H)。
【0060】
調製物14
【化23】
スキーム1、ステップE:エチル7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]-5-[(6-メチル-2-ピリジル)アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(538mg、1.1mmol)、5N NaOH(0.8mL、4mmol)、MeOH(5mL)、および1,4-ジオキサン(5mL)の混合物を80℃で撹拌する。4時間後、混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌する。次いで、混合物を水(50mL)で希釈し、5N HClでpHを約3に調整する。得られた固体を濾過し、真空下、室温で乾燥させて、表題化合物をベージュ色の固体として得る(493mg、99+%)。ES/MS m/z419(M+H)。
【0061】
調製物15
【化24】
スキーム1、ステップF:DMF(4mL)中の5-(クロマン-8-イルアミノ)-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(188mg、0.4mmol)、(3R)-3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オン(75mg、0.6mmol)およびDIEA(0.15mL、0.9mmol)にBOP(300mg、0.7mmol)添加する。室温で30分間撹拌した後、反応混合物をEtOAcと水とに分配する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc中0~40%MeOH)により精製して、表題化合物を白色固体として得る(191mg、84%)。ES/MS m/z556(M+H)。
【0062】
以下の化合物を、基本的に調製物15の方法に類似する様式で調製する。
【表2】
【0063】
調製物17
TYK2-JH2トレーサー結合アッセイ用のトレーサーの調製
(2E)-2-[(2E、4E)-5-[3-[6-[4-[4-[[5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-6-(メチルカルバモイル)-1,2,4-トリアジン-3-イル]アミノ]ピラゾール-1-イル]-1-ピペリジル]-6-オキソ-ヘキシル]-3-メチル-5-スルホナト-1-(3-スルホナトプロピル)インドール-1-イウム-2-イル]ペンタ-2,4-ジエニリデン]-3,3-ジメチル-1-(3-スルホナトプロピル)インドリン-5-スルホネート;トリエチルアンモニウム
2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリン(5.95g、29.1mmol)をNMP(20mL)中のエチル5-クロロ-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキシレート(6.8g、29.0mmol)に添加し、混合物を室温で撹拌する。90分後、ジエチルエーテル(100mL)を添加し、混合物を15分間撹拌する。得られた固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。固体を、DCMと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配する。有機層をさらに飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、エチル5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキシレートを薄黄色の固体として得る。(10.12g、82%)。ES/MS m/z402.2(M+H)。
【0064】
5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキシレート(10.12g、23.7mmol)を、THFに溶解した2M MeNH2(75mL、150mmol)中で、室温で4時間撹拌する。ジエチルエーテル(100mL)を添加し、混合物を15分間撹拌する。得られた固体を収集し、ジエチルエーテル(50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミドを淡黄色の固体として得る(8.03g、78%)。ES/MS m/z387.0(M+H)。
【0065】
m-クロロペルオキシ安息香酸(703mg、3.14mmol)をDMF(12.5mL)中の5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミド(500mg、1.26mmol)の懸濁液に0℃で添加し、室温まで温める。30分後、tert-ブチル4-(4-アミノピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(520mg、1.89mmol)を添加し、混合物を室温で撹拌する。24時間後、混合物をDCMと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配する。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させる。得られた固体をジエチルエーテルで数回粉砕し、真空下で乾燥させて、tert-ブチル4-[4-[[5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-)イル)アニリノ]-6-(メチルカルバモイル)-1,2,4-トリアジン-3-イル]アミノ]ピラゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレートを86%純粋な黄色の固体として得る(720mg、81%)。ES/MS m/z605.2(M+H)。
【0066】
ジオキサン中の4N HCl(2.5mL、10mmol)をMeOH(5mL)中のtert-ブチル4-[4-[[5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-6-(メチルカルバモイル)-1,2,4-トリアジン-3-イル]アミノ]ピラゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(720mg、1.0mmol)の懸濁液に添加し、室温で撹拌する。72時間後、混合物を蒸発させる。得られた物質をDCM(100mL)と水(20mL)とに分配する。水層のpHを、1N NaOHを添加して>8に調整し、3:1のクロロホルム/イソプロパノールで抽出する。有機層を混合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。得られた固体をジエチルエーテルで粉砕し、次いで真空下で乾燥させて、5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-[[1-(4-ピペリジル)ピラゾール-4-イル]アミノ]-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミドを86%純粋な黄色の固体として得る(585mg、97%)。ES/MS m/z505.0(M+H)。
【0067】
DMSO(1mL)中の(2E)-2-[(2E、4E)-5-[3-[6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-6-オキソ-ヘキシル]-3-メチル-5-スルホナト-1-(3-スルホナトプロピル)インドール-1-イウム-2-イル]ペンタ-2,4-ジエニリデン]-3,3-ジメチル-1-(3-スルホナトプロピル)インドリン-5-スルホンナートトリエチルアンモニウム(10mg、0.008mmol)の溶液を、DMSO(1mL)中の5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-[[1-(4-ピペリジル)ピラゾール-4-イル]アミノ]-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミド(4.5mg、0.008mmol)およびTEA(0.002mL、0.014mmol)の溶液に添加する。反応バイアルを光から保護するためにアルミホイルで包み、室温で一晩撹拌した。得られた残留物を、水中の0~20%のアセトニトリルで溶出する分取HPLC(Kinetex EVO C18 30mm×100mm、5μm)によって精製して、表題化合物を明るい青色の固体(8.5mg、65%)として得る。ES/MS m/z673.4(M+H)。
【0068】
実施例1
【化25】
スキーム1、ステップG:DCE(3mL)中の5-(クロマン-8-イルアミノ)-7-[(4-メトキシフェニル)メチル--アミノ]-N-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(191mg、0.3mmol)に、TFA(1.5mL、20mmol)を添加する。混合物を50℃まで4時間加熱し、室温まで冷却して、一晩撹拌する。混合物を蒸発させ、DCMと飽和重炭酸ナトリウム溶液とに分配する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。得られた残留物を高pHLC/MSにより精製して、表題化合物を白色の固体として得る(31mg、21%)。ES/MS m/z436(M+H)。
【0069】
実施例1の調製のための代替手順
5-(クロマン-8-イルアミノ)-7-(メチルアミノ)-N-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
スキーム4、ステップD:DMF(200mL)中の(3R)-3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オン4-メチルベンゼンスルホン酸塩(15g、51mmol)にDIEA(29mL、166mmol)を添加する。5分間撹拌した後、5-(クロマン-8-イルアミノ)-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(14g、41mmol)を添加し、続いてBOP(24g、53mmol)を添加する。30分間撹拌した後、水(200mL)、続いて飽和重炭酸ナトリウム溶液(400mL)を添加し、フラスコを氷水浴中で冷却する。90分間撹拌した後、得られた固体を濾過し、追加の水で洗浄し、真空下で乾燥させる。固体をクロロホルム:イソプロパノールの3:1混合物に溶解し、2N NaOHおよび飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、次いで蒸発させる。この物質をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM中の0~8%MeOH)によって精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(6.7g)として得る。ES/MS m/z436.0(M+H)。
【0070】
実施例2
【化26】
スキーム1、ステップG:TFA(1mL、13.2mmol)を、DCE(2mL)中の7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]-N-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]-5-[(6-メチル-2-ピリジル)アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(93mg、0.18mmol)に添加し、この混合物を50℃まで加熱する。1時間後、混合物を室温まで冷却し、蒸発させる。残留物に、DCMおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加する。混合物を10分間撹拌し、得られた固体を収集する。固体を水およびジエチルエーテルで洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、表題化合物をベージュ色の固体(72mg)として得る。ES/MS m/z395(M+H)。
【0071】
TYK2-JH2トレーサー結合アッセイ
N末端His6タグを有するヒトJAK(細胞質チロシンキナーゼのJanusファミリー)ファミリーチロシンキナーゼ2(TYK2)(Genbank NP_003322)のシュードキナーゼドメイン(JH2)を、バキュロウイルス中で発現させ、HisPur Ni-NTAアフィニティーおよびSuperdex 200サイズ排除クロマトグラフィーによって精製する。Alexa Fluor 647色素(Thermo Fisher Scientific)と好適なTYK2 JH2バインダーのコンジュゲートである調製物17で調製した化合物を、本明細書では「トレーサー」と呼ぶ。実施例1および実施例2の化合物の3倍、10点段階希釈を100%DMSO、50nL/ウェルで調製し、音響液体処理を使用して、Proxiplate-384Fホワイトプレート(PerkinElmer 6008280)に移す。阻害率を決定するために使用した対照ウェルには、100%DMSO(50nL)と、トレーサー(最終濃度2.00nM)(最小、低FRET)または希釈TYK2-JH2酵素(最終濃度0.200nM)およびトレーサー(最終濃度2.00nM)(最大、高FRET)のいずれかのアッセイバッファーが含まれていた。
【0072】
アッセイバッファー(50mMのHEPES pH7.5、10mMの塩化マグネシウム、1mMのエチレングリコール-ビスβ-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、0.01%Brij-35およびMilli-Q)水中の5.0μLのHisタグ付きTYK2-JH2(0.402nM)およびLanthaScreen Eu-抗-HIS抗体(4.02nM、LifeTech、PV5597)を50nLの希釈化合物を含むProxiplate-384プレートおよび対照ウェルに添加する。アッセイバッファー中の5.0μLのトレーサー(最終濃度2.00nM)をプレートに添加し、室温で30分間平衡化させる。30分後、プレートをPerkinElmer Envisionで、励起(340nm)、トレーサー発光(665nm)、LanthaScreen Eu-抗-His抗体発光(615nm)の設定で計数する。LanthaScreen Eu-抗-His抗体発光(615nm)に対するトレーサー発光(665nm)の比率を決定する。各阻害剤濃度での阻害パーセント比を最大と最小の対照ウェルを使用して計算し、GeneData Screener(登録商標)の4パラメータ非線形ロジスティック方程式に適合させて、実施例1の化合物について<0.000254μM(n=2)、および実施例2の化合物について<0.000254μM(n=1)のIC50を得る。この結果は、実施例1および実施例2の化合物がインビトロでTYK2-JH2シュードキナーゼドメインに結合することを実証する。
【0073】
TF1細胞におけるpSTAT1を介したIFNαシグナル伝達の阻害
TF1細胞(ATCC、CL-2003)を、10%透析FBS、0.1mg/mLアンピシリン、および2ng/mL顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を補充したRPMI1640(GIBCO)で培養する。TF1細胞(ウェルあたり100K)を、無血清DMEM中、96ウェルのポリ-D-リジン被覆プレートに播種し、37℃で、5%CO2下で一晩インキュベートする。実施例1を、DMSOで段階希釈し、細胞に添加し、37℃で1時間インキュベートする。次いで、細胞を10ng/mLのIFNα2で、37℃で20分間刺激する。培地を除去した後、細胞を、Haltプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific#78441)を含むバッファー中、室温で30分間溶解する。p-Stat1(Tyr701)の量を、AlphaLISA SureFire Ultra p-Stat1(Tyr701)アッセイキット(Perkin Elmer#ALSU-PST1-A50K)を使用して、ベンダーの推奨プロトコルに従って615nmでの発光として定量化する。各阻害剤濃度のパーセント阻害を計算し、実施例1の化合物について0.007μM(±0.002μM、N=4)および実施例2の化合物について0.100μM(±0.014μM、n=4)のIC50を与えるGenedata Screener(登録商標)を使用して4パラメータ非線形ロジスティック方程式に適合させ、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表す。この結果は、実施例1および実施例2の化合物が、TF1細胞におけるpSTAT1を介したIFNαシグナル伝達の阻害剤であることを実証する。
【0074】
IL23 pSTAT3 AlphaLISAアッセイ
内因性IL23受容体を発現するIL2依存性Kit225細胞に、ホタルルシフェラーゼに連結されたLenti STAT3 Reporter(SABiosciences CLS-6028L)を安定的に形質導入させる。これらの細胞を使用して、AlphaLISAテクノロジー(TGR Biosciences ALSU-TST3-A50K)を使用するIL2の存在下のIL23による誘導に続くSTAT3リン酸化によって引き起こされる遺伝子発現を定量化することによって、TYK2活性を監視する。細胞を、10% FBS(Invitrogen 10082)、1XPen/Strep(Gibco 15140-122)、200ng/mL ピューロマイシン(Sigma P9620)、および新鮮な10ng/mL 組換えヒトIL2(R&D Systems 202-IL-50)を補充したRPMI1640(Gibco 22400)で培養する。
【0075】
アッセイ準備のために、細胞をDMEM(Sigma D5796)中のBiocoatブラックポリ-d-リジン被覆透明底384ウェルプレート(Becton Dickinson Bio-Coat 35-4640)内に300,000細胞/ウェルで分注し、37℃で一晩インキュベートさせる。DMSOに可溶化された化合物を、1:3で段階希釈し、10点濃度応答曲線を作成する(最終DMSO=0.1%)。細胞を、実施例1と共に37℃で1時間プレインキュベートし、次いでIL23(最終25ng/mL)で30分間刺激する。2000rpmで10分間遠心分離した後、細胞ペレットを、1:1溶解バッファー(TGR Biosciences)およびHalt Protease&Phosphatase阻害剤カクテル(Thermo Scientific 1861281)の混合物で30分間溶解する。AlphaLISA反応を、ベンダーが推奨するプロトコルに従って実施し、ルシフェラーゼレベルを、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して測定する。相対的IC50を、実施例1の化合物について0.007μM(±0.001μM、N=3)および実施例2の化合物について0.066μM(±0.014μM、n=3)のIC50を与える4パラメータ非線形ロジスティック方程式(GeneData Screener 13.0.5)を使用して計算し、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表す。この結果は、実施例1および実施例2の化合物が、細胞ベースのアッセイにおいてIL-23シグナル伝達の阻害剤であることを実証する。