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特許7148753太陽電池、光起電力モジュールおよび太陽電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】太陽電池、光起電力モジュールおよび太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/068 20120101AFI20220928BHJP
   H01L 31/0236 20060101ALI20220928BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/04 280
H01L31/04 260
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022108833
(22)【出願日】2022-07-06
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】202210377277.0
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519095533
【氏名又は名称】ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】張彼克
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050402(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113078232(CN,A)
【文献】中国実用新案第211182223(CN,U)
【文献】特開2014-204128(JP,A)
【文献】特許第6975368(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する表面及び裏面を有し、前記裏面が、テクスチャエリアと、前記テクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含み、前記テクスチャエリアにおける前記ベース内にドーピング表面フィールドを有し、前記ドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、前記ドーピング元素がN型またはP型である、ベースと、
前記ベースの裏面の平坦エリアに位置するトンネル誘電体層と、
前記トンネル誘電体層の前記ベースの裏面から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層のドーピング元素の種類が前記ドーピング表面フィールド内のドーピング元素の種類と同一であるドープ導電層と、
底面の一部が前記ドープ導電層内に位置し、かつ底面の一部が前記ドーピング表面フィールドに接触している裏面電極と、
を備えることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
同一の前記裏面電極において、前記ドーピング表面フィールドと前記裏面電極との接触面面積と、前記ドープ導電層と前記裏面電極との接触面面積との比は、1:2~2:1の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
同一の前記裏面電極において、前記裏面電極の配列方向に沿って、前記ドーピング表面フィールドと前記裏面電極との接触面の断面幅と、前記裏面電極の幅との比は、1:4~1:2の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記ドーピング表面フィールドと前記裏面電極との接触面の断面幅は、5μm~20μmの範囲である、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記裏面電極の配列方向において、前記テクスチャエリアにおけるベースの幅と前記平坦エリアにおけるベースの幅との比は、1:3~1:1の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記テクスチャエリアにおけるベースの幅は、10μm~30μmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記裏面電極の配列方向において、前記テクスチャエリアにおけるベースの幅は、前記裏面電極の幅よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記裏面は、前記裏面電極の延伸方向に沿って配列された複数の前記テクスチャエリアを含み、
隣り合う前記テクスチャエリア間のピッチは、10mm~20mmの範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
同一の前記裏面電極において、前記裏面は、前記裏面電極の配列方向に沿って配列された複数のテクスチャエリアを含み、
隣り合う前記テクスチャエリア間のピッチは、5μm~20μmの範囲である、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記裏面から表面に向かう方向において、前記ドーピング表面フィールドは、ドーピング濃度が第2ドーピングエリアよりも大きい第1ドーピングエリアと、第2ドーピングエリアとを含み、
前記裏面電極は、前記第1ドーピングエリアの表面に接触している、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1ドーピングエリアのドーピング濃度は、前記ドープ導電層のドーピング濃度以上である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1ドーピングエリアのドーピング濃度は、2E20cm-3~2E21cm-3 である
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記第1ドーピングエリアの深さは、前記ドーピング表面フィールドの高さの1.5%~4%である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記ドーピング表面フィールドは、少なくとも1つの突起構造を含み、
前記突起構造の頂部の前記ベースの裏面からの高さ差は、2μm~10μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記突起構造の数は、少なくとも2つであり、隣り合う前記突起構造の間のピッチは、2μm~4μmの範囲である、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記突起構造には、ピラミッド状構造が含まれる、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなる少なくとも1つのセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆うシーラントフィルムと、
前記シーラントフィルムの前記セルストリングから離反した面を覆うカバープレートと、を備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項18】
対向する表面及び裏面を有し、前記裏面がテクスチャエリアと前記テクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含む、ベースを提供することと、
前記テクスチャエリアにおけるベースに位置し、N型またはP型であるドーピング元素を有する、ドーピング表面フィールドが形成されることと、
前記ベースの裏面の平坦エリアに位置するトンネル誘電体層が形成されることと、
前記トンネル誘電体層の前記ベースの裏面から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層内のドーピング元素の種類が前記ドーピング表面フィールド内のドーピング元素の種類と同一である、ドープ導電層が形成されることと、
底面の一部が前記ドープ導電層内に位置し、かつ底面の一部が前記ドーピング表面フィールドに接触している裏面電極が形成されることと、
を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項19】
ドーピング表面フィールドを形成する工程は、
対向する表面及び裏面を有し、前記裏面がテクスチャエリアと前記テクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含む、初期ベースを提供することと、
前記テクスチャエリアの初期ベースの裏面にテクスチャ処理を行って、初期テクスチャ構造を形成することと、
前記初期ベースの裏面の平坦エリア及び初期テクスチャ構造の表面に、トンネル誘電体膜及び導電膜を形成することと、
前記初期テクスチャ構造の表面に位置するトンネル誘電体膜および導電膜を除去することと、
前記初期テクスチャ構造及び導電膜にドーピング処理を行って前記ドーピング表面フィールドを形成し、残りの前記トンネル誘電体膜を前記トンネル誘電体層とし、残りの前記導電膜を前記ドープ導電層とすることと、
を含むことを特徴とする請求項18に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
前記テクスチャ処理は、レーザープロセスであり、
前記レーザープロセスのパラメーターは、レーザー波長が355nm~460nm、レーザーパルス幅が20ps~80ps、レーザーパワーが30W~100Wであることを含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光起電力の分野に関し、特に太陽電池、光起電力モジュールおよび太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の性能(例えば、光電変換効率)に影響を与える原因としては、光学的損失と電気的損失があり、光学的損失には、電池前面での反射損失、コンタクトグリッド線のシャドウロス、長波長帯域の非吸収損失などが含まれ、電気的損失には、半導体表面および内部での光生成キャリアの再結合、半導体と金属グリッド線との接触抵抗、金属と半導体との接触抵抗などの損失が含まれる。
【0003】
太陽電池の電気的損失及び光学的損失を低減するためには、一般的に、太陽電池の裏面に対して研磨プロセスを行う必要がある。裏面研磨プロセスは、主に、裏面のボロンドープピラミッドテクスチャ構造をウェットケミカル法により研磨処理し、光の内部反射を増加させ、キャリアの表面再結合レートを低下させ、電池の光電変換効率を向上させるものである。裏面研磨プロセスにおいて、結晶シリコンセルの裏面研磨面の形態は、長波長帯域の光の後方反射と後に裏面に形成される膜層の均一性に有利であり、太陽電池の効率向上に重要な役割を果たしている。裏面研磨プロセスは、太陽電池の性能を最適化できるが、このタイプの太陽電池の性能に影響する要因はまだ多く、効率的なパッシベーションコンタクト太陽電池の開発を開発することは重要な意味がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、少なくとも太陽電池の接触抵抗を低減することができる太陽電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願のいくつかの実施例によれば、本願の一態様は太陽電池が提供され、対向する表面及び裏面を有し、裏面がテクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含み、テクスチャエリアにおけるベース内にドーピング表面フィールドを有し、ドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、ドーピング元素がN型またはP型であるベースと、ベースの裏面の平坦エリアに位置するトンネル誘電体層と、トンネル誘電体層のベースの裏面から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層内のドーピング元素の種類がドーピング表面フィールド内のドーピング元素の種類と同一であるドープ導電層と、底面の一部がドープ導電層内に位置し、かつ底面の一部がドーピング表面フィールドに接触する裏面電極と、を備える。
【0006】
また、同一の裏面電極において、ドーピング表面フィールドと裏面電極との接触面面積と、ドープ導電層と裏面電極との接触面面積との比は、1:2~2:1の範囲である。
【0007】
また、同一の裏面電極において、裏面電極の配列方向に沿って、ドーピング表面フィールドと裏面電極との接触面の断面幅と、裏面電極の幅との比は、1:4~1:2の範囲である。
【0008】
また、ドーピング表面フィールドと裏面電極との接触面の断面幅は、5μm~20μmの範囲である。
【0009】
また、裏面電極の配列方向において、テクスチャエリアにおけるベースの幅と平坦エリアにおけるベースの幅との比は、1:3~1:1の範囲である。
【0010】
また、テクスチャエリアにおけるベースの幅は、10μm~30μmである。
【0011】
また、裏面電極の配列方向において、テクスチャエリアにおけるベースの幅は、裏面電極の幅よりも小さい。
【0012】
また、裏面は、裏面電極の延伸方向に沿って配列された複数のテクスチャエリアを含み、隣り合うテクスチャエリア間のピッチは、10mm~20mmの範囲である。
【0013】
また、同一の裏面電極において、裏面は、裏面電極の配列方向に沿って配列された複数のテクスチャエリアを含み、隣り合うテクスチャエリア間のピッチは、5μm~20μmの範囲である。
【0014】
また、裏面から表面に向かう方向において、ドーピング表面フィールドは、ドーピング濃度が第2ドーピングエリアよりも大きい第1ドーピングエリアと、第2ドーピングエリアとを含み、裏面電極は、第1ドーピングエリアの表面に接触している。
【0015】
また、第1ドーピングエリアのドーピング濃度は、2E20cm-3~2E21cm-3を含む。
【0016】
また、第1ドーピングエリアの深さは、ドーピング表面フィールドの高さの1.5%~4%である。
【0017】
また、ドーピング表面フィールドは、少なくとも1つの突起構造を含み、突起構造の頂部のベースの裏面からの高さ差は、2μm~10μmである。
【0018】
また、突起構造の数は、少なくとも2つであり、隣り合う突起構造の間のピッチは、2μm~4μmの範囲である。
【0019】
また、突起構造には、ピラミッド状構造が含まれる。
【0020】
本願のいくつかの実施例によれば、本願の別の態様は光起電力モジュールが提供され、上記のいずれかにおける太陽電池を複数接続してなる少なくとも1つのセルストリングと、セルストリングの表面を覆うシーラントフィルムと、シーラントフィルムのセルストリングから離反した面を覆うカバープレートと、を備える。
【0021】
本願のいくつかの実施例によれば、本願のさらに別の態様は、太陽電池の製造方法が提供され、対向する表面及び裏面を有し、裏面がテクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含む、ベースを提供することと、テクスチャエリアにおけるベースに位置し、N型またはP型であるドーピング元素を有する、ドーピング表面フィールドが形成されることと、ベースの裏面の平坦エリアに位置するトンネル誘電体層が形成されることと、トンネル誘電体層のベースの裏面から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層内のドーピング元素の種類がドーピング表面フィールド内のドーピング元素の種類と同一である、ドープ導電層が形成されることと、底面の一部がドープ導電層内に位置し、かつ底面の一部がドーピング表面フィールドに接触している裏面電極が形成されることと、を含む。
【0022】
また、ドーピング表面フィールドを形成する工程は、対向する表面及び裏面を有し、裏面がテクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含む、初期ベースを提供することと、テクスチャエリアの初期ベースの裏面にテクスチャ処理を行って、初期テクスチャ構造を形成することと、初期ベースの裏面の平坦エリア及び初期テクスチャ構造の表面に、トンネル誘電体膜及び導電膜を形成することと、初期テクスチャ構造の表面に位置するトンネル誘電体膜および導電膜を除去することと、初期テクスチャ構造及び導電膜にドーピング処理を行ってドーピング表面フィールドを形成し、残りのトンネル誘電体膜をトンネル誘電体層とし、残りの導電膜をドープ導電層とすることと、を含む。
【0023】
また、テクスチャ処理は、レーザープロセスであり、レーザープロセスのパラメーターは、レーザー波長が355nm~460nm、レーザーパルス幅が20ps~80ps、レーザーパワーが30W~100Wであることを含む。
【発明の効果】
【0024】
本願の実施例によって提供される技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0025】
ベースの裏面は、テクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含み、テクスチャエリアにおけるベースの表面にドーピング表面フィールドを有し、かつドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、裏面電極の底面の一部がドーピング表面フィールドに接触し、すなわち裏面電極がドーピング表面フィールドに直接接触するので、ドープ導電層と裏面電極が良好なオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の裏面の接触抵抗率を低減し、電池効率を全体的に向上させるのに有利である。ドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、ドーピング元素をキャリアとすることができ、キャリアの移動度を高め、太陽電池の裏面の接触抵抗率をさらに低下させることができる。平坦エリアにおけるベースは非テクスチャ構造であり、ベースの平坦エリアに通常のトンネル誘電体層とドープ導電層が形成され、裏面電極とドープ導電層とが直接接触しているので、パッシベーション効果が良いとともに、裏面のキャリア再結合レートの低減と光の利用効率の向上を図り、太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。本願の実施例や従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例で用いるべき図面を簡単に紹介するが、自明なように、以下の説明における図面は、本願の一部の実施例のみであり、当業者であれば、創造的な労働を伴わずに、これらの図面から他の図面を得ることも可能である。
図1図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の構成を示す図である。
図2図2は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
図3図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるベースの提供を示す概略構成図である。
図4図4は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるエミッタの形成を示す概略構成図である。
図5図5は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面の構成を示す図である。
図6図6は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面の他の構成を示す図である。
図7図7は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面の別の構成を示す図である。
図8図8は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面のさらに別の構成を示す図である。
図9図9は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における初期テクスチャ構造の形成を示す概略構成図である。
図10図10は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における導電膜の形成を示す概略構成図である。
図11図11は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における導電膜のエッチングを示す概略構成図である。
図12図12は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるドーピング表面フィールドの形成を示す概略構成図である。
図13図13は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるパッシベーション層の形成を示す概略構成図である。
図14図14は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における裏面電極の形成を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
背景技術から分かるように、従来の太陽電池は接触抵抗が大きいという問題がある。
【0028】
分析したところ、太陽電池の接触抵抗が大きい原因の一つとして、従来のプロセスは、太陽電池にテクスチャ処理を行った後に、一般的に太陽電池の裏面のテクスチャ構造を研磨処理し、電池による長波長帯域の光に対する後方反射及び後続の電池の背面フィルムの均一性を向上させ、裏面のキャリア再結合の低減及び光の利用率の向上に有利であることを見出した。しかしながら、裏面研磨後には、後に形成されるドープ導電層と裏面金属電極とのマッチングが難しく、良好なオーミックコンタクトを形成することができず、裏面電極とドープ導電層との間の接触抵抗率が大きく、太陽電池の効率向上に影響してしまう。
【0029】
本願実施例は、一種の太陽電池を提供する。太陽電池は、ベースの裏面がテクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含み、テクスチャエリアにおけるベースの表面にドーピング表面フィールドを有し、かつドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、裏面電極の底面の一部がドーピング表面フィールドに接触し、すなわち裏面電極がドーピング表面フィールドに直接接触するので、ドーピング表面フィールドと裏面電極が良好なオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の裏面の接触抵抗率を低減し、電池効率を全体的に向上させるのに有利である。ドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、ドーピング元素をキャリアとすることができ、キャリアの移動度を高め、太陽電池の裏面の接触抵抗率をさらに低下させることができる。平坦エリアにおけるベースは非テクスチャ構造であり、ベースの平坦エリアに通常のトンネル誘電体層とドープ導電層が形成され、裏面電極とドープ導電層とが直接接触しているので、パッシベーション効果が良いとともに、裏面のキャリア再結合レートの低減と光の利用効率の向上を図り、太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【0030】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、以下の各実施例に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0031】
図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、本願実施例の一態様は、太陽電池が提供され、対向する表面101及び裏面102を有し、裏面102がテクスチャエリアAとテクスチャエリアAに隣接する平坦エリアB(または近似平坦エリア)とを含み、テクスチャエリアAにおけるベース100内にドーピング表面フィールド120を有し、且つドーピング表面フィールド120内にドーピング元素を有し、ドーピング元素がN型またはP型であるベース100と、ベース100の裏面102の平坦エリアBに位置するトンネル誘電体層131と、トンネル誘電体層131のベース100の裏面102から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層132内のドーピング元素の種類がドーピング表面フィールド120内のドーピング元素の種類と同一であるドープ導電層132と、底面の一部がドープ導電層132内に位置し、かつ底面の一部がドーピング表面フィールド120に接触する裏面電極141と、を備える。
【0033】
いくつかの実施例において、太陽電池は、トンネル酸化層パッシベーシヨンコンタクトセル(Tunnel Oxide Passivated Contact、TOPCon)であり、両面トンネル酸化層パッシベーシヨンコンタクトセルまたは片面トンネル酸化層パッシベーシヨンコンタクトセルを含んでいてもよい。例示的に、太陽電池は、片面トンネル酸化層パッシベーションコンタクトセルであり、その裏面にトンネル酸化層パッシベーション層を有する。
【0034】
ベース100は、入射光子を吸収して光生成キャリアを生成する領域である。いくつかの実施例において、ベース100は、シリコンベース100であり、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの一種または複数種を含み得る。他のいくつかの実施例において、ベース100の材料は、炭化ケイ素、有機材料、または多価化合物であってもよい。多価化合物は、ペロブスカイト、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウム等を含むことができるが、これらに限定されない。例示的に、本願におけるベース100は、シリコン単結晶ベースである。
【0035】
いくつかの実施例において、ベース100の表面101は、入射光を吸収する受光面であり、ベース100の裏面102は、バックライト面である。ベース100内にドーピング元素を有し、ドーピング元素の種類はN型またはP型であり、N型元素はリン(P)元素、ビスマス(Bi)元素、アンチモン(Sb)元素、または砒素(As)元素などのV族元素であり、P型元素はホウ素(B)元素、アルミニウム(Al)元素、ガリウム(Ga)元素、またはインジウム(In)元素などのIII族元素であってもよい。例えば、ベース100がP型のベースである場合、その内部のドーピング元素の種類はP型である。また、例えば、ベース100がN型のベースである場合、その内部のドーピング元素の種類はN型である。
【0036】
いくつかの実施例において、ドーピング表面フィールド120内のドーピング元素の種類は、ベース100内のドーピング元素の種類と同じである。例えば、ベース100がP型のベースである場合、ドーピング表面フィールド120内のドーピング元素の種類は、P型である。また、例えば、ベース100がN型のベースである場合、ドーピング表面フィールド120内のドーピング元素の種類は、N型である。
【0037】
テクスチャエリアAは、ベース100の裏面102がテクスチャ構造を有する領域であり、平坦エリアBは、ベース100の裏面102が裏面研磨プロセスによって処理された領域であってもよい。いくつかの実施例において、裏面電極141の配列方向Xにおいて、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅と平坦エリアBにおけるベース100の幅との比は、1:3~1:1の範囲である。具体的には、1:2.8、1:2.3、1:19、1:1.3または1:1であってもよい。好ましくは、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅と平坦エリアBにおけるベース100の幅との比の範囲は、1:2である。このように、平坦エリアBの領域が広く、平坦エリアBのベースに位置するトンネル誘電体層131およびドープ導電層132の膜の完全性が良く、太陽電池のパッシベーション効果および抗PDI効果が良いことを確保するとともに、裏面のキャリア再結合レートの低減および光の利用率の向上を図り、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。さらに、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅は、10μm~30μmであ、具体的には、10.3μm、13μm、15μm、23μm、又は29μmであってもよい。
【0038】
いくつかの実施例において、裏面電極141の配列方向Xにおいて、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅は、裏面電極141の幅よりも小さい。テクスチャエリアAにおけるベース100の幅が大きすぎると、平坦エリアBの膜の完全性および均一性に影響を及ぼし、光の内部反射を低減する可能性があり、キャリアの表面再結合レートおよび太陽電池の光電変換効率の向上に不利である。同時に、トンネル誘電体層131およびドープ導電層132によって構築されたパッシベーションコンタクト構造の界面パッシベーション効果に影響し、Jo負荷電流が高すぎることやキャリアの表面再結合レートの低下を招く。
【0039】
いくつかの実施例において、テクスチャエリアAの延伸方向は、裏面電極の延伸方向と同じであり、かつ、テクスチャエリアAの延伸長さは、裏面電極141の延伸長さに対応しており、このように、テクスチャエリアAに位置するドーピング表面フィールド120は、電池の横方向伝送を増やし、電池の横方向伝送損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。他の幾つかの実施例において、裏面102は、裏面電極141の延伸方向に沿って配列された複数のテクスチャエリアAを含み、隣り合うテクスチャエリアA間のピッチは、10mm~20mmの範囲であり、キャリア再結合レートが低減され、キャリアを収集する面積がより大きくなり、形成されたパッシベーションコンタクト構造のパッシベーション効果がより高く、開放電圧Vocおよび曲線因子FFの向上に有利である。隣り合うテクスチャエリアA間のピッチは、具体的には、10.3mm、13mm、15.1mm、17mmまたは19mmとすることができる。同一の裏面電極141において、裏面102は、裏面電極141の配列方向Xに沿って配列された複数のテクスチャエリアAを含み、隣り合うテクスチャエリアA間のピッチは、5μm~20μmの範囲である。隣り合うテクスチャエリアA間のピッチは、具体的には、5.3μm、7μm、13μm、15μm、または18.3μmとすることができる。
【0040】
いくつかの実施例において、同一の裏面電極141において、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面面積と、ドープ導電層132と裏面電極141との接触面面積との比は、1:2~2:1の範囲であり、具体的には、1.3:2、1.6:2、1:1.2、2:1.8、または2:1.3であってもよい。ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面面積と、ドープ導電層132と裏面電極141との接触面面積との比は、1:1.2~1.2:1の範囲であることが好ましく、具体的には、1:1.15、1:1.1、1:1、または1.13:1であってもよい。ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面面積と、ドープ導電層132と裏面電極141との接触面面積との比の値範囲は、裏面電極141がドーピング表面フィールド120と接触することを確保でき、あるいは裏面電極141がベース100と直接接触するとみなすことができ、両者は良好なオーミックコンタクトを形成し、裏面電極141の接触抵抗を低減させる。同時に、平坦エリアBのベースに位置するトンネル誘電体層131およびドープ導電層132の膜の完全性がよく、裏面電極141とドープ導電層132が直接接触してパッシベーション効果がよいとともに、裏面のキャリア再結合レートの低下および光の利用率の向上を図り、太陽電池の光電変換効率を向上する。
【0041】
いくつかの実施例において、同一の裏面電極141において、裏面電極141の配列方向Xに沿って、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面の断面幅と、裏面電極141の幅との比は、1:4~1:2の範囲である。具体的には、1:3.8、1:3.3、1:2.9、1:2.3、または1:2であってもよい。好ましくは、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面の断面幅と、裏面電極141の幅との比の値は、1:2.5~1:3.2の範囲であり、具体的には、1:2.6、1:2.9、1:3、または1:3.2であってもよい。裏面電極141の幅が40μmであることを基準として、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面の断面幅の範囲は、5μm~20μmとすることができる。具体的には、6μm、8μm、12μm、15μmまたは19μmであってもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、裏面102から表面101に向かう方向において、ドーピング表面フィールド120は、ドーピング濃度が第2ドーピングエリア122よりも大きい第1ドーピングエリア121と、第2ドーピングエリア122とを含む。裏面電極141は第1ドーピングエリア121の表面に接触し、第1ドーピングエリア121のドーピング濃度は比較的大きいため、キャリアの輸送効率を高めるのに有利であり、開放電圧および電流の輸送効率を高めるのに有利であり、これにより太陽電池の光電変換効率を向上するのに有利である。第1ドーピングエリア121のドーピング濃度は、2E20cm-3~2E21cm-3を含む。
【0043】
いくつかの実施例において、第1ドーピングエリア121のドーピング濃度は、ドープ導電層132のドーピング濃度以上である。このように、トンネル誘電体層131とドーピング表面フィールド120との間、ドーピング表面フィールド120とドープ導電層132との間の再結合損失を低減でき、キャリアの輸送効率を高めるのに有利であり、開放電圧および電流の輸送効率を高めるのに有利であり、これにより、太陽電池の光電変換効率を向上するのに有利である。また、ドーピング表面フィールド120のドーピング濃度は、ドープ導電層132のドーピング濃度よりも高いので、裏面電極141の接触抵抗をより一層低減して光電変換効率を向上することができる。
【0044】
いくつかの実施例において、第1ドーピングエリア121の深さは、ドーピング表面フィールド120の高さの1.5%~4%であり、好ましくは、第1ドーピングエリア121の深さは90nm~200nmであり、具体的には、90nm、130nm、160nm、178nm、または193nmであってもよい。第1ドーピングエリア121のドーピング深さは、第1ドーピングエリア121の高ドーピングによって引き起こされるトンネル効果を避けることができ、すなわち、第1ドーピングエリア121のドーピング元素がベース100のエミッタ110との接触面またはエミッタ110内に拡散しないので、太陽電池の開放電圧を向上させることができ、太陽電池の光電変換効率の向上に有利である。
【0045】
いくつかの実施例において、ドーピング表面フィールド120は、少なくとも1つの突起構造を含み、突起構造の頂部のベース100の裏面102からの高さ差は、2μm~10μmであり、突起構造の光トラップ効果と、突起構造の頂部のベース100の裏面102からの高さ差とにより、光は突起構造の表面の斜面に入射し、さらに他の突起構造の斜面に反射され、複数回の吸収を形成する。入射光は複数回の反射を経て、入射光の太陽電池における進行方向を変え、光路を長くしながら長波長帯域の光子の吸収を増やす。
【0046】
他の幾つかの実施例において、突起構造の数は少なくとも2つであり、隣り合う突起構造の間のピッチは、2μm~4μmの範囲であり、隣り合う突起構造の間のピッチは、入射光が隣り合う突起構造間で多重反射することを確保し、入射光の光路を長くすることができ、これにより長波長帯域の光子の吸収に有利である。
【0047】
いくつかの実施例において、突起構造はピラミッド構造を含み、ピラミッド構造によって形成されるテクスチャの反射防止効果が良く、すなわち光の反射率を低減し、短絡電流Iscを上げて、電池の光電変換効率を向上させる。また、他のいくつかの実施例において、突起構造は、ピラミッドのような構造または斜面を有するその他の椎体構造を含む。
【0048】
いくつかの実施例において、トンネル誘電体層131の材料は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、真性アモルファスシリコン、および真性多結晶シリコンなどのトンネル機能を有する誘電体材料を含むことができるが、これらに限定されない。トンネル誘電体層131の厚さは、0.5nm~2.5nmであってもよく、任意選択で、トンネル誘電体層131の厚さは、0.、5nm~2nmであり、さらに、トンネル誘電体層131の厚さは、0.5nm~1.2nmである。ドープ導電層132の材料は、多結晶半導体、アモルファス半導体または微結晶半導体の少なくとも一種であってもよく、好ましくは、ドープ導電層132の材料は、ポリシリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンの少なくとも一種を含む。ドープ導電層132の厚さは、40nm~150nmの範囲であり、任意選択で、ドープ導電層132の厚さは、60nm~90nmの範囲である。ドープ導電層132の厚さの範囲は、ドープ導電層132の光学的損失が小さく、トンネル誘電体層131の界面パッシベーション効果が良いことを確保でき、これにより電池効率が向上する。例示的に、本願におけるドープ導電層132の材料は、ポリシリコンであり、ドープ導電層132の厚さは、80nmである。
【0049】
いくつかの実施例において、パッシベーション層133は、ドープ導電層132の表面に位置し、パッシベーション層133は、バックパッシベーション層とみなされてもよい。パッシベーション層133は、単層構造または積層構造であってもよく、パッシベーション層133の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化炭化シリコン、酸化チタン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどの材料のうちの一種または複数種であってもよい。
【0050】
裏面電極141は、太陽電池のグリッド線であり、太陽電池の電流を収集してまとめるためのものである。裏面電極141は、ファイヤースルー型スラリーが焼結されてなるものであってもよい。裏面電極141の材料は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、モリブデン、または銅の一種または複数種であってもよい。場合によっては、裏面電極141は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、細いグリッド線またはフィンガーグリッド線を指す。
【0051】
いくつかの実施例において、太陽電池は、エミッタ110のベース100から離れた面に位置し、フロントパッシベーション層とみなされる第1パッシベーション層113と、間隔をおいて設けられ、第1パッシベーション層113を貫通しエミッタ110に接触する複数の電極142と、をさらに備える。
【0052】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層113は、単層構造または積層構造であってもよく、第1パッシベーション層113の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化炭化シリコン、酸化チタン、酸化ハフニウム、または酸化アルミニウムなどの材料のうちの一種または複数種であってもよい。
【0053】
電極142は、ファイヤスルー型スラリーが焼結されてなるものであってもよい。電極142とエミッタ110との接触は、局所接触または完全接触であってもよい。電極142の材料は、アルミニウム、銀、ニッケル、金、モリブデンまたは銅の一種または複数種であってもよい。幾つかの実施例において、電極142は、上部電極または表面電極である。場合によっては、電極142は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、細いグリッド線またはフィンガーグリッド線を指す。
【0054】
本願実施例によって提供される太陽電池は、ベースの裏面がテクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含み、テクスチャエリアにおけるベースの表面にドーピング表面フィールドを有し、かつドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、裏面電極の底面の一部がドーピング表面フィールドに接触し、すなわち裏面電極がドーピング表面フィールドに直接接触するので、ドープ導電層と裏面電極が良好なオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の裏面の接触抵抗率を低減し、電池効率を全体的に向上させるのに有利である。ドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、ドーピング元素をキャリアとすることができ、キャリアの移動度を高め、太陽電池の裏面の接触抵抗率をさらに低減させることができる。平坦エリアにおけるベースは非テクスチャ構造であり、ベースの平坦エリアに通常のトンネル誘電体層とドープ導電層が形成され、裏面電極とドープ導電層とが直接接触しているので、パッシベーション効果が良いとともに、裏面のキャリア再結合レートの低減と光の利用効率の向上を図り、太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【0055】
図2は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【0056】
これに応じて、図2を参照して、本願実施例の他の態様では、受光した光エネルギーを電気エネルギーに変換して外部負荷に伝送するための光起電力モジュールを提供する。光起電力モジュールは、上記(例えば、図1に記載)のいずれかの太陽電池10を複数接続してなる少なくとも1つのセルストリングと、セルストリングの表面を覆うシーラントフィルム21と、シーラントフィルム21のセルストリングから離反した面を覆うカバープレート22と、を備える。
【0057】
シーラントフィルム21は、EVAまたはPOEなどの有機シーラントフィルムであってもよく、シーラントフィルム21は、セルストリングの表面を覆ってセルストリングを封止して保護する。いくつかの実施例において、前記シーラントフィルム21は、前記セルストリングの表面の両側をそれぞれ覆う上層シーラントフィルム及び下層シーラントフィルムを含む。カバープレート22は、ガラスカバープレートまたはプラスチックカバープレートなど、セルストリングを保護するためのカバープレートであってもよく、カバープレート22は、シーラントフィルム21のセルストリングから離反した表面を覆っている。幾つかの実施例では、カバープレート22には、入射光の利用率を高めるための光トラップ構造が設けられている。光起電力モジュールは、高い電流収集能力と低いキャリア再結合率を有するため、高い光電変換効率を実現できる。幾つかの実施例において、前記カバープレート22は、セルストリングの両側に位置する上部カバープレートと下部カバープレートとを含む。
【0058】
これに応じて、本願実施例の他の態様では、上述の実施例(図1)に係る太陽電池を製造するための太陽電池の製造方法をさらに提供する。上記実施例の説明と同一または類似の内容や素子の詳細な説明は繰り返さず、上記説明と異なる説明だけを詳細に説明する。図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるベースの提供を示す概略構成図であり、図4は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるエミッタの形成を示す概略構成図であり、図5は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面の構成を示す図であり、図6は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面の他の構成を示す図であり、図7は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面の別の構成を示す図であり、図8は、本願の一実施例に係る太陽電池のベースの裏面のさらに別の構成を示す図であり、図9は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における初期テクスチャ構造の形成を示す概略構成図であり、図10は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における導電膜の形成を示す概略構成図であり、図11は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における導電膜のエッチングを示す概略構成図であり、図12は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるドーピング表面フィールドの形成を示す概略構成図であり、図13は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法におけるパッシベーション層の形成を示す概略構成図であり、図14は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法における裏面電極の形成を示す概略構成図である。
【0059】
図3を参照して、ベース100が提供され、ベース100は、対向する表面101及び裏面102を有し、ベースの表面101及び裏面102がテクスチャ構造を有する。いくつかの実施例において、溶液テクスチャ法によってテクスチャ構造を作製することができ、テクスチャ構造は、太陽電池セルの表面での光の屈折回数を増やすことができ、太陽電池セルによる光の吸収に寄与し、太陽電池セルの太陽エネルギー価値に対する最大利用率を達成する。具体的には、ベース100は単結晶シリコンであり、ベース100の表面をアルカリ溶液とアルコール溶液との混合溶液でテクスチャリングすることができ、ベース100は多結晶シリコンであり、ベース100の表面を酸溶液でテクスチャリングすることができる。初期ベースはベース100とみなすことができ、初期ベースは対向する表面及び裏面を有することが理解され得る。
【0060】
いくつかの実施例において、ベース100内にドーピング元素を有し、ドーピング元素の種類は、N型またはP型である。
【0061】
図4を参照して、ベース100の表面101にエミッタ110を形成するとともに、ベース100の裏面に研磨処理を行って、テクスチャエリアAと、テクスチャエリアAに隣接する平坦エリアBとを形成する。いくつかの実施例において、アルカリ溶液または酸性溶液で研磨処理を行うことができ、ベース100の裏面102が研磨面であることにより、光の内部反射を増加させ、キャリアの表面再結合レートを低下させ、電池の光電変換効率を向上させることができる。初期ベースの裏面は、テクスチャエリアと、テクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含む。
【0062】
いくつかの実施例において、裏面電極の配列方向Xにおいて、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅と平坦エリアBにおけるベース100の幅との比の値は、1:3~1:1の範囲である。具体的には、1:2.8、1:2.3、1:1.9、1:1.3、または1:1であってもよい。好ましくは、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅と平坦エリアBにおけるベース100の幅との比の値は、1:2の範囲である。さらに、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅は、10μm~30μmである。
【0063】
図5を参照して、テクスチャエリアAの延伸方向は、後に形成される裏面電極の延伸方向Yと同じであり、かつ、テクスチャエリアAの延伸長さは、裏面電極の延伸長さに対応しており、このように、後に形成される、テクスチャエリアAに位置するドーピング表面フィールドは、電池の横方向伝送を増やし、電池の横方向伝送損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。他の幾つかの実施例において、図6を参照して、裏面102は、裏面電極141の延伸方向に沿って配列された複数のテクスチャエリアAを含み、隣り合うテクスチャエリアA間のピッチは、10mm~20mmの範囲であり、キャリア再結合レートが低減され、キャリアを収集する面積がより大きくなり、形成されたパッシベーションコンタクト構造のパッシベーション効果がより高く、開放電圧Vocおよび曲線因子FFの向上に有利である。さらに他の幾つかの実施例において、後に裏面電極が形成される同一の領域において、裏面102は、裏面電極の配列方向Xに沿って配列された複数のテクスチャエリアAを含み、隣り合うテクスチャエリアA間のピッチは、5μm~20μmの範囲である。さらに別の実施例において、後に裏面電極が形成される同一の領域において、裏面102は、裏面電極の配列方向Xに沿って配列された複数のテクスチャエリアAを含み、複数のテクスチャエリアAが裏面電極の延伸方向Yに沿って配列されている。
【0064】
図9図12を参照して、テクスチャエリアAのベース100に位置し、N型またはP型であるドーピング元素を有するドーピング表面フィールド120が形成され、ベース100の裏面102の平坦エリアBに位置するトンネル誘電体層131が形成され、トンネル誘電体層131のベースの裏面102から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層132内のドーピング元素の種類がドーピング表面フィールド130内のドーピング元素の種類と同一である、ドープ導電層132が形成される。
【0065】
いくつかの実施例では、裏面102から表面101に向かう方向において、ドーピング表面フィールド120は、ドーピング濃度が第2ドーピングエリア122よりも大きい第1ドーピングエリア121と、第2ドーピングエリア122とを含む。第1ドーピングエリア121のドーピング濃度は、ドープ導電層132のドーピング濃度以上である。具体的には、第1ドーピングエリア121のドーピング濃度は、2E20cm-3~2E21cm-3を含む。
【0066】
いくつかの実施例において、第1ドーピングエリア121の深さは、ドーピング表面フィールド120の高さの1.5%~4%であり、好ましくは、第1ドーピングエリア121の深さは、90nm~200nmであり、具体的には、90nm、130nm、160nm、178nm、または193nmであってもよい。
【0067】
具体的には、図9を参照して、テクスチャエリアAの初期ベースの裏面に対してテクスチャ処理を行い、初期テクスチャ構造103を形成する。いくつかの実施例において、テクスチャ処理は、レーザープロセスであり、レーザープロセスのパラメーターは、レーザー波長が355nm~460nm、レーザーパルス幅が20ps~80ps、レーザーパワーが30W~100W、レーザースポットサイズが15μm~50μm、レーザー周波数が200kHz~2MHz、レーザーライン速度が20m/s~40m/sであることを含む。好ましくは、レーザープロセスのパラメーターは、レーザー波長が355nm~400nm、レーザーパルス幅が20ps~50ps、レーザーパワーが50W~80W、レーザースポットサイズが必要なレーザー領域のサイズの10%~30%で設定可能であり、レーザー周波数が300kHz~800kHz、レーザーライン速度が20m/s~30m/sであることを含む。
【0068】
いくつかの実施例において、初期テクスチャ構造103は、少なくとも1つの突起構造を含み、突起構造の頂部のベース100の裏面102からの高さ差は、2μm~10μmであり、突起構造は、ピラミッド構造を含む。他の幾つかの実施例において、突起構造の数は、少なくとも2つであり、隣り合う突起構造の間のピッチは、2μm~4μmであり、突起構造は、ピラミッドのような構造または斜面を有するその他の突起構造を含む。
【0069】
図10を参照して、初期ベースの裏面の平坦エリアBおよび初期テクスチャ構造103の表面に、トンネル誘電体膜104および導電膜105が形成されている。
【0070】
図11を参照して、初期テクスチャ構造130の表面に位置するトンネル誘電体膜104および導電膜105は、導電膜105のベース100から離れた上面が初期テクスチャ構造103の最上端よりも僅かに低くなるように除去される。好ましくは、導電膜105のベース100から離れた上面と初期テクスチャ構造130の最上端との高さ差が1nm~4nmとなるようにして、初期テクスチャ構造103の頂部を露出させ、後のドーピング処理後に形成された第1ドーピングエリアの領域が小さいことを回避する。
【0071】
図12を参照して、初期テクスチャ構造103(図11を参照)および導電膜105(図11を参照)をドーピング処理してドーピング表面フィールド120を形成し、残りのトンネル誘電体膜104(図11を参照)をトンネル誘電体層131とし、残りの導電膜105(図11を参照)をドープ導電層132とする。幾つかの実施例において、最初に、初期テクスチャ構造103(図11を参照)及び導電膜105(図11を参照)にホウ珪酸ガラスBSG層を形成し、その後、レーザープロセスによりドーピング処理を行い、最後に残りのBSG層を除去する。他の幾つかの実施例において、ドーピング処理は、イオン注入プロセスにより行われる。
【0072】
図13を参照して、パッシベーシヨン層133と第1パッシベーシヨン層113が形成され、パッシベーシヨン層133は、ドープ導電層132の表面に位置し、バックパッシベーシヨン層とみなすことができ、第1パッシベーシヨン層113は、エミッタ110のベース100から離れた面に位置し、フロントパッシベーシヨン層とみなされる。
【0073】
図14を参照して、裏面電極141が形成され、裏面電極141の底面の一部がドープ導電層131内に位置し、且つ裏面電極141の底面の一部がドーピング表面フィールド120に接触する。裏面電極は、ドーピング表面フィールド120の第1ドーピングエリア121の表面に接触している。幾つかの実施例において、裏面電極141の配列方向Xにおいて、テクスチャエリアAにおけるベース100の幅は、裏面電極141の幅よりも小さい。
【0074】
幾つかの実施例において、同一の裏面電極141において、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面面積と、ドープ導電層132と裏面電極141との接触面面積との比の値は、1:2~2:1の範囲であり、具体的には、1.3:2、1.6:2、1:1.2、2:1.8、または2:1.3の範囲であってもよい。好ましくは、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面面積と、ドープ導電層132と裏面電極141との接触面面積との比の値は、1:1.2~1.2:1の範囲であり、具体的には、1:1.15、1:1.1、1:1、または1.13:1であってもよい。同一の裏面電極141において、裏面電極141の配列方向Xに沿って、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面の断面幅と、裏面電極141の幅との比の値は、1:4~1:2の範囲であり、具体的には、1:3.8、1:3.3、1:2.9、1:2.3、または1:2であってもよい。好ましくは、ドーピング表面フィールド120と裏面電極141との接触面の断面幅と、裏面電極141の幅との比の値は、1:2.5~1:3.2の範囲であり、具体的には、1:2.6、1:2.9、1:3、または1:3.2であってもよい。
【0075】
図14を引き続き参照すると、電極142が形成され、電極142は、第1パッシベーション層113を貫通し、エミッタ110に接触している。
【0076】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
【要約】
【課題】本願は、光起電力の分野に関し、太陽電池、光起電力モジュールおよび太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池は、対向する表面及び裏面を有し、裏面がテクスチャエリアとテクスチャエリアに隣接する平坦エリアとを含み、テクスチャエリアにおけるベース内にドーピング表面フィールドを有し、ドーピング表面フィールド内にドーピング元素を有し、ドーピング元素がN型またはP型であるベースと、ベースの裏面の平坦エリアに位置するトンネル誘電体層と、トンネル誘電体層のベースの裏面から離れた面に位置し、ドーピング元素を有し、ドープ導電層内のドーピング元素の種類がドーピング表面フィールド内のドーピング元素の種類と同一であるドープ導電層と、底面の一部がドープ導電層内に位置し、かつ底面の一部がドーピング表面フィールドに接触する裏面電極と、を備え、少なくとも太陽電池の接触抵抗を低減することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14