(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】温水システム及び外部サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220929BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20220929BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
F24H1/00
(21)【出願番号】P 2018181147
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真輔
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-269259(JP,A)
【文献】特開2002-149865(JP,A)
【文献】特開2005-250630(JP,A)
【文献】特開2003-042405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部サーバと、前記外部サーバにネットワークを介して接続された給湯装置とを備えた温水システムにおいて、
前記給湯装置は、前記給湯装置の燃焼時間と燃焼回数を含む給湯運転情報と、故障修理に関するメンテナンス情報を前記外部サーバに送信可能に構成された制御手段を備え、
前記外部サーバは、前記制御手段から送信された給湯運転情報とメンテナンス情報に基づいて前記給湯装置に関する有償保証の
年間料金を算出することを特徴とする温水システム。
【請求項2】
前記外部サーバは、前記給湯装置の無償保証期間中に送信された給湯運転情報とメンテナンス情報を収集し、この収集した情報に基づいて前記無償保証期間終了後の前記
有償保証の年間料金を算出することを特徴とする請求項1に記載の温水システム。
【請求項3】
前記外部サーバは、前記制御手段に算出した前記
有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件を送信し、前記制御手段は、前記給湯装置の操作端末に備えられた表示部に前記
有償保証条件を表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の温水システム。
【請求項4】
前記給湯装置の使用者の携帯端末から前記外部サーバを介して前記給湯装置を遠隔監視又は遠隔操作が可能な場合には、前記外部サーバは前記携帯端末に算出した前記
有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件を送信することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の温水システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の前記温水システムに適用される外部サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置を遠隔監視するように構成された温水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信用のネットワークを介して給湯装置の異常の有無や運転状況を監視する遠隔監視システムが、給湯装置の保守業務に利用されている。給湯装置に異常が発生した場合には、遠隔監視システムが異常発生を検知して、その異常が発生した給湯装置の所在地域を担当する保守拠点から保守担当者を派遣して対応に当たっている。また、例えば特許文献1のような空調装置の交換や増設等の提案情報を生成する装置等、遠隔監視システムに送信される運転状況の情報を設備改善等に利用することが知られている。
【0003】
給湯装置は運転状況や設置環境等によって異常発生の頻度が異なり、給湯装置の使用者は異常発生時に給湯装置の修理をするか入れ替えるか判断することが多い。例えば特許文献2のように、部品の性能を検出してガス機器の余命期間を査定することにより、その判断材料を得ることができる。
【0004】
一般的に給湯装置には、新規導入から1年間の給湯装置メーカーによる無償保証があり、この無償保証期間内の通常使用における不具合等には無償で対応している。この無償保証期間終了後は、有償保証の契約が結ばれた場合には、保証条件に定められた料金で不具合等に対応している。特に業務用の給湯装置は、業務に支障が出ないように遠隔監視と有償保証の契約がなされる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3857127号公報
【文献】特開2002-149865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現状、給湯装置の機種及び構成によって有償保証の料金が一律に設定され、給湯装置の運転状況等が反映されるようになっていない。そのため、給湯装置の使用者はその料金の妥当性の判断材料が少なく、特に給湯装置を新規導入した使用者は有償保証の必要性を判断するための材料もないので、有償保証の契約をするか否かの判断が困難である。また、この判断のために装置の改善や入れ替えのための特許文献1,2の技術を適用することは困難である。そして、運転状況等を有償保証の料金に反映させようとすると、例えば保守担当者が運転状況等を集計して有償保証の料金を設定する必要があり、負担が大きく容易ではない。
【0007】
本発明の目的は、有償保証の契約のための保守担当者の負担を軽減することができる温水システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、外部サーバと、前記外部サーバにネットワークを介して接続された給湯装置とを備えた温水システムにおいて、前記給湯装置は、前記給湯装置の燃焼時間と燃焼回数を含む給湯運転情報と、故障修理に関するメンテナンス情報を前記外部サーバに送信可能に構成された制御手段を備え、前記外部サーバは、前記制御手段から送信された給湯運転情報とメンテナンス情報に基づいて前記給湯装置に関する有償保証の年間料金を算出することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、外部サーバに送信された給湯運転情報とメンテナンス情報に基づいて、外部サーバは給湯装置の有償保証の年間料金を算出する。従って、給湯装置の保守担当者は有償保証料金の算出の負担が軽減され、容易に給湯装置の使用者に適切な有償保証の年間料金を提供できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明の温水システムにおいて、前記外部サーバは、前記給湯装置の無償保証期間中に送信された給湯運転情報とメンテナンス情報を収集し、この収集した情報に基づいて前記無償保証期間終了後の前記有償保証の年間料金を算出することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、外部サーバは、給湯装置の無償保証期間中の給湯運転情報とメンテナンス情報に基づいて無償保証期間終了後の有償保証の年間料金を算出する。従って、給湯装置の保守担当者は有償保証料金の算出の負担が軽減され、容易に新規導入した給湯装置の使用者に適切な有償保証の年間料金を提供して有償保証についての判断材料を提供することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の温水システムにおいて、前記外部サーバは、前記制御手段に算出した前記有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件を送信し、前記制御手段は、前記給湯装置の操作端末に備えられた表示部に前記有償保証条件を表示させることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、外部サーバが算出した有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件を給湯装置に送信するので、給湯装置に応じた適切な有償保証条件を給湯装置の使用者に保守担当者を介さずに早く提供することができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1~3の何れか1項の発明の温水システムにおいて、前記給湯装置の使用者の携帯端末から前記外部サーバを介して前記給湯装置を遠隔監視又は遠隔操作が可能な場合には、前記外部サーバは前記携帯端末に算出した前記有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件を送信することを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、外部サーバが算出した有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件を、給湯装置の遠隔監視が可能な使用者の携帯端末に送信するので、給湯装置に応じた適切な有償保証条件を給湯装置の使用者に保守担当者を介さずに早く提供することができる。
【0016】
請求項5の発明の外部サーバは、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の前記温水システムに適用されることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、保証条件算出の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の温水システムによれば、有償保証の契約のための保守担当者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例に係る温水システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る給湯器の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る浄化装置の構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る有償保証の料金算出のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例に係る標準保証料金を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図1に示すように、温水システム1は、外部サーバ2と、外部サーバ2にインターネット回線等のネットワーク3を介して接続された給湯装置4を備え、公衆浴場等に設置されている。外部サーバ2は、図示を省略するがCPUとメモリと記憶装置等を備えたコンピュータであり、ネットワーク3を介して給湯装置4の運転状況等を監視する遠隔監視システムにおいて運転情報等を収集、保存、分析する。この給湯装置4以外にも遠隔監視される複数の給湯装置がネットワーク3を介して外部サーバ2に接続されている。給湯装置4の使用者が所有するスマートフォン等の携帯端末SPは、携帯電話基地局BSを介してネットワーク3に接続可能であり、この携帯端末SPには外部サーバ2を介して給湯装置4について遠隔監視又は遠隔操作が可能な給湯装置プログラムが導入されている。
【0022】
給湯装置4は、並列に接続された複数(例えば3台)の給湯器4a,4b,4cと、これら複数の給湯器4a~4cをローテーション運転させ、給湯使用状況に応じて連携運転させるためのシステムコントローラ5(制御手段)により構成されている。システムコントローラ5はネットワーク3を介して外部サーバ2と通信を行うと共に、運転状況等の確認や各種設定等を行うためにシステムコントローラ5に通信接続された操作端末5aを備え、操作端末5aには文章や図形を表示可能な表示部5bが設けられている。
【0023】
上水源に接続された給水配管6から複数の給湯器4a~4cに給水通路11が夫々延び、複数の給湯器4a~4cから夫々延びる給湯通路12が浴場のカラン等に給湯するための給湯配管7に接続されている。給湯配管7には複数のカラン7aやシャワー7bが配設されている。例えば複数のカラン7aから給湯が開始されて1台の給湯器では燃焼量が不足する場合には、システムコントローラ5が複数の給湯器4a~4cを連携運転させて給湯に必要な燃焼量となるように給湯装置4を制御する。
【0024】
また、浴場に設置された浴槽8に注湯するために、給湯配管7から補給水ユニット7cを備えた注湯通路7dが分岐されている。浴槽8には圧力検知式の水位センサ8aが配設され、浴槽8が所定の水位となるように補給水ユニット7cが注湯通路7dを開閉する。
【0025】
次に給湯装置4を構成する複数の給湯器4a~4cについて説明するが、複数の給湯器4a~4cは夫々同じ構成なので、給湯器4aについて説明して、他の給湯器4b,4cの説明を省略する。
図2に示すように、給湯器4aは、燃料ガスの燃焼熱を利用して湯水を加熱するガス給湯器であり、燃料ガスと空気を混合して燃焼させる複数の燃焼管を有する燃焼量可変のバーナ13、バーナ13の燃焼による燃焼ガスとの熱交換により上水を加熱する熱交換器14、中和器15、燃焼量等を制御する制御部16等を有する。
【0026】
熱交換器14は、燃焼ガスの顕熱を回収して上水を加熱する1次熱交換器14aと燃焼ガスの潜熱を回収して上水を加熱する2次熱交換器14bを有する。上水を供給する給水通路11が2次熱交換器14bに接続され、給湯通路12が1次熱交換器14aに接続され、1次熱交換器14aと2次熱交換器14bが中間通路14cにより接続されて熱交換器14が構成されている。
【0027】
燃焼ガスは、熱交換器14で熱交換を終えると、給湯器4aの外部に排気される。燃焼ガスに含まれる水蒸気の一部は、2次熱交換器14bにおいて凝縮して酸性のドレン水になる。ドレン水は、ドレンパン14dに集められて中和器15に流入し、中和器15で中和されて外部へ排出される。
【0028】
給水通路11には、熱交換器14に上水を供給すると共に、熱交換器14をバイパスするバイパス通路17にも上水を供給するための分配比率を調整可能な分配弁18が配設されている。また、給水通路11には、上水の温度を検知する給水温度センサ11aが配設されている。
【0029】
給湯通路12は、熱交換器14で加熱された湯水にバイパス通路17の上水を混合して温度を調整した湯水を給湯配管7に供給する。給湯通路12には、その温度調整された湯水の温度を検知する給湯温度センサ12aと流量を検知する流量センサ12bが配設されている。
【0030】
制御部16は給湯器4aの給湯運転を制御する。例えば、システムコントローラ5で設定された給湯目標温度等に応じて、給水温度センサ11a等センサ類の検知信号に基づいてバーナ13の燃焼量や分配弁18の分配比率を調整して、給湯目標温度の湯水を供給する。給湯器4aに故障等の異常が発生した場合には、制御部16はその異常発生情報をシステムコントローラ5に送信する。
【0031】
制御部16から異常発生情報を受信したシステムコントローラ5は、その異常発生情報を外部サーバ2に送信する。外部サーバ2は、異常発生情報を送信した給湯装置4の所在地を担当する保守拠点に、ネットワーク3を介して異常発生情報を送信する。そして保守担当者は、受信した異常発生情報に基づいて故障修理等の対応に当たる。
【0032】
また、制御部16は、給湯運転におけるバーナ13の燃焼時間、燃焼回数、燃焼量等を含む給湯運転情報、及び保守担当者が故障修理等の対応をしたときに制御部16に入力した情報(メンテナンス情報)をシステムコントローラ5に送信する。システムコントローラ5は給湯器4a,4b,4cから夫々受信した給湯運転情報とメンテナンス情報を外部サーバ2に送信する。外部サーバ2はシステムコントローラ5から受信した給湯運転情報とメンテナンス情報を保存する。尚、メンテナンス情報は、保守担当者が外部サーバ2に入力してもよい。
【0033】
次に、浴槽8の湯水を循環させる循環システム9について説明する。
図1に示すように、循環システム9は、浴槽8と浄化装置21と薬剤ユニット22と風呂熱源機23と、浴槽8と浄化装置21を接続する風呂戻り通路24a及び風呂往き通路24bと、浄化装置21と風呂熱源機23を接続する熱源機往き通路25a及び熱源機戻り通路25bにより構成されている。
【0034】
浄化装置21は、
図3に示すように、風呂戻り通路24aを熱源機往き通路25aに接続する通路部21aに、フィルタ21bと、浴槽8の湯水を循環させるための循環ポンプ21cと、浴槽8の湯水に含まれる不純物を除去するための濾過槽21dを備え、薬剤ユニット22から延びる薬剤通路22aが接続されている。また、熱源機戻り通路25bを風呂往き通路24bに接続する通路部21eと、循環運転を制御するための循環制御部21f等を備えている。
【0035】
薬剤ユニット22は、浴槽8の湯水に含まれるレジオネラ菌や大腸菌等を殺菌するための薬剤(塩素等)を収容した薬剤容器22bと、循環制御部21fの指令に基づいて薬剤を供給する薬剤弁22c等を備えている。循環運転中には、浴槽8の湯水中の塩素濃度が条例等で定められた基準を満たすように、薬剤通路22aから通路部21aに薬剤が供給される。図示を省略するが、薬剤ユニット22には、薬剤供給量又は薬剤残量を測定する測定装置が配設され、測定値は循環制御部21fに送信される。
【0036】
循環制御部21fは補給水ユニット7cに通信可能に接続され、補給水ユニット7cを介して水位センサ8aが検知した浴槽8の水位を取得する。そして循環制御部21fは、例えば浴槽8の水位が所定値を超えているときには常時又は所定の時間間隔で断続的に、循環ポンプ21cを駆動して浴槽8の湯水を循環させる循環運転によって、浄化装置21で浴槽8の湯水を浄化してきれいな状態を維持する。
【0037】
風呂熱源機23は、例えば
図2に示す給湯器4aと同等の構成の燃焼式熱源機であり、給湯器4aの給水通路11に相当するものが熱源機往き通路25a、給湯通路12に相当するものが熱源機戻り通路25b、給水温度センサ11aに相当するものが浴槽温度センサ8bである。風呂熱源機23は、制御部23aとバーナ23bと、燃焼ガスの顕熱及び潜熱を回収する熱交換器23cと中和器23d等を備え、風呂熱源機23の制御部23aは、循環制御部21fに通信可能に接続されている。
【0038】
循環運転中に浴槽温度センサ8bによって浴槽8の湯水の温度が所定温度よりも下がったことを検知すると、風呂熱源機23のバーナ23bに点火、燃焼させ熱交換器23cで循環する浴槽8の湯水を加熱する。そして、浴槽温度センサ8bによって浴槽8の湯水の温度が所定温度以上になったことを検知すると、バーナ23bの燃焼を停止する。このように浴槽8の湯水が循環しているときに、バーナ23bの燃焼の開始と停止を繰り返して浴槽8の湯水の温度を維持する。循環システム9に故障等の異常が発生した場合には、循環制御部21fはその異常発生情報をシステムコントローラ5に送信し、給湯装置4の異常発生の場合と同様に保守担当者による故障修理等の対応を受ける。
【0039】
また、循環制御部21fは、循環運転の累計時間(循環時間)と循環運転の回数(循環回数)、及び風呂熱源機23のバーナ23bの燃焼時間と燃焼回数、薬剤ユニット22の薬剤供給量等を含む循環運転情報と、保守担当者が故障修理等の対応をしたときに入力した循環メンテナンス情報をシステムコントローラ5に送信する。システムコントローラ5は受信した循環運転情報と循環メンテナンス情報を外部サーバ2に送信する。外部サーバ2はシステムコントローラ5から受信した循環運転情報と循環メンテナンス情報を保存する。尚、循環メンテナンス情報は、保守担当者が外部サーバ2に入力してもよい。
【0040】
次に、遠隔監視、無償保証、無償保証期間終了後の有償保証について説明する。
遠隔監視は、給湯装置4等を常時監視して異常発生を保守拠点に伝えるものであり、別途保守契約等が無ければ、部品代等を含む保守担当者の対応費用がその都度発生する。無償保証は、給湯装置4等の導入後1年間は、中和器15等の消耗部品に関する対応費用を除き、保守担当者の対応費用が基本的に発生しない。有償保証は、その保証契約時に所定の料金を支払っておくことによって、中和器15等の消耗部品に関する対応費用を除き、無償保証期間終了後の保守担当者の対応費用が基本的に発生しない。この有償保証契約は1年毎に更新されるが、複数年契約することもできる。
【0041】
次に、有償保証の保証条件の算出について、給湯装置4の無償又は有償の保証期間終了後の次の1年間の有償保証の料金を算出する場合を、
図4のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
S1において、外部サーバ2は、給湯運転情報を収集、保存してS2に進む。そしてS2において、無償保証期間終了の1か月前又は有償保証期間終了の1か月前か否か判定する。判定がYesの場合はS3に進み、判定がNoの場合はS1に戻る。
【0042】
次にS3において、外部サーバ2は、次の1年間の有償保証の料金を保存した給湯運転情報に基づいて算出してS4に進む。例えば、無償保証期間中の給湯装置4の過去11か月間の給湯運転情報に基づいて、給湯装置メーカーが想定している1年間の標準的な燃焼時間と燃焼回数に対して設定された標準保証料金から、給湯装置4の燃焼時間や燃焼回数等に応じて増減させた料金を無償保証期間終了後の次の1年間の有償保証の料金として算出する。有償保証期間終了後の次の1年間の有償保証の料金の場合も同様である。
【0043】
給湯装置4の有償保証の料金Pは、例えば給湯装置メーカーが給湯装置4の構成(給湯器3台の構成)で想定している1年間の標準燃焼時間Tsと標準燃焼回数Csに対して、給湯装置メーカーが予め設定した標準保証料金P3と、保証期間の経過率αと、保存した給湯運転情報に含まれるバーナ13の燃焼時間Taと燃焼回数Caにより、下記式(1)に基づいて算出する。
P=P3×(Ta/Ts+Ca/Cs)×1/2×1/α ・・・(1)
標準保証料金は、給湯装置を構成する給湯器の台数に応じて設定されている(
図5参照)。経過率αは月単位で表され、例えば保証期間が11か月経過していればα=11/12であり、算出する時期によって変化する。尚、経過率αを日単位で表してもよい。
【0044】
給湯装置4のメンテナンス情報があれば、例えばメンテナンス回数Mと給湯装置メーカーが設定した標準出張作業費Wsによって(Ws×M)で表すメンテナンスによる補正項を(1)式に加算し、メンテナンス回数に応じて(1)式の料金Pを補正する。
【0045】
次にS4において、外部サーバ2は、給湯装置4の使用者の携帯端末SPから外部サーバ2を介して給湯装置4の遠隔監視又は遠隔操作が可能か否か判定する。例えば、外部サーバ2に携帯端末SPから遠隔監視又は遠隔操作した履歴があれば、携帯端末SPに遠隔監視又は遠隔操作が可能な給湯装置プログラムが導入されていることが分かる。判定がYesの場合はS5に進み、S3で算出した有償保証の料金とその根拠となった給湯運転情報等を含む有償保証条件を給湯装置4の使用者の携帯端末SPに送信してS6に進む。給湯装置4の使用者は、携帯端末SPの給湯装置プログラムを介して有償保証条件を確認することができる。判定がNoの場合はS6に進む。
【0046】
次にS6において、S3で算出した有償保証の料金及びその根拠となった給湯運転情報等を含む有償保証条件を給湯装置4のシステムコントローラ5に送信してS7に進む。システムコントローラ5は、受信した有償保証条件を操作端末5aの表示部5bに表示して給湯装置4の使用者に知らせ、有償保証を希望するか否か選択することを使用者に要請する。尚、有償保証の選択は、給湯装置プログラムが導入された携帯端末SPからも行えるようにしてもよい。
【0047】
次にS7において、給湯装置4の使用者が有償保証を希望しているか否か判定する。操作端末5aの操作によって有償保証を希望する選択がなされたことをシステムコントローラ5が外部サーバ2に送信して判定がYesの場合に、S8に進んで外部サーバ2から給湯装置4の保守担当者又は担当保守拠点に有償保証を希望していることを送信してリターンする。操作端末5aの操作によって有償保証を希望しない選択がなされたことをシステムコントローラ5が外部サーバ2に送信して又は、保証期間終了まで選択操作がなされなかったことによって判定がNoの場合には、S9に進んで外部サーバ2から給湯装置4の保守担当者又は担当保守拠点に有償保証を希望していないことを送信してリターンする。保守担当者は、有償保証の希望に応じて給湯装置4の使用者と契約交渉を行う。尚、有償保証を希望していることを保守担当者が外部サーバ2にアクセスして取得するようにしてもよい。
【0048】
一般的に、燃焼時間が長い程バーナ13の消耗や熱交換器14におけるスケール固着による劣化等が進行し、燃焼回数が多い程バーナ13の着火装置等の消耗が進行し、異常が発生する虞が大きくなる。これを反映させて、(1)式では標準的な燃焼時間と燃焼回数を超えた分だけ標準保証料金から増額し、反対に燃焼時間が標準的な燃焼時間よりも短い程、燃焼回数が標準的な燃焼回数よりも少ない程、標準保証料金から減額している。尚、給湯装置4の過去の全期間の給湯運転情報に基づいて有償保証の料金を算出するようにしてもよく、例えば契約期間が長い程割安となるように有償保証の契約期間に応じて料金を増減させるようにしてもよい。
【0049】
給湯装置4と同様に、循環システム9についてもバーナ23bの燃焼時間等に基づいて有償保証の料金を算出することができ、給湯装置4の有償保証の料金に合算して浴場のシステム全体の有償保証の料金を算出することもできる。また、バーナ13、23b以外の他の部品の使用時間等に基づいて有償保証の料金を算出してもよく、給湯運転時間、循環運転時間に基づいて有償保証の料金を算出してもよい。
【0050】
以上のように、給湯装置4の使用者は、保守担当者を介さずに早く有償保証条件を入手することができ、その内容等について検討することができる。一方、保守担当者は、有償保証条件を算出する負担が軽減されると共に有償保証の契約を勧め易くなり、契約の成立促進が期待される。尚、保守担当者が外部サーバ2から給湯装置4の有償保証条件を取得して、給湯装置4の使用者に伝えてもよい。
【0051】
本発明の作用、効果について説明する。
外部サーバ2に送信された給湯運転情報とメンテナンス情報に基づいて、外部サーバ2は給湯装置4の有償保証の年間料金を算出する。従って、給湯装置4の保守担当者は有償保証料金等の算出の負担が軽減され、容易に給湯装置4の使用者に適切な有償保証の年間料金を提供することができる。
【0052】
また、外部サーバ2は、給湯装置4の無償保証期間中の給湯運転情報とメンテナンス情報に基づいて給湯装置4の無償保証期間終了後の有償保証の年間料金を算出する。従って、給湯装置4の保守担当者は有償保証料金の算出の負担が軽減され、給湯装置4の使用者に給湯装置4に応じた適切な有償保証の年間料金を提供して、有償保証についての判断材料を提供することができる。
【0053】
外部サーバ2が算出した有償保証の年間料金とその根拠を含む有償保証条件は、給湯装置4の操作端末5a、又は外部サーバ2を介して遠隔監視等が可能な給湯装置4の使用者の携帯端末SPから知らせることができるので、給湯装置4に応じた適切な有償保証条件を給湯装置の使用者に保守担当者を介さずに早く提供することができる。それ故、給湯装置4の使用者は、保守担当者等が有償保証の説明、契約のために訪問するよりも前に有償保証について検討できる。
【0054】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0055】
1 :温水システム
2 :外部サーバ
3 :ネットワーク
4 :給湯装置
4a~4c :給湯器
5 :システムコントローラ(制御手段)
5a :操作端末
5b :表示部
8 :浴槽
9 :循環システム
13,23b :バーナ
14,23c :熱交換器
15,23d :中和器
16,23a :制御部
21 :浄化装置
21f :循環制御部
22 :薬剤ユニット
23 :風呂熱源機
BS :携帯電話基地局
SP :携帯端末