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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】穀物乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20220929BHJP
   F26B 25/12 20060101ALI20220929BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20220929BHJP
   B02B 1/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F26B9/06 D
F26B9/06 F
F26B25/12 A
B02B7/00 J
B02B1/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018227121
(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公開番号】P2020091051
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】生田 長三郎
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-238949(JP,A)
【文献】実開平06-062842(JP,U)
【文献】特開2015-112304(JP,A)
【文献】特開2012-024884(JP,A)
【文献】特開平02-057885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/06
F26B 25/12
B02B 7/00
B02B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥装置であって、
乾燥対象の穀物を収容するための複数の箱と、
前記複数の箱のうちの一つの箱を選択的に保持して搬送する搬送部と、
前記複数の箱をそれぞれ格納可能に区画された複数の格納室であって、前記複数の箱を出し入れするための複数の格納室開口を有する複数の格納室を備える乾燥機本体と
を備え、
前記箱の各々は、前記複数の格納室のうちの一つに格納されたときに外部に露出する露出面および前記露出面の後方にサンプルを収容するための収容室が備えられ
前記露出面は、人の指が入る程度の大きさおよび形状を有する箱開口を備え
前記箱開口は、前記搬送部による前記箱の保持、または、前記箱に対する前記搬送部の位置決めに使用され、
前記搬送部は、前記一つの箱を選択的に保持するチャック部を有するチャック装置を備え、
前記チャック装置は、前記箱開口を形成する前記露出面の内側縁部に前記チャック部が係合することによって、前記搬送部による前記箱の搬送の際に前記箱を安定的に保持するように構成される
穀物乾燥装置。
【請求項2】
請求項に記載の穀物乾燥装置であって、
前記チャック部は、二つのチャック部を備え、
前記チャック装置は、前記二つのチャック部が、互いから離れる方向に移動して、前記内側縁部を外向きに互いに反対方向に押圧することによって前記箱を保持するように構成される
穀物乾燥装置。
【請求項3】
請求項に記載の穀物乾燥装置であって、
前記二つのチャック部の各々には、前記二つのチャック部が互いから離れる前記方向に延在する押さえ板が取り付けられ、
前記チャック装置は、前記押さえ板の各々が前記露出面に当接した状態で前記二つのチャック部が前記内側縁部を外向きに互いに反対方向に押圧することによって前記箱を保持するように構成される
穀物乾燥装置。
【請求項4】
請求項または請求項に記載の穀物乾燥装置であって、
前記箱開口は略矩形形状を有する
穀物乾燥装置。
【請求項5】
請求項に記載の穀物乾燥装置であって、
前記略矩形形状は、短辺と長辺とを有し、
前記二つのチャック部が互いから離れる前記方向は、前記短辺に平行な方向である
穀物乾燥装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の穀物乾燥装置であって、
前記箱は、前記穀物を収容するための収容室を備え、
前記収容室は、前記箱開口と前記収容室とが連通しないように隔壁によって前記箱開口から離隔されている
穀物乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥調製施設などの穀物処理施設では、搬入された穀物の一部がサンプル穀物として抽出され、自主検定装置に供給される。自主検定装置では、穀物の計量、脱ぷ、選別などが行われ、整粒および屑粒の計量データから歩留まりが計算される。サンプル穀物は、このような自主検定装置に供給される前に、サンプル穀物乾燥装置において、水分測定され、その水分測定結果に基づいて乾燥される。こうして乾燥された穀物が自主検定装置に供給される。
【0003】
かかるサンプル穀物乾燥装置として、例えば、下記の特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、サンプル穀物を収容するための複数の箱と、これらの箱を格納する複数の格納空間と、これらの箱のうちの一つを選択的に保持するロボットと、を備えている。このロボットによって、格納空間に対して箱が出し入れされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-41653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の装置では、格納空間に箱が格納された状態でロボットが故障した場合に、格納空間に格納された箱を取り出すことが困難であった。このため、手動で箱を容易に取り出すことができる穀物乾燥装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、穀物乾燥装置が提供される。この穀物乾燥装置は、乾燥対象の穀物を収容するための複数の箱と、複数の箱のうちの一つの箱を選択的に保持して搬送する搬送部と、複数の箱をそれぞれ格納可能に区画された複数の格納室であって、複数の箱を出し入れするための複数の格納室開口を有する複数の格納室を備える乾燥機本体と、を備えている。箱の各々は、複数の格納部のうちの一つに格納されたときに外部に露出する露出面を備え、露出面は、人の指が入る程度の大きさおよび形状を有する箱開口を備えている。
【0008】
かかる穀物乾燥装置によれば、格納室に箱が格納された状態で搬送部が故障したとしても、箱開口に指を突っ込んで箱を手動で引っ張り出すことによって、格納室から箱を容易に取り出すことができる。
【0009】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、箱開口は、搬送部による箱の保持、または、箱に対する搬送部の位置決めに使用される。かかる形態によれば、箱開口を、箱の保持または位置決めと、格納室からの箱の手動取り出しと、の両方に兼用することができる。換言すれば、箱の保持用または位置決め用の開口が箱に形成されている場合には、箱の手動取り出し用の開口を別途設ける必要がない。
【0010】
本発明の第3の形態によれば、第2の形態において、搬送部は、一つの箱を選択的に保持するチャック部を有するチャック装置を備えている。チャック装置は、箱開口を形成する露出面の内側縁部にチャック部が係合することによって箱を保持するように構成される。かかる形態によれば、箱を適正に保持することができる。また、箱開口をチャック用の開口として使用可能である。
【0011】
本発明の第4の形態によれば、第3の形態において、チャック部は、二つのチャック部を備えている。チャック装置は、二つのチャック部が、互いから離れる方向に移動して、内側縁部を外向きに互いに反対方向に押圧することによって箱を保持するように構成される。かかる形態によれば、箱を適正に保持することができる。
【0012】
本発明の第5の形態によれば、第4の形態において、二つのチャック部の各々には、二つのチャック部が互いから離れる方向に延在する押さえ板が取り付けられる。チャック装置は、押さえ板の各々が露出面に当接した状態で二つのチャック部が内側縁部を外向きに互いに反対方向に押圧することによって箱を保持するように構成される。かかる形態によれば、押さえ板と露出面とが面接触した状態で、箱を保持することができる。このため、チャック部に対する箱の配置角度を適正に保つことができる。また、箱開口へのチャック部の進入深さを一定にすることができる。しかも、押さえ板は、チャック部とは別部品として形成されるので、チャック部よりも剛性を小さくすることができる。その結果、装置を軽量化するとともに、チャック部を移動させるための動力を低減することができる。
【0013】
本発明の第6の形態によれば、第4または第5の形態において、箱開口は略矩形形状を有する。かかる形態によれば、チャック部と内側縁部との接触面は、互いに平行な二つの平面になる。したがって、チャック部の形状と、内側縁部の形状と、を容易に適合させ、チャック部が箱を安定的に保持することができる。
【0014】
本発明の第7の形態によれば、第6の形態において、略矩形形状は、短辺と長辺とを有している。二つのチャック部が互いから離れる方向は、短辺に平行な方向である。かかる形態によれば、内側縁部のうちの、矩形形状の長辺のところで、チャック部と内側縁部との接触面を確保することができる。したがって、接触面の延長距離を大きく確保できる。その結果、チャック部が箱をより安定的に保持することができる。
【0015】
本発明の第8の形態によれば、第1ないし第7のいずれかの形態において、箱は、穀物を収容するための収容室を備えている。収容室は、箱開口と収容室とが連通しないように隔壁によって箱開口から離隔されている。箱開口の形成位置や大きさに関係なく、穀物が収容室から箱開口を介して外部へ流出することがない。したがって、箱開口の位置や大きさについての設計自由度が向上する。
【0016】
本発明は、穀物乾燥装置のほか、穀物乾燥装置用の、乾燥対象の穀物を収容するための箱や、当該箱を保持するためのチャック装置などの形態でも実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による穀物乾燥装置の概略正面図である。
図2】格納室を示す概略斜視図である。
図3】サンプル箱を示す概略斜視図である。
図4】サンプル箱が格納室に格納された状態を示す概略平断面図である。
図5】サンプル箱が格納室に格納された状態を示す概略側断面図である。
図6】チャック装置を示す概略斜視図である。
図7】チャック装置を示す概略正面図である。
図8】サンプル箱を保持しているチャック装置を示す概略正面図である。
図9】第2実施形態としてのサンプル箱を示す概略斜視図である。
図10図9のサンプル箱を保持するチャック部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による穀物乾燥装置10の概略正面図である。穀物乾燥装置10は、乾燥調製施設などの穀物処理施設に設置される。穀物処理施設では、搬入された穀物のうちの一部がサンプル穀物(以下、単にサンプルと呼ぶ)として抽出される。サンプルは、穀物乾燥装置10で水分測定され、その測定結果に基づいて乾燥された後、シュート110およびホッパ120を介して自主検定装置100に供給される。穀物乾燥装置10および自主検定装置100の動作全般は、制御装置130によって制御される。
【0019】
図1に示すように、穀物乾燥装置10は、投入・排出部20と乾燥機本体30と搬送部50と、を備えている。投入・排出部20は、サンプルを収容するためのサンプル箱40を挿入可能な挿入口21,22,23,24を備えている。投入・排出部20の内部には、サンプルの水分測定を行うための水分測定装置(図示省略)が配置されている。
【0020】
乾燥機本体30は、図2から最もよく分かるように、サンプル箱40を格納するための複数の格納室31を備えている。複数の格納室31は、複数のサンプル箱40をそれぞれ格納可能に区画されている。格納室31の各々には、サンプル箱40を出し入れするための格納室開口32が形成されている。図1では、格納室31の各々にサンプル箱40が格納された状態を概略的に示している。
【0021】
搬送部50は、サンプル箱40を保持するためのチャック装置60を備えている。チャック装置60は、アクチュエータ(図示省略)によってガイドレール(図示省略)に沿って鉛直方向および水平方向に並進可能に構成される。また、チャック装置60は、水平方向に延びる回転軸線を中心として回転可能に構成される。これにより、チャック装置60は、保持しているサンプル箱40内に収容されたサンプルをサンプル箱40から排出することができる。
【0022】
かかる穀物乾燥装置10の基本動作について説明する。まず、搬送部50は、格納室31に収容されている空のサンプル箱40をチャック装置60によって保持し、当該サンプル箱40を挿入口21に挿入する。このとき、このサンプル箱40には、ダクト25を介してサンプルが供給される。次いで、搬送部50は、サンプルが収容されたサンプル箱40を挿入口21から取り出して、挿入口22に挿入する。そして、搬送部50は、サンプル箱40を投入・排出部20の内部において回転させて、サンプル箱40内に収容されたサンプルを排出する。排出されたサンプルは、投入・排出部20内に設置された水分測定装置に供給される。水分測定装置では、投入されたサンプルの一部について水分が測定される。
【0023】
次いで、搬送部50は、空になったサンプル箱40を挿入口22から取り出して、挿入口23に挿入する。このとき、サンプル箱40には、水分測定装置から排出されるサンプルが供給される。次いで、搬送部50は、サンプル箱40を挿入口23から取り出して、空いている格納室31に収容する。
【0024】
格納室31に収容されたサンプル箱40内のサンプルは、水分測定装置での測定結果に基づいて、適切な水分になるまで乾燥される。本実施形態では、穀物乾燥装置10では、ヒータ(図示省略)によって加熱された空気が背面から格納室31に供給されることによって、乾燥が行われる。複数の格納室31の各々には、加熱空気を格納室31内に導入するためのファン(図示省略)が設置されている。このため、格納室31ごとに乾燥を行うことができる。なお、穀物乾燥装置10は、上述の形態に限らず、任意の方式の乾燥装置であってもよい。
【0025】
次いで、搬送部50は、乾燥が完了したサンプルを収容しているサンプル箱40を格納室31から取り出して、挿入口24に挿入する。そして、搬送部50は、サンプル箱40を投入・排出部20の内部において回転させて、サンプル箱40内に収容されたサンプルを排出する。排出されたサンプルは、シュート110およびホッパ120を介して、自主検定装置100に供給される。
【0026】
図3は、サンプル箱40の概略斜視図である。図4はサンプル箱40の概略平断面図であり、図5はサンプル箱40の概略側断面図である。図4,5では、サンプル箱40は格納室31に格納されている状態を示している。図3~5に示すように、サンプル箱40は、格納室31に収容されたときに外部に露出する露出面41を備えている。サンプル箱40は、さらに、サンプルを収容するための収容室42を露出面41の後方に備えている。図3に示されるように、収容室42は、略矩形形状を有しており、その上方が全面的に開口している。
【0027】
図3~5に示されるように、露出面41は、露出面41と収容室42とが重なる方向から見て、露出面41の外縁が収容室42の外縁よりも外側に張り出しており、フランジ状に形成されている。また、図4および図5に示されるように、露出面41は、格納室開口32よりも大きい寸法を有している。このため、格納室31に収容室42が完全に格納されたとき、格納室開口32は露出面41によって完全に塞がれる。
【0028】
図3に示されるように、露出面41は、その略中央に箱開口44を備えている。箱開口44は、露出面41をその厚み方向に貫通している。本実施形態では、箱開口44は、短辺45と長辺46とを有する略矩形形状に形成されている。箱開口44は、その内側に直径2cmの円が含まれ得る大きさおよび形状を有している。換言すれば、箱開口44は、人間の指を挿入することができる大きさおよび形状を有している。この箱開口44は、後述するように、チャック装置60によってサンプル箱40を保持するために使用される。
【0029】
図4および図5に示されるように、収容室42は、箱開口44と収容室42とが連通しないように、隔壁43によって箱開口44から隔離されている。このため、収容室42に収容されたサンプルは、収容室42から箱開口44を介して外部へ流出されることがない。したがって、箱開口44の形成位置や大きさについての設計自由度が向上する。例えば、箱開口44が収容室42と連通していれば、箱開口44は、収容室42に収容されたサンプルが箱開口44から流出しないようにするために極力上方に設けられることが望ましいが、本実施形態によれば、そのような配慮は必要なくなる。
【0030】
図6は、チャック装置60の概略斜視図である。図7は、チャック装置60の概略正面図である。チャック装置60は、搬送部50のうちの水平方向および鉛直方向に並進可能な部材に、ベース51を介して取り付けられる。二つのチャック部61a,61bを備えている。チャック部61a,61bは、同一の形状および大きさを有しており、上下対称に配置されている。このチャック部61a,61bは、アクチュエータによって互いに離れる方向、および、互いに近づく方向に移動可能に構成されている。本実施形態では、この移動可能方向は、鉛直方向である。
【0031】
図7に示されるように、チャック部61a,61bは、それぞれ、第1の部分62a,62bと、第2の部分63a,63bと、第3の部分64a,64bと、を備えている。第1の部分62a,62bは、鉛直方向に延在している。第2の部分63a,63bは、第1の部分62a,62bの内側端から第1の部分62a,62bと垂直に、すなわち、水平方向に延在している。第3の部分64a,64bは、第2の部分63a,63bの先端(第1の部分62a,62bと反対側の端部)から鉛直方向に延在している。第3の部分64a,64bは、第3の部分64a,64bから、第1の部分62a,62bが延在する方向と同じ方向に延在している。これにより、チャック部61a,61bには、溝部65a,65bが形成されている。
【0032】
チャック装置60は、さらに、チャック部61a,61bよりも鉛直方向外側に押さえ板66a,66bを備えている。押さえ板66a,66bは、鉛直方向に延在している。本実施形態では、押さえ板66a,66bは、第1の部分62a,62bと鉛直方向同一平面を形成する。この押さえ板66a,66bは、チャック部61a,61bとは別の部品として形成され、チャック部61a,61bにボルトによって取り付けられている。
【0033】
かかるチャック装置60によるサンプル箱40の保持動作について説明する。まず、第2の部分63a,63bおよび第3の部分64a,64bが箱開口44内に挿入される。このとき、押さえ板66a,66bは、露出面41に面接触する。このため、チャック部61a,61bに対するサンプル箱40の配置角度を適正に保つことができる。また、箱開口44へのチャック部61a,61bの進入深さを一定にすることができる。押さえ板66a,66bは、チャック部61a,61bほど剛性が求められないので、上述のように、押さえ板66a,66bをチャック部61a,61bとは別体にすることで、チャック装置60を軽量化でき、また、チャック装置60の動力を低減することができる。
【0034】
次いで、チャック部61a,61bが互いに離れる方向に移動される。つまり、図6に示されるように、チャック部61aは、矢印A1の方向に(鉛直方向上方に向けて)移動し、チャック部61bは、矢印A2の方向に(鉛直方向下方に向けて)移動する。その結果、箱開口44を形成する露出面41の内側縁部47(図3参照)が溝部65a,65b内に収まった状態で、内側縁部47が第2の部分63a,63bに当接する。チャック部61a,61bが互いに離れる方向にさらに移動しようとすると、チャック部61a,61bは、内側縁部47を鉛直方向外向きに反対方向に押圧する。これによって、サンプル箱40は、図8に示されるようにチャック装置60に保持される。
【0035】
本実施形態では、箱開口44は略矩形形状を有しているので、第2の部分63a,63bと内側縁部47との接触面は、互いに平行な二つの平面(水平方向に延在する平面)になる。このため、第2の部分63a,63bの形状と内側縁部47の形状とを容易に適合させることができる。換言すれば、両者の形状を適合させるために精密な加工精度を必要としない。その結果、チャック装置60は、サンプル箱40を安定的に保持できる。
【0036】
しかも、本実施形態では、チャック部61a,61bの移動方向は、鉛直方向であり、これは、短辺45に平行な方向である。このため、第2の部分63a,63bは、内側縁部47のうちの長辺46のところで第2の部分63a,63bと内側縁部47との接触面を確保できる。その結果、当該接触面の延長距離を大きく確保できるので、チャック装置60は、サンプル箱40をより安定的に保持することができる。
【0037】
以上説明した穀物乾燥装置10によれば、格納室31にサンプル箱40が格納された状態で搬送部50(チャック装置60を含む)が故障した場合であっても、箱開口44に指を突っ込んでサンプル箱40を手動で引っ張り出すことによって、格納室31からサンプル箱40を容易に取り出すことができる。しかも、箱開口44は、チャック装置60によるサンプル箱40の保持のためにも使用される。このため、サンプル箱40の取り出しのために開口を別途設ける必要がない。
【0038】
図9は、第2実施形態としてのサンプル箱140を示す概略斜視図である。図10は、サンプル箱140を保持するチャック部161a,161bを示す概略斜視図である。図9に示されるように、サンプル箱140は、第1実施形態の露出面41に代えて、露出面141を備えている。露出面141は、箱開口144を備えている。箱開口144は、水平方向延在する辺146と、辺146に対して45°の角度で互いに近づくように辺146から延在する辺147と、を備えている。図10に示されるように、チャック部161a,161bは、箱開口144に挿入された状態で水平方向に互いから離れる方向に移動する。これにより、チャック部161a,161bは、辺147のところで箱開口144の内側縁部を押圧する。
【0039】
このように、箱開口の形状は、人の指を挿入可能な任意の形状および大きさとすることができる。また、チャック装置は、箱開口の形状に応じて、露出面の内側縁部にチャック部が係合することによって箱を保持するように構成された公知の任意の形式とすることができる。また、箱開口は、箱を保持するために限らず、サンプル箱と搬送装置(より具体的には、箱保持装置)との位置決めに使用されてもよい。例えば、箱開口は、位置決め用の突起が挿入される穴であってもよい。もとより、チャック装置に代えて、サンプル箱を保持することができる任意の形式の箱保持装置が採用されてもよい。例えば、保持装置は、上記の特許文献1に記載されているような電磁石式であってもよい。また、箱開口は、搬送装置の故障時にサンプル箱を手動で取り出すためだけのために設けられていてもよい。
【0040】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…穀物乾燥装置
20…投入・排出部
21,22,23,24…挿入口
25…ダクト
30…乾燥機本体
31…格納室
32…格納室開口
40,140…サンプル箱
41,141…露出面
42…収容室
43…隔壁
44,144…箱開口
45…短辺
46…長辺
47…内側縁部
50…搬送部
51…ベース
60…チャック装置
61a,61b,161a,161b…チャック部
62a,62b…第1の部分
63a,63b…第2の部分
64a,64b…第3の部分
65a…溝部
66a…押さえ板
100…自主検定装置
110…シュート
120…ホッパ
130…制御装置
146,147…辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10