(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 67/00 20060101AFI20220929BHJP
A01D 69/00 20060101ALI20220929BHJP
A01D 41/02 20060101ALI20220929BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20220929BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A01D67/00 G
A01D69/00 302
A01D41/02 D
A01D41/12 C
A01B69/00 303
(21)【出願番号】P 2021106637
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 健豪
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 67/00
A01D 69/00
A01D 41/02
A01D 41/12
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、該機体フレーム(1)の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)のキャビン(10)の左側後方に、測位衛星からの位置情報を受信するアンテナ(48)を設け、
前記操縦部(5)の操作席(20)の左側にサイドパネル(25)を設け、該サイドパネル(25)に走行装置(2)の走行速度を増減速する変速レバー(26)と、該変速レバー(26)の前側に制御スイッチ(27)を設け、
前記キャビン(10)の左壁における制御スイッチ(27)に対向する部位に、前記アンテナ(48)を介して測位衛星からの位置情報を受信する位置所得スイッチ(30)を設け、
側面視において、前記位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある前記変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも前側に設け、
背面視において、前記位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある前記変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも所定の間隔を隔てて左側に設け
、
前記位置所得スイッチ(30)の上側に、パイプ材から形成された保護カバー(32)を設け、該保護カバー(32)を、前後方向に延在する本体部(32A)と、該本体部(32A)の前後部から下側に向かって延在する脚部(32B,32C)で形成し、前記本体部(32A)を位置所得スイッチ(30)の左右方向の中心部よりも左側に偏移させて設けた
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
背面視において、前記位置所得スイッチ(30)を右下がり姿勢に設けた請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
背面視において、前記脚部(32B,32C)と位置所得スイッチ(30)の交差角度を90度に形成した請求項
1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記キャビン(10)の左側後部に後側と左側が開放された凹部(12)を形成し、前記アンテナ(48)を凹部(12)に入込ませて設けた請求項1~
3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記アンテナ(48)をキャビン(10)の上面部よりも下側に設けた請求項
4記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路を自動走行して圃場の内周部に植立した穀稈の刈取りを行うコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操縦部のフロントパネルの左側上方に測位衛星から送信されてくる位置情報を所得する位置所得スイッチを設け、位置所得スイッチを操作してコンバインを自動走行させる走行経路の基準となる基準経路の始点と終点の位置情報を所得する手段が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手段では、位置所得スイッチが前方の視界を遮るために刈取装置の左側前方に植立した穀稈を視認しづらくなる恐れがあった。また、操縦者が前屈みになって位置所得スイッチを操作するために操縦負担が大きくなる恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、操縦部の前方の視界が良好に維持し、操縦負担を軽減したコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、該機体フレーム(1)の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)のキャビン(10)の左側後方に、測位衛星からの位置情報を受信するアンテナ(48)を設け、前記操縦部(5)の操作席(20)の左側にサイドパネル(25)を設け、該サイドパネル(25)に走行装置(2)の走行速度を増減速する変速レバー(26)と、該変速レバー(26)の前側に制御スイッチ(27)を設け、前記キャビン(10)の左壁における制御スイッチ(27)に対向する部位に、前記アンテナ(48)を介して測位衛星からの位置情報を受信する位置所得スイッチ(30)を設け、側面視において、前記位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある前記変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも前側に設け、背面視において、前記位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある前記変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも所定の間隔を隔てて左側に設け、前記位置所得スイッチ(30)の上側に、パイプ材から形成された保護カバー(32)を設け、該保護カバー(32)を、前後方向に延在する本体部(32A)と、該本体部(32A)の前後部から下側に向かって延在する脚部(32B,32C)で形成し、前記本体部(32A)を位置所得スイッチ(30)の左右方向の中心部よりも左側に偏移させて設けたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、背面視において、前記位置所得スイッチ(30)を右下がり姿勢に設けた請求項1記載のコンバインである。
【0008】
【0009】
請求項3記載の発明は、背面視において、前記脚部(32B,32C)と位置所得スイッチ(30)の交差角度を90度に形成した請求項1記載のコンバインである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記キャビン(10)の左側後部に後側と左側が開放された凹部(12)を形成し、前記アンテナ(48)を凹部(12)に入込ませて設けた請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記アンテナ(48)をキャビン(10)の上面部よりも下側に設けた請求項4記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)のキャビン(10)の左側後方に、測位衛星からの位置情報を受信するアンテナ(48)を設け、操縦部(5)の操作席(20)の左側にサイドパネル(25)を設け、サイドパネル(25)に走行装置(2)の走行速度を増減速する変速レバー(26)と、変速レバー(26)の前側に制御スイッチ(27)を設け、キャビン(10)の左壁における制御スイッチ(27)に対向する部位に、アンテナ(48)を介して測位衛星からの位置情報を受信する位置所得スイッチ(30)を設け、側面視において、位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも前側に設け、背面視において、位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも所定の間隔を隔てて左側に設け、位置所得スイッチ(30)の上側に、パイプ材から形成された保護カバー(32)を設け、保護カバー(32)を、前後方向に延在する本体部(32A)と、本体部(32A)の前後部から下側に向かって延在する脚部(32B,32C)で形成し、本体部(32A)を位置所得スイッチ(30)の左右方向の中心部よりも左側に偏移させて設けたので、操縦部(5)の前方の視界が位置所得スイッチ(30)によって遮られるのを防止することができる。また、操縦者が位置所得スイッチ(30)を左手で容易に操作でき操縦負担を軽減させることができる。また、位置所得スイッチ(30)を誤って操作するのを抑制することができる。また、位置所得スイッチ(30)の視認性の障害になるのを抑制することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、背面視において、位置所得スイッチ(30)を右下がり姿勢に設けたので、位置所得スイッチ(30)と変速レバー(26)の間の間隔が広がり、変速レバー(26)の操作時に、位置所得スイッチ(30)を誤って操作するのを抑制することができる。また、操縦者が位置所得スイッチ(30)を容易に視認することができる。
【0014】
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、背面視において、脚部(32B,32C)と位置所得スイッチ(30)の交差角度を90度に形成したので、位置所得スイッチ(30)を誤って操作するのをより抑制することができる。また、位置所得スイッチ(30)の視認性の障害になるのをより抑制することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、キャビン(10)の左側後部に後側と左側が開放された凹部(12)を形成し、アンテナ(48)を凹部(12)に入込ませて設けたので、アンテナ(48)がキャビン(10)の左側後方に大きく延出するのを抑制することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、アンテナ(48)をキャビン(10)の上面部よりも下側に設けたので、アンテナ(48)に排出オーガが衝突してアンテナ(48)が破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】中立姿勢の主変速レバーと位置所得スイッチの右側面図である。
【
図6】中立姿勢の主変速レバーと位置所得スイッチの背面図である。
【
図7】後方左側から視たGNSSの配置の説明図である。
【
図8】GNSSを支持する支持部材の背面図である。
【
図9】プレクリーナの支持部材に収納時のキャビンの連結する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0020】
操縦部5の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。
【0021】
操縦部5の覆うキャビン10における左側前部には、前側と左側が開放された凹部11が形成され、左側後部には、後側と左側が開放された凹部12が形成されている。
【0022】
凹部12には、後述する移動用GNSSアンテナ(請求項における「アンテナ」)48が配置されている。これにより、移動用GNSSアンテナ48がキャビン10の後側に大きく延出するのを抑制することができる。また、
図7に示すように、移動用GNSSアンテナ48の上端部は、キャビン10の上面部よりも低い位置に設けるのが好ましい。これにより、排出オーガ8の旋回時に、移動用GNSSアンテナ48に排出オーガ8が衝突するのを防止することができる。なお、移動用GNSSアンテナ48を、凹部11にも併せて配置することもできる。これにより、一方の移動用GNSSアンテナ48が作動不良に陥った場合にも、他方の移動用GNSSアンテナ48を使用して測位衛星41からの位置情報を受信することができる。
【0023】
図3,4に示すように、操縦部5の操作席20の前側には、フロントパネル21が設けられ、左側には、サイドパネル25が設けられている。
【0024】
フロントパネル21の中央部には、エンジンEの出力回転速度等を表示するタッチパネル式のモニタ22が設けられ、モニタ22の左側には、刈取作業に関連する多数の刈取制御スイッチ23が設けられ、モニタ22の右側には、刈取装置3を昇降等させる操作レバー24が設けられている。
【0025】
サイドパネル25の前部には、エンジンEの出力回転の増減速や回転方向の切替えを行う無段変速装置を操作する主変速レバー(請求項における「変速レバー」)26が設けられ、主変速レバー26の前側には、走行作業に関連する多数の走行制御スイッチ27が設けられ、主変速レバー26の後側には、無段変速装置の出力回転の増減速を行うトランスミッションを操作する副変速レバー28が設けられている。
【0026】
主変速レバー26を中立姿勢にした場合には、無段変速装置の出力回転はゼロになる。主変速レバー26を中立姿勢から前側傾斜姿勢した場合には、無段変速装置の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と同じ正回転となり、前側傾斜姿勢の傾斜角度を大きくすると無段変速装置の出力回転は高速になり、前側傾斜姿勢の傾斜角度を小さくすると無段変速装置の出力回転は低速になる。主変速レバー26を中立姿勢から後側傾斜姿勢した場合には、無段変速装置の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と逆さの逆回転となり、後側傾斜姿勢の傾斜角度を大きくすると無段変速装置の出力回転は高速になり、後側傾斜姿勢の傾斜角度を小さくすると無段変速装置の出力回転は低速になる。
【0027】
副変速レバー28を中立姿勢にした場合には、トランスミッションに伝動された無段変速装置の出力回転は増減速されず走行装置2と刈取装置3に伝動され、前側傾斜姿勢にした場合には、減速されて走行装置2と刈取装置3に伝動され、後側傾斜姿勢にした場合には、増速されて走行装置2と刈取装置3に伝動される。
【0028】
走行制御スイッチ(請求項における「制御スイッチ」)27の左側に対向するキャビン10の左壁には、コンバインを自動走行させて刈取作業を行う走行経路の算出する基準になる基準経路の始点位置と終点位置を測位衛星41から所得する位置所得スイッチ30か設けられている。これにより、操縦者は、位置所得スイッチ30を操作して基準経路の始点位置と終点位置を測位衛星41から所得することができる。なお、位置所得スイッチ30は、スイッチボックス31の上面部に設けられている。
【0029】
位置所得スイッチ30の上側には、位置所得スイッチ30の上方を覆う保護カバー32が設けられている。これにより、操縦者が、誤って位置所得スイッチ30を操作するのを防止することができる。
【0030】
本実施形態では、保護カバー32は、パイプ材から形成され、前後方向に延在する本体部32Aと、本体部32Aの前部から下側に向けて延在する脚部32Bと、本体部32Aの後部から下側に向けて延在する脚部32Cから形成されている。なお、脚部32Bは、スイッチボックス31の前側に設けられ、脚部32Cは、スイッチボックス31の後側に設けられている。
これにより、操縦者が、キャビン10の左壁に設けられた窓ガラスを開閉する場合等に、保護カバー32を掴んで窓ガラスを容易に開閉することができる。
【0031】
図5に示すように、上下方向において、位置所得スイッチ30は、中立姿勢にある主変速レバー26のグリップ部26AAと略同一位置に設けられ、前後方向において、中立姿勢にある主変速レバー26のグリップ部26AAよりも前側に設けられている。これにより、操縦者が、操縦姿勢を崩すことなく、位置所得スイッチ30を操作して基準経路の始点位置と終点位置を測位衛星41から所得することができる。
【0032】
操縦者は、位置所得スイッチ30をコンバインを操縦して圃場の周辺部に植立する穀稈を刈取った後、コンバインを自動走行させて圃場の内周部に植立する穀稈を自動刈取を開始する前に操作して、コンバインが自動走行する走行経路の基準経路を設定する。
【0033】
また、主変速レバー26を前方傾斜姿勢に移動させた場合には、主変速レバー26のグリップ部26Aは、中立姿勢の主変速レバー26のグリップ部26Aよりも右側に位置する。これにより、主変速レバー26の操作時に、位置所得スイッチ30を誤って操作するのを抑制することができる。
【0034】
図6に示すように、スイッチボックス31の上面部は右下がりに設けられ、位置所得スイッチ30の操作部である上面部も右下がりに設けられている。これにより、左右方向において、位置所得スイッチ30と主変速レバー26の間隔を広くして、主変速レバー26の操作時に、位置所得スイッチ30を誤って操作するのをより抑制することができる。また、操縦者が位置所得スイッチ30の操作部である上面部を容易に視認することができ、位置所得スイッチ30の操作も容易に行うことができる。
【0035】
保護カバー32は、位置所得スイッチ30の左右方向の中心部よりも左側に偏移した位置に、位置所得スイッチ30の左右方向に延在する仮想線に対して直交して設けられている。これにより、保護カバー32によって操縦者の位置所得スイッチ30の視認が遮られるのを抑制することができる。
【0036】
図7に示すように、操縦部5のキャビン10の左側後方には、エンジンEに燃焼用空気として供給する空気中の粉塵を除去するプレクリーナ50と、プレクリーナ50で清浄された空気中の微細な粉塵を除去するエアクリーナ51が設けられている。また、プレクリーナ50の排気口とエアクリーナ51の吸気口は、可動性の配管52で接続され、エアクリーナ51の排気口とエンジンEの吸気口は、可動性の配管52で接続されている。
【0037】
移動用GNSSアンテナ48は、支持部材54に支持されている。
図8に示すように、支持部材54には、下側に向かって延在する前側脚部54Aと後側脚部54Bが形成され、支持部材54は、前側脚部54Aと後側脚部54Bを介して矩形状の連結ステー56に固定されている。また、連結ステー56は、操縦部5のキャビン10の左側後方に脱穀装置4の前壁から上側に向かって縦フレーム57に固定されている。これにより、移動用GNSSアンテナ48は、支持部材54等を介して脱穀装置4に強固に固定されてキャリブレーションを行う回数を削減することができる組み込み時に
【0038】
図7に示すように、前側脚部54Aは配管52の前側に設けられ、後側脚部54Bは配管52の後側に設けられている。これにより、配管52の移動を抑制することができ、また、配管52の配策も容易に行うことができる。
【0039】
図9に示すように、プレクリーナ50は、支持部材55に支持されている。支持部材55には、下側に向かって延在する前側脚部55Aと後側脚部55Bが形成され、支持部材55は、前側脚部55Aと後側脚部55Bを介して連結ステー56に固定されている。
【0040】
連結ステー56は、操縦部5のキャビン10の左側後方に脱穀装置4の前壁から上側に向かって縦フレーム57に固定されている。
【0041】
キャビン10は、機体フレーム1に、上下方向に延在して設けられたキャビン支軸(図示省略)に回転自在に支持されている。キャビン10を機体フレーム1の上側に移動させた収納姿勢にした場合には、キャビン10の後部に設けられた連結部材58を縦フレーム57の上部に前後方向に延在して設けられた固定ボルト57Aに係合させる。これにより、キャビン10を機体フレーム1の上側の収納姿勢を強固に維持することができる。一方、連結部材58と固定ボルト57Aの形状を解除してキャビン10を機体フレーム1の右側に移動させた開放姿勢にした場合には、脱穀装置4の前壁に所定の空間が形成される。これにより、脱穀装置4の前壁に設けられたエンジンEの出力回転を扱胴等に伝動するベルト等の伝動部材の保守点検を容易に行うことができる。
【0042】
<測位ユニット>
次に、測位ユニット40について説明する。
図10に示すように、RTK-GNSS測位方式である測位ユニット40は、測位衛星41と、既知の位置に設けられた基地局42と、コンバインに設けられた移動局46で構成されている。これにより、測位衛星41から移動局46に送信されてくる位置情報と基地局42から移動局46に送信されてくる補正用の位置情報から移動局46の位置、すなわちコンバインの位置を正確に得ることができる。
【0043】
基地局42は、固定用通信機43と、測位衛星41からの位置情報を受信する固定用GNSSアンテナ44と、移動局46に補正用の位置情報を送信する固定用データ送信アンテナ45で構成されている。
【0044】
移動局46は、移動用通信機47と、測位衛星41からの位置情報を受信する移動用GNSSアンテナ48と、基地局42からの補正用の位置情報を受信する移動用データ送信アンテナ49で構成されている。
【0045】
<コントローラ>
次に、コントローラ60について説明する。
図11に示すように、コンバインのコントローラ60は、CPU等からなる処理部61と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部62と、外部とのデータ通信用の通信部63から形成されている。
【0046】
処理部61は、
図12に示すように、位置所得スイッチ30を操作時に測位衛星41から得られたコンバインの始点位置と終点位置から基準経路を設定したり、基準経路と刈取装置3の刈幅長さ等からコンバインを自動走行させる反時計周りの走行経路を設定する。
【0047】
記憶部62は、処理部61で設定された基準経路や走行経路等を保存する。
【0048】
コントローラ60の入力側には、測位衛星41から基準経路の始点と終点の位置情報を受信する位置所得スイッチ30と、基準経路に基づいてコンバインを自動走行させる走行経路を設定させる走行経路設定スイッチ35と、走行経路に沿ってコンバインを自動走行させる自動走行開始スイッチ36と、測位衛星41からの位置情報を受信する移動用GNSSアンテナ48と、基地局42からの補正用の位置情報を受信する移動用データ送信アンテナ49が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0049】
コントローラ60の出力側には、走行経路に沿ってコンバインを自動走行させる自動走行起動スイッチ37が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0050】
<基準経路と走行経路>
次に、基準経路72と走行経路73について説明する。
図12に示すように、操縦者は、コンバインを反時計方向に走行させて圃場70の周辺部に植立する穀稈を刈取った後に、位置所得スイッチ30を操作して測位衛星41から送信されてくる基準経路72の始点72Aとなる位置情報をコントローラ60に入力させる。
【0051】
次に、操縦者は、コンバインを所定の距離直進走行させた後に、位置所得スイッチ30を操作して測位衛星41から送信されてくる基準経路72の終点72Bとなる位置情報をコントローラ60に入力させる。
【0052】
次に、操縦者は、走行経路設定スイッチ35を操作してコントローラ60に始点72Aと終点72Bに基づいて基準経路72を設定させて、設定された基準経路72と刈取装置3の刈幅に基づいて走行経路73を設定させる。
【0053】
次に、操縦者は、自動走行開始スイッチ36を操作してコントローラ60に自動走行起動スイッチ37を出力させてコンバインを自動走行させて、コンバインが走行経路73を自動走行しながら圃場70の内周部に植立する穀稈を刈取る。
【0054】
図12では、操縦者がコンバインを操縦しながらコンバインを走行させた手動走行経路71を破線で示し、基準経路72を実線で示し、走行経路73を太実線で示している。
【符号の説明】
【0055】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
10 キャビン
12 凹部
20 操作席
25 サイドパネル
26 主変速レバー(変速レバー)
26A グリップ部
27 走行制御スイッチ(制御スイッチ)
30 位置所得スイッチ
32 保護カバー
32A 本体部
32B 脚部
32C 脚部
48 移動用GNSSアンテナ(アンテナ)
【要約】
【課題】操縦部の前方の視界が良好に維持し、操縦負担を軽減したコンバインを提供する。
【解決手段】操縦部(5)のキャビン(10)の左側後方に、測位衛星からの位置情報を受信するアンテナ(48)を設け、操縦部(5)の操作席(20)の左側にサイドパネル(25)を設け、サイドパネル(25)に走行装置(2)の走行速度を増減速する変速レバー(26)と、変速レバー(26)の前側に制御スイッチ(27)を設け、キャビン(10)の左壁における制御スイッチ(27)に対向する部位に、アンテナ(48)を介して測位衛星からの位置情報を受信する位置所得スイッチ(30)を設け、側面視において、位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも前側に設け、背面視において、位置所得スイッチ(30)を中立姿勢にある変速レバー(26)のグリップ部(26A)よりも所定の間隔を隔てて左側に設けた。
【選択図】
図4