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  • 特許-自動車の衝突回避装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】自動車の衝突回避装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/06 20060101AFI20220929BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20220929BHJP
   F16H 25/18 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60T7/06 B
B60T7/12 C
F16H25/18 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018189679
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020059304
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】509185192
【氏名又は名称】株式会社 ACR
(74)【代理人】
【識別番号】100092347
【弁理士】
【氏名又は名称】尾仲 一宗
(72)【発明者】
【氏名】松岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】菅野 隆登志
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-182266(JP,U)
【文献】国際公開第2018/029472(WO,A1)
【文献】特開2003-141697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00-7/10
B60T 7/12-8/1769
F16H 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用過程車の車両に装備されたブレーキ機構,前記ブレーキ機構を作動させるアクチュ
エータ,前記車両に搭載されて前記車両の前方の物体を検知する監視機器,及び前記監視
機器からの情報を判断して前記アクチュエータの作動を制御する制御装置を備えており,
前記アクチュエータは,モータ,前記モータの出力軸の回転速度を減速する減速機,前記
減速機の出力軸に連結され且つ前記ブレーキ機構が備えている既存のブレーキペダルに直
接当接して前記ブレーキペダルを踏み込む方向に駆動するカム軸に設けたカムを有するカ
ム機構,及び前記カムの変位を電圧に変換するポテンショメータを備えており,
前記アクチュエータは,前記制御装置からの指令に応答して前記モータを駆動して前記
ブレーキペダルの踏み込む方向に前記カムを機械的に直接駆動することから成る自動車の
衝突回避装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは,前記ブレーキペダルの踏込み領域に干渉しない位置に設定され
ていることから成る請求項1に記載の自動車の衝突回避装置。
【請求項3】
前記カム機構は,前記カム軸に設けた前記カム,又は前記カム軸に設けたクランクと前
記クランクの先端に設けたベアリングで形成された前記カムから構成されていることから
成る請求項1又は2に記載の自動車の衝突回避装置。
【請求項4】
前記車両に搭載された前記監視機器は,前方の環境を確認するカメラ,前記車両の速度
を検知する前記使用過程車が備えている車速センサー,及び光を使って前方の物体を検知
して対象物までの距離を計測するライダーであり,前記制御装置は,前記カメラ,前記車
速センサー及び前記ライダーからの情報の検出信号を受けて,前記アクチュエータを駆動
して前記ブレーキペダルを駆動することから成る請求項1~のいずれか1項に記載の自
動車の衝突回避装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,車両に搭載した前方監視機器の信号に応答して作動し,ブレーキペダルに対して直接駆動するアクチュエータを備えた自動車の衝突回避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,高齢者等のドライバーによるアクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる自動車事故が増大しているが,それはドライなーによる車両の前方認識や前方確認の遅れが原因になっている。そのため,近年では,自動車には,衝突回避装置が取り付けられている場合が多い。
【0003】
従来,車両衝突回避装置として,車両が障害物に衝突する危険を未然に検知し,車両の方向転換時の誤作動を防止するものが知られている。該車両衝突回避装置は,障害物までの距離を非接触で測定する距離センサと,車両の回転を検出する角加速度センサと,車両の速度に比例して衝突危険距離を判定する基準信号とを備えている。上記車両衝突回避装置は,距離センサと基準信号とを比較して車両の現在位置が障害物に対し衝突危険な位置にあるか否かを検出すると共に,角加速度センサからの信号により,吸入空気量,燃料制御及び制動機制御を行うことにより,車両の方向転換時の誤作動を防止するものである。(例えば,特許文献2参照)。
【0004】
また,物体認識装置として,他車両の周囲の通過可能物体を適切に認識するものが知られている。該物体認識装置は,自車両に搭載されたライダーの検出点情報に基づいて,自車両の周辺を走行する他車両を認識すると共に,他車両の大きさを認識する他車両認識部と,ライダーの検出点情報に基づいて,他車両をトラッキングする他車両追跡部と,トラッキングしている他車両の大きさが拡大したか否かを判定する拡大判定部と,他車両の大きさが拡大したと判定された場合に,ライダーの検出点情報に基づいて,他車両の近傍の近傍物体をロストしたか否かを判定するロスト判定部と,拡大判定部によって他車両の大きさが拡大したと判定された場合であって,ロスト半定部により近傍物体をロストしたと判定されないとき,ライダーの検出した検出点のうち,拡大前の他車両の周囲に位置する検出点を通過可能物体として認識する通過可能物体認識部とを備えている(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,車両の衝突の可能性が高い場合に,対向車両との衝突回避を実行する車両における衝突回避装置が知られている。該衝突回避装置は,対象物を検出する対象物検出部と,対象物検出部による検出結果を用いて,対向車両の属性を取得する属性取得部と,属性取得部によって取得された属性を用いて,対向車両が中央線をはみ出していると判定した場合に,衝突可能性の報知および衝突回避操作の少なくともいずれか一方を実行する衝突回避実行部とを備えている(例えば,特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-72639号公報
【文献】特開2018-115990号公報
【文献】特開2018-97648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで,既存の自動車の衝突回避装置は,警告,警報を発信すうものが大半であり,自動車のブレーキペダルに取り付けたアクチュエータを用いて,車両の減速,強制停止させ,発進できないようにする装置は,従来の自動車には存在しない。また,使用過程車に搭載するアクチュエータとしては,ブレーキ力を作動させるには,ブレーキの油圧回路に増圧装置を取り付ける方法が考えられるが,使用過程車に取り付けるには,作業のバラツキが大きいため,油漏れ等の問題が発生し,好ましい方法ではない。また,車両のブレーキの油圧回路に加圧装置を追加するも容易にできることであり,車両毎の改造も容易に行えることであるが,ブレーキ回路を改造する場合に,万が一の油漏れ等が発生すると,通常のブレーキが作動しなくなるおそれがある。そこで,自動車の衝突回避装置として,使用過程車のブレーキシステムに一切手を加えることなく,環境監視機器の信号に応じて制御装置の判断によりブレーキを作動させることが望まれている。
【0008】
この発明の目的は,上記の問題を解決することであり,衝突回避装置が搭載されている新車を購入することなく,既存の自動車即ち使用過程車に安価に後付けできる衝突回避装置を提供することであり,衝突回避装置が誤ってアクセルペダルを踏み込んでも,ブレーキペダルが踏まれた時点で,アクセルよりブレーキの作動が優先することに着目し,車両に搭載されている前方環境監視機器からの情報を受信してその情報を人工知能(AI)で学習した結果,制御装置が危険状態であると判断したら,アクチュエータでブレーキペダルを機械的に直接作動してブレーキをかける衝突回避装置であり,使用過程車のブレーキシステムに一切,手を加えることなく,環境監視機器の信号に応じて制御装置の判断によりアクチュエータを駆動してブレーキを作動させることであり,環境監視機器として単眼カメラ,ライダー(LIDAR),ミリ波レーダー,車速センサー等からの情報を基にしてAIの技術により,車両の前方の障害物等の環境を判断し,ブレーキ力の強弱を制御し,必要に応じては緊急停止を行うことができる自動車の衝突回避装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は,使用過程車の車両に装備されたブレーキ機構,前記ブレーキ機構を作動さ
せるアクチュエータ,前記車両に搭載されて前記車両の前方の物体を検知する監視機器,
及び前記監視機器からの情報を判断して前記アクチュエータの作動を制御する制御装置を
備えており,前記アクチュエータは,モータ,前記モータの出力軸の回転速度を減速する
減速機,前記減速機の出力軸に連結され且つ前記ブレーキ機構が備えている既存のブレー
キペダルに直接当接して前記ブレーキペダルを踏み込む方向に駆動するカム軸に設けたカ
ムを有するカム機構,及び前記カムの変位を電圧に変換するポテンショメータを備えてお
り,前記アクチュエータは,前記制御装置からの指令に応答して前記モータを駆動して前
ブレーキペダルの踏み込む方向に前記カムを機械的に直接駆動することから成る自動車
の衝突回避装置に関する。
【0010】
また,前記アクチュエータは,前記ブレーキペダルの踏込み領域に干渉しない位置に設
定されているものである。更に,前記カム機構は,前記カム軸に設けた前記カム,又は前
記カム軸に設けたクランクと前記クランクの先端に設けたベアリングで形成された前記カ
ムから構成されている。
【0011】
また,前記車両に搭載された前記監視機器は,前方の環境を確認するカメラ,前記車両の速度を検知する前記使用過程車が備えている車速センサー,及び光を使って前方の物体を検知して対象物までの距離を計測するライダーであり,前記制御装置は,前記カメラ,前記車速センサー及び前記ライダーからの情報の検出信号を受けて,前記アクチュエータを駆動して前記ブレーキペダルを駆動するものである。。
【発明の効果】
【0012】
この発明による自動車の衝突回避装置は,上記のように,使用過程車のブレーキシステムに一切手を加えることなく,ブレーキペダルの近傍に既存のブレーキとは独立して,ブレーキペダルを直接駆動するアクチュエータを設置し,車両に搭載した環境監視機器の信号に応答して,制御装置の判断により前記アクチュエータを作動してブレーキをかけることができ,高齢者等による車両の前方の認識の遅れや,アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる車両の前方の物体への衝突や,特に,人身事故を伴う車両衝突を回避することができる。アクチュエータは,モータの回転を減速機を通じてトルクを挙げるので,カム機構のカムを確実に迅速に駆動することができ,そのカム駆動によって直ちにブレーキかけることができ,車両が物体に衝突することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明による衝突回避装置を搭載した自動車の実施例を示す概略説明図である。
図2図1の自動車に搭載されているブレーキ機構であり,ブレーキペダルに対してアクチュエータを取り付け,アクチュエータが駆動していない状態を示す説明図である。
図3図1の自動車に搭載されているブレーキ機構であり,ブレーキペダルに対してアクチュエータを取り付け,アクチュエータが駆動した状態を示す説明図である。
図4】この自動車の衝突回避装置におけるアクチュエータを構成するカム機構の実施例を示す側面図である。
図5】この自動車の衝突回避装置におけるアクチュエータを構成するカム機構の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を参照して,この発明による自動車の衝突回避装置の実施例について説明する。この自動車の衝突回避装置は,使用過程車のブレーキシステムに一切手を加えることなく,使用過程車のブレーキペダル9の近傍に既存のブレーキ10とは独立して,ブレーキペダル9を機械的に直接駆動するアクチュエータ2を設けたことに特徴を有している。アクチュエータ2は,ブレーキシステムを構成する使用過程車の車両(自動車)1に装備された既存のブレーキ機構22を機械的に直接駆動するものである。この発明による自動車の衝突回避装置は,車両1には,その前方の障害物,人等の物体を検知する単眼カメラ7,ライダー(LIDAR)6,ミリ波レーダー(図示せず),車速センサー8等の環境監視機器が搭載されている。この発明による自動車の衝突回避装置では,アクチュエータ2は,AI(人工知能,artificial intelligence )4を持つ制御装置3の判断に応答してブレーキペダル9を機械的に直接駆動するものである。AI4は,監視機器からの情報を信号として受信し,それらの信号を論理推論して機械学習して学習結果から推論規則,即ち,種々の学習結果からマップを作成し,そのマップを基にして,制御装置3はアクチュエータ2に駆動の指示を出すものである。即ち,アクチュエータ2は,ブレーキ機構22が備えているブレーキペダル9を機械的に直接駆動するものである。
【0015】
この自動車の衝突回避装置では,アクチュエータ2は,ブレーキペダル9を人が踏込む領域に干渉しない位置,例えば,図示のように,ブレーキペダル9の上部に隙間19を存在させて設置されている。アクチュエータ2は,概して,モータ11,モータ11の出力軸21の回転速度を減速する減速機12,減速機12の出力軸に連結され且つブレーキペダル9に直接当接してブレーキペダル9を踏み込む方向に駆動するカム13を備えたカム機構5,及びカム13の変位を電圧に変換するポテンショメータを備えている。ポテンショメータは,例えば,カム13の回転と同期するブラシを抵抗体に取り付け,抵抗体の両端に一定電圧を掛け,抵抗体の一端とブラシとの間の抵抗変化を読み取り,抵抗変化を電圧に変換して,カム13の位置,例えば,カム13の回転角や移動量を検出するものである。また,アクチュエータ2は,制御装置3からの指令に応答してモータ11を駆動してカム13をブレーキペダル9を踏み込む方向に機械的に直接駆動するものである。従って,こ制御装置3は,車両1の前方の状況を監視機器で検出してポテンショメータの測定結果を受けてアクチュエータ2の作動状態を制御するものである。
【0016】
また,この自動車の衝突回避装置では,図1に示すように,車両1に搭載された監視機器は,前方の環境を確認する単眼カメラ7,車両1の速度を検知する車速センサー8,本装置の機能開始の時のON表示と機能しない時のOFF表示をするモニター23,及び光を使って前方の物体を検知して対象物までの距離を計測するライダー6を備えている。この自動車の衝突回避装置は,ライダー6と単眼カメラ7を用いて二重に車両1の前方を監視しているが,ライダー6は光パルスを照射し,その反射を感知しているので,対象物の形はわかりますが,それが何かは判断されない。ライダー6は夜間でも有効である。一方,カメラ7は対象物を人間の目のように見れるので,その対象物が何かを判断し易いが,夜間は感度が落ちる。また,制御装置3は,カメラ7,車速センサー8及びライダー6からの情報の検出信号を受けて,アクチュエータ2を駆動してブレーキペダル9を駆動するものである。この自動車の衝突回避装置では,ライダー6と単眼カメラ7とからの検出信号は,結線ライン20を通じてAI4に送り込まれて,判断処理される。車速センサー8からの検出信号は,結線ライン20を通じて制御装置3に送り込まれる。制御装置3は,結線ライン20を通じて,アクチュエータ2を駆動制御する。この自動車の衝突回避装置では,車両1の車輪29に対して車速センサー8が取り付けられ,車輪29には,ブレーキディスク17及びブレーキ10が設けられている。モニター23は,車両1に搭載されており,例えば,ON表示が緑ランプで,OFF表示が赤ランプで表示することができる。
【0017】
図2及び図3には,車両1に設けられたブレーキシステムのブレーキ機構が示されている。ブレーキペダル9は,エンジンの吸気負圧でブレーキペダル9の踏み込む力を倍増するマスタバック18に,支点軸30で枢動するように取り付けられている。図2は,この自動車の衝突回避装置について,ブレーキ10が掛かっていないブレーキペダル9を示しており,図3は,この自動車の衝突回避装置について,ブレーキ10が掛かっているブレーキペダル9を示しており,アクチュエータ2によってブレーキペダル9がフルストロークに移動した状態が示されている。
【0018】
この自動車の衝突回避装置に設けた減速機12は,例えば,図4及び図5に示すように,減速3段式の歯車機構に構成されているが,更に減速段を増やして5段に構成してもよいものである。図5では,ハウジング24内にモータ11と減速機12は収容されている。減速機12は,モータ11の出力軸21に減速機12の第1段の歯車列25が連結されてモータ11の回転が減速され,次いで,歯車列25は第2段の歯車列26に連結されて歯車列25の出力側の回転が更に減速され,更に,歯車列26は第3段の歯車列27に連結されて歯車列26の出力側の回転が更に減速される。次いで,歯車列27の出力側の出力軸28は,カム機構5のカム軸14を構成している。また,カム機構5は,図4及び図5に示すように,カム軸14に設けたクランク31とクランク31の先端に設けたベアリング16で形成されたカム13,或いは,図示していないが,カム軸14に設けた一般的な卵形で偏芯したカムから構成されている。カム機構5を構成する図示されたカム13は,カム軸5から延びた一種のクランク31であり,クランク31の先端にはベアリング16が取り付けられている。カム機構5は,カム13として機能するベアリング16を設けることによって,カム13がブレーキペダル9に容易に乗り上げることができ,アクチュエータ2の駆動に応じて直ちにブレーキペダル9を押し下げてブレーキ10をかけることができる。
【0019】
この自動車の衝突回避装置について,アクチュエータ2は,モータ11の回転を減速機12によって20~50倍程度に減速し,カム軸14に伝達し,同時にカム軸14の回転トルクを高めることができる。この自動車の衝突回避装置は,AI4の学習結果から制御装置3が判断して,制御装置3からアクチュエータ2のモータ11に指令を出して短時間でモータ11を回転させ,カム機構5のカム13を予め決められた所定の回転角に駆動する。本衝突回避装置では,ブレーキ力は,ブレーキペダル9の位置で0であり,ブレーキペダル9の最大踏込み時,即ち,ブレーキフルストロークの位置15で200N程度である。また,ブレーキペダル9の最大踏込みストロークは20mm程度である。ブレーキペダル9のレバー比は4程度であるので,マスターバック18のレバーを踏み込むところでの荷重は800N,最大変位は5mm程度になる。ブレーキペダル9を踏み込む場合に,油圧アクチュエータで押し込む場合は,初期より最大荷重の800Nでの作動となる。一方,本衝突回避装置では,カム機構5を用いた駆動では,初期は荷重はほぼ0であり,偏芯量は5mmに設定されているとすると,回転モーメントは0である。また,ブレーキペダル9をフルに踏み込む時は,800Nであるが,偏芯量は0になるので,駆動トルクはほぼ0になる。
【0020】
この自動車の衝突回避装置については,カム機構5のカム軸14,即ち,クランク軸の回転の速度と回転角は,AI4の判定による運転の危険度により判断されて駆動するように設定されている。AI4の判定について,車両1の走行が危険ではあるが,アクチュエータ2のポテンショメータからの検出信号により,車両1の減速でよいという判断では,,それなりのカム軸14の回転速度とカム13の回転角になるように設定する。車両1の前に急に人が飛び出してきた時も,その危険度によってブレーキ強度を加減するように設定する。アクチュエータ2のポテンショメータからの検出信号により,人の極めて危険な飛び出しには,最高速度によってブレーキペダル9のブレーキフルストローク位置15まで一気に駆動する。制御装置3では,車両1の運転の安全が確保される限り,過度のブレーキ10を避けるようにプログラミングされている。その理由は,車両1の搭乗者の安全に配慮するためである。車両1の急ブレーキでは,運転者がハンドルにぶつかったり,助手席の搭乗者がフロントガラスにぶつかるのを避けるためである。しかしながら,アクチュエータ2は,車外の人に危害が加わると判断したら,容赦なく緊急ブレーキを最高速度でブレーキフルストローク位置15まで駆動する。それは,車内の人が受ける衝撃よりも,車外の人の人命が圧倒的に優先度が高いためである。
【0021】
また,この自動車の衝突回避装置は,車両1のミスシフトや,車両1のコンビニに前向きに停車し,バックにシフトした積もりで,運転者がアクセルベダルを踏むと,車両1が直進してコンビニ店内に突き込むことになるが,この場合には,本発明に設けたライダー6や単眼カメラ7等の監視機器が車両1の前方を監視しているので,本衝突回避装置が作動して車両1は緊急停止ることができる。運転者がアクセルペダルとブレーキペダル9を踏み間違えて,停車の積もりでアクセルペダルを踏み込んでしまった場合も,車両1の前方を監視しており,車両1の物体への衝突の危険と判断すれば,本衝突回避装置が作動して車両1の障害物への衝突を回避する。既存の衝突回避装置は,どんにアクセルペダルを踏み込んでも,ブレーキペダル9が踏まれた時点で,アクセルよりブレーキ10の作動が優先するように設定されている。それは,アクセルペダルは,エンジンを直接制御しておらず,アクセルの回度を信号に置き換えてエンジンを制御しているために上記の設定が成り立っている。アクセル信号に対してブレーキペダル9が踏まれたブレーキ信号が優先するということである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明による自動車の衝突回避装置は,,使用過程車のブレーキペダルの近傍に既存のブレーキとは独立して取り付けたアクチュエータであって,例えば,使用過程車のブレーキシステムに独立して設けることが好ましいものである。
【符号の説明】
【0023】
1 車両
2 アクチュエータ
3 制御装置
4 AI
5 カム機構
6 ライダー
7 単眼カメラ
8 車速センサー
9 ブレーキペダル
10 ブレーキ
11 モータ
12 減速機
13 カム
14 カム軸
15 ブレーキ降るストローク位置
16 ベアリング
19 隙間
22 ブレーキ機構
23 モニター
31 クランク
図1
図2
図3
図4
図5