(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】航跡表示装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/20 20060101AFI20220929BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220929BHJP
G08G 3/00 20060101ALI20220929BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G01C21/20
G08G1/0969
G08G3/00
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2018229438
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174757
【氏名又は名称】岡田 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和樹
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-196179(JP,A)
【文献】特開平7-5237(JP,A)
【文献】特開2008-225614(JP,A)
【文献】特開2000-344193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/20
G08G 1/0969
G09B 29/10
G08G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により取得される前記位置情報に基づいて前記船舶の航跡を表示する表示手段と、
前記船舶が水上を漂っている漂流状態にあるか否かを判定する漂流判定手段と、
前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報に基づく前記船舶の航跡を、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にないと判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報に基づく前記船舶の航跡と識別可能な態様で前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする航跡表示装置。
【請求項2】
前記船舶に設けられた動力発生装置により発生された動力を、前記船舶に設けられ前記船舶を推進させるための推進装置に伝達させる状態にあるか否かを示す動力伝達情報を取得する動力伝達情報取得手段を備え、
前記漂流判定手段は、前記動力伝達情報取得手段により取得された前記動力伝達情報に基づいて、前記船舶において発生される動力が前記推進装置へ伝達される状態にない場合に前記船舶が漂流状態にあると判定することを特徴とする請求項1記載の航跡表示装置。
【請求項3】
前記船舶に設けられ前記船舶を推進させるための推進装置に動力を伝達するために前記船舶に設けられた動力発生装置により回転される回転軸の回転数を示す回転情報を取得する回転情報取得手段を備え、
前記漂流判定手段は、前記回転情報取得手段により取得された前記回転情報により示される前記回転軸の回転数が所定の回転数より低い場合に前記船舶が漂流状態にあると判定することを特徴とする請求項1記載の航跡表示装置。
【請求項4】
前記位置情報のうち、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合にのみ前記位置情報取得手段が取得する位置情報を記憶する第1記憶手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の航跡表示装置。
【請求項5】
不揮発性の記憶手段であって、前記位置情報のうち、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報と、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にないと判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報とを記憶する第2記憶手段を備えることを特徴とする請求項4記載の航跡表示装置。
【請求項6】
前記表示手段に表示する1画面分の画像情報を記憶するフレームバッファと、
前記位置情報に基づいて前記船舶の航跡を表示するための画像情報を前記フレームバッファ上に描画するための描画手段とを備え、
その描画手段は、前記第2記憶手段により記憶された位置情報に基づいて第2の航跡を描画し、その後に前記第1記憶手段により記憶された位置情報に基づいて、前記第2の航跡と識別可能な態様で、第1の航跡を描画することを特徴とする請求項5記載の航跡表示装置。
【請求項7】
前記船舶の船首が向いた方向の情報である船首情報を取得する船首情報取得手段を備え、
前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報に基づいて前記船舶の航跡を前記表示制御手段が表示するとき、前記船首情報に基づいて前記船舶の前記船首が向いていた方向を示す印を少なくとも1つ前記船舶の航跡上の位置に表示する船首方向表示制御手段を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の航跡表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に搭載され、海図上に自船の航行した跡である航跡を表示する航跡表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣り船等の船舶を水上で漂っている状態である漂流状態に保ち、船舶に乗った人が釣りをすることがある。この場合、魚群探知機等によって予め発見した釣り場のポイント上を船舶が通過できるようにするために、自船が潮流によってどのように流されるかを知りたいという釣り人のニーズがある。
【0003】
このようなニーズに対して、漂流状態における自船の位置情報の経時的変化に基づいて、潮流方向を含む潮流情報を算出し、潮流情報に基づく潮流表示画像を表示画面に表示する航行情報表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した航行情報表示装置は、漂流状態における自船の位置情報の経時的変化に基づいて、潮流方向を含む潮流情報を算出するため、その演算に対して重い負荷がCPU(Central Processing Unit)にかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、複雑な演算をすることなく、漂流状態において船舶がどのように流されたかを使用者に容易に認識させることができる航跡表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の航跡表示装置は、船舶の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段により取得される前記位置情報に基づいて前記船舶の航跡を表示する表示手段と、前記船舶が水上を漂っている漂流状態にあるか否かを判定する漂流判定手段と、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報に基づく前記船舶の航跡を、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にないと判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報に基づく前記船舶の航跡と識別可能な態様で前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備える。
【0008】
請求項2記載の航跡表示装置は、請求項1記載の航跡表示装置において、前記船舶に設けられた動力発生装置により発生された動力を、前記船舶に設けられ前記船舶を推進させるための推進装置に伝達させる状態にあるか否かを示す動力伝達情報を取得する動力伝達情報取得手段を備え、前記漂流判定手段は、前記動力伝達情報取得手段により取得された前記動力伝達情報に基づいて、前記船舶において発生される動力が前記推進装置へ伝達される状態にない場合に前記船舶が漂流状態にあると判定する。
【0009】
請求項3記載の航跡表示装置は、請求項1記載の航跡表示装置において、前記船舶に設けられ前記船舶を推進させるための推進装置に動力を伝達するために前記船舶に設けられた動力発生装置により回転される回転軸の回転数を示す回転情報を取得する回転情報取得手段を備え、前記漂流判定手段は、前記回転情報取得手段により取得された前記回転情報により示される前記回転軸の回転数が所定の回転数より低い場合に前記船舶が漂流状態にあると判定する。
【0010】
請求項4記載の航跡表示装置は、請求項1から3のいずれかに記載の航跡表示装置において、前記位置情報のうち、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合にのみ前記位置情報取得手段が取得する位置情報を記憶する第1記憶手段を備える。
【0011】
請求項5記載の航跡表示装置は、請求項4記載の航跡表示装置において、不揮発性の記憶手段であって、前記位置情報のうち、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報と、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にないと判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報とを記憶する第2記憶手段を備える。
【0012】
請求項6記載の航跡表示装置は、請求項5記載の航跡表示装置において、前記表示手段に表示する1画面分の画像情報を記憶するフレームバッファと、前記位置情報に基づいて前記船舶の航跡を表示するための画像情報を前記フレームバッファ上に描画するための描画手段とを備え、その描画手段は、前記第2記憶手段により記憶された位置情報に基づいて第2の航跡を描画し、その後に前記第1記憶手段により記憶された位置情報に基づいて、前記第2の航跡と識別可能な態様で、第1の航跡を描画する。
【0013】
請求項7記載の航跡表示装置は、請求項1から6のいずれかに記載の航跡表示装置において、前記船舶の船首が向いた方向の情報である船首情報を取得する船首情報取得手段を備え、前記漂流判定手段により前記船舶が漂流状態にあると判定される場合に前記位置情報取得手段が取得する位置情報に基づいて前記船舶の航跡を前記表示制御手段が表示するとき、船首方向表示制御手段は、前記船首情報に基づいて前記船舶の前記船首が向いていた方向を示す印を少なくとも1つ前記船舶の航跡上の位置に表示する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の航跡表示装置によれば、船舶の位置情報が位置情報取得手段により取得される。その位置情報取得手段により取得された位置情報に基づいて、船舶の航跡が表示手段により表示される。一方、船舶が水上を漂っている漂流状態にあるか否かが、漂流判定手段により判定される。そして、漂流判定手段により船舶が漂流状態にあると判定される場合に位置情報取得手段が取得する位置情報に基づく船舶の航跡が、漂流判定手段により船舶が漂流状態にないと判定される場合に位置情報取得手段が取得する位置情報に基づく船舶の航跡と識別可能な態様で表示制御手段により表示手段に表示される。これにより、使用者は、漂流状態の航跡を一目で認識することができる。ここで、船舶が漂流状態にある場合、船舶は水面付近の潮流等によって流されるため、漂流状態の航跡は、船舶が潮流等によって流された跡を示すことになる。よって、請求項1記載の航跡表示装置は、船舶が漂流状態か否かを判定し、漂流状態の航跡と漂流状態にない状態の航跡との表示態様を変えるだけで、複雑な演算をすることなく、漂流状態において船舶がどのように流されるかを、使用者に容易に認識させることができるという効果がある。
【0015】
請求項2記載の航跡表示装置によれば、請求項1記載の航跡表示装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、船舶に設けられた動力発生装置により発生された動力を、船舶に設けられ船舶を推進させるための推進装置に伝達させる状態にあるか否かを示す動力伝達情報が、動力伝達情報取得手段により取得される。そして、動力伝達情報取得手段により取得された動力伝達情報に基づいて、船舶において発生される動力が推進装置へ伝達される状態にない場合に船舶が漂流状態にあると漂流判定手段により判定される。ここで、船舶を移動させるための動力が推進装置に伝達されていない場合、船舶は動力によって移動しないため、漂流状態にある。一方、船舶を移動させるための動力が推進装置に伝達されている場合、船舶は駆動手段により生じた動力によって移動するため、漂流状態にない。これにより、請求項2記載の航跡表示装置は、動力伝達情報に基づいて判定するだけで船舶が漂流状態にあるか否かを容易に判定することができるという効果がある。
【0016】
請求項3記載の航跡表示装置によれば、請求項1記載の航跡表示装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、船舶に設けられ船舶を推進させるための推進装置に動力を伝達するために船舶に設けられた動力発生装置により回転される回転軸の回転数を示す回転情報が、回転情報取得手段により取得される。そして、回転情報取得手段により取得された回転情報により示される回転軸の回転数が所定の回転数より低い場合に船舶が漂流状態にあると漂流判定手段により判定される。ここで、回転軸の回転数が所定の回転数より低い場合、動力による船舶の移動はないか無視できる程度であるため、船舶は漂流状態にあるといえる。一方、回転軸の回転数が所定の回転数以上の場合、動力による船舶の移動が有意であるため、船舶は漂流状態にない。これにより、請求項3記載の航跡表示装置は、回転情報に基づいて判定するだけで船舶が漂流状態にあるか否かを容易に判定することができるという効果がある。
【0017】
請求項4記載の航跡表示装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の航跡表示装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、位置情報のうち、漂流判定手段により船舶が漂流状態にあると判定される場合にのみ位置情報取得手段が取得する位置情報が、第1記憶手段により記憶される。これにより、第1記憶手段に記憶された位置情報に基づいて表示する航跡を、他の航跡と識別可能な態様で表示制御手段が表示するだけで、漂流状態において船舶がどのように流されたかを使用者に認識させることができるという効果がある。
【0018】
請求項5記載の航跡表示装置によれば、請求項4記載の航跡表示装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、位置情報のうち、漂流判定手段により船舶が漂流状態にあると判定される場合に位置情報取得手段が取得する位置情報と、漂流判定手段により船舶が漂流状態にないと判定される場合に位置情報取得手段が取得する位置情報とが、不揮発性の記憶手段である第2記憶手段により記憶される。これにより、電源がオフになっても、漂流状態と漂流状態にない状態との位置情報を第2記憶手段にまとめて記憶しておくことができる。よって、電源が切られた後に電源が再投入された場合でも、今回電源が投入される前に第2記憶手段に記憶された漂流状態と漂流状態にない状態との位置情報に基づく航跡を、使用者が見ることができるという効果がある。
【0019】
請求項6記載の航跡表示装置によれば、請求項5記載の航跡表示装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示手段に表示する1画面分の画像情報がフレームバッファにより記憶される。位置情報に基づいて船舶の航跡を表示するための画像情報が、描画手段によりフレームバッファ上に描画される。このとき、第2記憶手段により記憶された位置情報に基づいて第2の航跡が描画手段により描画される。そして、その後に第1記憶手段により記憶された位置情報に基づいて、第2の航跡と識別可能な態様で、第1の航跡が描画手段により描画される。これにより、請求項6記載の航跡表示装置は、航跡の表示に用いるそれぞれの位置情報が漂流状態のものであるか否かを判定しなくても、漂流状態の航跡と漂流状態にない状態の航跡とを異なる態様で表示することができる。よって、航跡に用いるそれぞれの位置情報毎に表示態様を判定するといった複雑な演算を省略することができるという効果がある。
【0020】
請求項7記載の航跡表示装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の航跡表示装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、船舶の船首が向いた方向の情報である船首情報が船首情報取得手段により取得される。そして、漂流判定手段により船舶が漂流状態にあると判定される場合に位置情報取得手段が取得する位置情報に基づいて船舶の航跡が表示制御手段により表示されるとき、船首情報に基づいて船舶の船首の向いた方向を示す印が、少なくとも1つ船舶の航跡上の位置に船首方向表示制御手段により表示される。ここで、船舶が漂流状態にある場合、船舶自身の推進力がないため船体が安定せず船首の方向は不安定となり、使用者は船首の向く方向を予想できない。一方で、請求項7記載の航跡表示装置によれば、漂流中の船首の向いた方向が表示される。これにより、使用者は、漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを認識することができる。漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを使用者がわかれば、例えば船舶を漂流させて流し釣りをする場合に船舶の右舷、左舷のどちらに魚のいるポイントが来るのかを使用者が予想しやすくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態であるプロッタの構成を概略的に示す概略図である。
【
図2】プロッタが船舶に搭載されたときの状態を模式的に示した模式図である。
【
図3】プロッタの電気的構成を示したブロック図である。
【
図4】全位置データの一例を模式的に示した模式図である。
【
図5】漂流時位置データの一例を模式的に示した模式図である。
【
図6】制御装置により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【
図7】制御装置により実行されるシフトレバーデータ記憶処理を示すフローチャートである。
【
図8】制御装置により実行される位置データ記憶処理を示すフローチャートである。
【
図9】制御装置により実行される船首方位角記憶処理を示すフローチャートである。
【
図10】制御装置により実行される航跡描画処理を示すフローチャートである。
【
図11】制御装置により実行される漂流船首方向描画処理を示すフローチャートである。
【
図12】第2実施形態であるプロッタの電気的構成を示したブロック図である。
【
図13】制御装置により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【
図14】制御装置により実行される回転数データ記憶処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本発明に係る航跡表示装置の一実施形態である第1実施形態のプロッタ12の概略について説明する。
図1は、そのプロッタ12の構成を概略的に示す概略図であり、
図2は、プロッタ12が船舶11に搭載されたときの状態を示す模式図である。
【0023】
図1及び
図2に示す通り、プロッタ12は、船舶11に搭載され、海図上に船舶11の航跡を表示するものである。航跡とは、船舶11が通過した経路である。このプロッタ12は、船舶11が漂流状態にあったときの航跡と、船舶11が非漂流状態にあったときの航跡とを、使用者が識別できる態様で表示できることを特徴としている。以下、その詳細について説明する。
【0024】
プロッタ12は、本体13と、本体13に一体形成された表示装置14と、本体13に設けられた操作ボタン15とを有する。また、プロッタ12は、コンパス16、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナ17、ECU(Engine Control Unit)18のそれぞれとケーブルによって電気的に接続可能に構成されている。コンパス16とGNSSアンテナ17との少なくとも一方は、本体13と最初から不可分に構成してもよく、また、本体13に後から接続できる構成としてもよい。ECU18は、本体13に後から接続できる構成となっている。本体13とGNSSアンテナ17とは、船舶11の操舵室内に配置され、コンパス16は、船舶11の船首に配置され、ECU18は、船舶11の船尾に配置される後述の船外機Oの内部に備えられる。本実施形態では、本体13とGNSSアンテナ17とを船舶11の操舵室内に配置し、コンパス16を船舶11の船首に配置する例を示したが、これに限定されるものではない。即ち、本体13、コンパス16、GNSSアンテナ17は船舶11に配置されればよく、船舶11における配置場所は限定されるものではない。
【0025】
表示装置14は、船舶マーク14a,海
図14b,方位マーク14c,緯度経度表示14d,航跡14e,漂流船首方向14f等を表示させる装置である。
【0026】
海
図14bは、船舶11の現在地を含む海上の地図である。船舶マーク14aは、現在の船舶11の位置及び向きを示すための船舶11を模した白色の図形である。船舶マーク14aは海
図14b上における現在の船舶11の位置(緯度及び経度)に表示される。また、位置情報の経時的な変化から求めた船舶11の移動方向に船舶マーク14aの船首が向くように、船舶マーク14aは表示される。方位マーク14cは、海
図14bの方位を表示するための図形である。緯度経度表示14dは、船舶11の現在地の緯度と経度とを表示するものである。
【0027】
航跡14eは、船舶11が通過した経路を示す線である。本実施形態に係るプロッタ12では、船舶11が漂流状態の航跡14e1は赤い線で表示され、船舶11が非漂流状態(漂流状態にない状態)の航跡14e2は白い線で表示される。そのため、使用者は一目で漂流状態の航跡14e1を認識することができる構成となっている。
図1では、便宜上赤い線である航跡14e1を太い線で示し、白い線である航跡14e2を細い線で示している。
【0028】
漂流船首方向14fは、船舶11が漂流状態にあった所定の位置において船首の向いていた方向(船首方向)を示す赤色(
図1では便宜上黒色で示している)の図形である。そのため、使用者は、漂流中に船首方向がどの向きを向いていたかを認識することができるようになっている。漂流船首方向14fは、後述の船首方位角23a4に基づいて表示される。また、漂流船首方向14fは、船舶11が漂流状態で少なくとも所定の移動距離を移動する毎に追加して表示される。漂流船首方向14fが複数表示されることで、使用者は、漂流中に船首方向がどのように変化したかを認識することができる。なお、海
図14bの縮尺が1/10000で表示されている場合の所定の移動距離は、例えば100mである。
【0029】
操作ボタン15は、使用者がプロッタ12に対し各種設定を行う場合に操作されるボタンである。例えば、使用者は、操作ボタン15を操作することにより、表示装置14に表示される航跡14eの表示態様(航跡14eの線の色、太さ、種類等)を選択することができる。また、使用者は、操作ボタン15を操作することで表示装置14に表示される海
図14bの縮尺サイズを選択することができる。
【0030】
漂流状態の航跡14e1と非漂流状態の航跡14e2とを識別可能に表示したくないと使用者が望む場合には、操作ボタン15により航跡14e1と航跡14e2とを識別可能な表示にすることをオフに設定できるようにプロッタ12は構成されている。
【0031】
コンパス16は、例えば、船舶11の船首に固着され、船首が向いている方向の方位角である船首方向を地磁気に基づいて測定し、測定結果を本体13へ送信する装置である。本体13へ測定結果を送信するときの通信規格としては、例えばNMEA(National Marine Electronics Association)2000が用いられる。測定結果は、例えば約0.2秒に1回本体13へ送信される。本実施形態では、磁北の方位角を0°,東の方位角を90°,南の方位角を180°,西の方位角を270°として、船首方向は0°から360°の方位角で示される。
【0032】
GNSSアンテナ17は、全地球航法衛星システム(GNSS)を構成する複数の人工衛星Sから送信された信号を受信し、その受信信号に基づき船舶11の位置情報(緯度経度)を本体13へ送信するアンテナである。本体13へ位置情報を送信するときの通信規格としては、例えばNMEA2000が用いられる。測定結果は、例えば約0.1秒~1秒に1回本体13へ送信される。
【0033】
船舶11の船尾部分には船外機Oが設けられている。船外機Oは、船舶11を推進させるための装置である。船外機OはECU18,エンジンE,ドライブシャフトDS,ギヤG,プロペラPを備える。
【0034】
ECU18は、エンジンEを含む船外機Oの制御を行うための装置である。ECU18は、例えば、NMEA2000の規格によってエンジンE等に関する情報を外部へ出力可能に構成されている。ECU18が本体13と接続されることで、本体13はECU18が出力するエンジンE等に関する情報を受信することができる。ECU18は、エンジンE等に関する情報を例えば約0.1秒~1秒に1回出力する。
【0035】
エンジンEは、船舶11を駆動するための動力を発生させる装置であり、船外機Oの内部上方に備えられている。ドライブシャフトDSは、エンジンEによって発生された動力を回転運動の動力として、ギヤGに伝達させるための回転軸である。
【0036】
ギヤGは、ドライブシャフトDSから伝達された回転運動の動力の回転方向を、船舶11を前進させる方向又は後進させる方向に変換するための歯車装置であり、船外機Oの内部下方に設けられている。ギヤGは、ドッグクラッチ(図示せず)を含む。ドッグクラッチは、ギヤGに設けられた歯車(図示せず)と嵌合してドライブシャフトDSによって伝達された動力をプロペラPに伝達したり、歯車と嵌合しないことで動力の伝達を遮断したりするための装置である。プロペラPは、ギヤGによって変換された回転方向の動力により、船舶11の周囲の水をかくことで船舶11を前進又は後進させるための回転羽根である。本実施形態では、エンジンEを船外機Oの内部上方に配置し、ギヤGを船外機Oの内部下方に配置する例を示したが、これに限定されるものではない。即ち、エンジンEとギヤGとは船外機Oの内部に配置されればよく、船外機Oの内部における配置場所は限定されるものではない。
【0037】
エンジンEにより発生された動力がドライブシャフトDSに伝達されると、ドライブシャフトDSから伝達された回転運動の動力によって、ギヤGに設けられた船舶11を前進させる方向に回転する歯車と船舶11を後進させる方向に回転する歯車とが回転する。船舶11を前進させる方向に回転する歯車にドッグクラッチが嵌合すると、前進方向に回転する回転運動の動力がドッグクラッチを介してプロペラPに伝達される。これにより、船舶11は、エンジンEが発生された動力により前進方向に移動する。このとき、船舶11は漂流状態にはない(非漂流状態である)。
【0038】
船舶11を後進させる方向に回転する歯車にドッグクラッチが嵌合すると、後進方向に回転する回転運動の動力がドッグクラッチを介してプロペラPに伝達される。これにより、船舶11は、エンジンEが発生された動力により後進方向に移動する。このとき、船舶11は漂流状態にはない(非漂流状態である)。
【0039】
一方、ギヤGに設けられた歯車にドッグクラッチが嵌合しない状態(ニュートラル状態)になると、回転運動の動力がギヤGに設けられた歯車からドッグクラッチに伝達されないため、エンジンEの発生させた動力がプロペラPに伝達されず、プロペラPは回転しない。その結果、船舶11は、エンジンEが発生させた動力により移動することができず、漂流状態になる。即ち、ドッグクラッチがニュートラル状態の場合、船舶11は漂流状態にある。
【0040】
船舶11の操舵室にはシフトレバーSLが設けられている。シフトレバーSLは、使用者の操作により、ドッグクラッチをギヤGに設けられた前進方向又は後進方向に回転する歯車と嵌合させたり、ニュートラル状態にさせたりするためのレバーである。使用者がシフトレバーSLを操作し、ドッグクラッチをギヤGに設けられた前進方向又は後進方向に回転する歯車と嵌合させると、エンジンEが発生させた動力により船舶11が移動するため、船舶11は非漂流状態になる。一方、使用者がシフトレバーSLを操作し、ドッグクラッチをニュートラル状態にすると、エンジンEが発生させた動力により船舶11が移動することはないため、船舶11は漂流状態になる。
【0041】
シフトレバーSLには、シフトレバーセンサ(図示せず)が設けられている。シフトレバーセンサは、シフトレバーSLの位置を検出するための装置である。シフトレバーセンサは、シフトレバーSLがドッグクラッチをギヤGに設けられた前進方向に回転する歯車と嵌合させる位置にあるのか、後進方向に回転する歯車と嵌合させる位置にあるのか、それともドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にあるのかを検出する。検知結果は、シフトレバー情報としてECU18を経由して本体13へ送信される。
【0042】
本体13では、シフトレバー情報に基づいて、船舶11が漂流状態にあるのか、それとも非漂流状態にあるのかが判断される。即ち、シフトレバーSLがドッグクラッチをギヤGに設けられた歯車と嵌合させる位置にある場合、船舶11は非漂流状態にあると本体13により判断され、シフトレバーSLがドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にある場合、船舶11は漂流状態にあると本体13により判断される。
【0043】
なお、本実施形態では、シフトレバーセンサを用いてドッグクラッチの嵌合状態を求める構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ドッグクラッチが歯車と嵌合しているのか、それとも嵌合していないのかを検知するギヤポジションセンサをギヤGに設け、ギヤポジションセンサの検知結果からドッグクラッチの嵌合状態を求める構成としてもよい。
【0044】
次に、
図3を参照して、プロッタ12の電気的構成について説明する。
図3は、プロッタ12の電気的構成を示したブロック図である。プロッタ12の本体13(
図1参照)は制御装置20を有している。制御装置20は、プロッタ12の動作を制御するものである。制御装置20は、
図3に示す通り、CPU21と、フラッシュメモリ22と、RAM(Random Access Memory)23と、表示コントローラ24と、VRAM(Video RAM)25と、GNSSインターフェイス回路(以下 「GNSS I/F」と称す)26と、入力ポート27とを備える。
【0045】
CPU21には、フラッシュメモリ22,RAM23,表示コントローラ24,GNSS I/F26,入力ポート27が接続され、また、制御装置20の外部より操作ボタン15(
図1参照)が接続されている。表示コントローラ24には、表示装置14(
図1参照)及びVRAM25が接続されている。GNSS I/F26には、制御装置20の外部よりGNSSアンテナ17(
図1参照)が接続されている。入力ポート27には、制御装置20の外部よりコンパス16(
図1参照)とECU18(
図1参照)とが接続されている。
【0046】
CPU21は、フラッシュメモリ22に記憶されたプログラムデータ22aに従って、プロッタ12の動作を制御するための各種演算を実行する演算装置である。
【0047】
フラッシュメモリ22は、CPU21によって実行されるプログラムデータ22aを記憶するほか、固定値データ等を記憶するための書き換え可能な不揮発性のメモリである。フラッシュメモリ22は、固定値データとして、例えば、海
図14b等を表示装置14に表示させるための画像データ22bを記憶する。
【0048】
また、フラッシュメモリ22は、船舶11の漂流時及び非漂流時の位置情報である全位置データ22cを記憶する。全位置データ22cは、後述の航跡描画処理(S60)において、船舶11が漂流状態及び非漂流状態の航跡14eを描画するように、CPU21が表示コントローラ24に指示するときに使用される。全位置データ22cは不揮発性のメモリであるフラッシュメモリ22に記憶されているため、プロッタ12の電源がオフされても、全位置データ22cは消去されずに記憶され続ける。
【0049】
ここで、
図4を参照して全位置データ22cについて説明する。
図4は、全位置データ22cの一例を模式的に示した模式図である。
図4に示す通り、全位置データ22cには、No.(22c1)と、時刻22c2と、その時刻における船舶11の位置22c3とが記憶されている。No.(22c1)は、順次全位置データ22cに格納される時刻22c2と位置22c3とに対応付けられた識別番号である。時刻22c2は、GNSSアンテナ17から送信される時刻の情報である。位置22c3は、時刻22c2にて示される時刻におけるGNSSアンテナ17から送信される船舶11の位置の情報である。GNSSアンテナ17から送信される位置情報をCPU21が受信すると、後述の位置データ記憶処理(S30)において、CPU21は時刻の情報とその時刻における船舶11の位置情報とを時刻22c2、位置22c3として全位置データ22cにNo.(22c1)の「1」から順番に対応付けして順次記憶する。
【0050】
全位置データ22cには、船舶11が漂流状態にあるか否かにかかわらず、GNSSアンテナ17から送信される時刻の情報とその時刻における船舶11の位置情報とが順次記憶される。そのため、全位置データ22cには、非漂流状態の時刻22c2、位置22c3(
図4のNo.1)と、漂流状態の時刻22c2、位置22c3(
図4のNo.2~5)とが混在して記憶されている。これにより、全位置データ22cに基づいて、非漂流状態及び漂流状態の航跡14eを表示コントローラ24は描画することができる。
【0051】
図3に戻り、プロッタ12の電気的構成について説明を続ける。RAM23は、書き換え可能な揮発性のメモリであり、CPU21によるプログラムの実行時に各種のデータを一時的に記憶する。RAM23は、漂流時位置データ23aと、シフトレバーデータ23bと、漂流フラグ23cとを少なくとも記憶する。
【0052】
漂流時位置データ23aは、船舶11が漂流状態にあるときの位置情報である。漂流時位置データ23aは、後述の航跡描画処理(S60)において船舶11の漂流状態の航跡14e1を描画するように、CPU21が表示コントローラ24に指示するときに使用される。
【0053】
ここで、
図5を参照して漂流時位置データ23aについて説明する。
図5は、漂流時位置データ23aの一例を模式的に示した模式図である。
図5に示す通り、漂流時位置データ23aには、No.(23a1)と、時刻23a2と、その時刻における船舶11の位置23a3と、その時刻23a2及び位置23a3に対応付けされた船首方位角23a4とが順次記憶されている。No.(23a1)は、順次漂流時位置データ23aに格納される時刻23a2と位置23a3と船首方位角23a4とに対応付けられた識別番号である。時刻23a2は、船舶11が漂流状態にあるときにGNSSアンテナ17から送信される時刻の情報である。位置23a3は、船舶11が漂流状態にあるときに時刻23a2にて示される時刻におけるGNSSアンテナ17から送信される船舶11の位置の情報である。船首方位角23a4は、コンパス16によって測定される船首方向の情報である。
【0054】
GNSSアンテナ17から送信される時刻の情報とその時刻における船舶11の位置情報とをCPU21が受信した場合に、後述の位置データ記憶処理(S30)において船舶11が漂流状態にあるとCPU21が判定すると、CPU21は時刻の情報とその時刻における船舶11の位置情報とを時刻23a2、位置23a3として漂流時位置データ23aにNo.(23a1)の「1」から順番に対応付けして順次記憶する。なお、この段階では船首方向の情報は、船首方位角23a4として漂流時位置データ23aに記憶されていない(
図5のNo.3)。
【0055】
コンパス16から送信される船首方向の情報をCPU21が受信した場合に、後述の船首方位角記憶処理(S50)において船舶11が漂流状態にあるとCPU21が判定すると、CPU21は漂流時位置データ23aの最新の時刻23a2とその時刻における船舶11の位置情報とに対応付けて、受信した船首方向の情報を船首方位角23a4として漂流時位置データ23aに記憶する。
【0056】
なお、船舶11が漂流状態にないとCPU21が判断した場合、GNSSアンテナ17から送信される時刻の情報、その時刻における船舶11の位置情報、コンパス16から送信される船首方向の情報は漂流時位置データ23aには記憶されない。そのため、漂流時位置データ23aには、船舶11が漂流状態のみの時刻23a2、位置23a3、船首方位角23a4(
図5のNo.1~3)が記憶されている。これにより、漂流時位置データ23aに基づいて、漂流状態の航跡14e1を表示コントローラ24は描画することができる。
【0057】
図3に戻り、プロッタ12の電気的構成について説明を続ける。シフトレバーデータ23bは、シフトレバーSLがドッグクラッチを前進方向に回転する歯車と嵌合させる位置にあるのか、後進方向に回転する歯車と嵌合させる位置にあるのか、それともニュートラル状態にさせる位置にあるのかを示す情報である。シフトレバーデータ23bは、後述のシフトレバーデータ記憶処理(S10)において、船舶11が漂流状態にあるか否かをCPU21が判断するときに用いられる。即ち、シフトレバーSLがドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にある場合は、船舶11が漂流状態にあり、シフトレバーSLがドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にない場合は、船舶11が非漂流状態にあると、CPU21が判断する。ECU18が送信するシフトレバー情報をCPU21が受信すると、後述のシフトレバーデータ記憶処理(S10)において、CPU21はシフトレバー情報をシフトレバーデータ23bとしてRAM23に上書きにより記憶する。
【0058】
漂流フラグ23cは、船舶11が漂流状態にあることを示すためのフラグである。即ち、漂流フラグ23cがオンであれば船舶11が漂流状態にあることを示し、漂流フラグ23cがオフであれば船舶11が非漂流状態にあることを示す。漂流フラグ23cは、後述の位置データ記憶処理(S30)、船首方位角記憶処理(S50)、航跡描画処理(S60)、漂流船首方向描画処理(S80)において船舶11が漂流状態にあるか否かをCPU21が判断するときに使用される。後述のシフトレバーデータ記憶処理(S10)において、ECU18が送信するシフトレバー情報をCPU21が受信しシフトレバーデータ23bとして記憶すると、シフトレバーデータ23bに基づいて、漂流フラグ23cはオン又はオフに設定される。即ち、シフトレバーデータ23bにおいて、シフトレバーSLがドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にあると記憶される場合は、船舶11が漂流状態にあるため、漂流フラグ23cはオンに設定される。一方、シフトレバーデータ23bにおいて、シフトレバーSLがドッグクラッチをギヤGに設けられた前進方向に回転する歯車と嵌合させる位置にある、又は、後進方向に回転する歯車と嵌合させる位置にあると記憶される場合は、船舶11が非漂流状態にあるため、漂流フラグ23cはオフに設定される。CPU21は、漂流フラグ23cがオンであるか否かを判断することで、船舶11が漂流状態にあるか否かを容易に判断することができる。
【0059】
表示コントローラ24は、CPU21からの制御に基づいて表示装置14に表示する画像の描画と表示とを制御するものである。VRAM25は、表示装置14に表示すべき1フレーム分の画像を格納するためのフレームバッファ25aが設けられたメモリである。
【0060】
表示コントローラ24は、表示すべき1フレーム分の画像をフレームバッファ25aに対して描画して、表示装置14に表示させる。表示コントローラ24は、フレームバッファ25aに対して表示装置14に表示される範囲よりも広い範囲の海
図14bを描画し、フレームバッファ25aに描画した海
図14bの一部分を表示装置14に表示する。
【0061】
表示装置14に表示する範囲の全体を含む海
図14bがフレームバッファ25aに格納されていない場合(フレームバッファ25aに格納されている海
図14bの中に表示装置14に表示する範囲の全体が含まれていない場合、又は、フレームバッファ25aに海
図14bが格納されていない場合)、表示コントローラ24は、CPU21から表示装置14に表示する画像を描画するように指示を受け、表示装置14に表示する範囲の全体を含む海
図14bを描画する。そして、表示コントローラ24は、フレームバッファ25aにおいて海
図14b上に船舶マーク14a、航跡14e、漂流船首方向14fを描画する。
【0062】
一方で、表示装置14に表示する範囲の全体を含む海
図14bの画像が既にVRAM25のフレームバッファ25aに格納されている場合(フレームバッファ25aに格納されている海
図14bの中に表示装置14に表示する範囲の全体が含まれている場合)は、表示コントローラ24は、フレームバッファ25aに格納されている海
図14bの画像のうち船舶マーク14a部分に海
図14bを上書きする。これにより、過去の船舶マーク14aを非表示にすることができる。表示コントローラ24は、その上書きされた海
図14bに描画されている過去の航跡14eに今回新たに追加する航跡14eと船舶マーク14a、漂流船首方向14fをフレームバッファ25aにおいて描画する。
【0063】
また、表示コントローラ24は、フレームバッファ25aに格納された画像中の表示装置14に表示する範囲の画像に方位マーク14cと緯度経度表示14dとを合成し、その合成した画像を表示装置14に送信する。
【0064】
GNSS I/F26は、GNSSアンテナ17にて受信した人工衛星Sからの信号をCPU21へ入力するものである。入力ポート27は、コンパス16、ECU18からの信号をCPU21へ入力するものである。
【0065】
次に、
図6を参照して、制御装置20のCPU21が実行するメイン処理について説明する。
図6は、制御装置20のCPU21により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、プロッタ12の電源がオンされた場合に実行される処理である。このメイン処理は、プロッタ12の電源がオフされるまで継続して実行され続ける。
【0066】
CPU21によりメイン処理が実行されると、まず、CPU21は、ECU18から送信されたシフトレバー情報を受信したか否かを判断する(S1)。その結果、シフトレバー情報を受信したと判断される場合は(S1:Yes)、CPU21は、後述のシフトレバーデータ記憶処理(S10)を実行した後、S2の処理を実行する。一方、S1の処理においてシフトレバー情報を受信していないと判断される場合は(S1:No)、CPU21は、S2の処理を実行する。
【0067】
次に、CPU21は、GNSSアンテナ17から送信された船舶11の位置情報を受信したか否かを判断する(S2)。その結果、位置情報を受信したと判断される場合は(S2:Yes)、後述の位置データ記憶処理(S30)を実行した後、後述の航跡描画処理(S60)を実行して、S3の処理を実行する。一方、S2の処理において位置情報を受信していないと判断される場合は(S2:No)、CPU21はS3の処理を実行する。
【0068】
次いで、CPU21は、コンパス16から送信された船舶11の船首方向の情報を受信したか否かを判断する(S3)。その結果、船首方向の情報を受信したと判断される場合は(S3:Yes)、CPU21は後述の船首方位角記憶処理(S50)を実行した後、後述の漂流船首方向描画処理(S80)を実行し、S1の処理へ戻る。一方、S3の処理において船首方向の情報を受信していないと判断される場合は(S3:No)、CPU21はS1の処理へ戻る。そして、S1~S3の処理が繰り返される。
【0069】
次に、
図7を参照して、上記したシフトレバーデータ記憶処理(S10)について説明する。
図7は、制御装置20により実行されるシフトレバーデータ記憶処理(S10)を示すフローチャートである。シフトレバーデータ記憶処理(S10)は、ECU18から送信されたシフトレバー情報をシフトレバーデータ23bに記憶し、漂流フラグ23cをオン又はオフするための処理である。
【0070】
CPU21によりシフトレバーデータ記憶処理(S10)が実行されると、まず、CPU21は、ECU18から送信されたシフトレバー情報をRAM23のシフトレバーデータ23bに記憶する(S11)。次に、CPU21は、S11の処理で記憶したシフトレバーデータ23bに基づいて、現在のシフトレバーSLの位置がドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にあるか否かを判断する(S12)。S12の処理において、シフトレバーSLの位置がドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にあると判断される場合は(S12:Yes)、エンジンEの動力がプロペラPに伝達されない。そのため、船舶11がエンジンEの動力によって移動しておらず、漂流状態にあるものとして、CPU21は漂流フラグ23cをオンし(S13)、シフトレバーデータ記憶処理(S10)を終了する。
【0071】
一方、S12の処理において、シフトレバーSLの位置がドッグクラッチをニュートラル状態にさせる位置にないと判断される場合は(S12:No)、エンジンEの動力がプロペラPに伝達される。そのため、船舶11がエンジンEの動力によって移動しており、非漂流状態にあるものとして、CPU21は漂流フラグ23cをオフし(S14)、シフトレバーデータ記憶処理(S10)を終了する。
【0072】
このように、本実施形態に係るプロッタ12によれば、ドッグクラッチの状態を示すシフトレバーデータ23bに基づいて判定するだけで、船舶11が漂流状態にあるか否かを判定することができる。よって、船舶11が漂流状態にあるか否かを容易に判定することができるという効果がある。
【0073】
次に、
図8を参照して、上記した位置データ記憶処理(S30)について説明する。
図8は、制御装置20のCPU21により実行される位置データ記憶処理(S30)を示すフローチャートである。位置データ記憶処理(S30)は、GNSSアンテナ17から送信された船舶11の位置情報を全位置データ22c、漂流時位置データ23aに記憶するための処理である。
【0074】
CPU21により位置データ記憶処理(S30)が実行されると、まず、CPU21は、GNSSアンテナ17から送信された船舶11の位置情報を全位置データ22cに記憶する(S31)。具体的には、CPU21は、船舶11の位置情報に含まれる時刻の情報を、全位置データ22cの時刻22c2及び位置22c3が格納されていないNo.(22c1)のうち最小の番号に対応付けて時刻22c2として記憶して、その時刻における位置の情報を全位置データ22cの位置22c3として記憶する。これにより、船舶11が漂流状態及び非漂流状態にあるときの位置情報が、全位置データ22cとして記憶される。
【0075】
ここで、全位置データ22cは、不揮発性のメモリであるフラッシュメモリ22に記憶される。これにより、プロッタ12の電源がオフになっても、漂流状態及び非漂流状態の位置情報を全位置データ22cにまとめて記憶しておくことができる。よって、電源が切られた後に電源が再投入された場合でも、今回電源が投入される前に全位置データ22cに記憶された漂流状態及び非漂流状態の位置情報に基づく航跡14eを表示装置14に表示することができる。従って、電源が切られた後に電源が再投入された場合でも、今回電源が投入される前に全位置データ22cに記憶された漂流状態及び非漂流状態の位置情報に基づく航跡14eを使用者が見ることができるという効果がある。
【0076】
次に、CPU21は、漂流フラグ23cがオンであるか否かを判断する(S32)。その結果、漂流フラグ23cがオンでないと判断される場合は(S32:No)、船舶11が非漂流状態にあるものとして、CPU21は、位置データ記憶処理(S30)を終了する。
【0077】
一方で、S32の処理において、漂流フラグ23cがオンであると判断される場合は(S32:Yes)、船舶11が漂流状態にあるものとして、CPU21は、GNSSアンテナ17から送信された船舶11の位置情報を漂流時位置データ23aに記憶し(S33)、位置データ記憶処理(S30)を終了する。具体的には、CPU21は、船舶11の位置情報に含まれる時刻の情報を漂流時位置データ23aの時刻23a2及び位置23a3が格納されていないNo.(23a1)のうち最小の番号に対応付けて時刻23a2として記憶し、その時刻における位置の情報を漂流時位置データ23aの位置23a3として記憶する。このとき、漂流時位置データ23aに記憶される位置情報は、S31の処理で全位置データ22cに記憶された位置情報と同じものである。これにより、船舶11が漂流状態にあるときの位置情報が、漂流時位置データ23aとして記憶される。従って、漂流時位置データ23aに記憶された位置情報に基づいて表示する航跡14e1を、他の航跡14e2と識別可能な態様で表示するだけで、漂流状態において船舶11がどのように流されたかを使用者に認識させることができるという効果がある。
【0078】
次に、
図9を参照して、上記した船首方位角記憶処理(S50)について説明する。
図9は、制御装置20のCPU21により実行される船首方位角記憶処理(S50)を示すフローチャートである。船首方位角記憶処理(S50)は、コンパス16から送信された船舶11の船首方向の情報を漂流時位置データ23aに記憶するための処理である。
【0079】
CPU21により船首方向記憶処理(S50)が実行されると、まず、CPU21は、漂流フラグ23cがオンであるか否かを判断する(S51)。S51の処理において、漂流フラグ23cがオンでないと判断される場合は(S51:NO)、CPU21は船首方向記憶処理(S51)を終了する。
【0080】
一方、S51の処理において、漂流フラグ23cがオンであると判断される場合は(S51:Yes)、CPU21はコンパス16から送信された船舶11の船首方向の情報を漂流時位置データ23aに記憶し(S52)、船首方位角記憶処理(S50)を終了する。具体的には、CPU21は、船舶11の船首方向の情報を漂流時位置データ23aの船首方位角23a4として記憶する。このとき、最新の時刻23a2、位置23a3のデータと対応付けて船首方位角23a4を記憶する。即ち、時刻23a2、位置23a3が記憶されると(
図5のNo.3参照)、その後に受信した船首方向の情報は、その時刻23a2、位置23a3に対応するように船首方位角23a4として記憶される。なお、最新の時刻23a2、位置23a3に対して、船首方位角23a4が既に記憶されている場合は、新たに受信した船首方向の情報は記憶されない。これにより、時刻23a2、位置23a3が記憶された後、最初に受信された船首方向の情報が船首方位角23a4として記憶される。よって、時刻23a2と、船首方位角23a4を取得した時刻との差を少なくすることができる。また、例えば、船舶11が漂流状態になったすぐ後で位置情報を受信する前に船首方向の情報を受信した場合のように、船首方向の情報を受信したにもかかわらず、船舶11の位置情報が漂流時位置データ23aに記憶されていない場合は、受信された船首方向の情報は記憶されない。これにより、時刻23a2と位置23a3とが記憶されていないにもかかわらず、船首方位角23a4だけが記憶されることを防ぐことができる。よって、船首方位角23a4を時刻23a2、位置23a3に対応付けて記憶することができる。
【0081】
次に、
図10を参照して、上記した航跡描画処理(S60)について説明する。
図10は、制御装置20のCPU21により実行される航跡描画処理(S60)を示すフローチャートである。航跡描画処理(S60)は、表示装置14に表示する航跡14e等の画像を描画するための処理である。
【0082】
CPU21により航跡描画処理(S60)が実行されると、まず、CPU21は表示範囲を設定する(S61)。具体的には、使用者が操作ボタン15を操作する等により指定した表示装置14に表示すべき海
図14bの縮尺サイズに基づいて、CPU21は、船舶11の現在地(全位置データ22cの最新の位置22c3)を中心とした表示装置14に表示すべき海
図14bの範囲を設定する。
【0083】
次いで、CPU21は、S61の処理で設定した表示範囲の全てが含まれる海
図14bの画像がVRAM25のフレームバッファ25aに格納されているか否かを判断する(S62)。具体的には、CPU21は、S61の処理で設定した表示範囲の全てがフレームバッファ25aに格納されている海
図14bの中に含まれるか否かを判断する。S62の処理において、表示範囲の全てが含まれる海
図14bの画像がVRAM25のフレームバッファ25aに格納されていないと判断される場合は(S62:No)、CPU21は海
図14bの画像を新たに描画するため、S63~S67の処理を実行する。
【0084】
S63の処理では、CPU21は、S61の処理で設定した表示装置14に表示する範囲の全体を含む海
図14bの画像をフレームバッファ25a上に描画するように表示コントローラ24に指示する。具体的には、CPU21は、船舶11の現在地(全位置データ22cの最新の位置22c3)を中心として表示範囲の全てが含まれる海
図14bの画像を描画するように表示コントローラ24に指示する。これにより、例えば、プロッタ12の電源がオンされて最初に全位置データ22cの位置22c3が記憶されると、その位置22c3を中心とした海
図14bを描画することができる。また、船舶11が移動したことで、表示装置14に表示する範囲の少なくとも一部がフレームバッファ25aに格納されている海
図14bからはみ出した場合、船舶11の現在地(全位置データ22cの最新の位置22c3)を中心として表示範囲の全てが含まれる海
図14bを改めて描画することができる。
【0085】
S63の処理において、海
図14bは、例えば、表示装置14に表示する範囲の相似形として、船舶11の現在地を中心に描画される。表示装置14に表示する範囲と海
図14bとの相似比は、例えば1対3である。海
図14bを表示装置14に表示する範囲より広い範囲で描画することで、船舶11が移動しても表示装置14に表示する範囲の全体が海
図14b中に含まれている間は、新たに海
図14bを描画するという処理を省略することができる。
【0086】
次に、CPU21は、フレームバッファ25aにおいてS63の処理で描画した海
図14bの画像上に、全位置データ22cに基づいて航跡14e2と船舶マーク14aを描画するように表示コントローラ24に指示する(S64)。具体的には、CPU21は、全位置データ22cのNo.(22c1)の「1」から順に、隣り合う2つの位置22c3が海
図14bの範囲内にあるか否かを判断する。2つの位置22c3が両方とも海
図14bの範囲内にあると判断される場合は、CPU21はその2つの位置22c3を結ぶ線分を白色の線で描画するように表示コントローラ24に指示する。2つの位置22c3のうち一方が海
図14bの範囲内にあって、他方が海
図14bの範囲内にないと判断される場合は、CPU21はその2つの位置22c3を結ぶ線分のうち、海
図14bの範囲内の部分を白色の線で描画するように表示コントローラ24に指示する。2つの位置22c3が両方とも海
図14bの範囲内にないと判断される場合は、CPU21は表示コントローラ24に描画の指示を出さない。
【0087】
また、CPU21は、所定期間内(例えば、現時点から1分前以内)に記憶された全位置データ22cの位置22c3の中から、所定数の位置22c3(例えば、新しく記憶されたものから10カ所)を用いて、船舶11の位置がどのように変化したかを求め、船舶11の移動方向を求めておく。プロッタ12の電源がオンされてから時間が経過しておらず、所定期間内に記憶された位置22c3の数が所定数に満たない場合は、CPU21は、所定期間内に記憶された全ての位置22c3を用いて、船舶11の移動方向を求める。そして、CPU21は、フレームバッファ25aにおいて船舶11の移動方向の向きに合うようにS63の処理で描画した海
図14b上の船舶11の現在地(全位置データ22cの最新の位置22c3)に船舶マーク14aを描画するように表示コントローラ24に指示する。なお、全位置データ22cの所定期間内に記憶された全ての位置22c3が1つしかない場合は、船舶11の移動方向を求めることができないため、暫定的にコンパス16から受信した船首方向の情報に基づいて船舶マーク14aが表示される。
【0088】
次に、CPU21は、S63の処理で描画した海
図14bの範囲に含まれる漂流時位置データ23aの位置23a3が記憶されているか否かを判断する(S65)。具体的には、CPU21はS63の処理で描画した海
図14bの緯度経度の範囲を求めておき、その範囲に含まれる漂流時位置データ23aの位置23a3が記憶されているか否かを判断する。S65の処理において、S63の処理で描画した海
図14bの範囲に含まれる漂流時位置データ23aの位置23a3が記憶されていないと判断される場合は(S65:No)、S63の処理で描画した海
図14bの範囲に漂流状態の位置情報が漂流時位置データ23aに記憶されていないため、CPU21は航跡描画処理(S60)を終了する。
【0089】
一方、S65の処理において、S63の処理で描画した海
図14bの範囲に含まれる漂流時位置データ23aの位置23a3が記憶されていると判断される場合は(S65:Yes)、S63の処理で描画した海
図14bの範囲に漂流状態の位置情報が漂流時位置データ23aに記憶されているため、CPU21は、S66及びS67の処理により船舶11が漂流状態の航跡14e1と漂流船首方向14fとを描画するよう表示コントローラ24に指示する。
【0090】
S66の処理では、CPU21は、フレームバッファ25aにおいてS64の処理で描画した画像上に、漂流時位置データ23aに基づいて航跡14e1を描画するように表示コントローラ24に指示する。具体的には、CPU21は、漂流時位置データ23aのNo.(23a1)の「1」から順に、隣り合う2つの位置23a3が海
図14bの範囲内にあるか否かを判断する。2つの位置23a3が両方とも海
図14bの範囲内にあると判断される場合は、CPU21はその2つの位置23a3を結ぶ線分を赤色の線で描画するように表示コントローラ24に指示する。2つの位置23a3のうち一方が海
図14bの範囲内にあって、他方が海
図14bの範囲内にないと判断される場合は、CPU21はその2つの位置23a3を結ぶ線分のうち、海
図14bの範囲内の部分を白色の線で描画するように表示コントローラ24に指示する。2つの位置23a3が両方とも海
図14bの範囲内にないと判断される場合は、CPU21は表示コントローラ24に描画の指示を出さない。
【0091】
ここで、全位置データ22cに記憶された漂流状態及び非漂流状態の位置22c3のうち漂流状態の位置22c3は、漂流時位置データ23aの位置23a3と同じである。そのため、S64の処理で描画された全位置データ22cに基づく漂流状態及び非漂流状態の航跡14e2のうち漂流状態の航跡14e2の経路は、S66の処理で描画された漂流時位置データ23aに基づく漂流状態の航跡14e1の経路と同一の経路である。そのため、S66の処理により、S64の処理で描画された全位置データ22cに基づく漂流状態及び非漂流状態の航跡14e2上に、漂流時位置データ23aに基づく漂流状態の航跡14e1が描画される。
【0092】
次に、CPU21は、フレームバッファ25aにおいてS66の処理で描画した画像の航跡14e1上に所定の距離毎に漂流船首方向14fを描画するように表示コントローラ24に指示して(S67)、航跡描画処理(S60)を終了する。具体的には、S63の処理で描画した海
図14bの範囲に含まれる漂流時位置データ23aの位置23a3であって、対応付けられた船首方位角23a4が記憶されているもののうちNo.(23a1)の番号が最小のものの位置23a3に、その位置23a3に対応付けられた船首方位角23a4の向きに合せて漂流船首方向14fを描画するように、CPU21は表示コントローラ24に指示する。そして、CPU21は、漂流船首方向14fを描画した位置23a3から船舶11の移動した距離(移動距離)が所定の移動距離を超える位置23a3を求める。そして、その位置23a3に漂流船首方向14fを描画するようにCPU21は表示コントローラ24に指示する。なお、海
図14bに含まれる位置23a3に対応付けられた船首方位角23a4が記憶されていない場合は、CPU21は漂流船首方向14fの描画を表示コントローラ24に指示しない。
【0093】
ここで、漂流時位置データ23aにおけるn番目の位置23a3からn+m番目の位置23a3までの移動距離L(n,n+m)は、数1によって求められる。なお、移動距離L(x,y)は、x番目の位置23a3からy番目の位置23a3までの距離を示している。
【0094】
【0095】
CPU21は、数1によりS63の処理で描画した海
図14bの範囲に含まれる漂流時位置データ23aの位置23a3であって、対応付けられた船首方位角23a4が記憶されているもののうちNo.(23a1)の番号が最小のものの位置23a3(n番目の位置23a3)からn+1番目の位置23a3までの移動距離L(n,n+1)を求め、移動距離L(n,n+1)が所定の移動距離を超えているか否かを判断する。移動距離L(n,n+1)が所定の移動距離を超えていると判断される場合は、No.(23a1)の「n+1」の位置23a3に、その位置23a3に対応付けられた船首方位角23a4の向きに合わせて漂流船首方向14fを描画するように、CPU21は表示コントローラ24に指示する。
【0096】
一方で、移動距離L(n,n+1)が所定の移動距離を超えていないと判断される場合は、CPU21は、数1によりn番目の位置23a3からn+2番目の位置23a3までの移動距離L(n,n+2)を求め、移動距離L(n,n+2)が所定の移動距離を超えているか否かを判断する。具体的には、CPU21は移動距離L(n+1,n+2)を求め、これを先に求めた移動距離L(n,n+1)に加算することで、移動距離L(n,n+2)を求める。
【0097】
移動距離L(n,n+2)が所定の移動距離を超えていると判断される場合は、No.(23a1)の「n+2」の位置23a3に、その位置23a3に対応付けられた船首方位角23a4の向きに合わせて漂流船首方向14fを描画するように、CPU21は表示コントローラ24に指示する。
【0098】
一方で、移動距離L(n,n+2)が所定の移動距離を超えていないと判断される場合は、CPU21は、数1によりn番目の位置23a3からn+3番目の位置23a3までの移動距離L(n,n+3)を求め、移動距離L(n,n+3)が所定の移動距離を超えているか否かを判断する。具体的には、CPU21は移動距離L(n+2,n+3)を求め、これを先に求めた移動距離L(n,n+2)に加算することで、移動距離L(n,n+3)を求める。この処理を繰り返すことで、移動距離が所定の移動距離を超えたm番目の位置23a3に、その位置23a3に対応付けられた船首方位角23a4をの向きに合わせて漂流船首方向14fを描画するように、CPU21は、表示コントローラ24に指示する。
【0099】
次に、CPU21は、n+m番目の位置を新たなn番目の位置として上記処理を繰り返す。この処理は、所定の移動距離を超える位置23a3がなくなるまで繰り返し実行される。この処理を順次繰り返すことで、所定の距離毎に漂流船首方向14fを描画することができる。
【0100】
このように、船首方位角23a4に基づいて、漂流時に船舶11の船首の向いた方向を示す漂流船首方向14fが船舶11の航跡14e1上の位置に表示される。ここで、船舶11が漂流状態にある場合、船舶11自身の推進力がないため船体が安定せず船首の方向は不安定となり、使用者は船首の向く方向を予想できない。一方で、本実施形態に係るプロッタ12によれば、漂流中の船首の向いた方向が表示される。これにより、使用者は、漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを認識することができる。漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを使用者がわかれば、例えば船舶11を漂流させて流し釣りをする場合に船舶11の右舷、左舷のどちらに魚のいるポイントが来るのかを使用者が予想しやすくなるという効果がある。
【0101】
S62の処理において、表示範囲の全てが含まれる海
図14bの画像がVRAM25のフレームバッファ25aに格納されていると判断される場合は(S62:Yes)、CPU21は、フレームバッファ25aに格納されている海
図14b、航跡14e、漂流船首方向14fの画像上に、今回新たに取得した位置情報に基づいて船舶マーク14a、航跡14e、漂流船首方向14fを追加するため、S68~S70の処理を実行する。
【0102】
S68の処理では、CPU21は、フレームバッファ25aにおいて今回新たに取得した全位置データ22cに基づいて船舶マーク14a、航跡14e2を描画するように表示コントローラ24に指示する。具体的には、CPU21は、フレームバッファ25aに格納されている海
図14b上の船舶マーク14a部分に海
図14bを上書きするように表示コントローラ24に指示する。そして、フレームバッファ25aにおいて全位置データ22cに新たに記憶された位置22c3とフレームバッファ25aに格納されている海
図14b上の航跡14eの終点とを白色の線で結んで航跡14e2を描画するように、CPU21は表示コントローラ24に指示する。
【0103】
また、CPU21は、所定期間内(例えば、現時点から1分前以内)に記憶された全位置データ22cの位置22c3の中から、所定数の位置22c3(例えば、新しく記憶されたものから10カ所)を用いて、船舶11の位置がどのように変化したかを求め、船舶11の移動方向を求めておく。プロッタ12の電源がオンされてから時間が経過しておらず、所定期間内に記憶された位置22c3の数が所定数に満たない場合は、CPU21は、所定期間内に記憶された全ての位置22c3を用いて、船舶11の移動方向を求める。そして、CPU21は、フレームバッファ25aに格納されている海
図14b上の船舶11の現在地に船舶11の移動方向の向きに合わせて、船舶マーク14aを描画するよう表示コントローラ24に指示する。
【0104】
次に、CPU21は、漂流フラグ23cがオンであるか否かを判断する(S69)。漂流フラグ23cがオンでないと判断される場合は(S69:No)、今回取得した位置情報は非漂流時のものであり、漂流時の航跡14e1を描画する必要がないので、CPU21は、航跡描画処理(S60)を終了する。一方、漂流フラグ23cがオンであると判断される場合は(S69:Yes)、今回取得した位置情報は漂流時のものであり、漂流時の航跡14e1を描画するため、CPU21はS70の処理を実行する。
【0105】
S70の処理では、CPU21は、今回新たに取得した漂流時位置データ23aに基づいて航跡14e1を描画するように表示コントローラ24に指示し、航跡描画処理(S60)を終了する。具体的には、CPU21は、フレームバッファ25aにおいて漂流時位置データ23aに新たに記憶された位置23a3に対応する位置と今回取得した位置23a3のひとつ前に取得した位置23a3とを赤色の線で結んで航跡14e1を描画するように、CPU21は表示コントローラ24に指示する。
【0106】
ここで、S68の処理では、全位置データ22cに基づいて漂流状態又は非漂流状態の航跡14e2が描画される。そして、漂流フラグがオンである(漂流状態である)と判断されると(S69:Yes)、今回取得した位置23a3と今回取得した位置23a3のひとつ前に取得した位置23a3とが赤色の線で結ばれて航跡14e1が描画される(S70)。このとき、今回取得した漂流時位置データ23aの位置23a3は、今回取得した全位置データ22cの位置22c3と同じである。また、今回取得した位置23a3のひとつ前の漂流時位置データ23aの位置23a3は、今回取得した位置22c3のひとつ前の全位置データ22cの位置22c3と同じである。そのため、S70の処理により描画される漂流状態の航跡14e1の経路は、S68の処理で描画された全位置データ22cに基づく漂流状態の航跡14e2の経路と同一の経路である。よって、S70の処理により、S68の処理で描画された全位置データ22cに基づく漂流状態の航跡14e2上に、漂流時位置データ23aに基づく漂流状態の航跡14e1が描画される。
【0107】
なお、今回取得した位置23a3のひとつ前に取得した位置23a3がない場合は、今回船舶11が新たに漂流状態になったものであるため、位置23a3に対応する海
図14b上の位置へ点を描画するようにCPU21は表示コントローラ24に指示する。
【0108】
S64又はS68の処理において漂流状態及び非漂流状態の航跡14eが白色の線で描画された後に、S66又はS70の処理によって漂流状態の航跡14e1が赤色の線で描画される。そのため、漂流状態及び非漂流状態の白色の航跡14eの上に漂流状態の赤色の航跡14e1が上書きされる。従って、漂流状態の航跡14e1は赤色の線で描画され、非漂流状態の航跡14e2は白色の線で描画されたことになる。よって、使用者は、漂流状態の航跡14e1を一目で認識することができる。ここで、船舶11が漂流状態にある場合、船舶11は水面付近の潮流等によって流されるため、漂流状態の航跡14e1は、船舶11が潮流等によって流された跡を示すことになる。よって、本実施形態に係るプロッタ12は、船舶11が漂流状態か否かを判定し、漂流状態の航跡14e1と非漂流状態の航跡14e2との表示態様を変えるだけで、複雑な演算をすることなく、漂流状態において船舶11がどのように流されるかを、使用者に容易に認識させることができるという効果がある。
【0109】
また、S63及びS66の処理において、全位置データ22cに基づいて漂流状態と非漂流状態との航跡14e2が描画され、その後に漂流時位置データ23aに基づいて、航跡14e2と識別可能な態様で、航跡14e1が描画される。これにより、本実施形態に係るプロッタ12は、航跡14eの表示に用いるそれぞれの位置情報が漂流状態のものであるか否かを判定しなくても、漂流状態の航跡14e1と非漂流状態の航跡14e2とを異なる態様で表示することができる。よって、航跡14eに用いるそれぞれの位置情報毎に表示態様を判定するといった複雑な演算を省略することができるという効果がある。
【0110】
次に、
図11を参照して、上記した漂流船首方向描画処理(S80)について説明する。
図11は、制御装置20のCPU21により実行される漂流船首方向描画処理(S80)を示すフローチャートである。漂流船首方向描画処理(S80)は、新たに取得した船首方位角23a4に基づいて漂流船首方向14fを描画するための処理である。
【0111】
漂流船首方向描画処理(S80)では、まず、CPU21は漂流フラグ23cがオンであるか否かを判断する(S81)。S81の処理において、漂流フラグ23cがオンでないと判断される場合は(S81:No)、船舶11は非漂流状態であるため、CPU21は漂流船首方向描画処理(S80)を終了する。
【0112】
一方、S81の処理において、漂流フラグ23cがオンであると判断される場合は(S81:Yes)、今回取得した漂流時位置データ23aの位置23a3より前に、船首方位角23a4が対応付けされた位置23a3が記憶されているか否かをCPU21は判断する(S82)。
【0113】
S82の処理において、フレームバッファ25aに記憶された画像上に漂流船首方向14fが表示されていないと判断される場合は(S82:No)、漂流船首方向14fを描画するため、CPU21は後述のS84の処理を実行する。
【0114】
一方、S82の処理において、フレームバッファ25aに記憶された画像上に漂流船首方向14fが表示されていると判断される場合は(S82:Yes)、CPU21は漂流船首方向14fが前回描画された位置23a3から今回取得した船首方位角23a4に対応する位置23a3までの船舶11の移動距離が所定の移動距離より長いか否かを判断する(S83)。なお、漂流船首方向14fが前回描画された位置23a3から今回取得した船首方位角23a4に対応する位置23a3までの船舶11の移動距離は、数1により求められる。
【0115】
S83の処理において、漂流船首方向14fが前回描画された位置23a3から今回取得した船首方位角23a4に対応付けられた位置23a3までの船舶11の移動距離が所定の移動距離より長くないと判断される場合は(S83:No)、前回漂流船首方向14fを描画してからの移動距離がまだ所定の移動距離を超えず、漂流船首方向14fを表示するタイミングに達していないため、CPU21は、漂流船首方向14fの描画を表示コントローラ24に指示しないで漂流船首方向描画処理(S80)を終了する。
【0116】
一方、S83の処理により、漂流船首方向14fが前回描画された位置23a3から今回取得した船首方位角23a4に対応付けられた位置23a3までの船舶11の移動距離が所定の移動距離より長いと判断される場合は(S83:Yes)、漂流船首方向14fを表示するタイミングに達しているため、S84の処理を実行する。S84の処理において、CPU21は、フレームバッファ25aにおいて漂流船首方向14fを描画するように表示コントローラ24に指示し、その後、漂流船首方向描画処理(S80)を終了する。具体的には、フレームバッファ25aにおいて、船首方位角23a4に対応する位置23a3の海
図14b上の位置に、船首方位角23a4の向きに合わせて漂流船首方向14fを描画するように、CPU21は表示コントローラ24に指示する。
【0117】
このように、船首方位角23a4に基づいて、漂流時に船舶11の船首の向いた方向を示す漂流船首方向14fが船舶11の航跡14e1上の位置に表示される。ここで、船舶11が漂流状態にある場合、船舶11自身の推進力がないため船体が安定せず船首の方向は不安定となり、使用者は船首の向く方向を予想できない。一方で、本実施形態に係るプロッタ12によれば、漂流中の船首の向いた方向が表示される。これにより、使用者は、漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを認識することができる。漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを使用者がわかれば、例えば船舶11を漂流させて流し釣りをする場合に船舶11の右舷、左舷のどちらに魚のいるポイントが来るのかを使用者が予想しやすくなるという効果がある。
【0118】
また、本実施形態に係るプロッタ12によれば、漂流中の船首の向いた方向が複数表示され得る。これにより、使用者は、漂流中に船首の方向の変化を認識することができる。漂流中における船首の方向の変化を使用者がわかれば、例えば船舶11を漂流させて流し釣りをする場合に船舶11の右舷、左舷のどちらに魚のいるポイントが来るのかを使用者が高い精度で予想しやすくなるという効果がある。
【0119】
以上説明した通り、第1実施形態におけるプロッタ12によれば、白色の線で描画された漂流状態と非漂流状態との航跡14eの上に、赤色の線で描画された漂流状態の航跡14e1が上書きされる。従って、漂流状態の航跡14e1は赤色の線で描画され、非漂流状態の航跡14e2は白色の線で描画されたことになる。よって、使用者は、漂流状態の航跡14e1を一目で認識することができる。ここで、船舶11が漂流状態にある場合、船舶11は水面付近の潮流等によって流されるため、漂流状態の航跡14e1は、船舶11が潮流等によって流された跡を示すことになる。よって、本実施形態に係るプロッタ12は、船舶11が漂流状態か否かを判定し、漂流状態の航跡14e1と非漂流状態の航跡14e2との表示態様を変えるだけで、複雑な演算をすることなく、漂流状態において船舶11がどのように流されるかを、使用者に容易に認識させることができるという効果がある。
【0120】
また、第1実施形態におけるプロッタ12によれば、航跡描画処理(S60)のS63及びS66の処理において、全位置データ22cに基づいて漂流状態と非漂流状態との航跡14e2が描画され、その後に漂流時位置データ23aに基づいて、航跡14e2と識別可能な態様で、航跡14e1が描画される。これにより、本実施形態に係るプロッタ12は、航跡14eの表示に用いるそれぞれの位置情報が漂流状態のものであるか否かを判定しなくても、漂流状態の航跡14e1と非漂流状態の航跡14e2とを異なる態様で表示することができる。よって、航跡14eに用いるそれぞれの位置情報毎に表示態様を判定するといった複雑な演算を省略することができるという効果がある。
【0121】
また、第1実施形態におけるプロッタ12によれば、ドッグクラッチの状態を示すシフトレバーデータ23bに基づいて判定するだけで、船舶11が漂流状態にあるか否かを判定することができる。よって、船舶11が漂流状態にあるか否かを容易に判定することができるという効果がある。
【0122】
また、第1実施形態におけるプロッタ12によれば、全位置データ22cは、不揮発性のメモリであるフラッシュメモリ22に記憶される。これにより、プロッタ12の電源がオフになっても、漂流状態及び非漂流状態の位置情報を全位置データ22cにまとめて記憶しておくことができる。よって、電源が切られた後に電源が再投入された場合でも、今回電源が投入される前に全位置データ22cに記憶された漂流状態及び非漂流状態の位置情報に基づく航跡14eを表示装置14に表示することができる。従って、電源が切られた後に電源が再投入された場合でも、今回電源が投入される前に全位置データ22cに記憶された漂流状態及び非漂流状態の位置情報に基づく航跡14eを使用者が見ることができるという効果がある。
【0123】
また、第1実施形態におけるプロッタ12によれば、船舶11が漂流状態にあるときの位置情報が、漂流時位置データ23aとして記憶される。従って、漂流時位置データ23aに記憶された位置情報に基づいて表示する航跡14e1を、他の航跡14e2と識別可能な態様で表示するだけで、漂流状態において船舶11がどのように流されたかを使用者に認識させることができるという効果がある。
【0124】
また、第1実施形態におけるプロッタ12によれば、船首方位角23a4に基づいて、漂流時に船舶11の船首の向いた方向を示す漂流船首方向14fが船舶11の航跡14e1上の位置に表示される。ここで、船舶11が漂流状態にある場合、船舶11自身の推進力がないため船体が安定せず船首の方向は不安定となり、使用者は船首の向く方向を予想できない。一方で、本実施形態に係るプロッタ12によれば、漂流中の船首の向いた方向が表示される。これにより、使用者は、漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを認識することができる。漂流中に船首の方向がどの向きを向いたかを使用者がわかれば、例えば船舶11を漂流させて流し釣りをする場合に船舶11の右舷、左舷のどちらに魚のいるポイントが来るのかを使用者が予想しやすくなるという効果がある。
【0125】
次いで、
図12~14を参照して、第2実施形態におけるプロッタ12について説明する。第1実施形態におけるプロッタ12は、ドッグクラッチがニュートラル状態にあるか否かによって、船舶11が漂流状態にあるか否かを判断した。これに対して第2実施形態におけるプロッタ12は、エンジンEにおけるクランクシャフトの回転数が閾値Xより低いか否かによって、船舶11が漂流状態にあるか否かを判断する。なお、その他のプロッタ12の構成、及び、各処理は第1実施形態と同一であるので、その説明を省略する。以下、同一の構成については第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
図12は、第2実施形態であるプロッタ12の電気的構成を示したブロック図であり、
図13は、制御装置20のCPU21により実行されるメイン処理を示すフローチャートであり、
図14は、制御装置20のCPU21により実行される回転数データ記憶処理(S100)を示すフローチャートである。
【0127】
図12に示す通り、第2実施形態におけるプロッタ12のRAM23には第1実施形態のシフトレバーデータ23bに代えて回転数データ23dが記憶される。回転数データ23dは、エンジンEにおけるクランクシャフト(図示せず)の回転数を示すデータである。クランクシャフトは、エンジンEによって生じたピストン運動の動力を回転運動の動力に変換させるための回転軸であり、エンジンEに設けられている。エンジンEには、クランクシャフトの回転数を検知するためのエンジン回転センサ(図示せず)が備えられており、クランクシャフトの回転数が検知される。検知結果は、ECU18を経由して本体13へ送信される。本体13へ検知結果を送信するときの通信規格としては、例えばNMEA2000が用いられる。本体13へ送信されたクランクシャフトの回転数の情報である回転情報は、回転数データ23dとしてRAM23に記憶される。
【0128】
回転数データ23dは、後述の回転数データ記憶処理(S100)において、船舶11が漂流状態にあるか否かをCPU21が判断するときに用いられる。即ち、クランクシャフトの回転数が閾値Xより低い場合は、エンジンEにより生じた動力による船舶11の移動はないか無視できる程度であるため、船舶11は漂流状態にあると、CPU21は判断する。クランクシャフトの回転数が閾値Xより低くない場合は、エンジンEにより生じた動力により船舶11は移動するため、船舶11は非漂流状態にあると、CPU21は判断する。ECU18が送信する回転数情報をCPU21が受信すると、後述の回転数データ記憶処理(S100)において、CPU21は回転数情報を回転数データ23dとしてRAM23に上書きにより記憶する。
【0129】
図13に示す通り、第2実施形態におけるプロッタ12のCPU21により実行されるメイン処理では、第1実施形態のS1の処理とシフトレバーデータ記憶処理(S10)とに代えて、S90の処理と回転数データ記憶処理(S100)とが実行される。CPU21によりメイン処理が実行されると、まず、CPU21はECU18から送信された回転情報をCPU21が受信したか否かを判断する(S90)。回転情報を受信したと判断される場合は(S90:Yes)、CPU21は後述の回転数データ記憶処理(S100)を実行した後、S2の処理を実行する。一方、回転情報を受信していないと判断される場合は(S90:No)、CPU21はS2の処理を実行する。
【0130】
次に、
図14を参照して、回転数データ記憶処理(S100)について説明する。回転数データ記憶処理(S100)は、ECU18から送信された回転情報を回転数データ23dに記憶し、漂流フラグ23cをオン又はオフするための処理である。
【0131】
図14に示す通り、回転データ記憶処理(S100)では、まず、CPU21は、ECU18から送信された回転情報をRAM23の回転数データ23dに記憶する(S101)。次に、CPU21は、S101の処理で記憶した回転数データ23dに基づいてクランクシャフトの回転数が閾値Xより低いか否かを判断する(S102)。このときの閾値Xは、例えば300回転/分である。S102の処理において、クランクシャフトの回転数が閾値Xより低いと判断される場合は(S102:Yes)、エンジンEにより生じた動力による船舶11の移動はないか無視できる程度であるため、船舶11は漂流状態にあるといえる。そのため、船舶11がエンジンEの動力によって移動しておらず、漂流状態にあるものとして、CPU21は漂流フラグ23cをオンし(S103)、回転データ記憶処理(S100)を終了する。
【0132】
一方、S102の処理において、クランクシャフトの回転数が閾値Xより低くないと判断される場合は(S102:No)、エンジンEにより生じた動力による船舶11の移動が有意であるため、船舶11は漂流状態にない(非漂流状態にある)。そのため、船舶11がエンジンEの動力によって移動しており非漂流状態にあるものとして、CPU21は漂流フラグ23cをオフし(S104)、回転データ記憶処理(S100)を終了する。
【0133】
このように、第2実施形態におけるプロッタ12によれば、クランクシャフトの回転数示す回転数データ23dに基づいて判定するだけで、船舶11が漂流状態にあるか否かを判定することができる。よって、船舶11が漂流状態にあるか否かを容易に判定することができるという効果がある。
【0134】
その他、第2実施形態におけるプロッタ12は、第1実施形態と同一の構成によって、同一の効果を奏する。
【0135】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしてもよい。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0136】
上記各実施形態では、航跡表示装置の一例としてプロッタ12に本発明を適用させて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、航跡表示装置としてプロッタ機能を有する魚群探知機やサーチライトソナー(PPIソナー)装置に本発明を適用させてもよい。
【0137】
上記各実施形態では、漂流時の航跡14e1を赤色の線で表示し、非漂流時の航跡14e2を白色の線で表示することで使用者に識別可能となるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、漂流時の航跡14e1と非漂流時の航跡14e2との線の色、太さ、種類、透過率の少なくとも1つを異ならせることで、使用者に識別可能となるような構成としてもよい。また、漂流時の航跡14e1と非漂流時の航跡14e2とは、線の色、太さ、種類、透過率以外の構成を異ならせることで、使用者が識別可能なものとしてもよい。
【0138】
上記各実施形態では、船舶マーク14aと漂流船首方向14fとの位置関係については特に限定していない。これに対し、船舶マーク14aと最新の漂流船首方向14fとの間隔を少なくとも特定の移動距離空けることで、船舶マーク14aと漂流船首方向14fとが重ならないような構成としてもよい。具体的には、船舶マーク14aから少なくとも特定の距離後ろの位置に漂流船首方向14fを表示する構成としてもよい。
【0139】
上記各実施形態では、RAM23に漂流時位置データ23aを記憶させたが、これに限定されるものではない。例えば、全位置データ22cの各位置22c3に対応付けた漂流状態か否かを示す全位置漂流フラグを全位置データ22cに設け、それぞれの位置22c3が漂流状態のものであるか、非漂流状態のものであるを判別できるようにしてもよい。即ち、漂流フラグ23cがオンであると判断されるときに取得される位置22c3に対応する全位置漂流フラグはオンとされ、漂流フラグ23cがオフであると判断されるときに取得される位置22c3に対応する全位置漂流フラグはオフとされる。そして、全位置漂流フラグがオンである位置22c3を通る航跡14eを例えば赤色の線で表示し、全位置漂流フラグがオフである位置22c3を通る航跡14eを例えば白色の線で表示することで、漂流状態の航跡と非漂流状態の航跡とを識別可能な態様で表示することができる。このように全位置データ22cに全位置漂流フラグを設けることで、RAM23に記憶するデータの量を減らすことができるという効果がある。
【0140】
また、全位置データ22cの各位置22c3に対応付けた全位置漂流フラグを全位置データ22cに設けた場合、全位置データ22cの各位置22c3に対応付けてコンパス16から送信される船首方向の情報を全位置データ22cに記憶させてもよい。そして、全位置漂流フラグ23cがオンである位置22c3に対応付けられた船首方向の情報に基づいて、漂流船首方向14fを表示するようにしてもよい。これにより、RAM23に漂流時位置データ23aを記憶させなくても漂流船首方向14fを表示させることができるため、RAM23に記憶するデータの量を減らすことができるという効果がある。
【符号の説明】
【0141】
11 船舶
12 プロッタ(航跡表示装置)
14 表示装置(表示手段)
22 フラッシュメモリ(第2記憶手段)
23 RAM(第1記憶手段)
24 表示コントローラ(描画手段)
25a フレームバッファ
S10 シフトレバーデータ記憶処理(動力伝達情報取得手段)
S30 位置データ記憶処理(位置情報取得手段)
S50 船首方位角記憶処理(船首情報取得手段)
S64,S66,S68,S70 (表示制御手段)
S67,S84 (船首方向表示制御手段)
S69 (漂流判定手段)
S100 回転データ記憶処理(回転情報取得手段)