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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】結合コイル
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20220929BHJP
   E04H 17/04 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
E01F7/04
E04H17/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019003358
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020111961
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】594116334
【氏名又は名称】筑豊金網工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】菅 文彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳一
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178480(JP,A)
【文献】実公昭43-005398(JP,Y1)
【文献】実開昭60-055654(JP,U)
【文献】特開平11-223050(JP,A)
【文献】実開昭55-024347(JP,U)
【文献】特表2014-506490(JP,A)
【文献】特開2007-309090(JP,A)
【文献】特開2013-245491(JP,A)
【文献】実開昭55-136813(JP,U)
【文献】特許第6355291(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/04
E04H 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金網とワイヤーロープとに、これらを縫い合わせるように通して、前記金網と前記ワイヤーロープとを結合するための結合コイルにおいて、
同一コイルピッチで形成されたコイル本体と、前記コイル本体の一方端にのみ形成された係止部とからなり、前記結合コイルにおけるコイルピッチは前記コイル本体における第1のコイルピッチと前記係止部における第2のコイルピッチのみからなり、前記第2のコイルピッチ、前記第1のコイルピッチより狭いことを特徴とする結合コイル。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記係止部は、前記コイル本体の一端を、前記コイル本体の軸線に対して直角に折り曲げることによって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の結合コイル。
【請求項3】
前記金網は、菱形金網からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の結合コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結合コイル、特に、例えば、落石防止柵における金網とワイヤーロープとを結合する際に使用する結合コイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、斜面からの道路等への落石を防止するための落石防護柵は、図4に示すように、斜面11の横方向に所定間隔をあけて構築された支柱12と、支柱12と斜面11との間に張られた、落石13を受け止める金網14とから構成されている。
【0003】
支柱12は、支柱用ワイヤーロープ15によって、斜面11に打込まれたアンカー16に固定されている。
【0004】
図6に示すように、金網14は、金網用ワイヤーロープ17に、図5に示すような結合コイル18を介して結合され、斜面11に沿って張られている。
【0005】
図6に示すように、金網14と金網用ワイヤーロープ17とは、これらを縫い合わせるように、結合コイル18を金網14と金網用ワイヤーロープ17とに通すことによって結合されている。
【0006】
上述した落石防護柵によれば、落石を防止することはできるが、落石時の衝撃による金網14の振動や風等により結合コイル18が軸回りに回転して、結合コイル18が金網用ワイヤーロープ17に沿って移動し、この結果、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれがあった。
【0007】
そこで、上記問題を解決する結合コイルが特許文献1に開示されている。以下、この結合コイルを結合コイルAといい、図面を参照しながら説明する。
【0008】
図7は、結合コイルAによる結合状態を示す一部省略正面図である。
【0009】
図7に示すように、結合コイルAは、コイル本体19とコイル本体19の両端に形成された折曲部20とからなっている。
【0010】
結合コイルAによれば、コイル本体19の両端に折曲部20を形成することによって、落石時の衝撃により金網14が変形しても、折曲部20が金網14に引っ掛かる結果、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されることを抑制することができる。
【0011】
また、特許文献2には、別の結合コイルが開示されている。以下、この別の結合コイルを結合コイルBといい、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図8は、結合コイルBを示す正面図、図9は、結合コイルBによる結合状態を示す一部省略正面図である。
【0013】
図8に示すように、結合コイルBは、コイル本体21と、コイル本体21の一方端に形成された座巻部22とからなっている。座巻部22は、コイル本体21の一方端のコイルを密着させることによって形成されている。
【0014】
結合コイルBによれば、コイル本体21の一方端に座巻部22を形成することによって、金網14と金網用ワイヤーロープ17とに通された結合コイルBの座巻部22が金網14に係合する結果、落石時の衝撃による金網14の振動や風等により結合コイルBが軸回りに回転して、金網用ワイヤーロープ17に沿って移動し、この結果、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特許第6355291号公報
【文献】実開昭55-136813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した結合コイルAによれば、落石時の衝撃により金網14が変形しても、折曲部20が金網14に引っ掛かる結果、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されることを抑制することはできるが、落石時の衝撃による金網14の振動や風等により金網14への折曲部20の引っ掛かりがなくなり、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれがあった。
【0017】
また、結合コイルBによれば、座巻部22が金網14に係合しているので、落石時の衝撃による金網14の振動や風等により結合コイルBが軸回りに回転して、金網用ワイヤーロープ17に沿って移動し、この結果、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれはないが、結合コイルBを金網14と金網用ワイヤーロープ17とに通す際に、コイル本体21部分は、コイルピッチが広いので問題なく通せるが、座巻部22部分は、コイルの開きがないので通すのに時間と手間を要する。
【0018】
従って、この発明の目的は、落石時の衝撃による金網の振動や風等により金網と金網用ワイヤーロープとの結合が解除されるおそれがなく、しかも、金網と金網用ワイヤーロープとに、コイルピッチを強制的に広げることなく、容易に通すことができる結合コイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0020】
請求項1に記載の発明は、金網とワイヤーロープとに、これらを縫い合わせるように通して、前記金網と前記ワイヤーロープとを結合するための結合コイルにおいて、同一コイルピッチで形成されたコイル本体と、前記コイル本体の一方端にのみ形成された係止部とからなり、前記結合コイルにおけるコイルピッチは前記コイル本体における第1のコイルピッチと前記係止部における第2のコイルピッチのみからなり、前記第2のコイルピッチ、前記第1のコイルピッチより狭いことに特徴を有するものである。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記係止部は、前記コイル本体の一端を、前記コイル本体の軸線に対して直角に折り曲げることによって形成されていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記金網は、菱形金網からなることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、係止部のコイルピッチをコイル本体のコイルピッチより狭くすることによって、落石時の衝撃による金網の振動や風等により金網と金網用ワイヤーロープとの結合が解除されるおそれがなく、しかも、金網と金網用ワイヤーロープとに、コイルピッチを強制的に広げることなく、容易に通すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の結合コイルCを示す正面図である。
図2】この発明の結合コイルCを示す側面図である。
図3】この発明の結合コイルCによる結合状態を示す一部省略正面図である。
図4】落石防護柵を示す概略側面図である。
図5】結合コイルを示す正面図である。
図6】結合コイルによる結合状態を示す一部省略正面図である。
図7】結合コイルAによる結合状態を示す一部省略正面図である。
図8】結合コイルBを示す正面図である。
図9】結合コイルBによる結合状態を示す一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の結合コイルの一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、この発明の結合コイルCを示す正面図、図2は、この発明の結合コイルCを示す側面図、図3は、この発明の結合コイルCによる結合状態を示す一部省略正面図である。
【0027】
図1から図3に示すように、この発明の結合コイルCは、同一コイルピッチP1で形成されたコイル本体1と、コイル本体1の一方端に形成された係止部2とからなり、係止部2のコイルピッチP2は、コイル本体1のコイルピッチP1より狭く形成されている。
【0028】
このように構成されている、この発明の結合コイルCにより金網14と金網用ワイヤーロープ17とを結合するには、図3に示すように、コイル本体1の係止部2と反対側の端部3を金網14と金網ワイヤーロープ17とに通した状態で、結合コイルCを、図中、矢印方向に回転させる。
【0029】
このように結合コイルCを回転させると、金網14と金網ワイヤーロープ17とがコイル本体1により結合されて行くが、係止部2が金網14のP点(図3参照)と接触した以降は、結合コイルCの回転は、阻止される。
【0030】
この理由は、係止部2のコイルピッチP2がコイル本体1のコイルピッチP1より狭いことにある。例えば、雌ねじに途中から雌ねじのねじのピッチが異なる雄ねじを螺合させた状態と同じであり、ねじのピッチが異なることからそれ以上は、雄ねじは、雌ねじ内にねじ込まれない。
【0031】
従って、落石時の衝撃による金網14の振動や風等により結合コイルCが回転して、金網用ワイヤーロープ17に沿って移動し、この結果、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれはない。
【0032】
なお、結合コイルCの回転に際して、係止部2は、V字状に開いているので、金網14および金網ワイヤーロープ17は、係止部2内に容易に入り込み、強制的に係止部2のピッチを広げる必要はない。
【0033】
以上は、結合コイルCを図3中、右から左方向に移動させて、金網14と金網ワイヤーロープ17とを結合する場合であるが、結合コイルCを逆方向、すなわち、左から右方向に移動させて結合する場合も同様であり、金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれはない。
【0034】
以上、説明したように、この発明によれば、係止部2のコイルピッチP2をコイル本体1のコイルピッチP1より狭くすることによって、落石時の衝撃による金網14の振動や風等により金網14と金網用ワイヤーロープ17との結合が解除されるおそれがなく、しかも、金網14と金網用ワイヤーロープ17とに、コイルピッチを強制的に広げることなく、容易に通すことができる。
【符号の説明】
【0035】
1:コイル本体
2:係止部
3:コイル本体の反対側端部
11:斜面
12:支柱
13:落石
14:金網
15:支柱用ワイヤーロープ
16:アンカー
17:金網用ワイヤーロープ
18:結合コイル
19:コイル本体
20:折曲部
21:コイル本体
22:座巻部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9