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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】梱包用枠体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/68 20060101AFI20220929BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20220929BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
E04H1/12 301
E04H1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019172243
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021050001
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-02-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年6月28日、大阪府咲洲庁舎横駐車場 令和元年6月28日、株式会社タニモト、災害時に活躍する組立式コインシャワーの魅力 ENCOURAGE(エンカレッジ)タイプI・II・III 令和元年6月28日、株式会社タニモト、緊急災害対応シャワーシリーズ 組立式屋外用コインシャワー
(73)【特許権者】
【識別番号】392015745
【氏名又は名称】株式会社タニモト
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100121924
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】谷本 年春
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0150757(US,A1)
【文献】特開2012-176759(JP,A)
【文献】特開2009-113825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/68
E04H 1/12
E04H 1/02
B65D 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包状態で上部枠体の柱材と下部枠体の柱材とが接続部により接続され、前記接続部の接続を解除することで前記上部枠体と前記下部枠体とが分離可能である梱包用枠体において、
前記梱包用枠体に組立前の組立式シャワー装置が梱包され、
前記上部枠体の柱材と前記下部枠体の柱材との間に継ぎ足される継足部材を備え、
開梱状態で、前記梱包用枠体の前記上部枠体と前記下部枠体の間に前記継足部材が継ぎ足され、前記継足部材の一端は、前記上部枠体と前記下部枠体のいずれか一方の柱材に前記接続部により接続され、前記継足部材の他端は、前記上部枠体と前記下部枠体のいずれか他方の柱材に連結部により連結され、
組立後の前記組立式シャワー装置の前に前記梱包用枠体が脱衣場として設置されるように構成されていることを特徴とする梱包用枠体。
【請求項2】
前記接続部は、筒状部材と固定部材とを備え、
前記接続部の筒状部材の一端は、前記下部枠体の柱材が挿入されて固定され、
前記接続部の筒状部材の他端は、前記梱包状態では、前記上部枠体の柱材が挿入されて前記接続部の固定部材により固定され、前記開梱状態では、前記継足部材の下端が挿入されて前記接続部の固定部材により固定されることを特徴とする請求項1に記載の梱包用枠体。
【請求項3】
前記連結部は、筒状部材と固定部材とを備え、
前記連結部の筒状部材の一端は、前記継足部材の上端が挿入されて固定され、
前記連結部の筒状部材の他端は、前記開梱状態で、前記上部枠体の柱材が挿入されて前記連結部の固定部材により固定されることを特徴とする請求項に記載の梱包用枠体。
【請求項4】
前記脱衣場としての枠体の両側面と天面がシートで覆われ、背面が前記組立式シャワー装置の入口ドアに面し、正面にカーテンが取り付けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の梱包用枠体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再利用可能な梱包用枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種装置や機械等の荷を梱包して輸送するのに木枠が使用されている。木枠は、荷の大きさや形状に合わせて作製されているため、開梱後は用途がなく、再利用せずに廃棄されている。
【0003】
組立式シャワー装置も木枠で梱包して出荷されるが、設置場所で組み立てられた後は、分解して廃棄処分される。組立式シャワー装置は、近年、地震や津波、洪水等で水道、電気等のライフラインの被害を被った被災地の避難場所に設置されたり、災害時の備えとして備蓄されている。
【0004】
特許文献1には、シャワー室として使用される第1空間と、脱衣場として使用される第2空間とを備えた組立式シャワー装置が記載されている。また。本願出願人らにより出願された特許文献2には、パネルの組み付けによって形成される組立ボックス内に、洗い場領域と、該洗い場領域より床が高位にある脱衣場領域とを有するシャワー室ユニットが提案され、実用化されている。
【0005】
組立式シャワー装置は迅速に設置して利用することができるが、利用者からはプライバシー保護のためにも、ゆったりとしたスペースの脱衣所や休憩所が要望されている。このような脱衣所や休憩所を設けるには、組立式シャワー装置全体を覆う大テントや、組立式シャワー装置に隣接した小テントを設置しなければならず、そのための費用やスペースが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-122318号公報
【文献】特開1999-107554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、開梱後も有効利用することができる梱包用枠体、特に脱衣場として再利用することができる組立式コインシャワー装置用の梱包用枠体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、
梱包状態で上部枠体の柱材と下部枠体の柱材とが接続部により接続され、前記接続部の接続を解除することで前記上部枠体と前記下部枠体とが分離可能である梱包用枠体において、
前記梱包用枠体に組立前の組立式シャワー装置が梱包され、
前記上部枠体の柱材と前記下部枠体の柱材との間に継ぎ足される継足部材を備え、
開梱状態で、前記梱包用枠体の前記上部枠体と前記下部枠体の間に前記継足部材が継ぎ足され、前記継足部材の一端は、前記上部枠体と前記下部枠体のいずれか一方の柱材に前記接続部により接続され、前記継足部材の他端は、前記上部枠体と前記下部枠体のいずれか他方の柱材に連結部により連結され、
組立後の前記組立式シャワー装置の前に前記梱包用枠体が脱衣場として設置されるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明では、上部枠体と下部枠体の間に荷を収容し、上部枠体と下部枠体を接続部で接続することで荷を梱包することができる。また、接続部の接続を解除することで上部枠体と下部枠体とを分離して開梱することができる。開梱後は、上部枠体と下部枠体を再度接続部で接続することで、同一又は同様の荷の梱包に再利用することができる。
【0010】
発明では、上部枠体の柱材と下部枠体の柱材とが分離可能であるため、上部枠体を上下に移動させるだけで、接続部材による接続と分離が可能である。
【0011】
本発明では、上部枠体の柱材と下部枠体の柱材との間に継足部材を継ぎ足すことで、枠体を嵩上げして再利用することができる。
【0012】
本発明によれば、組立式シャワー装置を開梱して、上部枠体と下部枠体の間に継足部材を継ぎ足し、組立後の組立式シャワー装置の前に脱衣場として設置することができるので、組立式シャワー装置の梱包用枠体を組立式シャワー装置の脱衣場として再利用することができる。
【0013】
前記接続部は、筒状部材と固定部材とを備え、
前記接続部の筒状部材の一端は、前記下部枠体の柱材が挿入されて固定され、
前記接続部の筒状部材の他端は、前記梱包状態では、前記上部枠体の柱材が挿入されて前記接続部の固定部材により固定され、前記開梱状態では、前記継足部材の下端が挿入されて前記接続部の固定部材により固定されることが好ましい。
本発明では、筒状部材に柱材を挿入して固定部材で固定するだけで上部枠体と下部枠体を接続することができ、また、固定部材の固定を解除し、筒状部材から柱材を引き抜くだけで上部枠体と下部枠体を分離することができる。
【0014】
前記連結部は、筒状部材と固定部材とを備え、
前記連結部の筒状部材の一端は、前記継足部材の上端が挿入されて固定され、
前記連結部の筒状部材の他端は、前記開梱状態で、前記上部枠体の柱材が挿入されて前記連結部の固定部材により固定されることが好ましい。
本発明では、継足部材の一端を上部枠体の柱材又は下部枠体の柱材の接続部に接続し、
継足部材の他端を固定部により上部枠体の柱材又は下部枠体の柱材に固定するだけで、枠体を嵩上げして再利用することができる。
【0015】
前記脱衣場としての枠体の両側面と天面がシートで覆われ、背面が前記組立式シャワー装置の入口ドアに面し、正面にカーテンが取り付けられることが好ましい。
本発明によれば、正面のカーテンを開けて脱衣場に入り、背面から組立式シャワー装置の入口ドアを開けて、内部に入り、シャワーを利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上部枠体と下部枠体の間に荷を収容し、上部枠体と下部枠体を接続部で接続することで荷を梱包することができる。また、接続部の接続を解除することで上部枠体と下部枠体とを分離して開梱することができる。開梱後は、上部枠体と下部枠体を再度接続部で接続することで、同一又は同様の荷の梱包に再利用することができる。
本発明によれば、組立式シャワー装置を開梱して、上部枠体と下部枠体の間に継足部材を継ぎ足し、組立後の組立式シャワー装置の前に脱衣場として設置することができるので、組立式シャワー装置の梱包用枠体を組立式シャワー装置の脱衣場として再利用することができる。
【0017】
また、組立式シャワー装置を開梱して、上部枠体と下部枠体の間に継足部材を継ぎ足し、組立後の組立式シャワー装置の前に脱衣場として設置することができるので、組立式シャワー装置の梱包用枠体を組立式シャワー装置の脱衣場として再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る梱包用枠体の分解正面図。
図2図1の梱包用枠体の上部枠体の平面図。
図3図1の梱包用枠体の下部枠体の平面図。
図4】上部枠体と下部枠体の接続部の拡大正面図。
図5】本発明の他の実施形態に係る組立式シャワー装置用の梱包用枠体の梱包状態の正面図。
図6図5の梱包用枠体の分解斜視図。
図7図5の梱包用枠体の開梱後に継足部材を取り付ける状況を示す斜視図。
図8】上部枠体と継足部材の連結部の拡大正面図。
図9】組立式シャワー装置の前に梱包用枠体を再利用した脱衣場を設置した状態を示す斜視図。
図10】梱包用枠体を再利用した脱衣場の側面をナイロンベルトとターンバックルで補強した状況を示す側面図。
図11】ターンバックルによるナイロンベルトの締め付け状況を示す図10の部分拡大図。
図12】組立式シャワー装置の前に梱包用枠体を再利用した脱衣場を設置した状態を示す側面図。
図13】組立式シャワー装置の前に梱包用枠体を再利用した脱衣場を設置した状態を示す正面図。
図14】組立式シャワー装置の前に梱包用枠体を再利用した脱衣場を設置した状態を示す平面図。
図15】組立式シャワー装置の前に梱包用枠体を再利用した脱衣場を設置した実際の状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0020】
<再利用可能な梱包用枠体>
図1は、本発明の実施形態に係る梱包用枠体1を示す。なお、本明細書において、図1の梱包用枠体1の紙面上の面を前側、その反対側の面を後側、図1の梱包用枠体1の左の面を左側、その反対側の右の面を右側という。梱包用枠体1は、上部枠体2と、下部枠体3と、接続部4とから構成されている。
【0021】
上部枠体2は、水平な矩形の枠本体5と、該枠本体5を支持する6本の柱材6とを備えている。枠本体5は、図2に示すように、前側の3本の柱材6の間に設けられた前枠5aと、後側の3本の柱材6の間に設けられた後枠5bと、左側の2本の柱材6の間に設けられた左枠5cと、右側の2本の柱材6の間に設けられた右枠5dと、中央の2本の柱材6の間に設けられた中枠5eと、中枠5eと左枠5c、中枠5eと右枠5dのそれぞれの間に設けられた補強材5fと、前枠5aと左枠5c、後枠5bと左枠5c、前枠5aと右枠5d、後枠5bと右枠5dのそれぞれの内角部に設けられたブラケット5gとで矩形枠状に形成されている。前枠5a、後枠5b、左枠5c、右枠5d、中枠5e、補強材5f及びブラケット5gは木製の角材で形成されている。
【0022】
上部枠体2の枠本体5は、6本の柱材6の上端より下方の位置に設けられている。6本の柱材6は、木製の角材で形成されている。上部枠体2の柱材6の下部には、図4(b)に示すように、接続部4の後述する筒状部材11のボルト孔11aと連通するボルト貫通孔6aが形成されている。
【0023】
同様に、下部枠体3は、水平な矩形の枠本体7と、該枠本体7を支持する6本の支柱8とを備えている。枠本体7は、図3に示すように、前側の3本の柱材8の間に設けられた前枠7aと、後側の3本の柱材8の間に設けられた後枠7bと、左側の2本の柱材8の間に設けられた左枠7cと、右側の2本の柱材8の間に設けられた右枠7dと、中央の2本の柱材8の間に設けられた中枠7eと、中枠7eと左枠7c、中枠7eと右枠7dのそれぞれの間に設けられた補強材7fと、前枠7aと左枠7c、後枠7bと左枠7c、前枠7aと右枠7d、後枠7bと右枠7dのそれぞれの内角部に設けられたブラケット7gとで矩形枠状に形成されている。
【0024】
下部枠体3の枠本体7は柱材8の下端より上方の位置に設けられ、枠本体7と地面との間にフォークリフトのフォークが挿入可能な空間が形成されている。下部枠体3の枠本体7の上面には床板9が設けられている。6本の柱材8は、木製の角材で形成されている。下部枠体3の左右の4本の柱材8の下端には必要に応じてキャスタ10が設けられ、床面を転動して輸送できるようになっている。下部枠体3の中央の2本の柱材8には、アジャストボルト10aが取り付けられている。なお、下部枠体3の6本の柱材8の下端に予めナットを固着しておくことで、キャスタ10とアジャストボルト10aをどちらでも取り付けることができるようにすることが好ましい。
【0025】
接続部4は、図4に示すように、筒状部材11と固定部材12とからなっている。筒状部材11は、上部枠体2の柱材6の下端と下部枠体3の柱材8の上端が挿入可能な角形の金属材料からなり、上部枠体2の柱材6の下端が挿入される挿入空間13を残して、下部枠体3の柱材6の上端にねじ14で固定されている。筒状部材11には、挿入空間13を横切るようにボルト孔11aが形成されている。固定部材12は、筒状部材11の挿入空間13に挿入された上部枠体2の柱材6のボルト挿入孔6aと、筒状部材11のボルト孔11aに挿通される蝶ナット12a付きの固定ボルト12bからなっている。
【0026】
以上の構成からなる梱包用枠体1は、装置や機械等の荷30を梱包するのに使用し、開梱後は再利用することができる。
【0027】
すなわち、下部枠体3の枠本体7の床板9上に梱包する荷30を設置し、上部枠体2を荷30の上方に移動して、図4に示すように、下部枠体3の柱材8の上端に取り付けられた筒状部材11の挿入空間13に、上部枠体2の柱材6の下端を挿入し、上部枠体2の柱材6のボルト挿入孔6aと、筒状部材11のボルト孔11aに固定ボルト12bを挿通して、蝶ナット12aで締め付ける。これにより、下部本体3に上部本体2が接続され、荷30の梱包が終了する。荷30を梱包した状態の枠体1は、下部枠体3の下方の空間にフォークリフトのフォークを挿入して搬送し、トラック等に荷積し、輸送することができる。また、梱包状態の荷を保管することもできる。
【0028】
荷30を梱包した枠体1を開梱するには、下部枠体3と上部枠体2の接続部4の蝶ナット12aを外して固定ボルト12bを引き抜くことで、下部枠体3と上部枠体2の接続を解除し、上部枠体2を上方に移動して分離することで、荷30を取り出すことができる。開梱後は、上部枠体2と下部枠体3を再度、接続部4で接続することで、同一又は同様の荷30の梱包に再利用したり、通函箱としても使用することができる。このため、開梱後の枠体1を破棄処分する必要がない。
【0029】
<組立式シャワー装置用の梱包用枠体>
図5は、組立式シャワー装置31を荷とする本発明の実施形態に係る梱包用枠体1を示す。この梱包用枠体1は、特記以外は図1に示す梱包用枠体1と同一であるので、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0030】
図5の梱包用枠体1には、上部枠体2の前枠5aの下方の2つの柱材6の間にカーテンレール16が設けられている。また、図6に示すように、開梱後の枠体1を組立式シャワー装置31の脱衣場32として使用するのに必要な6本の継足部材17と、シート33と、カーテン34が同梱されている。
【0031】
継足部材17は、上部枠体2の柱材6と下部枠体3の柱材8の間に継ぎ足されるもので、これらの柱材6,8と同じ大きさの木製の角材からなっている。図7に示すように、継足部材17の下端には、接続部4の筒状部材11のボルト孔11aと連通するボルト貫通孔17aが形成されている。継足部材17の上端には、上部部材2の柱材6と連結するための連結部18が設けられている。
【0032】
連結部18は、下部枠体3の接続部4と同様に、筒状部材19と固定部材20とからなっている。筒状部材19は、上部枠体2の柱材6の下端と継足部材17の上端が挿入可能な角形の金属材料からなり、上部枠体2の柱材6の下端が挿入される挿入空間21を残して、継足部材17の上端にねじ22で固定されている。筒状部材19には、挿入空間21を横切るようにボルト孔19aが形成されている。固定部材20は、筒状部材19の挿入空間21に挿入された上部枠体2の柱材6のボルト挿入孔6aと、筒状部材19のボルト孔19aに挿通される蝶ナット20a付きの固定ボルト20bとからなっている。
【0033】
以上の構成からなる組立式シャワー装置31用の梱包用枠体1は、組立式シャワー装置31を梱包するのに使用し、開梱後は組立式シャワー装置31の脱衣場32として再利用することができる。
【0034】
すなわち、組立式シャワー装置31は、予め、床、壁、天井等のパネルとシャワーユニットを積層して折り畳まれた状態にしてある。組立式シャワー装置31の構成は、本願出願人らの出願に係る前述した特許文献2(特開平11-107554号公報)に詳述されているので、ここでは説明を省略する。
【0035】
梱包用枠体1により組立式シャワー装置31を梱包するには、既に説明したように、下部枠体3の床板9上に組立式シャワー装置31を設置し、接続部4の固定部材12を使用して下部枠体3に上部枠体2を接続する。上部枠体2の枠本体5の上面に6本の継足部材17と、シート33、カーテン34を載置して固定してもよい。この状態で、災害用品として倉庫に備蓄したり、被災地等に輸送することができる。
【0036】
組立式シャワー装置31を梱包した枠体1を開梱するには、既に説明したように、下部枠体3と上部枠体2の接続部4の接続を解除することで、組立式シャワー装置31を取り出すことができる。組立式シャワー装置31は、必要とされる場所で組み立てる。
【0037】
組立式シャワー装置31を組み立てた後、開梱後の枠体1を利用して脱衣場32を組み立てる。これにはまず、下部枠体3の左右のキャスタ10をアジャストボルト10aに交換して、床板9の高さを組立式シャワー装置31の入り口ドア35の下枠に一致するように調整する。続いて、図7に示すように、下部枠体3と上部枠体2の間に継足部材17を継ぎ足して取り付ける。
【0038】
すなわち、図8に示すように、下部枠体3の柱材8の上端に取り付けられた筒状部材11の挿入空間13に、継足部材17の下端を挿入し、継足部材17のボルト挿入孔17aと、筒状部材11のボルト孔11aに固定ボルト12bを挿通して、蝶ナット12aで締め付ける。これにより、継足部材17の下端が下部枠体3の柱材8の上端に固定される、次に、継足部材17の上端に取り付けられた筒状部材19の挿入空間21に、上部枠体2の柱材6の下端を挿入し、上部枠体2の柱材6のボルト挿入孔6aと、筒状部材19のボルト孔19aに固定ボルト12bを挿通して、蝶ナット12aで締め付ける。これにより、上部枠体2の柱材6の下端が継足部材17の上端に固定される。
【0039】
このように、下部枠体2と上部枠体3の間に継足部材17を継ぎ足すことで、図9に示すように、脱衣場32の枠組を構築することができる。そして、脱衣場32の枠組の背面が組立式シャワー装置31の入口ドア35に面するように移動させる。
【0040】
なお、脱衣場32の枠組を強固にするため、図10に示すように、枠組の右側と左側をナイロンベルト24a,24bとターンバックル25で補強する。すなわち、ターンバックル25の上端に係合したナイロンベルト24aの両端を上部枠体2の前側と後側の柱材6に固定し、同様にターンバックル25の下端に係合したナイロンベルト24bの両端を上部枠体3の前側と後側の柱材8に固定し、図11に示すように、ターンバックル25を回転させて、ナイロンベルト24aと24bの中間部を引き寄せることで、枠組の4つの角部をナイロンベルト24aと24bを介して対角線方向に引き締める。これにより、脱衣場32の枠組のぐらつきが無く、安定した枠組となる。
【0041】
同様に、脱衣場32の枠組の天井と底も同様にして、ナイロンベルト24a,24bとターンバックル25で補強することができる。なお、ナイロンベルト24a、24bに代えて、ワイヤロープを使用してもよい。また、脱衣場32の両側面に合板を着脱可能に取り付けるようにすることもできる。
【0042】
続いて、図12に示すように、脱衣場32の枠組の天面、左側面、右側面をシート33で覆い。図13に示すように、正面のカーテンレール16にカーテン34を取り付ける。なお、枠組の天面を覆うシート33は、シート33上を流れる雨水が正面に落ちないように、脱衣場32の前から後にかけて下り勾配となるようにすることが好ましい。このために、上部枠体2の前側の柱材6の上端に延長部材23を接続して、後側の柱材6より高くする。
【0043】
図15は、実際に組立式シャワー装置31の前に梱包用枠体1を再利用した脱衣場32を設置した例を示す。
【0044】
組立式シャワー装置31を利用するには、脱衣場32のカーテン34を開けて脱衣場32に入り、背面から組立式シャワー装置31の入口ドア35を開けて、内部に入り、シャワーを利用することができる。また、図14に示すように、脱衣場32は、組立式シャワー装置31内の脱衣領域より広大であるため、ゆったりとしたスペースで脱衣や休憩をとることができる。
【0045】
また、組立式シャワー装置31用の梱包用枠体1は、シャワー装置31の脱衣場32として再利用することができるので、開梱後の枠体1を破棄処分する必要がない。
【0046】
また、組立式シャワー装置31に隣接して、大きなテント等を設置する必要もないので、無駄な費用やスペースを節減することができる。
【0047】
組立式シャワー装置31が不要となり撤去する場合には、組立式シャワー装置31を分解し、脱衣場32のシート33、カーテン34、継足部材17を外して、梱包用枠体1として、組立式シャワー装置31を梱包し、所定の場所に保管したり、返送することができる。
【0048】
本発明は前記実施形態に限るものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、変更し、修正することができる。
【0049】
例えば、上部枠体2と下部枠体3の接続部4の筒状部材11は、下部枠体3の柱材8に取り付けたが、上部枠体2の柱材6に取り付けてもよい。同様に、継足部材17の連結部18の筒状部材19は、継足部材17の上端に取り付けたが、下端に取り付けてもよい。さらに、上部枠体2と下部枠体3の接続部4及び継足部材17と上部枠体2との連結部の構造は前記実施形態のような嵌合構造に限らず、フランジ接続とすることも可能である。
【0050】
前記実施形態では、柱材6,8及び継足部材17を木製の角材としたが、アルミ等の金属製、あるいは樹脂製とすることができ、その形状も管材、アングル材とすることができる。
【0051】
前記実施形態では、第1枠体は上部枠体2、第2枠体は下部枠体3として、上部枠体2と下部枠体3を上下に接続し分離可能にしたが、第1枠体は左部枠体、第2枠体は右部枠体として、左部枠体と右部枠体を左右方向に接続し分離可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…梱包用枠体
2…上部枠体
3…下部枠体
4…接続部
5…枠本体
6…柱材
7…枠本体
8…柱材
9…床材
10…キャスタ
10a…アジャストボルト
11…筒状部材
12…固定部材
13…挿入空間
14…ねじ
16…カーテンレール
17…継足部材
18…連結部
19…筒状部材
20…固定部材
21…挿入空間
22…ねじ
23…延長部材
24…ナイロンベルト
25…ターンバックル
30…荷
31…組立式シャワー装置
32…脱衣場
33…シート
34…カーテン
35…入口ドア


図1
図2
図3
図4
図5
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