(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】アクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
F15B 15/14 20060101AFI20220929BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F15B15/14 360
F16K31/122
(21)【出願番号】P 2019527635
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2018023882
(87)【国際公開番号】W WO2019009106
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2017131484
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 尊
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】近藤 研太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀信
(72)【発明者】
【氏名】湯原 知子
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-062582(JP,U)
【文献】実開平01-178285(JP,U)
【文献】特開2012-026577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00-15/28
F16K 31/12-31/165;31/36-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、外部から供給される駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁と、
前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、減圧された前記所定の圧力の駆動流体により駆動されるピストンと、を備え
、
前記ケーシングには、第1挿入孔と、前記第1挿入孔と同軸である第2挿入孔とが形成され、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とは互いに連通し、前記第1挿入孔の開口側および前記第2挿入孔の開口側には雌ねじ部が形成され、
前記減圧弁は、前記第2挿入孔に設けられたポペット部と、前記第1挿入孔に設けられた減圧部とを備え、
前記ポペット部は、第1スプリング押えと、ポペットと、第1スプリングと、第1止めネジとを有し、
前記減圧部は、第2スプリング押えと、減圧ピストンと、第2スプリングと、第2止めネジとを有し、
前記第1スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、前記第2挿入孔における前記第1スプリング押えよりも内側の空間は、駆動流体が流入する流入室を構成し、
前記ポペットは、前記流入室内に位置し、前記ケーシングにおける前記第1挿入孔と第2挿入孔とが連通する部分の周縁部に対し当接および離間するポペット本体と、前記ポペット本体の先端から前記第1挿入孔内へ延びるロッドと、を有し、
前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記ポペットとの間に設けられて、前記ポペットを前記減圧部に向かって付勢し、
前記第1止めネジは、前記第1挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第1スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、
前記第2スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、
前記減圧ピストンは、前記第2スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、前記第1挿入孔における前記減圧ピストンよりも内側の空間は、駆動流体が流入する減圧室を構成し、前記ロッドの先端は、前記減圧ピストンに当接し、
前記第2スプリングは、前記第2スプリング押えと前記減圧ピストンとの間に設けられて、前記減圧ピストンを前記ポペット部に向かって付勢し、
前記第2止めネジは、前記第2挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第2スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、
前記第1スプリングおよび前記第2スプリングの付勢力は、前記流入室および前記減圧室に駆動流体が流入していない、または駆動流体流入による前記減圧室の昇圧が十分でない状態では、前記ポペット本体が前記周縁部から離間し、前記流入室と前記減圧室とが連通するように設定され、
前記流入室からの駆動流体流入により前記減圧室の圧力が上昇すると、前記減圧ピストンが、前記第2スプリングの付勢力に抗して、前記第2スプリング押え側に移動し、前記減圧室の圧力が前記所定の圧力になると、前記ポペット本体が前記周縁部に当接して、前記流入室と前記減圧室との連通が遮断されるように構成された、アクチュエータ。
【請求項2】
駆動流体を前記圧力室に導入する際には、閉状態となり、駆動流体を前記圧力室から外部に排出する際には、開状態となり、前記圧力室からの駆動流体を外部に排出する逆止弁を前記ケーシング内にさらに備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ケーシングには、前記逆止弁の直上に、前記逆止弁へ、または、前記逆止弁からの駆動流体を流すための駆動流体通路が形成されている、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
流体通路が形成されたボディと、
前記流体通路を開閉する弁体と、
前記弁体により前記流体通路を開閉させるために、前記ボディに対し近接および離間移動するステムと、
ケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、外部から供給される駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁と、
前記ケーシング内に設けられ、前記減圧弁により減圧された前記所定の圧力の駆動流体により前記ステムを駆動する駆動部と、を備え
、
前記ケーシングには、第1挿入孔と、前記第1挿入孔と同軸である第2挿入孔とが形成され、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とは互いに連通し、前記第1挿入孔の開口側および前記第2挿入孔の開口側には雌ねじ部が形成され、
前記減圧弁は、前記第2挿入孔に設けられたポペット部と、前記第1挿入孔に設けられた減圧部とを備え、
前記ポペット部は、第1スプリング押えと、ポペットと、第1スプリングと、第1止めネジとを有し、
前記減圧部は、第2スプリング押えと、減圧ピストンと、第2スプリングと、第2止めネジとを有し、
前記第1スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、前記第2挿入孔における前記第1スプリング押えよりも内側の空間は、駆動流体が流入する流入室を構成し、
前記ポペットは、前記流入室内に位置し、前記ケーシングにおける前記第1挿入孔と第2挿入孔とが連通する部分の周縁部に対し当接および離間するポペット本体と、前記ポペット本体の先端から前記第1挿入孔内へ延びるロッドと、を有し、
前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記ポペットとの間に設けられて、前記ポペットを前記減圧部に向かって付勢し、
前記第1止めネジは、前記第1挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第1スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、
前記第2スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、
前記減圧ピストンは、前記第2スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、前記第1挿入孔における前記減圧ピストンよりも内側の空間は、駆動流体が流入する減圧室を構成し、前記ロッドの先端は、前記減圧ピストンに当接し、
前記第2スプリングは、前記第2スプリング押えと前記減圧ピストンとの間に設けられて、前記減圧ピストンを前記ポペット部に向かって付勢し、
前記第2止めネジは、前記第2挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第2スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、
前記第1スプリングおよび前記第2スプリングの付勢力は、前記流入室および前記減圧室に駆動流体が流入していない、または駆動流体流入による前記減圧室の昇圧が十分でない状態では、前記ポペット本体が前記周縁部から離間し、前記流入室と前記減圧室とが連通するように設定され、
前記流入室からの駆動流体流入により前記減圧室の圧力が上昇すると、前記減圧ピストンが、前記第2スプリングの付勢力に抗して、前記第2スプリング押え側に移動し、前記減圧室の圧力が前記所定の圧力になると、前記ポペット本体が前記周縁部に当接して、前記流入室と前記減圧室との連通が遮断されるように構成された、バルブ。
【請求項5】
駆動流体を前記駆動部に導入する際には、閉状態となり、駆動流体を前記駆動部から外部に排出する際には、開状態となり、前記駆動部からの駆動流体を外部に排出する逆止弁を前記ケーシング内にさらに備える請求項
4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記ケーシングには、前記逆止弁の直上に、前記逆止弁へ、または、前記逆止弁からの駆動流体を流すための駆動流体通路が形成されている、請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
請求項
1に記載のアクチュエータ、を備えるバルブ。
【請求項8】
駆動流体を供給する供給源と、前記供給源から供給される駆動流体により駆動するバルブ、を備える流体供給システムであって、
前記バルブは、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉する弁体と、前記弁体により前記流体通路を開閉させるために、前記ボディに対し近接および離間移動するステムと、前記駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁および前記所定の圧力の駆動流体により前記ステムを駆動する駆動部を
ケーシング内に有するアクチュエータと、を有し、
前記供給源から前記バルブへ駆動流体を供給する流れと駆動流体を前記バルブの前記駆動部から外部へ排出する流れとを切り替える切替手段と、を備え
、
前記ケーシングには、第1挿入孔と、前記第1挿入孔と同軸である第2挿入孔とが形成され、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とは互いに連通し、前記第1挿入孔の開口側および前記第2挿入孔の開口側には雌ねじ部が形成され、
前記減圧弁は、前記第2挿入孔に設けられたポペット部と、前記第1挿入孔に設けられた減圧部とを備え、
前記ポペット部は、第1スプリング押えと、ポペットと、第1スプリングと、第1止めネジとを有し、
前記減圧部は、第2スプリング押えと、減圧ピストンと、第2スプリングと、第2止めネジとを有し、
前記第1スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、前記第2挿入孔における前記第1スプリング押えよりも内側の空間は、駆動流体が流入する流入室を構成し、
前記ポペットは、前記流入室内に位置し、前記ケーシングにおける前記第1挿入孔と第2挿入孔とが連通する部分の周縁部に対し当接および離間するポペット本体と、前記ポペット本体の先端から前記第1挿入孔内へ延びるロッドと、を有し、
前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記ポペットとの間に設けられて、前記ポペットを前記減圧部に向かって付勢し、
前記第1止めネジは、前記第1挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第1スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、
前記第2スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、
前記減圧ピストンは、前記第2スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、前記第1挿入孔における前記減圧ピストンよりも内側の空間は、駆動流体が流入する減圧室を構成し、前記ロッドの先端は、前記減圧ピストンに当接し、
前記第2スプリングは、前記第2スプリング押えと前記減圧ピストンとの間に設けられて、前記減圧ピストンを前記ポペット部に向かって付勢し、
前記第2止めネジは、前記第2挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第2スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、
前記第1スプリングおよび前記第2スプリングの付勢力は、前記流入室および前記減圧室に駆動流体が流入していない、または駆動流体流入による前記減圧室の昇圧が十分でない状態では、前記ポペット本体が前記周縁部から離間し、前記流入室と前記減圧室とが連通するように設定され、
前記流入室からの駆動流体流入により前記減圧室の圧力が上昇すると、前記減圧ピストンが、前記第2スプリングの付勢力に抗して、前記第2スプリング押え側に移動し、前記減圧室の圧力が前記所定の圧力になると、前記ポペット本体が前記周縁部に当接して、前記流入室と前記減圧室との連通が遮断されるように構成された、流体供給システム。
【請求項9】
請求項4から請求項7のいずれか一項に記載のバルブ、もしくは、請求項8に記載の流体供給システムを備える半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動流体により開閉を行うバルブにおいて、定速度でバルブを開閉することが求められている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1に開示されたバルブでは、エア駆動部に2つのニードル弁およびチェック弁を設けることにより、アクチュエータの動作速度のばらつきを低減し、バルブの開閉速度のばらつきを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のバルブでは、エア駆動部に2つのニードル弁およびチェック弁を有しているため、システム全体の構成が複雑になってしまう。
【0005】
そこで本発明は、簡易な構成で動作速度のばらつきを低減することが可能なアクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の一態様であるアクチュエータは、ケーシングと、前記ケーシング内に設けられ、外部から供給される駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁と、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、前記減圧弁により減圧された前記所定の圧力の駆動流体により駆動するピストンとを備える。
【0007】
本発明の一態様であるバルブは、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉する弁体と、前記弁体により前記流体通路を開閉させるために、前記ボディに対し近接および離間移動可能に設けられたステムと、ケーシングと、前記ケーシング内に設けられ、外部から供給される駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁と、前記ケーシング内に設けられ、前記減圧弁により減圧された前記所定の圧力の駆動流体により前記ステムを駆動する駆動部とを備える。
【0008】
また、上記のアクチュエータまたはバルブにおいて、駆動流体を前記駆動部に導入する際には、閉状態となり、駆動流体を前記駆動部から外部に排出する際には、開状態となり、前記駆動部からの駆動流体を外部に排出する逆止弁を前記ケーシング内にさらに備えてもよい。
【0009】
また、上記のアクチュエータまたはバルブにおいて、前記ケーシングには、前記逆止弁の直上に、前記逆止弁へ、または、前記逆止弁からの駆動流体を流すための駆動流体通路が形成されていてもよい。
【0010】
また、上記のアクチュエータまたはバルブにおいて、前記ケーシングには、第1挿入孔と、前記第1挿入孔と同軸である第2挿入孔とが形成され、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とは互いに連通し、前記第1挿入孔の開口側および前記第2挿入孔の開口側には雌ねじ部が形成され、前記減圧弁は、前記第2挿入孔に設けられたポペット部と、前記第1挿入孔に設けられた減圧部とを備え、前記ポペット部は、第1スプリング押えと、ポペットと、第1スプリングと、第1止めネジとを有し、前記減圧部は、第2スプリング押えと、減圧ピストンと、第2スプリングと、第2止めネジとを有し、前記第1スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、前記第2挿入孔における前記第1スプリング押えよりも内側の空間は、駆動流体が流入する流入室を構成し、前記ポペットは、前記流入室内に位置し、前記ケーシングにおける前記第1挿入孔と第2挿入孔とが連通する部分の周縁部に対し当接および離間するポペット本体と、前記ポペット本体の先端から前記第1挿入孔内へ延びるロッドと、を有し、前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記ポペットとの間に設けられて、前記ポペットを前記減圧部に向かって付勢し、前記第1止めネジは、前記第1挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第1スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、前記第2スプリング押えは、前記第2挿入孔に摺動移動可能に挿入され、前記減圧ピストンは、前記第2スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、前記第1挿入孔における前記減圧ピストンよりも内側の空間は、駆動流体が流入する減圧室を構成し、前記ロッドの先端は、前記減圧ピストンに当接し、前記第2スプリングは、前記第2スプリング押えと前記減圧ピストンとの間に設けられて、前記減圧ピストンを前記ポペット部に向かって付勢し、前記第2止めネジは、前記第2挿入孔の前記雌ねじ部に螺合されて、前記第2スプリング押えを前記ケーシングに対して支持し、前記第1スプリングおよび前記第2スプリングの付勢力は、前記流入室および前記減圧室に駆動流体が流入していない、または駆動流体流入による前記減圧室の昇圧が十分でない状態では、前記ポペット本体が前記周縁部から離間し、前記流入室と前記減圧室とが連通するように設定され、前記流入室からの駆動流体流入により前記減圧室の圧力が上昇すると、前記減圧ピストンが、前記第2スプリングの付勢力に抗して、前記第2スプリング押え側に移動し、前記減圧室の圧力が前記所定の圧力になると、前記ポペット本体が前記周縁部に当接して、前記流入室と前記減圧室との連通が遮断されるように構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様である流体供給システムは、駆動流体を供給する供給源と、前記供給源から供給される駆動流体により駆動するバルブ、を備える流体供給システムであって、前記バルブは、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉する弁体と、前記弁体により前記流体通路を開閉させるために、前記ボディに対し近接および離間可能に設けられたステムと、前記駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁および前記所定の圧力の駆動流体により前記ステムを駆動する駆動部を内部に有するアクチュエータと、を有し、前記供給源から前記バルブへ駆動流体を供給する流れと駆動流体を前記バルブの前記駆動部から外部へ排出する流れとを切り替える切替手段とを備える。
【0012】
また、本発明の一態様である半導体製造装置は、上記のバルブ、もしくは、上記の流体供給システムを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成で動作速度のばらつきを低減することが可能なアクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図2に示したバルブのIII-III線に沿った断面図を示す。
【
図5】
図1に示したバルブのV-V線に沿った断面図を示す。
【
図6】本実施形態に係る流体供給システムの構成図を示す。
【
図7】バルブの開閉時における、減圧弁の動作の説明図を示す。
【
図8】本実施形態に係るバルブおよび流体供給システムを備える半導体製造装置を示す。
【
図9】中ケーシングに逆止弁を追加した形態を示す図である。
【
図10】ポペット栓、スプリング押え、および逆止弁を、止めネジにより、中ケーシングに対し固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態によるバルブについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るバルブ1の正面図を示している。
図2は、本実施形態に係るバルブ1の上面図を示している。
図3は、
図2に示したバルブ1のIII-III線に沿った断面図を示している。
図4は、仕切ディスク22近傍を拡大した断面図を示している。
図5は、
図1に示したバルブ1のV-V線に沿った断面図を示している。なお、本実施形態に係るバルブ1はダイヤフラムバルブである。
【0017】
図1に示すように、バルブ1は、ボディ10と、アクチュエータ20とを備える。なお、以下の説明において、バルブ1の、アクチュエータ20側を上側、ボディ10側を下側として説明する。
【0018】
[ボディ10]
図3に示すように、ボディ10は、ボディ本体11と、シート12と、ボンネット13と、止め輪14と、ダイヤフラム15と、押えアダプタ16と、ダイヤフラム押え17とを備える。
【0019】
ボディ本体11には、弁室11aと、弁室11aに連通する流体流入路11bおよび流体流出路11cとが形成されている。シート12は、環状をなし、弁室11aと流体流入路11bとが連通する箇所の周縁に設けられている。
【0020】
ボンネット13は、略円筒状をなし、その下端部の外周に設けられた雄ネジ部をボディ本体11に設けられた雌ネジ部に螺合させることにより、弁室11aを覆うようにボディ本体11に固定されている。止め輪14は、アクチュエータ20をボディ10に固定するために、ボンネット13の上端部の外周に装着される。
【0021】
また、ボンネット13の上端部には、凹部13aが形成され、凹部13aに断面円形の第1Oリング13Bが設けられている。第1Oリング13Bは、ステム26の上下方向の移動(ダイヤフラム15に対する近接および離間移動)をガイドし、後述の第1圧力室S1から駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0022】
弁体であるダイヤフラム15は、ボンネット13の下端に配置された押えアダプタ16とボディ本体11の弁室11aを形成する底面とにより、その外周縁部が挟圧され保持されている。ダイヤフラム15は、球殻状をなし、上に凸の円弧状が自然状態となっている。ダイヤフラム15がシート12に対し離間および当接することによって、流体通路の開閉が行われる。ダイヤフラム15は、例えば、金属の薄板により構成され、円形に切り抜き、中央部を上方へ膨出させた球殻状に形成される。
【0023】
ダイヤフラム押え17は、ダイヤフラム15の上側に設けられ、ダイヤフラム15の中央部を押圧可能に構成されている。
【0024】
[アクチュエータ20]
アクチュエータ20は、全体で略円柱形状をなし、下ケーシング21と、仕切ディスク22と、サポートディスク23と、中ケーシング24と、上ケーシング25と、ステム26と、圧縮コイルスプリング27と、断面円形の第2~第6Oリング28A~28Eと、4本のボルト29(
図2参照)と、駆動部30と、減圧弁40と、リフト量調整機構50と、を有する。なお、下ケーシング21と、仕切ディスク22と、サポートディスク23と、中ケーシング24と、上ケーシング25とにより、アクチュエータ20のケーシングが構成される。
【0025】
下ケーシング21は、略円筒状をなし、ボンネット13が貫通するボンネット貫通孔21aと、駆動部30を収容する駆動部収容孔21bとが形成されている。
【0026】
ボンネット貫通孔21aには、ボンネット13の上部が貫通し、ボンネット13の上端は止め輪14により下ケーシング21に固定されている。駆動部収容孔21bを形成する内周面21Cには、第1段差部21Dおよび第2段差部21Eが形成されている。また、下ケーシング21とボンネット13との間に、第2Oリング28Aが介在し、後述の第1圧力室S1から駆動流体が外部に漏れるのを防止し、外部からごみ等が流入するのを防止する。
【0027】
仕切ディスク22は、下ケーシング21内に設けられ、第1ディスク部22Aと、上突出部22Bと、第1下突出部22Cとを有する。第1ディスク部22Aは、中心にステム26が貫通する第1ステム貫通孔22dが形成された略円盤状をなし、その内周および外周に一周連続して環状をなす第1、2Oリング収容溝22e、22fが形成されている。第1、2Oリング収容溝22e、22fには、第3、4Oリング28B、28Cが収容され、第3Oリング28Bは、ステム26の上下方向に移動をガイドし、後述の第2圧力室S2から駆動流体が漏れるのを防止する。
【0028】
上突出部22Bは、環状をなし、第1ディスク部22Aの上面の外周縁から上側に突出している。第1下突出部22Cは、環状をなし、第1ディスク部22Aの下面の外周縁から下側に突出している。第1下突出部22Cの下端は、下ケーシング21の第2段差部21Eに当接しており、第1下突出部22Cと下ケーシング21の第1段差部21Dとにより、環状をなす第1外周部収容溝22gが形成される。第1外周部収容溝22gは、ケーシングの内周に形成された第1環状溝に相当する。
【0029】
サポートディスク23は、仕切ディスク22の上側に位置し、外周に設けられた雄ネジ部が下ケーシング21の上端部の内周に設けられた雌ネジ部に螺合されることにより、駆動部収容孔21bを塞ぐように下ケーシング21に固定されている。
【0030】
サポートディスク23は、第2ディスク部23Aと、第2下突出部23Bと、第3下突出部23Cとを有する。第2ディスク部23Aは、中心にステム26が貫通する第2ステム貫通孔23dが形成された略円盤状をなしている。第2ディスク部23Aには、さらに4つのボルト螺合孔23e(
図4では2つのみ図示)が形成されている。
【0031】
第2下突出部23Bは、環状をなし、第2ディスク部23Aの下面の外周縁から下側に突出している。第3下突出部23Cは、環状をなし、第2下突出部23Bの下面の外周縁から下側に突出している。第3下突出部23Cの径方向の厚さは、第2下突出部23Bの径方向の厚さよりも薄く構成され、当該厚さの違いにより、第3段差部23Fが形成されている。
【0032】
第3下突出部23Cの下端は、仕切ディスク22の上突出部22Bに当接しており、第3段差部23Fと上突出部22Bとにより、環状をなす第2外周部収容溝23gが形成される。なお、第1段差部21Dと、第2段差部21Eと、仕切ディスク22の上突出部22Bおよび第1下突出部22Cと、サポートディスク23の第2下突出部23Bおよび第3下突出部23Cとにより、ケーシングの内周部が構成される。第2外周部収容溝23gは、ケーシングの内周部に形成された第1環状溝に相当する。
【0033】
図3に示すように、中ケーシング24は、略円筒状をなし、下ケーシング21およびサポートディスク23の上側に設けられている。中ケーシング24には、その中心において、上下方向に沿って貫通する第3ステム貫通孔24aが形成され、内周に一周連続して環状をなす第3、4Oリング収容溝24b、24cが形成されている。第3、4Oリング収容溝24b、24cには、第5、6Oリング28D、28Eが収容されている。第5、6Oリング28D、28Eは、ステム26の上下方向に移動をガイドし、駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0034】
また、
図5に示すように、中ケーシング24には、その外周面24Dから内方に向かって延びる略円柱状の第1、2挿入孔24e、24fが形成されている。第1、2挿入孔24e、24fは、同軸上に形成され、互いに連通している。また、第1挿入孔24eは、第3ステム貫通孔24aに連通している。さらに、中ケーシング24には、駆動流体通過孔24g(
図3も参照)が形成されている。駆動流体通過孔24gは、中ケーシング24の上面から第2挿入孔24fまで延びている。また、中ケーシング24には、4つのボルト挿入孔24hが形成されている。
【0035】
図3に示すように、上ケーシング25は、略円筒状をなし、中ケーシング24の上側に設けられている。上ケーシング25には、突起部25Fが設けられ、その中心において、上下方向に沿って貫通する調整機構装着孔25aが形成されている。調整機構装着孔25aは、ボルト螺合孔25bと、横断面が六角形状のコマ挿入孔25cとを有する。
【0036】
また、上ケーシング25には、駆動流体導入孔25dと、4つのボルト挿入孔25e(2つのみ図示)とが形成されている。駆動流体導入孔25dは、中ケーシング24の第2挿入孔24fの上側に相当する位置に形成され、上端部には図示せぬ管継手が接続され、下端部は駆動流体通過孔24gに連通している。
【0037】
ステム26は、略円柱状をなし、上下方向に移動可能に設けられ、ダイヤフラム押え17から、ボンネット13、下ケーシング21、および中ケーシング24を通過して上ケーシング25まで延びている。リフト量の調整量によっては、ステム26の上下動により、その上端は、コマ挿入孔25cに進入または退出する。ステム26には、その上半分部分に、上下方向に延びる駆動流体流入路26aが形成され、さらに駆動流体流入路26aを横切る第1~第3駆動流体流出孔26b~26dが形成されている。
【0038】
駆動流体流入路26aの上端は、ボール26Eにより塞がれている。第1駆動流体流出孔26bは、第1挿入孔24eに連通している。第2駆動流体流出孔26cは、第1駆動流体流出孔26bの下側に位置し、後述の第2圧力室S2に連通している。第3駆動流体流出孔26dは、第2駆動流体流出孔26cの下側に位置し、後述の第1圧力室S1に連通している。
【0039】
圧縮コイルスプリング27は、ボンネット13内において、ステム26の下半分部分の外周に設けられ、ステム26を常に下方に向かって付勢する。
【0040】
各ボルト29が、上ケーシング25のボルト挿入孔25eおよび中ケーシング24のボルト挿入孔24hに挿入され、サポートディスク23のボルト螺合孔23eに螺合されることにより、下ケーシング21、中ケーシング24、および上ケーシング25が一体化されている。
【0041】
[駆動部30]
駆動部30は、第1ピストン31と、第7Oリング32と、第1シール部材33と、第2ピストン34と、第8Oリング35と、第2シール部材36と、止め輪37、38とを有する。
【0042】
第1ピストン31は、ステム26が貫通する第4ステム貫通孔31aが中心に形成された略円盤状をなし、その内周に一周連続して環状をなす第5Oリング収容溝31bが形成され、その外周に第1内周部収容溝31cが形成されている。第1内周部収容溝31cは、ピストンの外周部に形成された第2環状溝に相当する。
【0043】
断面円形の第7Oリング32は、第5Oリング収容溝31bに収容され、後述の第1圧力室S1から駆動流体が漏れるのを防止する。
【0044】
第1シール部材33は、樹脂製の円環状の部材であり、第1内周部33Aと、第1外周部33Bと、第1中間部33Cとを有する。第1内周部33Aは、断面が略楕円状をなし、第1内周部収容溝31cに嵌め込まれている。第1内周部33Aは、第1嵌合部に相当する。第1外周部33Bは、断面が略楕円状をなし、第1外周部収容溝22gに嵌め込まれている。第1外周部33Bは、第2嵌合部に相当する。
【0045】
第1中間部33Cは、第1内周部33Aと第1外周部33Bとの間に位置し、第1内周部33Aおよび第1外周部33Bの厚さより薄く構成され、第1内周部33Aの上下方向の中央部および第1外周部33Bの上下方向の中央部を互いに接続している。そして、第1内周部33Aは、第1外周部33Bに対する第1シール部材33の軸方向へ沿う移動可能な最大距離が、第1シール部材33の厚さの半分以下である所定の距離になるように制限されている。
【0046】
第1ピストン31、下ケーシング21、およびボンネット13により、第1圧力室S1が形成され、当該第1圧力室S1は、第1Oリング13B、第2Oリング28A、第7Oリング32、および第1シール部材33により密閉されている。第1圧力室S1には、ステム26に形成された駆動流体流入路26aおよび第3駆動流体流出孔26dが連通している。
【0047】
第1ピストン31の上面には止め輪37が設けられ、止め輪37はステム26に装着されている。これにより、第1ピストン31が上側に移動すると、止め輪37とともにステム26が上側に移動する。
【0048】
第2ピストン34は、ステム26が貫通する第5ステム貫通孔34aが中心に形成された略円盤状をなし、その内周に一周連続して環状をなす第6Oリング収容溝34bが形成され、その外周に第2内周部収容溝34cが形成されている。第2内周部収容溝34cは、ピストンの外周部に形成された第2環状溝に相当する。
【0049】
断面円形の第8Oリング35は、第6Oリング収容溝34bに収容され、後述の第2圧力室S2から駆動流体が漏れるのを防止する。
【0050】
第2シール部材36は、樹脂製のOリングであり、第2内周部36Aと、第2外周部36Bと、第2中間部36Cとを有する。第2内周部36Aは、断面が略楕円状をなし、第2内周部収容溝34cに嵌め込まれている。第2内周部36Aは、第1嵌合部に相当する。第2外周部36Bは、断面が略楕円状をなし、第2外周部収容溝23gに嵌め込まれている。第2外周部36Bは、第2嵌合部に相当する。
【0051】
第2中間部36Cは、第2内周部36Aと第2外周部36Bとの間に位置し、第2内周部36Aおよび第2外周部36Bの厚さより薄く構成され、第2内周部36Aの上下方向の中央部および第2外周部36Bの上下方向の中央部を互いに接続している。そして、第2内周部36Aは、第2外周部36Bに対する第2シール部材36の軸方向へ沿う移動可能な最大距離が、第2シール部材36の厚さの半分以下である所定の距離になるように制限されている。
【0052】
第2ピストン34および仕切ディスク22により、第2圧力室S2が形成され、当該第2圧力室S2は、第3Oリング28B、第8Oリング35、および第2シール部材36により密閉されている。第2圧力室S2には、ステム26に形成された駆動流体流入路26aおよび第2駆動流体流出孔26cが連通している。
【0053】
第2ピストン34の上面には止め輪38が設けられ、止め輪38はステム26に装着されている。これにより、第2ピストン34が上側に移動すると、止め輪38とともにステム26が上側に移動する。
【0054】
[減圧弁40]
減圧弁40は、中ケーシング24に設けられ、ポペット部41と、減圧部42とを備える。
【0055】
ポペット部41は、第2挿入孔24fに設けられ、ポペット栓43と、ポペット44と、ポペットスプリング45とを有する。ポペット栓43は、第2挿入孔24fに対し圧入されて中ケーシング24に対し固定され、第1ポペットOリング43Aを有している。第1ポペットOリング43Aは、後述の流入室R1内の駆動流体が外部に漏れるのを防止する。第2挿入孔24fにおけるポペット栓43よりも内側の空間は、駆動流体が流入する流入室R1を構成する。そして、流入室R1に駆動流体通過孔24gが連通している。
【0056】
ポペット44は、ポペット本体44Aと、ロッド44Bとを有する。ポペット本体44Aは、流入室R1に位置し、第2ポペットOリング44Cを有する。第2ポペットOリング44Cは、中ケーシング24における第1挿入孔24eと第2挿入孔24fとが連通する部分の周縁部24Iに離間および当接することにより、流入室R1と後述の減圧室R2とを連通または遮断するように構成されている。
【0057】
ロッド44Bは、ポペット本体44Aの第1挿入孔24e側の端部から第1挿入孔24eへ向かって延び、後述の減圧室R2内に位置している。ポペットスプリング45は、ポペット栓43とポペット44との間に設けられ、ポペット44を減圧部42に向かって付勢している。
【0058】
減圧部42は、第1挿入孔24eに設けられ、スプリング押え46と、減圧ピストン47と、減圧スプリング48とを有する。
【0059】
スプリング押え46は、第1挿入孔24eに圧入されまたはネジ込まれて中ケーシング24に対し固定されている。減圧ピストン47は、スプリング押え46よりも第1挿入孔24eの内側において移動可能に設けられ、ピストンOリング47Aを有する。第1挿入孔24eにおける減圧ピストン47よりも内側の空間は、駆動流体が流入する減圧室R2を構成する。減圧室R2は、第3ステム貫通孔24aを介して、第1駆動流体流出孔26bおよび駆動流体流入路26aに連通している。ピストンOリング47Aは、減圧室R2内の駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0060】
ロッド44Bの先端は、減圧ピストン47に当接している。減圧スプリング48は、スプリング押え46と減圧ピストン47との間に設けられ、減圧ピストン47をポペット部41に向かって付勢している。ポペットスプリング45および減圧スプリング48の付勢力は、流入室R1および減圧室R2に駆動流体が流入していない、または駆動流体流入による減圧室R2の昇圧が十分でない状態では、ポペット本体44Aの第2ポペットOリング44Cが周縁部24Iから離間し、流入室R1と減圧室R2とが連通するように設定されている。
【0061】
[リフト量調整機構50]
図3に示すように、リフト量調整機構50は、ロックナット51と、調整ネジ52と、調整コマ53とを有する。
【0062】
ロックナット51は、上ケーシング25の突起部25Fの上端に装着されている。調整ネジ52は、上側部52Aと下側部52Bとで、異なるピッチを有し、下側部52Bの方が上側部52Aよりもピッチが小さく構成されている。調整ネジ52の上側部52Aは、ネジ螺合孔25bに螺合されている。調整コマ53は、横断面が六角形状をなし、螺合凹部53aが形成され、コマ挿入孔25cに上下動移動可能に挿入されている。螺合凹部53aに、調整ネジ52の下側部52Bが螺合されている。
【0063】
そして、調整ネジ52を回転させることにより、調整コマ53が上下動する。これにより、ステム26の上下動の距離が調整され、ダイヤフラム15のリフト量が調整される。なお、調整コマ53の下端に対してステム26の上端が接触した状態が、ステム26が上死点に位置する状態である。
【0064】
[流体供給システム2]
次に、本実施形態に係る流体供給システム2について
図6を参照して説明する。
【0065】
【0066】
図6に示すように、流体供給システム2は、アキュムレータ3と、電磁弁である三方弁4と、上述のバルブ1とを備える。アキュムレータ3は、例えば操作エアである駆動流体を供給する供給源である。三方弁4は、アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体を供給する流れと、駆動流体をバルブ1の駆動部30(第1、2圧力室S1、S2)から外部へ排出する流れとを切り替える切替手段である。
【0067】
[バルブ1の開閉動作]
次に、本実施形態に係る流体供給システム2におけるバルブ1の開閉動作について、
図3、4、6、7を参照して説明する。なお、本実施形態の圧力条件として、アキュムレータ3からバルブ1へ供給される駆動流体の圧力を0.5MPaとし、減圧室R2を経て第1、2圧力室S1、S2に供給される駆動流体の圧力を0.35MPaとする。
【0068】
図7は、バルブ1の開閉時における、減圧弁40の動作の説明図を示している。
図7では、駆動流体の流れを白抜き矢印で示している。
【0069】
図3に示すように、本実施形態のバルブ1では、第1、2圧力室S1、S2に駆動流体が流入していない状態では、ステム26は圧縮コイルスプリング27の付勢力によって下死点にあり(ボディ本体11に近接し)、ダイヤフラム押え17によりダイヤフラム15が押圧されてバルブ1は閉状態となっている。つまり、バルブ1は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態である。
【0070】
そして、
図6に示した三方弁4を、アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体が流れる状態にする。これにより、アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体が供給される。駆動流体は、図示せぬエアチューブおよび管継手を介して、駆動流体導入孔25dから駆動流体通過孔24gを通過し、
図7(A)に示すように流入室R1へ流入する。駆動流体は、圧力が0.5MPaで流入室R1へ流入する。
【0071】
流入室R1と減圧室R2とが連通しているので、
図7(B)に示すように、駆動流体は、減圧室R2に流入し、減圧室R2の圧力が上昇する。減圧室R2内の圧力が上昇すると、減圧ピストン47が、減圧スプリング48の付勢力に抗して、スプリング押え46側に移動する。そして、減圧室R2の圧力が所定の圧力(駆動圧)である0.35MPaになると、
図7(C)に示すように、ポペット44の第2ポペットOリング44Cが周縁部24Iに当接して、流入室R1と減圧室R2との連通が遮断される。
【0072】
図7(A)から
図7(B)に至る動作により、所定の圧力の駆動流体が、減圧室R2から、第1駆動流体流出孔26b、駆動流体流入路26a、第2駆動流体流出孔26c、および第3駆動流体流出孔26dを介して、第1、2圧力室S1、S2に流入する。また、流入室R1にアキュムレータ3から0.5MPaの駆動流体が供給されることにより、
図7(C)に示す減圧弁40の状態が維持されるように構成されている。
【0073】
第1、2圧力室S1、S2に駆動流体が流入すると、第1、2ピストン31、34が、圧縮コイルスプリング27の付勢力に抗して上昇する。これにより、ステム26は上死点に移動し(ボディ本体11から離間し)、ダイヤフラム15の弾性力および流体(ガス)の圧力によりダイヤフラム押え17が上側に移動し、バルブ1は開状態となる。
【0074】
また、第1ピストン31の上昇により、第1シール部材33において、第1内周部33Aは第1ピストン31とともに上昇し、第1外周部33Bは上昇せず、第1中間部33Cは第1内周部33Aの上昇に伴い変形する。同様に、第2ピストン34の上昇により、第2シール部材36において、第2内周部36Aは第2ピストン34とともに上昇し、第2外周部36Bは上昇せず、第2中間部36Cは第2内周部36Aの上昇に伴い変形する。
【0075】
バルブ1を開状態から閉状態にするには、三方弁4を、駆動流体がバルブ1の駆動部30(第1、2圧力室S1、S2)から外部へ排出する流れに切り替える。これにより、流入室R1内の圧力が減少し、
図7(D)に示すように、ポペット44の第2ポペットOリング44Cが周縁部24Iから離間して、流入室R1と減圧室R2とが連通する。その結果、第1、2圧力室S1、S2内の駆動流体が、第2駆動流体流出孔26c、第3駆動流体流出孔26d、駆動流体流入路26a、および第1駆動流体流出孔26bを介して、減圧室R2および流入室R1へ流れ、駆動流体通過孔24gおよび駆動流体導入孔25dを介して外部へ排出される。
【0076】
第1ピストン31および第2ピストン34が下降することにより、第1シール部材33の第1内周部33Aおよび第2シール部材36の第2内周部36Aも下降し、第1シール部材33および第2シール部材36は元の状態に戻る。ステム26は、圧縮コイルスプリング27の付勢力により、下死点に戻り、ダイヤフラム押え17によりダイヤフラム15が押圧されてバルブ1は閉状態となる。
【0077】
[半導体製造装置100]
次に、上記で説明したバルブ1および流体供給システム2が使用される半導体製造装置100について説明する。
【0078】
図8は、本実施形態に係るバルブ1および流体供給システム2を備える半導体製造装置100を示している。
【0079】
図8に示すように、半導体製造装置100は、例えば、CVD装置であり、流体供給システム2と、ガス供給手段60と、真空チャンバ70と、排気手段80とを有し、ウェハ上に不動態膜(酸化膜)を形成する装置である。
【0080】
ガス供給手段60は、ガス供給源61と、流体制御装置62とを備える。真空チャンバ70は、ウェハ72を載置するための載置台71と、ウェハ72上に薄膜を形成するための電極73とを備える。真空チャンバ70には、商用電源101が接続されている。排気手段80は、排気配管81と、開閉弁82と、集塵機83とを備える。
【0081】
ウェハ72上に薄膜を形成する時には、流体供給システム2におけるバルブ1の開閉により、真空チャンバ70へのガスの供給が制御される。また、ウェハ72上に薄膜を形成した際に発生する副生成物たる粉粒体を除去する時には、開閉弁82が開状態とされ、排気配管81を介して集塵機83により粉粒体が除去される。
【0082】
以上のように、本実施形態のアクチュエータ20によれば、外部から供給される駆動流体の圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁40と、ケーシング内に設けられてケーシングとともに第1、2圧力室S1、S2を形成し、減圧弁40により減圧された所定の圧力の駆動流体により駆動する第1、2ピストン31、34とを備える。
【0083】
かかる構成によれば、アキュムレータ3からの駆動流体の圧力に変動があったとしても、第1、2圧力室S1、S2に対し、減圧弁40により所定の圧力を有する駆動流体を供給することができるので、簡易な構成でアクチュエータ20の動作速度を定速度にすることができ、第1、2ピストン31、34の動作のばらつきを低減することができる。
【0084】
また、このアクチュエータ20をバルブ1に適用し、当該バルブ1を、駆動流体を供給するアキュムレータ3および駆動流体の流れを切り替える三方弁4を有する流体供給システム2に適用することにより、バルブ1の開閉速度を一定にすることができる。よって、当該バルブ1または流体供給システム2を備える半導体製造装置100では、所定量のガスを真空チャンバ70に供給することができるので、所望の膜厚を有する膜をウェハ上に形成することができる。
【0085】
また、本実施形態のアクチュエータ20は、第1、2外周部収容溝22g、23gが内周部に形成されたケーシングと、第1、2内周部収容溝31c、34cが外周部に形成され、ケーシングとともに第1、2圧力室S1、S2を形成し、外部からの駆動流体により駆動する第1、2ピストン31、34と、第1、2外周部収容溝22g、23gに嵌め込まれる第1、2内周部33A、36Aおよび第1、2内周部収容溝31c、34cに嵌め込まれる第1、2外周部33B、36Bを有し、第1、2圧力室S1、S2を密閉する環状の第1、2シール部材33、36とを備える
【0086】
かかる構成によれば、第1、2ピストン31、34の移動時に、第1、2シール部材33、36の第1、2内周部33A、36Aのみが、第1、2ピストン31、34とともに移動する。これにより、第1、2シール部材33、36が、ケーシングの内周面を摺動するのを抑制することができ、第1、2シール部材33、36の摩耗を防止することができる。よって、使用回数が増加しても、第1、2ピストン31、34が摩耗することなく、第1、2ピストン31、34の動作のばらつきを低減することができる。
【0087】
また、このアクチュエータ20をバルブ1に適用することにより、バルブ1の開閉速度を常に一定にすることができる。よって、当該バルブ1を備える半導体製造装置100では、所定量のガスを真空チャンバ70に供給することができるので、所望の膜厚の膜をウェハ上に形成することができる。
【0088】
また、第1、2内周部33A、36Aは、第1、2外周部33B、36Bに対する第1、2シール部材33、36の軸方向へ沿う移動可能な最大距離が、第1、2シール部材33、36の厚さの半分以下の所定の距離となるように制限されている。これにより、第1、2シール部材33、36が、ケーシングの内周面を摺動するのを抑制することができ、第1、2シール部材33、36の摩耗を防止することができる。
【0089】
また、第1、2シール部材33、36は、第1、2内周部33A、36Aと第1、2外周部33B、36Bとの間に位置し、第1、2外周部33B、36Bおよび第1、2外周部33B、36Bの厚さより薄く構成された第1、2中間部33C、36Cを有する。
【0090】
かかる構成によれば、第1、2中間部33C、36Cの変形のみで、第1、2シール部材33、36を、第1、2ピストン31、34の移動に追従させることができるので、第1、2シール部材33、36が、ケーシングの内周面を摺動するのを防止することができ、第1、2シール部材33、36の摩耗を防止することができる。
【0091】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0092】
例えば、上記の実施形態において、
図9に示すように、中ケーシング24に、減圧弁40に加えて、逆止弁49を設けてもよい。この場合、中ケーシング24には、第3挿入孔24jが形成され、第1挿入孔24eと第3挿入孔24jとを連通する第1連通孔24k、第2挿入孔24fと第3挿入孔24jとを連通する第2連通孔24mが形成される。第2連通孔24mの端部はボール24Nにより塞がれている。また、中ケーシング24の駆動流体通過孔24gは、逆止弁49の直上に位置し、第3挿入孔24jに連通するように形成される。駆動流体導入孔25dは、上ケーシング25において、中ケーシング24の第3挿入孔24jの上側に相当する位置に形成され、下端部は駆動流体通過孔24gに連通している。駆動流体通過孔24gおよび駆動流体導入孔25dは、駆動流体通路に相当する。
【0093】
そして、逆止弁49は、第3挿入孔24jに圧入され、中ケーシング24に対し固定され、逆止弁Oリング49Aおよび樹脂製の弁体49Bを有している。第3挿入孔24jにおける、逆止弁49よりも内側の空間は、チャッキ室R3を構成する。逆止弁Oリング49Aは、チャッキ室R3内の駆動流体が外部に漏れるのを防止する。弁体49Bは、チャッキ室R3の圧力に応じて変位可能であり、当該弁体49Bの変位により、逆止弁49は、閉状態または開状態となる。逆止弁49が閉状態では、チャッキ室R3と第1連通孔24kとの連通が遮断され、逆止弁49が開状態では、チャッキ室R3と第1連通孔24kとは連通する。
【0094】
そして、中ケーシング24の駆動流体通過孔24gからチャッキ室R3へ駆動流体が流入すると、逆止弁49は閉状態となり、駆動流体は、第2連通孔24mを介して、流入室R1に流入する。流入室R1と減圧室R2とが連通しているので、流入室R1へ流入した駆動流体は、減圧室R2に流入し、減圧室R2の圧力が上昇する。減圧室R2内の圧力が上昇すると、減圧ピストン47が、減圧スプリング48の付勢力に抗して、スプリング押え46側に移動する。そして、減圧室R2の圧力が所定の圧力になると、ポペット44の第2ポペットOリング44Cが周縁部24Iに当接して、流入室R1と減圧室R2との連通が遮断される。
【0095】
これにより、所定の圧力の駆動流体が、減圧室R2から、第1駆動流体流出孔26b、駆動流体流入路26a、第2駆動流体流出孔26c、および第3駆動流体流出孔26dを介して、第1、2圧力室S1、S2に流入する。その結果、バルブ1は開状態となる。
【0096】
一方、三方弁4を、駆動流体がバルブ1の駆動部30(第1、2圧力室S1、S2)から外部へ排出する流れに切り替えることにより、チャッキ室R3内の圧力が減少し、逆止弁49が開状態となる。これにより、チャッキ室R3と第1連通孔24kとが連通して、第1、2圧力室S1、S2内の駆動流体が、駆動流体流入路26a、および第1駆動流体流出孔26bを介して、第1連通孔24kおよびチャッキ室R3から外部へ排出される。また、流入室R1、減圧室R2、および第2連通孔24m内の駆動流体もチャッキ室R3から外部へ排出される。
【0097】
このように、アクチュエータ20は、駆動流体を第1、2圧力室S1、S2に導入する際には、閉状態となり、駆動流体を減圧弁40へ流し、駆動流体を第1、2圧力室S1、S2から外部に排出する際には、開状態となり、第1、2圧力室S1、S2からの駆動流体を外部に排出する逆止弁49を備える。
【0098】
かかる構成によれば、駆動流体を第1、2圧力室S1、S2から外部に排出する際に、減圧弁40を介さず駆動流体を外部へ排出する構成となるので、第1、2圧力室S1、S2から、逆止弁49への流路を大きくすることができ、排出量が増えることで駆動流体の排出時間を短くすることができる。この結果、バルブ1の開状態から閉状態への時間も短くすることができる。なお、減圧弁40のみの場合には、ポペット本体44Aの前後で差圧を発生させることが必要なため、ポペット本体44Aと周縁部24Iとの隙間(オリフィス部)の面積を容易に大きくすることができない。このため、駆動流体の排出量を多くすることができない。
【0099】
また、上記の実施形態において、アクチュエータ20をバルブ1に適用したが、他の装置に適用してもよい。アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体を供給する流れと駆動流体をバルブ1の駆動部30から外部へ排出する流れとを切り替える切替手段は、三方弁4であったが、他の手段であってもよい。
【0100】
第1、2シール部材33、36の形状は、上記の実施形態に示した形状に限らず、例えば断面が円形、X状、U状であってもよい。また、第1、2圧力室S1、S2の内容積を変更可能に構成してもよい。
【0101】
また、半導体製造装置100がCVD装置の場合について説明したが、スパッタリング装置またはエッチング装置であってもよい。バルブ1を、アクチュエータ20側を上側にボディ10を下側にして設置する形態について説明したが、設置方向はこれに限らず、水平方向に設置されてもよいし、上下逆方向に設置されてもよい。
【0102】
また、
図10は、ポペット栓43、スプリング押え46、および逆止弁49を、止めネジ41A、42A、49Cにより、中ケーシング24に対し固定した状態を示している。
【0103】
上記の実施形態では、ポペット栓43、スプリング押え46、および逆止弁49は、それぞれ第2挿入孔24f、第1挿入孔24e、および第3挿入孔24jに圧入され、中ケーシング24に対し固定されていた。しかし、
図10に示すように、第2挿入孔24f、第1挿入孔24e、および第3挿入孔24jの開口側に、それぞれ雌ねじ部24P、24Q、24Rを形成し、ポペット栓43、スプリング押え46、および逆止弁49を、それぞれ第2挿入孔24f、第1挿入孔24e、および第3挿入孔24jに対し摺動移動可能に挿入するようにしてもよい。そして、各雌ねじ部24P、24Q、24Rに対し、雄ねじ部を有する止めネジ41A、42A、49Cを螺合させる。これにより、ポペット栓43は、ポペットスプリング45と止めネジ41Aとに挟まれた状態で、中ケーシング24に対し支持される。スプリング押え46は、減圧スプリング48と止めネジ42Aとに挟まれた状態で、中ケーシング24に対し支持される。
【0104】
止めネジ41A、42A、49Cは、マイナス溝付きのイモネジである。ポペット栓43、スプリング押え46、ポペットスプリング45、減圧スプリング48、止めネジ41A、および止めネジ42Aは、それぞれ第1スプリング押え、第2スプリング押え、第1スプリング、第2スプリング、第1止めネジ、および第2止めネジに相当する。止めネジ41Aは、ポペット部41の一部を構成し、止めネジ42Aは、減圧部42の一部を構成する。
【0105】
かかる構成によれば、止めネジ41A、42Aのネジ込み量を調整しポペット栓43およびスプリング押え46を移動させることにより、ポペットスプリング45および減圧スプリング48の付勢力を調整することができる。これにより、減圧弁40の駆動圧(所定の圧力)を調整することができ、バルブ1の開閉速度を調整することができる。その結果、バルブ1ごとの開閉速度を均一にすることができ、バルブ1の開動作および閉動作の速度を均一にすることができる。
【符号の説明】
【0106】
1:バルブ、2:流体供給システム、3:アキュムレータ、4:三方弁、10:ボディ、
11:ボディ本体、11b:流体流入路、11c:流体流出路、15:ダイヤフラム、20:アクチュエータ、21:下ケーシング、22:仕切ディスク、22g:第1外周部収容溝、23:サポートディスク、23g:第2外周部収容溝、24:中ケーシング、24e:第1挿入孔、24f:第2挿入孔、24g:駆動流体通過孔、24I:周縁部、24P、24Q:雌ねじ部、25:上ケーシング、25d:駆動流体導入孔、26:ステム、30:駆動部、31:第1ピストン、31c:第1内周部収容溝、33:第1シール部材、33A:第1内周部、33B:第1外周部、33C:第1中間部、34:第2ピストン、34c:第2内周部収容溝、36:第2シール部材、36A:第2内周部、36B:第2外周部、36C:第2中間部、40:減圧弁、41:ポペット部、41A、42A:止めネジ、42:減圧部、43:ポペット栓、44:ポペット、44A:ポペット本体と、44B:ロッド、45:ポペットスプリング、46:スプリング押え、47:減圧ピストン、48減圧スプリング、49:逆止弁、100:半導体製造装置、S1:第1圧力室、S2:第2圧力室、R1:流入室、R2:減圧室