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特許7149007個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
G16H20/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021022382
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124636
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2022-05-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520130982
【氏名又は名称】医療法人社団三輪会
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】三輪谷 博史
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/085777(WO,A1)
【文献】特開2004-013182(JP,A)
【文献】特開2005-202833(JP,A)
【文献】特開2020-187731(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2214554(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養疾患で起こり得る症状及び該症状の重み付け点数が栄養疾患毎にあらかじめ記憶されており、さらに、被栄養指導者の名及び該被栄養指導者が症状有りと回答した症状を互いに紐づけして記憶する評価用データベースを有しており、該評価用データベースに記憶されている症状有りと回答した前記症状に関する前記重み付け点数の合計を前記栄養疾患毎に算出し、該算出した合計点数が所定値以上の栄養疾患における症状を実施用人工知能装置が取得すべき症状であると判定する評価用人工知能装置と、
任意の被栄養指導者が症状有りと回答した症状が前記取得すべき症状である場合は、該任意の被栄養指導者名、栄養疾患名、及び前記症状有りと回答した症状を互いに紐づけして記憶すると共に、補給すべき栄養素を所定期間投与した後の症状改善の評価値を、前記栄養素名、前記被栄養指導者名、前記栄養疾患名、及び前記症状と紐づけして記憶する実施用データベースを有しており、前記実施用データベースに記憶されている前記評価値の偏差値をベイズ統計学に基づいて算出し、少なくとも、該算出した偏差値と前記栄養素及び該栄養素の摂取量との関係を求める前記実施用人工知能装置と、
を備えていることを特徴とする個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム。
【請求項2】
前記実施用人工知能装置が、前記実施用データベースに記憶されている前記評価値に関して算出した前記偏差値と、前記栄養素及び該栄養素の摂取量との関係をディープラーニングにより求めるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム。
【請求項3】
前記実施用人工知能装置が、前記実施用データベースに記憶されている前記評価値に関して算出した前記偏差値と、前記被栄養指導者名、前記栄養疾患名、前記栄養素及び該栄養素の摂取量、又は前記症状との関係をディープラーニングにより求めるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム。
【請求項4】
前記実施用人工知能装置が、前記算出した偏差値が所定範囲内にある場合のみ、該算出した偏差値と前記栄養素及び該栄養素の摂取量との関係をディープラーニングにより求めるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム。
【請求項5】
前記評価用人工知能装置が、該評価用人工知能装置によって入力された症状の数があらかじめ定めた第1の所定値を超えた場合に、動作を終了するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム。
【請求項6】
前記実施用人工知能装置が、該実施用人工知能装置によって入力された症状の数があらかじめ定めた第2の所定値を超えた場合に、症状の入力を終了するか動作を終了するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の個人栄養指導に関するデュアルコア判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AI(人工知能)装置を用いて個人栄養学における栄養指導の内容を判定する判定システムに係り、特に、評価用AI装置及び実施用AI装置という2つのAI装置を備えた個人栄養指導に関するデュアルコア判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人栄養学又は個人対応栄養学において、現在行われている栄養指導は、数日間の食事データから、厚生労働省が発表している食品栄養表に基づいて摂取栄養量を計算し、栄養のバランスを取りかつ生じている栄養の差を減少させる観点から栄養指導を行うものである。
【0003】
一方、各個人については、更年期を過ぎればホルモンの分泌量も変化し自律神経の変調量も増加することから疾病となる可能性が増大することとなり、これが高齢化の大きな問題点となっている。即ち、栄養素を必要とするのは人間であって理想的なロボットではないことから、各個人別に対応した栄養指導を行う必要がある。例えば、胃腸などに疾患がある場合や手術などによって栄養の吸収率が悪化している可能性があり、また、生活習慣によって栄養摂取量が変化し最悪の場合に栄養障害が起こっている場合もある。従って、必要とする栄養素を各個人別に絞り込み、その栄養素を補給することによって、健康の回復及び維持を図ることができるのである。
【0004】
非特許文献1には、問診によって患者から得られる疾患情報に点数を付与して演算することにより、この疾患情報に該当する病名を導き出す病名思い出しツールと称するコンピュータ診断支援ツールが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】研究報告「コンピュータ診断支援ツール(紹介とその能力の検証)」、鳥越恵治郎、加藤元一、太田吉夫、日本医事新報、No.4120、2003年4月12日、pp.24~32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に開示されているコンピュータ診断支援ツールは、患者が罹患している病名を疾患情報から導出するものであり、個人栄養学において栄養指導する場合には全く使用することができなかった。また、疾患情報が一般的な疾患に関する情報であり、個人栄養指導には適用することができなかった。
【0007】
従って本発明の目的は、各被栄養指導者(各患者)に関してどのような内容の栄養素を摂取することが最適であるか等を短時間でかつ高い信頼性で判断することができる個人栄養指導に関するデュアルコア判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、個人栄養指導に関するデュアルコア判定システムは、栄養疾患で起こり得る症状及びこの症状の重み付け点数が栄養疾患毎にあらかじめ記憶されており、さらに、被栄養指導者(患者)の名及びこの患者が症状有りと回答した症状を互いに紐づけして記憶する評価用データベース(評価用DB)を有しており、この評価用DBに記憶されている症状有りと回答した症状に関する重み付け点数の合計を栄養疾患毎に算出し、算出した合計点数が所定値以上の栄養疾患における症状を実施用人工知能装置が取得すべき症状であると判定する評価用人工知能装置(評価用AI装置)と、任意の患者が症状有りと回答した症状が上述の取得すべき症状である場合は、任意の患者名、栄養疾患名、及び症状有りと回答した症状を互いに紐づけして記憶すると共に、補給すべき栄養素を所定期間投与した後の症状改善の評価値を、栄養素名、患者名、栄養疾患名、及び症状と紐づけして記憶する実施用データベース(実施用DB)を有しており、実施用DBに記憶されている評価値の偏差値をベイズ統計学に基づいて算出し、少なくとも、算出した偏差値と栄養素及びこの栄養素の摂取量との関係を求める実施用人工知能装置(実施用AI装置)とを備えている。
【0009】
栄養疾患で起こり得る症状と、これら症状に対して補給すべき栄養素及びその摂取量との因果関係は非常に複雑であり、その関係を表すデータは膨大な量となるが、評価用AI装置によって、システムが取得すべき症状を判定し、その取得すべき症状のみについて実施用AI装置が動作する。実施用AI装置は、取得すべき症状を有する患者に関して、補給すべき栄養素を所定期間投与した後の症状改善の評価値の偏差値をベイズ統計学に基づいて算出し、算出した偏差値と栄養素及びこの栄養素の摂取量との関係を例えばディープラーニングにより求めている。実施用AI装置が、全ての症状について、偏差値と栄養素及びこの栄養素の摂取量との関係を求めるのではなく、評価用AI装置によってシステムが取得すべき症状であると判定した症状についてのみ、このような偏差値と栄養素及びこの栄養素の摂取量との関係を求めているため、システムの処理するデータ量は大幅に少なくなるから、データ処理時間の短縮化を図ることができる。また、偏差値をベイズ統計学に基づいて算出しているため、これによって得られるデータは、客観的かつ科学的なエビデンスに基づくものとなる。
【0010】
実施用AI装置が、実施用DBに記憶されている評価値に関して算出した偏差値と、栄養素及び栄養素の摂取量との関係をディープラーニングにより求めるように構成されていることが好ましい。
【0011】
実施用AI装置が、実施用DBに記憶されている評価値に関して算出した偏差値と、患者名、栄養疾患名、栄養素及び栄養素の摂取量、又は症状との関係をディープラーニングにより求めるように構成されていることも好ましい。
【0012】
実施用AI装置が、算出した偏差値が所定範囲内にある場合のみ、この算出した偏差値と栄養素及び栄養素の摂取量との関係をディープラーニングにより求めるように構成されていることも好ましい。
【0013】
評価用AI装置が、評価用AI装置によって入力された症状の数があらかじめ定めた第1の所定値を超えた場合に、動作を終了するように構成されていることも好ましい。
【0014】
実施用AI装置が、実施用AI装置によって入力された症状の数があらかじめ定めた第2の所定値を超えた場合に、症状の入力を終了するか動作を終了するように構成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、評価用AI装置によってシステムが取得すべき症状であると判定した症状についてのみ、偏差値と栄養素及びこの栄養素の摂取量との関係を求めているため、システムの処理するデータ量は大幅に少なくなるから、データ処理時間の短縮化を図ることができる。また、偏差値をベイズ統計学に基づいて算出しているため、これによって得られるデータは、客観的かつ科学的なエビデンスに基づくものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のデュアルコア判定システムの一実施形態の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1の実施形態におけるデュアルコア判定システムの評価用AI装置の動作を概略的に説明するフローチャートである。
図3a図1の実施形態におけるデュアルコア判定システムの実施用AI装置の動作の一部を概略的に説明するフローチャートである。
図3b図1の実施形態におけるデュアルコア判定システムの実施用AI装置の動作の一部を概略的に説明するフローチャートである。
図4】本発明のデュアルコア判定システムの他の実施形態における評価用AI装置の動作を概略的に説明するフローチャートである。
図5a図4の実施形態におけるデュアルコア判定システムの実施用AI装置の動作の一部を概略的に説明するフローチャートである。
図5b図4の実施形態におけるデュアルコア判定システムの実施用AI装置の動作の一部を概略的に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明のデュアルコア判定システムの一実施形態の電気的構成を概略的に示している。本実施形態のシステムは、個人栄養指導を行う場合に、どのような症状に対してどのような栄養素が最適であるか、その栄養素をどの程度の摂取量で摂取することが最適であるか等を判定するシステムである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態におけるデュアルコア判定システム10は、データバス10mに接続された評価用人工知能(AI)装置10aと、この評価用AI装置10aに接続された評価用データベース(DB)10bと、データバス10mに接続された実施用人工知能(AI)装置10cと、この実施用AI装置10cに接続された実施用データベース(DB)10dと、データバス10mに接続された中央処理装置(CPU)10eと、データバス10mに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)10fと、データバス10mに接続されたリードオンリーメモリ(ROM)10gと、データバス10mに接続されたディスプレイ10hと、データバス10mに接続された入力キーボード10iと、データバス10mに接続された光学式マーク読み取りデバイス(OMR)10jと、データバス10mに接続された通信インターフェース(IF)10kとを備えたコンピュータ及びこれを動作させるプログラムから構成される。
【0019】
評価用AI装置10a及び実施用AI装置10cは、例えば、パイソン(Python)等のプログラミング言語を用いて機械学習アルゴリズム、及びディープラーニングアルゴリズムを構築したAI装置である。
【0020】
評価用DB10b及び実施用DB10dは、例えば、マイクロソフト社のSQLサーバーをインストールすることにより作成されるデータベースである。
【0021】
CPU10eは、ROM10gに記憶されているオペレーションシステム(OS)やブートプログラム等の基本プログラムに従って評価用AI装置10a及び実施用AI装置10cを含むシステム全体の動作を制御する。
【0022】
ROM10gはCPU10eを動作させるプログラム及びデータがあらかじめ格納されている。
【0023】
RAM10fはメインメモリとして使用され、ROM10gから転送されたプログラムやデータを一時的に保存するように構成されている。また、このRAM10fは、プログラム実行時の各種データが一時的に保存されるワークエリアとしても使用される。
【0024】
このような構成のコンピュータにおいて、CPU10eは、処理動作時は、まず、RAM10f内にプログラム記憶領域、データ記憶領域及びワークエリアを確保し、ROM10gからプログラム及びデータを取り込んで、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域に格納する。次いで、このプログラム記憶領域に格納されたプログラムに基づいて、評価用AI装置10aは図2に示す処理動作を実行する。
【0025】
この処理動作を行う前に、栄養疾患で起こり得る種々の症状、及び疾病等に関する問診票の内容に対して、栄養指導する各患者(被栄養指導者)による回答が行われる。
【0026】
問診票は、(パート1)基本情報のセットと、(パート2)体調についてのセットと、(パート3)その他の質問についてのセットとの3つの区分で仕切られており、各質問に、例えば、D001、D002等のコードが定められている。これらコードには、後述するように、栄養疾患毎に重み付け点数a=5、b=2、c=0.5が割り振られている。なお、s+は1つもなければ否定するコードであり、s-は1つでもあれば否定するコードである。
【0027】
問診票は、本実施形態では、各質問に該当する場合はチェック、丸又は塗りつぶし等を患者が記載して回答するように構成されている。なお、問診票をコンピュータ化し、各患者がコンピュータを操作して回答するように構成することも可能である。
【0028】
問診票の質問事項は、以下の通りである。
氏名______(男:A006a・女:A006b)
生年月日 MTS__年__月__日生 ( )歳
以下の質問は、皆様方の健康状態を把握する為に最低限必要な項目です。正確に答えてください。なお選択肢のなかに当てはまるものがなければ、記入せず先に進んでください。
主としてここ1か月以内の症状で、自分が該当する質問項目のそれぞれの□にチェックして回答してください。
(パート1)基本情報のセット
(0)あなたの身長と体重がわかれば教えてください。
身長__cm:A001
体重__kg:A002
(1)家族(血縁関係者)の病気について
家族(父親、母親、実兄弟姉妹(同胞)の範囲で)に以下の疾患や病態について指摘されたり、診断を受けたひとがいますか。
□ 胃癌:D001
□ 肺癌:D002
□ 直腸癌など大腸癌:D003
□ 乳癌:D004
□ 子宮癌:D005
□ 上記以外の悪性腫瘍(肉腫、白血病、リンパ腫、脳腫瘍など):D006
□ 高血圧:D007
□ 高コレステロール血症・高脂血症:D008
□ 心筋梗塞または狭心症:D009
□ 脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血):D010
□ 糖尿病:D011
□ 原因不明の突然死:D012
□ 世代を通じて同じ様な病気:D013
□ 生まれつきの心臓病あるいは体の奇形:D014
□ 認知症(痴呆)あるいは精神科・心療内科的疾患:D015
(2)自分自身の病気について
□ 注射・薬・食べ物等で気分が悪くなったり、あるいは皮膚に発疹が出たことがある:E001
□ 病気または事故で手術を受けたことがある:E002
□ 以前に輸血を受けた事がある:E003
これまでに以下の疾患や病態について指摘されたり、診断を受けたことがありますか、あれば下記の中から選んでください(複数回答可)。
□ 高血圧:E004a
□ 腎疾患(腎炎、腎不全、ネフローゼなど):E004b
□ 痛風あるいは高尿酸血症:E004c
□ 貧血症:E004d
□ 胃潰瘍または十二指腸潰瘍:E004e
□ 胃癌:E004f
□ 肺癌:E004g
□ 直腸癌など大腸癌:E004h
□ 乳癌:E004i
□ 子宮癌:E004j
□ 上記以外の悪性腫瘍(肉腫、白血病、リンパ腫、脳腫瘍など):E004k
□ 高コレステロール血症・高脂血症:E004l
□ 心筋梗塞または狭心症:E004m
□ 脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血):E004n
□ 糖尿病:E004о
□ 肝機能障害(アルコール性肝障害、慢性肝炎など):E004p
□ 気管支喘息あるいは肺気腫:E004q
□ 自律神経失調症または神経症:E004r
□ うつ病またはうつ状態:E004s
□ 老人性認知(痴呆)症または認知症(痴呆)性疾患:E004t
□ 上記にはない(病名は知らない)が通院(注射・服薬)中:E004u
(3)現在服用中(または注射でコントロール中)の薬があれば下記より選んでください。(複数回答可、一か月に数回服用しているような薬剤については無視してください)。
□ 睡眠薬(催眠剤):F001
□ 精神安定剤・自律神経調製剤:F002
□ 抗うつ薬(うつ病の薬):F003
□ 鎮痛剤(頭痛薬、痛み止めなど):F004
□ 降圧剤(血圧を下げる薬):F005
□ 利尿剤(尿の出を良くする薬、体の腫れをとるための薬):F006
□ コレステロールを下げる薬:F007
□ 不整脈を押さえる薬 :F008
□ 緩下剤(便秘を軽くする薬):F009
□ アレルギーを押さえる薬:F010
□ 経口避妊薬または女性ホルモン薬:F011
□ 抗癌剤:F012
□ 糖尿病の薬(経口血糖降下剤またはインシュリン注射):F013
□ 市販の体に良いとされている漢方薬:F014
□ 市販の強壮剤(ドリンク)あるいは市販の総合ビタミン剤:F015
□ 栄養食品(サプリメントを含む):F016
(4)喫煙、飲酒について
喫煙について、下記のなかからあてはまる項目を一つだけ選んでください。
□ たばこはもともと吸わないか、あるいは1年以上禁煙中:G001a
□ 平均すると一日9本以下だが吸っているか、あるいは禁煙中だが1年未満:G001b
□ 平均すると一日10本から30本程度は吸っている:G001c
□ 平均すると一日31本以上吸っている:G001d
アルコール飲料の飲酒状況について、下記のなかからあてはまる項目を一つだけ選んでください。
□ ほとんど毎日飲んでいる:G002a1
□ 毎日ではないが、飲んでいる:G002a2
□ アルコールは飲まない。あるいは飲めない:G002a3
上記の質問で飲む場合の酒量(アルコール量)について下記のなかから一つだけ選んでください。アルコール量は日本酒180ml(1合)で換算すると下記のようになります。(それぞれの量に注意してください)。
●ウイスキーまたはブランディ(100ml):日本酒 1.4合
●大ビール1本(633ml) :日本酒 1.1合
●缶ビール1本(350ml) :日本酒 0.6合
●焼酎1合(180ml) :日本酒 1.5合
●ワイン (100ml) :日本酒 0.5合
□平均すると、一日に日本酒に換算しておおむね3合以上飲んでいる:G002b1
□平均すると、一日に日本酒に換算して1合から3合程度飲んでいる:G002b2
□平均すると、一日に日本酒に換算して1合を越えることはない:G002b3
(5)栄養・食生活・食欲・便通について 食欲・摂食状態(間食も含む)などについて
□ 食欲・摂食について異常はないと思う。体重の増減も殆どない:H001a
□ 食べたいという気持ちはあるが食べられない:H001b
□ 食欲が落ちてきた。食べたいとも思わなくなった:H001c
□ 食べても食べても空腹を感じる:H001d
□ 食欲にムラがあって一定しない:H001e
□ やせるため、あるいは健康上の理由で食事制限をしている:H001f
□ 食べると胃もたれ・吐き気・下痢など腹の具合が悪くなるので食べたくない:H001g
便通について質問に答えてください(二日に一回普通便がでれば正常です)。
便通について下記のうち一つだけ選んでください。(緩下剤服用の有無はここ では問いません)
□ 毎日定期的に排便があるので異常はないと思っている:H008a1
□ もともと習慣的に便秘気味である:H008a2
□ 最近便秘気味になった:H008a3
□ もともと習慣的に下痢(軟便)気味である:H008a4
□ 最近一日数回下痢便や軟便が出る:H008a5
□ 交互に下痢と便秘を繰り返している:H008a6
□ 便が出るのがわからない。便意がない。いつの間にか排便している(便失禁):H008a7
便の性状(形、大きさ、固さなど)について、自分に一番ちかいと思われるものを下記のうち一つだけ選んでください。
□ 以前と変わらず自分固有の大きさ、長さ、形、固さだと思っている:H008c1
□ 便が細くなったように思う:H008c2
□ 便が出るには出るが、以前より固くなった:H008c3
□ 細切れの散乱するような便が出る:H008c4
□ 便の性状(形、大きさ、固さなど)が全く一定しない:H008c5
便の色について自分に一番ちかいと思われるものを一つだけ選んでください。(内服薬や食べ物により便の色が特有の着色を受けているのが明らかな場合はこの質問を無視してください)
□ 普通の便の色(黄土色から濃い褐色の範囲)だと思っている:H008d1
□ コールタールの様なやわらかい黒色便がでる:H008d2
□ 便の色が黒っぽくなった:H008d3
□ 便の色が白(灰色)っぽくなってきた:H008d4
□ 便の色が赤(赤黒)っぽくなった。血液が混じっているようだ:H008d5
(6)身体活動について下記の生活活動強度区分のうちで、あなたに最も適合する区分を選んでください。
□ a 強度I、低い:I001a
散歩、買い物など比較的ゆっくりした1時間程度の歩行のほか大部分は座位での読書、勉強、談話、または座位や横になってのテレビ、音楽鑑賞などをしている場合。
□ b 強度II、やや低い(現在国民の大部が該当する):I001b
通勤、仕事などで2時間程度の歩行や乗車、接客、家事等立位での業務が比較的多いほか大部分は座位での業務、談話などをしている場合。
□ c 強度III、適度:I001c
生活活動強度IIの者が一日1時間程度は速歩きやサイクリングなど比較的強い身体活動を行っている場合や、大部分は立位での作業であるか1時間程度は農作業、漁業などの比較的強い作業に従事している場合。
□ d 強度IV、高い:I001d
一日のうち1時間程度は激しいトレーニングや木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような強い作業に従事している場合。
□ e 強度V、過重労働:I001e
勤務時間中ほとんどずっと強い肉体労働に従事したり、酷寒や酷暑の条件のなかで強い作業や苦労の多い生活をしている場合。
□ f 寝たきり生活など上記にあてはまらない場合:I000f
(7)睡眠について
一日の合計の平均睡眠時間について該当する項目を一つだけ選択してください。
□大体6時間未満である :J001a1
□ 6時間以上8時間未満:J001a2
□ 8時間以上 :J001a3
□ わからない:J001a4
睡眠の状態について(複数選択可)
□ .寝床に入ると10分以内には眠りについている:J001b1
□ .寝床に入って60分経っても寝つけぬ:J001b2
□ .朝早く目覚めるなどで睡眠不足(6時間未満/日)が続く:J001b3
□ .目覚めても起き上がるのに30分以上かかる :J001b4
□ .途中で何回も目醒めて熟睡できない:J001b5

(パート2)体調について
(1)全身症状について
□ からだがだるい:L001
□ 微熱(だいたい37.0~37.3度くらい)が続いている:L002
□ 汗をかきやすくなった:L003
□ 喉(のど)が渇く:L004
□ 顔や手足がむくむ。あるいは腫(は)れぼったい:L005
□ 皮膚の下にかたまりまたはしこりがある:L006
□ めまいあるいは立ちくらみがある。または頭がクラクラする:L007
□ 突然に手足あるいは全身の力がぬける様な発作がある:L008
□ 失神する(気を失う)。あるいは意識がなくなり転倒する:L009
□ 冷汗(ひや汗)が出る。時には気分が悪くなることもある:L010
□ 自分のおかれている状況や、やっていることなどがわからなくなる:L011
□ 全身の色々な症状が次々と重なって起きてくる:L012
□ いつも体が冷たくて、夏でも寒さを感じる:L013
□ 急にやせた。(目安:4kg/月以上の体重減少):L014
□ 急に太った。(目安:4kg/月以上の体重増加):L015
(2)皮膚・筋肉・骨格・手足の症状について
□ 皮疹(発疹・湿疹・蕁麻疹(じんましん)・水疱など)がでた:M001
□ 頑固に続く皮疹(発疹)または皮膚の異常がある:M002
□ 少し打撲しただけで青アザができやすい体質の様だ:M003
□ 背中あるいは腰が痛む:M004
□ 手や足の筋肉あるいは関節が痛む。神経痛で手や足が痛い:M005
□ 手または足にしびれ感あるいは異常な感覚を感じる:M006
□ 手または足の筋力が弱く(力が入らなく)なった:M007
□ 頭髪が抜けやすくなった:M008
□ 手または足のふるえがある。(手足のふるえがひどくなった):M009
□ 歩きにくくなった。転びやすくなった。途中で痛くなり長歩きできない:M010
□ 茶わんまたはハシを思わず落とす:M011
(3)顔面・目・耳・鼻・口・歯・頭部・頚部・肩の症状について
□ 人から顔色が悪いとよく言われる:N001
□ 視力低下。視野がせまくなった。夜目がきかない(一項目以上):N002
□ 目が疲れやすい。目が痛い。よく目が赤くなる(一項目以上):N003
□ ものがゆがんで見える。あるいは目の中に光や黒いゴミが見える:N004
□ ものが二重にみえる:N005
□ 一瞬目の前が暗くなるときがある:N006
□ 耳鳴りあるいは耳が聴こえにくいなど、耳に関する異常がある:N007
□ 春先あるいは秋口にくしゃみや鼻水または目の痒みがある:N008
□ 鼻血がしばしば出る:N009
□ 長引く鼻水あるいは鼻づまりがある:N010
□ 喉または頬の粘膜または舌などが痛い:N011
□ ズキズキする頭痛がある:N012
□ 頭重感(頭が重い・鈍痛)がある:N013
□ 肩こり、あるいは項部(うなじ)の痛みがある、時には頭痛や吐き気を伴う:N014
□ 鼻または喉(のど)の奥に何かが詰まった様な感じがある:N015
□ かすれ声が2週間以上続く:N016
□ 虫歯が多くて困っている:N017
□ 舌がもつれてしゃべりにくい、あるいは人から聞き取りにくいと言われる:N018
□ 物忘れがひどくなった。:N019
□ 食べ物を飲み込みにくくなった:N020
□ 舌あるいは口の周りにしびれを感じる:N021
□ 食べ物の味が分からなくなった:N022
□ 顔がほてる。あるいはのぼせる:N023
(4)主に胸部に関する症状について
□ 運動あるいは労作に伴って胸痛や息苦しさ、胸部圧迫感などを感じる:O001
□ 運動あるいは労作に関係なく胸痛や息苦しさ、胸部圧迫感などを感じる:O002
□ 咳がある。(時々痰も出る):O003
□ 咳と共に喉がゼイゼイ・ヒューヒュー鳴って時には息苦しい:O004
□ 少し動いただけでもすぐにしんどくなったり息切れしたりする:O005
□ 前胸部あるいは胸骨の裏にドクドクッと心臓の拍動を感じる:O006
□ 動悸がある(胸がどきどきする)。あるいは脈拍がとても速くなる:O007
□ 胸やけ(胸骨の裏の熱い感じ)あるいは嚥下(飲み込み)痛がある:O008
□ 食べ物あるいは飲み物が胸(食道)またはみぞおちにつかえる:O009
□ しょうゆ、熱いお茶など食物が胸にしみたり、あるいは痛む:O010
(5)主に腹部に関する症状について(「みぞおち」の症状も腹部症状です)
□ 食事と関係なく腹痛がある。原因のわからない腹痛がはじまった:P001
□ 食事と関連して(食前や食後一定時間後に)腹痛がある:P002
□ 食事と関係なく吐き気(むかむか)または嘔吐(おうと)がある:P003
□ 食事と関連して(食前や食後一定時間後に)吐き気または嘔吐がある:P004
□ 腹が張る。あるいは腹が張ってしんどい:P005
□ 腹の中に何かかたまりがある:P006
□ 肛門から出血する。あるいは明らかに便に血が混じっている:P007
□ 一週間以上下痢が続く:P008
(6)泌尿器系の症状について
□ 排尿回数が増えた(10回以上/日)ように思う:Q001
□ 1日の尿量が増え、水分を多量にとるようになった:Q002
□ 夜間に頻繁に(概ね一晩2回以上)小便に行く:Q003
□ 排尿回数が減った。あるいは尿量が減った:Q004
□ 尿の色が変だ。(例:赤色尿、茶褐色尿、黒色尿など):Q005
□ 尿に蛋白が混じっているといわれたことがある:Q006
□ 尿に血液が混じっているといわれたことがある:Q007
□ 腎盂炎または膀胱炎または尿道炎にしばしば(4回以上/年)悩まされる:Q008
□ 排尿時に下腹あるいは尿道が痛む:Q009
□ 突然に背中あるいは腰が痛みだした。(あるいはそういう経験がある):Q010
□ 突然に下腹が痛みだした。(あるいはそういう経験がある):Q011
□ 排尿の勢いがなくなった:Q012
□ 残尿感がある。あるいはたまった尿が全部出切らないように感じる:Q013
□ 尿が出るのがわからなくて、いつのまにか出てしまう(尿失禁):Q014
(7)精神症状、悩みなどについて
□ 社会生活上かなりのストレスを感じている:R001
□ 午前中無気力で午後になってやっと元気がでる:R002
□ 気分が沈みがちで仕事の能率が上がらない:R003
□ 気分的に落ち着かずイライラする:R004
□ 身近に好きな異性がいて仕事に身がはいらない:R005
□ 社内で何らかのいじめを受けているように感じる:R006
□ 出勤がめんどうだ。あるいは会社をやめようと思う:R007
□ しばしば「ぼんやりとした不安」を感じる:R008
□ ブツブツと独り言を言っているらしい。幻覚があるらしい:R009
□ 人にはなかなか相談できない悩みや心配事がある:R010
□ 最近「死にたい。死んだほうがうまく行く」と思う:R012
(8)月経、閉経、妊娠など女性の問題
□ 現在妊娠している:S001
□ 月経に関係して多彩な症状が起こる:S002
□ 月経痛(月経中または前後数日間に起こる腰痛・腹痛等)がひどい:S003
□ すでに閉経している。あるいは子宮摘出している:S004
□ 不正性器出血がある。または月経不順、あるいは月経がない:S005

(パート3)その他の質問について
(1)その他の質問
□ いつも誰かに自分の行動を見張られているような気がする:T001
□ 自分は誰かにあやつられているような気がする:T002
□ 「尊厳死」(下記参照)を認める。あるいは認めるべきだと思っている:T003
(※尊厳死:本人の意志に基づいて延命治療を止め自然経過に任せた死を選ぶこと)
□ 「安楽死」(下記参照)を認める。あるいは認めるべきだと思っている:T004
(※安楽死:苦痛から逃れることを主な目的に積極的な治療を止めたり、医師などによる積極的な手段で命を縮めること)
(2)いわゆる「癌(悪性腫瘍)の告知」について、現在のあなたの考えに一番近い
項目を下記の中から選んでください。
□ 自分の身に起きていることを知りたいと思う。どんな状態でも告知してほしい。ただし家族には知らせて欲しくない:U001a
□ 自分の身に起きていることを知りたいと思う。どんな状態でも告知してほしい。家族への告知もやむを得ないだろう:U001b
□ 基本的には知りたくないが、治療その他の理由で告知がやむをえないなら、知らされても仕方がないと思う。ただし家族には知らせて欲しくない:U001c
□ 基本的には知りたくないが、治療その他の理由で告知がやむをえないなら、知らされても仕方がないと思う。家族への告知もやむを得ないだろう:U001d
□ 絶対に知りたくない。家族にも知らせないで欲しい:U001e
□ 絶対に知りたくないが、その後の経過など考えると家族への告知はやむを得ないだろう:U001f
□ 癌(悪性腫瘍)の進行状態とか仕事との関係あるいは家族への想いで、自分の考えも刻々と変わるに違いないので、今は回答不能である:U001g
□ 考えがまとまらない、わからないというのが今の気持ちである:U001h
□ 上記のいずれにも当てはまらない:U001i
(3)下記の性格的特徴のなかから、自分にあてはまる項目の□にチェックしてください。
□ のんき・無頓着:Z001
□ 社交的・外向的:Z002
□ 内気・恥ずかしがり:Z003
□ 頑固・融通性なし:Z004
□ 几帳面・細かい:Z005
□ 怒りっぽい・攻撃的:Z006
□ 自由・きまま:Z007
□ あきっぽい:Z008
□ しつこい・こだわる:Z009
□ 自制心が強い:Z010
□ 自尊感情が強い:Z011
□ 信じやすい:Z012
□ 優柔不断:Z013
□ 孤独が好き:Z014
□ 心配しすぎる:Z015
【0029】
前述したように、この問診票における各栄養疾患で起こり得る各症状には重み付け点数が割り振られており、各症状のコードと重み付け点数とは、栄養疾患毎に評価用AI装置10aの評価用DB10bに記憶されている。これらコードの症状と重み付け点数との対応関係は、その一例をあげると、以下の通りである。
アレルギー性疾患のグループ
蕁麻疹、アトピー、湿疹、皮膚炎などに関して、a:M001、b:N008,H006b、c:M008,O003,O004,R004,E004q、
花粉症に関して、a:N008、b:N010,O004、c:N009,N015,O003,E004q、
気管支喘息に関して、a:O004、b:O003,O005,E004q、c:J001b5,L010,M001,N001,N010,N015,N008,O002,G001d、
ストレス及び心因反応のグループ
睡眠不足に関して、a:J001a1,Loo7,R002、b:L001,L005,N012,O005,R003,R004,I002b、c:L002,L004,L010,M007,N001,N007,O006,P003,Q003,L012,I003d1,I003d2,R010、
片頭痛に関して、a:N012,N014、b:R001,R007、c:L003,L010,N010,P003,S003,J001a1,I001e,I003a4、
緊張性頭痛に関して、a:N014、b:N012,R001,R004、c:L004,L010,R002,J001a1,I002b,I003a4、
起立性調節障害に関して、a:L007,L009、b:L010,M007,N001,N012,O005,P001,P005,R003,J001b4、c:L001,M004,M005,M006,N007,O009,J001a1,F005、
過敏性腸症候群に関して、a:H008a5,P001,P003,P005,R001、b:H001f,H008a3,H008a4,L001,L009,P004,R003,R004,R007,P008、c:J001b4,H008a1,L004,L007,L010,M004,N001,N012,N015,P006,I002b、
自律神経失調症に関して、a:L003,L004,L005,L010,M006,N007,N012,O006,S004、b:J001b3,J001b4,L002,L007,L009,N001,R001,R004,J001a1,L013,002b,I003e4、c:M008,P005,S003,P006,R010,L012,I001e,I003a4,I003d1,I003d2、
うつ病・うつ状態・不安神経症に関して、a:R002,I002b,R011、b:L007,N012,N014,O006,O009,P003,P004,R001,R007,H001b,J001b2,J001b3,J001a1,L001,I003e4,I003h3、c:M007,N001,N015,L012,I001e,I003g1,L014、
不定愁訴症候群に関して、a:L002,M004,N012,N014,S004、b:L001,L007,M006,O002,O006,R003,L012,I002b、c:N015,P005,P006,L013,I001e、
泌尿器系神経症に関して、a:Q001,Q002、b:L005,P006、c:L003,M004,N015,P001,P005,Q009,Q003,Q005、
解離性障害・境界型人格障害など精神疾患に関して、a:L009,P006,L011、b:L007,M006,R009,R011,T001,T002、c:L001,L014,O005,P005,R001,R002,R003,R004,E004r,M009,N002,N007,N019,N015,N022,F002,G002b1,H001c,H001d,Z006,Z008,Z009,Z011,Z014,R008,P001,N021,N011,N014、
月経痛に関して、s+:A006b(大前提:女性であること)、s-:S001,S004(全否定)、a:S003、b:H001f,L001,L004,M004,P003,P004,R003,R004、c:L002,L003,L005,M005,N012,N014,O007、
更年期障害に関して、s+:A006b(大前提:女性であること)、a: L013,N023,O007、b:L002,N012,N013,N014,M004,L001,R003、c:N019,R008,P001,L007,H001b,J001a1,L003,P003,M006,M005,L004,N002,Q001,Q004,L015,R011、
何らかの精神異常に関して、a:L011,R009,T001,T002、b:L001,M006,Q004,Q001,Q013,R008,R011、c:C001d,B001b,E004d,G002b1,I002b,I003a4,L014,L015、
神経調節性失神に関して、a:L009、b:L010,O007,A007,P003,L008、c:J001b2,J001b3,L001,M006,N014,P001,R001,P004,R006,S003,E004r,R010。
以上述べた対応関係の他に、全ての症状についてその症状のコードと点数との対応関係が設定されているが、ここではその記載を省略する。
【0030】
問診票の質問事項データと患者の回答データとが、入力キーボード10i及び/又は光学式マーク読み取りデバイス(OMR)10j等を介してデュアルコア判定システム10に入力されることにより、デュアルコア判定システム10の判定処理が開始可能となる。
【0031】
評価用AI装置10aは、まず、図2に示す処理動作を開始する。
【0032】
最初に、患者の回答が、問診票のある症状について症状有りの場合に、患者名と症状名とが互いに紐づけされて評価用AI装置10aの評価用DB10bに記憶される(ステップS1)。なお、評価用DB10bには、各栄養疾患で起こり得る症状(コード)と、その症状の重み付け点数とが、栄養疾患毎にあらかじめ記憶されている。
【0033】
次いで、各患者について、この評価用DB10bに記憶されている症状有りと回答した症状と各栄養疾患で起こり得る症状とが総当たりで照合され、合致した症状の重み付け点数の合計が栄養疾患毎に算出されて評価用DB10bに記憶される(ステップS2)。
【0034】
次いで、評価用DB10bに記憶されている各栄養疾患の合計点数を所定値(足切り点数、例えば2.5)と比較し、合計点数がこの所定値以上の上位5つの栄養疾患のうちの1つの栄養疾患が求められ、この求められた栄養疾患によって起こり得る症状が、実施用AI装置10cが取得すべき症状であるとして実施用AI装置10cの実施用DB10dに記憶される(ステップS3)。
【0035】
次いで、このように入力された症状の数が2000~5000のうちの第1の所定値(例えば、3000)を超えたかどうか判別され(ステップS4)、症状数が第1の所定値を超えていないと判別された場合(NOの場合)、ステップS1へ戻って、上述したステップS1~S4の処理が繰り返される。
【0036】
ステップS4において、症状の数が第1の所定値を超えたと判別された場合(YESの場合)、評価用AI装置10aの処理動作を終了し、実施用AI装置10cの処理動作を開始する。
【0037】
図3a及び図3bは、本実施形態における実施用AI装置10cの処理動作を示している。
【0038】
最初に、実施用AI装置10cには、任意の患者に対して、前述の問診と同様の問診によって得られた症状有りの症状名が入力される(図3aのステップS11)。次いで、この入力された症状有りの症状が実施用AI装置10cが取得すべき症状であるか否かが判別され(図3aのステップS12)、取得すべき症状であると判別された場合(YESの場合)のみ、栄養疾患名、患者名及び症状有りの症状名(コード)が実施用DB10dに記憶される(図3aのステップS13)。一方、図3aのステップS12において、取得すべき症状ではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS11へ戻って、上述したステップS11~S12の処理が繰り返される。
【0039】
次いで、このように入力された症状の数が第2の所定値(例えば、10000)を超えたかどうか判別され(図3aのステップS14)、症状数が第2の所定値を超えていないと判別された場合(NOの場合)、ステップS11へ戻って、上述したステップS11~S14の処理が繰り返される。
【0040】
図3aのステップS14において、症状の数が第2の所定値を超えたと判別された場合(YESの場合)、実施用AI装置10cの処理動作が一時的に終了する。
【0041】
その後、任意の患者に対して、その栄養疾患(その症状によって起こり得るとされている栄養疾患)を改善するために補給すべきとされる栄養素が、設定された摂取量で所定期間(例えば、4週間)投与される。補給すべき栄養素は、その栄養疾患を引き起こす栄養素であり、栄養障害はその栄養素が過剰又は不足によってもたらされる。ほとんどの場合は不足であり、不足していればその栄養素を補うこととなる。どのように補うかについては、日常の必要量の上限(低用量)、その3倍量(中容量)、上限であるその9倍量(中容量)がある。例えば、亜鉛欠乏症に対しては、必要量の上限である10mg、中容量である30mg、大容量である90mgとなる。
【0042】
投与の後、実施用AI装置10cの処理動作が再び開始され、所定期間の栄養素投与を行ったことによる症状改善の改善度(評価値)が患者に問診されてその結果が入力され(図3bのステップS15)、この評価値、補った栄養素名、患者名、栄養疾患名、及び症状が互いに紐づけされて実施用DB10dに記憶される(図3bのステップS16)。この場合の評価値は、次のように評価0~4の数値とされる。
症状が悪化した又は変化無かった(悪化、変化なし):評価0
症状の改善にやや有効であった(やや有効) :評価1
症状の改善に有効であった(有効) :評価2
症状の改善に著しく有効であった(著効) :評価3
症状が消失した(症状消失) :評価4
【0043】
次いで、実施用DB10dに記憶された評価値の偏差値がベイズ統計学に基づいて算出される(図3bのステップS17)。例えば、「やや有効」及びこれより高い評価値1~4に評価された項目がN個あったと仮定すると、補った栄養素毎に記憶されている評価値データから、例えばXの項について評価値の偏差値Mxと分散とが求められる。
【0044】
より詳細には、例えば、症状の総数が1000、症状として「めまい」の数が500、評価0が125、評価1が75、評価2が150、評価3が100、評価4が50であるとする。この場合、全症例に対する「めまい」の出現率は500/1000=0.5となる。ベイズ推定において、0は棄却事象となるため、「めまい」の有効率は(500-125)/500=0.75となる。評価点数の平均μxは、μx=(1×75+2×150+3×100+4×50)/375=875/375=2.33となり、標準偏差σxは、{75(1-2.33)2+150(2-2.33)2+100(3-2.33)2+50(4-2.33)2}/(75+150+100+50)=322/375=0.85の平方根となる。即ち、σx=√(0.85)=0.92となる。変動(分散)係数は、0.92/2.33=0.39となる。そのときの評価1の偏差値T1は、T11=0(1-2.33)/0.92+50=33.54となる。評価2の偏差値T2は、T2=10(2-2.33)/0.92+50=46.41となり、評価3の偏差値T3は、T3=10(3-2.33)/0.92+50=57.28となり、評価4の偏差値T4は、T4=10(4-2.33)/0.92+50=68.15となる。この「めまい」の症状の有効出現頻度は、その有効率が0.75であるため、500×0.75/1000=0.375となる。症状の総数の確率を1とするために偏差値を加重平均する。例えば、症状が「めまい」しかなく、その評価が2の有効のみである場合、この「めまい」の有効出現頻度と評価2の偏差値T2とから、0.375×(T2=49.64)/0.375=49.64がこのトライアルの偏差値(事後確率)となる。その確率値(偏差値)をそのほかのサブセットに特徴数として割り当てる。サブセットを組み合わせて3つ以上の特徴数が与えられると、平均、標準偏差及び変動係数を得ることができる。
【0045】
算出された偏差値は、患者名、症状名、栄養疾患名、補われた栄養素、及び評価値と紐づけされて実施用AI装置10cの実施用DB10dに記憶される(図3bのステップS18)。
【0046】
その後、算出された偏差値Tiが所定範囲であるか否か、即ち35≦Ti≦75であるか否かが判別される(図3bのステップS19)。偏差値Tiが所定範囲ではないと判別された場合(NOの場合)、この実施用AI装置10cの処理動作が終了する。
【0047】
図3bのステップS19において、偏差値Tiが所定範囲(35≦Ti≦75)にあると判別された場合(YESの場合)、この偏差値Tiと補われた栄養素の内容との関係がディープラーニングを用いた自動機械学習によって求められる(図3bのステップS20)。例えば、偏差値Tiと補われた栄養素名との関係、偏差値Tiと補われた栄養素の取得量との関係、偏差値Tiと患者状態との関係、及び偏差値Tiと患者環境との関係がディープラーニングを用いた自動機械学習によって求められる。求められた関係は実施用AI装置10cの実施用DB10dに記憶される(図3bのステップS21)。これにより、実施用AI装置10cの処理動作が終了する。
【0048】
本実施形態におけるデュアルコア判定システムにおいては、以上の動作が繰り返して行われる。繰り返して動作するたびに、得られる数値は変化する。そして、自動機械学習するたびにサブバージョンを上昇させる。症状のセットに大きな変更があった場合には、バージョンが1つ上がる。また、サブセットの項目を変化させた場合にバージョンが上がる。さらに、自動機械学習させる都度、3項目のバージョンが以下のように上がる。例えば、Ver.2.4.35であれば、症状の項目に2回目の変更をかけ、サブドメインに4回目の変更をかけ、35回自動機械学習をさせたバージョンということになる。前述のごとく、実施用AI装置については、10000データごとに自動機械学習させている。多数のデータを取得することによって、多変数についての解析が可能となる。これらの新たなデータの構築には人為が全く入っておらず、実際の数値をベイズ統計学に基づいて計算して得た結果であり、いままで何となく考えていたことが客観的に評価できるようになる点が本発明の特徴点である。また、データを集めれば集めるほど真実に近づくということも、重要な利点である。その結果、一度に多変数解析が可能となり、今まで感覚で行っていた行為を数値化した効果で評価できるようになる。
【0049】
栄養疾患に関する症状と、これら症状に対する補うべき栄養素の内容との因果関係は非常に複雑であり、その関係を表すデータは膨大な量となるが、評価用AI装置10aによって、システムが取得すべき症状を判定し、その取得すべき症状のみについて実施用AI装置10cが動作するように構成されている。即ち、取得すべき症状を有する患者に関して、実施用AI装置10cによって、栄養素を投与した後のその内容の評価値の偏差値をベイズ統計学に基づいて算出し、算出した偏差値と補う栄養素の内容との関係をディープラーニングにより求めている。実施用AI装置10cが、全ての症状について、偏差値と補う栄養素の内容との関係を求めるのではなく、評価用AI装置10aによってシステムが取得すべき症状であると判定した症状についてのみ、このような偏差値と補う栄養素の内容との関係を求めているため、システムの処理するデータ量は大幅に少なくなるから、データ処理時間の短縮化を図ることができる。また、評価用AI装置10aによって判定された取得すべき症状は人為的に得られたものではないため、実施用AI装置10cによって得られる大量のデータ(メガデータ)に含まれるノイズは非常に少なく、高い信頼性を有するデータとなる。さらに、評価用AI装置10a及び実施用AI装置10cが、偏差値をベイズ統計学に基づいて算出しているため、これによって得られるデータは、客観的かつ科学的なエビデンスに基づくものとなる。
【0050】
このように、本実施形態では、評価用AI装置10a及び実施用AI装置10cという2つの人工知能が協調して1つの現象を解析することで、複数の現象の出現確率を推定できる。即ち、小さな「正しいと定義した」人工知能を評価する側として、その評価により機械学習を自動化させ、より進化させるディープラーニングに結びつけようとするものである。正しいと思われるものを人為の作業ではなく、人工知能という機械に判定させている。そして、1つのことを両者の協調で行うことにより、お互いが進化していく仕組みが論理的かつ数学的に作れることを初めて示したものである。
【0051】
次に、本発明のデュアルコア判定システムの他の実施形態について説明する。この実施形態の電気的構成は図1に示したものと同様であるため、説明は省略する。図4はこの実施形態における評価用AI装置の動作を概略的に示しており、図5a及び図5bはこの実施形態におけるデュアルコア判定システムの実施用AI装置の動作を概略的に示している。
【0052】
本実施形態においては、評価値の偏差値の算出を症状の数が第2の所定値を超えてから行うのではなく、その都度行うようにしている。本実施形態では、RAM10f内のプログラム記憶領域に格納されたプログラムに基づいて、評価用AI装置10aは図4に示す処理動作を実行する。
【0053】
前述の実施形態の場合と同様に、この処理動作を行う前に、栄養疾患で起こり得る種々の症状、及び疾病等に関する問診票の内容に対して、栄養指導する各患者(被栄養指導者)による回答が行われる。
【0054】
問診票は、(パート1)基本情報のセットと、(パート2)体調についてのセットと、(パート3)その他の質問についてのセットとの3つの区分で仕切られており、各質問にD001、D002等のコードが定められている。これらコードには、後述するように、各栄養疾患毎に重み付け点数a=5、b=2、c=0.5が割り振られている。なお、s+は1つもなければ否定するコードであり、s-は1つでもあれば否定するコードである。
【0055】
前述の実施形態の場合と同様に、問診票は、各質問に該当する場合はチェック、丸又は塗りつぶし等を患者が記載して回答するように構成されている。なお、問診票をコンピュータ化し、各患者がコンピュータを操作して回答するように構成することも可能である。
【0056】
前述した実施形態の場合と同様に、この問診票における各栄養疾患で起こり得る各症状には重み付け点数が割り振られており、各症状のコードと重み付け点数とは、栄養疾患毎に評価用AI装置10aの評価用DB10bに記憶されている。
【0057】
このような問診票の質問事項データと患者の回答データとが、入力キーボード10i及び/又は光学式マーク読み取りデバイス(OMR)10j等を介してデュアルコア判定システム10に入力されることにより、デュアルコア判定システム10の判定処理が開始可能となる。
【0058】
評価用AI装置10aは、まず、図4に示す処理動作を開始する。
【0059】
最初に、患者の回答が、問診票のある症状について症状有りの場合に、患者名と症状名とが互いに紐づけされて評価用AI装置10aの評価用DB10bに記憶される(ステップS31)。なお、評価用DB10bには、各栄養疾患で起こり得る症状(コード)と、その症状の重み付け点数とが、栄養疾患毎にあらかじめ記憶されている。
【0060】
次いで、各患者について、この評価用DB10bに記憶されている症状有りと回答した症状と各栄養疾患で起こり得る症状とが総当たりで照合され、合致した症状の重み付け点数の合計が栄養疾患毎に算出されて評価用DB10bに記憶される(ステップS32)。
【0061】
次いで、評価用DB10bに記憶されている各栄養疾患の合計点数を所定値(足切り点数、例えば2.5)と比較し、合計点数がこの所定値以上の上位5つの栄養疾患のうちの1つの栄養疾患が求められ、この求められた栄養疾患によって起こり得る症状が、実施用AI装置10cが取得すべき症状であるとして実施用AI装置10cの実施用DB10dに記憶される(ステップS33)。
【0062】
次いで、このように入力された症状の数が2000~5000のうちの第1の所定値(例えば、3000)を超えたかどうか判別され(ステップS34)、症状数が第1の所定値を超えていないと判別された場合(NOの場合)、ステップS31へ戻って、上述したステップS31~S34の処理が繰り返される。
【0063】
ステップS34において、症状の数が第1の所定値を超えたと判別された場合(YESの場合)、評価用AI装置10aの処理動作を終了し、実施用AI装置10cの処理動作を行う。
【0064】
図5a及び図5bは、本実施形態における実施用AI装置10cの処理動作を示している。
【0065】
最初に、実施用AI装置10cには、任意の患者に対して、前述の問診と同様の問診によって得られた症状有りの症状名が入力される(図5aのステップS41)。次いで、この入力された症状有りの症状が実施用AI装置10cが取得すべき症状であるか否かが判別され(図5aのステップS42)、取得すべき症状であると判別された場合(YESの場合)のみ、栄養疾患名、患者名及び症状有りの症状名(コード)が実施用DB10dに記憶される(図5aのステップS43)。図5aのステップS42において、取得すべき症状ではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS41へ戻って、上述したステップS41~S42の処理が繰り返される。
【0066】
図5aのステップS43の処理が終了すると、実施用AI装置10cの処理動作が一時的に終了する。
【0067】
その後、任意の患者に対して、その栄養疾患(その症状によって起こり得るとされている栄養疾患)を改善するために補給すべきとされる栄養素が、設定された摂取量で所定期間(例えば、4週間)投与される。補給すべき栄養素は、その栄養疾患を引き起こす栄養素であり、栄養障害はその栄養素が過剰又は不足によってもたらされる。ほとんどの場合は不足であり、不足していればその栄養素を補うこととなる。どのように補うかについては、日常の必要量の上限(低用量)、その3倍量(中容量)、上限であるその9倍量(中容量)がある。例えば、亜鉛欠乏症に対しては、必要量の上限である10mg、中容量である30mg、大容量である90mgとなる。
【0068】
投与の後、実施用AI装置10cの処理動作が再び開始され、所定期間の栄養素投与を行ったことによる症状改善の改善度(評価値)が患者に問診されてその結果が入力され(図5bのステップS44)、この評価値、補った栄養素名、患者名、栄養疾患名、及び症状が互いに紐づけされて実施用DB10dに記憶される(図5bのステップS45)。この場合の評価値は、次のように評価0~4の数値とされる。
症状が悪化した又は変化無かった(悪化、変化なし):評価0
症状の改善にやや有効であった(やや有効) :評価1
症状の改善に有効であった(有効) :評価2
症状の改善に著しく有効であった(著効) :評価3
症状が消失した(症状消失) :評価4
【0069】
次いで、実施用DB10dに記憶された評価値の偏差値がベイズ統計学に基づいて算出される(図5bのステップS46)。例えば、「やや有効」及びこれより高い評価値1~4に評価された項目がN個あったと仮定すると、補った栄養素毎に記憶されている評価値データから、例えばXの項について評価値の偏差値Mxと分散とが求められる。
【0070】
より詳細には、例えば、症状の総数が1000、症状として「めまい」の数が500、評価0が125、評価1が75、評価2が150、評価3が100、評価4が50であるとする。この場合、全症例に対する「めまい」の出現率は500/1000=0.5となる。ベイズ推定において、0は棄却事象となるため、「めまい」の有効率は(500-125)/500=0.75となる。評価点数の平均μxは、μx=(1×75+2×150+3×100+4×50)/375=875/375=2.33となり、標準偏差σxは、{75(1-2.33)2+150(2-2.33)2+100(3-2.33)2+50(4-2.33)2}/(75+150+100+50)=322/375=0.85の平方根となる。即ち、σx=√(0.85)=0.92となる。変動(分散)係数は、0.92/2.33=0.39となる。そのときの評価1の偏差値T1は、T1=10(1-2.33)/0.92+50=33.54となる。評価2の偏差値T2は、T2=10(2-2.33)/0.92+50=46.41となり、評価3の偏差値T3は、T3=10(3-2.33)/0.92+50=57.28となり、評価4の偏差値T4は、T4=10(4-2.33)/0.92+50=68.15となる。この「めまい」の症状の有効出現頻度は、その有効率が0.75であるため、500×0.75/1000=0.375となる。症状の総数の確率を1とするために偏差値を加重平均する。例えば、症状が「めまい」しかなく、その評価が2の有効のみである場合、この「めまい」の有効出現頻度と評価2の偏差値T2とから、0.375×(T2=49.64)/0.375=49.64がこのトライアルの偏差値(事後確率)となる。その確率値(偏差値)をそのほかのサブセットに特徴数として割り当てる。サブセットを組み合わせて3つ以上の特徴数が与えられると、平均、標準偏差及び変動係数を得ることができる。
【0071】
算出された偏差値は、患者名、症状名、栄養疾患名、補われた栄養素、及び評価値と紐づけされて実施用AI装置10cの実施用DB10dに記憶される(図5bのステップS47)。
【0072】
その後、算出された偏差値Tiが所定範囲であるか否か、即ち35≦Ti≦75であるか否かが判別される(図5bのステップS48)。偏差値Tiが所定範囲ではないと判別された場合(NOの場合)、図5bのステップS51へ進む。
【0073】
図5bのステップS48において、偏差値Tiが所定範囲(35≦Ti≦75)にあると判別された場合(YESの場合)、この偏差値Tiと補われた栄養素の内容との関係がディープラーニングを用いた自動機械学習によって求められる(図5bのステップS49)。例えば、偏差値Tiと補われた栄養素名との関係、偏差値Tiと補われた栄養素の取得量との関係、偏差値Tiと患者状態との関係、及び偏差値Tiと患者環境との関係がディープラーニングを用いた自動機械学習によって求められる。求めた関係が実施用AI装置10cの実施用DB10dに記憶される(図5bのステップS50)。
【0074】
図5bのステップS51では、入力された症状の数が第2の所定値(例えば、10000)を超えたかどうか判別され、症状数が第2の所定値を超えていないと判別された場合(NOの場合)、ステップS44へ戻って、上述したステップS44~S51の処理が繰り返される。症状数が第2の所定値を超えていると判別された場合(YESの場合)、実施用AI装置10cの処理動作が終了する。
【0075】
本実施形態におけるデュアルコア判定システムにおいては、以上の動作が繰り返して行われる。繰り返して動作するたびに、得られる数値は変化する。そして、自動機械学習するたびにサブバージョンを上昇させる。症状のセットに大きな変更があった場合には、バージョンが1つ上がる。また、サブセットの項目を変化させた場合にバージョンが上がる。さらに、自動機械学習させる都度、3項目のバージョンが以下のように上がる。例えば、Ver.2.4.35であれば、症状の項目に2回目の変更をかけ、サブドメインに4回目の変更をかけ、35回自動機械学習をさせたバージョンということになる。前述のごとく、実施用AI装置については、10000データごとに自動機械学習させている。多数のデータを取得することによって、多変数についての解析が可能となる。これらの新たなデータの構築には人為が全く入っておらず、実際の数値をベイズ統計学に基づいて計算して得た結果であり、いままで何となく考えていたことが客観的に評価できるようになる点が本発明の特徴点である。また、データを集めれば集めるほど真実に近づくということも、重要な利点である。その結果、一度に多変数解析が可能となり、今まで感覚で行っていた行為を数値化した効果で評価できるようになる。
【0076】
栄養疾患に関する症状と、これら症状に対する補うべき栄養素の内容との因果関係は非常に複雑であり、その関係を表すデータは膨大な量となるが、評価用AI装置10aによって、システムが取得すべき症状を判定し、その取得すべき症状のみについて実施用AI装置10cが動作するように構成されている。即ち、取得すべき症状を有する患者に関して、実施用AI装置10cによって、栄養素を投与した後のその内容の評価値の偏差値をベイズ統計学に基づいて算出し、算出した偏差値と補う栄養素の内容との関係をディープラーニングにより求めている。実施用AI装置10cが、全ての症状について、偏差値と補う栄養素の内容との関係を求めるのではなく、評価用AI装置10aによってシステムが取得すべき症状であると判定した症状についてのみ、このような偏差値と補う栄養素の内容との関係を求めているため、システムの処理するデータ量は大幅に少なくなるから、データ処理時間の短縮化を図ることができる。また、評価用AI装置10aによって判定された取得すべき症状は人為的に得られたものではないため、実施用AI装置10cによって得られる大量のデータ(メガデータ)に含まれるノイズは非常に少なく、高い信頼性を有するデータとなる。さらに、評価用AI装置10a及び実施用AI装置10cが、偏差値をベイズ統計学に基づいて算出しているため、これによって得られるデータは、客観的かつ科学的なエビデンスに基づくものとなる。
【0077】
このように、本実施形態では、評価用AI装置10a及び実施用AI装置10cという2つの人工知能が協調して1つの現象を解析することで、複数の現象の出現確率を推定できる。即ち、小さな「正しいと定義した」人工知能を評価する側として、その評価により機械学習を自動化させ、より進化させるディープラーニングに結びつけようとするものである。正しいと思われるものを人為の作業ではなく、人工知能という機械に判定させている。そして、1つのことを両者の協調で行うことにより、お互いが進化していく仕組みが論理的かつ数学的に作れることを初めて示したものである。
【0078】
なお、上述した実施形態においては、評価用AI装置10aにおいて、各栄養疾患の合計点数が足切り点数(例えば2.5)以上の場合、この栄養疾患によって起こり得る症状が実施用AI装置10cの取得すべき症状であるとしているが、評価用AI装置10aにおいて、栄養素投与を行ってそれによる症状改善の評価値の偏差値を求め、その偏差値が所定範囲内(例えば、偏差値Tiが35≦Ti≦75)の場合、この症状が実施用AI装置10cの取得すべき症状であるとすることも考えられる。
【0079】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
個人栄養指導において、どのような内容の栄養素を摂取することが最適であるか等を判断する判定システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 デュアルコア判定システム
10a 評価用AI装置
10b 評価用DB
10c 実施用AI装置
10d 実施用DB
10e CPU
10f RAM
10g ROM
10h ディスプレイ
10i 入力キーボード
10j マーク読み取りデバイス
10k 通信IF
10m データバス
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b